JP2520256Y2 - 養生クランプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、建築現場の足場に取り
付ける養生枠や防音パネルを支持する養生クランプに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、市街地における高層建築
工事においては、高所作業の安全を図るために、パイプ
で足場を組むばかりでなく、フレームにエキスパンドメ
タルやパネルを張った養生枠や防音パネルを足場のパイ
プに取り付け、足場の殆ど全面を覆い隠している。養生
枠や防音パネルを足場のパイプに取り付けるには養生ク
ランプと呼ばれている金具が使用されており、この養生
クランプは、パイプに止着するクランプ本体にＬ字状の
軸を取り付け、この軸に養生枠や防音パネルを引っ掛け
て支持する構造である。そして、従来の養生クランプに
おいては、軸の基端をクランプ本体に溶接で固定した
り、或は軸の基端をクランプ本体の止着孔にカシメるこ
とにより固定していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、養生ク
ランプは、建築作業が開始される時点で足場のパイプに
取り付けられ、建築作業が終了すれば取り外されるとい
う類の金具なので、取付作業と取外し作業が繰り返し行
なわれる。そして、この取付作業、取り外し作業は、建
設現場という特殊性があるので取り扱いが他の作業現場
に比較して荒く、養生クランプ自体を投げ渡したり或は
他の物を搬送する際に当って軸に大きな衝撃が加えられ
ることも少なくない。このため、溶接により軸を止着し
た養生クランプは、衝撃によって軸が脱落するトラブル
が発生する。また、軸を単にカシメ止めしただけの養生
クランプは、大きな衝撃を受けたときにカシメが緩んで
しまい、軸がクランプ本体に対して回動可能になってし
まう場合がある。いずれの場合も養生枠や防音パネルを
安全に支持することができないので、この様なトラブル
が発生した養生クランプは危険で使用することができな
い。このため、軸の止着強度が高く、しかも製造が容易
な養生クランプの開発が望まれていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は上記に鑑み提案
されたもので、足場を構成するパイプに止着するクラン
プ本体と、該クランプ本体に基端を固定した略Ｌ字状の
支持軸と、を有し、養生枠や防音パネルの係合孔内に上
記支持軸を挿通して養生枠や防音パネルを支持する養生
クランプにおいて、クランプ本体に止着する支持軸の一
端に鍔部を形成するとともに該鍔部に隣接させてカシメ
代となる太径部を形成し、該太径部の鍔部寄り周面に鍔
部側から支持軸の他端側に向かって次第に高さが減少す
る突部を複数形成し、クランプ本体に開設する支持軸用
止着孔の内径を上記突部の頂部を結ぶ仮想円の径よりも
小径に設定し、支持軸をクランプ本体よりも硬質とし、
上記支持軸の一端をクランプ本体の支持軸用止着孔にカ
シメ加工により止着したものである。

【０００５】

【作用】支持軸をクランプ本体の支持軸用止着孔に通し
てカシメ加工すると、太径部が潰れて鍔部とともに止着
孔の開口縁を強固に挟み付けるだけでなく、突起が開口
縁に食い込む。したがって、支持軸を回動する力が作用
しても、開口縁に食い込んだ突起が支持軸の回動を阻止
する。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説
明する。養生クランプ１は、図１および図２に示すよう
に、第１クランプ本体２ａと第２クランプ本体２ｂとを
端部で軸３により回動可能な状態で軸着し、第１クラン
プ本体２ａの側面部４に略Ｌ字状の支持軸５，５の基端
を止着し、第１クランプ本体２ａの自由端にクランプネ
ジ６の基端を軸着してなる。なお、図中、７は足場を構
成するパイプであり、８は養生クランプ１の支持軸５に
より支持した養生枠や防音パネルであり、９は支持軸５
を挿通するために養生枠や防音パネル８のフレーム８′
に開設した係合孔である。

