JP2505436B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP2505436B2
JP2505436B2 JP50183286A JP50183286A JP2505436B2 JP 2505436 B2 JP2505436 B2 JP 2505436B2 JP 50183286 A JP50183286 A JP 50183286A JP 50183286 A JP50183286 A JP 50183286A JP 2505436 B2 JP2505436 B2 JP 2505436B2
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国義 糸山
訓弘 堀田
重巳 関
智幸 南
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は二軸配向ポリエステルフィルム、さらに詳し
くは磁気テープ用やフレキシブルプリント回路基板用に
好適な寸法安定性にすぐれた高弾性率二軸配向ポリエス
テルフィルムに関する。
背景技術 磁気テープのベースやフレキシブルプリント回路基板
には二軸配向したポリエステルフィルムが用いられてい
る。
しかし、磁気テープやフレキシブルプリント回路の加
工工程の省力化又は使用目的の高度化に伴って、一層高
弾性率で寸法安定性の良いフィルム特性が要求されるに
至った。しかるに、二軸配向ポリエステルフィルムの場
合、フィルム製膜工程において多段的に延伸するとある
程度弾性率が高まるが、寸法安定性は逆に不良となる欠
点があった。
一方、浴融異方性形成能をもつ芳香族ポリエステルの
ような分子鎖が剛直なポリマーとポリエチレンテレフタ
レートのような柔軟鎖ポリマーをブレンド複合して、二
軸延伸ポリエステルフィルムの機械的特性を改善する試
みが、検討されてきた。しかし、剛直ポリマーの分散性
不良、分散相界面での剥離により、機械的特性の改善は
みられなかった。ただ、特開昭51−31774に開示されて
いるように、剛直鎖のポリマーをブレンド延伸すること
によって、分散相界面でのホイドの形成を利用して、フ
ィルム表面をマット化することに利用価値が見出された
に過ぎなかった。
本発明の目的は、分子鎖の剛直なポリマーの微分散複
合によって、上記二軸配向ポリエステルフィルムの欠点
を解消せしめ、弾性率が高く、熱収縮率が低く、しかも
寸法安定性にすぐれたポリエステルフィルムを提供する
にある。
発明の開示 上記目的を達成するため、本発明は、一般式(I)の
繰り返し単位を有するポリエステル〔A〕と一般式
(I)と一般式(II)及び/又は(III)の繰り返し単
位を有し、流動開始温度が350℃以下であって、且つ溶
融異方性形成能を有する共重合ポリエステル〔B〕との
ポリマブレンドであって、ポリマブレンド全体にしめる
一般式(II)および(III)の換算モル分率が0.5〜18モ
ル%であるポリマブレンドから主として構成されてお
り、ポリエステル〔A〕の結晶の一つの面がフィルム面
に面配向し、その面配向係数が0.75〜0.95であって、該
結晶面方向の結晶サイズが35〜75Åである二軸配向ポリ
エステルフィルムを提供する。
nは2,4または6、Rは および から選ばれた少くとも一種、但し、XはHまたはClであ
って少なくとも一方はClである。
RI、RII、RIIIは、1,3−フェニレン、1,4−フェニレ
ン、2,6−ナフタリン、2,7−ナフタリン、 からなる群から選ばれた少くとも一種である。
発明を実施するための最良の形態 本発明のフィルムを構成する下記一般式(I)からな
るポリエステル〔A〕において nは2,4,6から選ばれる整数であるが、フィルムの弾性
率、熱収縮率の点からn=2のポリマーが特に好まし
い。また、(I)式中ではRは、1,4−フェニレン、2,6
−ナフタリン、 の中から選ばれる。
ポリエステル〔A〕の具体的構成単位として、 などがあるが、フィルム特性上特に好ましいのは
(a),(b),(c)の構成単位をもつポリマであ
る。さらにポリエステル〔A〕は5モル%未満であれ
ば、他の成分を共重されてもよい。その成分としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカル
ボン酸、a,β−ビス(フエノキシ)エタン−4,4′−ジ
カルボン酸などのジカルボン酸類、あるいは1,4−シク
ロヘキサンジオール、フエニルヒドロキノンなどのジオ
キシ化合物が用いられる。
本発明フィルムの他の一つの構成ポリマであるポリエ
ステル〔B〕は、下記一般式(I)で表わされる柔軟ユ
ニットと、下記一般式(II)及び1又は(III)で表わ
される剛直ユニットからなる。
nは2,4または6、Rは 但し、XはHまたはClであって少なくとも一方はClであ
る。
RI,RII,RIIIは、それぞれ少くとも一部が1,3−フェ
ニレン、1,4−フェニレン、2,6−ナフタリン、2,7−ナ
フタリン、 の中から選ばれる。RI,RIIおよび/又はRIIIの一部が の中から選ばれた少くとも一種であるとポリエステル
〔B〕の流動開始温度が低下するので望ましい。
一般式(III)および(III)で表わされる剛直ユニッ
トの具体的構成の実例として などがあげられるが、フィルム特性上から特に好ましい
のは、(a),(b),(d),(e),(f),
