JP2512073Y2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

エンジンの燃料噴射制御装置

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JP2512073Y2
JP2512073Y2 JP3345390U JP3345390U JP2512073Y2 JP 2512073 Y2 JP2512073 Y2 JP 2512073Y2 JP 3345390 U JP3345390 U JP 3345390U JP 3345390 U JP3345390 U JP 3345390U JP 2512073 Y2 JP2512073 Y2 JP 2512073Y2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエンジンの燃料噴射制御装置、特に、エンジ
ンの電磁噴射弁に印加する燃料噴射パルス信号のパルス
幅を制御する装置に関する。
〔従来の技術〕
一般に、電子制御式燃料噴射装置を備えたエンジンに
対する燃料供給量の制御は、電磁噴射弁に印加する燃料
噴射パルス信号のパルス幅を増減することによって行わ
れる。このパルス幅の基本値としては、各工程ごとにシ
リンダ内の吸入空気量に応じた値を設定するのが理想的
であるが、現実的には、エアフローメータによって検出
された全吸入空気量Qをエンジン回転数Nで除した値Q/
Nに基づいてシリンダ内の吸入空気量を推定し、この推
定値から基本パルス幅を求めている。ところが、加速時
にはエアフローメータの検出値がオーバーシュートし、
吸入空気量の推定値が実際値を上回り、オーバーリッチ
の状態となることが知られている。逆に、減速時にはエ
アフローメータの検出値がアンダーシュートし、推定値
が実際値を下回り、オーバーリーンの状態となることが
知られている。
このような不都合を避けるために、Q/Nに基づいて得
られる基本パルス幅に対していわゆるなまし処理を行
い、基本パルス幅の時間的な変動を緩慢にする方法が知
られている。たとえば、特開昭58−25531号公報には、
前回の基本パルス幅値とQ/Nに基づいて得られた基本パ
ルス幅値との間で加重平均をとり、この加重平均値を今
回の基本パルス幅値として用いるなまし処理が開示され
ている。このなまし処理により、加速時あるいは減速時
にエアフローメータがオーバーシュートあるいはアンダ
ーシュートしても、その影響が基本パルス幅の値に直接
及ぶことを避けることができる。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述した従来のなまし処理は、エンジ
ン始動時に不適当な動作をするという問題がある。クラ
ンキング時は、エアフローメータによる吸入空気量検出
値と、シリンダ内の実際の吸入空気量との間に大きな差
があるため、なまし処理後の基本パルス幅値が、現実的
な値に比べかなり小さくなってしまうのである。このた
め、始動時にリーンの状態が発生し、始動時の最適制御
が行えないという問題が生じる。
そこで本考案は、エンジン始動時にも適切ななまし処
理を行うことができ、始動時の最適制御を行うことがで
きるエンジンの燃料噴射制御装置を提供することを目的
とする。
〔課題を解決するための手段〕
本願考案は、エンジンへの吸入空気量を検出する吸入
空気量検出手段と、 エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、 検出された吸入空気量を検出された回転数で除し、そ
の商に基づいて基本パルス幅を演算する基本パルス幅演
算手段と、 所定のパルス幅の値を記憶するメモリと、 基本パルス幅と、メモリに記憶されたパルス幅と、の
加重平均を求めるなまし処理を行い、求めた値をなまし
処理後のパルス幅として出力するとともに、この値によ
ってメモリを書き換えるなまし処理手段と、 エンジンの運転状態に応じた補正量により、なまし処
理後のパルス幅を補正するパルス幅補正手段と、 を備え、補正後のパルス幅をもった燃料噴射パルス信
