JP4050786B2 - ベッド用上掛排除装置 - Google Patents
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Description
本発明は、主として身障者や病弱な高齢者などの要介護者を対象とするベッド用上掛排除装置に関する。
一般に、身障者や病弱な高齢者をはじめ、術後の入院患者などは床内での生活を余儀なくされるが、寝たきりの時間が長くなると身体機能の低下が進行するので、筋力の衰えを回復させたり、大脳に刺激を与えたりするためには歩行訓練が極めて有効であるとされている。
しかし、身体に大きな機能障害を抱えた者では、自ら起き上がることはできないし、食事、排泄、入浴などの際にも身内や専門の介護士による介護を必要とする。
特に、ベッド上で背中を起こして食事をしたりベッドから離れて歩行訓練したりする場合、上掛布団が邪魔になることがあるものの非力な要介護者では上掛布団を自ら跳ね除けることはできないし、これを介護者に行ってもらうにしても上掛布団の置き場に苦慮することがある。
そこで、ベッド下の床に設置される安定盤と、この安定盤に垂直に設置される上下動可能な主柱と、この主柱の上部に接続されてベッドの上方にて開閉動作が可能とされる開閉ドームとを有し、その開閉ドームを構成する格子枠状のフレームに上掛布団が保持されるようにした自動掛け布団装置なるものが提案されている(例えば、特許文献1)。
又、ベッド枠体の後部(フット側)に、左右一対の伸縮式ポールを備えた掛けシート被覆ユニットを設け、上記伸縮式ポールの伸長により布体がベッド枠体上に伸張し、伸縮式ポールの縮小時には布体が折り畳まれて掛けシート被覆ユニット側に収納されるようにしたベッドが提案されている(例えば、特許文献2)。
更に、基盤の片側に支柱を設け、その支柱の上部に格子状を成す保持枠の一端縁を回転可能に取り付け、上掛布団が掛けられた保持枠を跳ね上げ得るようにした装置が提案されている(例えば、特許文献3)
然しながら、特許文献1によれば、主柱の上下動作や開閉ドームの開閉動作を行うために専用の駆動源(電源)を備え、それら駆動源がスイッチ入力やセンサ入力に基づき動作制御されるようにしていることから、装置コストが高くなるという問題がある。
又、装置全体がベッドの片側に設置させるので介護を行い難く、しかも横臥者の上半身を支持する背凭れ部分(上体レスト部)が起伏動作を行うベッドの片側に当該装置を設置した場合、開閉ドームの閉鎖状態においてベッドの背凭れ部分が誤って起立動作されてしまうと、開閉ドームが破壊されてしまう危険性があるのみならず、横臥者が開閉ドームとベッドの背凭れ部分との間に挟まれて呼吸困難に陥る危険性がある。
更に、上掛布団はマジックテープ(登録商標)により開閉ドームの下部に装着されるので、厚手の重い上掛布団では開閉ドームへの装着が困難である。
一方、特許文献2では、片持ち状態の伸縮式ポールにより上掛布団(布体)の両側を支持するようにしているので、極めて軽量な上掛布団でなければ伸縮式ポールをベッドの長さ方向に沿って伸縮させることはできないし、その伸縮式ポールを含んで構成される掛けシート被覆ユニットが横臥者のフット側に設置させるため、ベッドの左右両側からしか出入りができず、椅子形に変化するベッドでは着座姿勢から立ち上がって歩行訓練などする場合に掛けシート被覆ユニットが障害になるという問題がある。
又、特許文献3では、横臥者の側方に支柱が常時立ちはだかるため、横臥者の介護を行ない難く、しかも保持枠は片持ち状態で支持されるので、支持強度の観点から厚手の上掛布団を用いることが難しく、保持枠を跳ね上げたときには上掛布団がずり落ちてしまう可能性が高い。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は種々のベッドに併設して厚手の上掛布団でも床上に落とすことなく確実に排除することのできる上掛排除装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、
ベッドに併設されて前記ベッドに掛けられた上掛布団(U)を所定高さ位置まで担ぎ上げる上掛排除装置であり、
前記ベッドの左右両側に2つずつ配置されて該ベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能に設けられる二対の旋回アーム(41,42、104,105)と、その各旋回アーム(41,42,104,105)における旋回中心となる支点側の一端部とは反対の自由端側に連接して前記上掛布団(U)を保持するための枠組みを形成する天蓋枠(43,110)とを備え、
