JP2520351B2 - 壁面走行用ロボット - Google Patents

壁面走行用ロボット

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JP2520351B2
JP2520351B2 JP4250816A JP25081692A JP2520351B2 JP 2520351 B2 JP2520351 B2 JP 2520351B2 JP 4250816 A JP4250816 A JP 4250816A JP 25081692 A JP25081692 A JP 25081692A JP 2520351 B2 JP2520351 B2 JP 2520351B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ビル,橋梁などの建
造物の壁面あるいは天井面などを走行する壁面走行用ロ
ボットに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、この種の壁面走行用ロボ
ットは、ビル,橋梁,トンネル等の建造物の壁面の清
掃,検査,コーティングなどのように従来は人が危険を
伴いながら行っていた作業に代わって種々利用されるに
至っている。このような壁面走行用ロボットとしては、
特開昭64-5798 号や実開平01-128475 号公報に開示され
るものがある。
【0003】特開昭64-5798 号のものは、壁面走行用ロ
ボットに取り付けた液体ジェット切断装置に関するもの
であるが、ここで使用される壁面走行用ロボットは、ク
ローラ表面に複数の吸盤を形成した1対のクローラ式走
行体によって走行されるもので、この吸盤に発生する吸
引は、コンプレッサから配管を介して圧縮空気が供給さ
れたものをエゼクタの原理で吸盤および壁により形成さ
れた空間に生じさせた負圧による構造である。
【0004】又、実開平01-128475 号のものは、クロー
ラ式壁面移動ロボットの吸着盤の改良に関し、吸着盤に
呼込み用の吸引部を設けたことを特徴とするものである
が、この吸着の吸引をどのようにするかは開示がない
ので定かではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭64-5798 号
に開示のものは、クローラ表面に複数の吸盤を形成した
1対のクローラ式走行体によって走行する形式のもので
あるので、2つのクローラが必要であると共に、この2
つのクローラの間の空間は吸盤が位置していないことか
ら、吸着面が少くなり、その結果吸着力が弱いという問
題点がある。
【0006】又、実開平01-128475 号に開示のものは、
その吸引の形式についての開示がないので、吸引方法に
ついては定かでないが、図面及び明細書の記載から2つ
のクローラを使用していると推測でき、前記と同様の問
題点を有している。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明はこのような問
題点を解決することを目的としてなされたものであっ
て、その手段とするところは、請求項1においては、枠
体の一端側に所定距離を開けて相対向するように別々に
設けた1対の駆動輪と従動輪と、前記枠体の他端側に前
記駆動輪と従動輪の位置を逆にして所定距離を開けて相
対向するように別々に設けたもう1対の駆動輪と従動輪
と、前記枠体の一端側と他端側にそれぞれ別々に且つ互
いに逆の位置に設けた前記2対の駆動輪と従動輪全て
巻回されて回転する1つの回転帯と、該回転帯の外周面
に固定された複数の移動吸着盤と、これら各移動吸着盤
それぞれと真空発生装置とを接続する吸引管と、該吸引
管の配管途中に設けられ前記各移動吸着盤の接壁面時に
前記真空発生装置と接続し離反時に真空発生装置との接
続を切断する制御部とからなる壁面走行用ロボットであ
って、前記制御部が、前記枠体に前記回転帯と同一方向
に同期して回転するように設けられ、周方向に等間隔に
形成され且つ前記各移動吸着盤とそれぞれ接続された複
数の貫通孔を有する制御輪と、該制御輪に摺接して前記
枠体に設けられ、接壁面状態の移動吸着盤と接続された
所定数の貫通孔と連通する吸引貫通孔を有する制御板
