JP2505893C - - Google Patents

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JP2505893C
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【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本発明は、レンズ、プリズム等のガラスよりなる光学素子を、ガラス素材のプ
レス成形により製造する方法と該プレス成形に使用される型の製造方法に関する
ものである。 【従来の技術】 研磨工程を必要としないでガラス素材のプレス成形によってレンズを製造する
技術は、従来のレンズの製造において必要とされた複雑な工程をなくし、簡単且
つ安価にレンズを製造することを可能とし、近年、レンズのみならずプリズムそ
の他のガラスよりなる光学素子の製造に使用されるようになってきた。 このようなガラスの光学素子のプレス成形に使用される型材に要求される性質
としては、硬さ、耐熱性、離型性、鏡面加工性等に優れていることが挙げられる
。従来、この種の型材として、金属、セラミックス及びそれらをコーティングし
た材料等、数多くの提案がされている。いくつかの例を挙げるならば、特開昭49
-51112には13Crマルテンサイト鋼が、特開昭52-45613にはSiC 及びSi3N4が、特
開昭60-246230 には超硬合金に貴金属をコーティングした材料が、又、特開昭61
-183134 にはダイヤモンド薄膜又はダイヤモンド状炭素膜をコーティングした材
料が提案されている。 【発明が解決しようとする課題】 しかし、13Crマルテンサイト鋼は酸化しやすく、さらに高温でFeが硝子中に拡
散して硝子が着色する欠点をもつ。SiC、Si3N4は一般的には酸化されにくいとさ
れているが、高温ではやはり酸化がおこり表面にSiO2の膜が形成される為硝子と
融着を起こし、さらに高硬度の為型自体の加工性が極めて悪いという欠点を持つ
。貴金属をコーティングした材料は融着は起こしにくいが、極めて軟かい為、傷
がつきやすく又変形しやすい欠点をもつ。又、ダイヤモンド薄膜をコーティング
した材料は表面の平滑さに欠けるため得られた光学素子の鏡面性が不足する。 更に、特開昭61-183134 にダイヤモンド状炭素膜をコーティングした型材が開
示されているが、ダイヤモンド状炭素膜の膜構造は水素含有量、結晶相とアモル
ファス相の混合状態或は炭素原子のsp2,sp3混成軌道の混在状態により多様かつ
複雑である。すなわち、膜構造は成膜方法や成膜条件に強く依存するため、一概 にダイヤモンド状炭素膜といっても、ガラス成形においてガラス成分中の鉛を析
出したり、成形回数が多くなると膜の剥離等を引き起こし、成形性や耐久性が充
分でないものがある。 また、上記のダイヤモンド状炭素膜をコーティングした型を用いて成形を行な
うと、ガラスの融着や鉛の析出、傷が付く等の問題が発生するので、これらの型
を継続的に使用するためには、適当な成形回数ごとに型表面をダイヤモンドパウ
ダー等により機械的に研磨(クリーニング)する必要がある。しかし、このクリ
ーニング回数が多くなるに従い型形状が変化、劣化する。そこで、適当なクリー
ニング回数ごとに型を機械的に加工、研磨して元の型形状に戻す必要がある。し
かし、一般に型母材の材質は硬度が高いため機械的加工、研磨が容易ではなく、
所望の形状に再生することは必ずしも容易ではなく、この傾向は特に非球面形状
の場合には顕著である。従って、このような方法による型の再生は、プレス成形
により光学素子を製造するプロセスにおいてコストアップの大きな原因となって
いる。 従って、本発明の目的は、型表面の析出鉛、融着ガラス等を取り除き、常に
清浄な成形面を表出させながら成形を行なう光学素子の成形方法を提供すること
にある。成形ガラスの仕上げ研磨を必要としない光学素子の成形方法を提供す
