JP2910107B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルム

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はポリエステルフィルム、さらに詳しくは高弾
性率で寸法安定性の優れたポリエステルフィルムに関す
る。
〈従来の技術〉 磁気テープのベースなどに用いられるポリエステルフ
ィルムに対して、使用目的の高度化に伴いより一層高弾
性率がかつ寸法安定性の良好な素材が要求されている。
ポリエチレンテレフタレートのような比較的柔軟鎖の
ポリマに、光学異方性を有する液晶ポリマのような剛直
分子鎖ポリマをブレンドし、ポリエステルフィルムの機
械的強度、寸法安定性を改善する試みが検討されている
(国際公開WO87/05919号公報)。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、ポリエチレンテレフタレートのような
比較的柔軟鎖なポリマに、液晶ポリマのような剛直鎖ポ
リマをブレンドする場合、剛直鎖ポリマの分散性が必ず
しも十分とはいえず、透明性、均一性の点で満足のでき
るものは得られていない。
本発明は上述の問題を解決し、機械的特性に優れ、熱
収縮率が低く、しかも寸法安定性に優れた上、透明性、
均一性が改善されたポリエステルフィルムを得ることを
課題とする。
〈課題を解決するための手段〉 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結
果本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記構造単位(I)、(III)
および(IV)からなり、構造単位(III)が(I)、(I
I)および(III)の合計に対して50〜70モル%であり、
かつ構造単位(I)と(II)のモル比(I)/(II)が
50/50以上であり、融点250℃未満であるサーモトロピッ
ク液晶ポリエステル(A)0.1〜30重量%と下記(V)
式の構造式で表わされる半芳香族ポリエステル(B)9
9.9〜70重量%からなる組成物をフィルム状に成形した
フィルムであって、上記サーモトロピック液晶ポリエス
テルの粒子が該フィルム中に、平均分散粒子径5μ以下
で分散していることを特徴とするポリエステルフィルム
を提供するものである。
(ただし式中のR1から選ばれた1種以上の基を示し、R2、R3は各々 から選ばれた1種以上の基を示し、R2とR3は同じであっ
てもよい。Xは塩素または水素原子を示す。また、構造
単位(IV)は実質的に構造単位(II)および(III)の
合計と等モルである。また、(V)式中、nは2、4、
6から選ばれた整数である。) 本発明におけるサーモトロピック液晶ポリエステル
(A)の上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香
酸から生成した構造単位を、上記構造単位(II)は4,
4′−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−
ブチルハイドロキノンから選ばれた1種以上のジヒドロ
キシ化合物から生成した構造単位を、上記構造単位(II
I)はエチレングリコールから生成した構造単位を、上
記構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカ
ルボン酸および1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エ
タン−4,4′−ジカルボン酸から選ばれた1種以上の芳
香族ジカルボン酸から生成した構造単位を示す。
本発明におけるサーモトロピック液晶ポリエステル
(A)は上記構造単位(I)、(II)、(III)および
(IV)からなる共重合体であり、構造単位(III)が構
造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して50
〜70モル%である。50モル%未満では、液晶性が良好な
ためポリエチレンテレフタレートなどの比較的柔軟鎖の
ポリマ中での分散性が不良であり、70モル%より多いと
液晶性を示しにくくなり、剛直性が不十分となり十分な
フィルム特性の改善ができないため好ましくない。
また、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/
(II)]は50/50以上であり、75/25以上が好ましい。
なお、構造単位(IV)は実質的に構造単位(II)およ
び(III)の合計と等モルである。
本発明におけるサーモトロピック液晶ポリエステル
(A)は融点が250℃未満であることが必須である。融
点が250℃以上の場合、配合時に半芳香族ポリエステル
(B)との分散状態が不均一になったりするため好まし
くない。ここで融点とは示差走査熱量測定において昇温
速度20℃/分の条件で観測される吸熱ピークのピーク温
度をさす。
また、本発明における液晶ポリエステル(A)の対数
粘度は0.2〜2.0dl/gが好ましく、0.2〜1.0dl/gがさらに
好ましく、0.3〜0.7dl/gが特に好ましい。ここでいう対
数粘度とはペンタフルオロフェノール中0.1g/dlの濃
度、60℃の温度で測定した値である。