(g),(i),(j),(k),(m)を単独または
2成分以上組合せたものである。
本発明のフィルムを構成するポリエステル〔B〕と
は、流動開始温度が350℃以下であって、かつ溶融異方
性形成能をもつポリエステルで、下記一般式で表わされ
る化学構造を有するものである。
このポリエステル〔B〕の流動開始温度は一般式(I
I)および(III)で表わされる成分のそれぞれのモル分
率の和、すなわち、(q+r)によって通常支配され
る。ここでいう、流動開始温度とは、該温度以上でポリ
マが流動化しうる温度を指し、(q+r)の共重合比率
が大きい場合、その共重合ポリエステルの流動開始温度
はポリマーの融点と一致することが多い。共重合成分の
ランダム性が高まると熱分析法では明確な融点が確認で
きないにもかかわらず、加熱下でポリマが流動しはじめ
る温度の存在が認められ、その場合、この温度を指す。
350℃以下に流動開始温度をもつポリエステル〔B〕
を用いた場合、ブレンド後のポリマは製膜性にすぐれ、
またフィルムの特性も良好である。さらに、流動開始温
度が300℃以下であれば、製膜性はとくにすぐれたもの
になる。350℃を越える流動温度では、融解混合温度や
フィルムの製膜温度が高くなるためポリマの熱分解・変
性が起るために好ましいとは言えない。流動開始温度の
下限は特に限定されないが150℃が好ましい。
本発明フィルムの構成ポリマの一つであるポリエステ
ル〔B〕は溶融異方性形成能をもつ。溶融異方性形成能
をもつポリマは、流動開始温度以上に加熱したとき、通
常光学的異方性を示す液晶構造をとる。また、加熱融解
によって液晶を形成しないポリマであっても、ポリマを
2枚のガラス板にはさんで、流動温度以上の温度で、1
枚のガラス板を固定し、他のガラス板をすべらして、融
液に10sec-1以下の比較的に小さいずり速度をかけると
流動複屈折を示し、光学的異方性液となる。ここで、ポ
リマ融液の光学的異方性は、ヒーティングステージ付の
偏光顕微鏡を用いて直交ニコル下で観察できる。このよ
うに、ポリマを流動温度以上に加熱して、静止状態又は
10sec-1以下のずり変形下で光学的異方性を示すポリマ
を“溶融異方性形成能をもつ”という。
このように、ポリエステル〔B〕は溶融異方性形成能
を有し、静止、流動状態で分子が相互に配列、配向し易
い性質をもっているのが特徴的である。この特性を保持
するためには、好ましくは分子中の一般式(II)および
(III)で表わされる成分のモル分率の和(q+r)は
少なくとも40モル%以上であることが好ましい。
本発明フィルムに用いる溶融異方性形成能をもつポリ
エステル〔B〕の中で、フィルム特性上好ましい具体例
の一例は下記の通りである。
本発明のフィルムの溶融異方性形成能をもつポリエス
テル〔B〕の一般式(I),(II),(III)で表わさ
れる成分の共重合様式はランダムまたはブロック共重合
のいずれでもよいが、ランダムの方をブレンドした方が
二軸配向のための延伸が容易で、フィルム製造上好まし
い。
さらに、該ポリエステルは5モル%未満であれば、他
の成分を共重合してもよい。この場合の他の成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、α,β−ビス(フェノキシ)エタン4,4′
−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルカルボン酸などの
ジカルボン酸類、あるいは1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、フェニールヒドロキノンなどのジオキシ化合物
が用いられる。
本発明のフィルムは、ベースポリエステル〔A〕にポ
リエステル〔B〕をブレンドしたものであるが、そのポ
リエステル〔B〕のブレンド比率は、一般式(II)、お
よび(III)で表わされる成分の和がポリマブレンドに
しめる換算モル分率が0.5〜18モル%であるように選ば
れる。
フィルムの製膜性および特性からみて、より好ましい
換算モル分率の範囲は、1〜15モル%であり、さらに好
ましい範囲は2〜10モル%である。換算モル分率が0.5
モル%未満では液晶形成能をもつポリエステル〔B〕の
添加効果は認められないか、または非常に小さく、実用
上特性が改善されたと判定し難い。
一方、ブレンド比率が18モル%を越えるとブレンドし
たポリマの延伸性がかなり失われ、二軸延伸が著しく困
難になり、得られるフィルムは弾性率が低かったり、耐
衝撃性が不良であるなどの欠陥が現われる。
ここでいう一般式(II)および(III)で表わされる
成分の和が全ポリマブレンドにしめる換算モル分率F
Rは、ブレンド後のポリマのすべてのエステル結合を切
断して得られる低分子化合物の全モル数Yに対する剛直
ユニットのモル数Xの割合で、次式によって定義され
る。
さらに、 X=Nm+2Xd で表わされる。ここでNmは、芳香族モノオキシカルボン
酸のモル数、Xdは芳香族ジオキシ化合物のモル数であ
る。
通常FRは、ポリマを加水分解してガスクロマトグラフ
を用い分解成分を定量分析して求めることができる。
また、ポリエステル〔B〕をポリエステル〔A〕にブ
レンドする場合の、一層好ましいブレンド比率Xb(重量
%)の範囲は、ポリエステル〔B〕中の(II)および/
又は(III)成分の共重合比率Mf(モル%)に依存して
異なり、次式によって示される。
