JP2508201B2 - 窒化ケイ素成形体の製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素成形体の製造方法

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JP2508201B2 JP63168143A JP16814388A JP2508201B2 JP 2508201 B2 JP2508201 B2 JP 2508201B2 JP 63168143 A JP63168143 A JP 63168143A JP 16814388 A JP16814388 A JP 16814388A JP 2508201 B2 JP2508201 B2 JP 2508201B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は曲げ強度が高く、寸法精度の良い窒化ケイ素
焼結体を可能にする高密度の窒化ケイ素成形体の製造方
法に関する。
従来の技術及び発明が解説しようとする課題 良好な窒化ケイ素焼結体、即ち曲げ強度が高く、寸法
精度の良い窒化ケイ素焼結体を得るためには、焼結前の
窒化ケイ素成形体密度が高いことが必要である。成形体
密度が高ければ焼成収縮率が小さくなり、焼結体の寸法
バラツキが少なくなる。また、成形体を製造する金型の
設計も容易となる。
このため高密度の窒化ケイ素成形体が望まれるが、従
来、このような高密度の成形体を得る方法としては、粒
度分布の異なる2種類の粉末を混合して粒度分布を広く
したものを成形体原料に用いる方法がある。
しかし、窒化ケイ素の成形体を製造する場合、窒化ケ
イ素を粉砕し、これを焼結助剤と混合し成形する方法或
いは焼結助剤と混合し粉砕した後に成形する方法が採用
されるが、このように成形前に粉砕工程がある場合、窒
化ケイ素粉末の粒度分布を幅広くしておいても、この窒
化ケイ素粉末自体の粉砕性は変わらないので、粉砕によ
り粒度分布がシャープなものになってしまい、結果とし
て成形体密度を高くすることができなくなる。例えば、
窒化ケイ素を互に異なる時間粉砕して粒度分布の異なる
粉末を調製し、これらを混合し、粒度分布の幅広い窒化
ケイ素粉末を得たとしても、この窒化ケイ素粉末の粉砕
性は変わらないので、次に焼結助剤と混合粉砕を行なえ
ば、この窒化ケイ素粉末は粉砕性が単一であるため、焼
結助剤との混合粉砕段階で粒度分布がシャープなものに
なってしまうので、高密度の窒化ケイ素成形体は得られ
ない。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、成形前に焼
結助剤と混合粉砕するような場合でも広い粒度分布を維
持し、高密度の窒化ケイ素成形体を得ることができる窒
化ケイ素成形体の製造方法を提供することを目的とす
る。
課題を解決するための手段及び作用 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行
なった結果、互に粉砕性の相いする比表面積の異なる窒
化ケイ素を混合したものを成形体原料として使用するこ
とにより、混合後に粉砕工程(該混合物をそのまま粉砕
する又は該混合物もしくはその粉砕物に焼結助剤を混合
して粉砕する工程)があっても、粉砕性が異なり、広い
粒度分布が維持され、高密度の窒化ケイ素焼結体が得ら
れることを知見した。
即ち、金属ケイ素と窒素とを高温で反応させて窒化ケ
イ素を製造するに当り、反応が始まる温度付近から反応
が完了するまで(通常1000℃から1500℃まで)の昇温速
度を20〜250℃/hrの範囲で変え、或いはかかる反応に当
り、金属ケイ素粉末をトレイ容器に充填し窒化炉に入れ
るが、この際に金属ケイ素粉末のトレイ容器への仕込層
高を3〜18mmの範囲で変えることにより、昇温速度や仕
込層高に応じてBET法による比表面積が2〜11m2/gの範
囲で異なる比表面積の窒化ケイ素が得られることを見い
出すと共に、このようにして得られた互に比表面積の異
なる窒化ケイ素は互にその粉砕性が相違し(例えば0.5
μmの窒化ケイ素粉末を得る場合、比表面積が3m2/gの
ものは湿式法で8時間の粉砕時間を要するのに、9m2/g
のものでは3時間ですむ)、これらの比表面積が互に異
なる窒化ケイ素の2種又はそれ以上を混合した混合物を
粉砕した場合、各窒化ケイ素それぞれの粉砕性の相違に
より粒度分布が一点に集中してシャープになるようなこ
とがなく、広い粒度分布の粉砕混合物が調製、維持され
ること、従ってこのように互に異なる比表面積を有する