【０００７】第１クランプ本体２ａは、例えばＳＳ４１
など支持軸５よりも軟質な金属板を屈曲成形してなり、
平坦な側面部４には支持軸５，５を挿通する支持軸用止
着孔１０，１０を所定のピッチで開設し、図２に示すよ
うに、内側縁部には足場のパイプ７よりも少し大きな径
の略半円形の凹部１１を形成してある。また、第２クラ
ンプ本体２ｂと軸着される一端には軸３を通す孔１２，
１２を上下に開設し、他端にはクランプネジ６を軸着す
るための孔１３，１３を開設する。したがって、孔１
３，１３に通した軸１４によりクランプネジ６を軸着す
ると、このクランプネジ６は、軸１４を中心にして自由
に回動することができる。

【０００８】第２クランプ本体２ｂは、第１クランプ本
体２ａと同様に金属板を屈曲成形してなり、第１クラン
プ本体２ａと軸着される一端には軸３を通す孔を開設
し、他端にはクランプネジ６を通す略Ｕ字状の係合部１
５を形成し、第１クランプ本体２ａに対向する内側縁部
にはパイプ７よりも少し大きな径の凹部１６を形成して
ある。

【０００９】したがって、この第２クランプ本体２ｂの
一端を第２クランプ本体２ｂに軸着すると、係合部１５
を設けた自由端側を自由に開閉することができる。そし
て、第１，第２クランプ本体２ａ，２ｂの自由端側を開
いた状態でパイプ７に嵌め付けてからクランプネジ６を
第２クランプ部材の係合部１５内に係合し、螺合したナ
ット１７を締め付けると第１，第２クランプ本体２ａ，
２ｂの凹部１１，１６がパイプ７を挟み付けてクランプ
本体２をパイプ７に対して強固に止着することができ
る。

【００１０】上記した構成からなるクランプ本体２に固
定する支持軸５は、例えばＳＷＣＨ８Ｒなど第１クラン
プ本体２ａの材質よりも硬質な金属棒からなり、第１ク
ランプ本体２ａの止着孔１０，１０内に通して基端をカ
シメ加工によって固定する。この支持軸５には、図３に
示すように、予め一端に鍔部１８を形成するとともに該
鍔部１８に隣接させてカシメ代となる太径部１９を形成
し、該太径部１９の鍔部１８寄りの周面に小さな突部２
０…を位相を変えてほぼ同じ間隔で複数形成しておく。
本実施例では１２０度位相を変えて３つ形成してあり、
各突部２０は、鍔部１８側から支持軸５の他端側に向か
って次第に高さが減少する略三角形のリブ状であり、底
辺の長さ、即ち軸方向の長さは第２クランプ本体２ｂの
板厚とほぼ同じ長さに設定し、頂部の高さは鍔部１８の
外周縁とほぼ同じ高さに設定してある。

【００１１】なお、上記した突部２０は、鍔部１８の外
周縁よりも低くてもよいし、底辺の長さも止着孔１０の
開口縁に食い込み得る長さであれば更に長くてもよい。

【００１２】また、支持軸５の端部に鍔部１８、太径部
１９、および突部２０…などを一体成形するには、素材
となる線材を所定の長さに切断してから、この線材の端
部を鍛造加工する。この鍛造加工により突部２０…を形
成すると、鍛流線が突部２０の外形に沿って連続してい
るので、突部２０自体の機械的強度が高まり、後述する
カシメ加工の際に止着孔１０の開口縁に食い込み易くな
る。

【００１３】この様な支持軸５，５を挿通する第１クラ
ンプ本体２ａの支持軸用止着孔１０，１０は、内径を上
記突部２０…の頂部を結ぶ仮想円の径よりも小径に設定
してあり、本実施例では太径部１９と同じ寸法に設定し
てある。なお、鍔部１８と反対側の太径部１９の先端周
面にテーパーを付けて、止着孔１０内に入り易くしてお
くことが望ましい。