1X-b−0.8Mf+90 ここで、ブレンド比率Xb(重量%)は で定義される。
該ポリエステル〔B〕中の(II),(III)成分の共
重合比率が高まると、分子鎖は剛直になることおよびポ
リエステル〔A〕との親和力の変化などから、より好ま
しいブレンド比率の上限値は低下する。
さらに、溶融異方性形成能を有するポリエステル
〔B〕が融液状態で変形を受けると、伸長して分子は配
列、配向し易い性質をもっているのが特徴的である。こ
のような性質は、フィルム中に分散しているポリエステ
ル〔B〕相の分散形状をより好ましい形にコントロール
して、フィルム特性を改善するのに好都合である。この
特性を保持するためには、ポリエステル〔B〕中の(I
I)および/または(III)成分の共重合比率Mfが40モル
%以上あるのがより好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは高弾性率、
低熱収縮率、耐衝撃性を兼備しているが、このようなフ
ィルムは分散相と連続相からなる2相系をなしているの
が特徴である。
なお、ポリエステル〔A〕の結晶の1つの面がフィル
ム面に面配向し、その面配向係数が0.75〜0.95で、該結
晶面方向の結晶サイズが35〜75Åである。
ここでいう、分散相と連続相の定義は次の通りであ
る。相溶性に劣る2種のポリマを溶融ブレンドすると、
2つのポリマは別々に分離して相を形成し、2つのポリ
マのうち、ブレンド量の小さい成分の相が多い成分相の
海の中に島状に分散したいわゆる海−島構造をとる。こ
のとき、島の部分を分散相、海野部分を連続相と呼ぶ。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、
ポリエステル〔B〕はポリエステル〔A〕の中に非常に
小さく相分散しているため、通常の偏光顕微鏡で、ポリ
マの溶融温度以上でフィルムを加熱して直交ニコル下で
ポリエステル〔B〕の相を観察しても確認できないこと
もある。この場合は一例として二軸配向フィルムを液体
窒素中で破断して、その破断面を走査型電子顕微鏡によ
って30000倍以上の倍率で注意深く観察する方法で相界
面を確認できる。
上記面配向係数が0.75より小さくなれば、二軸配向フ
ィルムは耐衝撃性が低下する。また面配向係数が0.95を
越えても、同様フィルムはもろくなり実用上必要な耐衝
撃性を持ち得ない。
さらに、結晶サイズが上記指定範囲の下限値未満の場
合、フィルムの熱安定性が不良となり、低熱収縮率が得
られず、また、上限値を越えると、耐衝撃性が低下し実
用上使用に耐えないものとなるので好ましいといえな
い。すなわち、本発明の目的を達成するには、二軸配向
フィルムの面配向係数、結晶サイズを上記指定する範囲
内に収めることが不可欠な要件となる。
また、本発明フィルムを構成する2つのポリエステル
〔A〕,〔B〕のそれぞれに、もしくは両者をブレンド
したものに他種のポリマを本発明の目的を阻害しない範
囲内で、好ましくは10重量%未満ブレンドしてもよい
し、また必要によっては、酸化防止剤、熱安定剤、滑
剤、核生成剤、表面突起形成剤などの無機及び/または
有機添加剤が通常添加される程度添加されてもよい。次
に、本発明フィルムの製造方法を説明する。まず、本発
明フィルムのベースポリエステル〔A〕の合成法は、一
例として次の方法が採用される。
まず、本発明で用いるポリエチレンテレフタレート
(PET)は、公知の方法により、エチレングリコールと
テレフタル酸またはその誘導体とから重合される。フィ
ルムの高い強度、弾性率を保証する意味で、0.5以上の
還元粘度をもつPETが用いられる。
2,6ナフタリンジカルボン酸を含むポリエステルを合
成するには、アルキレングリコール(炭素数:2,4または
6)と2,6−ナフタリンジカルボン酸エステル化物をカ
ルシウム、マグネシウム、リチウム化合物などの触媒の
存在下、130−260℃の温度でエステル交換反応せしめた
後、アンチモン、ゲルマニウム化合物などの触媒の存在
下で高真空中で220〜300℃の温度をかけて重縮合させ
る。
次に、構造単位としてα,β−ビス(2−クロルフエ
ノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、またはα(2
−クロルフエノキシ)−β(フエノキシ)エタン−4,
4′−ジカルボン酸を含むポリエステルの合成法は次の
通りである。まず、α,β−ビス(2−クロルフエノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボン酸またはそのエステル
誘導体は、例えば、p−オキシ安息香酸またはそのエス
テル誘導体を塩素ガスによって核塩素化して3−クロル
−4−オキシ安息香酸またはそのエステル誘導体とし
て、この化合物とエチレンジハライドとをアルカリ化合
物の存在下で反応させて得られる。また、α(2−クロ
ルフエノキシ)−β(フエノキシ)エタン−4,4′−ジ
カルボン酸またはそのエステル誘導体は、例えば、上記
方法で合成した3−クロル−4−オキシ安息香酸とp−
オキシ安息香酸、またはそれらのエステル誘導体にエチ
レンジハライドをアルカリ化合物の存在下で反応させ、
合成できる。
次に、上記2種の含塩素ジカルボン酸とアルキレング
リコール(炭素数:2,4または6)をチタン、すず化合物
の存在下にエステル化反応せしめた後、アンチモン、ゲ