と、該制御板に当接して前記枠体に設けられ、前記吸引
貫通孔と連通し且つ前記真空発生装置と接続された吸引
穴部を有する取付板とを備えたところにある。
【0008】請求項2においては、前記枠体の上方にこ
の枠体の面方向に対して略平行な面内で方向転換自在に
支持された回転アームと、該回転アームの両端に設けた
上下動シリンダと、該上下動シリンダに固定した固定吸
着盤と、該固定吸着盤と真空発生装置とを接続する吸引
管と、該吸引管の配管途中に設けられて真空発生装置と
固定吸着盤の接続を入切する切換弁とを具備したところ
にある。
【0009】請求項3においては、前記請求項1の移動
吸着盤の吸引室の底に滑り止め材を固定したことにあ
る。
【0010】請求項4においては、前記請求項2の固定
吸着盤の吸引室の底に滑り止め材を固定したことにあ
る。
【0011】
【作用】請求項1の手段によると、枠体の一端側に相対
向して位置する一対の駆動輪と従動輪とは別々に設けら
れ、軸等で連結されていないので、その間には空間が存
在することになる。同様に、枠体の他端側に相対向して
位置するもう一対の駆動輪と従動輪との間にも空間が存
在することになる。従って、これら2対の駆動輪と従動
全てに巻回されて回転する1つの回転帯の内部空間を
有効に活用することができる。そして、1対の駆動輪と
従動輪に対して、もう1対の駆動輪と従動輪の位置は逆
であるので、2つの駆動輪は、丁度2対の駆動輪と従動
輪が形成する四角形の対角線の位置にあることになる。
従って、相対向して1対となっている駆動輪と従動輪の
間隔距離をそれぞれ大きく開けると共に、回転帯の横巾
を広巾とした場合でも、この回転帯には、正逆いずれの
方向へ回転する時にも常にテンションが得られることに
なる。そのため、この回転帯と壁面との距離は一定に保
たれ、壁面に対する接着性を良好のまま保持することが
できる。又、従来のクローラ型式の左右2つのクローラ
を有するものとは異なり、前記2対の駆動輪と従動輪全
てに巻回された1つの回転帯のみを有し、且つ、この回
転帯の外周面に複数の移動吸着盤を固定したものである
ので、これら移動吸着盤の横巾は駆動輪と従動輪の間
隔距離以上にも拡張して設けることが可能となり、これ
によって壁面との吸着面積の拡大を図ることができ、ひ
いては、該ロボットと壁面の吸着力が大になってその
業能力の拡大を期待できることとなる。そして、各移動
吸着盤それぞれと真空発生装置とを吸引管で接続し、該
吸引管の配管途中に制御部を設けているので、各移動吸
着盤は、回転帯の回転により壁面に接してから離反する
まで連続的に吸引作用を発揮し、離反してから再び壁面
に接するまで連続的に吸引作用を停止することとなる。
又、この制御部は、上記のように構成される複数の貫通
孔を有する制御輪と、吸引貫通孔を有する制御板と、吸
引穴部を有する取付板とを備えているので、真空発生装
置に接続している吸引管を介して取付板の吸引穴部から
吸引した時には、制御板の吸引貫通孔内が吸引され、そ
のためこの吸引貫通孔に位置する制御輪 の所定数の貫通
孔も吸引される。従って、これら所定数の貫通孔に吸引
管を介してそれぞれ接続され且つ壁面と接した状態にあ
る各移動吸着盤も吸引されることになり、この結果、当
該ロボットが壁面に吸着される。ここで、制御輪は前記
回転帯と同一方向に同期して回転し、また貫通孔はこの
制御輪の周方向に等間隔に形成されているので、前記2
つの駆動輪を正又は逆方向に同時回転駆動させて回転帯
を回転させた時には、制御輪が相隣接する貫通孔がなす
角度を回転する毎に、壁面に対する移動吸着盤の吸着部
位及び離反部位が順次、連続的に更新されて当該ロボッ
トを前後進させることができる。このように、制御部は
比較的簡単な構造であるので、吸引作用の制御を確実に
行うことができる。
【0012】請求項2の手段において、当該ロボットの
進行方向転換する際には、まず回転アームの両端に設
けた上下動シリンダを伸長させて固定吸着盤を壁面に
接させる。そして、切換弁を切換えて真空ポンプ等から
なる真空発生装置と固定吸着盤とを接続し固定吸着盤
に負圧を生じさせ壁面に堅固に吸着させる。次いで、
前記移動吸着盤と真空発生装置との接続を切断し、上下
