JP2510942Y2 - 透水性景観溝蓋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、歩行者が通過する道
路、公園等の側溝や排水溝に設置する溝蓋、ます蓋に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、雨水の排水のため道路の片側又は
両側部に設けられた側溝、公園等の排水口、溝等にはこ
れらを覆うように溝蓋、ます蓋が設置されているが、こ
れらの溝蓋、ます蓋にはコンクリート製、鋳鉄製格子
蓋、鋼製枠が一般的に使用されている。溝蓋、ます蓋の
必要な機能は、歩行者及び車輌を安全に通過させながら
必要な排水機能を有することである。また開閉に容易な
重量であることが要求される。

【０００３】しかるに、コンクリート製蓋は重量が重い
割りに強度、排水性能の点で不十分であり、かつコンク
リート製基盤に透水孔を設ける必要があり、また鋳鉄製
格子蓋や鋼製枠は強度、排水性能は充分であるが隙間が
大きいため、歩行者の安全性に問題があった。そのため
鋳鉄製格子蓋や鋼製グレーチングでは、その隙間を小さ
くし、いわゆる細目タイプが考案され使用されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】前記の鋳鉄製格子蓋
や、鋼製グレーチング及びその細目タイプのものでは、
いずれにせよ隙間があり、その隙間を通してゴミや落
葉、タバコの吸い殻等がます目や溝に入り込み、滞積し
て排水を阻害するため定期的に清掃を必要とする欠点が
あり、また、不用意にハイヒールの踵が落ち込み、思わ
ぬ怪我をするなどの危険性を合せ持っている。さらに細
目タイプはその製造上にも困難さを伴う欠点があった。

【０００５】本考案は道路の側溝や排水溝に覆設する溝
蓋、ます蓋において、前記のような欠点を解消し、車や
歩行者の通行も安全でかつ、排水性も良く、更にゴミ等
の侵入も防いで清掃作業も簡単にできる比較的軽い透水
性景観溝蓋、ます蓋を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するため手段】上記目的を達成するため、
本考案の透水性景観溝蓋は、各種の荷重条件に対応する
強度を有する鋼製枠と、その上面に透水性レジンモルタ
ルを支える透水孔を有する鋼板と、その鋼板の表面に舗
装された透水性レジンモルタルとからなる。鋼製枠は、
使用条件の設計荷重に耐えるよう各部材を選定し、その
鋼板の上面に骨材と合成樹脂バインダーの混合物からな
る透水性レジンモルタルを充填し舗装して、表面をほぼ
平滑に仕上げると共に、鋼製枠の四周の側板上縁と同一
高さに調整する。

【０００７】透水性レジンモルタルは、粒径１０mm以下
の骨材と合成樹脂バインダーの混合物、又は粒径１０mm
以下の骨材と同粒径の軟質骨材及び合成樹脂バインダー
を混練した混合物から構成されている。また、ねじ孔を
有しこれにビスを螺挿して上面を閉塞した吊金具を、鋼
製枠内の主桁で支持しその上面を透水性レジンモルタル
舗装表面と同一面に埋設しておき、敷設後の溝蓋の開閉
に際し、適宜にビスを外し、そのねじ孔にハンドル工具
軸のねじ部を螺着して溝蓋を着脱させるようにする。

【０００８】透水性レジンモルタルとして使用する骨材
は、海岸や河口付近で採取される玉砂利、各種砂礫、高
炉、転炉スラグ、砕石等を採用し、軟質骨材は各種のゴ
ムチップ、ウレタンチップ等が採用され、骨材にブレン
ドすることにより柔軟性のある歩行感が得られる。また
合成樹脂バインダーとしてはウレタン、エポキシ、ポリ
エステル、アクリル等が採用され、透水性レジンモルタ
ルとしての骨材との配合は重量比で 骨材：合成樹脂バインダー＝１００：２〜８ 骨材：軟質骨材：合成樹脂バインダー＝３０：１０：２〜６ とすることにより、１８〜３０％の空隙率が得られ、そ
の層内の連続した無数の隙間により充分な排水性が得ら
れる。

【０００９】

【作用】上記構成の透水性景観溝蓋は、通常の如く道
路、公園等の側溝や排水溝部の溝肩上部に設けられた受
枠に設置するもので、透水性景観溝蓋の厚さ（高さ）は
敷設される使用箇所の荷重条件に応じた高さに調整さ
れ、その四周の側板が透水性レジンモルタルの舗装表面
と同一高さに形成されているため、歩行者には何等支障
はない。