号をエンジンの電磁噴射弁に印加することにより燃料量
の制御を行うエンジンの燃料噴射制御装置を改良した考
案である。
本願第1の考案は、上述のエンジンの燃料噴射制御装
置において、 エンジンの始動を検出する始動検出手段と、 エンジンの始動時における基本パルス幅の最適値とし
て予め求められた値を、初期値としてメモリに書き込む
初期値設定手段と、 を更に設け、なまし処理手段が、始動検出手段によっ
てエンジンの始動が検出された直後から初期値を用いて
なまし処理を開始しうるようにしたものである。
本願第2の考案は、上述のエンジンの燃料噴射制御装
置において、 エンジンの始動を検出する始動検出手段と、 この始動検出手段が始動を検出した時点からの経過時
間を測定する計時手段と、 この計時手段による測定時間が所定値を経過するまで
は第1の係数を、経過した後は第1の係数とは異なる第
2の係数を、それぞれなまし係数として設定するなまし
係数設定手段と、 を更に設け、なまし処理手段が加重平均を求める際
に、なまし係数の大きさに応じた重みづけをするような
演算を行うようにしたものである。
〔作用〕
本願第1の考案によれば、なまし処理はエンジン始動
直後から行われる。しかも、このなまし処理には、始動
時における基本パルス幅の最適値として予め定められた
値が初期値として用いられるので、始動時にも適切なな
まし処理が行われ、始動時の最適制御が可能になる。
本願第2の考案によれば、エンジン始動時から所定時
間が経過するまでの間は、通常とは異なるなまし係数を
用いたなまし処理が行われる。このため、始動時に適し
たなまし処理を行うことができ、始動時の最適制御が可
能になる。
〔実施例〕
以下、本考案を図示する実施例に基づいて説明する。
燃料噴射制御系の一般的な構成 第1図および第2図は、本願第1の考案および第2の
考案の装置のそれぞれ基本構成を示すブロック図であ
る。これらの装置の構成についての説明を行う前に、一
般的なエンジンの燃料噴射制御系を第3図を用いて簡単
に説明する。第3図に示す系において、エンジンに対す
る空気の流れは次のとおりである。まず、エアクリーナ
10から入った空気は、エアフローメータ12を経て、スロ
ットルバルブ14を通して内部に取り込まれる。この空気
量はスロットルバルブ14によって調整されるが、スロッ
トルバルブ14が全閉状態であっても、これと並列に設け
られたバイパスバルブ16を通して所定量の空気が取り込
まれる。取り込まれた空気は吸気バルブ18によってシリ
ンダ20内に吸入され燃焼に供される。燃焼後のガスは排
気バルブ22から排出され、触媒コンバータ24を経て外部
へ排気される。
一方、燃料タンク50からの燃料は、燃料ポンプ52によ
って電磁噴射弁54へ送られ、電磁噴射弁54の弁が開く
と、吸気バルブ18の近傍に噴射される。また、イグニシ
ョンコイル60で発生した高電圧は、ディストリビュータ
62で各シリンダごとに分配され、点火プラグ(図示され
ていない)へと導かれる。シリンダ20の外部を循環する
冷却水の温度は、冷却水温センサ70によって検出され、
排気ガス中の酸素濃度は酸素濃度センサ72によって検出
される。
このようなエンジンに対する電子制御は、コントロー
ルユニット100によって行われる。図に示すように、こ
のコントロールユニット100には、エアフローメータ12
からエアフロー検出信号AFが、スロットルバルブ14から
スロットルポジション検出信号TPが、冷却水温センサ70
から冷却水温検出信号TEMPが、ディストリビュータ62か
らエンジン回転数検出信号RPMが、酸素濃度センサ72か
ら酸素濃度検出信号O2が、それぞれ与えられる。また、
スタータモータを回転させている状態では、スタータ信
号STが与えられ、イグニションスイッチをONにした状態
では、イグニションスイッチ信号IGが与えられる。
一方、コントロールユニット100からは、バイパスバ
ルブ16に対してアイドル制御信号ISCが与えられ、アイ
ドル時の吸入空気量の制御が行われる。また、電磁噴射
弁54に対しては燃料噴射パルス信号INJが与えられ、燃
