JP2511756Y2 - ディスクブレ―キ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はディスクブレーキに関する。

「従来の技術」 従来のディスクブレーキとしては、第９図に示すよう
に、ディスク１の一側で車両の非回転部分に取り付けら
れ、ディスク１の回転方向に間隔をおいて設けられたパ
ッドガイド部２及び該パッドガイド部２よりディスク１
の外周をまたいでディスク１の一側から他側へ延びる一
対のアーム３を有するキャリア４に、前記ディスク１の
外周をまたぎ、該ディスク１の両側に対向する脚部（図
示せず）を有し、前記キャリア４のアーム３に、ディス
ク１の軸線方向に移動自在にキャリパ（図示せず）を取
り付け、パッドガイド部２にディスク１の両側に位置す
る一対のパッド５をディスク１の軸線方向に摺動自在に
支持させ、キャリア４と一対のパッド５との間に、キャ
リア４に一対のパッドガイド部５を押圧するパッドスプ
リング６を介在させ、前記キャリパの一方の脚部に設け
られマスタシリンダ（図示せず）からの油圧を受けて作
動するピストン（図示せず）によって一方のパッド５を
ディスク１の一側面に圧接させ、かつこの時生じる反力
によって前記キャリパの他方の脚部を介して他方のパッ
ド５をディスク１の他側面に圧接させ、これにより回転
するディスク１を制動するようにし、前記パッドスプリ
ング６の押圧作用によりパッド５の振動を防止するよう
にしたものが知られている。

「考案が解決しようとする課題」 ところが、従来のこのようなディスクブレーキにあっ
ては、キャリア４にパッド５を組み付ける場合に、キャ
リア４に取り付けられたパッドスプリング６にパッド５
が引っ掛かり、スムースにパッド５を組み付けることが
できないという問題があった。

本考案は、前記事情に鑑みてなされたもので、パッド
の組み付け時にパッドをスムースに組み付けることがで
きる組付作業性がよいディスクブレーキを提供すること
を目的とする。

「課題を解決するための手段」 本考案は、前記目的を達成させるために次のような構
成としている。即ち、ディスクの一側で車両の非回転部
分に取り付けられるとともに、ディスクの回転方向に間
隔をおいて配置されディスクの一側からディスクの外周
をまたいでディスクの他側へ延びるアームを有し、該ア
ームのディスクの回転方向で対向する壁部に段部を含む
パッドガイド部が形成されたキャリアと、前記ディスク
の外周をまたぎ該ディスクの両側に対向する脚部を有
し、前記キャリアに前記ディスクの軸線方向へ移動可能
に支持されたキャリパと、前記ディスクの両側において
前記キャリアの段部を含むパッドガイド部にディスクの
軸線方向に移動自在に支持され前記キャリパの脚部によ
り前記ディスクに押圧される一対のパッドと、前記パッ
ドガイド部と、前記一対のパッドの、パッドガイド部に
よって案内される壁面との間に介装される板部を有し、
前記一対のパッドを前記キャリアに押圧するように設け
られたパッドスプリングと、からなるディスクブレーキ
において、前記一対のパッドの、ディスクの回転方向で
相反し且つパッドスプリングの板部に当接する壁部のう
ち、ディスクの外周側に位置する部分には、ディスクの
回転方向に関して互いに近づくようなテーパ面が形成さ
れており、該テーパ面はキャリアの、ディスクの回転方
向で対向するパッドガイド部内壁とのなす角度が５°〜
20°に設定されていることを特徴としている。