【００１０】鋼製枠の上面に透水孔を有する鋼板、例え
ばパンチングメタルを介して充填舗装された透水性レジ
ンモルタルは、適当な加圧により表面がほぼ平滑に仕上
げられ、その透水性レジンモルタルは１０mm以下の骨材
とそれに混合した合成樹脂バインダーの混合物で結合し
たものであるから、骨材及び合成樹脂バインダーの間に
は無数の隙間が存在し、その隙間は水のみを通過する程
度のものとなるため、その上を歩行する、例えば細い踵
のハイヒールを履いた女性でも靴を突っ掛けたり足元に
注意を要することなく、通常の舗装面と同様に安全に歩
行できる。そして、降雨水その他の水は、透水性レジン
モルタル層の隙間を通り、パンチングメタルの透水孔を
通って鋼製枠下方の大きな隙間から側溝或いは排水口部
に流れ込み排水される。

【００１１】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図１において本考案の透水性景観溝蓋は、各種の荷重条
件に対応する強度を有し周囲を側板２で囲われた鋼製枠
１と、その上面に透水孔３を有する鋼板４と、その鋼板
表面に舗装された透水性レジンモルタル６とから構成さ
れている。

【００１２】図１及び図２において、前記の周囲を側板
２で囲まれた鋼製枠１は、前記の透水孔３を有する鋼板
４を、鋼製枠１の側板２の上縁から少なくとも１０mm強
の深さの内部に水平に配置し、使用箇所の強度に対応し
て側板にわたり適宜の間隔を保つ如く本数を調整して配
置した主桁５とで構成する。透水孔３を有する鋼板４は
パンチングメタルが適当である。

【００１３】透水性レジンモルタル６は、粒径１〜８mm
の骨材７と合成樹脂バインダー８の混合物、又は粒径１
〜８mmの骨材７と同粒径の軟質骨材及び合成樹脂バイン
ダーを混練した混合物から構成されている。

【００１４】また、透水性レジンモルタルとして使用す
る骨材は、海岸や河口付近で採取される玉砂利、各種砂
礫、高炉、転炉スラグ、砕石等が採用され、適用場所等
に応じて適宜選択される。特に自然石を採用した場合
は、周囲の景観にもマッチした景観材料となる。軟質材
料は各種のゴムチップ、ウレタンチップ等が採用され、
骨材にブレンドすることにより柔軟性のある歩行感が得
られる。

【００１５】合成樹脂バインダーとしてはウレタン、エ
ポキシ、ポリエステル、アクリル等が採用され、透水性
レジンモルタル６としての骨材７との配合は重量比で骨
材：合成樹脂バインダー＝１００：２〜８骨材：軟質骨
材：合成樹脂バインダー＝３０：１０：２〜６であり、
これにより１８〜３０％の空隙率が得られ、その層内の
連続した無数の隙間６ａにより充分な排水性が得られ
る。

【００１６】図２は鋼製枠１の吊金具９の詳細を示す図
１の一部の拡大詳細図であって、該吊金具９は内面に雌
ねじを形成した円筒状の本体１０の上部に凹部を形成す
る鍔部１１を備え、該凹部には前記ねじ孔の閉塞用のビ
ス１４を螺入している。

【００１７】一方鋼製枠１の対向する２辺寄りの側板２
と主桁５の間には、吊金具９を上載し支持する為、その
中心に貫通孔を穿った溝形状の支持金具１２が取付けて
あり、吊金具９を鋼板４の一端寄りの貫通孔から上方に
挿入して該支持金具１２に載せ、その支持金具１２の下
側より取付ボルト１３を吊金具本体１０のねじ孔に螺入
し鍔縁１１下面を鋼板４の上面に接当させて吊金具９を
固定すると共に、上面を周囲の側板２の上縁及び透水性
レジンモルタル舗装表面と同一面に設ける。

【００１８】側板２の上縁と透水性レジンモルタルの表
面が同一水平面に設定されてあって、鋼製枠の各部材の
肉厚は付設される道路、公園等の使用箇所の荷重条件に
応じて調整されているから、歩行者は勿論、場合によっ
ては車輌の通行に差支えることがない。

【００１９】図３は、長尺の透水性景観溝蓋及び排水溝
に設置した透水性景観溝蓋を開閉させる工具の一実施例
を示すものであって、このような長尺の溝蓋の場合は、
前記の吊金具９，９を間隔を置いてその長さ方向の両端
部に設置する。

【００２０】図４は、周囲の側板２と、その内部に間隔
をおいて配した主桁５，５に直角に交差するように適宜
数の継ぎ材若しくは横桁５′を配して格子状に組合わせ
た、いわゆる鋼製グレーチング内の上面に、パンチング
メタル４を配し、その表面に透水性レジンモルタル６を
舗装した、鋼製グレーチングと組合わせた本考案の透水
性景観溝蓋の構成を示したものである。