ることにある。型の傷んだ膜の除去を機械的加工、研磨によらずに行ない、型
を変形、劣化させることない光学素子成形用型の製造方法を提供することにある
。 【課題を解決するための手段】 本発明は、従来の光学素子成形用型において問題であったクリーニング、更に
は型の再生を、成形プロセスの一環としてドライプロセスにより行なうことによ
り、光学素子成形用型の耐久性、成形性、更には低コスト化を実現した光学素子
の成形方法と光学素子成形用型の製造方法である。 すなわち、本発明は、数1000Å〜数μmの膜厚を有する炭素を主たる構成
元素とする膜が成形面に形成される光学素子成形用型を用いて成形を行なう光学
素子の成形方法において、成形を行ない、ついで前記膜の膜厚の一部分を20Å
から40Åの範囲内でエッチングにより除去した後、成形を行なうことを特徴と する光学素子の成形方法、並びに、炭素を主たる構成元素とする膜が成形面に形
成される光学素子成形用型の製造方法において、前記膜をエッチングにより除去
する工程と、前記膜を新たに形成する工程を同一装置内で連続して行なうことを
特徴とする光学素子成形用型の製造方法である。 まず、本発明の光学素子の成形方法について詳細に説明する。 本発明の光学素子の成形方法においては型母材上に炭素を主たる構成元素とす
る膜(以下、炭素系の膜という)を形成した型を用いてガラスのプレス成形を行
ない、ついで膜表面をエッチングすることにより膜表面を清浄な状態にしてから
再び成形を行なう。 型母材としては、精密加工が可能で耐熱性、耐衝撃性のある材料、例えばタン
グステンカーバイド、サーメット、ジルコニア、SiC、Si3N4が用いられる。 炭素系の膜としては、例えばダイヤモンド薄膜、ダイヤモンド状炭素膜、水素
化アモルファス炭素膜(以下、a−C:H膜という)が挙げられる。 炭素系の膜のうちダイヤモンド薄膜は、マイクロ波プラズマCVD法、熱フィ
ラメントCVD法、プラズマジェット法、ECR−プラズマCVD法等により、
ダイヤモンド状炭素膜及びa−C:H膜はプラズマCVD法、イオンビーム・ス
パッタ法、イオンビーム蒸着法、プラズマ・スパッタ法等により形成される。こ
れらの膜の厚さは、通常数1000Å〜数μm が適当である。形成に用いるガスは含
炭素ガスであるメタン、エタン、プロパン、エチレン、ベンゼン、アセチレン等
の炭化水素;塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン等の
ハロゲン化炭化水素;メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類;
(CH3)2CO,(C6H5)2CO 等のケトン類;CO,CO2等のガス、およびこれらのガスにN
2,H2,O2,H2O,Ar 等のガスを混合したものである。 この型を用いてガラスよりなる光学素子のプレス成形を行なう。この後型表面
をドライエッチングし表面をクリーニングする。 ドライエッチングにはプラズマ・エッチング、スパッタ・エッチング、イオン
ビーム・エッチング、リアクティブイオン・エッチング等の方法が用いられる。
エッチング量としては数Å〜数10Å程度であればよい。エッチングガスとしては
O2,H2,N2,空気,Arに代表される希ガス,CF4等と、これらの混合ガスが用い られる。特に、炭素系の膜を酸素プラズマにより酸化する方法は、膜が化学反応
によりガス化して除去できるため完全なクリーニングが可能である。このときの
エッチング量は最大でも数10Å程度であればよい。 なお、エッチングにより型の表面形状特に表面粗さを劣化させないようなエッ
チング条件を選択することが好ましい。すなわち、酸素を用い炭素系の膜をエッ
チング(アッシング)すると炭素が酸化されて除去されるが、このとき炭素系の
膜だけをエッチング(アッシング)することは難しく、通常型母材表面もエッチ
ング(アッシング)され、型母材表面も酸化されてしまう。この結果、炭素系の
膜を再び形成すると型母材と膜の密着性が減少したり型母材の表面粗さが増すた