動シリンダを更に伸長させて移動吸着盤を壁面から離反
させた後、ロボット本体を回転アームに対して目的とす
る新たな進行方向へ回転させる。そして、上下動シリン
ダを縮小させて移動吸着盤を壁面に当接させ、真空発生
装置と移動吸着盤を接続してこれら移動吸着盤を壁面に
吸着させる。次いで、切換弁によって真空発生装置と固
定吸着盤との接続を切断した後、上下動シリンダを更に
縮小して固定吸着盤を壁面から離反し回転帯を正又は
逆回転させれば、当該ロボットは目的方向へ進行する。
このように、前記枠体の上方にこの枠体の面方向に対し
て略平行な面内で方向転換自在に支持された回転アーム
等によって、当該ロボットの進行方向へ自在に操作する
ことができる。
【0013】請求項3及び請求項4の手段によると、
記移動吸着盤や固定吸着盤の吸引室の底に滑り止め材を
固定しているので、吸引時において移動吸着盤や固定吸
着盤を構成する部材が収縮したときに、滑り止め
壁面に密着することによって、当該ロボットが壁面より
滑り落ちるを防止できる。
【0014】
【実施例】以下、この発明の実施例に基づいて説
明する。この実施例の壁面走行用ロボット1は、図1に
示すように、枠体2の一端側にこの枠体2の横巾の距離
を開けて相対向するように別々に設けた1対の駆動輪3
と従動輪4と、前記枠体2の他端側に前記1対の駆動輪
3と従動輪4の位置を逆にして相対向するように別々に
設けたもう1対の駆動輪3と従動輪4と、前記枠体2の
一端側と他端側にそれぞれ別々に且つ互いに逆の位置に
設けた前記2対の駆動輪3と従動輪4全てに巻回されて
回転する1つの回転帯5と、該回転帯5の外周面に固定
された複数の移動吸着盤6と、これら各移動吸着盤6そ
れぞれと図外の真空発生装置とを接続する吸引管7と、
該吸引管7の配管途中に設けられ前記各移動吸着盤6の
接壁面時に前記真空発生装置と接続し離反時に真空発生
装置との接続を切断する制御部8とから構成される。
【0015】前記枠体2は矩形状をなし、この枠体
一端側に設けたモータ9から枠体2の一側に設けた駆動
歯車10,第1中間歯車11及び第2中間歯車12を介
して前記駆動輪3を駆動させると共に該駆動輪3と同軸
に設けた前記第2中間歯車12及び第3中間歯車13を
介して制御輪14を駆動させる。又、枠体2の他端側に
設けたモータ9からは、枠体2の他側に設けた駆動歯車
10,第1中間歯車11及び第2中間歯車12を介して
前記もう1つの駆動輪3を駆動させると共に該駆動輪3
と同軸に設けた前記第2中間歯車12及び第3中間歯車
13を介して制御輪14を駆動させる。
【0016】前記回転帯5は、その内周面に形成した噛
合歯型15が前記枠体2の一端側と他端側において、そ
れぞれ相対向するように別々に設けた前記2対の駆動輪
3と従動輪4の歯に噛み合うように巻回されているの
で、回転帯5は両巻回端の異なる側から回転駆動が与え
られる。このため、この実施例のように相対向して1対
となっている駆動輪3と従動輪4の間隔距離をそれぞれ
大きく開けると共に、回転帯5の横巾を広巾とした場合
でも、この回転帯5のテンションは、正逆いずれの回転
時又は回転切換時においても緊張した状態を維持し弛む
ことがないので、壁面走行時において、該ロボット1は
壁面Aに常に密着した状態を持続でき、吸着力の大きい
安定走行ができる。
【0017】前記移動吸着盤6は、図2,図3によく現
われているように、合成ゴムなどの弾性を有する部材か
らなり、中央が凹んだ横長な矩形状をなしており、その
内部は仕切壁16によって複数の吸引室17に分割さ
れ、それぞれの吸引室17は吸引穴18を通じて分岐吸
引管19に接続されている。吸引室17を複数個設ける
理由は、壁面Aの凹凸部を走行する時に吸引漏れが生じ
ても、その漏れを最小限に押えて全体としての吸着力を
落さないようにするためであるが、平坦な壁面Aを限定
して走行する種類のロボットの場合には敢えて吸引室1
7を複数設ける必要はない。このような移動吸着盤6と
回転帯5の接続固定は、突出しているシール面20が外
周方向を向くように且つその長手方向が回転帯5の巾方
向を向くようにして、ねじなどによって回転帯5に固定
する。移動吸着盤6の長手方向の長さを回転帯5の巾方
