JP4032871B2 - シート装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用のシート装置に関し、特にシートの位置を前後方向に車両のフロアに対して大きく移動調整できるようにして、移動調整の範囲を着座使用域と、非着座使用域とに区別して使用できるように構成されるシート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートの位置を車両のフロアに対して大きく前後に移動調整できるようにして、乗員が着座して使用する領域と、荷物積載のためにスペースを拡大させる非着座使用の領域との位置に移動調整できるようにするシート装置としては、例えば実開平7-27934号公報に示されるものがある。この実施例では、第1と第2ロック機構部の2つのロック機構を備える長いスライド機構によって、シートをフロア上に支持している。そして、第1ロック機構部によってシートを着座使用の領域では細かに位置の調整ができるようにしている。一方、シートが非着座使用の領域にあるときには、シートバックまたは、シートクッションを折畳みテーブル状態、跳ね上げ状態、もしくはタンブル状態にしたとき、第2ロック機構部によってシートを所定の位置に保持できる構成にしている。この構成のシート装置では、操作レバーの操作によって、第1ロック機構部と第2ロック機構部の両方を解除できるように2本のケーブルを用いて操作レバーと第1と第2の各ロック機構部を連結している。またシートバックの折畳みと連動して第2ロック機構部が解除されるように、シートバックの角度調整機構と第2ロック機構部とはケーブルで連結される構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のシート装置の構成では、第1ロック機構部と第2ロック機構部はそれぞれ個別のケーブルで操作レバーと連結されているために、高価なケーブルの使用本数が増える。さらに、長い間の使用によって、ケーブルが伸びた場合、第1ロック機構部と第2ロック機構部の作動が互いに干渉し合い確実に解除できなくなる恐れがある。このために、本発明の課題は、安価で、第1ロック機構部と第2ロック機構部の操作レバーの作動による解除が、長い時間の使用によっても変化が少なく、連動して解除できる構成を提案することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明で講じた技術的な第1の手段は、シートの前後方向の位置を、所定の着座使用域と非着座使用域内で調整可能に、前記シートをフロア上に支持するスライド装置と、前記スライド装置に備えられ、操作機構の操作によって前記着座使用域内でのみ前記シートの位置を前後方向に調整できるように作動する第1ロック機構と、前記スライド装置に備えられ、前記シートのシートバックまたはシートクッションの位置と連動して、前記非着座使用域内でのみ前記シートの位置を調整できるように作動する第2ロック機構を備えるシート装置において、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構を、連動リンクによって連結し、前記操作機構の操作によって、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構を解除可能に構成し、前記シートバックを前倒しした状態において、前記シートは前記着座使用域に位置した状態では前記第1ロック機構により係止され、前記非着座使用域に位置した状態では前記第2ロック機構により係止されるように構成したことである。
【0005】
この構成によって、第1ロック機構部と第2ロック機構部は連動リンクで連結されていて、操作レバーの操作によって両方の解除が可能となる。
【0006】
更に本発明で講じた技術的な第2の手段は、上記第1の手段に加えて、前記連動リンクと前記第1ロック機構のいずれか一方にピンを配置し、いずれか他方に該ピンと係合する長穴を形成して、前記第1ロック機構の作動は前記第2ロック機構に伝達されるが、前記第2ロック機構の作動は前記第1ロック機構に伝達されないように構成したことである。
【0007】
この構成によって、シートの位置が着座使用域に位置するときと、被着座使用域にあるときを明確に区別できるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7を用いて、先ず本発明に関るシート装置1の第1の実施例について説明する。
【0009】
