JP2517650Y2 - ベッド装置 - Google Patents

ベッド装置

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JP2517650Y2
JP2517650Y2 JP5433191U JP5433191U JP2517650Y2 JP 2517650 Y2 JP2517650 Y2 JP 2517650Y2 JP 5433191 U JP5433191 U JP 5433191U JP 5433191 U JP5433191 U JP 5433191U JP 2517650 Y2 JP2517650 Y2 JP 2517650Y2
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健造 ▲葛▼西
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Aprica Kassai KK
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、吊上げ機構を有する
ベッド装置に関するもので、特に、このようなベッド装
置に対して、病人、身障者、寝たきり老人(以下、単に
「病人等」という)がリハビリテーションのための歩行
訓練を行なうのに適した形態を与えるための改良に関す
るものである。
【0002】
【関連出願の説明】本件出願人は、平成1年2月17日
付提出の特願平1−38682号(特開平2−2154
62号)および平成2年9月14日付提出の特願平2−
245248号および特願平2−245249号におい
て、改良されたベッド装置を提案している。これらベッ
ド装置は、日本における住宅事情を考慮して、たとえば
6畳または4畳半程度の部屋においても使用することが
できるようにされており、また、病人等をベッド本体か
ら持ち上げたり、降ろしたり、ベッド本体の側方へ移動
させたりすることを簡単に行なえる吊上げ機構が付加さ
れている。
【0003】上述したベッド装置は、吊上げ機構とし
て、2本の平行に並ぶ側棒を備えており、これら側棒
は、寝た姿勢にある病人等の両側に位置される。側棒に
は、病人等の体を支えるハンガー部材が係合され、側棒
の動きに応じて、病人等が所望の位置まで移動される。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】病人等にとって、寝た
きりの状態は、病気または障害から回復するのに、必ず
しも好ましい状態とはいえない。最近、特にリハビリテ
ーションの重要性が注目されており、病人等は、寝たき
りの状態より、むしろ軽い運動を行なったほうが、より
回復が速いという報告も多く発表されている。
【0005】それゆえに、この考案の目的は、前述した
ような吊上げ機構を有するベッド装置において、リハビ
リテーションの一種である歩行訓練を行なうのに適した
構造を提供しようとすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この考案に係るベッド装
置は、まず、長手方向寸法および幅方向寸法を有する、
ベッド本体と、前記ベッド本体の長手方向の両端部にお
いてベッド本体の幅方向にスライド可能であり、かつこ
のスライドによってベッド本体の幅方向に張り出す状態
となるように取付けられる、1対のスライダと、前記各
スライダから上方へ延びるように各スライダに取付けら
れる、1対の支柱と、前記各支柱に沿って移動可能かつ
移動された位置で停止可能に取付けられる、1対の支持
部材と、前記1対の支持部材間を連結する、2本の平行
に並ぶ側棒とを備え、さらに、前記側棒の少なくとも上
面には、クッション材が固定される。
【0007】
【作用】上述のベッド装置において、前記1対のスライ
ダを前記ベッド本体の幅方向に張出す状態となるように
スライドさせ、かつ前記1対の支持部材の前記各支柱上
での位置を調整すれば、歩行訓練しようとする者が、前
記2本の側棒の間に立って両手で2本の側棒を握りなが
ら歩行することができる。
【0008】
【考案の効果】この考案によれば、側棒の少なくとも上
面には、クッション材が固定されているので、上述した
歩行訓練に際して、歩行訓練する者の手に対して柔らか
い感触を与えることができる。したがって、歩行訓練す
る者が、長時間、側棒に体重をかけていても、手が痛む
ことを低減でき、そのため、それほど苦痛を感じること
なく、歩行訓練を続けることができる。
【0009】また、この考案によれば、病人等の回復の