向の長さ以上とした場合には、その両端は、2対の駆動
輪3と従動輪4の上方を移動するようになるので、駆動
力が伝達し易く、且つ、壁面Aへの押えも強くなるので
好ましい。吸着力を更に強めるためには、回転帯5の巾
方向を越えて長くする程よい。
【0018】更に移動吸着盤6は、図3によく表われて
いるように、前記吸引室17の底21に木などの材質か
らなる滑り止め材22を固定していると共に該滑り止め
材22と、底21の裏面に固定した支え板23及び回転
帯5を貫通して吸引穴18が開口し、この吸引穴18が
分岐吸引管19と接続されている。1つの移動吸着盤6
の各々の吸引室17は、1つの移動吸引管24から分岐
された前記分岐吸引管19と接続されており、この分岐
吸引管19の移動吸引管24と吸引室17の途中には安
全弁25が設けられて、吸引室17の圧力が所定圧以上
になった時には自動的に吸引を止めるようになっている
ので、吸引室17の1つまたは複数が壁面Aの凹凸状況
によって壁面Aとの間に隙間が生じて大量の空気を吸引
するような時には直ちにその吸引室17からの吸引を中
止して真空発生装置の負担を少なくし、且つ、他の吸引
室17の吸引力を弱めないようにしている。
【0019】又、前記1つの移動吸引管24は、1つの
移動吸着盤6に対応しているが、その他端は前記制御輪
14に形成した貫通孔26に接続されている。この実施
例では、同心円上に9個の貫通孔26を有する制御輪1
4が枠体2の両側に相対向して2つ設けられているの
で、合計18個の貫通孔26及びこれに接続する18本
の移動吸引管24を有している。そして、それぞれの移
動吸引管24は1つの移動吸着盤6に対応しているの
で、移動吸着盤6の数も18個になっている。更に、枠
体2の一側に設けた制御輪14の9個の貫通孔26と他
側に設けた制御輪14の9個の貫通孔26は、移動吸引
管24を介してそれぞれ1つ置きに交互に18個の移動
吸着盤6と接続されているので、万一、一方の制御輪1
4からの吸引が止んだ時でも、他方の制御輪14からの
吸引により少くとも壁面Aに接している半分の移動吸着
盤6の吸引はできるので、当該ロボット1は壁面Aから
外れ落ちないようになっている。
【0020】前記相対向する2つの制御輪14は、前記
歯車機構によって同一方向に同速度で回転するようにな
っているが、安全のために両端を枠体2に回転自在に支
持された軸27にそれぞれ固定されて強制的にも同一方
向、同速度に回転できるようにもなっている。更に、こ
の2つの制御輪14と回転帯5の回転方向は同方向で且
つ制御輪14が回転すると回転帯5も1回転するように
同期しているのに加えて、相向い合う駆動輪3と従動輪
とは別々に設けられ、その間には軸が存在しないこ
とから、各々の制御輪14の貫通孔26と移動吸着盤6
を接続する18本の移動吸引管24同は互いにもつれ
ることなく回転移動する。このように、駆動輪3と従動
輪4を別々に設けることにより、回転帯5の内部空間を
有効に活用できるようになっている。
【0021】又、前記制御輪14の移動吸引管24を接
続した反対側面すなわち外側面には、前記制御輪14の
貫通孔26と同心状となるように円弧状の吸引貫通孔2
8を形成した制御板29が制御輪14に摺接して枠体2
に設けられると共に、更にこの吸引貫通孔28と連通す
る吸引穴部30を有する取付板31が制御板29と接す
るようにして枠体2にビス32等によって固定されてい
る。従って、この吸引穴部30の制御板29と反対側か
ら真空発生装置に接続している吸引管7を介して吸引し
た時には、円弧状の吸引貫通孔28内も吸引されるの
で、この吸引貫通孔28に位置する制御輪14の3つの
貫通孔26も吸引され、従って、この3つの貫通孔26
と接続している3本の移動吸引管24及びこれと接続し
ている3個の移動吸盤6も吸引され、この結果、当該
ロボット1が壁面Aに吸着されるのである。前記取付板
31,制御板29及び制御輪14は各々相向い合う位置
に2つあるので、合計6個の移動吸着盤6が壁面Aに常
時位置するように設置され、且つ、この位置にある時に
同時に真空発生装置から吸引されるように、円弧状の吸
引貫通孔28が形成されているのである。従って、前記
