JP3149148B2 - 光学素子の成形方法 - Google Patents

光学素子の成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーボン系離型層を表
面に備えた成形用素材をプレスし、光学素子を成形する
光学素子の成形法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非球面レンズや複雑な形状の光学素子を
比較的容易に得る方法として、プレス成形法(加圧成形
法)が実施されている。この成形方法でガラス光学素子
を得るには、かなり高い温度まで加熱する必要があり、
成形用型による加圧成形の際に型と素材との境界での反
応により、成形品の融着や曇りなどの欠陥を生じる。
【0003】それを防止するためには、成形用型と成形
用素材の界面に反応防止層および離型層を設け、長期間
にわたり、融着、曇りなどの欠陥の発生を防止すること
が必要である。その一つの手段として、成形用素材の表
面に、予め、反応防止層として、SiO2 を設け、ま
た、離型層として、カーボン系の薄膜を設ける方法など
が多数、提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年のガラスモールド
技術の進歩にともない、モールドレンズに要求される硝
種も増大する傾向にある。光学ガラスの代表的な硝種で
あるフリント系、クラウン系、ランタン系のガラスに
は、それぞれ、鉛、アルカリ元素、ランタンなどが含ま
れており、それらの物質は、高温域で金属と反応しやす
い。このため、上記ガラスを成形用素材として採用した
場合、ガラス成形時に、前述のような融着や曇りなどが
発生し、不良品が多発するおそれがあった。
【0005】また、成形品のコストダウンのため、光学
素子の成形技術は、その成形サイクルを短縮する方向に
進んでいる。そのための手段として、高圧力(ガラス成
形圧力:150Kg/cm2 以上)でのプレス成形、お
よび、短時間内での温度の上昇・下降の繰返し(約10
0℃/分以上:最高温度550℃以上)を連続して行う
工程が、この成形方法の一部に採用されている。しか
し、これは、ガラス成形上、非常に厳しい条件である。
【0006】これらの条件下で、前述のように、予め、
離型層を、その効果のある膜厚で、表面に設けた成形用
素材を用いて、連続成形をすると、確かに、ガラスと型
との界面における反応が防止され、この反応による欠陥
は発生しないが、成形の繰返しの過程で、離型層が成形
用型の成形面に不均一に堆積して、それが成形品に転写
され、成形品の曇り不良の原因となった。
【0007】この不良は、成形の硝種、条件によって発
生時点が異なるが、早いもので、5〜6ショット、遅い
ものでも、50ショット近辺において発生するため、所
望の成形品を連続して成形するには、その成形の所要シ
ョット(不良品の発生しない成形回数の範囲)毎に、成
形用型を成形装置外に出して、成形面に転写堆積した離
型層を除去する必要があった。そのため、連続成形が効
率よく行われず、成形品のコストアップの要因になって
いた。
【0008】
【本発明の目的】本発明は、上記事情に基いてなされた
もので、その目的は、成形サイクル短縮にともなう厳し
い条件下での連続成形時に、成形用型の成形面上に転写
堆積した離型層を、成形装置内で除去することによっ
て、時間的なロスを減少させ、効率良い連続成形を可能
にして、成形品をローコストで長期に亙り安定して供給
できる光学素子の成形方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
光学素子の成形用型を用いて、カーボン系離型層を表面
に備えた成形用素材をプレスし、光学素子を成形する光
学素子の成形方法において、少なくとも、上記成形用型
の表面を非酸化性物質で構成し、また、上記成形用型で
の成形の過程で、前記成形用素材表面から前記成形用型
の成形面に転写堆積されたカーボン系離型材を、その成
形用型を備えた成形装置内での、酸素の供給および加熱
によって、あるいは、酸素プラズマ処理などによって酸
化、除去するのである。
【0010】前記カーボン系離型層は、成形用型に均一
にもしくは酸化除去可能な状態で転写するような条件に
おいて成形用素材表面に形成されており、この場合、前
記成形用素材の表面のカーボン系離型層は、その厚み
が、1nm以上、10nm以下になるように形成されて
いるとよい。また、前記光学素子の成形用型として、S
