JP2515395Y2 - シートクッションのロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用シート（座席）におけるシートクッ
ションのロック装置、詳しくは、前後方向に傾動するシ
ートバックをリクライニングアジャスタを介してシート
クッションに装着し、前記シートクッションと車床との
間に前倒リンクを設けて前記シートクッションを前記車
床上に降下させてなる自動車シートにおいて、シートバ
ックがシートクッション上に前倒した状態でないと、シ
ートクッションを車床上に降下させることのできないシ
ートクッションのロック装置に関するものである。

（従来の技術及びその課題） 従来の自動車用シートには、車床とシートクッション
間に、前倒れしてシートクッションを車床上に降下させ
る前倒れリンクを設けて、シートバックをシートクッシ
ョンに前後方向に傾動可能にリクライニングアジャスタ
を介して取付け、シートバックをシートクッション上に
前倒れさせた後、シートクッションを前倒れリンクを前
倒れして車床上に降下させ、シートバック背裏を後部の
荷物台の延長として使用しているものがある（例えば実
開昭59-143836号公報）。

斯る自動車用シートにあっては、シートバック背裏を
荷物台の延長として使用するため、シートバックをシー
トクッション上に前倒れさせると共に、シートクッショ
ンを降下させている。しかし、シートバックを前倒させ
る前にシートクッションを降下させることもできる。そ
のため、シートバックを起立状態としてシートクッショ
ンに乗員が着座すると、前倒れリンクによってシートク
ッションが前後方向に揺動するので、乗員が着座時に誤
ってシートクッションを降下させる虞れがあり、着座時
にシートクッションを降下させると座り心地等が損なわ
れる不具合があった。

本考案は、かかる点に鑑みなされたものであり、シー
トクッションを降下させ、シートバック背裏を荷物台の
延長として使用する際、シートバックがシートクッショ
ン上に前倒れしなければ、シートクッションを降下させ
ることができないようにすることを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案にかかりシートクッションのロック装置は、シ
ートクッションには、このシートクッションの車床上へ
の降下を阻止するキャッチと、このキャッチと操作レバ
ーを連結する第１ケーブルと、前記操作レバーをロック
するロック片とを設け、前記ロック片とシートバック間
には、前記シートバックの前倒れによって前記ロック片
を前記操作レバーからロック解除する第２ケーブルを設
けたものである。

（作用） 上記構成に係るシートクッションのロック装置は、シ
ートバックが起立状態では、キャッチはシートクッショ
ンの車床上への降下を阻止し、このキャッチを操作する
操作レバーはロック片によりロックされている。

従って、操作レバーを操作してシートクッションのキ
ャッチをロック解除できないので、シートクッションは
降下することがない。

一方、シートバックが前倒れすると、シートバックに
よって第２ケーブルが引張られ、操作レバーをロックす
るロック片が操作レバーからロック解除する。

その後、操作レバーはロック解除状態となるので、こ
の操作レバーを操作すると、キャッチは第１ケーブルに
よって引張られ、キャッチによって車床への降下が阻止
されていたシートクッションはロック状態が解除し、シ
ートクッションが車床上に降下する。

（実施例） 本考案に係る一実施例を第１図乃至第４図に基づいて
説明する。同図中、（Ａ）は自動車用シートで、後部に
は車体の一部である荷物台（Ｂ）が設けられている。

前記自動車シート（Ａ）はシートクッション（１）と
シートバック（２）からなり、シートバック（２）が前
後方向に傾動可能にリクライニングアジャスタ（Ｒ）を
介してシートクッション（１）に連結されている。リク
ライニングアジャスタ（Ｒ）は従来周知の構造からな
り、シートクッション（１）に固定したギア（３）に、
シートバック（２）に設けたロック片（図示せず）が係
脱することにより、シートバック（２）の傾動角度を変
えることができる構成からなっている。

更に、シートクッション（１）の底面四隅と車床
（Ｃ）との間に前倒リンクとなる平行リンク（４）・・
・が取付けられ、この平行リンク（４）・・・が下端を
中心として上端が前方向へ前倒れすることによりシート
クッション（１）が車床（Ｃ）上に降下する。

シートクッション（１）の後部（1a）に、キャッチ
（６）を設け、このキャッチ（６）が荷物台（Ｂ）に固
設されたコ字状ストライカ（５）に係止して、シートク
ッション（１）をロック状態とする。

キャッチ（６）に鉤状からなり、一端（6a）をシート
クッション（１）の後部（1a）に回動可能に取付けて、
他端（6b）が荷物台（Ｂ）のストライカ（５）に係止さ
れるようにする。そして、このキャッチ（６）は一端
（6a）がコイルバネ（７）の弾性により他端（6b）がス
トライカ（５）に係止する方向に常時付勢されている。

一方、シートクッション（１）の前部（1b）にはキャ
ッチ（６）をストライカ（５）から離脱するための操作
レバー（８）が設けられている。

操作レバー（８）はその中央部（8a）が回動可能にシ
ートクッション（１）に取付けられ、後端部（8b）がキ
ャッチ（６）の一端（6a）側に第１のケーブル（９）に
より連結されている。