ルマニウム化合物などの触媒の存在下、高真空中220〜3
00℃の温度で重縮合せしめる直接重合法、あるいは、上
記2種の含塩素ジカルボン酸エステル誘導体とアルキレ
ングリコール(炭素数:2,4または6)をカルシウム、マ
グネシウム、リチウム化合物などの触媒の存在下、130
〜260℃の温度でエステル交換反応せしめた後、アンチ
モン、ゲルマニウム化合物などの触媒の存在下、高真空
中で220〜300℃の温度で重縮合せしめるエステル交換法
を用いて、ポリマを合成することができる。
かくして得たポリエステル〔A〕は290℃の温度でず
り速度200sec -1での溶融粘度が800〜15000ポイズ、好ま
しくは1100〜8500ポイズの範囲にしておくのが好適であ
る。もちろん、上記の好適範囲の溶融粘度のポリエステ
ルとするために、重合終了後に固相重合する方法を用い
てよい。
次に、本発明のフィルムに用いる液晶形成能をもつポ
リエステル〔B〕の合成法について述べる。
酸成分として、 などから、ジオキシ成分として、 などから選び、ジオキシ成分をアセチル化して、そのア
セチル化合物と酸成分をモル比で1対1にブレンドし
て、ポリエステル〔A〕と共に減圧下(10-1〜1
0-2 TORR)。250〜340℃で脱アセチル化反応させ、液晶
形成能をもつポリエステル〔B〕を合成する。また、 などのオキシカルボン酸のアセチル化物単独、あるいは
該アセチル化物に、ジカルボン酸とジオキシ化合物のア
セチル化物の等モル混合物を添加した系で、ポリエステ
ル〔A〕の存在下で脱アセチル化反応を、真空下、250
〜340℃で行い、重縮合して液晶形成能をもつポリマを
得る。上記の各種化合物の混合の比率は、ポリエステル
〔B〕が液晶形成能を示すのには、一般式(II)および
/または(III)で表わされる成分の比率が40〜90モル
%になるように選ぶのが好ましい。さらに、使用するカ
ルボン酸、オキシ化合物の種類に応じて、ポリエステル
〔B〕の流動開始温度が350℃以下になるように、重合
組成の選択がなされる。
上記方法で合成したポリエステル〔A〕と液晶形成能
をもつポリエステル〔B〕とは、通例行う粉末またはペ
レット状物でブレンドする。ブレンドの比率は、ポリエ
ステル〔B〕中に存在する一般式(II)および/または
(III)表わされる成分がブレンド後の全体ポリマに対
して、0.5〜18モル%になるように選ばれる。
ポリマのブレンド方法は特に限定されないが、液晶形
成能をもつポリエステル〔B〕をフィルム主成分のポリ
エステル〔A〕中に出来るだけ微分散させることが好ま
しい。微分散させるため、ポリエステル〔B〕の分散相
を消失せしめない程度にエステル交換反応を生じせしめ
るのがよい。エステル交換反応の程度として、本組成物
フィルムの融点Tmはポリエステル〔A〕の融点TmAより
1〜10℃低い方がよく、好ましくは5〜10℃である。細
かく分散させるために、公知のスタティックミキサを用
いたり、混練ゾーン付きのスクリユを用いることは望ま
しいことである。ただし、溶融状態であまり長時間にわ
たり混合すると、大きくエステル交換反応をすることに
よりポリマ組成が変化して、予期したフィルム特性が得
られないことがあるので注意すべきである。伸速度103
〜105%/分の範囲で延伸するのが望ましい、また、フ
ィルムの長手方向の延伸倍率をα、幅方向の延伸倍率を
βとすると、下記式を満足するのが望ましい。
12.5α+β55.0(ただし、α>2,β>2) このような延伸倍率で延伸されたフィルムは、本発明
の第2の発明フィルムの面配向係数及び結晶サイズを得
るのに好適である。
また、一旦二軸延伸したフィルムを少なくとも一方向
に再延伸する方法は、弾性率を高めるのに効果的であ
る。
次に、この延伸フィルムを熱処理する。熱処理はオー
ブン又はロール上などの公知の方法で行なうことができ
る。本発明のフィルムを得るための熱処理条件としては
ポリエステル〔A〕の種類にもよるが180〜240℃で、時
間0.1〜120秒間が好適である。
また、本発明フィルムに公知のコロナ放電処理(空気
中、窒素中、炭酸ガス中など)を施して用いてもよい
し、また接着性、耐湿性、ヒートシール性、滑性、表面
平滑性などを付与する目的で、他種ポリマを積層した形
や有機及び/または無機組成物で被覆した形で用いても
よい。
本発明フィルムの液晶形成能をもつ共重合ポリエステ
ルは、柔軟鎖成分と剛直成分とが共重合されていること
が特徴であり、剛直成分だけからなるポリエステルに比
べて、低い流動開始温度をもち製膜が容易で、かつ柔軟
鎖のポリエステルにブレンドするとよく微分散するのが
特徴である。すなわち、本発明フィルムの製膜加工工程
において、分散界面での層はく離や、空孔形成が起りに
くく、フィルムの延伸加工が容易に行なわれることと、
得られた二軸配向フィルムは弾性率が高く、寸法安定性
にすぐれているのに加えて、比較的透明であり、さらに
耐衝撃製にすぐれている。
また、液晶形成能をもつポリエステルが形成する分散
相は、フィルム表面に凹凸を作り、フィルムに易滑性を
付与する。該ポリエステルの化学構造を変えることによ
って分散相の大きさ、すなわち、表面の凹凸の大きさを
コントロールすることができ。従来の無機粒子滑剤では
形成できなかった、表面の凹凸が小さく、すべり易い表
面形状を実現するなどの特徴をもつ。
さらに、液晶形成能をもつポリエステルの剛直性のエ
