JP2510938Y2 - 透水性溝蓋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、歩行者が通過する道
路、公園等の溝蓋、ます蓋に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、溝蓋、ます蓋はコンクリート製、
鋳鉄製格子蓋、鋼板製グレーチングが一般的に使用され
ている。溝蓋、ます蓋の必要な機能は歩行者及び車両を
安全に通過させながら必要な排水機能を有することであ
る。又開閉に容易な重量であることも要求される。

【０００３】しかるに、コンクリート製蓋は重量が重い
割に強度、排水性能の点で不充分であり、コンクリート
層基盤に透水孔を設ける必要があり、又鋳鉄製格子蓋や
鋼板製グレーチングは強度、排水性能は充分であるが隙
間が大きいため、歩行者の安全性には問題があった。

【０００４】そのため鋳鉄製格子蓋や鋼板製グレーチン
グでは、その隙間を小さくし、いわゆる細目タイプが考
案され発売されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】前記の格子蓋やグレー
チング及びその細目タイプでは、いずれにせよ隙間があ
り、その隙間を通してゴミや落葉、たばこの吸いガラ等
が溝やます穴に入り込み定期的に清掃を必要とする欠点
があり、細目タイプはその製造上にも困難さを伴う欠点
があった。

【０００６】本考案は溝蓋、ます蓋において前記のよう
な欠点を解消し、歩行者に安全で、かつ、排水性も良
く、更にゴミ等の侵入も防いで清掃作業も簡単にできる
溝蓋、ます蓋の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本考案の溝蓋は、箱型の鋳鉄製基材と、その側壁の
内側面には上端から中段下部にかけて下窄まりの円弧面
をなす突起部と、該突起部の下面は下広がりに漸開され
突起部を水平基準に内部上方に適当の間隔でジョウゴ形
をなす排水用スリットと、山形状突起を交互に設けた中
底部と、該中底部の上に充填され、表面がほぼ平滑に仕
上げられた骨材と合成樹脂バインダーの混合物からなる
透水性素材とから構成してある。

【０００８】鋳鉄製基材は適当な間隔に排水用スリット
を設けながら透水性素材が充填し易く、かつ、充填され
た透水性素材が外部にこぼれ落ちないような形状、例え
ばスリット間は５ミリ以下に成形されている。

【０００９】透水性素材２は、粒径４〜８ミリの骨材と
合成樹脂バインダーの混合物、又は粒径４〜８ミリの骨
材と同粒径の軟質骨材及び合成樹脂バインダーの混合物
から構成する。

【００１０】

【作用】鋳鉄製基材の肉厚は敷設される道路・公園等の
使用箇所の荷重条件に応じて調整されるため、歩行者は
勿論、車両の通行にも損傷することはない。

【００１１】透水性素材が充填されると、適当な加圧に
より表面が略平滑になり、素材間には天然石又は粒径の
小さい骨材と、軟質骨材及び合成樹脂バイダーとの間に
は無数の隙間が存在し、その隙間は水のみを通す程度と
なるため、その上を歩行する例えば、細いかかとのハイ
ヒールを履いた女性の通行も安全となる。降水及びその
他の水は、透水性素材の隙間を通り最後に鋳鉄製基材の
スリットを通って排水される。

【００１２】

【実施例】本考案の好適な一実施例について、以下図面
に従って説明する。

【００１３】図１は本考案に基づき作成された溝蓋の上
面図、図２はその断面図を示すものであって、鋳鉄製基
材１は溝の形状に応じた幅を持ち、長さは５００〜６０
０ミリに作られる。同時に開閉に便利なように対向する
側枠２辺に開閉用の窪み４も付けられる。鋳鉄製基材１
は金型、砂型等の鋳型によって成型する。

【００１４】透水性素材２は、粒径１．０〜８．０ミリ
の天然石８、好ましくは粒径４〜８ミリの天然石に、適
当な量の硬化剤と硬化促進剤を混合したエポキシ樹脂９
を重量で３〜７％混合したものである。

【００１５】排水用スリット３は前記透水性素材２がこ
ぼれ落ちないように隙間３を５ミリ程度とする。鋳鉄製
基材１の中底部５は図２に示すように上方が広がるジョ
ウゴ型の連続としている。これは透水性素材２を充填し
易くする作用と同時に基材に剛性を持たせ、かつ、狭い
隙間のスリット３に対する成形性も良くしている。