料供給量が制御される。すなわち、電磁噴射弁54は、燃
料噴射パルス信号INJが与えられている期間だけ燃料の
噴射を行う。本考案の燃料噴射制御装置は、コントロー
ルユニット100内に組み込まれるものであり、燃料噴射
パルス信号INJのパルス幅を制御する機能を有する。な
お、実際にはコントロールユニット100には、第3図に
示す以外の検出信号あるいは制御信号が出入りしている
が、本願の本旨には直接関係しないので説明は省略す
る。
本願の燃料噴射制御装置の基本構成 続いて、第1図のブロック図に示されている各構成要
素の説明を行う。前述のように、この各構成要素はコン
トロールユニット100内に組み込まれるものであり、実
際には、コントロールユニット100を構成するハードウ
エアおよびこれを動作させるソフトウエアによって実現
されるものである。吸入空気量検出手段101は、エアフ
ロー検出信号AFに基づいて、エアフローメータ12を流れ
る吸入空気量Qを検出する機能を有する。また、回転数
検出手段102は、エンジン回転数検出信号RPMに基づい
て、エンジン回転数Nを検出する機能を有する。検出さ
れたこれらの値QおよびNは、基本パルス幅演算手段10
3に与えられ、ここで基本パルス幅WBが、 WB=Q/N・k なる式で演算される。ここでkは所定の定数である。な
まし処理手段104は、この基本パルス幅WBに対してなま
し処理を行う機能を有する。ここで、なまし処理とは、
パルス幅の値の時間的な変動を緩慢にする処理であり、
具体的には次のような処理となる。いま、この装置の経
時的な動作を考えると、基本パルス幅WBは一定の周期ご
とに毎回次々と新しい値が演算される。そこで、所定の
なまし係数α(ただし、0≦α≦1)を用い、各回ごと
に、 Wi=Wi-1・α+WB・(1−α) なる演算を行う。ここで、Wiを、なまし処理後のパルス
幅の今回値と呼び、Wi-1を前回値と呼ぶことにする。こ
の今回値Wiは、次回のWBに対する演算では前回値Wi-1
して用いられる。この前回値Wi-1を一時的に記憶してお
くのがメモリ105である。たとえば、第1回目(すなわ
ち、i=1)に与えられたWBに対しては、 W1=W0・α+WB・(1−α) なる演算が行われ、第1回目のなまし処理後のパルス幅
W1が得られる。ここで、W0はもともとメモリ105に記憶
されていた初期値であり、演算後にメモリの内容はW0
らW1に書き換えられる。続いて、第2回目(i=2)に
与えられたWBに対しては、 W2=W1・α+WB・(1−α) なる演算が行われ、第2回目のなまし処理後のパルス幅
W2が得られる。このように、このなまし処理とは、今回
与えらえれた基本パルス幅WBと、処理後のパルス幅の前
回値Ei-1と、の加重平均を求め、求めた加重平均値を処
理後のパルス幅の今回値Wiとする処理ということができ
る。Wi-1とWBとのどちらに重みを置くかを決定するのが
なまし係数αである。αが大きいほど、Wi-1の方に重み
が置かれることになる。別言すれば、過去の値に重みが
置かれるため、急激な変動が抑制され、なまし効果が強
くなる。逆にαが小さいほど、WBの方に重みが置かれる
ことになり、急激な変動が容認され、なまし効果が弱く
なる。これは、α=1(最大値)の場合に今回値が前回
値と全く等しくなり、α=0(最小値)の場合に前回値
が完全に無視されることを考えれば容易に理解できよ
う。α=0.5の場合は、なまし処理は相加平均を求める
処理となる。本明細書における加重平均とは、このよう
な相加平均も含んだものである。
さて、なまし処理後のパルス幅Wiは、パルス幅補正手
段106において補正され、最終パルス幅Wが求められ
る。この補正演算は次式によって行われる。
W=Wi(1+C)+WV ここで、WVは無効噴射パルス幅、すなわち、電磁噴射弁
54に燃料噴射パルス信号を与えても、実際には燃料が噴
射されない遅れ時間に相当するパルス幅である。また、
Cは補正係数であり、加速時の増量補正係数、暖気時の
増量補正係数、酸素濃度に基づく補正係数などの総和と
して求められる。ここで、加速時の増量補正係数はスロ
