JP2523753Y2 - カメラ用シャッターの羽根開閉機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、カメラ用シャッターの羽根開閉機構に関す
る。

〔従来の技術〕

第３図は、本考案の出発点となるべき従来のカメラ用
シャッターの羽根開閉機構の一例を示しているが、図
中、１はカム面1aと歯部1bとを有していて光軸の周りに
回動可能に装架されたリング状の駆動部材、２はシャッ
ター基板Ｐ上に枢着されていて駆動部材１のカム面1aと
当接する突起2aとフォーク部2bとを有する羽根開閉レバ
ー、３は羽根開閉レバー２に左旋習性を付与するスプリ
ング、４はシャッター基板Ｐの裏面上に光軸と同心的に
回動可能に装架されていて羽根開閉レバー２のフォーク
部2bに嵌合せしめられたピン4aを有する羽根開閉リン
グ、５はシャッター基板Ｐの裏面上に枢着されていて羽
根開閉リング４とピン−スロット連結され通常は五枚で
図示位置においてシャッター基板Ｐに形成された露出開
口を覆っている公知のシャッター羽根、６はシャッター
基板Ｐ上に枢着されていて駆動部材１の歯部1bに噛合せ
しめられたピニオン、７はピニオン６と一体のギヤー、
８はシャッター基板Ｐに取付けられた駆動源としての例
えばステッピングモーターの出力軸に固着されていてギ
ヤー７に噛合せしめられた駆動ギヤーであって、駆動ギ
ヤー８の所定量の往復回転によりギヤー7,ピニオン6,歯
部1bを介して駆動部材１が所定量往復動され、その際カ
ム面1aと突起2aとの協働作用で、駆動部材１の往動時
（右旋時）はスプリング３により、又駆動部材１の復動
時（左旋時）はカム面1aにより突起2aが押し上げられる
ことによって羽根開閉レバー２が往復動され、それによ
り羽根開閉リング４が往復動されて、シャッター羽根５
が露出開口を開閉するようになっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記従来の機構においては、駆動部材１の
復動時に羽根開閉レバー２をスプリング３に抗して押し
上げなければならないから、カム面1aは半径方向に対し
或る角度θをなす斜面として形成されざるを得ない。こ
れは、駆動部材１の往動時羽根開閉レバー２の突起2aが
カム面1aに摺接しながら即ち追随しながら移動せざるを
得ない結果を招き（第４図参照）、羽根開閉レバー２の
回動運動はカム面1aの状態や駆動部材１の回動状態に拘
束される。従って、従来機構においては、作動の円滑性
を欠き且つシャッター羽根の開口速度も比較的遅く高速
シャッターには不向きであるという問題があった。

