JP2518159Y2 - ジャケット護岸 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、建設残土，産業廃棄物等を埋め立て人工
島を造成する上で、埋め立て材が浸み出さず、周りの水
域を汚染することなく、かつプレハブ施工可能とした鋼
材製のジャケット護岸に関する。

〔従来の技術〕

従来鋼製護岸としては、例えば特公昭56−1405号公報
にあるように、前部管柱及び後部管柱を横方向に連結し
て構成した多数の構成枠体が、水底の軟弱地盤に間隔を
おいて多数立設され、かつ前部管柱および後部管柱内に
前部支持杭及び後部支持杭が挿通されて打ち込まれ、前
部管柱列と後部管柱列との間において、中間支持杭が打
設されるとともに床板コンクリートが打設され、さらに
左右方向に隣り合う多数の管柱の継手と多数の鋼矢板の
継手とが相互に嵌合されて矢板壁が構成され、前記床板
コンクリートの上には、中詰め材または裏込め材等の充
填材が載置されている。

〔考案が解決しようとする課題〕 前記従来の鋼製護岸の場合は、締切壁体を構成する鋼
管矢板の継手が、一重構造であるため止水性が十分でな
く、埋立材からの浸出水による周りの水域汚染の心配が
あった。

また直立状の締切壁の前面に特別の消波機能を備えて
いないため、波を受けた場合反射波を生じ、前面を航行
する船舶が転覆する危険性があった。

本考案は、プレハブ化したジャケットを用いた鋼製護
岸において、止水性を高めるとともに剛性を高めた締切
壁とし、かつ護岸前面に生ずる反射波を低減させること
を目的としたジャケット護岸を提供する。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成する本考案は、前部管柱４と後部管柱
とを連結材８で連結してプレハブ化した多数のジャケッ
ト１を水底地盤上に所定間隔をおいて横方向に多数立設
し、かつ前部管柱４と後部管柱５内には支持杭３を挿通
して地中に打ち込み固定し、前部管柱４側の前面には水
面近傍に消波板６を設け、後部管柱の左右側面にはそれ
ぞれ前後方向に間隔をおいて継手を固着し、この継手に
嵌合して打ち込まれた二重板締切壁２の少なくとも継手
を含む壁体内部に止水性を有する中詰め材９を充填して
構成したジャケット護岸である。

〔作用〕

締切壁２の構造を二重板締切壁とし、継手部内に止水
用の中詰め材を充填しているから、継手部からの漏水を
防止できるとともに、壁体の剛性を高めることができ
る。さらに前面側に消波板６を設けることにより、入射
してきた波のエネルギーを消費させ、前面側に反射する
波高を小さくする。

また後部管柱５と前部管柱４との間の水中は、前部管
柱４や多数のジャケット連結材８等が存在するため、魚
類の謂集効果が期待できる。

〔実施例〕

次に考案の実施例を図面により詳細に説明する。

第１図ないし第４図は、この考案の第１の実施例を示
す図面である。

第１図はジャケット構造の１ユニットを示す斜視図で
あり、多数のジャケット１のユニットが護岸法線方向に
多数立設される。その構造は、頂部が埋立側に傾斜した
前部管柱４と、鉛直な後部管柱５が連結材８および支持
材７で結合されて構成されたジャケット１の、後部管柱
５の左右側面には締切壁２を取り付けるための継手2e,2
fがそれぞれ前後方向に間隔をおいて溶接固着されてい
る。その継手2e,2fに、第１（ａ）図に示すような雄継
手2cを有する２重締切壁2aを挿通し、ついで、第１
（ｂ）図に示すような雌継手2dを有する２重締切壁2bを
挿通し、順次これを繰り返し連続した二重板の締切壁２
を築造する。

また前部管柱４および後部管柱５には、支持杭３を挿
通してこれを打ち込み、水底に固定する。また二重締切
壁２は間隔をおいて配置した鋼板の左右端に継手を有
し、中央部に仕切り板を設けている。

ジャケット１構造の前面側には静穏水域を創造するた
め消波板６を設けている。消波板６は実施例に示すよう
なスリット10入りのコンクリート板を用いた場合は、潮
位を考慮した水面の上下にわたって波高をカバーするよ
うに、ジャケット前部管柱４に固定した支持材７に取り
付けるが、この他、傾斜板や水平板を用いてもよい。