め成形品の性能が低下する。また、Coを含有する超硬合金からなる型母材に対し
Arイオンビームでエッチングすると,Coだけを選択的にエッチングするため型母
材の表面粗さを増すことになる。従って、クリーニングを目的に炭素系の膜をエ
ッチングする場合には、できるだけエッチング・レートを小さくする方法、条件
が好ましい。 エッチング量のコントロールは、例えば数10Åのエッチングの場合には実験的
に求めたエッチング・レートより時間で行なう。 また、エッチングという方法を用いずに、酸素雰囲気下において型母材を75
0℃以上にすることにより熱酸化し膜表面ををクリーニングすることも同様に効
果がある。 クリーニングのためのエッチングを成形室で行なうインライン構成とすること
により、エッチングを頻繁に、更に成形毎に行なうこともできる。 次に、本発明の光学素子成形用型の製造方法について詳細に説明する。 本発明の製造方法においては、まず型母材上炭素系の膜をエッチングすること
により型母材の表面形状を損なうことなく完全に膜を除去した後、型母材上に炭
素系の膜を新たに形成する。 完全に膜を除去するエッチングは、前記クリーニングのためのエッチングと同
様にして行なうことができる。このとき、型母材表面の形状、特に表面粗さを劣
化させないように、またエッチングガスに酸素が含まれる場合には型母材表面の
酸化が進行しないようにエッチング条件を選択することが好ましい。すなわち、 酸素を用い炭素系の膜をエッチング(アッシング)すると炭素が酸化されて除去
されるが、このとき炭素系の膜だけをエッチング(アッシング)することは難し
く、通常型母材表面もエッチング(アッシング)され、型母材表面も酸化されて
しまう。この結果、炭素系の膜を再び形成すると型母材と膜の密着性が減少した
り型母材の表面粗さが増すため成形品の性能が低下する。また、Coを含有する超
硬合金からなる型母材に対しArイオンビームでエッチングすると、Coだけを選択
的にエッチングするため型母材の表面粗さを増すことになる。 また、炭素系の膜を完全に除去する場合には、酸素プラズマ等により炭素系の
膜をエッチング(アッシング)し、型母材がエッチング(アッシング)される前
にArプラズマ等のエッチング・レートの小さい方法、条件に切り換えて、型母材
表面に損傷を与えることなくエッチング(アッシング)を行なう。ここで、エッ
チング方法、条件の切り換えは、プラズマの発光分析によりエッチング物質の発
光強度をモニターしながらエッチングを行ない、発光強度がある強度以下になっ
た時点で行なう。 前記本発明の成形方法に用いた型をこの製造法により再生させる時期は、次の
ようにして決めることができる。クリーニングのためのエッチング工程を有する
成形においては、成形回数が多くなるに従い型母材上の炭素系の膜が徐々に薄く
なり、ついには膜がなくなってしまう。そこで、型母材上に炭素系の膜がある場
合とない場合では光の反射率が異なることを利用して、型(型母材+炭素系の膜
)の反射率をモニターし、膜が非常に薄くなり反射率が型母材そのものの反射率
に近づいた時点を再生の時期とする。 エッチングを成形室内で行なうインライン構成とすることにより、成型工程と
型を再生するために膜を完全に除去する工程を一貫して行なうことができる。特
に、マイクロ波プラズマCVD法、ECR−プラズマCVD法、イオンビーム・
スパッタ法、イオンビーム蒸着法によれば、成形室内の同一装置においてエッチ
ング、成膜を連続して行なうことができる。ただし、成型工程と切り離し成形装
置から取り出してエッチングしてもよい。 【実施例】 実施例1 以下、図面を参照しながら本発明の具体的実施例を説明する。 図1及び図2は本発明で使用し、製造する光学素子成形用型の1例を示すもの
である。 図1は光学素子のプレス成形前の状態を示し、図2は光学素子成形後の状態を
示す。図1中1,2は型母材、1−a,2−aは該型母材のガラス素材の接触す