前記天蓋枠(43,110)は、上掛布団(U)のフット側の一端を係止する第1横架軸(43B,112)と、この第1横架軸(43B,112)に平行して上掛布団(U)の中間部分または上掛布団(U)のヘッド側の一端部分が巻き掛けられる第2横架軸(43C,113)とを有し、当該天蓋枠(43,110)が前記旋回アーム(41,42、104,105)の旋回動作により前記ベッド上で上掛布団(U)を保持しながら昇降するようにしたことを特徴とする。
ベッドに併設されて前記ベッドに掛けられた上掛布団(U)を所定高さ位置まで担ぎ上げる上掛排除装置であり、
前記ベッドの左右両側に2つずつ配置されて該ベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能に設けられる二対の旋回アーム(41,42、104,105)と、その各旋回アーム(41,42,104,105)における旋回中心となる支点側の一端部とは反対の自由端側に連接して前記上掛布団(U)を保持するための枠組みを形成する天蓋枠(43,110)とを備え、
前記天蓋枠(43,110)は、上掛布団(U)のフット側の一端を係止する第1横架軸(43B,112)と、この第1横架軸(43B,112)に平行して上掛布団(U)の中間部分または上掛布団(U)のヘッド側の一端部分が巻き掛けられる第2横架軸(43C,113)とを有し、当該天蓋枠(43,110)が前記旋回アーム(41,42、104,105)の旋回動作により前記ベッド上で上掛布団(U)を保持しながら昇降するようにしたことを特徴とする。
又、ベッドに併設されて前記ベッドに掛けられた上掛布団(U)を所定高さ位置まで担ぎ上げる上掛排除装置であり、
前記ベッドの左右両側に2つずつ配置されて該ベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能に設けられる二対の旋回アーム(41,42、104,105)と、その各旋回アーム(41,42、104,105)における旋回中心となる支点側の一端部とは反対の自由端側に連接して前記上掛布団(U)を保持するための枠組みを形成する天蓋枠(120)とを備え、
前記天蓋枠(120)は、上掛布団(U)をベッド上における横臥者の脚部から浮かせた状態に保持する保持部(122)を有し、その保持部(122)は横臥者の脚部を収容し得るトンネル状の空洞を形成すると共に天蓋枠(120)を上昇させるときに上掛布団(U)を折り重ねて載せ得る板材または複数のリブ122Aから成り、当該天蓋枠(120)が前記旋回アーム(41,42、104,105)の旋回動作により前記ベッド上で上掛布団(U)を保持しながら昇降するようにしたことを特徴とする。
前記ベッドの左右両側に2つずつ配置されて該ベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能に設けられる二対の旋回アーム(41,42、104,105)と、その各旋回アーム(41,42、104,105)における旋回中心となる支点側の一端部とは反対の自由端側に連接して前記上掛布団(U)を保持するための枠組みを形成する天蓋枠(120)とを備え、
前記天蓋枠(120)は、上掛布団(U)をベッド上における横臥者の脚部から浮かせた状態に保持する保持部(122)を有し、その保持部(122)は横臥者の脚部を収容し得るトンネル状の空洞を形成すると共に天蓋枠(120)を上昇させるときに上掛布団(U)を折り重ねて載せ得る板材または複数のリブ122Aから成り、当該天蓋枠(120)が前記旋回アーム(41,42、104,105)の旋回動作により前記ベッド上で上掛布団(U)を保持しながら昇降するようにしたことを特徴とする。
本発明に係る上掛排除装置によれば、旋回アームがベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能とされることから、その旋回アームをベッドの左右両側に倒伏せしめることにより旋回アームが介護の作業障害にならず、しかも旋回アームがベッドの左右両側に配置され、それらの自由端側に上掛布団を保持するための枠組みを形成する天蓋枠が連接されることから、天蓋枠が左右に傾いてしまうことがなく、このため上掛布団を天蓋枠で保持したまま排除することができる。又、上掛布団を天蓋枠で保持しながら排除した状態では、上掛布団を乾燥できるという効果も得られる。
