JP2521279B2 - 自動二輪車のエンジン取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自動二輪車のエンジ取付構造に関し、更に詳
細には容易にエンジンを取付けられるようにした自動二
輪車の自動二輪車のエンジン取付構造に関する。

（従来の技術） 従来より自動二輪車では、エンジンを取付ける部分の
フレームを左右のサイドフレームと、これらを連結する
複数のクロスフレームとにより篭状に形成しており、斯
かるフレームにエンジンを取付けるにはフレーム内にエ
ンジンを載置して両者の適宜箇所をボルトで締着する。

（発明が解決しようとする問題点） ところで自動二輪車の生産ラインで前述の如きフレー
ムにエンジンを取付けるにはベルトコンベアに載置され
たエンジンの上方から、ハンガで吊下げられたフレーム
をかぶせるようにして取付けるが、前述のようにフレー
ムは篭状を成すので、フレームが邪魔してエンジンをフ
レーム内に入れにくくなるという不具合がある。

本発明は斯かる従来の不具合に鑑み成されたものであ
り、その目的とする処は、容易にエンジンを取付けるこ
とのできるエンジ取付構造を提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 前記問題点を解決するために、車体フレームから前方
に延出するフロントスイングアームで前輪を懸架し、ま
た、車体フレームから後方に延出するリヤスイングアー
ムで後輪を懸架し、上記車体フレームにエンジンを装架
する自動二輪車のエンジン取付構造において、前記車体
フレームは、車体中心線の一側でエンジン上部にて車体
の前後方向に延出する基部と、エンジンの前部にて基部
の前端から下方へ延出する前部と、エンジン後部にて基
部の後端から下方へ延出する後部とを備えるサイドフレ
ームをなし、このサイドフレームの片側に、その前部か
らエンジンの前方で車体の幅方向に一体に延出する前部
サブフレームを設け、この前部サブフレームとサイドフ
レーム前部とによってフロントスイングアームを揺動自
在に支持し、同様に、エンジンの後方でサイドフレーム
の後部から一体に後部サブフレームを設け、この後部サ
ブフレームとサイドフレーム後部とによってリヤスイン
グアームを揺動自在に支持するようにした。

（作用） 前後のスイングアームを支持するための前後のサブフ
レームをサイドフレームからその片側の車体幅方向にエ
ンジンの前方または後方にエンジンを避けて一体に延出
したことから、スイングアームの支持剛性の確保ととも
に、その片フレーム構成によってフレームが軽量簡易化
される。

また、エンジンの着脱に際してサイドフレームの側方
および下方に開放部を確保することが可能となるので、
スイングアーム等の車体の主要構成の分解組立を要する
ことなく、エンジンをその下部で支えつつ、サイドフレ
ームに対してその側方から装架し、また、取り外すこと
が可能となるので、エンジンを容易に着脱することがで
きる。

（実施例） 以下に本発明の好適一実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は自動二輪車のフレームの斜視図、第２図は同
平面図、第３図は第１図のIII矢視図即ちフレームの側
面図、第４図は第３図IV矢視図即ちフレームの前面図を
示し、第１図ではエンジンを省略してある。

図中、１は自動二輪車の車体フレームをなすフレーム
で、該フレーム１は車体の一側に配置されるサイドフレ
ーム３と、該サイドフレーム３の前後に設けられる前部
サブフレーム５、後部サブフレーム７とから成り前記サ
イドフレーム３は、車体の一側で前後に延出する基部3a
と、基部3aの前後で下方へ延出する前部3b、後部3cとか
ら成る。前述した前部サブフレーム５は、前記サイドフ
レーム前部3bから車体他側へ向けて延出する上下２本の
フレーム5a,5bから構成され、夫々のフレーム5a,5bの先
端には屈曲部5a1,5b1が形成され、更にこれら屈曲部5a
1,5b1にはブラケット5a2,5b2が形成されている。

後部サブフレーム７は垂直部7aと、該垂直部7aの上下
で車幅方向へ延出する上部7b、下部7cにより略コ字状に
形成され、上部7b、下部7c先端部分が前記サイドフレー
ム後部3cに固着されている。第２図でも明らかなよう
に、サイドフレーム３は平面視略コ字状を成し、前記サ
ブフレーム５先端側と後部サブフレーム７先端側との間
即ちサイドフレーム３の車体右側には開放部Ｓが形成さ
れる。

前記サイドフレーム３の前部3b上部と下部には夫々前
方へ延出するフロントスイングアームをなす上スイング
アーム９、下スイングアーム11の基部を枢着する。上ス
イングアーム９、下スイングアーム11はもとに基部側が
二股状に形成され、上スイングアーム９は二股状に形成
された基部の左側アーム9aをボルトB1によりサイドフレ
ーム前部3b上部に枢着し、又、右側アーム9bをボルトB2
により前部サブフレーム5aの屈曲部5a1に枢着する。下
スイングアーム11も同様に二股状に形成された基部の左
側アーム11aをボルトB3によりサイドフレーム前部3b下
部に枢着し、右側アーム11bをボルトB4により前部サブ
フレーム5bの屈曲部5b1に枢着する。

前記上スイングアーム９先端にはナックルアーム13の
上部13aを、股下スイングアーム11先端にはナックルア
ーム13の下部13bを夫々枢着し、該ナックルアーム13に
より前輪15の車軸を回転自在に支持して、図示しないハ
ンドルの操作により前輪15を転舵自在に構成する。

一方、サイドフレーム後部3c中間部にはリヤスイング
アーム17の基部を枢着する。該リヤスイングアーム17
は、左右のアーム部17a,17bと、これらを連結するクロ
スメンバー17cとから成り、該リヤスイングアーム17は
左右のアーム部17a,17bの基部をサイドフレーム後部3c
内側及び後部サイドフレーム垂直部7a内側に取付けたホ
ルダー19,21内に挿入するとともにこれらにボルトB5,B6
で枢着する。