「作用」 前記構成によれば、一対のパッドの、ディスクの回転
方向で相反し且つパッドスプリングの板部に当接する壁
部のうち、ディスクの外周側に位置する部分には、ディ
スクの回転方向に関して互いに近づくようなテーパ面が
形成されているため、該パッドを、略ディスク軸線方向
に沿わせ且つその壁部を板部側に配置した状態で、テー
パ面側を挿入先端側として、外方から、一対のパッドス
プリングの板部と板部との間へ挿入すると、挿入部分
は、幅の狭い部分から徐々に且つ連続的に幅が広くなる
ことになり、また、当接する段部もないため、パッドス
プリングの板部にパッドの壁部が引っ掛かることなくそ
の挿入が容易となる。しかも、テーパ面は、キャリア
の、ディスクの回転方向で対向するパッドガイド部内壁
とのなす角度が５°〜20°に設定されているため、パッ
ドスプリングの板部間へのパッドの引っ掛かりがより効
果的に防止されることになりその挿入が著しく容易とな
る。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図乃至第８図に基づい
て説明する。本考案のディスクブレーキは、ディスク12
の一側で車両の非回転部材に固定されるキャリア11と、
このキャリア11に支持されディスク12の軸線方向に移動
するキャリパ13と、ディスク12を挟んでディスク12の両
側に設けられた一対のパッド14と、キャリア11,パッド1
4間に設けられキャリア11にパッド14を押し付けるパッ
ドスプリング15とから概略構成されている。なお、第１
図は左右対称の構成となっているので左半分のみを図示
している。

キャリア11には、下部に段部16を有しディスク12の回
転方向に間隔をおいて一対のパッドガイド部17が設けら
れ、これら一対のパッドガイド部17には、ディスク12の
一側からディスク12の外周をまたいでディスク12の他側
へ延びる一対のアーム18がそれぞれ設けられている。一
対のパッドガイド部17,17のそれぞれの中間下部にはデ
ィスク12を通過させるための溝部19が形成されている。

また、キャリア11のパッドガイド部17,17には、ディ
スク12の両側に配設された一対のパッド14,14がパッド
スプリング15,15を介して支持されている。

パッドスプリング15は第８図に示すように、一対の脚
部（板部）21と、これら一対の脚部21を連結するブリッ
ジ部22とからなる基部23と、ブリッジ部22から下側へ延
ばされ脚部21の一方側へ若干折曲された抜け止め部24
と、ブリッジ部22から上側へ延ばされさらに下側へ折り
返された押圧部25とから概略構成されている。

押圧部25は断面半円状に形成されブリッジ部22による
脚部21の連結方向に延ばされている。脚部21の下部はそ
の他方側へ折曲され折曲部26とされており、これら折曲
部26の押圧部25の長さ方向両端には爪27が設けられてい
る。また脚部21の中間外側部にも押圧部25の長さ方向に
延びる爪28が設けられている。また一対の脚部21のそれ
ぞれの上端には規制部29が押圧部25側へ折曲されて設け
られている。

前記のように構成されたパッドスプリング15,15は、
それぞれキャリア11のパッドガイド部17,17の段部16に
折曲部26が係止され、ブリッジ部22,抜け止め部24がデ
ィスク12をまたいだ状態で基部23がパッドガイド部17に
当接され、アーム18,18の中間下部に抜け止め部24を弾
性力をもって係合させられて、キャリア11に、上方へ抜
け出さないように取り付けられている。規制部29は押圧
部25の所定の限度以上の上昇を規制する。

前記パッド14の両側端部にはそれぞれ突起状のトルク
受け部（壁部）30,30が設けられている。これらトルク
受け部30,30のトルク受け面31,31の上端には、トルク受
け部30,30の下端が前記パッドガイド部17の段部16に係
止された状態で、上端に向かうに従いパッドガイド部17
の内壁から遠ざかるテーパ面32が形成されている。この
テーパ面32の傾斜角度は第１図，第３図に示すトルク受
け面31の延長線31aに対する角度αが30°以下となる角
度とされている。またトルク受け面31とテーパ面32との
境界部31bは滑らかな曲面とされている。

一対のパッド14,14は、パッドスプリング15,15の折曲
部26上にトルク受け部30,30の下部を係止され、（即ち
パッドガイド部17の段部16に間接的にトルク受け部30の
下部を係止され、）基部23にトルク受け面31が当接され
た状態で、折曲部26,押圧部25間にトルク受け部30を嵌
入されられ、ディスク12の軸線方向の両側に対向させら
れて設けられている。

一対のパッド14,14は、押圧部25によりトルク受け部3
0を介してディスク12の略半径方向外方から内方に向け
て押圧され、これによりパッドスプリング15,15を介し
てキャリア11に押し付けられている。従って、一対のパ
ッド14,14は、キャリア11にパッドスプリング15,15を介
して摺動自在に支持されている。