又、天蓋枠が上掛布団のフット側の一端を係止する第1横架軸と、この第1横架軸に平行して上掛布団の中間部分または上掛布団のヘッド側の一端部分が巻き掛けられる第2横架軸とを有することから、床板フレーム上に担ぎ上げた厚手の重い上掛布団でも確り保持してこれが垂れ下がるのを防止することができ、しかも上掛排除装置をベッドのフレームに一体的に装備して場所を取らず、上掛布団が担ぎ上げられない状態ではベッドの両側から横臥者を介護することができる。
又、上掛布団をベッド上における横臥者の脚部から浮かせた状態に保持する保持部を備えた構成の天蓋枠では、厚手の上掛布団を用いた場合でも横臥者の脚部が圧迫されず、両脚を自由に動かすことができ、天蓋枠を上昇させるときには保持部上に上掛布団を折り重ねて上掛布団のずり落ちを防止することができる。
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係るベッド用上掛排除装置を備えた可動床式ベッドの構成例を示した側面概略図である。図1において、1は左右一対の側板11を含んで構成される基台フレームであり、その上部には該基台フレーム1により水平状に支持される床板フレーム2が設けられる。床板フレーム2は横臥者を支持するためのもので、その上には3分割されたマットレスなどの柔軟性を有する敷布団D1,D2,D3(2つの敷布団D1,D2は一体の連結構造物でもよい)が敷かれ、それら敷布団D1〜D3が床板フレーム2に対してベルトなどで固定されるようにしてある。
特に、床板フレーム2は、横臥者の臀部を支持する中央レスト部21と、中央レスト部21の一端側に連なって横臥者の上半身(頭部および背中)を支持する上体レスト部22と、中央レスト部21の他端側に連なって横臥者の下腿部を支持する下腿レスト部23とから構成され、該床板フレーム2上には敷布団D1〜D3を介して柔軟性を有する上掛布団Uが掛けられる。尚、上体レスト部22の一端部(中央レスト部21側の一端)は、基台フレームの側板11の上縁中央部に形成されるブラケット12に支点軸P1にて結節され、その支点軸P1にはギア3が固着される。
そして、係る床板フレーム2によれば、上体レスト部22が倒伏姿勢と起立姿勢とに転換し、その上体レスト部22が起立姿勢に転換するときには下腿レスト部23が中央レスト部21の一端部より離脱して基台フレーム1内に収容されることにより、全体が椅子形に変化するようになっているが、係る機構については後述する。
一方、基台フレーム1の上部には、上体レスト部22の起伏動作に連動して該上体レスト部22が倒伏姿勢から起立姿勢に転換するときに床板フレーム2上(正確には床板フレーム2上の横臥者)に掛けられた上掛布団Uを床板フレーム2上の所定高さ位置まで担ぎ上げる上掛排除装置4が設けられる。尚、図1には上掛排除装置4により上掛布団Uが担ぎ上げられた状態を想像線で表している。
本例において、上掛排除装置4は、基台フレーム1の左右両側に設けられて上体レスト部22が倒伏姿勢から起立姿勢に転換するとき基台フレーム1の長さ方向に平行な面内で上方旋回して基台フレーム1の左右両側に立ち上がる複数の旋回アーム41,42と、その各旋回アーム41,42の自由端側に連接して上掛布団Uを保持するための矩形の枠組みを形成する天蓋枠43とで構成される。
尚、旋回アーム41,42は、上下方向に旋回可能にして基台フレーム1の左右両側に2つずつ設けられ、このうち両側中央部に設けられる左右一対の旋回アーム41,41は原動節としてその各一端が基台フレーム1のブラケット12に旋回用の支点軸P2にて結節され、その支点軸P2に上記のギア3と噛合うギア5が固着される構成としてある。
又、基台フレーム1の両側前部(横臥者のヘッド側)に設けられる左右一対の旋回アーム42,42は、原動側の旋回アーム41,41に追従して旋回する従動節とされ、その各一端が基台フレームの側板11の上縁前部に形成されるブラケット13に支点軸P3にて結節される構成としてある。
一方、図1および図2で明らかなように、天蓋枠43は、旋回アーム41,42の自由端側を連結する左右一対のサイドリンク43A,43Aと、左右一対の旋回アーム41,41の間に架設される第1横架軸43Bと、この第1横架軸43Bに平行してサイドリンク43Aの一端部(左右一対の旋回アーム42側)の間に架設される第2横架軸43Cとで構成される。
