JP2505536B2 - 撥水・撥油剤および撥水・撥油性組成物 - Google Patents

撥水・撥油剤および撥水・撥油性組成物

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JP2505536B2 JP63144506A JP14450688A JP2505536B2 JP 2505536 B2 JP2505536 B2 JP 2505536B2 JP 63144506 A JP63144506 A JP 63144506A JP 14450688 A JP14450688 A JP 14450688A JP 2505536 B2 JP2505536 B2 JP 2505536B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,プラスチック成形体表面又は塗装表面に撥
水・撥油性を付与する撥水・撥油剤およびそれを含有す
る組成物に関する。
(従来の技術) プラスチック成形体;鏡などのガラス製品;衣料品,
傘などの繊維製品などには撥水・撥油機能が必要とされ
る場合があり,各種の撥水・撥油剤が開発されている。
撥水・撥油剤のほとんどは含フッ素化合物である。例え
ば,特開昭58-192852号公報および特開昭58-152830号公
報には,撥水・撥油剤となり得る含フッ素ポリマーを合
成するための新規フッ素含有モノマーが開示されてい
る。上記特開昭58-192852号公報にはパーフルオロアル
キル基を側鎖に有するビニルエステル化合物が,そし
て,上記特開昭58-152830号公報にはδ−フルオロ−
α,β−不飽和脂肪族化合物が開示されている。
撥水・撥油剤となり得る含フッ素ポリマーとしては,
パーフルオロアルキルエチルアクリレート,パーフルオ
ロアルキルメタクリレートなどを各種モノマーと共重合
して得られるポリマーなどが挙げられる。例えば,特開
昭57-180680号公報には,ジエン系モノマーを含む共重
合体からなる幹セグメントと,ブロック化ポリフルオロ
アルキル基を有する枝セグメント(例えばポリフルオロ
アルキルアクリレート)とが結合したポリマーが開示さ
れている。特開昭61-209286号公報には,ポリフルオロ
アルキル基含有ビニルモノマーおよびアルコキシシリル
基含有ビニルモノマーの共重合体が開示されている。こ
のような含フッ素ポリマーを含む種々の組成物も多く知
られている。例えば,特開昭58-147483号公報には,ガ
ラス表面への撥水・撥油性の付与を目的として,ポリフ
ルオロアルキル基含有シラン化合物,シランカップリン
グ剤およびコロイダルシリカを含有する組成物が開示さ
れている。特開昭58-104978号公報には,繊維製品表面
への付与を目的としたエアゾール式の撥水・撥油性組成
物として,各種フッ素系ポリマー,塩素系溶剤および噴
射剤を含有する組成物が開示されている。さらに,特開
昭59-219380号公報には,含フッ素ビニルモノマーを含
む(共)重合体を含有する撥水・撥油性のエマルジョン
が開示されている。
上記モノマーを重合して得られる含フッ素ポリマー,
上記撥水・撥油性ポリマーあるいは上記組成物は,いず
れも繊維製品,ガラス,各種成形体などの表面にコーテ
ィングもしくはスプレーにより付与される。例えば,プ
ラスチック成形体などの表面に撥水・撥油性を付与する
場合において,撥水・撥油剤をプラスチック材料と混合
してインジェクション成形や押出成形により成形するこ
とができれば,上記コーティングやスプレーという工程
が不必要となり,生産性が向上すると考えられる。しか
し,上記の撥水・撥油剤(ポリマーもしくは組成物)
は,いずれもプラスチック材料との親和性に乏しく,成
形後に成形体表面にブリーディングが生じるなどの欠点
がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり,その
目的とするところは,コーティング,スプレーなどの手
段により撥水・撥油性を必要とするプラスチック成形体
表面又は塗装表面に付与することが可能であり,かつ,
プラスチックなどの材料とともに混合して溶融成形の可
能な撥水・撥油剤およびそれを含有する組成物を提供す
ることにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の撥水・撥油剤は,1価アルコールおよび/また
はジオールと,パーフルオロアルキル基および1個のカ
ルボキシル基を有する化合物とのエステルであって,常
温で固体状のエステルでなり、プラスチック成形体表面
又は塗装表面を撥水性及び撥油性にするためのものであ
る。
本発明の撥水・撥油性組成物は,上記固体状エステル
および高分子化合物を含有し、撥水性及び撥油性のプラ
スチック成形体を成形するためのものである。
本発明の撥水・撥油性組成物は上記固体状エステル,
高分子化合物および溶剤を含有し、撥水性及び撥油性の