本発明におけるサーモトロピック液晶ポリエステル
(A)の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエス
テルの重縮合法に準じて製造できる。たとえば代表的な
方法として、エチレングリコールと芳香族ジカルボン酸
からなるオリゴマあるいはポリマまたは芳香族ジカルボ
ン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下
でp−ヒドロキシ安息香酸、4,4′−ジヒドロキシビフ
ェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸
などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フ
ェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反
応によって製造する方法などが挙げられる。
なお、本発明の芳香族ポリエステルを重縮合する際に
は上記(I)、(II)、(III)および(V)を構成す
る成分以外に、3,3′−ジフェニルジカルボン酸、3,4′
−ジフェニルジカルボン酸、2,2′−ジフェニルジカル
ボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸などの脂環式ジカルボン酸、レゾルシン、クロル
ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,7−ジヒド
ロキシナフタレン、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒ
ドロキシ化合物、m−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン
酸、p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸および
分子内にイミド結合を有する芳香族イミドジカルボン
酸、芳香族イミドジヒドロキシ化合物、芳香族イミドヒ
ドロキシカルボン酸などを本発明の目的を損なわない程
度の小割合の範囲でさらに共重合することも可能であ
る。
一方、本発明のフィルムを構成するもう一つの成分で
ある半芳香族ポリエステル(B)は上記構造式(V)で
示される。(V)式においてnは2、4、6から選ばれ
る整数であるが、フィルムの弾性率、熱収縮率の点から
n=2が最も好ましい。半芳香族ポリエステル(B)は
炭素数2、4または6のアルキレングリコールと芳香族
ジカルボン酸からなるポリエステルである。半芳香族ポ
リエステル(B)を構成するジカルボン酸成分はテレフ
タル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノ
キシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸および1,2−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン
酸から選ばれた1種以上の芳香族ジカルボン酸である。
本発明に使用する半芳香族ポリエステル(B)として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましい。半芳
香族ポリエステル(B)としては還元粘度0.5以上のも
のが好ましい。
本発明のフィルムはサーモトロピック液晶ポリエステ
ル(A)と半芳香族ポリエステル(B)を配合してなる
ものであるが、サーモトロピック液晶ポリエステル
(A)の配合量は0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重
量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%であり、半芳香
族ポリエステル(B)の配合量は99.9〜70重量%、好ま
しくは99.5〜90重量%、さらに好ましくは99.5〜95重量
%である。サーモトロピック液晶ポリエステルの配合量
が0.1重量%未満では、高弾性率で低熱収縮率という本
発明の効果がほとんど認められず、30重量%を越えると
ブレンドポリマの製膜性、延伸性が損なわれるためいず
れの場合も好ましくない。
また、本発明のフィルムを構成するサーモトロピック
液晶ポリエステル(A)および半芳香族ポリエステル
(B)に対して必要に応じて他種の熱可塑性樹脂、酸化
防止剤、熱安定剤、滑剤、核生成剤、表面突起形成剤、
難燃剤などの無機および/または有機添加剤を本発明の
目的を損なわない範囲内で添加してもよい。
サーモトロピック液晶ポリエステル(A)、半芳香族
ポリエステル(B)および必要に応じて添加するその他
の添加剤の配合方法については特に限定されないが、サ
ーモトロピック液晶ポリエステル(A)を半芳香族ポリ
エステル(B)中にできるだけ微分散させるのが好まし
く、公知の溶融混練法が好ましく使用できる。溶融混練
の方法としてはたとえばバンバリーミキサー、ゴムロー
ル機、ニーダー、1軸もしくは2軸押出機などが挙げら
れる。
2種のポリエステルを上記方法により混練し、一旦組
成物とした後、製膜用押出機に供してもよいが、製膜用
押出機中で配合と製膜を連続して行ってもよい。
本発明のポリエステルフィルムの製膜方法については