23はサイドフレーム３に取付けられるエンジンで、該
エンジンはミッションケースを兼ねるクランクケース25
の前部から前後に向けて夫々２気筒ずつが延出するＶ型
四気筒エンジンである。第３図に示すように前側の気筒
27の後方と後側の気筒29の前方にはキャブレター31,32
を取付け、キャブレター31,32上方にはエアクリーナ34
を配設する。第３図でも明らかなようにキャブレター3
1,32は側面視でサイドフレーム３内に収納される。

斯かるエンジン23のクランクケース25右側部の前端に
は前方へ延出する取付片37を該ケース25と一体的に形成
し、クランクケース25右側部後端の上下には夫々後方へ
延出する取付片39,41を該ケース25と一体的に形成す
る。又クランクケース25左側部の後端の上下には夫々後
方へ延出する取付片43,45を該ケース25と一体的に形成
し、クランクケース25左側部の前端には取付片46を該ケ
ース25と一体的に形成する。更に前側の気筒27の左側に
取付片47,48、又右側に取付片50を夫々取付ける。

斯かるエンジン23は以下のようにしてフレーム１に取
付けられる。

即ち先ずベルトコンベア等に載置されたエンジン23の
側方にフレーム１を位置させ、次にフレーム１をエンジ
ン23に近づけていき、フレーム１の開放部Ｓからエンジ
ン23をフレーム１内に装入し、更に第２図中実線で示す
位置まで、即ちエンジン23が平面視でフレーム１内に位
置し、且つエンジン23の各取付片がフレーム１に当接す
る位置まで装入する。そして、取付片37をボルトB10に
よりブラケット5b2に締着し、同様に取付片39,41をボル
トB12,B13にて後部サイドフレーム垂直部7aの上部、下
部に締着する。又、取付片43,45をボルトB14,B15にてメ
インフレーム後部3cの上部、下部に締着し、更には取付
片46,47,48をボルトB16,B17,B18にてメインフレーム前
部3bに、又取付片50をボルトB19にてブラケット5a2に夫
々締着する。そして斯かる後にスイングアーム9,11,17
をフレーム１に取付ける。

以上のように本実施例によれば、エンジン23をフレー
ム１に取付けるに際し、エンジン23を開放部Ｓを介して
フレーム１の側方よりフレーム１内に装入することがで
きるので、極めて容易にエンジン23をフレーム１に取付
けることができる。又フレーム１はサイドフレーム３、
及び前後のサブフレーム5,7のみで構成するので従来の
ものに比して構造が簡単で且つ重量も軽くなるという利
点がある。又、エンジンの整備等でエンジン23をフレー
ム１から降ろす時は、ボルトをはずすだけで良く整備性
を向上させることができる。

尚、本実施例では本発明を、車体より延出するスイン
グアームで前輪を懸架するレーシングタイプの自動二輪
車に適用した場合に最良の効果を奏するものである。

（発明の効果） 以上述べたように本発明によれば、前後のスイングア
ームを支持するための前後のサブフレームをサイドフレ
ームからその片側の車体幅方向にエンジンの前方または
後方にエンジンを避けて一体に延出したことから、スイ
ングアームの支持剛性の確保とともに、その片フレーム
構成によってフレームが軽量簡易化される。

また、エンジンの着脱に際してサイドフレームの側方
および下方に開放部を確保することが可能となるので、
スイングアーム等の車体の主要構成の分解組立を要する
ことなく、エンジンをその下部で支えつつ、サイドフレ
ームに対してその側方から装架し、また、取り外すこと
が可能となるので、エンジンを容易に着脱することかで
きる。

したがって、本発明のエンジン取付構造は、車体より
延出するスイングアームで前後輪を懸架する自動二輪車
において、両スイングアームの支持剛性を損なうことな
く車体の軽量化と簡易化を図ることができるとともに、
エンジンの整備交換作業の能率向上を図ることができる
という顕著な作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動二輪車のフレームの斜視図、第２図は同平
面図、第３図は第１図のIII矢視図即ちフレームの側面
図、第４図は第３図IV矢視図である。 尚、図面中１は自動二輪車のフレーム（車体フレー
ム）、３はサイドフレーム、3aは基部、3bは前部、3cは
後部、5,7はサブフレーム、９は上スイングアーム（フ
ロントスイングアーム）、11は下スイングアーム（フロ
ントスイングアーム）、17はリヤスイングアーム、23は
エンジン、Ｓは開放部である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体フレームから前方に延出するフロント
   スイングアームで前輪を懸架し、また、車体フレームか
   ら後方に延出するリヤスイングアームで後輪を懸架し、
   上記車体フレームにエンジンを装架する自動二輪車のエ
   ンジン取付構造において、 前記車体フレームは、車体中心線の一側でエンジン上部
   にて車体の前後方向に延出する基部と、エンジンの前部
   にて基部の前端から下方へ延出する前部と、エンジン後
   部にて基部の後端から下方へ延出する後部とを備えるサ
   イドフレームをなし、このサイドフレームの片側に、そ
   の前部からエンジンの前方で車体の幅方向に一体に延出
   する前部サブフレームを設け、この前部サブフレームと
   サイドフレーム前部とによってフロントスイングアーム
   を揺動自在に支持し、同様に、エンジンの後方でサイド
   フレームの後部から一体に後部サブフレームを設け、こ
   の後部サブフレームとサイドフレーム後部とによってリ
   ヤスイングアームを揺動自在に支持することを特徴とす
   る自動二輪車のエンジン取付構造。