ステル結合は、柔軟成分のエステル結合と交換結合する
ことはまれであることから、フィルムの再生使用が可能
である。
本発明フィルムは、特に、高弾性率とすぐれた寸法安
定性を兼備しているので、磁気テープとしたときには、
すぐれた電磁変換特性を発現せしめることができ、ま
た、フレキシブルプリント回路基板としても有用であ
る。
本発明のフィルムは、従来、二軸配向ポリエステルフ
ィルムが用いられてすべての用途に適用できるが、特に
適した用途は、ビデオ、オーディオの磁気テープ用ベー
スフィルム、あるいは磁気ディスク用ベースフィルム、
及びフレキシブルプリント回路基板である。また、本発
明フィルムの厚さは特定されるものではないが、磁気テ
ープ用としては厚さ1〜15μm、好ましくは4〜12μm
のフィルムが小型化、長時間用テープとして好ましく、
フレキシブルプリント回路基板としては50〜150μmの
厚みのフィルムが好適である。
本発明の特性値は次の測定法、評価基準によるもので
ある。
流動開始温度 真空理工(株)の熱機械試験装置(TMA)を用いてPen
etration法で針が試料厚みの90%以上貫入する温度を測
定し、これをポリマの流動開始温度とした。なお、貫入
試験は、径1mmφの円柱状石英ガラス棒をポリマシート
に垂直に立て、ガラス棒に荷重1gを負荷しながら20℃/m
inの速度で昇温した。
弾性率、比弾性率 JIS−Z−1702に規定された方法に従ってインストロ
ンタイプの引張試験機を用いて、25℃、65%RHで弾性率
を測定した。二軸配向フィルムの弾性率はフィルムの長
手方向と幅方向の弾性率の相加平均値とした。同一条件
で製膜したPETフィルムとブレンドしたフィルムの弾性
率をそれぞれEo,Eとすると、E/Eoをもってブレンドした
フィルムの比弾性率とした。
耐衝撃性 ASTM−D−256に規定された方法に従って、東洋製機
製作所のシャルピーインパクトテスタを用いて、フィル
ムのシャルピ衝撃強度(単位:kg・cm/mm2)を測定し
た。なお、値はフィルムの長手方向を2支点間に水平に
セットした場合とフィルムの幅方向を水平にセットした
場合の相加平均値を用いた。シャルピ衝撃強度が20以上
の場合は耐衝撃性良好、20未満の場合は耐衝撃性不良と
判定した。
寸法安定性(熱収縮率) 試料フィルムを幅10mm、長さ250mmに切り出し、約200
mm間隔で2本の標線を入れ、その間隔を正確に測定した
(これをAmmとする)。この試料の先端に3.0gの荷重を
かけた状態で180℃の熱風オーブン中に10分間放置した
のち、フィルムを室温まで冷却し標線間隔を測定した
(これをBmmとする)。フィルムの長手方向と幅方向に
ついて100×(A−B)/Aを求め、それらの相加平均を
フィルムの熱収縮率とした。
寸法安定係数 フィルムの弾性率E、熱収縮率δとして、δ/(E−
400)をもって寸法安定係数とした。この値は25×10-3
未満の場合は、ヤング率と熱収縮率がバランスが良好、
25×10-3以上の場合は不良と判定した。
面配向係数 フィルムの幅方向が長辺となるように、短冊状(0.8m
m×10mm)にフィルムを複数枚切り出し、それらのフィ
ルム面を合せ束ねて、厚み5mmのX線回折試料を作る。
この試料をフィルムの長手方向とX線の方向が一致する
ようにセットして、次に、試料をフィルムの幅方向のま
わりに約13°傾けてX線を入射させると回折ピークが得
られる。回折ピークと一致するようX線の入射角を微調
整して、次に、試料をフィルムの長手方向の廻りに回転
させながら、回折強度の変化を観察する。試料の回転角
と回折強度の関係を表わす曲線において、ピーク曲線の
半価幅をΔとすると で与える。
結晶サイズ X線回折装置を用いて、フィルムの幅方向とX線の入
射角を変えながら反射法で回折ピークを観測したとき、
約13°回折ピークから、同ピークの回折結晶面方向の結
晶サイズD(A)を下記式に従って算出した。
但し、B:回折ピークの半価幅、b0.12°、λ:CuのKα
線(1,5418Å)、θ:ピークの回折角。
次に実施例にもとづいて本発明の実施態様を説明す
る。
実施例1 常法に従って重合したPET(還元粘度:0.66)のペレッ
トを粉砕機で砕いて粉粒体状にした。
一方、PET粉粒体状物624重量部に対してp−アセトキ
シ安息香酸1260重量部を混合して、脱酢酸重合法(J.Po
lymer Sci.,14、2043(1976)に記載の方法に従う)で
重合を行い、エチレンテレフタレート−p−オキシベン
ゾエート共重合体(p−オキシベンゾエート70モル%含
有)を得た。このポリマは粉砕機にかけて、PETと同様
に粉粒体状に砕いた。該ポリマを加熱装置付偏光顕微鏡
で約310°にして直交ニコル下で観察した結果、光学的
異方性を示した。また、ポリマの流動開始温度は350℃
以下であった。
次に、PETとエチレンテレフタレート−p−オキシベ
ンゾエート共重合体の粉粒体をV型ブレンダに、後者添
加量が7重量%(剛直成分の換算モル分率3.3モル%)
になるように投入し、約1時間混合した。このようにし
て混合した粉粒状物及び比較としてPETのみの粉粒状物
を、十分に乾燥したのち、スクリュー直径35mmの押出機
に供給し、290℃でシート状に溶融押出した。ドラフト
ト比6の巻取り速度で、静電印加キャスト法を用いて表
面温度20℃のキャスティング・ドラムに溶融体シートを