ットルポジション検出信号TPに基づいて定めることがで
き、暖気時の増量補正係数は冷却水温検出信号TEMPに基
づいて定めることができ、酸素濃度に基づく補正係数は
酸素濃度検出信号O2に基づいて定めることができる。
こうして、最終パルス幅Wが得られると、電磁噴射弁
54に対して、パルス幅Wをもった燃料噴射パルス信号IN
Jが与えられることになる。以上に述べた各手段101〜10
6は、従来のなまし処理を行う燃料噴射制御装置におい
ても用いられている公知の手段である。
第1図に示す本願第1の考案の特徴は、これらの各手
段の他に、更に始動検出手段107および初期値設定手段1
08を付加した点にある。始動検出手段107は、エンジン
の始動時を検出する手段であり、本実施例の装置では、
スタータ信号STがOFFになったこと(すなわち、スター
タモータがOFFになったこと)により、あるいは、エン
ジンの回転数Nが所定の設定値NSTARTを越えたことによ
り、エンジンが始動したことを検出している。一方、初
期値設定手段108は、メモリ105内の初期値W0をWINIT
設定する手段である。
これに対し、第2図に示す本願第2の考案の特徴は、
従来の各手段に、始動検出手段107、なまし係数設定手
段109、そして計時手段110を付加した点にある。始動検
出手段107は、第1図に示したものと同じものである。
計時手段110は、この始動は検出された時点から、計時
を行うタイマーであり、なまし係数設定手段109は、計
時手段110が所定の経過時間Tを経過するまでは、なま
し係数αとして第1の係数α1を設定し、所定の経過時
間Tを経過した後は、なまし係数αとして第2の係数α
2を設定する機能を有する。したがって、なまし処理手
段104の行う演算に用いるなまし係数αの値は、時間T
の経過前後で異なることになる。
本願第1の考案および第2の考案の特徴となるこれら
の手段を含めた装置の動作については後に詳述する。
エンジン始動時の従来装置による動作 本願装置による動作を説明する前に、従来装置による
エンジン始動時の動作を簡単に述べておく。第4図は、
吸入空気量の時間変化を示すグラフであり、横軸に時
間、縦軸に空気量(パーセント値で示す)をとってあ
る。時間軸についてみると、時刻t0はイグニションスイ
ッチがONとなった時点、時刻t1はスタータモータがONと
なった時点、時刻t2はエンジンが始動した時点、時刻t3
は始動後安定になるまでの所定の時間Tが経過した時
点、をそれぞれ示している。ここで、期間t0〜t1を始動
準備期間、期間t1〜t2をクランキング期間、期間t2〜t3
を過渡期間、期間t3〜を安定期間、とそれぞれ呼ぶこと
にする。
まず、実線で示されたグラフAを説明する。グラフA
は、実際のシリンダ内吸入空気量を示すものである。エ
ンジン停止時は、シリンダ内圧力は大気圧となっている
ので、始動準備期間の実際の空気量は100%である。続
くクランキング期間では、シリンダ内が少しずつ負圧に
なってゆくため、実際の吸入空気量は100%から少し低
下する。そして、エンジンが始動すると、回転数が急激
に上昇するため、過渡期間に入ってからは、シリンダ内
の急激な圧力低下により吸入空気量は急激に減少し、安
定期間に入ると所定値に安定する。
続いて、同じく実線で示されたグラフBを説明する。
グラフBは、エアフローメータ12を通過する吸入空気量
を示すものである。すなわち、吸入空気量検出手段101
の検出値Qに対応する。始動準備期間は空気の取り込み
は行われていないので、吸入空気量は0%である。続く
クランキング期間では、シリンダ内が少しずつ負圧にな
ってゆくため、エアフローメータ12を通過して少しずつ
空気の吸入が行われるようになり吸入空気量は増加す
る。そして、過渡期間においてピークに達し、やがて安
定期間に入ると所定値に安定する。第4図は、この安定
期間においてグラフBがグラフAに一致するように規格
化して表わしてある。このように、安定期間に入れば、
エアーフローメータ12の検出信号から得られた吸入空気
量Q(グラフB)と、実際のシリンダ内の空気量(グラ