本考案は、従来技術の有するこのような問題点に鑑み
なされたものであり、その目的とするところは、羽根開
閉レバー即ちシャッター羽根のより円滑且つ高速の運動
を保証し得る羽根開閉機構を提供しようとするものであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案によるカメラ用シ
ャッターの羽根開閉機構は、光軸の半径方向に対し所定
角度をなす斜面として形成されたカム面を有していて光
軸の周りに回動可能に装架されたリング状の駆動部材
と、揺動可能に軸支され、その一端側で前記カム面に当
接する突起を有し、他端側でシャッタ羽根を駆動し得る
羽根開閉レバーと、光軸と同軸に回動可能に装架される
とともに前記羽根開閉レバーの他端に嵌合され、且つ該
回動によりシャッタ羽根を開閉し得るようにシャッタ羽
根と連結された羽根駆動リングと、前記羽根開閉レバー
に対し前記カム面に当接する方向に旋性を付与する羽根
開閉レバー付勢手段と、前記カム面に臨み得る略円弧状
に形成された爪部を有し、該略円弧状の一部が前記突起
の運動軌跡と実質的に同一の円弧をなすように形成され
ていて、その初期位置で前記突起の運動軌跡と実質的に
同一の円弧をなすように形成された前記爪部の大部分が
前記カム面より進出した位置を占め得るように前記駆動
部材上に枢着された爪レバーと、前記爪レバーに対し、
前記突起と当接する方向に旋性を付与する爪レバー付勢
手段と、前記爪レバーの旋回を前記初期位置で抑止する
抑止手段とを備えていて、前記駆動部材の往動時の正転
領域前半では、前記爪レバーの頂部を摺動する前記突起
が前記爪レバーの先端部を通過したとき、前記カム面よ
り進出した位置を占め前記突起の運動軌跡と実質的に同
一の円弧をなすように形成された前記爪部の部分により
前記突起に作用する前記爪レバーとの摺動による抑止力
が軽減された状態で前記羽根開閉レバーが前記羽根開閉
レバー付勢手段の付勢方向に所定量作動せしめられ、そ
の後、前記突起が前記カム面に当接し、前記駆動部材の
往動時の正転領域後半では、前記突起が前記駆動部材の
前記カム面に摺接せしめられるようにして、前記羽根開
閉レバーが前記羽根開閉レバー付勢手段の付勢方向に作
動せしめられることにより前記羽根駆動リングが往動せ
しめられてシャッタ羽根を開き、前記駆動部材の復動時
の逆転領域前半では、前記突起が前記カム面に沿って所
定量摺動せしめられた後、前記爪部の前記カム面より進
出した部分に当接し、前記駆動部材の復動時の逆転領域
後半では、前記突起が前記爪部の前記カム面より進出し
た部分を前記爪レバー付勢手段に抗して押動して該爪部
を前記カム面より退避せしめて、前記突起が前記カム面
に当接して押上げられ、前記羽根開閉レバーが前記羽根
開閉レバー付勢手段の付勢方向に抗して作動せしめられ
て作動開始位置に復帰することにより前記羽根駆動リン
グが復動せしめられてシャッタ羽根を閉じるようにした
ことを特徴とするものである。

〔作用〕

本機構によれば、駆動部材１の往動時羽根開閉レバー
の突起が爪レバーの爪部に最初に摺接した後は、これに
続く外形部分が突起の運動軌跡より若干退避した位置を
占めるように形成されているから、羽根開閉レバーはス
プリングの力により抵抗なしに急速に往動せしめられ得
る（第２図参照）。従って、シャッター羽根の開放運動
は円滑且つより高速で行われる。

〔実施例〕

以下、第１図及び第２図に基づく本考案の一実施例を
説明する。図中、従来技術で説明したのと同一の機構部
分には同一の符号を用い、その構成及び作用の説明は省
略する。即ち、本考案によれば、駆動部材１上にそのカ
ム面1aに臨み得る爪部9aを有する爪レバー９が枢着され
ていて、この爪レバー９はスプリング10により左旋習性
が付与されており、その左旋運動は駆動部材１に設けら
れた折曲部1cにより抑止されるようになっている。この
場合、爪部9aの外形は実質上羽根開閉レバー２の突起2a
の運動軌跡と同一の円弧をなすように形成されていて、
図示の常態位置ではその大部分が駆動部材１のカム面1a
より進出した位置を占めるように配設されている。

本考案による羽根開閉機構は上記のように構成されて
いるから、駆動部材１が第１図の位置から右旋せしめら
れて羽根開閉レバー２の突起2aが駆動部材１のカム面1a
の頂部から爪レバー９の頂部上を摺動してその先端部9
a′を通過した瞬時、第２図（Ａ）に示す如く突起2aに
作用していた抵抗即ち抑止力がなくなり、羽根開閉レバ
ー２はスプリング３の弾力により急速に左旋せしめられ
て、シャッター羽根５を開放する。次に、その位置から
駆動部材１が左旋即ち復動せしめられる時は、第２図
（Ｂ）に示す如く羽根開閉レバー２は突起2aがカム面1a
に追従することによりスプリング３に抗して右旋せしめ
られその途中で一旦爪レバー９の爪部9aに当接するが、
該爪レバー９は羽根開閉レバー２の突起2aによりスプリ
ング10に抗して右旋せしめられるので、該突起2aが駆動
部材１のカム面1aに再び当接して押し上げられ、これに
よって羽根開閉レバー２は右旋されて第１図の位置に復
帰し、シャッター羽根５は閉じられる。なお、羽根開閉
レバー２が第１図の位置に復帰したときには、爪レバー
９は、スプリング10により爪部9aの大部分がカム面1aよ
り進出するような位置に復帰せしめられてる。かくし
て、１回のシャッター羽根開閉動作を終了するが、シャ
ッター羽根５の開放速度は従来機構のものに較べて著し
く早くなり、高速シャッターに適するものとなる。