る成形面に形成されたダイヤモンド状炭素膜、3はガラス素材であり、図2中4
は光学素子である。 図1に示すように型の間に置かれた硝子素材3をプレス成形することによって
、図2に示すようにレンズ等の光学素子4が成形される。 イオンビーム蒸着法を用いて、WC(95%)+CO(5%)からなる型母材上にダイヤモン
ド状炭素膜を形成する。3に本実施例で用いる成膜装置を示す。 図3中、11は真空容器、12はイオンビーム装置、13はイオン化室、14
はガス導入口、15はイオンビーム引き出しグリッド、16はイオンビーム、1
7は型母材、18は基板ホルダ及びヒーター、19は排気孔を示す。ダイヤモン
ド状炭素膜を形成する際には、有機溶剤により表面を清浄にした型母材17をホ
ルダ18上に設置し、排気孔19より排気して容器11の内部を1×10-6Torrと
する。 次に、ガス導入口14より原料ガス CH4+Ar混合ガスを混合比CH4/Ar=1/1 で
導入し、容器11の内部を1×10-4Torrとする。イオンビーム装置12のイオン
化室13で原料ガスをイオン化し、イオンビーム引き出しグリッド15に-500V
を印加してイオンビームを引き出し、母材17に照射して 1.5μm の厚さに成膜
した。このときイオンビームの電流値は 0.6mA/cm2で、基板加熱は特に行なって
いない。成膜時間は45分間である。こうして得られた膜の表面粗さはRmax0.01〜
0.02μm、硬度は1400〜1600kg/mm2である。 次に、この型にN2ガス1.2atom 中、不純物酸素分圧5×10-3Torr以下の雰囲気
下において、570℃で2時間のアニール処理を行なった後、これを用いて図4に
示す成形装置によりレンズの成形を行なう。 図4中、51は真空槽本体、52はそのフタ、53は光学素子を成形する為の
上型、54はその下型、55は上型をおさえるための上型おさえ、56は胴型、 57は型ホルダー、58はヒータ、59は下型をつき上げるつき上げ棒、60は
該つき上げ棒を作動するエアシリンダ、61は油回転ポンプ、62,63,64
はバルブ、65は不活性ガス流入パイプ、66はバルブ、67はリークパイプ、
68はバルブ、69は温度センサ、70は水冷パイプ、71は真空槽を支持する
台を示す。 レンズを製作する工程を次に述べる。 フリント系光学硝子(SF14)を所定の量に調整し、球状にした硝子素材を
型のキャビティー内に置き、これを装置内に設置する。 ガラス素材を投入した型を装置内に設置してから真空槽51のフタ52を閉じ
、水冷パイプ70に水を流し、ヒータ58に電流を流す。この時窒素ガス用バル
ブ66及び68は閉じ、排気系バルブ62,63,64も閉じている。尚油回転
ポンプ61は常に回転している。 パルプ62を開け排気をはじめ10-2Torr以下になったらバルブ62を閉じ、
バルブ66を開いて窒素ガスをボンベより真空槽内に導入する。所定温度になっ
たらエアシリンダ60を作動させて10kg/cm2の圧力で5分間加圧する。圧力を
除去した後、冷却速度を−5℃/min で転位点以下になるまで冷却し、その後は
−20℃/min 以上の速度で冷却を行ない、200℃以下に下がったらバルブ6
6を閉じ、リークバルブ63を開いて真空槽51内に空気を導入する。それから
フタ52を開け上型おさえをはずして成形物を取り出す。 上記のようにして、フリント系光学硝子SF14(軟化点Sp=586℃、転移点Tg
=485℃)を使用して、図2に示すレンズ4を成形した。この時の成形条件すなわ
ち時間−温度関係図を図5に示す。 成形したレンズの表面粗さ及び成形前後の型の表面粗さを測定した結果を表1
に示す。 この型を用いて更に500 回成形したところ、ガラス素材設置時に導入されたと
思われる異物により型に微小な剥離を生じた。 この型を再生するために図3に示したイオンビーム蒸着装置に設置しダイヤモ
ンド状炭素膜をエッチングする。 まず、排気孔19より排気して容器11の内部を1×10-6Torrとする。次に、