窒化ケイ素を混合することにより、これをそのまま粉砕
し或いは焼結助剤を混合し粉砕した後、これを圧縮成形
しても、上述したように窒化ケイ素粉末は幅広い粒度分
布が保たれているので、高密度の成形体が得られること
を知見したものである。
なおこの場合、同一の比表面積を有する窒化ケイ素を
異なる時間粉砕すれば、互に異なる粒度分布の窒化ケイ
素粉末が得られるが、かかる粉末を混合した場合、混合
段階では粒度分布が幅広いものであるものの、上述した
ようにその粉砕性が単一であるため次の粉砕段階で粒度
がそろって分布がシャープになり、従ってこれを圧縮成
形しても成形体の密度は上がらないものである。
従って、本発明は、金属ケイ素粉末をトレイ容器に充
填し、窒化炉中で窒素と反応させて窒化ケイ素を製造す
る際に、反応が始まる温度から反応が完了する温度まで
の昇温速度を20〜250℃/hrの範囲で変えるか又は金属ケ
イ素粉末のトレイ容器への仕込層高を3〜18mmの範囲で
変えることにより得られた、BET法による比表面積が2
〜11m2/gの範囲にある互に比表面積の異なる窒化ケイ素
粉末を混合し、これを粉砕した後、圧縮成形することを
特徴とする窒化ケイ素成形体の製造方法を提供するもの
である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係る窒化ケイ素成形体の製造方法は、互に粉
砕性の相違する比表面積の異なる2種又はそれ以上の窒
化ケイ素粉末の混合物を原料とするものである。
ここで、かかる窒化ケイ素粉末を製造する方法として
は、金属ケイ素粉末をトレイ容器に充填し、これを窒化
炉に入れて金属ケイ素を窒素と高温下に反応させ、直接
窒化させる方法が有効である。
この場合、金属ケイ素粉末としては、比表面積が1m2/
g以上、特に2〜6m2/g(BET法、以下同じ)のものが好
ましい。また、その粒径は種々選定されるが、10μm以
下、特に2〜7μmのものが好ましい。上記金属ケイ素
粉末をトレイ容器に充填する場合、その仕込層高は通常
3〜18mmの範囲で選定されるが、この仕込層高を変える
ことにより、得られる窒化ケイ素の比表面積を変えるこ
とができる。
また、金属ケイ素粉末を窒化炉中で昇温する場合、反
応の始まる温度(1000℃前後)から終る温度(1500℃前
後)までの昇温速度は、20〜250℃/hrとすることが好ま
しく、この範囲で昇温速度を変えることによっても、窒
化ケイ素の比表面積を変えることができる。なお、反応
最高温度での保持は3時間以下とすることが好ましい。
また、反応に使用するガスは窒素ガス、アンモニアガ
ス、これを混合したものが使用でき、更にこれに反応を
制御するために水素ガス、アルゴンやヘリウム等の不活
性ガスを混合することができる。
このようにして得られる窒化ケイ素の比表面積は通常
2〜11m2/g(BET法)であり、上述したように昇温速度
及び/又はケイ素粉末の仕込層高を変化させることによ
り、種々の比表面積の窒化ケイ素が得られるので、これ
らの2種以上を混合して使用するものである。この場
合、この混合物中の互に比表面積の異なる2種の窒化ケ
イ素の混合比率は重量比で1:9〜9:1、特に1:4〜4:1とす
ることが好ましく、また比表面積の差は1m2/g以上、特
に3〜5m2/gとすることが好ましい。なお、混合は上述
したようにして得られる窒化ケイ素をそのまま混合して
もよく、窒化ケイ素製造後に予備粉砕し、これを混合す
るようにしてもよい。
次に、本発明はこの窒化ケイ素粉末混合物を粉砕した
後、圧縮成形するものであるが、この場合この混合物を
粉砕し、この粉砕混合物を成形してもよく、上記混合物
はこれを粉砕して得られた粉砕混合物を焼結助剤と混合
して粉砕された後、成形するようにしてもよい。
ここで、上記窒化ケイ素粉末混合物を粉砕する場合、
粉砕方法、粉砕条件としては適宜選定され、湿式法でも
乾式法でもよく、例えばボールミルにより鉄ボールを使
用してヘキサン中で粉砕するなどの方法を採用し得る。
また、焼結助剤と混合したものを粉砕する方法、条件
も種々選択し得、湿式法、乾式法のいずれを採用しても
よく、例えばアルミナ製ボールミルによりSi3N4ボール
を使用し、水中で粉砕するなどの方法を採用し得る。
なお、焼結助剤としては、Y2O3,Al2O2,CeO2,MgO,SrO,
ZrO2等が使用し得る。
圧縮成形も通常の方法、条件が採用し得、例えばラバ
ープレス圧力1000〜2000kg/cm2の条件とすることができ
る。
このようにして得られた窒化ケイ素成形体は、次いで