過程における比較的長期間にわたって、同じベッド装置
を用いることができる。すなわち、病人等が、どうして
も寝たきりの状態でなければならない時期においては、
吊上げ機構が本来の機能を果たし、病人等を、排便、入
浴、シーツの交換等のために吊上げるのに用いられ、次
いで、病人等が、手足を動かせるまで回復に至ったとき
には、吊上げ機構に含まれる2本の側棒を、病人等の両
手の支えとして安全な歩行訓練のために用いることがで
きる。
【0010】また、この考案によれば、歩行訓練が、ベ
ッド本体の近くで行なわれるので、病人等が一人で歩行
訓練する場合にも、安全である。また、歩行訓練のため
の場所をとらない。したがって、狭い部屋においても、
歩行訓練を行なうことができる。
【0011】また、歩行訓練中において両手の支えとな
る2本の平行に並ぶ側棒は、その上下方向の高さを調整
することができるので、病人等の状況や体格に応じて、
最も適切な高さを与えることができる。
【0012】また、側棒に固定されるクッション材は、
病人等を持上げるハンガー部材が側棒に係合されたと
き、このハンガー部材に対してもクッション作用を及ぼ
すことができる。したがって、ハンガー部材によって持
上げられる病人等に衝撃が加わることをも防止できる。
【0013】
【実施例】図1および図2には、病人等すなわち歩行訓
練する者100が、この考案の一実施例によるベッド装
置1を用いて歩行訓練している状態を示している。以下
に、このベッド装置1の詳細について説明する。
【0014】図3ないし図8には、ベッド装置1の全体
の構成が示されている。ここで、図3ないし図5は、当
該ベッド装置1がとり得る第1の典型的な形態を示して
おり、図6および図7は、同じく第2の典型的な形態を
示しており、図8は、同じく第3の典型的な形態を示し
ている。また、図3は正面図であり、図4および図6は
平面図であり、図5、図7および図8は、左側面図であ
る。
【0015】ベッド装置1に含まれる主要な構成につい
て説明すると、ベッド装置1は、マットレス2が敷かれ
たベッド本体3を備える。このベッド本体3は、起伏可
能な構成を有しており、所望に応じて、マットレス2の
一部の傾斜状態を変えることができるようにされてい
る。後述する図21において、マットレス2の一部が起
こされた状態が想像線で示されている。
【0016】ベッド本体3の長手方向の両端部において
ベッド本体3の幅方向にスライド可能に、1対のスライ
ダ4および5が取付けられる。これらスライダ4および
5は、そのスライドによって図6および図7に最もよく
示されているように、ベッド本体3の幅方向に張り出す
状態となる。
【0017】スライダ4および5の各々から上方に延び
るように、1対の支柱6および7が取付けられる。
【0018】支柱6および7の各々に沿って移動可能か
つ移動された位置で停止可能に、1対の支持部材8およ
び9が取付けられる。
【0019】また、1対の支持部材8および9間を連結
するように、互いに平行な2本の側棒10および11が
設けられる。
【0020】以下、このベッド装置1のより詳細な説明
を行なう。まず、スライダ4および5をベッド本体3の
幅方向にスライドさせるための構造について説明する。
図9、図10および図11には、一方のスライダ4が示
され、これらの図面は、図5、図7および図8にそれぞ
れ対応している。なお、この一方のスライダ4に与えら
れる構造と実質的に同じ構造が、他方のスライダ5に対
しても与えられている。また、図9ないし図11では、
スライダ4に関連する動作の理解を容易にするため、一
部において破断または図示の省略が行なわれていること
を指摘しておく。
【0021】スライダ4および5は、全体としてL字状
をなしており、それぞれの垂直方向に延びる部分が脚部
12および13とされている。これら脚部12および1
3の各下端には、車輪14および15がそれぞれ取付け
られている。
【0022】また、スライダ4および5をスライドさせ
るための動力は、横移動用モータ16および17からそ
れぞれ得るようにしている。これらモータ16および1
7は、それぞれ、スライダ4および5に固定される。
【0023】以下、主として図9ないし図11を参照し
て、一方のスライダ4にスライド動作を与えるための構
造について説明する。なお、この実施例では、スライダ
4のスライド動作に伴って、支柱6も、スライダ4上で
移動するように構成されている。
【0024】スライダ4の水平方向に延びる部分には、
チェーン18が配置される。チェーン18は、ベルト等
に置換えられてもよい。チェーン18は、スライダ4に
