JP2505472B2 - エンジンのシリンダブロック補強構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はエンジンのシリンダブロック補強構造に関
し、特にシリンダブロックを補強するための補強プレー
トを備えたものの改良に関する。

（従来の技術） 従来、エンジンのシリンダブロック補強構造として、
例えば実開昭59-34049号公報に開示されるように、シリ
ンダブロックとオイルパンとの間に補強プレートを配
し、該補強プレートの周縁部をスカート部とオイルパン
レール部とで挟持するとともに、央部をメインベアリン
グキャップにボルト締結することにより、シリンダブロ
ックの剛性を高めるようにしたものが知られている。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、エンジンのオイルパンには、オイル容量の
適正化を図るとともに排気管等の配置スペースを確保す
るために底の浅い浅皿部が設けられる。ところが、この
浅皿部をオイルパンのトランスミッションに近い側に形
成し、かつシリンダブロックに補強プレートを設ける場
合、浅皿部ではシリンダブロックとオイルパンとの間の
スペースが狭いので、この浅皿部に補強プレートを設け
ることができず、浅皿部側のシリンダブロック剛性が相
対的に弱くなるという問題が生ずる。

一方、エンジンとトランスミッションとが接続部を境
として折れ曲がるように変形する、いわゆるパワープラ
ントベンディングを低減するものとして、例えば実開昭
61-70543号公報に開示されるように、上記接続部付近に
スティフィナーメンバを配し、該スティフィナーメンバ
の一端をトランスミッションケースに連結し、かつ他端
をシリンダブロックに連結することにより、シリンダブ
ロックとトランスミッションとの接続強度を高めるよう
にしたものが知られている。このスティフィナーメンバ
によればシリンダブロック自体の剛性も高められる。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その
目的とするところは、スティフィナーメンバにより、補
強プレートによる剛性向上効果の及ばない浅皿部側のシ
リンダブロックを補強して、オイルパンを小形化しつつ
シリンダブロックの剛性向上効果の実効を上げ、かつパ
ワープラントベンディングを低減させることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明の解決手段は、オイ
ルパンのトランスミッションに近い側を、底の浅い浅皿
部に形成したエンジンにおけるシリンダブロック補強構
造を対象とするものである。そして、シリンダブロック
とオイルパンとの間でシリンダブロックのスカート部下
端同士を連結する補強プレートを、上記浅皿部のトラン
スミッション側後方を除く位置に配設する。さらに、浅
皿部の下面を覆い該浅皿部付近のシリンダブロックスカ
ート部下端同士を連結し、かつトランスミッションケー
スに連結されるスティフィナーメンバを、上記補強プレ
ートと一部オーバラップさせて配置する構成としたもの
である。

（作用） 上記の構成により、本発明では、補強プレートを浅皿
部のトランスミッション側後方を除く位置に配し、この
補強プレートによってシリンダブロックスカート部下端
同士を連結したので、浅皿部側以外におけるシリンダブ
ロックの剛性が高められる。

その場合、補強プレートが浅皿部のトランスミッショ
ン側後方を除く位置にあるので、オイルパンが小形化さ
れて、オイル容量の適正化および排気管等の配置スペー
スの確保が図られる。

また、スティフィナーメンバを浅皿部の下側に配し、
かつ上記補強プレートと一部オーバラップさせて配置し
てシリンダブロックスカート部下端同士を連結したの
で、浅皿部側におけるシリンダブロックの剛性が高めら
れる。

さらに、上記スティフィナーメンバを介してシリンダ
ブロックとトランスミッションとが連結されるので、シ
リンダブロックとトランスミッションとの接続剛性が高
められてパラープラントベンディングが低減される。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図〜第３図は本発明の実施例に係るシリンダブロ
ック補強構造を有する直列４気筒エンジンを示す。１は
シリンダブロックであって、該シリンダブロック１上に
はシリンダヘッドが配され、シリンダブロック１とシリ
ンダヘッドとの間に第１〜第４シリンダ2a〜2dが形成さ
れている。また、上記エンジンの後方にはトランスミッ
ション３が配置されている。すなわち、上記シリンダブ
ロック１の後壁にはトランスミッションケース3aが連結
されている。

上記シリンダブロック１は、その上部を構成するデッ
キ部1aと、該デッキ部1aから下方に向って拡がるスカー
ト部1bとからなる。該シリンダブロック１の下部にはク
ランク軸４がシリンダ列方向に配されている。該クラン
ク軸４は、上記各シリンダ間および前後端においてシリ
ンダブロック１に形成されたメインベアリング５と該各
メインベアリング５に対してボルト7a〜7eにより締結さ
れたメインベアリングキャップ６とにより回転自在に枢
支されている。そして、該クランク軸４には上記各シリ
ンダのピストンがコネククティングロッドを介してそれ
ぞれ連結されている。

また、上記シリンダブロック１の下側にはオイルパン
10が配設されている。該オイルパン10はシリンダブロッ
クスカート部1bにボルトにより取付けられたレール部10
aと、トランスミッション３に近い側（後側）の底を浅
くして形成した浅皿部10bと、トランスミッション２か
ら遠い側（前側）の底を深くして形成した深皿部10cと
からなり、該深皿部10cにはオイルを濾過するストレー
ナ11が配置され、該ストレーナ11はオイルパイプ12を介
してオイルポンプ13に連通されている。