図7に示されるように、本発明に関るシート装置1は、車両のフロア9上に取付けられた長尺のシートスライド装置7によって、シート10の位置を前後方向に調整できるように構成している。シート10は、図7にBで示される範囲の移動が可能となっている。範囲Bの後方の部分となる範囲Aでは、シートスライド装置7に設けられている第1ロック機構6と複数の等間隔に形成された第1ロック穴72の作用によって、シート10の位置を段階的に細かく調整できる構成となっている。範囲Bの内、範囲A以外の位置では、図7に2点鎖線で示されるように、シート10をテーブル状態にしたとき、シートスライド装置7の第2ロック機構6と第2ロック穴73の作動によって、所定の位置でシート10は係止されるようになっている。シート装置1では、範囲Aをシート10の着座使用領域とし、また範囲A以外を非着座使用域として、明確に区別して利用することができるように構成されている。
【0010】
図1に示されるように、シート10は、着座部となるシートクッション2と、背凭れ部となるシートバック3を備えている。シート10はその下方部でシートベース22を介して、シートスライド装置7のアッパレール77の上面に固定されている。
【0011】
図1、図2および図3に示されるように、シートスライド装置7のアッパレール77は、フロア9上に固定されるロアレール71に摺動自在に支持される。ロアレール71に対しアッパレール77をロックまたはロック解除するロック装置4が備えられている。ロック装置4は、第1ロック機構6と第2ロック機構5によって構成され、第1ロック機構6は第1ロックレバー75を、また第2ロック機構5は第2ロックレバー76をそれぞれ備えている。
【0012】
図3に示されるように、第1ロックレバー75はアッパアーム77の側壁部に固定されたブラケット79と回転軸75aによって回転自在に取付けられ、その鍵状に曲がった下方先端の係止部75bは、ロアレール71の側壁部に設けられた第1ロック穴72に嵌るように構成されている。第1ロックレバー75の上端部は屈曲してアッパアーム77の幅方向(図3の左右方向)で略水平に伸び作動端部75cが形成されている。第1ロックレバー75は、図示しないばね手段で、図3で反時計方向に回転するように付勢されている。そして、常には係止部75bが第1ロック穴72に嵌ることによって、ロアレール71に対するアッパレール77の移動を規制する構成となっている。しかしながら、作動端部75cを下方に、図示しないばね手段の付勢力に抗しながら押すことによって、第1ロックレバー75は、図3で時計方向に回転し、係止部75bの第1ロック穴72に対する係合が外れる。
【0013】
第2ロック機構5の構成は、第1ロックレバー75と類似し、第2ロックレバー76の下方先端の係止部76bは第2ロック穴73に嵌ることができるように、図示しないばね手段で付勢されている構成となっている。ただ、第1ロック穴72と第2ロック穴73とはロアレール71の高さ方向での位置が異なる上に、また前後方向でも互いに異なる範囲の中に形成されている。このために、図2と図3に示されるように、係止部75bが第1ロック穴72に嵌り第1ロック機構6が係止状態にあるとき、第2ロック機構5の係止部76bの位置に第2係止ロック73は無いために、側壁面上に接触した状態となっている。同様に、例えばシート10が図1の位置から前方、即ちシートが着座使用域より前方の非着座使用域になると、第1ロック穴72は設けられてなく、第1ロック機構6は係止状態にならない。代わって、所定の第2係止穴73が設けられている位置で、第2ロック穴73に第2係止部76bが嵌り、ロアレール71に対しアッパレール77の移動を規制できる構成となっている。
【0014】
第1ロック機構6は第1ロックレバー75を解除方向に回転させるための、第1レリースレバー61を有している。第1レリースレバー61は略L字形状をした平板のリンクで中央部が回転軸62でアッパレール77の側面に回転自在に取付けられている。第1レリースレバー61の上辺の先端部には接続ピン64が取付けられ、そして接続ピン64に第1ケーブル46の一端が接続されている。
【0015】
第1ケーブル46の他端は、操作レバー45の下方に突起して設けられた接続部45aの端部に接続されている。操作レバー45は、シートベース22に対して、その回転部45bで回転自在に取付けられ、図1において時計方向に回転することによって、第1ケーブル46を引くことができる構成となっている。通常操作レバー45は、図示しないばね手段で図1の反時計方向に付勢されている。操作レバー45の水平に前方に伸びる端部を持ち上げるように操作して、図1で時計方向に回転させることによって、第1ケーブル46は引かれ、第1レリースレバー61は時計方向に回転する、そして第1レリースレバー61の当接端65は第1ロックレバー75の作動端部75c(図3)を下方に移動する。その結果、第1ロックレバー75は図3で時計方向に回転し、係止部75bを第1ロック穴72から外して、第1ロック機構6の係止を解除することができる。