保持されたスプロケットホイール19および20上に巻
掛けされる。一方のスプロケットホイール19には、モ
ータ16の回転が、たとえばベルト21を介して伝達さ
れる。
【0025】チェーン18の下方経路上の所定の位置に
は、取付具22が固定される。この取付具22は、ま
た、ベッド本体3側に備えるガイド23の所定の位置に
も固定される。
【0026】したがって、モータ16の回転がベルト2
1を介してスプロケットホイール16に伝達され、それ
に応じて、チェーン18が循環されたとき、チェーン1
8の下方経路は、取付具22によって、ガイド23と固
定されているので、スライダ4がガイド23に対してス
ライド動作する。モータ16の回転方向を変えることに
より、スライダ4のスライド方向が変えられる。このよ
うなスライダ4のスライド動作において、車輪14は、
床面24上を転動する。
【0027】チェーン18の上方経路上の所定の位置に
は、もう1つの取付具25が固定される。この取付具2
5は、また、支柱6のベース部26にも固定される。
【0028】したがって、前述したようにチェーン18
が循環されたとき、チェーン18の上方経路は、取付具
25によって、ベース部26と固定されているので、ベ
ース部26すなわち支柱6は、スライダ4に対して変位
する。
【0029】このような構成によれば、スライダ4がベ
ッド本体3に対してスライドしたとき、支柱6も、ま
た、スライダ4上で同方向に変位する。この場合、ま
た、スライダ4のベッド本体3に対する変位量は、支柱
6のスライダ4に対する変位量に等しい。
【0030】図9の状態では、支柱6は、ベッド本体3
の幅方向の中央に位置している。この状態では、スライ
ダ4は、ベッド本体3の側方にわずかに張り出した状態
となっている。
【0031】図9の状態から、図10に示すように、ス
ライダ4が、ベッド本体3の側方に最大限に張り出した
状態にされると、支柱6は、スライダ4上で脚部12に
近接した位置にもたらされる。支柱6の、ベッド本体3
を基準としての動きで見ると、支柱6は、スライダ4の
ベット本体3に対する変位量の2倍の変位量をもって動
かされる。したがって、スライダ4のベッド本体3から
の張り出し量を少なくしながらも、支柱6を、ベッド本
体3から側方へ十分に離すことができる。
【0032】他方、図9の状態から、図11に示すよう
に、スライダ4が、ベッド本体3にさらに近づけられる
と、支柱6は、スライダ4上のモータ16に近接した位
置にもたらされる。その結果、支柱6は、ベッド本体3
の幅方向の一方端側に片寄せられる。この図11に示し
た状態は、通常、前述した側棒10および11を使用し
ないときに実現される。したがって、このように支柱6
が片寄せられることは、ベッド本体上に寝かされている
病人等に対して、側棒10および11、支持部材8およ
び9ならびに支柱6および7が圧迫感を与えることを低
減するのにさらに効果的である。
【0033】次に、支持部材8および9の詳細な構造に
ついて説明する。支持部材8および9は、互いに対称の
構造を有している。図12は、一方の支持部材8を示す
右側面図であり、図13は、同じく平面図であり、図1
4は同じく正面図である。
【0034】支持部材8は、関連の支柱6に沿って移動
するスライドブロック27を備える。このスライドブロ
ック27と支柱6との関連については、図15および図
16を参照して後述する。このスライドブロック27に
は、たとえば断面U字状のブラケット28が固定され
る。ブラケット28は、後述する図16にも示されてい
る。このブラケット28には、1対のアーム29および
30が取付けられる。これらアーム29および30は、
ブラケット28からベッド本体3の幅方向にかつ互いに
逆方向に張り出している。
【0035】これらのアーム29および30は、ブラケ
ット28に対して、ピン31および32を中心として、
図12に想像線で示すように、それぞれ上方へ回動可能
とされている。また、スライドブロック27には、2つ
のフックリンク33および34が共通のピン35によっ
て回動可能に保持されている。フックリンク33および
34の各自由端には、それぞれ、フック部36および3
7が設けられる。他方、アーム29および30の各自由
端には、フック部36および37の各々に係合し得る係
合ピン38および39が設けられる。したがって、図1
2に想像線で示されるように、アーム29および30が
それぞれ上方に回動されたとき、フックリンク33およ
び34のフック部36および37を、それぞれ、係合ピ
ン38および39に係合させることにより、アーム29