フA)とはかなりうまく一致する。ところが、始動準備
期間においては両者は全く異なる値を示し、これに続く
クランキング期間および過渡期間においてもかなりの差
が生じている。
さて、基本パルス幅WBが吸入空気量Qに比例して定め
られることは前述したとおりである。したがって、物理
量の時間的な変動を考察する場合、基本パルス幅WBと吸
入空気量Qとを、同じ物理量として取り扱っても問題は
生じない。そこで、第4図のグラフにおける縦軸は、説
明の便宜上、吸入空気量を示すとともに基本パルス幅を
も示すものと考える。このような前提を置くと、吸入空
気量Qに基づいて演算で求められる基本パルス幅WBの時
間変化は、同じグラフBで示されることになる。この基
本パルス幅WBに対してなまし処理を行えば、時間に対す
る変動が緩慢になるため、なまし処理後のパルス幅は、
たとえば、破線で示したグラフCのようなものになる。
これが、従来装置によるエンジン始動時の燃料噴射制御
動作である。すなわち、本来はグラフAに示される実際
のシリンダ内吸入空気量に見合ったパルス幅による制御
を行うべきところを、グラフCで示されるパルス幅によ
る制御が行われてしまう。このような不一致により、始
動時にリーンの状態が発生し、始動時の最適制御が行え
ないという問題が生じることは前述のとおりである(な
お、実際には、クランキング期間については、グラフC
で示されるパルス幅を用いるのではなく、定数として特
別に用意されたパルス幅を用いることになるので、グラ
フAとグラグCとの間の不一致が問題となるのは、過渡
期間においてということになる)。
本願第1の考案による装置の動作 本願第1の考案の特徴は、第1図に示すブロック図に
おいて、始動検出手段107と初期値設定手段108とを設け
た点にあり、第4図に一点鎖線で示すグラフDに対応す
るパルス幅を用いて過渡期間の燃料制御を行うことが可
能になる。以下、この動作を第6図の流れ図に基づいて
説明する。まず、ステップS11において、初期化が行わ
れる。すなわち、種々の変数の値がクリアされる。ただ
し、メモリ105内のパルス幅は、0にクリアされるので
はなく、初期値設定手段108によって初期値WINITに設定
される。この初期値WINITは、エンジンの始動時におけ
る基本パルス幅の最適値として予め求められた値であ
る。これは、第4図のグラフAのエンジン始動時t2にお
ける点Pの縦軸値に相当する。この値は、シリンダ内の
吸入空気量を何らかの方法で測定してグラフAを実測す
ることにより得ることができる。
続くステップS12では、各種信号の読み込みが行われ
る。これは、第3図に示すコントロールユニット100に
取り込まれている各種信号についての読み込み動作であ
る。そして、ステップS13でスタータがONか否か、ステ
ップS14で回転数Nが所定値NSTARTより小さいか否かが
判定される。この判定は、前述した始動検出手段107の
検出動作に対応する。いずれの判定結果も肯定的であれ
ば、エンジンはまだ始動していないと判断されたことに
なり、ステップS15へと進む。
ステップS15では、最終パルス幅Wとしてクランク時
のパルス幅WSが設定される。このパルス幅WSは、一定の
定数であり、クランキング期間の動作に最も適した値が
設定される。続くステップS16において、電磁噴射弁が
パルス幅Wで駆動される。すなわち、電磁噴射弁54に対
してパルス幅Wをもった燃料噴射パルス信号が与えられ
る。こうして再びステップS12からの処理が繰り返され
る。結局、エンジンの始動が検出されるまで、すなわち
クランキング期間内は、ステップS15を経由して一定の
パルス幅WSでの開ループ制御が行われることになる。
スタータがOFFになるか、回転数Nが所定値NSTATR
越えるかして、エンジンの始動が検出されると、以後は
ステップS17〜S21の手順が実行される。第1図に示す装
置は、この手順を実行するための装置に他ならない。ま
ず、ステップS17において基本パルス幅WBが演算され、
ステップS18でこれに対するなまし処理が行われ、Wi