また、一対のアーム18,18には、ディスク12の一方側
に設けられた一方の脚部33とこの一方の脚部33からディ
スク12の外周をまたいでディスク12の他方側へ延ばして
設けられた他方の脚部34とを有する前記キャリパ13がス
ライドピン35を介して摺動自在に取り付けられている。
このキャリパ13の一方の脚部33には図示しないマスタシ
リンダからの油圧を受けて第２図において矢印Ａ方向に
移動するピストン（図示せず）が設けられている。この
ピストンの端部には一方のパッド14が当接させられ、キ
ャリパ13の他方の脚部34には他方のパッド14が当接させ
られる。

そして、キャリア11に一対のパッド14,14を組み付け
るには、第４図ないし第７図に示すように行う。即ち
一方のパッド14を、第４図及び第５図に示すように、テ
ーパ面32をパッドスプリング15側に向けて略水平に位置
させ、一対のパッドスプリング15,15の側方より、第４
図に示す矢印Ｃ方向にパッド14を移動させて一対のパッ
ドスプリング15,15間に挿入する。

第６図に示すように、一方の脚部21にトルク受け部30
がほぼ対向した状態において同図に示す矢印Ｄ方向にパ
ッド14を略90°回動させる。

パッドスプリング15の折曲部26の上にトルク受け部30
の下端面を載せて係止させると共にパッド14をパッドス
プリング15の基部23に当接させる。

他方のパッド14も一方のパッド14と同様にして一対の
パッドスプリング15,15間に挿入し、折曲部26上にセッ
トする。

この場合、トルク受け部30にはテーパ面32が形成され
ているので、一対のパッドスプリング15,15間へのパッ
ド14の挿入が著しく容易であり、パッドスプリング15,1
5にパッド14が引っ掛かることはない。

この時、爪28も存在するので、よりパッド14の挿入が
スムーズである。特に、この作業は、人間が行なわず、
パッド14を挾持したマニュピレータが行なう場合には、
テーパ面32が存在しないと、爪28の曲面に案内されるよ
うになっていたとしても、ディスクの円周方向へのパッ
ド14の若干ずれによって、挿入作業が停止して挿入作業
が行えないこととなるが、テーパ面32によってこのよう
な不具合もなくなる。前記角度αは、５°以下である
と、パッド14の先端が案内されにくく、20°以上である
と、先端が挿入された後、引っ掛かり易いので、角度α
は５°〜20°が好ましい。

しかして、ディスクブレーキを使用した場合、キャリ
パ13の一方の脚部33のピストンが第２図において矢印Ａ
方向に移動すると、一方のパッド14が車輪と共に回転す
るディスク12の一側面に圧接し、またこの時生じる反力
によってキャリパ13が第２図において矢印Ｂ方向に移動
して他方の脚部34を介し他方のパッド14を回転するディ
スク12の他側面に圧接させ、これにより回転するディス
ク12を制動する。このとき、パッド14,14は、パッドス
プリング15,15によりキャリア１に押し付けられている
ので、ガタツキを抑制される。

なお、前記実施例においては、トルク受け面31の第１
図における上端にのみテーパ面32を設けたが、これに限
られることなく、トルク受け面31の第１図における下端
にも、一対のパッド14のトルク受け部30の下端がパッド
スプリング15の折曲部26上に係止された状態で、下端に
向かうに従いパッドガイド部17の内壁から遠ざかるテー
パ面を形成し、このテーパ面を、パッドスプリング15側
に向けて一対のパッドスプリング15,15間にパッド14を
挿入し、その後このパッド14を90°回動させて所定位置
にセットさせてもよい。