および30の上方へ回動された状態が固定される。
【0036】上記した2本の側棒10および11は、そ
れぞれ、アーム29および30に取付けられる。したが
って、上述したようなアーム29および30の回動に従
って、側棒10および11は、上下2位置をとることが
できる。図12において、実線によって、側棒10およ
び11が下方位置にある状態が示され、想像線によっ
て、側棒10および11が上方位置にある状態が示され
ている。また、前述した図8では、図12に想像線で示
した状態に対応する状態が示されている。このように、
側棒10および11を上方位置にもたらすことによっ
て、ベッド本体3上に寝かされている病人等に圧迫感を
与えないようにすることができるとともに、病人等に対
する診察等に支障をきたさないようにすることができ
る。また、図12に想像線で示すように、側棒10およ
び11を上方位置にもたらすことによって、後述する図
21に示すような別の使用態様も可能になる。
【0037】なお、図12ないし図14では、一方の支
持部材8に関連する構成が図示されたが、図3ないし図
8ならびに図21では、他方の支持部材9が図示されて
いる。この他方の支持部材9に含まれる要素であって、
支持部材8に含まれる要素と左右対称的な位置にある要
素には、図12ないし図14で用いた参照数字に“a”
を付した参照符号を用いることにし、重複する説明は省
略する。
【0038】側棒10および11は、この実施例では、
アーム29,29aおよびアーム30,30a上での位
置を変更できるように構成されている。すなわち、図1
2ないし図14に示したアーム29および30と側棒1
0および11との関係について説明すると、側棒10お
よび11の各端部には、それぞれ、断面逆U字状のクラ
ンプ40および41が取付けられる。他方、アーム29
および30は、断面T字状とされる。また、クランプ4
0および41には、図14においてクランプ40につい
て示すように、断面T字状のアーム29の下方部分を挾
むガイドブロック42および43が取付けられる。した
がって、クランプ40および41は、それぞれ、アーム
29および30の長手方向には移動可能であるが、アー
ム29および30から側方へ外れることは禁止される。
クランプ40および41には、それぞれ、締付けねじ4
4および45が設けられる。これら締付けねじ44およ
び45を締付けることにより、アーム29および30上
でのクランプ40および41の位置が固定される。
【0039】上述した構成は、側棒10および11の各
々の他方端においても採用されている。
【0040】このように、側棒10および11の、アー
ム29および30に対する取付け位置を変更することに
より、1対の側棒10および11間の間隔を変えること
ができる。その一例が、図4および図6に示されてい
て、図4に示した側棒10および11間の間隔は、図6
に示した側棒10および11間の間隔より広くされてい
る。このような側棒10および11間の間隔の変更は、
後述するように、たとえば、病人等の体格に応じて行な
われる。
【0041】側棒10および11は、図23に示すよう
な構造を有している。図23には、一方の側棒10の断
面構造が示されている。側棒10は、長手方向が上下方
向に向く断面長円形のパイプ110を備える。パイプ1
10は、たとえば、金属から構成される。このようなパ
イプ110の上面には、クッション材111が固定され
る。クッション材111の表面には、丸みが付与され
る。クッション材111は、弾力性のある、たとえば発
泡樹脂から構成され、パイプ110に対して接着され
る。
【0042】なお、パイプ110およびクッション材1
11の表面に付与された丸みは、側棒10を握る手に対
して好ましい感触を与えるものであるが、このような利
点を望まないならば、たとえば、パイプ110を断面長
方形とし、クッション材110の断面も長方形としても
よい。また、クッション材111は、図示の実施例で
は、パイプ110の上面にのみ取付けられたが、パイプ
110の全周を覆うように取付けられてもよい。
【0043】次に、支持部材8および9をそれぞれ支柱
6および7に沿って移動可能かつ移動された位置で停止
可能とするための構造について説明する。図15には、
一方の支持部材8に含まれるスライドブロック28と関
連の支柱6との関係を示す縦断面図が示されている。図
16は、図15の線XVI−XVIに沿う拡大断面図で
ある。なお、他方の支持部材9に含まれるスライドブロ
ック27aと関連の支柱7との関係については、詳細に