演算される。この演算で用いられる前回値Wi-1は、ステ
ップS11において設定されたWINITである。この後、ステ
ップS19で、メモリの更新が行われる。すなわち、メモ
リ105の内容が、今演算で求めたWiの値に書き換えら
れ、これは次回の演算で前回値Wi-1として用いられるこ
とになる。そして、ステップS20において補正量Cが演
算され、ステップS21において最終パルスWが演算され
る。こうしてステップS16では、パルス幅Wによる電磁
噴射弁の駆動が行われ、再びステップS12からの処理が
繰り返される。結局、エンジン始動後、すなわち過渡期
間以後は、ステップS17〜S21を経由して閉ループ制御が
行われることになる。
ここで、再び第4図のグラフに基づいて、以上の制御
動作の特徴を示そう。この制御動作の特徴は、エンジン
始動後(時刻t2以後)になまし処理を開始し、しかも、
開始時の初期値としてWINITを用いる点にある。このた
め、なまし処理後のパルス幅を示すグラフDの始点は点
Pになる。従来装置では、なまし処理は時刻t1から開始
され、しかもその初期値は0であったため、グラフCの
始点は点Rとなってしまう。グラフDはグラフCに比べ
て、本来のグラフAに近くなっており、過渡期間におけ
る適切な制御が可能になることがわかる。
本願第2の考案による装置の動作 本願第2の考案の特徴は、第2図に示すブロック図に
おいて、始動検出手段107、なまし係数設定手段109、お
よび計時手段110を設けた点にあり、第5図に一点鎖線
で示すグラフEに対応するパルス幅を用いて過渡期間の
燃料制御を行うことが可能になる。以下、この動作を第
7図および第8図の流れ図に基づいて説明する。ステッ
プS31における初期化およびステップS32における各種信
号読み込みの手順は前述の実施例と同様である。ただ、
メモリ105内のパルス幅の初期値は、従来装置と同様に
0にクリアされてしまってかまわない。
続くステップS33およびS34において、イグニションが
初めてONになった場合にのみ、すなわち、時刻t0におい
て一度だけ、タイマー値Tがセットされる。このタイマ
ー値Tが、計時手段110が測定する所定時間Tに対応す
るものであり、エンジンが始動してから安定期間に入る
までに必要な時間として定められる。
次のステップS35およびS36でエンジンの始動を判定
し、始動していなければ、ステップS37の始動前準備処
理へと進む。この始動前準備処理は、エンジン始動直後
(時刻t2)に行われるなまし処理の準備段階と言える処
理であり、具体的には、エンジンが始動した時刻t2にお
けるメモリ105内のパルス幅値を決定する処理となる。
この処理については、後でもう一度詳しく説明すること
にする。
続くステップS38では、最終パルス幅Wとして、クラ
ンク時のパルス幅WSが設定され、ステップS39で電磁噴
射弁が駆動される。こうしてクランキング期間は、パル
ス幅WSによる開ループ制御が行われる。
エンジンの始動が検出されると、ステップS35またはS
36を経て、ステップS40(第8図)へと進み、基本パル
ス幅WBが演算される。そして、この基本パルス幅WBに対
してのなまし処理が行われることになるが、このとき、
なまし処理に用いるなまし係数αの値として2とおりの
値が用いられる。すなわち、ステップS41でT=0とな
っていなければ、ステップS42においてなまし係数αと
して第1の係数α1が設定され、ステップS43でタイマ
ー値Tが1だけデクリメントされる。一方、ステップS4
1でT=0となっていれば、ステップS44においてなまし
係数αとして第2の係数α2が設定される。結局、時刻
t2〜t3に至る過渡期間内は、タイマー値Tが徐々にデク
リメントされてゆき、時刻t3においてT=0となる。別
言すれば、過渡期間内は第1の係数α1を、安定期間内
は第2の係数α2を、それぞれなまし係数αとして設定
することになる。これが、計時手段110およびなまし係
数設定手段109の機能である。
以下のステップS45〜S48の各手順は、前述したステッ
プS18〜S21の各手順と全く同じである。ただ、ステップ