した制御部8は、制御輪14,制御板29及び取付板3
1からなるものである。
【0022】尚、前記真空発生装置は、真空ポンプであ
っても圧縮空気を供給してエゼクタの原理で吸引する形
式のもののいずれであってもよい。又、この真空発生装
置の設置場所は壁面Aを形成する建造物の屋上などの高
所であっても、地上であっても、更には当該ロボット1
に積載していてもよい。高所に設置した場には、真空
発生装置と当該ロボット1の間が吸引管7で接続される
ので、万一、移動吸着盤6の吸引力が著るしく低下し当
該ロボット1を壁面Aに吸着できなくなった場合でもこ
の吸引管7を命綱の代りに利用して落下を防止できる利
点が生ずる。
【0023】以上の基本構成からなるこの壁面走行用ロ
ボット1を建造物の壁面Aに沿って進行させる場合に
は、最初は壁面Aに壁面走行用ロボット1の下方に位置
する6つの移動吸着盤6のシール面20を壁面Aに当接
して、図外の真空発生装置と接続するだけでよい。する
と、吸引管7から2つの取付板31の吸引穴部30、2
つの制御板29の円弧状の吸引貫通孔28、この2つの
吸引貫通孔28にそれぞれ位置している2つの制御輪1
4の合計6つの貫通孔26及び該6つの貫通孔26と移
動吸引管24を通じて接続され壁面Aに接している6つ
の移動吸着盤6が吸引されるので、移動吸着盤6の吸引
室17が減圧され、シール面20と壁面Aとが密着状態
を維持し、壁面走行用ロボット1が壁面Aから落下しな
い。又、吸引室17の底21に木などの材質からなる滑
り止め材22を固定した場合には、吸引時において移動
吸着盤6が収縮した時に、この滑り止め材22が壁面A
に密着し、壁面Aとの摩擦力を増大させて、当該ロボッ
ト1が壁面Aから滑り落ちにくくなる利点が生ずる。
尚、移動吸着盤6に複数の吸引室17を設けた場合に
は、この個々の吸引室17から吸引するため、移動吸引
24から分岐した分岐吸引管19が吸引穴18を通じ
て吸引室17と接続される。
【0024】次に、壁面走行用ロボット1を走行させる
場合には、真空発生装置に接続する吸引管7と一緒に束
ねられるなどして電源に接続されている電線に通電して
2つのモータ9を同時に正又は逆方向に駆動させること
によって、2つの駆動輪3を同時回転駆動させて、回転
帯5を回動させる。これによって、回転帯5と同期して
いる2つの制御輪4も同時に回転するので、制御板29
の円弧状の吸引貫通孔28には壁面Aに新しく接壁面し
た移動吸着盤6の移動吸引管24を接続した制御輪14
の貫通孔26が位置し、これによって吸引力が新たに与
えられる。同時に、壁面Aから離れる移動吸着盤6の移
動吸引管24を接続した制御輪14の貫通孔26は吸引
貫通孔28から外れるので吸引しなくなる。このよう
に、次々と接壁面する移動吸着盤6からは吸引し、離反
する移動吸着盤6には吸引を止める制御を制御部8を通
じて行わせしめることで、前後進できるようになってい
る。
【0025】以上のような構成の壁面走行用ロボット1
の枠体2には、使用用途に応じて、壁面Aの塗装装置,
清掃装置,検査装置,コーティング装置などを固定して
作業を行うが、このような作業は壁面走行用ロボット1
が単に前後進する以外にも作業途中で方向転換できる
と、その作業能率が著るしく向上するため、方向転換用
の装置を具備している。
【0026】この方向転換用の装置は、図1,図2に示
すように、枠体2の上方に固定アーム33を介して、モ
ータ34及び歯車35,36によって前記枠体2の面方
向に対して略平行な面内で方向転換自在に支持された回
転アーム37と、該回転アーム37の両端に設けた上下
動シリンダ38と、該上下動シリンダ38のロッド39
に固定した固定吸着盤40と、該固定吸着40と図外
の真空発生装置を接続する吸引管7と、該吸引管7の配
管途中に設けられて真空発生装置と固定吸着盤40との
接続を入切する図外の切換弁とを具備している。
【0027】前記上下動シリンダ38はシリンダ内を吸
引することで上下方向にロッド39をコントロールでき
るように吸引管7と接続されている。又、前記固定吸着
盤40は移動吸着盤6と同じ構成をなし、両方の固定吸
着盤40にはそれぞれ1本の吸着管7が接続されると共
に、該吸引管7は分岐して複数の分岐吸引管41とな