特に、第1横架軸43Bには上掛布団Uのフット側の一端(横臥者の足元を覆う側)が紐やベルトにより係止され、第2横架軸43Cには図1の点線で示されるように上掛布団Uの中間部分(ヘッド側すなわち横臥者の胸部を覆う側を捲り上げて二つ折りにした上掛布団Uの折り返し部分)が巻き掛けられる。
そして、係る上掛排除装置4によれば、床板フレーム2の上体レスト部22が倒伏姿勢にあるとき、旋回アーム41,42も床板フレーム2の両側縁に沿って倒伏姿勢を維持するが、上体レスト部22が起立姿勢に転換するときには、その駆動力がギア3,5を介して旋回アーム41,41に伝達されることにより、旋回アーム41,42が支点軸P2,P3を中心に上体レスト部22と逆向きに上方旋回して基台フレーム1の左右両側に立ち上がり、これによって天蓋枠43に二つ折りにして保持された上掛布団Uを旋回アーム41,42の長さ相当分だけ床板フレーム2上に担ぎ上げることができる。
尚、図1では旋回アーム41,42の長さが相違しているが、これを同じ長さにすれば天蓋枠43を水平状に展開できるので好ましい。但し、旋回アーム42とサイドリンク43Aを合わせた長さは、旋回アーム42の支点軸P3から旋回アーム41の自由端までの距離よりも長く設定され、旋回アーム41,42の倒伏時において旋回アーム42とサイドリンク43Aの結節点が上向きに折れ曲がるようになっており(図1に実線で示した旋回アーム42とサイドリンク43Aを参照)、これにより旋回アーム42とサイドリンク43Aが逆向きの旋回動作を行って旋回アーム41,42が上方旋回したときに天蓋枠43が床板フレーム2の上方に展開するようにしてある。
ここで、上掛排除装置4により担ぎ上げられた上掛布団Uが垂れ下がらぬよう、第2横架軸43Cにゴム材や複数の突起から成る滑り止めを設けたり、第1横架軸43Bと第2横架軸43Cとの間に図示せぬ第3横架軸を設けたりすることが好ましいが、第2横架軸43Cや上記の第3横架軸は、旋回アーム41,42の倒伏時において横臥者に接触することがないよう、特に横臥者が膝を立てても当たらない高さを有するように、両端を下向きに折り曲げて門形(アーチ形を含む逆凹字形)とされる。
次に、図3により床板フレームの構成とその動作機構について説明すると、中央レスト部21は、基台フレーム1のブラケット12に対して上体レスト部22側の一端部が支点軸P4にて結節され、その支点軸P4を中心として下腿レスト部23側が上下方向に旋回するようになっている。尚、中央レスト部21の底部には基台フレーム1内に突出する三角形状のカム体6が設けられるが、その作用については後述する。
一方、上体レスト部22は、上記のように中央レスト部21側の一端部が基台フレーム1のブラケット12に対して支点軸P1にて結節され、その支点軸P1を中心として上下方向に旋回ようになっている。特に、図3から明らかなように、上体レスト部22の旋回支点(支点軸P1)は、中央レスト部21の旋回支点(支点軸P4)よりも高い位置に設定されている。これによれば、上体レスト部22が支点軸P1回りに旋回して倒伏姿勢から起立姿勢に転換するとき、上体レスト部22上の敷布団D2と中央レスト部21上の敷布団D1が曲げ圧力を受けて両者の境界部分で横臥者側に隆起することが防止されるために、横臥者に腰部が圧迫されるような違和感を与えず、しかも敷布団D1,D2の境界部分に対する曲げ圧力が軽減されるために上体レスト部22の起立動作を低負荷の下で円滑に行うことができる。
7は上体レスト部22を倒伏姿勢から起立姿勢に転換させる駆動機構であり、これは基台フレーム1に付設される駆動源71(可逆モータ)、該駆動源により回転駆動されるネジ軸72、並びにネジ軸72の回転駆動によりその軸方向に移動するスライダ73などから構成される。このうち、ネジ軸72は基台フレーム1の長手方向に沿って設けられ、その両端が基台フレーム1の側板11に固設した軸受ユニット74により回転自在に支持されている。
又、スライダ73は、ネジ軸72に螺合するナット部73Aと基台フレーム1の側板11に摺接するスライド板73Bとを一体化して成るもので、スライド板73Bには上下方向に延びる長孔73Cが穿設される。
尚、ネジ軸72やスライダ73は基台フレーム1の左右両側(図3には片側のみ示される)に相対向して設けられ、左右一対のスライド板73,73には長孔73Cの位置で横架軸75が掛け渡される。そして、その横架軸75と、上体レスト部22に固設したブラケット22Aが連接アーム76により連結されている。