【００１４】上記した構成からなる支持軸５を第１クラ
ンプ本体２ａの支持軸用止着孔１０内に挿通してカシメ
加工すると、まず、太径部１９が止着孔１０内に隙間な
く嵌合し、更に加圧すると、支持軸５の硬度が第１クラ
ンプ本体２ａの硬度よりも高いので、突部２０が止着孔
１０の開口縁に食い込んでいく。そして、十分に加圧す
ると、図５に示すように、鍔部１８の内側の面が止着孔
１０の開口縁外側に圧接するとともに、カシメ代である
太径部１９が潰れて拡大した部分１９′が止着孔１０の
開口縁内側に圧接する。したがって、支持軸５の基端が
第２クランプ本体２ｂの止着孔１０に固定される。

【００１５】この様にして支持軸５，５の基端をクラン
プ本体２に固定すると、この支持軸５，５は、単にカシ
メによる締め付け固定力ばかりでなく、突部２０…が各
止着孔１０の開口縁に食い込んで回動されることを阻止
されている。したがって、支持軸５に大きな衝撃力が加
えられても、例えば図１に示す支持軸５の上端に横方向
の衝撃力を受けて基端を中心にして支持軸５を回すよう
な力（図面に交差する方向の力）が作用しても、支持軸
５が基端部分を中心にして回されることがない。

【００１６】なお、上記した実施例は直線上に隣接する
養生枠や防音パネル８，８を支持するための養生クラン
プ１なので支持軸５，５を第１クランプ本体２ａの同一
側面部４に並べて止着したが、支持軸５，５を止着する
位置を変更すれば、例えば、図６に示すように、第１ク
ランプ本体２ａの直交する側面部４ａ，４ｂにそれぞれ
支持軸５，５を止着すればコーナー用養生クランプ１′
として使用することができる。

【００１７】

【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、支
持軸の基端に突設した突起がクランプ本体の支持軸用止
着孔の開口縁に食い込むので、大きな衝撃力を受けたと
しても支持軸が回動するようなトラブルを防止すること
ができ、安全性と耐久性に優れた養生クランプを提供す
ることができる。また、本考案は、支持軸の基端に突起
を突設し、支持軸の材質をクランプ本体よりも硬質にす
るだけなので、製造が容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】パイプに止着した状態における養生クランプの
側面図である。

【図２】養生クランプの平面図である。

【図３】Ｌ字状に屈曲する前の支持軸の正面図である。

【図４】図３に示す支持軸の右側面図である。

【図５】支持軸をクランプ本体の止着孔に固定した状態
を示す断面図である。

【図６】コーナー用養生クランプの平面図である。

【符号の説明】

１ 養生クランプ ２ クランプ本体 ５ 支持軸 ６ クランプネジ ７ 足場を構成するパイプ ８ 養生枠や防音パネル ９ 養生枠や防音パネルの係合孔 １０ 支持軸用止着孔 １５ クランプネジ用の係合部 １８ 鍔部 １９ 太径部 ２０ 突部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 足場を構成するパイプに止着するクラン
   プ本体と、該クランプ本体に基端を固定した略Ｌ字状の
   支持軸と、を有し、養生枠や防音パネルの係合孔内に上
   記支持軸を挿通して養生枠や防音パネルを支持する養生
   クランプにおいて、 クランプ本体に止着する支持軸の一端に鍔部を形成する
   とともに該鍔部に隣接させてカシメ代となる太径部を形
   成し、該太径部の鍔部寄り周面に鍔部側から支持軸の他
   端側に向かって次第に高さが減少する突部を複数形成
   し、クランプ本体に開設する支持軸用止着孔の内径を上
   記突部の頂部を結ぶ仮想円の径よりも小径に設定し、支
   持軸をクランプ本体よりも硬質とし、上記支持軸の一端
   をクランプ本体の支持軸用止着孔にカシメ加工により止
   着したことを特徴とする養生クランプ。