特に限定するものではないが、たとえば押出機によりス
リット状のダイからシート状に押出し、未延伸フィルム
を得た後、公知の同時2軸延伸法あるいは逐次2軸延伸
法などにより延伸し、フィルムとすることが可能であ
る。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、サーモト
ロピック液晶ポリエステル(A)が半芳香族ポリエステ
ル(B)中に5μm以下の平均分散粒径で微分散してい
る必要があり、3μm以下がより好ましい。また、これ
にはサーモトロピック液晶ポリエステル(A)が半芳香
族ポリエステル(B)中に見かけ上相溶し、粒子を形成
しないものも含まれる。平均分散粒子径が5μmより大
きい場合、透明性が損なわれる上、低熱収縮率、高弾性
率という本発明の効果が小さいため好ましくない。
〈実施例〉 以下に実施例により本発明をさらに説明する。
参考例1 p−ヒドロキシ安息香酸156重量部、4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル84重量部、無水酢酸207重量部、テレフ
タル酸75重量部および固有粘度が約0.6dl/gのポリエチ
レンテレフタレート564重量部を撹拌翼、留出管を備え
た反応容器を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
まず、窒素ガス雰囲気下で100〜250℃で5時間、250
〜280℃で1.5時間反応させた後、280℃、1時間で0.5mm
Hgに減圧し、さらに2.25時間反応させ、重縮合を完結さ
せたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の理論構
造式を有する樹脂(a)を得た。
k/l/m/n=25/10/65/75 また、このポリエステルを偏心顕微鏡の試料台にの
せ、昇温して、光学異方性の確認を行った結果、液晶開
始温度は224℃であり光学異方性を示した。このポリエ
ステルの対数粘度(0.1g/dlの濃度でペンタフルオロフ
ェノール中、60℃で測定)は0.65dl/gであり、304℃、
ずり速度1,000/秒での溶融粘度は910ポイズであった。
また、融点は214℃であった。
実施例1 参考例1のサーモトロピック液晶ポリエステル(a)
3重量部と対数粘度0.65(オルトクロロフェノール中0.
5g/dl、25℃で測定)のポリエチレンテレフタレート97
重量部を溶融混合後ペレタイズした。
このポリマを265〜295℃でTダイよりシート状に押出
し、縦、横方向に2軸に延伸した。得られたフィルムの
押出軸方向の熱収縮率を150℃、30分の条件で測定した
ところ、サーモトロピック液晶ポリエステル(a)を添
加しない場合に比べ約13%も改善されることがわかっ
た。また、位相差顕微鏡で観察した液晶ポリエステル
(a)の分散径は0.5μm以下であり極めて良好であっ
た。
〈発明の効果〉 本発明に従い得られる、限定された構造を有する融点
250℃未満のサーモトロピック液晶ポリエステルと半芳
香族ポリエステルからなるポリエステルフィルムは、優
れた機械的特性と低い熱収縮率を有しているため、磁気
テープ用ベースフィルムをはじめフレキシブルプリント
回路基板などの用途に供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−144421(JP,A) 特開 平1−110555(JP,A) 特開 平1−190750(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/02 C08J 5/12 - 5/22 C08L 67/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造単位(I)、(II)、(III)お
    よび(IV)からなり、構造単位(III)が構造単位
    (I)、(II)および(III)の合計に対して50〜70モ
    ル%であり、かつ構造単位(I)と(II)のモル比
    (I)/(II)が50/50以上であり、融点250℃未満であ
    るサーモトロピック液晶ポリエステル(A)0.1〜30重
    量%と下記(V)式の構造式で表される半芳香族ポリエ
    ステル(B)99.9〜70重量%からなる組成物をフィルム
    状に成形したフィルムであって、上記サーモトロピック
    液晶ポリエステルの粒子が該フィルム中に、平均分散粒
    子径5μ以下で分散していることを特徴とするポリエス
    テルフィルム。 (ただし式中のR1から選ばれた1種以上の基を示し、R2、R3は各々 から選ばれた1種以上の基を示し、R2とR3は同じであっ
    てもよい。Xは水素原子または塩素原子を示す。また、
    構造単位(IV)は実質的に構造単位(II)および(II
    I)の合計と等モルである。また、(V)式中、nは
    2、4、6から選ばれた整数である。)
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JP3684749B2 (ja) * 1996-03-26 2005-08-17 東レ株式会社 ポリエステルフィルムおよびその製造方法
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