しかして、ネジ軸72の回転駆動によってスライダ73が図3の右方に移動すると、連接アーム76が徐々に立ち上がりながら倒伏姿勢の上体レスト部22を下方から突き上げるよう作用するために、上体レスト部22が支点軸P1を中心に上方旋回して倒伏姿勢から起立姿勢に転換し、これに図1に示した上掛排除装置4が連動する。
又、本発明に係る上掛排除装置を備えたベッドによれば、上体レスト部22が倒伏姿勢から起立姿勢に転換されるとき、これに連動して基台フレーム1内を下腿レスト部23側から上体レスト部22側に移動する可動フレーム8を備える。
可動フレーム8は、横架軸75を介してスライダ73に連結され、スライダ73が図3の右方に移動するとき、可動フレーム8がスライダ73に同行して同方向に移動するようになっている。
特に、可動フレーム8の上面部には、中央レスト部21とは非連結とされる下腿レスト部23が一体として固設され、基台フレーム1の左右両側板11には可動フレーム6の移動案内をする二本一組のガイドレール14,15が左右に一組ずつ設けられる。本例において、係るガイドレール14,15は、基台フレームの側板11を刳り貫いて形成されるスリットで、上記横架軸75の端部が可動フレーム8と一方のガイドレール14を通じてスライダの長孔73Cに挿入されており、他方のガイドレール15には可動フレーム8に設けたガイドローラ81が嵌め込まれている。尚、図4のように、横架軸75の端部にもガイドレール14とスライド板の長孔73Cとに嵌まり込むガイドローラ82が設けられる。
しかして、上体レスト部22を起立させるべく、スライダ73が図3の右方に移動すると、可動フレーム8もガイドレール14,15に沿って下腿レスト部23側から上体レスト部22側に移動する。
尚、可動フレーム8が上体レスト部22側に移動を開始するとき、ガイドレール14,15の端部形状により可動フレーム8が降下されつつ傾斜姿勢に変換されるようになっている。このため、可動フレーム8の上面部に固設した下腿レスト部23は、中央レスト部21の一端部から離脱して可動フレーム8と一体のまま基台フレーム1内を上体レスト部22側に移動することができる。
又、可動フレーム8には、上記カム体6に係合する接触子として圧接ローラ83が設けられており、可動フレーム8が下腿レスト部23側から上体レスト部22側に移動する初期段階において、当該圧接ローラ83がカム体6のカム輪郭を成すV字端面の一方6Aを押圧することにより、カム体6を底部に備える中央レスト部21が支点軸P4を中心として上方に旋回される。
これによれば、横臥者Mの上腿部が図5のように迫り上げられるために、上体レスト部22の起立動作によって横臥者Mの臀部が下腿レスト部23側に滑り動くのを防止することができる。尚、可動フレーム8が中間地点まで移動した段階(上体レスト部22の傾斜角が30〜50度に達した段階)では、圧接ローラ83の接触がV字端面の一方6Aから他方6Bに切り替わり、これにより中央レスト部21の旋回が下向きに転換するようになっている。
尚、図3および図5から明らかなように、下腿レスト部23の端部にはその全幅に亘って転動ローラ23Aが設けられており、可動フレーム8と下腿レスト部23が上体レスト部22側に移動するときに当該転動ローラ23Aにより横臥者の下腿部が支持されて、足が着地するまで下腿部の降下が円滑に行われるようにしてある。
次に、図6は上体レスト部22が起立姿勢に転換した状態を示す。この図で明らかなように、本発明に係る上掛排除装置を備えたベッドによれば、上体レスト部22が起立姿勢に転換すると、下腿レスト部23が中央レスト部21の下方位置で基台フレーム1内に収容され、ベッドが中央レスト部21を座面とする椅子形になり、この状態では横臥者(この段階において横臥者Mは着座者となる)が下肢(脚部)を鋭角状に折り曲げて中央レスト部21の下方位置で足を着地させることを許容されるのであり、このため着座者は身体の重心を前方に移して介護人の助けを借りずに自力で立ち上がることが可能となる。
尚、図6に示す椅子形の状態では食事をすることもでき、中央レスト部21に便器を装着すれば排便を行うことも可能になる。又、図6から明らかなように、上体レスト部22が起立姿勢に転換した状態では、天蓋枠43が起立姿勢の上体レスト部22よりも上方にあって該天蓋枠43により保持される上掛布団が着座者の頭部に干渉しないようになっている。