は図示しないが、これは、図15および図16に示した
構造と対称の構造を有している。したがって、一方の支
持部材8に含まれるスライドブロック27と関連の支柱
6との関係についてのみ詳細に説明する。
【0044】図15および図16を参照して、支柱6
は、スライドブロック27を受入れ、かつスライドブロ
ック27にブラケット28(図16)が取付けられるこ
とを可能にするように、断面C字状をなしている。支柱
6の内部には、リードスクリュー46が、その中心軸線
のまわりに回転可能に配置される。図15には、リード
スクリュー46の両端を回転可能に保持するブラケット
47および48が図示されている。
【0045】支柱6の前述したベース部26は、中空の
構造を有し、その内部には、上下移動用モータ49が内
蔵される。このモータ49には、正逆回転可能なものが
用いられる。モータ49の回転は、ギヤ50,51,5
2を順次介して、リードスクリュー46に伝達される。
【0046】スライドブロック27には、取付け板53
によって雌ねじブロック54が固定される。雌ねじブロ
ック54には、リードスクリュー46に螺合する雌ねじ
が形成されている。したがって、モータ49の回転によ
り、リードスクリュー46が回転されたとき、スライド
ブロック27は、上下方向に移動する。また、モータ4
9が停止されたときには、リードスクリュー46も停止
され、雌ねじブロック54からリードスクリュー46に
向かって動作を伝達することが不可能であるので、この
ようなリードスクリュー46の停止により、スライドブ
ロック27は、その移動された位置で停止状態が保たれ
る。
【0047】図16には、スライドブロック27の支柱
6に沿う移動を円滑に案内するためのいくつかの要素が
示されている。すなわち、スライドブロック27上に
は、回転可能な複数個のガイドローラ55,56,5
7,58ならびにガイドシュー59,60が設けられて
いる。これらガイドローラ55〜58ならびにガイドシ
ュー59,60は、支柱6の内面に対して、種々の方向
から接触することによって、支柱6内でのスライドブロ
ック27の上下方向の移動を円滑なものとする。
【0048】なお、図16では、4個のガイドローラ5
5〜58ならびに2個のガイドシュー59,60が図示
されたが、これらのガイドローラならびにガイドシュー
は、図示しないが、スライドブロック27の上下方向に
適当数分布されてもよい。
【0049】支持部材8、より特定的にはブラケット2
8は、図15では図示されないが、スライドブロック2
7の下端に取付けられる。また、スライドブロック27
の下端は、ギヤ52を越え、さらに支柱6の下端を越え
て、支柱6の下方へ突出する程度にまで移動可能であ
る。これによって、前述した図7において想像線で示す
ような支持部材8の位置を可能にする。
【0050】図3ないし図7において、側棒10および
11のそれぞれに、適当数のハンガーシャベル61が図
示されている。これらハンガーシャベル61は、病人等
を寝かせたまま持上げるのに使用するハンガー部材の一
例である。これらのハンガーシャベル61の構造の詳細
が、図17ないし図20に示されている。
【0051】図17は、ハンガーシャベル61の正面図
であり、図18は、ハンガーシャベル61の右側面図で
あり、図19は、ハンガーシャベル61の一部を示す平
面図であり、図20は、図17の線XX−XXに沿う断
面図である。
【0052】ハンガーシャベル61は、たとえば、硬質
プラスチック、アルミニウム、ステンレス鋼のような比
較的剛性のある材料から構成される。ハンガーシャベル
61には、全体としてL字状をなすように湾曲した形状
が与えられ、その一方端には、側棒10または11に係
合させることができるフック部62が形成される。ま
た、ハンガーシャベル61を肉薄にして、できるだけそ
の軽量化を図りながら、所定以上の強度を保証するた
め、ハンガーシャベル61には、複数個のリブ63が分
布される。また、このようなリブ63は、図20によく
示されているように、丸みを持った断面を与えるように
形成されることが好ましい。
【0053】このようなハンガーシャベル61は、複数
個用意される。これらハンガーシャベル61を使用する
にあたっては、まず、ハンガーシャベル61の水平方向
に延びる底面部64が、ベッド本体3上に寝かされてい
る病人等の体の下に差し込まれる。このとき、複数個の
ハンガーシャベル61は、病人等の体の両側において、
病人等の体重を考慮して、適当に分布される。他方、1
対の側棒10および11は、ハンガーシャベル61のフ