ガス導入口14よりエッチングガスO2+Ar混合ガスを混合比 O2/Ar=1/1 で導入
し、容器11の内部を1×10-4Torrとする。イオンビーム装置12のイオン化室
13でエッチングガスをイオン化し、加速電圧 200Vでイオンビームを引き出し
エッチングを行なう。このとき、基板加熱は特に行なわない。このとき、発光ス
ペクトルモニター20により電子的に励起されたCOからの発光である波長297.7
nmの紫外光の強度の時間的変化をモニターし、エッチングをコントロールする。
特に、エッチングが過剰となると型母材の照射損傷と表面酸化が起こるので、発
光スペクトルモニターに示される発光強度がある一定値以下になった時点で、O2
ガスの供給を停止し、加速電圧を50Vに下げ、Arイオンビームに変え残りのダイ
ヤモンド状炭素膜をエッチングし除去する。 エッチング終了後の型を真空容器11より取り出し、その表面粗さを測定した
ところRmax0.03μm でエッチングによる劣化は見られなかった。また、表面の酸
化層についてもESCAで分析したところ、エッチング終了後の取り出す際に生
じたと思われる自然酸化層程度の酸化層しか認められなかった。通常は、エッチ
ング終了後に連続して前記条件でダイヤモンド状炭素膜を形成するので酸化の恐
れはない。このようにして、再度ダイヤモンド状炭素膜を形成した型の表面粗さ
はRmax0.03μm、ビッカース硬度1400〜1600kg/mm2で最初に形成した膜と同等の 性能が得られた。 実施例2 電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD法(ECR−PCVD法)を用いて、
WC(90%)+Co(10%)からなる型母材上にa−C:H膜を形成する。 ECRプラズマ装置は、図6に示す空胴共振器タイプで空胴共振器81に電磁
石82で磁場をかけ、マイクロ波導入窓83より導波管84を通してマイクロ波
を導入し、ガス導入口85よりガスを空胴共振器に導入しガスを励起する。磁場
の大きさはマイクロ波導入口で2000ガウス型表面で500 ガウスになるように設定
した。型ホルダー86に支持した型87は、図6に示すように空胴共振器の外に
設置した。 次に、ガス導入口85よりCO(10SCCM)、H2(20SCCM)を空胴共振器に導入し
、圧力5×10-2Torrとし、マイクロ波電力 600W、基板温度 300℃で1μm成
膜した。 その後、この型を用いて実施例1と同様にしてガラス成形を行ない、成形に用
いた型を再び本装置内に設置して膜のエッチングを行なった。 エッチングガスにO2を用い、これをガス導入口85より100SCCM 導入し、空胴
共振器内でプラズマ化する。このとき、圧力は5×10-3Torrとし、基板の加熱
は特に行なわない。磁場の大きさはマイクロ波導入口で2500ガウス、空胴共振器
出口で875 ガウスのECR点とし、型をこの点に設置し、マイクロ波パワー 900
Wでエッチング(アッシング)した。実施例1と同様にエッチングの終点をプラ
ズマ発光によりモニターし、発光強度がある一定値以下になった時点で、O2から
Arに切り換え残りの膜をエッチングした。このとき、圧力、マイクロ波パワー、
磁場の条件はO2ガスの場合と同様とした。但し、基板の位置は空胴共振器出口よ
り130mm とした。その後、前述の成膜条件に従いa−C:H膜を形成し、得られ
た型について表面粗さ、硬度について測定したところ、実施例1と同様に最初と
変わらない性能を有する型を再生することができた。 実施例3 実施例1と同様の方法、条件で作成した型を用い、図7に示す成形装置により
ガラス成形を行なった。 次に上記型によって硝子レンズのプレス成形を行なった例について詳述する。 図7において、104は取入れ用置換室であり、106は成形室兼エッチング
室であり、108は蒸着室であり、110は取出し用置換室である。112,1
14,116,151,152はゲートバルブであり、118はレールであり、