iC、Si34 などの非酸化性セラミックを所望形状
に加工したもの、もしくは、所望形状に加工された超硬
合金、サーメット、セラミックスを母材としてその表面
にSiC、Si34 、BNTiNなどの非酸化性物質
を被覆したもの、または、前記非酸化性物質を母材表面
に被覆した後に更に所望形状に加工したものを、成形用
型材として用いるとよい。
【0011】
【実施例】以下、本発明を各実施例により具体的に説明
する。 [実施例1]ここでは、成形用型として、型母材に窒化
珪素を用い、また、その成形面を所望の形状に鏡面研磨
したものを用いる。また、成形用素材には、その表面に
カーボン系離型層を0.5nm、1nm、5nm、15
nmの4種類の膜厚(これは後の比較テストのためであ
る)に形成したものを用いる。 (離型層の形成方法)図3には、本実施例で光学素子の
成形用素材として使用した両凸形状のガラスブランクが
示されている。図3において、符号2は上記成形用素材
で、フリント系ガラスのSF6(軟化点Sp=529
℃、ガラス点移転Tg=455℃)を、目的とするレン
ズの形状に近似した形状に仕上げてある。上記成形用素
材には、そのプレス成形後に光学機能面となる表面(上
下両面)に、カーボン系離型層として、炭化水素被膜
(CHX 膜)4を、0.5nm、0.1nm、5nm、
15nmの4種類の厚さに形成したものを用いる。な
お、前記被膜の形成には、通常のプラズマ処理やイオン
ガン処理などの技術が用いられるとよい。
【0012】図4には、素材の表面にCHX 膜を被覆す
るのに用いられる薄膜形成装置が概略的に示されてい
る。次に、図4を参照しながら、本発明に係るガラスブ
ランクの製造の例を説明する。図において、符号12は
真空槽、14は排気口で、これは真空排気源(図示せ
ず)に接続されている。また、符号16は上記真空槽1
2内へガスを導入するためのガス導入口である。このガ
ス導入口16はガス源(図示せず)に接続されている。
【0013】上記真空槽12内には、その上部に位置し
て、成形用素材の保持のためのドーム状ホルダー22、
成形用素材を加熱するためのヒーター24、および、被
覆厚測定のための水晶モニター26が配置されている。
なお、符号28は高周波印加用アンテナであり、符号3
0は、上記ホルダー22に保持されている成形用素材で
ある。
【0014】次に、上記の装置を用いて、ガラスブラン
クを製造する例を説明する。フリントガラスSF6を用
いて所定の形状に仕上げたガラスブランクを洗浄し、表
面の油分、異物などを除去し、ホルダー22にセットす
る。そして、真空槽12内の真空度が1×10-5Tor
r以下になるまで、排気口14から排気した後、ガス導
入口16からArガスを、真空槽内が5×10-4Tor
rの真空度になるまで導入する。次に、高周波印加用ア
ンテナ28に300Wの高周波を印加して、高周波放電
を行い、成形用素材30のプラズマ・クリーニングを行
う。
【0015】その後、Arガスの導入を停止して、真空
槽内を1×10-5Torrの真空度に戻し、更にガス導
入口16からCH4 ガスを1×10-3Torrの真空度
になるまで導入する。そして、高周波印加用アンテナ2
8に200Wの高周波を印加し、高周波放電を行い、成
形用素材30に炭化水素層(CHX )を、その膜厚がそ
れぞれ、0.5nm、1nm、5nm、15nmになる
ように形成する。この処理はガラスブランクの両面につ
いて行なわれる。 (ガラス成形方法)次に、この成形用素材を用いて、図
1に示す成形装置により光学素子の成形を行う場合につ
いて述べる。図1において、符号106は成形室のプレ
スゾーンであり、160、161はゲートバルブであ
り、138、140はシリンダである。そして、この成
形装置のプレスゾーン106において、上記シリンダ1
38のロッド134の下端には、成形用上型部材130
が固定されており、上記シリンダ140のロッド136
の上端には、成形用下型部材132が固定されている。
また、ここには、後述する、本発明に係る型クリーニン
グ手段が設けられている。なお、上記成形用素材には、
前述のフリント系ガラスSF6(軟化点Sp=529
℃、ガラス転移点Tg=455℃)が用いられ、そのガ
ラスブランクの表面には、前述の方法により被膜が形成
されている。
【0016】前記ガラスブランクは、置換室(図示せ
ず)を経て、N2 ガスを充満させた成形室のプレスゾー
ン106へと搬送され、ヒーター(図示せず)で加熱さ
れる。ガラスブランクが所定温度に達した後、シリンダ