【００１６】底面５に設けられた窪み７は基材の剛性を
損なうことなく重量の軽減を目的としている。骨材８と
して直径４〜８ミリの天然石を用い、この天然石に数％
のエポキシ樹脂を混合した透水性素材２は、既に各地の
道路公園等の歩道用に舗装材として使用実績があり、透
水性能やその性能保持は充分な実績がある。

【００１７】また、粒径４〜８ミリの天然石と、同粒径
の軟質骨材、例えばゴムチップ、或いはウレタンチップ
を混合し、それにウレタン樹脂をバインダーとして混合
した混合物で透水性素材２を構成する。

【００１８】図３は道路が歩行者のみでなく車両も通行
し、車両が溝蓋上で急発進、急ブレーキをかける恐れが
あり、その場合、透水性素材２の相互間で剥離を起こす
恐れのある場合、鋳鉄製基材の底面５を適当な間隔で上
面まで突出させた突出部６を設けて、車両による剥離作
用を軽減する実施例を示した上面図であり、図４はその
断面図を示したものである。

【００１９】透水性素材２を充填支持する鋳鉄製基材１
の底面５は、周囲縁枠の厚さ方向のほぼ中間位置に形成
すると共に、鋳鉄製基材１の底面を適当な間隔に縦、横
に仕切り骨となるよう上面まで突出した任意数の突出部
６を設けて、鋳鉄製基材１の補強と、上記剥離作用の軽
減効果の他に溝蓋表面のデザインとして活用できる効果
を持っている。

【００２０】尚、前記骨材は天然石に代えて高炉、転炉
スラグからなる硬質緻密な人工砂の粗粒を用いることも
できる。

【００２１】

【考案の効果】本考案の透水性溝蓋によれば、表面がほ
ぼ平滑であり、ハイヒールを引掛けたり、また、ベビー
カーを押す歩行者にも安全であり、一種の透水性素材の
充填層だけで排水性能も充分確保され、しかも、鋳鉄製
基材は下部のアーチ形断面で支架されるため強度的にも
十分支持力を保有し、且つ、鋳鉄製基材の形状を工夫す
ることにより、デザイン性にも優れ、タイやが溝蓋上に
かかり、急発進、急ブレーキを掛けるような恐れのある
場所でも、中段部の曲面をもつジョウゴ形スリットを構
成する山形状突出部を間隔をあけて上面まで突設させる
ことにより、透水性骨材の緊締と、骨材間の空隙率も効
率的に安定し、且つデザイン性と合わせて車輌の通行に
も充分耐え得る、比較的軽量の溝蓋、ます蓋とすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す平面図で一部を切欠す
る。

【図２】図１の断面図。

【図３】同他の実施例を示す平面図。

【図４】図３の断面図。

【符号の説明】

１ 鋳鉄製基材 ２ 透水性素材 ３ スリット ４ 窪み ５ 中底部 ６ 中底部の上面突出部 ７ 中底部の窪み ８ 骨材 ９ 合成樹脂バインダー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小林 史樹 三重県桑名郡長島町大字大倉１ー243 (72)考案者 今澤 肇 東京都杉並区高円寺南３ー24ー21 (56)参考文献 特開 昭57−112531（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−42989（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−97477（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−103887（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−81992（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭52−5056（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−180580（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭56−15261（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 箱型の鋳鉄製基材と、その側壁内側面に
   は上端から中段下部にかけて下窄まりの円弧面をなす突
   起部と、該突起部から下面は下広がりに漸開され突起部
   を水平基準に内部に適当の間隔でジョウゴ形をなす排水
   用スリットと、山形状突起を交互に設けた中底部と、該
   中底部の上に充填され、表面がほぼ平滑に仕上げられた
   骨材と合成樹脂バインダーの混合物からなる透水性素材
   とからなる透水性溝蓋。
2. 【請求項２】 透水性素材が粒径４〜８ミリの骨材と合
   成樹脂バインダーの混合物であることを特徴とする請求
   項１記載の透水性溝蓋。
3. 【請求項３】 透水性素材が粒径４〜８ミリの骨材と、
   同粒径の軟質骨材及び合成樹脂バインダーの混合物であ
   ることを特徴とする請求項１記載の透水性溝蓋。