一方、図6の状態で駆動源41を上記の逆方向に駆動すれば、上体レスト部22が下向きに旋回されつつ可動フレーム8が初期位置に復帰され、中央レスト部21、上体レスト部22、および下腿レスト部23がフラット状に連なって図3のようなベッドの形態に復帰することになる。
次に、以上のような可動床式ベッドを構成する各部材の具体的構造について説明する。先ず、図7〜図9により基台フレーム1の構造を説明すれば、係る基台フレーム1は左右一対の側板11,11と、底面板16および前面板17とを有する箱型であり、前面板17に対向する後部側(使用者の足元側)は上記可動フレーム8の移動を許容するべく全面開口されている。
又、図7および図8から明らかなように、側板11には左右一対のネジ軸42に固着されるスプロケット77の位置で切欠孔18が穿設され、その切欠孔18を通じて左右一対のスプロケット77,77にチェーン78が巻き掛けられている。
尚、スプロケット77,77の間には、駆動源71の主軸に固着されるスプロケット71Aが設けられ、これによってチェーン78が駆動されるようになっている。
又、図8および図9から明らかなように、スプロケット71Aの両側にはチェーン78に適度のテンションを付与するためのスプロケット79が設けられ、それらスプロケット79が前面板17に形成されるスリット19に沿って高さ調整可能としてある。尚、スプロケット71A,77,79およびチェーン78をプーリおよびベルトに代えることもできる。
次に、図10〜図15により床板フレーム3の構造について説明する。先ず、図10〜図11において、中央レスト部21は上記基台フレームより稍幅狭な矩形体で、その一端上部には上記基台フレームのブラケット12に結節するためのブラケット21Aが突設される。図11のように、ブラケット21Aは幅方向両側にあって相対向して設けられている。又、中央レスト部21の底部に突設されるカム体6も該中央レスト部の幅方向両側にあって相対向して設けられている。
一方、図12〜図13において、上体レスト部22も中央レスト部と同幅の矩形体であり、その一端上部には上記基台フレームのブラケット12に結節するためのブラケット22Bが突設される。図13のように、ブラケット22Bは幅方向両側にあって相対向して設けられている。又、上体レスト部22の底部にはその幅方向両側に上記ブラケット22Aが突設されており、これに上記連接アーム76の一端が接続されるようになっている(図3参照)。
又、図14〜図15から明らかなように、可動フレーム8は三角形状を成す左右一対の板材8A,8Bから構成され、その両板材8A,8Bが下腿レスト部23の底部両端に結合されている。尚、下腿レスト部23は、2つの板材8A,8Bから構成される可動フレーム8の上面部に固設される矩形体であり、その幅は中央レスト部と同じに設定される。一方、可動フレーム8を構成する一対の板材8A,8Bは、その両者間に架設される上記横架軸75にて連結され、該板材8A,8Bの外側で横架軸75の両端に上記ガイドローラ82が設けられる構成としてある。
尚、圧接ローラ83は、上記カム体6に対応して板材8A,8Bの内側に設けられると共に、ガイドローラ81は基台フレームの側板に形成されるガイドレール15に嵌合すべく板材8A,8Bの外側に設けられている。
以上、本発明に係る上掛排除装置を備えたベッドの構成例を説明したが、係るベッドは図示例に限定されるものでなく、必要に応じてその形態を変更することもできる。例えば、図5では中央レスト部21が上方に15度程度傾斜した状態が示されるが、その最大傾斜角はカム体6の形状変更などにより適宜変更することができる。又、図6では椅子形の形態にして上体レスト部22が後方に稍傾斜した状態が示されるが、連接アーム76の長さを変えるなどして起立姿勢における上体レスト部22を直立状にすることもできる。
尚、床板フレーム2は、上体レスト部22が起伏動作するものであれば、下腿レスト部23が固定式のものでもよく、更には上体レスト部22の起伏動作に連動して全体が昇降動作する構成とすることもできる。
又、上掛排除装置4を上体レスト部22の起伏動作に連動させる手段として、上体レスト部22と旋回アーム41との支点軸P1,P2に固着されるギア3,5を非接触のプーリ又はスプロケットとし、その両者にベルト又はチェーンを襷掛け(クロス掛け)するなどしてもよい。更に、駆動源71とは別に旋回アーム41,42を旋回させる専用の駆動源を設け、これを制御回路により駆動源71と同調的に駆動させるようにしてもよい。