塗膜を形成するためのものである。
本発明の撥水・撥油剤であるエステルを調製するため
に用いられる1価アルコールは特に限定されないが,得
られるエステルが常温で固体となるためには,通常,そ
の炭素数が6以上,好ましくは12以上の1価アルコール
が利用される。それには例えば,ヘキサノール,オクタ
ノール,デカノール,ウンデカノール,ドデカノール,
トリデカノール,テトラデカノール,ペンタデカノー
ル,ヘキサデカノール,ヘプタデカノール,オクタデカ
ノール(ステアリルアルコール),ノナデカノール,エ
イコサノール,ヘンエイコサノールなどの飽和アルコー
ル;および1−デケン−10−オール,2−デケン−10−オ
ール,3−ウンデケン−1−オール,2−ペンタデケン−5
−オール,3−ヘプタデケン−1−オール,5−ノナデケン
−1−オール,1,4−エイコサジエン−8−オール,3,10,
15−ヘンエイコサトリエン−1−オールなどの不飽和ア
ルコールがある。この中でも,特にステアリルアルコー
ルが好適に利用される。
ジオールも特に限定されないが,1価アルコールの場合
と同様,得られるエステルが常温で固体となるような化
合物が選択される。それには例えば,ポリエチレンジオ
ール,ポリプロピレンジオール等のオレフィン系ジオー
ル,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコー
ル等のエチレングリコール系ジオールおよびポリエチレ
ンテレフタレートジオール等のエステル系ジオールがあ
る。
パーフルオロアルキル基および1個のカルボキシル基
を有する化合物(以下,カルボキシル基含有フッ素化合
物とする)としては,パーフルオロアルキル基(CnF2n
+1)の炭素数(n)が4以上の化合物が有利に用いら
れ,特にnが7または8の化合物が好適である。上記化
合物としては,次のような化合物が挙げられる:CnF2n+1
-CH2CH2-COOH,CnF2n+1-CH2-COOH,CnF2n+1-CH2CH2SCH2CH
2-COOH,CnF2n+1-CH2SCH2CH2-COOH,CnF2n+1-CH2CH2SCH2-
COOH,CnF2n+1-(CH23-COOH,CnF2n+1-(CH24-COOH,C
nF2n+1-(CH25-COOH,CnF2n+1-(CH26-COOH,CnF2n+1
-SNHCH2CH2-COOH,CnF2n+1-SNHCH2-COOH。これらの化合
物は,上記1価アルコールおよび/またはジオールの水
酸基に対して1当量反応される。
本発明の撥水・撥油性組成物中に含有される高分子化
合物は,熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であって
もよい。熱可塑性樹脂としては,ポリビニルアルコー
ル,ポリビニルブチラール,ポリエチレン,ポリプロピ
レン,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,ポリメチルメタ
クリレート,ポリカーボネート,アクリロニトリル−ス
チレン共重合体,アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体などがある。熱硬化性樹脂としては,エポ
キシ樹脂,ウレタン樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹
脂,シリコーン樹脂,イミド樹脂,アリル樹脂,不飽和
ポリエステルなどがある。
本発明の撥水・撥油性組成物中に含有される溶剤は,
主として,該組成物を塗装もしくはスプレー用の撥水・
撥油性材料として用いるときに,組成物中に含有され,
上記エステルおよび高分子化合物(未硬化状態の熱硬化
性樹脂も包含される)を溶解するために使用される。こ
のような溶剤は,エステルや高分子化合物を溶解し得る
ものであればよく,特に限定されない。溶剤としては,
酢酸エチル,酢酸プロピル,酢酸ブチル,メチルエチル
ケトン,メチルイソブチルケトン,ベンゼン,トルエ
ン,エチルベンゼン,キシレン,シクロヘキサンなどが
用いられる。
本発明の撥水・撥油剤であるエステルは,上記1価ア
ルコールおよび/またはジオールと,上記カルボキシル
基含有フッ素化合物とを常法により反応させることによ
り得られる。上記1価アルコール,ジオールおよびカル
ボキシル基含有フッ素化合物は,得られるエステルが常
温で固体状であるように選択される。例えば,上記1価
アルコールおよび/またはジオールとカルボキシル基含
有フッ素化合物とを,沸点が60℃以上の適当な溶媒に溶
解させ,触媒を加えて,60〜100℃に5〜10時間加熱する
ことによりエステルが得られる。上記溶媒としては,酢
酸エチル,酢酸プロピル,酢酸ブチル,メチルエチルケ
トン,メチルイソブチルケトン,ベンゼン,トルエン,
エチルベンゼン,キシレン,シクロヘキサンなどが用い
られる。上記触媒としては,エステル化反応に通常使用