さらに、上記シリンダブロック１とオイルパン10の深
皿部10cとの間にはシリンダブロック１を補強するため
補強プレート15が配されている。該補強プレート15は、
第４図および第５図に示すように、平面視が略矩形状に
なり、かつ断面形が略皿形状になるようにプレス成形さ
れており、シリンダブロック１下方において水平に配さ
れた底壁部15aと、該底壁部15aの両側から斜め上方に立
ち上がる側壁部15bと、該側壁部15bの上端から水平外方
に延びてシリンダブロックスカート部1b下端とオイルパ
ン10レール部とに挟持された挟持部15cとからなり、シ
リンダブロック１のスカート部1b下端同士を連結するよ
うにしている。また、上記底壁部15aと側壁部15bとによ
って凹陥部が形成され、該凹陥部によってクランク軌跡
との干渉を避けるようにしている。

また、エンジンの後部下方には、シリンダブロック１
を補強するためのスティフィナーメンバ16が配されてい
る。該スティフィナーメンバ16は、第６図および第７図
に示すように、浅皿部10bの下面を覆うように断面がほ
ぼＵ字状になるようプレス成形されており、オイルパン
10下方に配された底壁部16aと、該底壁部16aの上端から
水平外方に延びてオイルパン10レール部にボルト締結さ
れた上側連結部16bと、底壁部16aの後端からＵ字状断面
内において外方に延びてトランスミッションケース3aの
下部にボルト締結された後側連結部16cとからなり、シ
リンダブロック１のスカート部1b下端同士を連結すると
ともにシリンダブロック１とトランスミッションケース
3aとを連結するようにしている。また、該スティフィナ
ーメンバ16の前端部とオイルパン10との間にはシール部
材が配されている。

そして、上記補強プレート15の後端部は、浅皿部10b
の内方にかからないように深皿部10cの後方まで延びて
おり、補強プレート15がトランスミッション側後方を除
く位置に配設されている一方、スティフィナーメンバ16
の前端部は浅皿部10bと深皿部10cとの境まで延びてい
て、上記補強プレート15とスティフィナーメンバ16とが
オーバラップするように設定されている。

したがって、上記実施例においては、補強プレート15
を浅皿部10bのトランスミッション側後方を除く位置に
配し、この補強プレート15によってシリンダブロック１
のスカート部1b下端同士を連結したので、深皿部10cを
中心としてシリンダブロック１の剛性が高められる。

その場合、補強プレート15が浅皿部10bのトランスミ
ッション側後方を除く位置にあるので、オイルパン10が
小形化されて、オイル容量の適正化および排気管等の配
置スペースの確保が図られる。

また、スティフィナーメンバ16をサブ10bの下側に配
し、かつ上記補強プレート15と一部オーバラップさせて
配置してシリンダブロック１のスカート部1b下端同士を
連結したので、浅皿部10bを中心としてシリンダブロッ
ク１の剛性が高められる。

さらに、スティフィナーメンバ16を介してシリンダブ
ロック１とトランスミッションケース3aとが連結される
ので、シリンダブロック１とトランスミッション33との
接続剛性が高められてパワープラントベンディングが低
減される。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明のエンジンのシリンダブ
ロック補強構造によれば、シリンダブロックとオイルパ
ンとの間でシリンダブロックのスカート部下端同士を連
結する補強プレートを、上記浅皿部のトランスミッショ
ン側後方を除く位置に配設するとともに、浅皿部の下面
を覆い該浅皿部付近のシリンダブロックスカート部下端
同士を連結し、かつトランスミッションケースに連結さ
れるスティフィナーメンバを、上記補強プレートと一部
オーバラップさせて配置したので、オイルパンの小形化
を図りつつ、補強プレートにより浅皿部側以外における
シリンダブロックの剛性を、スティフィナーメンバによ
り浅皿部側におけるシリンダブロックの剛性をそれぞれ
高めてシリンダブロック全体の剛性向上効果の実効を上
げ、かつシリンダブロックとトランスミッションとの接
続剛性を高めてパワープラントベンディングを低減する
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を例示し、第１図は全体側面図、
第２図はエンジンの縦断側面図、第３図はオイルパン付
近の平面図、第４図は補強プレートの平面図、第５図は
補強プレートの縦断側面図、第６図はスティフィナーメ
ンバの側面図、第７図は同正面図である。 １……シリンダブロック、1b……スカート部、３……ト
ランスミッション、3a……トランスミッションケース、
10……オイルパン、10b……浅皿部、15……補強プレー
ト、16……スティフィナーメンバ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】オイルパンのトランスミッションに近い側
   を、底の浅い浅皿部に形成したエンジンのシリンダブロ
   ック補強構造であって、シリンダブロックとオイルパン
   との間でシリンダブロックのスカート部下端同士の連結
   する補強プレートを、上記浅皿部のトランスミッション
   側後方を除く位置に配設するとともに、浅皿部の下面を
   覆い該浅皿部付近のシリンダブロックスカート部下端同
   士を連結し、かつトランスミッションケースに連結され
   るスティフィナーメンバを、上記補強プレートと一部オ
   ーバラップさせて配置したことを特徴とするエンジンの
   シリンダブロック補強構造。