特に、上記のような上掛排除装置は、ベッドに一体的に組み付けられることに限らず、種々のベッドに併設できるよう、ベッドとは別に独立して構成することができる。
図16は係る上掛排除装置の構成例を示した側面図であり、図17には図16のX−X線における部分拡大断面を示す。図16、図17において、100は左右一対の基材であり、その両基材100,100はベッドの幅に合わせて長さ調節可能な横架材101により平行に連結される。又、一対の基材100,100には、それぞれ2つの支柱102,103が固着され、それら支柱102,103の上端部に旋回アーム104,105の一端が回転自在に結節されている。そして、それら旋回アーム104,105が支柱102,103との結節部分を支点としてベッドの長さ方向に平行する面内(図示面内)で上下方向に旋回可能とされている。
特に、旋回アーム104,105の支点側の一端部にはレバー106,107が固着され、それらレバー106,107がリンク108により連接されると共に、旋回アーム104のレバー106には駆動源109の駆動力が与えられる構成としてある。
本例において、駆動源109は伸縮ロッド109Aを有するアクチュエータ(シリンダ装置)で、その本体部分が支柱103に固着したブラケット103Aで揺動自在に支持され、本体部分から延び出る伸縮ロッド109Aの先端がレバー106に接続されている。
一方、旋回アーム104,105の自由端側には、上掛布団を保持するための枠組みを形成する天蓋枠110が連接される。この天蓋枠110は、旋回アーム104,105の自由端側が連結される左右一対のサイドリンク111,111と、その両サイドリンク111,111の一端部間に架設される第1横架軸112と、この第1横架軸112に平行して両サイドリンク111,111の他端部間に架設される第2横架軸113とで構成される。
特に、第1横架軸112には上掛布団のフット側の一端(横臥者の足元を覆う側)が紐やベルトにより係止され、第2横架軸113には上掛布団を排除するときに該上掛布団のヘッド側の一端部分(横臥者の胸部を覆う側)が巻き掛けられるようになっている。
尚、第1横架軸112と第2横架軸113は、基材100,100を連結する横架材101と同じくベッドの幅に合わせて長さ調節可能とされる。又、第2横架軸113は、図18のように両端を下向きに折り曲げて門形(アーチ形を含む逆凹字形)とされ、旋回アーム104,105の下方旋回により天蓋枠110が降下されたときでも第2横架軸113がベッド上の横臥者に干渉せぬようにしてある。
図19は以上のように構成される上掛排除装置をベッドBに併設した状態を示す。この図で明らかなように、係る上掛排除装置によれば、ベッドBの下に通される横架材101により左右一対の基材100,100を連結して全体が組み上げられ、ベッドBの左右両側に旋回アーム104,105が位置付けられることになる。そして、旋回アーム104,105はベッドBの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回し、その自由端側に連接された天蓋枠110を水平状態に保って昇降させることになる。
又、上記のように上掛布団Uを排除する時には、そのヘッドB側の一端部分を第2横架軸113に巻き掛けた状態で天蓋枠110がベッドB上の所定高さ位置まで上昇移動されるが、天蓋枠110が降下されたときには第2横架軸113から上掛布団Uの一端部分を外して横臥者の胸元に掛けることができる。
ここで、ベッドBは、図20から明らかなように、上体レスト部201、中央レスト部202、下腿レスト部203、及び足レスト部204を屈曲自在に連ねた床板フレーム200を有するもので、駆動源205(シリンダ装置)を駆動した場合には、上体レスト部201が倒伏姿勢から起立姿勢に転換する一方、下腿レスト部203が下方に折れ曲がり、その裏側に足レスト部204が折り畳まれることにより、全体が中央レスト部202を座部とする椅子形に転換する構成とされるが、本発明に係る上掛排除装置は、その種のベッドBに限らず、種々のベッドに併設して上掛布団Uをベッド上に上昇される天蓋枠110に保持した状態で排除することができる。
次に、天蓋枠の変更例について説明すれば、図21〜図24に示される天蓋枠120は、左右一対のサイドリンク121,121を複数のリブ122Aで連結した構成で、その各リブ122Aが上掛布団UをベッドB(床板フレーム2,200)上における横臥者の脚部から浮かせた状態に保持する保持部122とされている。これによれば、横臥者の脚部が上掛布団Uで圧迫されないため寝心地がよく、しかも保持部122内にヒータを配置して横臥者の足元を加温できるという効果が得られる。