S45のなまし処理では、2とおりの係数のいずれか一方
が用いられる点だけが異なる。
ところで、エンジン始動直後に行われる1回目のなま
し処理において、前回値Wi-1として用いられる初期値が
どのような値であるかを考える。本願第1の考案では、
この初期値としてWINITが用いられた。本願第1の考案
は、この初期値を特定の値WINITに設定することによ
り、従来技術の問題解決を図るのが目的であった。これ
に対し、ここで述べている本願第2の考案は、過渡期間
内のなまし処理で用いるなまし係数の値を、それ以後の
安定期間のなまし処理で用いるなまし係数とは異ならせ
ることにより、従来技術の問題解決を図るのが目的であ
る。したがって、この初期値としてはどのような値を用
いてもかまわない。第5図に示すように、本願第1の考
案では、初期値として点Pの縦軸値を用いた。また、従
来装置では、初期値として点Iの縦軸値が用いられてい
る。あるいは、点Jの縦軸値を初期値に用いることもで
きよう。この初期値を決定する処理が、前述したステッ
プS37の始動前準備処理である。このステップS37におい
て、メモリ105に常にWINITを書き込むような処理をすれ
ば、本願第1の考案と同様に、点Pを初期値に対応する
点とすることができるし、基本パルス幅WBを書き込むよ
うな処理をすれば、点Jを予期値に対応する点とするこ
とができるし、なまし処理後のパルス幅を書き込むよう
な処理をすれば、従来装置と同様に、点Iを初期値に対
応する点とすることができる。
ここでは、従来技術との対比を明瞭にするために、点
Iを初期値に対応する点とした場合を説明する。この場
合、α1<α2となるような2つの係数を設定するよう
にすれば、なまし処理後のパルス幅は第5図のグラフE
のようになる。すなわち、過渡期間内は、通常のなまし
係数(α2)よりも小さななまし係数(α1)を用いた
なまし処理が行われるようになるため、なまし処理の効
果が弱まり、従来装置によるグラフCに比べて、基本パ
ルス幅WB(グラフB)に近いカーブとなる。結局、グラ
フEはグラフCに比べて、本来のグラフAに近くなって
おり、過渡期間における適切な制御が可能になることが
わかる。
なお、第5図に示す各グラフは、一実施例についての
特性を示すグラフであり、実際には、個々のエンジンシ
ステムごとに多種多様のグラフが描かれる。たとえば、
グラフAは、エンジンの吸入経路、シリンダ内容積など
の条件によってカーブが異なってくるであろうし、グラ
フBは、用いるエアフローメータの動特性によって大き
く異なることになる。本願第2の考案の要点は、要する
に、エンジン始動直後の所定期間(過渡期間)は、それ
以後の期間(安定期間)とは異なるなまし係数を用いて
なまし処理を行う点にある。したがって、本考案は上述
の実施例だけに限定されるものではなく、種々の態様で
実施可能である。たとえば、上述の実施例では、α1<
α2となる2つの係数を設定しているが、用いるエンジ
ンシステムによっては、α1>α2となる2つの係数を
設定した方が適当である場合もあり得よう。また、α1
=0に設定し、過渡期間内はなまし処理を実質的に行わ
ないようにすることも可能である。更に、過渡期間内を
更に複数の期間に分割し、それぞれで異なる係数を用い
るようにすることも可能である。
〔考案の効果〕
以上のとおり、本願第1の考案によれば、エンジンの
燃料噴射制御装置において、始動時における基本パルス
幅の最適値として予め定められた初期値を用い、エンジ
ン始動直後からなまし処理を開始するようにしたため、
始動時にも適切ななまし処理を行うことができ、始動時
の最適制御が可能になる。
また、本願第2の考案によれば、エンジンの燃料噴射
制御装置において、エンジン始動時から所定時間が経過
するまでの間は、通常とは異なるなまし係数を用いたな
まし処理を行うようにしたため、始動時に適したなまし
処理を行うことができ、始動時の最適制御が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本願第1の考案による燃料噴射制御装置の基本