ック部62の位置を考慮して、その高さおよび間隔が前
述した機構に従って調整される。そして、各ハンガーシ
ャベル61のフック部62が、側棒10および11の各
々に係合される。図18に、ハンガーシャベル61のフ
ック部62が側棒10に係合した状態が示されている。
【0054】上述したようなハンガーシャベル61によ
れば、病人等を持上げずに、病人等の体の下にこれを挿
入することができる点で有利である。ハンガーシャベル
61の各々のフック部62を側棒10または11に係合
させた後、側棒10および11を変位させることによ
り、病人等を所望の位置まで移動させることができる。
【0055】また、図18からわかるように、側棒10
に含まれるパイプ110とハンガーシャベル61のフッ
ク部62との間には、クッション材111が介在してい
る。したがって、側棒10および11を変位させること
により、病人等を移動させる場合、病人等に与えられ得
る衝撃を、クッション材111によって緩和することが
できる。また、側棒10および11の各々の長さ方向に
分布させた状態で用いられる複数個のハンガーシャベル
61は、それが当たる病人等の体の部位によって、それ
ぞれの底面部64の高さを互いに異ならせた方がよい。
この点において、クッション材111は、このような高
さの差を適正に生み出す機能も果たすことができる。
【0056】病人等を持上げるため、上述したハンガー
シャベル61に代えて、図21に示すようなハンモック
65を用いてもよい。
【0057】ハンモック65は、全体として、厚手の布
地等から構成され、病人等を座った姿勢で包み込むよう
な形状を有している。ハンモック65は、吊下げ具66
を介して、側棒10および11から吊下げられる。
【0058】図21に示す状態では、アーム29,3
0,29a,30aが上方へ回動された状態で固定され
ており、側棒10および11の高さが十分に高くされて
いる。このようにすることによって、病人等を座った姿
勢で包み込むハンモック65の使用が可能となる。
【0059】ハンモック65は、病人等が比較的軽症で
ある場合に使用されるのが好ましい。また、病人等をハ
ンモック65で包み込んだ状態とするためには、病人等
に座った姿勢を予めとらせておくことが好ましい。この
場合、起伏機構を有するベッド本体3を用いるときに
は、図21において想像線で示すように、マットレス2
の一部を起こして、病人等を座った姿勢にできれば、介
護者の負担をより軽減することができる。
【0060】次に、ベッド装置1がとり得る典型的な状
態を、図3ないし図8を参照しながら説明する。
【0061】まず、スライダ4および5ならびに支柱6
および7が図3ないし図5に示した状態にあるとき、ベ
ッド本体3上に寝かされている病人等の持ち上げが行な
われる。支持部材8および9ならびに側棒10および1
1は、図3および図5に示した高さより低くされ、病人
等の体の下に挿入されたハンガーシャベル61のフック
部62が係合し得る位置までもたらされる。また、1対
の側棒10および11間の間隔も、病人等の体格に合わ
せて調整されるが、この調整は、当該ベッド装置1の使
用の初期の段階において、1回行なうだけでよい。
【0062】次いで、支持部材8および9ならびに側棒
10および11が上方へ変位され、ハンガーシャベル6
1がベッド本体3上のマットレス2から離れる高さにま
でもたらされる。
【0063】マットレス2上に敷かれたシーツ等を交換
する場合には、上述の状態でこれを行ない、その作業を
終えたとき、再び元の状態に戻せばよい。以下には、た
とえば病人等を入浴させる場合のように、病人等をベッ
ド本体3の側方にずれた位置にまで移動させる場合につ
いて説明する。
【0064】スライダ4および5が、図6および図7に
示すように、ベッド本体3の側方に張り出す状態とされ
る。これによって、病人等は、ベッド本体3の上方から
同じ高さを保って側方にずれた位置に移動される。
【0065】次に、支持部材8および9ならびに側棒1
0および11が下方へ移動される。これに応じて、病人
等は、ベッド本体3の側方において、下方へ移動され
る。この実施例では、図7に想像線で示すように、病人
等が床面24に接する程度まで、支持部材8および9を
下降させることができるように設計されている。床面2
1上に置かれた病人等は、次いで、浴槽内に入れられ、
入浴させられる。
【0066】なお、図6および図7に示す状態におい
て、病人等に対して施される処置の種類に応じて、支持
部材8および9を停止させる高さを選べばよい。たとえ
ば、病人等を、上述のように、一旦、床面24上に置く