〔考案の効果〕

上述の如く本考案によれば、シャッター羽根の開放運
動を円滑且つより高速で行うことができるので、シャッ
ター羽根の開き時間は駆動部材即ち駆動モーターの回転
時間に影響されず、露出特性線の立上り時間を短くする
ことができ、高速に適する羽根開閉機構を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による羽根開閉機構の一実施例を示す要
部平面図、第２図は第１図の実施例における駆動部材の
動きと羽根開閉レバーの突起の動きとの関係を駆動部材
の往動時と復動時とに場合分けしてそれぞれ（Ａ），
（Ｂ）に示す要部平面図、第３図は羽根開閉機構の一従
来例を示す平面図、第４図は第３図の従来例における駆
動部材の動きと羽根開閉レバーの突起の動きとの関係を
示す説明図である。 １……駆動部材、1a……カム面、２……羽根開閉レバ
ー、2a……突起、４……羽根開閉リング、５……シャッ
ター羽根、８……駆動ギヤー、９……爪レバー、9a……
爪部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】光軸の半径方向に対し所定角度をなす斜面
   として形成されたカム面を有していて光軸の周りに回動
   可能に装架されたリング状の駆動部材と、 揺動可能に軸支され、その一端側で前記カム面に当接す
   る突起を有し、他端側でシャッタ羽根を駆動し得る羽根
   開閉レバーと、 光軸と同軸に回動可能に装架されるとともに前記羽根開
   閉レバーの他端に嵌合され、且つ、該回動によりシャッ
   タ羽根を開閉し得るようにシャッタ羽根と連結された羽
   根駆動リングと、 前記羽根開閉レバーに対し前記カム面に当接する方向に
   旋性を付与する羽根開閉レバー付勢手段と、 前記カム面に臨み得る略円弧状に形成された爪部を有
   し、該略円弧状の一部が前記突起の運動軌跡と実質的に
   同一の円弧をなすように形成されていて、その初期位置
   で前記突起の運動軌跡と実質的に同一の円弧をなすよう
   に形成された前記爪部の大部分が前記カム面より進出し
   た位置を占め得るように前記駆動部材上に枢着された爪
   レバーと、 前記爪レバーに対し、前記突起と当接する方向に旋性を
   付与する爪レバー付勢手段と、 前記爪レバーの旋回を前記初期位置で抑止する抑止手段
   とを備えていて、 前記駆動部材の往動時の正転領域前半では、前記爪レバ
   ーの頂部を摺動する前記突起が前記爪レバーの先端部を
   通過したとき、前記カム面より進出した位置を占め前記
   突起の運動軌跡と実質的に同一の円弧をなすように形成
   された前記爪部の部分により前記突起に作用する前記爪
   レバーとの摺動による抑止力が軽減された状態で前記羽
   根開閉レバーが前記羽根開閉レバー付勢手段の付勢方向
   に所定量作動せしめられ、その後、前記突起が前記カム
   面に当接し、前記駆動部材の往動時の正転領域後半で
   は、前記突起が前記駆動部材の前記カム面に摺接せしめ
   られるようにして、前記羽根開閉レバーが前記羽根開閉
   レバー付勢手段の付勢方向に作動せしめられることによ
   り前記羽根駆動リングが往動せしめられてシャッタ羽根
   を開き、 前記駆動部材の復動時の逆転領域前半では、前記突起が
   前記カム面に沿って所定量摺動せしめられた後、前記爪
   部の前記カム面より進出した部分に当接し、前記駆動部
   材の復動時の逆転領域後半では、前記突起が前記爪部の
   前記カム面より進出した部分を前記爪レバー付勢手段に
   抗して押動して該爪部を前記カム面より退避せしめて、
   前記突起が前記カム面に当接して押上げられ、前記羽根
   開閉レバーが前記羽根開閉レバー付勢手段の付勢方向に
   抗して作動せしめられて作動開始位置に復帰することに
   より前記羽根駆動リングが復動せしめられてシャッタ羽
   根を閉じるようにしたことを特徴とするカメラ用シャッ
   ターの羽根開閉機構。