巻きつけて冷却固化し、厚さ約100μmの実質的に無配
向の未延伸フィルムを作った。この未延伸フィルムを80
℃に予熱しつつ、延伸温度90℃で長手方向に3.0倍延伸
した。延伸は2組のロールの周速差によって行なわれ、
延伸速度は50,000%/分であった。この一軸延伸フィル
ムを、テンタを用いて90℃に予熱しつつ、延伸温度95℃
で幅方向に3.2倍延伸した。この場合の延伸速度は5,000
%/分であった。さらにこの二軸延伸フィルムを210℃
で定長下に15秒間熱処理して、厚さ約11μmのフィルム
を得た。このフィルムの比弾性率は1.2と良好であり、
寸法安定係数、耐衝撃性も良好であった。また、面配向
係数0.89、結晶サイズ52Åであった。
また、上記二軸延伸フィルムをクラッシャーにかけ、
少片に切り、それを圧縮してペレット化した。このペレ
ットを押出機へ供給して、再度同一条件で二軸延伸フィ
ルムを作ったが、その特性、構造は、最初のフィルムの
ものと変わらなかった。
実施例2〜4、比較例1,2 実施例1で得たエチレンテレフタレート−p−オキシ
ベンゾエート共重合体を実施例2では5重量%、実施例
3では10重量%、実施例4では20重量%、それぞれPET
にブレンドして、各々を次のような条件で製膜した。
まず、実施例1と同様に作った厚さ約110μmの実質
的に無配向の未延伸フィルムを、フィルムストレッチャ
(T.M.Long社製)を用い、85℃で長手方向及び幅方向に
それぞれ3.5倍に同時二軸延伸した。この場合の延伸速
度は20,000%/分であった。さらにこの二軸延伸フィル
ムを210℃で定長下に15秒間熱処理して厚さ約10μmの
フィルムを得た。これらのフィルムの物性値は第1表に
示したとおり、いずれのフィルムも弾性率が良好でしか
も寸法安定係数、耐衝撃性にもすぐれていることがわか
る。しかし、比較例1,2のように溶融異方性形成能をも
つポリマをそれぞれ0.5重量%、40重量%、PETにブレン
ドしたものでは剛直成分の換算モル分率が本発明外とな
り、同表に示すように、弾性率、寸法安定係数、耐衝撃
性の少なくともいずれかが不良となる。ただし、比較例
2の場合は上記倍率の延伸ができず、延伸倍率をフィル
ムの長手方向1.5倍、幅方向1.5倍に変更して製膜した。
実施例5,6、比較例3,4 PETとp−アセトキシ安息香酸の混合比率を変え、実
施例1と同じ方法で第1表の実施例5,6、比較例3,4に示
すポリマ組成のエチレンテレフタレート−p−オキシベ
ンゾエート共重合体を合成した。ここで、比較例3のポ
リマだけでは溶融異方性形成能をもたなかった。また、
いずれのポリマの流動温度も350℃以下であった。
これらの共重合ポリエステルを、実施例5では10重量
%、実施例6では10重量%、比較例3では40重量%、比
較例4では60重量%のブレンド率でPETに混合して、実
施例2〜3と同様にして二軸延伸フィルムを得た。これ
らのフィルムの物性値は同表に示したとおり、共重合ポ
リエステルの組成が溶融異方形成能をもち、剛直成分換
算モル分率が本発明内であれば、フィルムの特性は良好
である。しかしながら、剛直成分の換算モル分率が本発
明内でもポリマが溶融異方性形成能をもたないと、弾性
率、耐衝撃性の欠点が認められる。ただし、比較例3,4
の場合は上記倍率の延伸ができず、延伸倍率をフィルム
の長手方向2.0倍、幅方向2.0倍に変更して製膜した。
比較例5 実施例1では得た未延伸フィルムをフィルムストレッ
チャを用いて、85℃で幅を固定して長手方向に4.0倍延
伸した。この場合の延伸速度は5,000%/分であった。
さらに、この幅固定−軸延伸フィルムを210℃で定長下
に15秒間熱処理した。このフィルムの面配向係数は0.5
9、結晶サイズは50Åであり、耐衝撃性が不良であっ
た。
比較例6 実施例1の二軸延伸フィルムを235℃で定長下に100時
間熱処理した。このフィルムの面配向係数0.97、結晶サ
イズ70Åであり、寸法安定係数は良好であったが耐衝撃
性は不良であった。
実施例7、比較例7,8 PET粉粒体状物624重量部とβ−オキシ−6ナフトエ酸
1316重量部を混合して実施例1の条件で脱酢酸重合し溶
融異方性形成能をもつ共重合ポリエステルを合成した。
このポリマの流動温度は350℃以下であった。
次に、この共重合ポリエステルを実施例7で5重量
%、比較例7で0.5重量%、比較例8で40重量%の割合
でPETにブレンドして、実施例1と同様な方法で未延伸
フィルムを作成した。さらに、実施例2〜4の方法で同
時二軸延伸、熱処理をして二軸延伸フィルムを得た。た
だし、比較例8は延伸できず、未延伸フィルムの特性を
評価した。これらのフィルムの物性値は第1表に示した
とおり、剛直成分の換算モル分率が本発明内であれば、
良好であるが、本発明外であれば、寸法安定係数または
耐衝撃性が不良となる。
実施例8 α,β−ビス(2−クロルフエノキシ)エタン−4,
4′−ジカルボン酸ジメチル85重量部(以下「部」と略
記する)とα(2−クロルフエノキシ)−β(フエノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボン酸ジメチル13.7部(モ
ル比85:15)、エチレングリコール29.5部(エチレング
リコール:全ジカルボン酸ジメチルのモル比は1.9:
1)、酢酸カルシウム0.075部、及び三酸化アンチモン0.