138、140を作動させて、上型部材130および下
型部材132を働かせ、200Kg/cm2 の圧力およ
び所定の温度で、1分間プレスする。その後、加圧力を
解除し、成形品をガラス転移点以下まで冷却し、更に、
シリンダ138、140を作動させて、上記上型部材1
30および下型部材132からガラス成形品を離型す
る。その後、上記置換室を通って、成形品が炉外へ搬出
される。 (成形結果)次に、上述の成形法を用いた成形の実験に
おける成形用型の温度サイクルを図5に示す。ここで
は、ガラス投入温度420℃から成形温度510℃まで
1分間でガラスブランクを昇温(昇温速度90℃/分)
して、1分間のプレス成形後、510℃から離型温度4
40℃まで1分間で降温(降温速度70℃/分)してい
る。以上の条件で連続成形した結果は表1に示す通りで
ある。
【0017】この実験で、CHX 膜が0.5nmのブラ
ンクでは、連続10回目近辺から融着不良が発生した。
これは、離型層が薄過ぎて、成形時の加圧や展延により
離型層が破壊され、ガラスと型とが直接、接触したため
である。実験結果に従えば、0.5nmでは、離型層の
役割をするには、薄過ぎるといえる。
【0018】また、CHX 膜厚が15nmのブランクで
は、20回目近辺から、前記ブランクから成形用型の成
形面への不均一な離型材の転写による輪帯状の曇り不良
が発生した。これは、離型層が厚過ぎて、成形時のガラ
スブランクの変形過程で、最も成形用型に対する圧力の
かかると思われる成形面の周辺部分に、他の部分よりも
多く、離型材(カーボン)が輪帯状に転写された結果で
ある。
【0019】また、CHX 膜厚が5nmのブランクで
は、50回目近辺から、また、1nmのブランクでは、
60回目近辺から、前記ブランクから成形用型の成形面
への離型材の転写による曇り不良が発生したが、この曇
り不良は、双方の場合とも、光学機能面の全面均一であ
り、前述のような不均一な部分は認められなかった。
【0020】
【表1】 (成形用型の成形面上に堆積した離型材(カーボン)の
除去方法)次に、上記実験に用いた成形用型表面に堆積
したカーボン系離型材(CHX )の除去方法を述べる。
なお、本実施例は、前述の実験におけるCHX 被膜の、
膜厚1nmについては60ショット後の成形用型に関し
て、膜厚5nmについては50ショット後の成形用型に
関して、更に、膜厚15nmについては20ショット後
の成形用型に関して、その除去が行われる。
【0021】ここでは、先ず、成形装置内で、型加熱用
ヒーター(図示せず)により750℃の温度に上記成形
用型を加熱し、ゲート弁160、161を閉じて、排気
口163から、内部雰囲気を真空排気をした後、プレス
ゾーン106に、酸素を20%含むN2 ガスを導入し、
10分間、この状態を保持する。この過程で、成形型の
成形面に堆積したCHX 膜が燃焼され、ガス化(炭酸ガ
ス)して除去される。その後、成形用型を成形温度まで
冷却すると共に、内部雰囲気を真空排気し、プレスゾー
ン106を成形雰囲気(窒素雰囲気)に戻し、ゲート弁
160、161を開けて、再度、連続成形を行うのであ
る。
【0022】このような離型材の除去を上述の実験で得
た各成形用型について調べた結果は表2に示す通りであ
る。ここでは、CHX 被膜1nmおよび5nmのブラン
クについての成形用型では、本除去方法で、成形面に転
写したCHX 膜がきれいに除去され、その後、連続、約
60回および約50回まで、不良品を発生することな
く、良好な成形が可能であった。よって、上述の型クリ
ーニング方法が有効に機能していることが確認された。
【0023】しかしながら、CHX 被膜15nmのブラ
ンクについての成形用型では、本除去方法によっても、
CHX 膜が厚く転写した部分、つまり、輪帯状の欠陥に
なった部分のCHX 膜は、完全に除去されず、成形品に
わずかな痕跡を残した。この部分の成形品の表面粗さは
MAX =0.07nmであった。その後、連続成形した
ところ、前記残留部分が引き金となり、成形が約10シ
ョットで、所謂、輪帯状の曇り欠陥となった(RMAX
0.1nm)。即ち、CHX 被膜15nmのブランクに
ついて、本除去方法を適用しても、型のクリーニング効
果が十分得られないことが確認できた。
【0024】
【表2】 [実施例2]次に、成形用素材にBAL42(軟化点S
p=672℃、ガラス転移点Tg=550℃)を用い、
また、プレス成形時、成形用素材から成形用型の成形面
に転写したCHX 膜の除去に、酸素プラズマによるクリ