120は該レール上を矢印A方向に搬送せしめられるパレットである。124,
138,140、149はシリンダであり、126,150はパルブである。1
28は成形室106内においてレール118に沿って配列されているヒータであ
る。 成形室106内はパレット搬送方向に沿って順に加熱ゾーン106−1、プレ
スゾーン106−2及び徐冷ゾーン106−3とされている。プレスゾーン10
6−2において、上記シリンダ138のロッド134の下端には成形用上型部材
130が固定されており、上記シリンダ140のロッド136の上端には成形用
下型部材132が固定されている。これら上型部材130及び下型部材132は
、上記図1の本発明で製造、使用する型部材である。 型部材とシリンダー部は、13.56MHzのRF電源155,156に接続されてお
り、型部材部分が電極の働きをしており、成形室とは絶縁体158,159によ
り絶縁されている。ここで、153,154はシールドである。 蒸着室108内においては、蒸着物質146を収容した容器142及び該容器
を加熱するためのヒータ144が配置されている。 フリント系光学ガラス(SF14,軟化点Sp=586℃、ガラス転移点Tg=485℃)
を所定の形状及び寸法に粗加工して、成形のためのブランクを得た。 ガラスブランクをパレット120に装置し、取入れ置換室104内の120−
1の位置へ入れ、該位置のパレットをシリンダ124のロッド122によりA方
向に押してゲートバルブ112を越えて成形室106内の120−2の位置へと
搬送し、以下同様に所定のタイミングで順次新たに取入れ置換室104内にパレ
ットを入れ、このたびにパレットを成形室106内で120−2→…→120−
8の位置へと順次搬送した。この間に、加熱ゾーン106−1ではガラスブラン
クをヒータ128により徐々に加熱し120−4の位置で軟化点以上とした上で
、ゲートバルブ151を経てプレスゾーン106−2へと搬送し、ここでシリ ンダ138,140を作動させて上型部材130及び下型部材132により10
kg/cm2の圧力で5分間プレスし、その後加圧力を解除しガラス転移点以下まで冷
却し、その後シリンダ138,140を作動させて上型部材130及び下型部材
132をガラス成形品から離型した。該プレスに際しては上記パレットが成形用
胴型部材として利用された。 ガラス成形品はゲートバルブ152を通り徐冷ゾーン106−3に移動し徐冷
される。なお、成形室106内には不活性ガスを充満させた。 ガラス成形品を徐冷ゾーンに搬送した後、プレスゾーン106−2はゲートバ
ルブ151,152を閉じ、不図示の排気系により1×10-6Torrまで排気され
る。次にエッチングガス導入ライン157よりO2ガスを200SCCM 導入し、プレス
ゾーン(成形室)内を1Torrとし、13.56MHzのRF電源155,156によりR
Fパワーを100 W投入し、RF酸素プラズマを発生させる。このプラズマを30秒
間発生させ、型部材130,132上のダイヤモンド状炭素膜を20Åエッチング
する。その後、プレスゾーン(成形室)106−2内に不活性ガスを導入し、1
06−1,106−3と等しい力になったところでゲートバルブ151,152
を開き、新たに成形用のブランクの乗ったパレットを成形室106−2に搬送し
成形を行なう。 成形室106内において120−8の位置に到達したパレットを、次の搬送で
はゲートバルブ114を越えて蒸着室108内の120−9の位置へと搬送した
。通常、ここで真空蒸着を行なうのであるが、本実施例では該蒸着を行なわなか
った。そして、次の搬送ではゲートバルブ116を越えて取出し置換室110内
の120−10の位置へと搬送した。そして、次の搬送時にはシリンダ149を
作動させてロッド148によりガラス成形品を成形装置102外へと取出した。 型部材のエッチングは毎成形後に行なっても、また何ショットか成形した後行
なってもよい。なお、この場合にはエッチング時間を調整する必要がある。 以上のようなプレス工程と従来の工程により3000回成形した後の型部材の成形