される酸類,例えば,濃硫酸,濃塩酸などの無機酸;ま
たはトリフルオロ酢酸,ジフルオロ酢酸などの有機酸が
用いられる。上記反応温度および反応時間は,使用する
1価アルコール,ジオールおよびカルボキシル基含有フ
ッ素化合物の種類などにより異なるため,エステル化効
率が高く,原料および生成物の分解や副反応が起こらな
い条件を選択し,適宜設定される。得られるエステルは
常温で固体状であるため,例えば,撥水・撥油剤として
成形体表面に付与されたとき,あるいはプラスチック材
料に混合して成形したときに,該成形体表面に安定して
存在する。これに対して,例えば,上記1価アルコール
および/またはジオールとして炭素数の少ない化合物を
選択してエステルを調製すると,得られるエステルは液
状となる。液状エステルは成形体表面に安定して存在せ
ず,除去されやすいため撥水・撥油機能の持続性が悪
い。
上記エステルは,そのまま,塗装表面やプラスチック
成形体表面に,キャスティングなどの手法により塗布
し,撥水・撥油剤として利用され得る。さらに,上記撥
水・撥油剤および高分子化合物を含有する撥水・撥油性
組成物が調製され得る。このような組成物は,例えば,
上記高分子化合物(熱可塑性樹脂または未硬化の熱硬化
性樹脂)と,上記エステルとを含む。この組成物を加熱
・溶融し,押出成形,インジェクション成形などにより
成形すると撥水・撥油性を有するプラスチック成形体が
得られる。高分子化合物を含む組成物においては,使用
されるエステルは該高分子化合物の種類に応じてその親
和性などを考慮して適宜選択さる。上記組成物におい
て,上記エステルは組成物中にCnF2n+1含有量が0.5重量
%以上になるように含まれるのが好ましく,より好まし
くは1〜10重量%である。また,マスターバッチ組成物
の場合には,上記エステルがCnF2n+1含有量として15〜8
0重量%になるよう含まれるのが好ましい。
さらに他の本発明の撥水・撥油性組成物は,上記エス
テルおよび高分子化合物に加えて,上記溶剤が含有され
る。このような組成物は,プラスチック成形体表面又は
塗装表面にコーティング,キャスティング,スプレーな
どの手段により撥水・撥油性被膜を付与する目的で使用
される。溶剤の種類は,含有されるエステルおよび高分
子化合物の種類に応じて適宜選択される。例えば,熱可
塑性樹脂または未硬化の熱硬化性樹脂とそれを溶解し得
る溶剤とを含むコーティング用組成物が調製される。高
分子化合物およびエステルの配合比は,上記高分子化合
物とエステルとを含む組成物に準じ,これに目的に応じ
て適当量の溶剤が配合される。
本発明に使用されるエステルは,撥水・撥油性に優れ
たパーフルオロアルキル基を有するためプラスチック成
形体表面又は塗装表面に対して優れた撥水・撥油性を有
し,かつエステルタイプであるため,各種樹脂との相溶
性に優れる。このエステルおよび高分子化合物を含む本
発明の組成物は,例えば押出成形やインジェクション成
形により成形することが可能であり,得られた成形体は
優れた撥水・撥油性を有する。このように,コーティン
グなどの工程を必要とすることなく,撥水・撥油性を有
する成形体が得られ,しかも基材となる高分子化合物の
性質は変化することがない。コーティングなどの工程が
省略されるため,成形体が低コストで生産され得る。さ
らに溶剤を含む本発明の組成物は,塗装用の撥水・撥油
性組成物として用いられ,得られた塗膜は優れた撥水・
撥油性を有する。塗膜と被塗装表面との密着性にも極め
て優れる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1-1 (A)エステルの調製:C8F17-CH2CH2-COOH(カルボキシ
ル基含有フッ素化合物)23.75g(0.05モル)とステアリ
ルアルコール13.5g(0.05モル)とをトルエン300mlに溶
解させ,これに濃硫酸0.49g(0.005モル)を添加した。
これを80℃にて撹拌しながら6時間にわたり反応させ
た。反応終了後,これに水を加え,水/トルエン系にて
抽出を行った。トルエン相を分取し,乾燥後溶媒を除去
し,60℃にて2時間減圧乾燥を行った。20.3gのエステル
が得られた。生成したエステルの元素分析の結果,C:Hは
8.0:1.0(理論値8.2:1.0)であった。
(B)エステルの性能評価:(A)項で得られたエステ
ルをトルエンに溶解させ,キャスティングにより被膜を
形成した。その表面に水およびn−オクタンの液滴をそ
れぞれ接触させ,その接触角を接触角測定装置CA-D(協
和界面科学社製)を用いて測定した。その結果を表1に
示す。
(C)エステル含有組成物の性能評価:(A)項で得ら
れたエステルを各種基材樹脂[ポリスチレン(電気化学
工業社製,デンカスチロールMW-1),ポリエチレン(旭
化成社製,サンテックM-6454)またはポリプロピレン
(三菱油化社製,三菱ポリプロBC05C)]に5重量%の