特に、各リブ122Aは、ベッド上における横臥者の脚部に干渉せぬよう上方に湾曲されたアーチ状の形態で、その内側には横臥者の脚部を収容し得るトンネル状の空洞が形成される。そして、係る保持部122上には横臥者の脚部を覆うように上掛布団Uが載せられ、その上掛布団Uのヘッド側が保持部122より張り出して横臥者の胸部を覆うようになっている。又、保持部122には横臥者の足元側に位置するリブ122Aに垂れ幕123が取り付けられ、その垂れ幕123により横臥者の足元側の開口部分が閉鎖されるようにしてある。
尚、係る天蓋枠120も図1、図16などに示される旋回アーム41,42/104,105の自由端側に連接されてベッド上で昇降されるが、その上昇により上掛布団Uを排除するときには、図24のように上掛布団Uの2つに折り重ねた状態で保持部122上に載せることができる。
以上、本発明について説明したが、保持部122は複数のリブ122Aで形成されることに限らず、横臥者の脚部全体を覆うような半円状の板材で形成してもよい。又、垂れ幕123に代えて、木材などの硬質板を用いることもできる。
1 基台フレーム
2 床板フレーム
21 中央レスト部
22 上体レスト部
23 下腿レスト部
4 上掛排除装置
41,42 旋回アーム
43 天蓋枠
43A サイドリンク
43B 第1横架軸
43C 第2横架軸
104,105 旋回アーム
109 駆動源(旋回アーム駆動用)
110,120 天蓋枠
112 第1横架軸
113 第2横架軸
122 保持部
122A リブ
U 上掛布団
2 床板フレーム
21 中央レスト部
22 上体レスト部
23 下腿レスト部
4 上掛排除装置
41,42 旋回アーム
43 天蓋枠
43A サイドリンク
43B 第1横架軸
43C 第2横架軸
104,105 旋回アーム
109 駆動源(旋回アーム駆動用)
110,120 天蓋枠
112 第1横架軸
113 第2横架軸
122 保持部
122A リブ
U 上掛布団
Claims (2)
- ベッドに併設されて前記ベッドに掛けられた上掛布団(U)を所定高さ位置まで担ぎ上げる上掛排除装置であり、
前記ベッドの左右両側に2つずつ配置されて該ベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能に設けられる二対の旋回アーム(41,42、104,105)と、その各旋回アーム(41,42,104,105)における旋回中心となる支点側の一端部とは反対の自由端側に連接して前記上掛布団(U)を保持するための枠組みを形成する天蓋枠(43,110)とを備え、
前記天蓋枠(43,110)は、上掛布団(U)のフット側の一端を係止する第1横架軸(43B,112)と、この第1横架軸(43B,112)に平行して上掛布団(U)の中間部分または上掛布団(U)のヘッド側の一端部分が巻き掛けられる第2横架軸(43C,113)とを有し、当該天蓋枠(43,110)が前記旋回アーム(41,42、104,105)の旋回動作により前記ベッド上で上掛布団(U)を保持しながら昇降するようにしたことを特徴とするベッド用上掛排除装置。 - ベッドに併設されて前記ベッドに掛けられた上掛布団(U)を所定高さ位置まで担ぎ上げる上掛排除装置であり、
前記ベッドの左右両側に2つずつ配置されて該ベッドの長さ方向に平行な面内で上下方向に旋回可能に設けられる二対の旋回アーム(41,42、104,105)と、その各旋回アーム(41,42、104,105)における旋回中心となる支点側の一端部とは反対の自由端側に連接して前記上掛布団(U)を保持するための枠組みを形成する天蓋枠(120)とを備え、
前記天蓋枠(120)は、上掛布団(U)をベッド上における横臥者の脚部から浮かせた状態に保持する保持部(122)を有し、その保持部(122)は横臥者の脚部を収容し得るトンネル状の空洞を形成すると共に天蓋枠(120)を上昇させるときに上掛布団(U)を折り重ねて載せ得る板材または複数のリブ122Aから成り、当該天蓋枠(120)が前記旋回アーム(41,42、104,105)の旋回動作により前記ベッド上で上掛布団(U)を保持しながら昇降するようにしたことを特徴とするベッド用上掛排除装置。
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