04部を精留塔のついた反応器に仕込み、かくはん下で、
140〜245℃の反応温度まで4時間で徐々に昇温して理論
メタノールの99%(15.9部)を留去したのち、リン酸ト
リメチル0.02部を添加した。次いで、このエステル交換
反応物を重合缶に移して245〜290℃まで1時間で昇温す
ると同時に、1時間で0.5Torr以下の高真空にし、さら
に2時間重縮合せしめた。その後窒素で常圧にもどし、
加圧下で水中にポリマをガット状に吐出し、カッティン
グしてペレットした。さらに、ペレットは粉砕機によっ
て砕いて粉粒体状にした。この共重合ポリエステル(以
下、「ポリマI」と略記する)の溶融粘度は1900ポイズ
であった。
一方、液晶形成能をもつエチレンテレフタレート−p
−オキシベンゾエート共重体(p−オキシベンゾエート
70モル%含有)(以下、「ポリマII」と略記する)を実
施例1に従って重合した。
さらに、このポリマのペレットを粉砕機にかけて粉粒
体状に砕いた。ポリマIIを加熱装置付偏光顕微鏡で約29
0℃に加熱して直交ニコル下で観察した結果、光学的異
方性を示した。また、流動温度も本発明の範囲にあっ
た。
次にポリマIとIIの粉粒体を剛直成分の換算モル分率
が約4モル%になるようにV型ブレンダに投入し、約1
時間混合した(ポリマIIのブレンド率5重量%)。この
ようにして混合した粉粒体及び比較としてポリマIのみ
の粉粒体を十分に乾燥した後、スクリュー直径35mmの押
出機に供給し、290℃でポリマをシート状に溶融押出し
た。静電印加キャスト法を用いて、ドラフト比6の巻き
取り速度で溶融体シートを表面温度20℃のキャスティン
グ・ドラムに巻きつけて冷却固化し、厚さ約110μmの
実質的に無配向の未延伸フィルムを作った。この未延伸
フィルムを100℃に予熱しつつ、延伸温度120℃で長手方
向に3.2倍延伸した。この延伸は2組のロールの周速差
によって行なわれ、延伸速度は50,000%/分であった。
この一軸延伸フィルムを、ステンタを用いて110℃に予
熱しつつ、延伸温度120℃で幅方向に3.4倍延伸した。こ
の場合の延伸速度は5,000%/分であった。さらに、こ
の二軸延伸フィルムを230℃で定長下に15秒間熱処理し
て厚さ10μmのフィルムを得た。こうして得たポリマI
のフィルムは弾性率620kg/mm2、熱収縮率4.4%であった
のに対して、ブレンド補強したフィルムは弾性率700kg/
mm2、熱収縮率1.0%と良好であり、また耐衝撃性も良好
であった。さらにブレンドフィルムの面配向係数は0.9
3、結晶サイズ61Åであった。
実施例9,比較例9,10 実施例8で得たポリマIとIIを、ポリマIIのブレンド
率が実施例9で10重量%、比較例9で0.5重量%、比較
例10で30重量%になるようにそれぞれブレンドして実施
例8と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。これらの
フィルムの物性値は第2表に示した通り、剛直成分の換
算モル分率が本発明の範囲内であれば、高弾性率、低熱
収縮率で耐衝撃性も良好である。しかし、剛直成分の換
算モル分率が本発明外であれば、弾性率が低いにもかか
わらず熱収縮率が比較的高かったり、耐衝撃性が不良で
あり好ましいとはいえない。ただし、比較例10の場合
は、実施例8に示す延伸条件でフィルムを延伸できず、
延伸倍率をフィルムの長手方向1.5倍、幅方向1.4倍に変
更して製膜した。
実施例10,比較例11,12 ポリエチレンテレフタレートの共存下でフェニルヒド
ロキノンアセチル化物とテレフタル酸の脱酢酸重合液
(米国特許4,159,365に記載の方法に従う)を行いポリ
フェニルヒドロキノンテレフタレートとポリエチレンテ
レフタレートの共重合体(以下、「ポリマIII」と略記
する)を重合した。重合組成はエチレンテレフタレート
単位が5モル%共重合されるようにポリエチレンテレフ
タレート添加量を調整した。得られたポリマのペレット
を粉砕機にかけて粉粒体とした。ポリマは約300℃に加
熱して偏光顕微鏡を用いて直交ニコル下で観察すると光
学的異方性を示した。また、流動温度も本発明の範囲内
にあった。
実施例8で得たポリマIとポリマIIIの粉粒体をポリ
マIIIのブレンド率が実施例10で5重量%、比較例11で
0.5重量%、比較例12で25重量%となるようにそれぞれ
仕込み、実施例8と同一条件で製膜して二軸延伸フィル
ムを作った。得られたフィルム物性は第2表に示す通
り、本発明の内の剛直成分の換算モル分率では弾性率、
熱収縮率、耐衝撃性いずれも良好であるが、剛直成分の
換算モルが本発明外ではブレンド補強効果が現われなか
ったり、フィルムが延伸できず(比較例12)耐衝撃性が
不良であったりする。
比較例13 実施例8で得た未延伸フィルムをフィルムストレッチ
ャ(T.M.Long社製)を用いて、120℃で幅を固定して長
手方向に4.0倍延伸した。この場合の延伸速度は5000%
/分ぶあった。さらにこの幅固定一軸延伸フィルムを23
0℃で定長下に15秒間熱処理した。この二軸配向フィル
ムの面配向係数は0.60、結晶サイズは60Åであり、耐衝
撃性は不良であった。
比較例14 実施例10の二軸延伸フィルムを240℃で定長下に100時
間熱処理した。このフィルムの面配向係数は0.97、結晶
サイズは79Åであった。フィルムの弾性率、寸法安定性
は良好であったがフィルムはもろく耐衝撃性は不良であ
った。
実施例11、比較例15,16 2,6ナフタレンジカルボン酸メチル244部に対してエチ
レングリコール62部を混合して、実施例8と同一条件で
重縮合せしめ、ポリエチレン2,6ナフタレート(以下、
「ポリマIV」と略記する)を得た。ポリマIVと実施例3
で得たポリマIIIとをポリマIIIが実施例11で5重量%、
比較例15で0.5重量%、比較例16で25重量%の割合にな
るようにそれぞれ混合し、実施例8と同様にして、厚さ
約120μmの実質的に無配向の未延伸フィルムを作っ
た。この未延伸フィルムをフィルムストレッチャ(T.M.