割合で混合し,インジェクション成形によりシートの成
形を行なった。それぞれのシート表面に水およびn−オ
クタンの液滴をそれぞれ接触させ,その接触角を(A)
項と同様の測定装置を用いて測定した。その結果を表2
に示す。
(D)エステル含有組成物の性能評価:各種基材樹脂
[ポリスチレン(電気化学工業社製,デンカスチロール
MW-1),ポリメチルメタクリレート(協和ガス化学社
製,パラペットGF),ポリカーボネート(帝人化成社
製,パンライトL-1250)]に対して,(A)項で得られ
たエステルを5重量%の割合で配合し,これをトルエン
に溶解させた。この溶液をキャスティングして乾燥し,
厚さ30μmの被膜を形成した。その表面に水およびn−
オクタンの液滴を接触させ,接触角を(A)項と同様の
測定装置を用いて測定した。その結果を表3に示す。
実施例1-2 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2CH2-COOH26.75g(0.05モル)を用いたこと以外は実
施例1-1と同様である。得られたエステルの収量および
性能などを表1,表2および表3に示す。後述の実施例1-
3〜1-6の結果もあわせて,表1,表2および表3に示す。
実施例1-3 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2-COOH26.05g(0.05モル)を用いたこと以外は実施
例1-1と同様である。
実施例1-4 1価アルコールとしてエイコサアルコール14.9g(0.0
5モル)を用いたこと以外は実施例1-1と同様である。
実施例1-5 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2CH2-COOH26.75g(0.05モル)を,そして1価アルコ
ールとしてエイコサアルコール14.9g(0.05モル)を用
いたこと以外は実施例1-1と同様である。
実施例1-6 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2-COOH26.05g(0.05モル)を,そして1価アルコー
ルとしてエイコサアルコール14.9g(0.05モル)を用い
たこと以外は実施例1-1と同様である。
比較例1-1 1価アルコールとしてプロピルアルコール3.0g(0.05
モル)を用いて実施例1-1と同様に操作したところ,半
固体状のエステルが得られた。このエステルは融点が低
いため,このエステルのみからなるフィルムを用いた接
触角を測定することはできなかった。このエステルを実
施例1-1と(C)項同様に各種基材樹脂にそれぞれ5%
となるように混合し,同様にシートを成形して水および
n−オクタン液滴の接触角を測定した。その結果を表2
に示す。さらに実施例1-1(D)項と同様に各種基材樹
脂とエステルとを混合し,キャスティングにより被膜を
形成し,水およびn−オクタン液滴の接触角を測定し
た。その結果を表3に示す。
比較例1-2 実施例1-1(C)で基材として使用した樹脂のみをそ
れぞれインジェクション成形により単独でシート状に成
形し,実施例1-1と同様に水およびn-オクタン液滴の接
触角を測定した。その結果を表2に示す。さらに,実施
例1-1(D)項で基材として使用した樹脂のみを実施例1
-1(D)項に準じてキャスティングして被膜を形成し,
水およびn−オクタン液滴の接触角を測定した。その結
果を表3に示す。
実施例2-1 (A)エステルの調製:C8F17-CH2CH2-COOH(カルボキシ
ル基含有フッ素化合物)4.75g(0.01モル)とポリエチ
レン系ジオール(三菱化成(株)製,ポリテールHA,Mw
=2230)11.15g(0.005モル)とをキシレン150mlに加
え,100℃に加熱して溶解させた。この溶液に濃硫酸0.1g
(0.001モル)を加え,100℃にて撹拌しながら8時間に
わたり反応させた。放冷後,水およびトルエンを加え,
水/トルエン系にて抽出を行なった。有機相を分取し,
乾燥後,溶媒を除去し,60℃にて2時間減圧乾燥を行な
った。14.2gのエステルが得られた。
(B)エステルの性能評価:本実施例(A)項で得られ
たエステルをトルエンに溶解させ,キャスティングによ
り被膜を形成した。その表面に水およびn−オクタンの
液滴をそれぞれ接触させ,その接触角を接触角測定装置
CA-D(協和界面科学社製)を用いて測定した。その結果
を表4に示す。
(C)エステル含有組成物の性能評価:本実施例(A)
項で得られたエステルを各種基材樹脂[ポリスチレン
(電気化学工業社製,デンカスチロールMW-1),ポリエ
チレン(旭化成社製,サンテックM-6545)またはポリプ
ロピレン(三菱油化社製,三菱ポリプロBCO5C)]に5
重量%の割合でブレンドし,混練後,200℃で10分間ホッ
トプレスを行い,シート状の成形体を得た。それぞれの
シート表面に水およびn−オクタンの液滴をそれぞれ接