面の表面粗さ及び成形された光学素子の表面粗さ、並びに成形された光学素子と
型部材との離型性について表2に示す。 このように、本実施例によれば、成形時に常に清浄な面が表出しているため、
型部材の成形面ならびに成形された光学素子の光学面の性能は初期から変化する
ことなく一定であった。 実施例4 実施例1と同様の方法、条件で作成した型を用い、図8の概略図に示す装置に
より、ガラスの成形を行なった。 図8において161はガラスブランクの投入と、成形されコーティングされた
光学素子の取り出しを行なう投入・取り出し室、162は型とブランクの予備加
熱室、163は成形室、164は冷却室、165は型のクリーニング室、166
はコーティング室であり、各室の間はゲートバルブ171〜176により仕切ら
れている。 フリント系光学ガラス(SF14,軟化点Sp=586℃、ガラス転移点Tg=485℃)
を所定の形状及び寸法に粗加工したブランクを、投入・取り出し室161におい
て型に投入する。この型をゲートバルブ171を通し予備加熱室162に移動し
、型とブランクを徐々に加熱し軟化点以上とした上で、成形室163に移動する
。そして、この位置で不図示のシリンダー・ユニットにより10kg/cm2の圧力で
5分間プレスした後、冷却室164に移動する。そして、加圧力を解除し、ガラ
ス転移点以下の温度まで冷却し、ガラス成形品から型を離型する。そして、ガラ
ス成形品はコーティング室166に移動し所定のコーティングが行なわれ、投入
・取り出し室161に移動し取り出される。一方、成形を行なった型は、クリー
ニング室165において実施例3と同様の方法、条件により、型上の膜を4 Å/secのエッチング・レートで40Åエッチングする。 この後、型をコーティング室166を経て投入・取り出し室161に移動し、
新たなブランクを投入する。なお、コーティング室166はガラスへのコーティ
ングだけでなく、型表面へのコーティングも可能な構造になっている。 本実施例においても実施例3と同様に、成形時に常に清浄な面が表出している
ため、型部材の成形面ならびに成形された光学素子の光学面の性能は初期から変
化することなく一定であった。 【発明の効果】 以上説明したように、炭素を主たる構成元素とする膜が形成された光学素子成
形用型を用い、光学素子のプレス成形を行なう工程において、該型を成形後エッ
チングして、その後次の成形を行なうことにより、毎回良好な成形が行なわれる
という効果がある。更に、該型の再生の際に、エッチングあるいはアッシングに
より膜を除去することにより、型の機械的加工、研磨を行なうことなく再生する
ことが可能となり、結果として光学素子の成型工程におけるコストダウンの効果
がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は本発明で製造し、使用する光学素子成形用型の1例を示す断面図で、プ
レス成形前の状態を示す。 【図2】 図2は本発明で製造し、使用する光学素子成形用型の一例を示す断面図で、プ
レス成形後の状態を示す。 【図3】 本発明で用いる成膜装置を示す概略図で、イオンビーム蒸着装置である。 【図4】 本発明に係る光学素子の成形方法に使用するレンズの成形装置を示す断面図で
、非連続成形タイプである。 【図5】 レンズ成形の際の時間温度関係図である。 【図6】 本発明で用いる成膜装置を示す概略図で、ECRプラズマ装置である。 【図7】 本発明に係る光学素子の成形方法に使用するレンズの成形装置を示す断面図で
、連続成形タイプである。 【図8】 本発明に係る光学素子の成形方法に使用するレンズの成形装置を示す断面図で