ーニングを行った実施例について述べる。実施例1と同
様の成形用型を準備すると共に、成形用素材としてのB
AL42を両凸形状に加工し、その成形面にCHX 膜を
実施例1と同様の方法で、それぞれ、0.5nm、10
nm、20nmの膜厚で被覆したガラスブランクを予め
用意した。また、成形装置(図2参照)は、そのプレス
ゾーン106−2の内部の構造を除いては、実施例1と
同様である。ここで、プレスゾーン内部の構造について
説明する。ここで、符号164は高周波放電発生用コイ
ル状アンテナ、166は高周波放電用電源、165はマ
ッチングボックス、162はガス導入口、また、163
は真空排気口で、これは真空排気用ポンプ(図示せず)
に接続されている。 (成形結果)次に、この実施例に用いた成形用型の温度
サイクルを第6図に示す。ガラス投入温度530℃から
成形温度620℃まで、1分間で昇温(昇温速度90℃
/分)して、1分間のプレス後、上記成形温度620℃
から離型温度550℃まで1分間で降温(降温速度70
℃/分)する。
【0025】以上の条件で連続的に成形した実験結果を
表3に示す。この実験で、CHX 膜が0.5nmのブラ
ンクでは連続5回目近辺から融着不良が発生した。これ
は、実施例1同様、上記成形条件に対しては、ガラスブ
ランクの離型層が薄過ぎて、成形時の加圧や展延によ
り、上記離型層が破壊されて、ガラスと成形用型とが、
直接、接触したためである。本実験によれば、CHX
が0.5nmのブランクでは、その離型層が、本来の役
割をするには、薄過ぎるといえる。
【0026】また、CHX 膜厚が20nmのブランクで
は、15回目近辺から前記ブランクから成形用型への不
均一な離型材の転写があり、輪帯状で、かつ、円周方向
へ伸びる細かいキズ状の曇り不良を発生した。これは、
離型層が厚過ぎて、成形時のガラスブランクの変形過程
で、最も型に対する圧力のかかると思われる成形面の周
辺部分に、他の部分よりも厚くカーボンが転写し、輪帯
状をなし、更に、ガラスの展延により、それが外周方向
に引きずられたためである。また、CHX 膜厚が10n
mのブランクでは、50回目近辺から、前記ブランクか
ら成形型への離型材の転写による曇り不良が発生した
が、この曇り不良は、成形品の光学機能面の全面に発生
し、特に、他の部分よりも濃く輪帯状に現れた。これ
も、実施例1の場合と同様の理由によるものと思われ
る。
【0027】
【表3】 (成形用型上に堆積した離型材(カーボン)の除去方
法)次に、上記成形実験に用いた成形用型の表面に堆積
したカーボン系離型材の除去方法を述べる。なお、この
実施例において、CHX 被膜が、膜厚10nmでは50
ショット後の成形用型について、CHX 膜厚20nmで
は15ショット後の成形用型について、その離型材の除
去が行われる。
【0028】ここでは、プレスゾーン106のゲート弁
160、161を閉じて、排気口163より上記プレス
ゾーンの真空排気を行い、1×10-5Torrの真空度
にする。次に、ガス導入口162から酸素ガスを5×1
-4Torrになるまで導入する。そして、高周波電源
166から、マッチングボックス165を介して高周波
印加用アンテナ164に、300Wの高周波を印加し
て、10分間の高周波放電をなし、成形用型の成形面に
対して酸素プラズマクリーニングを行う。その後、プレ
スゾーン106を成形雰囲気(窒素雰囲気)に戻して、
連続成形を再開するのである。
【0029】このような除去方法で実験した結果を表4
に示す。ここでは、CHX 膜が10nmのブランクにつ
いての成形用型の成形面上に発生した、離型材による不
均一な輪帯状の曇り不良は、本除去方法で、きれいに除
去され、その後、約50回までの連続成形の間、不良品
の発生がなく、良好な成形が可能であった。従って、前
記型クリーニング方法が有効に機能していることが確認
された。
【0030】しかしながら、CHX 膜が20nmのブラ
ンクについての成形用型の成形面上の、離型材による不
均一なキズ状の転写部分は、完全には除去されず、クリ
ーニング直後の成形においても、成形品に痕跡を残し
た。この部分の成形品表面粗さはRMAX =0.2nmで
あった。これは、CHX 膜が20nmブランクについ
て、それに使用した成形用型に、本除去方法を適用して
も、型のクリーニング効果が十分得られないことを示し
ている。
【0031】
【表4】 なお、上述の実施例では、成形用型材として、窒化珪素
を用いたが、炭化珪素母材のガラス成形面に、CVD法