【００２１】施工後の透水性景観溝蓋の開閉は、舗装し
た透水性レジンモルタル６の舗装表面に露出している１
個乃至２個のビス１４を工具で外し、吊金具９の本体内
のねじ孔にＴ字型のハンドル１５のねじ部１６を螺合し
た後、溝蓋を持上げることにより、排水溝から容易に開
閉し着、脱することができる。

【００２２】透水性レジンモルタルの表面は平滑に仕上
げられているので、その上を歩行する、例えば細い踵と
のハイヒールを履いた女性も安心して通行できる。ま
た、降雨水及びその他の水は透水性レジンモルタル６に
構成された隙間を通り鋼板５の透水孔４又はパンチング
メタルの孔から排水溝に排水される。

【００２３】

【考案の効果】本考案の透水性景観溝蓋によれば、透水
性レジンモルタル層は比較的薄くて済み極めて経済性に
富み、同時にコンクリート及び鋳鉄製品に比べ使用箇所
の荷重条件に対応した充分な強度を保有しながら、軽量
であり、且つ安価に提供できる。更に、舗装する透水性
レジンモルタルの骨材を、天然石から選定することによ
り、周囲の景観とよくマッチするものが得られる。

【００２４】また、降雨水、その他の水は、透水性レジ
ンモルタル層の隙間及び鋼板の透水孔を通って排水され
るため、円滑な排水機能を備え、さらに軟質骨材の混合
により柔軟性のある歩行感とノンスリップ効果が得られ
ると共に、鋼製枠の上縁と透水性レジンモルタルの表面
を合せて成形することで、透水性レジンモルタルが剥離
したり靴を引っ掛けたりすることも無く、また、道路の
側溝や公園等の排水溝部の溝蓋として敷設後、自動車の
車輪、歩行者の通行、特にハイヒールを履いた女性の歩
行にも普通路面と同様に安全である等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の透水性景観溝蓋の一実施例を示す斜視
図で、一部を切欠する。

【図２】同一部の拡大断面詳細図。

【図３】透水性景観溝蓋を溝幅に対し溝長さ方向に縦長
とし両端部に開閉用の吊金具を設けた一例を示す斜面図
で、一部を切欠する。

【図４】鋼製グレーチング状枠と組合わせた本考案の他
の実施例を示す斜視図で、一部を切欠する。

【符号の説明】

１…鋼製枠 ２…側板 ３…透水孔 ４…透水孔を有する鋼板又はパンチングメタル ５…主桁 ５′…継ぎ材若しくは横桁 ６…透水性レジンモルタル ６ａ…隙間 ７…骨材 ８…合成樹脂バインダー ９…吊金具 １０…吊金具本体 １１…鍔縁 １２…支持金具 １３…取付ボルト １４…ねじ孔閉鎖用のビス

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小林 史樹 三重県桑名郡長島町大字大倉１ー243 (72)考案者 今澤 肇 東京都杉並区高円寺南３ー24ー21 (56)参考文献 実開 昭63−81992（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−97477（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−89083（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−42989（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭56−15261（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭62−43024（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 四周を側板で囲われた鋼製枠と、該鋼製
   枠内に配設した主桁と、主桁上に設置された透水孔を有
   する鋼板若しくはパンチングメタルと、その鋼板若しく
   はパンチングメタル上に舗装され、表面を鋼製枠上縁と
   揃え平滑に成形した粒状の骨材と合成樹脂バインダーの
   混合物からなる透水性レジンモルタルとからなり、鋼製
   枠の側板寄りに、吊金具を設置してなる透水性景観溝
   蓋。
2. 【請求項２】 透水性レジンモルタルの表面が、鋼製枠
   の四周の側板上縁と同一水平面に調整され、鋼製枠の側
   辺寄りに、止めねじで閉塞したねじ孔を有する吊金具を
   埋設したことを特徴とする請求項１記載の透水性景観溝
   蓋。
3. 【請求項３】 透水性レジンモルタルが、玉砂利、各種
   砂礫、高炉、転炉スラグ、砕石等の骨材と、骨材を結合
   する、ウレタン、エポキシ、ポリエステル、アクリル等
   からなる合成樹脂バインダーとを、重量比１００：２〜
   ８で配合、混練した混合物、若しくは上記骨材に重量比
   ２〜６程度のゴムチップ、ウレタンチップ等の軟質骨材
   を混合した混合物から構成されている請求項１及び２記
   載の透水性景観溝蓋。