第２図は完成したジャケット護岸の横断面図である。
ジャケット１は前部管柱４と後部管柱５の中に支持杭３
を打ち込み、管柱4,5と支持杭３の隙間にはモルタル等
のグラウト材を注入するか、または支持杭３と管柱4,5
間は頭部で溶接して連結して水底に固定されている。ま
た後部管柱５を結ぶ法線には、２重板の締切壁２を嵌合
し、構造的に安定なだけ十分な根入れを有するまで打設
され、水底に固定されている。

さらにジャケット１頭部にはコンクリート底版11が打
設され、締切壁２の背面には埋立土12が投入されてい
る。なおこの実施例では、前部管柱４は傾斜しており、
支持杭３も斜杭となっているが、これを鉛直にしてもか
まわない。

第３図は第２図のＡ−Ａ断面を示し、後部管柱５の雌
継手2dに雄継手2cを有する締切壁2aを、さらに雌継手2d
を有する締切壁2bを順次交互に挿入・打設し、連続壁構
造とし、締切壁２の止水性を高めるため継手を含む壁体
空隙内にコンクリート等の止水性を有する中詰め材９を
充填している。なお、締切壁２、後部管柱５の継手は雌
雄逆にしても、また締切壁の一端に雌、他端に雄の継手
を設けてもよい。

第４図には消波板６側の正面図を示している。消波板
６はジャケット１の水面近傍に配置した支持材７にボル
ト等で取付けてある。消波板６としては実施例に示すス
リット10入りコンクリート板の他、鉄板および両者の複
合構造板等でもよく、また傾斜板や水平板方式にしても
よい。

第５図は他の実施例の締切壁２を用いたジャケット１
の水平断面図である。本実施例では、二重締切壁として
鋼管13の左右側面に間隔をおいて、２列の雌継手2dを固
着した締切壁体相互、または後部管柱５間に設けた雌継
手2e,2f内にＩ形鋼14を挿入接続している。この場合も
少なくともＩ形鋼14と継手で囲まれる空隙内にコンクリ
ート等の中詰め材９を充填し、締切壁の止水性を確保し
ている。なお締切壁の断面剛性高めるため、締切壁に用
いた鋼管13内にもコンクリート等を充填してもよい。

〔考案の効果〕

本考案によれば、埋め立て用に護岸構造としてプレハ
ブ化したジャケットを用いているので、構築作業を短工
期にできる他、護岸前面に消波板を設けているので護岸
前面の反射波を低減でき、さらに締切壁を二重構造と
し、継手を含む壁体内に止水性を有する中詰め材を充填
しているので十分な止水性が得られ、埋立土からの有害
成分等を漏出させず海洋を汚染させない。また締切壁は
二重壁構造としているため剛性が高まり、大深度護岸に
も適用でき、さらに、ジャケット構造内空間には前部管
柱、後部管柱、連結材が存在するため魚類の謂集効果も
期待できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はジャケット構造の１ユニットを示す斜視図、第
１図（ａ），第１図（ｂ）はそれぞれ二重締切壁の斜視
図、第２図は完成したジャケット護岸の横断面図、第３
図は第２図のＡ−Ａ部断面図、第４図はジャケットの消
波板側の正面図、第５図は他の実施例の締切壁を用いた
ジャケットの水平断面図である。 １…ジャケット、２…二重板締切壁、2c…雄継手、2d…
雌継手、３…支持杭、４…前部管柱、５…後部管柱、６
…消波板、７…支持材、８…連結材、９…中詰め材、10
…消波板のスリット、11…コンクリート床版、12…埋立
土、13…締切壁用の鋼管、14…Ｉ形鋼。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前部管柱４と後部管柱５とを連結材８で連
   結してプレハブ化した多数のジャケットを水底地盤上に
   所定間隔をおいて横方向に多数立設し、かつ前部管柱と
   後部管柱内には支持杭３を挿通して地中に打ち込み固定
   し、前部管柱４側の前面には水面近傍に消波板６を設
   け、後部管柱の左右側面にはそれぞれ前後方向に間隔を
   おいて継手を固着し、この継手に嵌合して打ち込まれた
   二重板締切壁２の少なくとも継手を含む壁体内部に止水
   性を有する中詰め材を充填して構成したことを特徴とす
   るジャケット護岸。