ことなく、浴槽を図6および図7の状態における側棒1
0および11の真下に配置することにより、側棒10お
よび11の下降動作の途中で、病人等を浴槽内に入れる
ことができる。
【0067】病人等を、再びベッド本体3上に戻すに
は、上述した動作の逆の動作を実施すればよい。
【0068】上述したベッド装置1の典型的な使用方法
において、ハンガーシャベル61に代えて、図21に示
したハンモック65を用いてもよい。
【0069】また、支持部材8および9ならびに側棒1
0および11を使用しないときには、図8に示すよう
に、スライダ4および5をベッド本体3に向かってさら
にスライドさせるとともに、支柱6および7をベッド本
体3の幅方向の一方端側に片寄らせて位置させておくこ
とが好ましい。このとき、さらに好ましくは、アーム2
9a,30aが上方へ回動された状態で固定され、側棒
10および11の高さが高められた状態とされる。
【0070】再び図1および図2を参照して、病人等、
すなわち歩行訓練する者100が、ベッド装置1を用い
て歩行訓練する方法について説明する。
【0071】まず、ベッド装置1においては、図1およ
び図2に示すように、1対のスライダ4および5がベッ
ド本体3の幅方向に張り出す状態となるようにスライド
される。この実施例では、前述した機構により、1対の
支柱6および7もまた、同じ方向に移動する。この状態
は、前述した図6および図7に示した状態に対応してい
る。
【0072】また、1対の支持部材8および9の、各支
柱6および7上での位置が、前述した機構に基づいて調
整される。これによって、2本の平行な側棒10および
11の高さが調整され、これによって、歩行訓練する者
100の状況または体格に最も適合した高さが2本の側
棒10および11に与えられる。
【0073】なお、前述した機構に基づき、さらに、2
本の側棒10および11の互いの間の間隔を調整しても
よい。
【0074】また、側棒10および11上に取付けられ
ているハンガーシャベル61(たとえば図4)が取除か
れる。
【0075】このような調整を終えた後、歩行訓練する
者100は、図1および図2に示すように、2本の側棒
10および11の間に立ち、両手で2本の側棒10およ
び11を握りながら歩行訓練することができる。このと
き、クッション材111(図23)は、手に柔らかい感
触を与えることができる。
【0076】上述した歩行訓練方法は、歩行訓練する者
100が比較的軽症であり、自力でベッド本体3から2
本の側棒10および11の間にまで移動することができ
る場合に特に適している。
【0077】これに対して、歩行訓練する者100がよ
り重症である場合には、介護者の手を借りるか、以下に
説明するような方法によって、歩行訓練することができ
る。
【0078】図22は、病人等が居住する部屋91を示
す平面図である。この部屋91は、たとえば、日本にお
ける6畳の広さの部屋を意図しており、4つの壁92,
93,94,95により規定されている。
【0079】部屋91には、壁92および93に沿っ
て、前述したベッド装置1が設置される。なお、図22
に示したベッド装置1で、スライダ4および5を含む機
構が、移動機構96および97として、概略的に図示さ
れている。
【0080】部屋91には、また、壁93の近傍に、腰
掛け可能な便器98が配置される。この便器98は、た
とえば屈伸可能なリンク99によって、想像線で示すよ
うに、ベッド本体3の側方にまで移動されることができ
る。この便器98の移動された後の位置は、前述した歩
行訓練のために用いられる側棒10および11のほぼ中
間位置に対応している。
【0081】なお、便器98が壁93の近傍に位置する
とき、そのような便器98は、部屋91の壁93および
94の隅に設置された収納庫101内に収納されるよう
にしてもよい。また、収納庫101に洗面台(図示せ
ず)を取付け、この洗面台の下方に便器98が収納され
るようにしてもよい。
【0082】図22に示す設備を用いて歩行訓練する場
合、まず、便器98が、想像線で示すように、ベッド本
体3の側方に置かれる。次いで、ベッド本体3上に寝か
されている病人等は、たとえば図21に示したハンモッ
ク65を用いて、座った姿勢で吊上げられ、移動機構9
6および97に含まれる1対のスライダ4および5をベ
ッド本体3の幅方向に張り出す状態となるようにスライ
ドさせるとともに、1対の支持部材8および9を各支柱
6および7上で移動させることによって、便器98上に
座らされる。なお、ここまで述べた動作は、病人等に排