り、これら分岐吸引管41は固定吸着盤40を区切って
形成した吸引室42とそれぞれ接続している。そして、
吸引管7と各吸引室42の間の分岐吸引管41には安全
弁43が設けられ、吸引室42の1つが壁面Aの凹凸状
況によって壁面Aとの間に間隙が生じて大量の空気を吸
引する時には当該吸引室42からの吸引も中止して、真
空発生装置の負担を少くし、且つ、他の吸引室42の吸
引力を弱めないようにしている。
【0028】このような方向転換用の装置によって、当
該ロボット1の進行方向を変える時には、回転アーム3
7の両端に設けた上下動シリンダ38を伸長させて固定
吸着盤40を壁面Aに当接させ、次いで図外の切換弁を
切換えて真空発生装置と吸引管7,分岐吸引管41を介
して接続した固定吸着盤40の各吸引室42に負圧を生
じさせて、固定吸着盤40を壁面Aに堅固に吸着させて
から、移動吸着盤6と真空発生装置の接続を切って上下
動シリンダ38のロッド39を更に伸長させて6つの移
動吸着盤6を壁面Aから離反させ、その後に、当該ロボ
ット1を回転アーム37に対して新しく進行しようとす
る方向へ回転させる。このとき、モータ34を駆動させ
ることによって、2つの歯車35,36に回転力が伝わ
って回転する。次に、上下動シリンダ38のロッド39
を縮小させて6つの移動吸着盤6を壁面Aに当ててから
真空発生装置と移動吸着盤6を接続して吸着力を生じさ
せて壁面Aに吸着させてから、切換弁によって真空発生
装置と固定吸着盤40との接続を切断し、その後、上下
動シリンダ38のロッド39を更に縮小して固定吸着盤
40を壁面Aから離反し、以後は2つのモータ9を駆動
させて回転帯5を正又は逆回転させることによって、目
的方向進行させる。
【0029】尚、図4に示すように、移動吸着盤6の底
21及び支え板23の端を延長した端部を、枠体2に固
定した押え板44で回転帯5の方向へ圧接するようにし
ておけば、壁面Aに吸着している移動吸着盤6のうち特
に壁面Aの上方位置にあるものが壁面Aから離反する方
向へ大きな力が作用した場合でも、この押え板44によ
ってその力を他の移動吸着盤6に分散することができる
ので、剥れにくくなる利点が生ずる。この場合、延長し
た端部と押え板44の間に生じる摩擦力を緩和する
にフラットベアリング45を介在させることが望まし
い。
【0030】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、この
発明の壁面走行用ロボットは、枠体の一端側に所定距離
を開けて相対向するように別々に設けた1対の駆動輪と
従動輪と、枠体の他端側に前記駆動輪と従動輪の位置を
逆にして相対向するように別々に設けたもう1対の駆動
輪と従動輪の、2対の駆動輪と従動輪全てに巻回されて
回転する1つの回転帯に、複数の移動吸着盤を取付けて
構成したので、前記回転帯は、巻回される両方からの駆
動力を得ることができる。従って、相対向して1対とな
っている駆動輪と従動輪の間隔距離をそれぞれ大きく開
けると共に、回転帯の横巾を広巾とした場合でも、この
回転帯には、正逆いずれの方向へ回転する時にも常にテ
ンションが得られ、より確実に安定した走行を得ること
ができる。又、2対の駆動輪と従動輪とはそれぞれ別々
に設けられ、軸等で連結されていないので、これら全て
に巻回された1つの回転帯の内部空間を、各移動吸着盤
それぞれと真空発生装置とを接続する吸引管の配管等、
有効に活用することできる。
【0031】又、回転帯は1つで且つこの外周面に移動
吸着盤を固定するようにしたので、移動吸着盤の接壁面
の面積を多く取ることができ、この結果、壁面に対する
吸着力が高くなり、多くの作業用装置を積載できる利点
がある。さらに、制御部により、各移動吸着盤が壁面か
ら離反している間は連続的に吸引作用を停止し、壁面に
接している間は連続的に吸引作用を発揮するようにした
ので、各移動吸着盤の吸引作用を効率良く発揮させるこ
とができ、壁面に対する吸着力を高い状態のまま維持で
きる利点がある。そして、この制御部は、上記のように
構成される貫通孔を有する制御輪と、吸引貫通孔を有す
る制御板と、吸引穴部を有する取付板とを備えると共