常法に従って焼結することができる。
発明の効果 本発明の窒化ケイ素成形体によれば、互に粉砕性の相
違する比表面積の異なる窒化ケイ素粉末混合物を原料と
して使用したので、成形前に粉砕工程があっても広い粒
度分布を維持し、非常に高密度の成形体を得ることがで
き、従ってこの高密度成形体を用いて、気孔率が小さ
く、密度が大きく、曲げ強度も高く、特に焼成収縮率が
小さくて寸法精度の良い窒化ケイ素焼結体を得ることが
できる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
〔実施例I〕
比表面積5.4m2/gの金属ケイ素をトレイ容器に第1表
に示す仕込層高で入れ、窒化炉中で昇温して窒化ケイ素
を製造した。この場合、1000℃から1400℃の昇温速度を
第1表に示すように変え、また最高温度1400℃での保持
時間は1時間とした。
得られた窒化ケイ素の比表面積及びX線回折の結果は
第1表の示す通りである。
第1表の結果から、昇温速度を変えたりケイ素仕込層
高を変えることによって、得られる窒化ケイ素の比表面
積が異なるものとなることが認められた。
次に、窒化ケイ素No.1,No.2及びNo.1とNo.2との1:1
(重量比)混合物400gをヘキサン2と混合し、鉄ボー
ルを用いてボールミルにより9時間粉砕し、粉砕後ヘキ
サンを過して除去し、次いで酸(HF+HNO3)処理を行
なった。
上で得られた酸処理、乾燥後の窒化ケイ素粉末をY2O3
及びAl2O3と Si3N4:Y2O3:Al2O3=90:7:3(重量比) の割合で粉砕混合し、圧縮成形した。なお、混合条件と
しては、ポリイミド/ナイロン被覆鉄ボールを用いてヘ
キサン中で一日混合するという条件を採用し、成形はラ
バープレス2000kg/cm2で行なった。
比較のため、上記No.1とNo.2との1:1混合物の平均比
表面積7.1m2/gに相当する同じ比表面積の窒化ケイ素単
一粉末(No.4)を用い、同様にして粉砕、混合成形を行
なった。
第2表及び図面に得られた成形体の密度を、第3表に
焼結後の曲げ強度(室温)の測定結果を示す。なお、焼
結条件は1800℃×1時間である。
第2表の結果より、異なる比表面積の窒化ケイ素を混
合粉砕したものを使用した場合、高密度の成形体が得ら
れることが知見された。
〔実施例II〕 上記実施例Iの窒化ケイ素No.1の粉砕物A及びNo.1と
No.2との1:1混合物の粉砕物Bを Si3N4:Y2O3:Al2O3=90:7:3(重量比) の割合で粉砕混合した。この場合、混合条件としてはSi
3N4ボールを用いてボールミルにより6時間混合すると
いう条件を採用した。
また比較のため、窒化ケイ素No.1 200gをヘキサン2
と混合し、鉄ボールを用いてボールミルにより6時間
粉砕し、次いで窒化ケイ素No.1 200gを追加し、3時間
粉砕し(総粉砕時間9時間)、得られた粉砕物Cを上記
と同様に焼結助剤と混合した。
次いで、これら混合物を圧縮成形し、その成形体の密
度を測定した。結果を第4表に示す。
【図面の簡単な説明】
図面は互に比表面積が異なる窒化ケイ素粉末及びこれら
を混合したものを成形した場合の成形体密度を示すグラ
フである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属ケイ素粉末をトレイ容器に充填し、窒
    化炉中で窒素と反応させて窒化ケイ素を製造する際に、
    反応が始まる温度から反応が完了する温度までの昇温速
    度を20〜250℃/hrの範囲で変えるか又は金属ケイ素粉末
    のトレイ容器への仕込層高を3〜18mmの範囲で変えるこ
    とにより得られた、BET法による比表面積が2〜11m2/g
    の範囲にある互に異なる比表面積の窒化ケイ素粉末を混
    合し、これを粉砕した後、圧縮成形することを特徴とす
    る窒化ケイ素成形体の製造方法。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6051655A (ja) * 1983-08-30 1985-03-23 株式会社東芝 セラミックス焼結体の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6051655A (ja) * 1983-08-30 1985-03-23 株式会社東芝 セラミックス焼結体の製造方法

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