便させる場合に実施される動作と同様である。
【0083】次に、吊下げ具66(図21)が側棒10
および11から外され、ハンモック65が病人等から取
り除かれる。そして、1対の支持部材8および9の各支
柱6および7上での位置が調整された後、病人等、すな
わち歩行訓練する者は、2本の側棒10および11を両
手で握りながら、立ち上がって、歩行訓練することがで
きる。
【0084】歩行訓練している間、便器98は、屈曲可
能なリンク99の動作に基づいて、部屋91の壁93の
近傍の位置に戻される。なお、歩行訓練している病人等
が、一時的に休みたい場合、便器98が、ベッド本体3
の側方にまで再び移動され、病人等がそこに腰掛けて休
むことを可能にする。
【0085】上述した実施例では、便器98を腰掛けと
して機能させたが、便器ではなく専用の腰掛けを用いて
もよい。
【0086】また、便器98は、屈伸可能なリンク99
の屈伸動作をモータまたは他の駆動源によって駆動する
ことにより、自動的に移動させることが好ましいが、た
とえば介護者が、自らの手によって便器98を移動させ
てもよい。
【0087】また、図示したベッド装置1は、スライダ
4および5から上方に延びるようにスライダ4および5
に取付けられた支柱6および7が、スライダ4および5
に対して、それぞれ、ベッド本体3の幅方向に移動可能
とされたが、支柱は、スライダに固定的に設けられてい
てもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例によるベッド装置1を用い
て歩行訓練を実施している状態を示す正面図である。
【図2】図1に示した状態の左側面図である。
【図3】図1に示した歩行訓練に用いられるベッド装置
1を単独で示す正面図である。
【図4】図3に示したベッド装置1の平面図である。
【図5】図3に示したベッド装置1の左側面図である。
【図6】図4に相当する図であって、スライダ4および
5がベッド本体3から最も張り出した状態を示してい
る。
【図7】図5に相当する図であって、図6に示した状態
を示している。
【図8】図5に相当する図であって、スライダ4および
5が、ベッド本体3に対して最も引っ込んだ状態を示し
ている。
【図9】スライダ4をベッド本体3に対してスライド動
作させるための機構を示す、図5に相当する図である。
【図10】同機構を示す、図7に相当する図である。
【図11】同機構を示す、図8に相当する図である。
【図12】支持部材8の構成を示す右側面図である。
【図13】支持部材8の構成を示す平面図である。
【図14】支持部材8の構成を示す正面図である。
【図15】支持部材8に含まれるスライドブロック27
と関連の支柱6との関係を示す縦断面図である。
【図16】図15の線XVI−XVIに沿う拡大断面図
である。
【図17】ハンガーシャベル61を示す正面図である。
【図18】側棒10に係合したハンガーシャベル61を
示す右側面図である。
【図19】ハンガーシャベル61の一部を示す平面図で
ある。
【図20】図17の線XX−XXに沿う断面図である。
【図21】図3に相当する図であって、ハンガーシャベ
ル61に代えてハンモック65が用いられている状態が
示されている。
【図22】歩行訓練の他の方法を説明するための部屋9
1を示す平面図である。
【図23】図1等に示したベッド装置1に備える側棒1
0の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ベッド装置 3 ベッド本体 4,5 スライダ 6,7 支柱 8,9 支持部材 10,11 側棒 110 パイプ 111 クッション材

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向寸法および幅方向寸法を有す
    る、ベッド本体と、前記ベッド本体の長手方向の両端部
    においてベッド本体の幅方向にスライド可能であり、か
    つこのスライドによってベッド本体の幅方向に張り出す
    状態となるように取付けられる、1対のスライダと、前
    記各スライダから上方へ延びるように各スライダに取付
    けられる、1対の支柱と、前記各支柱に沿って移動可能
    かつ移動された位置で停止可能に取付けられる、1対の
    支持部材と、前記1対の支持部材間を連結する、2本の
    平行に並ぶ側棒とを備え、前記側棒の少なくとも上面に
    は、クッション材が固定された、ベッド装置。
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