「考案の効果」 本考案によれば、ディスクの一側で車両の非回転部分
に取り付けられるとともに、ディスクの回転方向に間隔
をおいて配置されディスクの一側からディスクの外周を
またいでディスクの他側へ延びるアームを有し、該アー
ムのディスクの回転方向で対向する壁部に段部を含むパ
ッドガイド部が形成されたキャリアと、前記ディスクの
外周をまたぎ該ディスクの両側に対向する脚部を有し、
前記キャリアに前記ディスクの軸線方向へ移動可能に支
持されたキャリパと、前記ディスクの両側において前記
キャリアの段部を含むパッドガイド部にディスクの軸線
方向に移動自在に支持され前記キャリパの脚部により前
記ディスクに押圧される一対のパッドと、前記パッドガ
イド部と、前記一対のパッドの、パッドガイド部によっ
て案内される壁面との間に介装される板部を有し、前記
一対のパッドを前記キャリアに押圧するように設けられ
たパッドスプリングと、からなるディスクブレーキにお
いて、前記一対のパッドの、ディスクの回転方向で相反
し且つパッドスプリングの板部に当接する壁部のうち、
ディスクの外周側に位置する部分には、ディスクの回転
方向に関して互いに近づくようなテーパ面が形成された
構成としたので、該パッドを、略ディスク軸線方向に沿
わせ且つその壁部を板部側に配置した状態で、テーパ面
側を挿入先端側として、外方から、一対のパッドスプリ
ングの板部と板部との間へ挿入すると、挿入部分は、幅
の狭い部分から徐々に且つ連続的に幅が広くなることに
なり、また、当接する段部もないため、パッドスプリン
グの板部にパッドの壁部が引っ掛かることなくその挿入
が容易となる。したがって、パッドの組付性が著しく向
上し、特にパッドの自動組付けに用いて好適となる。

しかも、テーパ面は、キャリアの、ディスクの回転方
向で対向するパッドガイド部内壁とのなす角度が５°〜
20°に設定されているため、パッドスプリングの板部間
へのパッドの引っ掛かりがより効果的に防止されること
になりその挿入が著しく容易となる。したがって、パッ
ドの組付性がさらに向上し、パッドの自動組付けに用い
てさらに好適となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第８図は本考案の一実施例を示すもので、
第１図は一部の断面図、第２図は平面図、第３図は要部
の正面図、第４図ないし第７図はパッドの組付け手順を
説明するための図であり、第４図はパッドスプリングと
パッドとの関係位置を示す図、第５図は第４図のＶ矢視
図、第６図及び第７図はパッドスプリングとパッドとの
位置関係を示す図、第８図はパッドスプリングの斜視
図、第９図は従来のディスクブレーキの一部の断面図で
ある。 11……キャリア、12……ディスク、13……キャリパ、14
……パッド、15……パッドスプリング、16……段部、17
……パッドガイド部、18……アーム、30……トルク受け
部、31……トルク受け面、32……テーパ面、33……一方
の脚部、34……他方の脚部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスクの一側で車両の非回転部分に取り
   付けられるとともに、ディスクの回転方向に間隔をおい
   て配置されディスクの一側からディスクの外周をまたい
   でディスクの他側へ延びるアームを有し、該アームのデ
   ィスクの回転方向で対向する壁部に段部を含むパッドガ
   イド部が形成されたキャリアと、 前記ディスクの外周をまたぎ該ディスクの両側に対向す
   る脚部を有し、前記キャリアに前記ディスクの軸線方向
   へ移動可能に支持されたキャリパと、 前記ディスクの両側において前記キャリアの段部を含む
   パッドガイド部にディスクの軸線方向に移動自在に支持
   され前記キャリパの脚部により前記ディスクに押圧され
   る一対のパッドと、 前記パッドガイド部と、前記一対のパッドの、パッドガ
   イド部によって案内される壁面との間に介装される板部
   を有し、前記一対のパッドを前記キャリアに押圧するよ
   うに設けられたパッドスプリングと、 からなるディスクブレーキにおいて、 前記一対のパッドの、ディスクの回転方向で相反し且つ
   パッドスプリングの板部に当接する壁部のうち、ディス
   クの外周側に位置する部分には、ディスクの回転方向に
   関して互いに近づくようなテーパ面が形成されており、
   該テーパ面はキャリアの、ディスクの回転方向で対向す
   るパッドガイド部内壁とのなす角度が５°〜20°に設定
   されていることを特徴とするディスクブレーキ。