Long社製)を用いて、145℃で3.3倍に同時二軸延伸し
た。この場合の延伸速度は10,000%/分であった。この
同時二軸延伸フィルムを230℃で定長下に15秒間熱処理
して厚さ約10μmのフィルムを得た。これらのフィルム
の物性は第2表に示した通り、剛直成分分率の換算モル
分率が本発明内であれば弾性率が良好で、しかも熱収縮
率、耐衝撃性にもすぐれていることがわかる。ただし、
比較のために製膜したポリマIVだけのフィルムは弾性率
590kg/mm2、熱収縮率20%であった。
一方、剛直成分の換算モル分率が本発明のものは、延
伸不能であったり(比較例16)、ブレンド補強効果が実
質的に現われてこず好ましいとはいえない。
産業上の利用可能性 本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、弾性率が
高く、熱収縮性が低く、しかも寸法安定性にすぐれてい
る。従って、このフィルムは、例えば、磁気テープおよ
びフレキシブルプリント回路基板の作製に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−25354(JP,A) 特開 昭56−115357(JP,A) 特開 昭51−31774(JP,A) 特開 昭61−14933(JP,A) 特開 昭61−14934(JP,A)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)の繰り返し単位を有するポリ
    エステル〔A〕と一般式(I)と一般式(II)及び/又
    は(III)の繰り返し単位を有し、流動開始温度が350℃
    以下であって、且つ溶融異方性形成能を有する共重合ポ
    リエステル〔B〕とのポリマブレンドであって、ポリマ
    ブレンド全体にしめる一般式(II)および(III)の換
    算モル分率が0.5〜18モル%であるポリマブレンドから
    主として構成されており、ポリエステル〔A〕の結晶の
    一つの面がフィルム面に面配向し、その面配向係数が0.
    75〜0.95であって、該結晶面方向の結晶サイズが35〜75
    Åである二軸配向ポリエステルフィルム。 nは2,4または6、Rは および からなる群から選ばれた少くとも一種、但し、XはHま
    たはClであって少なくとも一方はClである。 RI、RII、RIIIは、1,3−フェニレン、1,4−フェニレ
    ン、2,6−ナフタリン、2,7−ナフタリン、 からなる群から選ばれた少くとも一種である。
  2. 【請求項2】ポリマブレンド全体にしめる一般式(II)
    および(III)の換算モル分率が1〜15モル%である請
    求の範囲第1項記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】ポリマブレンド全体にしめる一般式(II)
    および(III)の換算モル分率が2〜10モル%である請
    求の範囲第1項記載のポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】ポリエステル〔A〕を構成する一般式
    (I)で表わされる繰返し単位においてn=2である請
    求の範囲第1項記載のポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】ポリエステル〔A〕を構成する一般式
    (I)で表わされる繰返し単位が である請求の範囲第1項記載のポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】ポリエステル〔A〕を構成する一般式
    (I)で表わされる繰返し単位が である請求の範囲第1項記載のポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】ポリエステル〔A〕を構成する一般式
    (I)で表わされる繰返し単位が である請求の範囲第1項記載のポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】ポリエステル〔B〕を構成する一般式(I
    I)および(III)で表わされる繰返し単位において、
    RI,RIIおよび/またはRIIIからなる群から選ばれた少くとも一種である請求の範囲
    第1項記載のポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】ポリエステル〔B〕の流動開始温度が150
    °〜300℃である請求の範囲第1項記載のポリエステル
    フィルム。
  10. 【請求項10】ポリエステル〔B〕中の一般式(II)お
    よび(III)で表わされる成分のそれぞれのモル分率q
    およびrの和が少なくとも40モル%である請求の範囲第
    1項記載のポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】ポリエステル〔A〕とポリエステル
    〔B〕とのブレンド中に占めるポリエステル〔B〕の比
    率Xb(重量%)が下式 1Xb−0.8Mf+90 (式中、Mfはポリエステル〔B〕中の一般式(II)およ
    び(III)で表わされる成分の共重合比率(モル%)で
    ある)を満足する請求の範囲第1項記載のポリエステル
    フィルム。
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