により、SiCを被覆して、所望の鏡面状態に仕上げた
もの、超硬合金母材を所望形状に加工して、その表面に
窒化硼素を被覆したものなどを用いることができ、ま
た、型のクリーニング方法にも、上記実施例で述べた高
温酸化方法やプラズマエッチング方法の他、スパッタエ
ッチング、イオンビームエッチング、リアクティブイオ
ンエッチングなどの手段も用いることができる。また、
ガス種としては、酸素以外にCF4 系の反応ガスを用い
てもよく、この場合には、炭素およびガラスからの揮発
物の混合付着物の除去について効果がある。
【0032】
【発明の効果】本発明における光学素子の成形方法で
は、つまり、少なくともその表面が非酸化性物質からな
る光学素子成形用型を用いて成形する場合、カーボン系
離型層を表面に備えた成形用素材をブランクとして、上
記成形用型による成形の際、前記成形用素材から成形用
型の成形面にカーボン系離型材が転写されるが、その転
写堆積したカーボン系離型材を、その成形用型を装備し
た成形装置内で酸化、除去するので、連続成形の過程で
発生する曇り欠陥などを回避するための成形面からの離
型材の除去を、成形用型を装置外に取出すことなく、短
時間で、かつ、容易に行なうことができ、全体として、
光学素子の成形の稼動率をあげ、その連続成形を長期間
にわたり継続できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による成形方法を実現する実施例1の成
形装置の概略図である。
【図2】本発明による成形方法を実現する実施例2の成
形装置の概略図である。
【図3】成形用素材としてのガラスブランクの模式的断
面図である。
【図4】成形用素材にCHX 膜を被覆する蒸着装置であ
る。
【図5】実施例1の成形用型の温度サイクルを示すグラ
フである。
【図6】実施例2の成形用型の温度サイクルを示すグラ
フである。
【符号の説明】
2 ガラスブランク(成形用素材) 4 カーボン系離型層 106 成形室のプレスゾーン 130 上型部材 132 下型部材 134、136 ロッド 138、140 シリンダ 160、161 ゲート弁 162 ガス導入口 163 真空排気口 164 アンテナ 165 高周波放電用電源 166 マッチングボックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 潔 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−305742(JP,A) 特開 平3−137032(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03B 11/00 C03B 40/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学素子の成形用型を用いて、カーボン
    系離型層を表面に備えた成形用素材をプレスし、光学素
    子を成形する光学素子の成形方法において、少なくと
    も、上記成形用型の表面を非酸化性物質で構成し、ま
    た、上記成形用型での成形の過程で、前記成形用素材表
    面から前記成形用型の成形面に転写堆積されたカーボン
    系離型材を、その成形用型を備えた成形装置内で酸化、
    除去することを特徴とする光学素子の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記成形用素材の表面のカーボン系離型
    層は、その厚みが、1nm以上、10nm以下になるよ
    うに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    光学素子の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記光学素子の成形用型として、Si
    C、Si34 などの非酸化性セラミックを所望形状に
    加工したもの、もしくは、所望形状に加工された超硬合
    金、サーメット、セラミックスを母材としてその表面に
    SiC、Si34 、BN、TiNなどの非酸化性物質
    を被覆したもの、または、前記非酸化性物質を母材表面
    に被覆した後に更に所望形状に加工したものを、成形用
    型材として用いることを特徴とする請求項1に記載の光
    学素子の成形方法。
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