、連続成形タイプである。 【符号の説明】 1,2 型母材 1−a,2−a ダイヤモンド状炭素膜 3 ガラス素材 4 成形されたレンズ 11 真空容器 12 イオンビーム装置 13 イオン化室 14 ガス導入口 15 イオンビーム引き出しグリッド 16 イオンビーム 17 型母材 18 基板ホルダ及びヒーター 19 排気系 20 プラズマ発生モニター 51 真空槽 52 真空槽のフタ 53 上型 54 下型 55 上型おさえ 56 胴型 57 型ホルダー 58 ヒータ 59 下型をつき上げるつき上げ棒 60 エアシリンダ 61 油回転ポンプ 62、63、64 バルブ 65 不活性ガス導入パイプ 66 バルブ 67 リークパイプ 68 バルブ 69 温度センサ 70 水冷パイプ 71 真空槽を支持する台 81 空胴共振器 82 電磁石 83 マイクロ波導入窓 84 マイクロ波導波管 85 ガス導入口 86 型ホルダー 87 型母材 88 排気口 102 成形装置 104 取入れ用置換室 106 成形室 108 蒸着室 110 取り出し用置換室 112 ゲートバルブ 114 ゲートバルブ 116 ゲートバルブ 118 レール 120 パレット 122 ロッド 124 シリンダ 126 バルブ 128 ヒータ 130 上型 132 下型 134 ロッド 136 ロッド 138 シリンダ 140 シリンダ 142 容器 144 ヒータ 146 蒸着物質 148 ロッド 149 シリンダ 150 バルブ 151 ゲートバルブ 152 ゲートバルブ 153 シールド 154 シールド 155 RF電源 156 RF電源 157 ガス導入口 158 絶縁体 159 絶縁体 161 投入・取り出し室 162 予備加熱室 163 成形室 164 冷却室 165 クリーニング室 166 コーティング室 171 ゲートバルブ 172 ゲートバルブ 173 ゲートバルブ 174 ゲートバルブ 175 ゲートバルブ 176 ゲートバルブ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 数1000Å〜数μmの膜厚を有する炭素を主たる構成元素と
    する膜が成形面に形成される光学素子成形用型を用いて成形を行なう光学素子の
    成形方法において、成形を行ない、ついで前記膜の膜厚の一部分を20Åから4
    0Åの範囲内でエッチングにより除去した後、成形を行なうことを特徴とする光
    学素子の成形方法。 【請求項2】 数1000Å〜数μmの膜厚を有する炭素を主たる構成元素と
    する膜が成形面に形成される光学素子成形用型を用いて成形を行なう光学素子の
    成形方法において、成形を行なう工程と、ついで前記膜の膜厚の一部分を20Å
    から40Åの範囲内でエッチングにより除去する工程と、その後、成形を行なう
    工程を一貫して行なうことを特徴とする光学素子の成形方法。 【請求項3】 炭素を主たる構成元素とする膜が成形面に形成される光学素子
    成形用型の製造方法において、前記膜をエッチングにより除去する工程と、前記
    膜を新たに形成する工程を同一装置内で連続して行なうことを特徴とする光学素
    子成形用型の製造方法。 【請求項4】 炭素を主たる構成元素とする膜が成形面に形成される光学素子
    成形用型の製造方法において、前記膜を酸素含有ガスのプラズマによるエッチン
    グ又はアッシングに続いて、アルゴンガスのプラズマによるエッチング又はアッ
    シングにより除去する工程と、前記膜を新たに形成する工程を同一装置内で連続
    して行なうことを特徴とする光学素子成形用型の製造方法。 【請求項5】 炭素を主たる構成元素とする膜が成形面に形成される光学素子
    成形用型の製造方法において、前記膜を酸素含有ガスのプラズマによりエッチン
    グ又はアッシングし、型母材がエッチングされる前に、アルゴンガスのプラズマ
    によるエッチング又はアッシングに切り換えて膜を除去する工程と、前記膜を新
    たに形成する工程を同一装置内で連続して行なうことを特徴とする光学素子成形
    用型の製造方法。

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