構成を示すブロック図、第2図は本願第2の考案による
燃料噴射制御装置の基本構成を示すブロック図、第3図
は一般的なエンジンの燃料噴射制御系を示す図、第4図
は本願第1の考案による燃料噴射制御装置の動作を説明
するグラフ、第5図は本願第2の考案による燃料噴射制
御装置の動作を説明するグラフ、第6図は本願第1の考
案による燃料噴射制御装置の動作を説明する流れ図、第
7図および第8図は本願第2の考案による燃料噴射制御
装置の動作を説明する流れ図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−25531(JP,A) 特開 平2−33435(JP,A) 特開 昭63−94043(JP,A)

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンへの吸入空気量を検出する吸入空
    気量検出手段と、 エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、 検出された吸入空気量を検出された回転数で除し、その
    商に基づいて基本パルス幅を演算する基本パルス幅演算
    手段と、 所定のパルス幅の値を記憶するメモリと、 前記基本パルス幅と、前記メモリに記憶されたパルス幅
    と、の加重平均を求めるなまし処理を行い、求めた値を
    なまし処理後のパルス幅として出力するとともに、この
    値によって前記メモリを書き換えるなまし処理手段と、 エンジンの運転状態に応じた補正量により、前記なまし
    処理後のパルス幅を補正するパルス幅補正手段と、 を備え、前記補正後のパルス幅をもった燃料噴射パルス
    信号をエンジンの電磁噴射弁に印加することにより燃料
    量の制御を行うエンジンの燃料噴射制御装置において、 エンジンの始動を検出する始動検出手段と、 エンジンの始動時における基本パルス幅の最適値として
    予め求められた値を、初期値として前記メモリに書き込
    む初期値設定手段と、 を更に設け、前記なまし処理手段が、前記始動検出手段
    によってエンジンの始動が検出された直後から前記初期
    値を用いてなまし処理を開始するようにしたことを特徴
    とするエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 【請求項2】エンジンへの吸入空気量を検出する吸入空
    気量検出手段と、 エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、 検出された吸入空気量を検出された回転数で除し、その
    商に基づいて基本パルス幅を演算する基本パルス幅演算
    手段と、 所定のパルス幅の値を記憶するメモリと、 前記基本パルス幅と、前記メモリに記憶されたパルス幅
    と、の加重平均を求めるなまし処理を行い、求めた値を
    なまし処理後のパルス幅として出力するとともに、この
    値によって前記メモリを書き換えるなまし処理手段と、 エンジンの運転状態に応じた補正量により、前記なまし
    処理後のパルス幅を補正するパルス幅補正手段と、 を備え、前記補正後のパルス幅をもった燃料噴射パルス
    信号をエンジンの電磁噴射弁に印加することにより燃料
    量の制御を行うエンジンの燃料噴射制御装置において、 エンジンの始動を検出する始動検出手段と、 前記始動検出手段が始動を検出した時点からの経過時間
    を測定する計時手段と、 前記計時手段による測定時間が所定値を経過するまでは
    第1の係数を、経過した後は前記第1の係数とは異なる
    第2の係数を、それぞれなまし係数として設定するなま
    し係数設定手段と、 を更に設け、前記なまし処理手段が加重平均を求める際
    に、前記なまし係数の大きさに応じた重みづけを行うよ
    うな演算を行うようにしたことを特徴とするエンジンの
    燃料噴射制御装置。
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