【0016】
第2ロック機構5は、第2ロックレバー76を解除方向に回転させるための第2レリースレバー51を有している。第2レリースレバー51は、回転軸52でアッパレール77の側面に回転自在に取付けられ、第1レリースレバー61と類似した構成となっていて、その上端部の接続ピン54に第2ケーブル47が接続されている。
【0017】
第2ケーブル47の他端は、シートクッション2のフレーム(図示せず)に回転軸42で取付けられた駆動レバー41の下端部の接合ピン43に連結されている。カム30は、シートバック3のフレーム35の下端に固定されている。シートクッション2とシートバック3の互いに回転結合され、シートバック3とシートクッション2の回転角度の調整は、既知のシートリクライニング装置(図示せず)で行われる。カム30の中心は、シートリクライニング装置の回転中心と一致して配置されている。図1に示すようにカム30は概略円形のカム底面31を有し、カム底面31の外径上に突起するようにカム凸面32が形成されている。そして、図1に示すように、シートバック3が起立し着座使用できる状態にあるとき、カム凸面32は駆動レバー41の当接端44に当接し、駆動レバー41が接続ピン43を介して第2ケーブル47を引き、第2ロック機構5の第2ロックレバー76を常に解除位置に保持する。このために、シート装置1は、シートバック3が起立しているとき、範囲A内の着座使用領域内では、操作レバー45の操作のみで細かく、シート10の前後の位置調整ができるようになっている。
【0018】
更に、図1に示されるように、第2レリースレバー51の回転軸52と接続ピン54の中間位置に連結リンク48がピン53で回転自在に取付けられている。連結リンク48は略水平に後方に伸び、その後端部には前後方向に伸びる長穴48aが形成されている。そして、長穴48aには、第1レリースレバー61の回転軸62と接続ピン64中間位置に取付けられてピン63が嵌っている。長穴48aの形状と位置は、図1に示されるように、シートバック3が起立して第2レリースレバー51が第2ロックレバー76と当接して解除するとき、ピン63は長穴48a内で摺動し、第1レリースレバー61とは連動されないように形成されている。一方、図2に示すように、シートバック3が、前倒れ位置になっている場合は、連結リンク48は前方に移動し、ピン63は長穴48aの後端部と当接するようになる。この状態で操作レバー45を操作すれば、第1レリースレバー61と第2レリースレバー51は連動して作動し、シート10が非着座使用域で所定の位置で第2ロック機構5を解除することと、着座使用域では前後位置調整のために第1ロック機構6を解除することができる構成となっている。
【0019】
以上のように構成された、本発明の第1実施例のシート装置1について、作動を説明する。
【0020】
図1に示されるシート10は、シートバック3が起立し着座使用域の最前方の位置になっている。この状態から図2に示すようにシートバック3を前倒しすると、第2レリースレバー51は、反時計方向に回転し第2ロックレバー76との当接が解除される。しかしながら、第2ロックレバー76が嵌るための第2ロック穴73はこの位置には設けられていないために、シート10の位置はこの位置では第1ロック機構6によって係止されている。この状態で、操作レバー45を操作して、第1ロック機構6を解除するとシート10は前後に移動可能になり、前方へも大きく移動できる。図2の位置より前方には第1ロック穴72が形成されていないために、操作レバー45を放しても、シート10の移動は係止されない。更に前方に移動し、第2ロックレバー76が第2ロック穴73の位置に到達すると、図示されないばねの作用で、自動的に係合し、シート10の位置が係止される。更にシート10を前進させるためには、再度操作レバーを操作することによって、連動リンク48で連結された第2ロック機構5が解除させ、移動可能となる。そして、スライド装置7に設けられたストッパ(図示せず)によって規定される最前方の位置まで移行させることができる。またこの位置に別の第2ロック穴73が設けられ位置が保持されるようになっている。
【0021】
このように作動する、シート装置1では、シートバック1が起立した状態でも、シート10の位置が非着座使用域になっているときは、係止されず、着座使用域に位置する場合と明確に区別が付くために、使用者に注意を喚起して安全な使用を促す効果もある。
【0022】
次に、図4、図5および図8を用いて、本発明に関るシート装置の第2の実施例について説明する。
【0023】