即ち、操作レバー（８）の先端（8c）を持ち上げる
と、後端（8b）が移動して第１ケーブル（９）が引張ら
れる。そして、この第１ケーブル（９）が引張られる
と、キャッチ（６）の一端（6a）がシートクッション
（１）側方向に後退する。そのため、このキャッチ
（６）の他端（6b）がストライカ（５）から離脱して、
シートクッション（１）のロック状態が解除される。

操作レバー（８）はその先端（8c）が常時下方向へ回
動すべく中央部（8a）がコイルばね（10）により付勢さ
れている。

更に、操作レバー（８）の後端部（8b）には操作レバ
ー（８）の回動を規制するロック片（11）が設けられて
いる。

ロック片（11）はその基端部（11a）が回動可能にシ
ートクッション（１）に取付けられ、先端部（11b）が
操作レバー（８）の後端部（8b）に形成したピン（8d）
に係合して操作レバー（８）の回動を規制している。

ロック片（11）はその先端部（11b）が操作レバー
（８）のピン（8d）の係合方向に付勢するように基端部
（11a）にコイルばね（12）が巻装されている。

更に、このロック片（11）とシートバック（２）との
間に第２ケーブル（13）が配設され、この第２ケーブル
（13）はシートバック背裏（2c）に設けた突部（14）と
ロック片（11）との間に夫々連結する。

即ち、ロック片（11）はシートバック（２）をシート
クッション（１）上に前倒させると、シートバック背裏
（2c）の突部（14）が移動してロック片（11）が第２ケ
ーブル（13）により引張られる。その為、ロック片（1
1）は先端部（11b）が操作レバー（８）のピン（8d）か
ら後退する方向へ移動し、操作レバー（８）のロック状
態を解除する構造である。

上記構成に係るシートクッションのロック装置によれ
ば、自動車用シート（Ａ）をシートとして使用すると、
第２図に示す様、シートクッション（１）の後部（1a）
のキャッチ（６）が荷物台（Ｂ）のストライカ（５）に
係合し、シートクッション（１）がロック状態となる。

キャッチ（６）を操作する操作レバー（８）はロック
片（11）により回動が規制されているため、乗員が操作
レバー（８）を誤って持ち上げても操作できず、シート
クッション（１）が車床（Ｃ）上に降下することがな
い。

一方、シートバック（２）の背裏（2c）を荷物台とし
て使用するには、第３図に示す様、シートバック（２）
をシートクッション（１）に前倒しすると、第２ケーブ
ル（13）が引張られる その為、操作レバー（８）のピン（8d）に係合してい
るロック片（11）は図示矢印方向へ回動し、操作レバー
（８）のピン（8d）から後退し、操作レバー（８）のロ
ック状態を解除する。

操作レバー（８）を持ち上げると、後端部（8b）が回
動し、第１ケーブル（９）を引張る。

第１ケーブル（９）が引張られるため、ストライカ
（５）にロックしていたキャッチ（６）は回動し、キャ
ッチ（６）の他端（6b）がストライカ（５）から後退
し、シートクッション（１）の荷物台（Ｂ）へのロック
状態が解除し、リンク（４）を前倒してシートクッショ
ン（１）を車床（Ｃ）に降下される。

すると、第４図に示す様に、シートバック（２）の背
裏（2c）が水平状となり、荷物台（Ｂ）とともに荷物を
おくことが可能となる。

その後、シートとして使用するには、平行リンク
（４）を起立状態とし、操作レバー（８）を操作してキ
ャッチ（６）をストライカ（５）に係合すると、シート
クッション（１）はロック状態となる。

そして、シートバック（２）を起立状態とすると、ロ
ック片（11）はコイルばね（12）の付勢力により、操作
レバー（８）に係合し、操作レバー（８）をロックす
る。

（考案の効果） 本考案によれば、次の効果が生じる。

シートバックが前倒れしないと、シートクッションの
車床への降下を阻止するキャッチがロック解除しないた
め、シートクッションを降下させることができず、誤操
作によってシートバックが前倒れする前にシートクッシ
ョンが降下しない。

その為、着座状態でシートクッションの降下を防止で
きる。

シートバックを前倒れしないと、ロック片によって操
作レバーがロック状態となり、操作レバーが操作できな
いので、乗員の誤動作が防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシートクッションのロック装置を
用いた自動車シートの斜視図、第２図は第１図のシート
の要部の側面図、第３図はシートバックが前倒れした際
の第２図に示すシートの要部の側面図、第４図はシート
クッションが降下してシートバック背裏を荷物台とした
場合の第２図に示すシートの要部の装置である。 図中、１はシートクッション、２はシートバック、Ｒは
リクライニングアジャスタ、４は前倒れリンク、６はキ
ャッチ、８は操作レバー、９は第１ケーブル、11はロッ
ク片、13は第２ケーブルである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前後方向に傾動するシートバックをリクラ
   イニングアジャスタを介してシートクッションに装着
   し、前記シートクッションと車床との間に前倒リンクを
   設けて前記シートクッションを前記車床上に降下させて
   なる自動車用シートにおいて、前記シートクッションに
   は、このシートクッションの車床上への降下を阻止する
   キャッチと、このキャッチと操作レバーを連結する第１
   ケーブルと、前記操作レバーをロックするロック片とを
   設け、前記ロック片と前記シートバック間には、前記シ
   ートバックの前倒れによって前記ロック片を前記操作レ
   バーからロック解除する第２ケーブルを設けたことを特
   徴とするシートクッションのロック装置。