に、前記制御輪は前記回転帯と同一方向に同期して回転
し、貫通孔はこの制御輪の周方向に等間隔に形成されて
いるので、前記2つの駆動輪を正又は逆方向に同時回転
駆動させて回転帯を回転させた時には、制御輪が相隣接
する貫通孔がなす角度を回転する毎に、壁面に対する移
動吸着盤の吸着部位及び離反部位が順次、連続的に更新
されて当該ロボットを前後進させることができる。この
ように、制御部は比較的簡単な構造であるので、吸引作
用の制御を確実に行うことができる。
【0032】更に、枠体の上方にこの枠体の面方向に対
して略平行な面内で方向転換自在に支持された回転アー
ムと、この回転アームの両端に設けた上下動シリンダ及
び該上下動シリンダに固定した固定吸着盤によって、ロ
ボットの進行方向を自在に転向することができるので、
作業の能率がより一層向上する利点がある。
【0033】更に又、移動吸着盤や固定吸着盤の吸引室
の底に滑り止め材を設けた時には、尚一層、摩擦力が増
して、当該ロボットの壁面の滑りを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の全体斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】制御部の要部分解説明図。
【図4】図1のB−B線一部省略断面説明図。
【図5】制御輪と枠体の取付部分の拡大説明図。
【図6】走行状態説明図。
【符号の説明】
1 壁面走行用ロボット 2 枠体 3 駆動輪 4 従動輪 5 回転帯 6 移動吸着盤 7 吸引管 8 制御部 22 滑り止め材 37 回転アーム 38 上下動シリンダ 40 固定吸着盤

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 枠体の一端側に所定距離を開けて相対向
    するように別々に設けた1対の駆動輪と従動輪と、前記
    枠体の他端側に前記駆動輪と従動輪の位置を逆にして所
    定距離を開けて相対向するように別々に設けたもう1対
    の駆動輪と従動輪と、前記枠体の一端側と他端側にそれ
    ぞれ別々に且つ互いに逆の位置に設けた前記2対の駆動
    輪と従動輪全てに巻回されて回転する1つの回転帯と、
    該回転帯の外周面に固定された複数の移動吸着盤と、
    れら各移動吸着盤それぞれと真空発生装置とを接続する
    吸引管と、該吸引管の配管途中に設けられ前記各移動吸
    着盤の接壁面時に前記真空発生装置と接続し離反時に真
    空発生装置との接続を切断する制御部とからなる壁面走
    行用ロボットであって、 前記制御部が、前記枠体に前記回転帯と同一方向に同期
    して回転するように設けられ、周方向に等間隔に形成さ
    れ且つ前記各移動吸着盤とそれぞれ接続された複数の貫
    通孔を有する制御輪と、該制御輪に摺接して前記枠体に
    設けられ、接壁面状態の移動吸着盤と接続された所定数
    の貫通孔と連通する吸引貫通孔を有する制御板と、該制
    御板に当接して前記枠体に設けられ、前記吸引貫通孔と
    連通し且つ前記真空発生装置と接続された吸引穴部を有
    する取付板とを備えたことを特徴とする壁面走行用ロボ
    ット
  2. 【請求項2】 前記枠体の上方にこの枠体の面方向に対
    して略平行な面内で方向転換自在に支持された回転アー
    ムと、該回転アームの両端に設けた上下動シリンダと、
    該上下動シリンダに固定した固定吸着盤と、該固定吸着
    盤と真空発生装置とを接続する吸引管と、該吸引管の配
    管途中に設けられて真空発生装置と固定吸着盤の接続を
    入切する切換弁とを具備したことを特徴とする請求項1
    に記載の壁面走行用ロボット。
  3. 【請求項3】 前記移動吸着盤の吸引室の底に滑り止め
    材を固定したことを特徴とする請求項1に記載の壁面走
    行用ロボット。
  4. 【請求項4】 前記固定吸着盤の吸引室の底に滑り止め
    材を固定したことを特徴とする請求項2に記載の壁面走
    行用ロボット。
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