このシート装置101では、スライド装置107のアッパレール177に対してシートクッション2の前方下端で回転自在に結合している。この回転軸上に、第1実施例のシートバック3の下端に設けられたカム30に相当する、カム130をシートクッション2の前方下端部に設け、アッパレール177とシートクッション2との回転によって、第2ロック機構105のロック、またはロック解除を可能にする構成となっている。
【0024】
この構成では、第1ロック機構106の第1ロックレバー175を解除するための操作レバー145は直接第1レリースレバー161に結合されている。また、シートクッション2後部とアッパレール177を結合するために、既知の構成によるロック機構180が取付けられている。
【0025】
このシート装置101の作動は、図5に示されるように、シートクッション2後部のロック装置180が解除し、シートクッション2を反時計方向に回転させ、図8に2点鎖線で示すように倒立させたとき、即ちシート110をタンブル状態にしたとき、第1実施例のようにシート110を所定の位置にロックして使用することができるようになる。
【0026】
更に、本発明に関るシート装置の第3の実施例として、図6及び図9に示されるシート装置201がある。この場合、シートベース222に対してシートクッション2の後方下端で回転自在に結合し、シートクッション2の位置に第2ロック機構205を連動させて、上記の実施例1、および2と同様の作動させるように構成したシート装置である。このようなシート装置は、シートクッション2の下を荷物スペースとしても利用しようとする場合に利用される。
【0027】
【発明の効果】
上記したように、本発明では、第1ロック機構と第2ロック機構が、ケーブルなどのように緩みが発生しない、連結リンクで連動するように構成しているために、安価で構成される上に、長い使用の経過でも安定した作動が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例のシート装置の着座使用状態にあるときの側面図である。
【図2】本発明に係る第1実施例のシート装置のシートバックを前倒しした状態の側面図である。
【図3】図3のC−C箇所の断面形状を示す。
【図4】本発明に係る第2実施例のシート装置の着座使用状態にあるときの側面図である。
【図5】本発明に係る第2実施例のシート装置のタンブル状態にあるときの側面図である。
【図6】本発明に係る第3実施例のシート装置のシートクッション跳ね上げ状態にあるときの側面図である。
【図7】本発明に係る第1実施例のシート装置の着座使用状態と非着座使用状態にあるときを示す側面図である。
【図8】本発明に係る第2実施例のシート装置の着座使用状態と非着座使用状態にあるときを示す側面図である。
【図9】本発明に係る第3実施例のシート装置の着座使用状態と非着座使用状態にあるときを示す側面図である。
【符号の説明】
1 シート装置
5 第2ロック機構
6 第1ロック機構
7 スライド装置
9 フロア
10 シート
45 操作機構(操作レバー)
48 連結リンク
48a 長穴
63 ピン

Claims (2)

  1. シートの前後方向の位置を、所定の着座使用域と非着座使用域内で調整可能に、前記シートをフロア上に支持するスライド装置と、前記スライド装置に備えられ、操作機構の操作によって前記着座使用域内でのみ前記シートの位置を前後方向に調整できるように作動する第1ロック機構と、前記スライド装置に備えられ、前記シートのシートバックまたはシートクッションの位置と連動して、前記非着座使用域内でのみ前記シートの位置を調整できるように作動する第2ロック機構を備えるシート装置において、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構を、連動リンクによって連結し、前記操作機構の操作によって、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構を解除可能に構成し、前記シートバックを前倒しした状態において、前記シートは前記着座使用域に位置した状態では前記第1ロック機構により係止され、前記非着座使用域に位置した状態では前記第2ロック機構により係止されることを特徴とするシート装置。
  2. 前記連動リンクと前記第1ロック機構のいずれか一方にピンを配置し、いずれか他方に該ピンと係合する長穴を形成して、前記第1ロック機構の作動は前記第2ロック機構に伝達されるが、前記第2ロック機構の作動は前記第1ロック機構に伝達されないように構成していることを特徴とする請求項1に記載のシート装置。
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