触させ,その接触角を本実施例(A)項と同様の測定装
置を用いて測定した。その結果を表5に示す。
(D)エステル含有組成物の性能評価:各種基材樹脂
[ポリスチレン(電気化学工業社製,デンカスチロール
MW-1),ポリメチルメタクリレート(協和ガス化学社
製),ポリカーボネート(帝人化成社製,パンライトL-
1250)]に対して,本実施例(A)項で得られたエステ
ルを5重量%の割合で配合し,これをトルエンに溶解さ
せた。この溶液をキャスティングし,乾燥して乾燥し,
厚さ30μmの被膜を形成した。その表面に水およびn−
オクタンの液滴を接触させ,接触角を本実施例(A)項
と同様の測定装置を用いて測定した。その結果を表6に
示す。
実施例2-2 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2CH2-COOH5.35g(0.01モル)を用い,反応時間を6
時間としたこと以外は実施例2-1と同様である。得られ
たエステルの収量および性能などを表4,表5および表6
に示す。後述の実施例2-3〜2-6の結果もあわせて表4,表
5および表6に示す。
実施例2-3 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2-COOH5.21g(0.01モル)を用い,反応時間を6時間
としたこと以外は実施例2-1と同様である。
実施例2-4 ジオールとしてポリエチレングリコール(Mw=3000)
15g(0.005モル)を用いたこと以外は実施例2-1と同様
である。
実施例2-5 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2CH2-COOH5.35g(0.01モル),およびジオールとし
てポリエチレングリコール(Mw=3000)15g(0.005モ
ル)を用い,反応時間を6時間としたこと以外は実施例
2-1と同様である。
実施例2-6 カルボキシル基含有フッ素化合物としてC8F17-CH2CH2
SCH2-COOH5.21g(0.01モル),およびジオールとしてポ
リエチレングリコール(Mw=3000)15g(0.005モル)を
用い,反応時間を6時間としたこと以外は実施例2-1と
同様である。
比較例2 ジオールとしてジエチレングリコール0.53g(0.005モ
ル)を用いて実施例2-1と同様に操作したところ,半固
体状のエステルが得られた。このエステルは融点が低い
ため,このエステルのみからなるフィルムを用いた接触
角を測定することはできなかった。このエステルを実施
例2-1と(C)項同様に各種基材樹脂にそれぞれ5%と
なるように混合し,同様にシートを成形して水およびn
−オクタン液滴の接触角を測定した。その結果を表5に
示す。さらに実施例2-1(D)項と同様に各種基材樹脂
とエステルとを混合し,キャスティングにより被膜を形
成し,水およびn−オクタン液滴の接触角を測定した。
その結果を表6に示す。比較のため,基材樹脂のみを用
いた比較例1-2の結果を表2および表3に示す。
(発明の効果) 本発明によればこのように,コーティング,スプレー
などの手段により撥水・撥油性を必要とするプラスチッ
ク成形体表面又は塗装表面に撥水・撥油性を付与するこ
とが可能であり,かつ,プラスチックなどの材料ととも
に混合して溶融成形の可能な撥水・撥油剤およびそれを
含有する組成物が提供される。特に,この撥水・撥油剤
および高分子化合物を含有する組成物を用いると,押出
成形などにより一工程で撥水・撥油性および汚れ防止性
能に優れた成形体が安価に得られる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1価アルコールおよび/またはジオール
    と、パーフルオロアルキル基および1個のカルボキシル
    基を有する化合物とのエステルであって、常温で固体状
    のエステルでなり、プラスチック成形体表面又は塗装表
    面を撥水性及び撥油性にするための撥水・撥油剤。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の固体状エス
    テルおよび高分子化合物を含有し、撥水性及び撥油性の
    プラスチック成形体を成形するための撥水・撥油性組成
    物。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の固体状エス
    テル、高分子化合物および溶剤を含有し、撥水性及び撥
    油性の塗膜を形成するための撥水・撥油性組成物。
JP63144506A 1988-06-10 1988-06-10 撥水・撥油剤および撥水・撥油性組成物 Expired - Lifetime JP2505536B2 (ja)

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