JP2505258B2 - 液晶光学素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法

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JP2505258B2
JP2505258B2 JP63224715A JP22471588A JP2505258B2 JP 2505258 B2 JP2505258 B2 JP 2505258B2 JP 63224715 A JP63224715 A JP 63224715A JP 22471588 A JP22471588 A JP 22471588A JP 2505258 B2 JP2505258 B2 JP 2505258B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、液晶光学素子及びその製造方法に関し、よ
り詳しく言うと、本発明は、高度に配向した強誘電性液
晶を有し、液晶表示素子、液晶記録素子等として好適に
利用できる液晶光学素子及びこれを簡単なプロセスで歩
留よく製造することができる液晶光学素子の製造方法に
関する。
〔従来の技術〕
近年、液晶材料として強誘電性液晶を用い、これを高
度に配向制御し、かつこの液晶材料を電極が配設された
二枚の基板に挟持してなる液晶光学素子が、電界等の外
部刺激に対して高速応答性、コントラスト比等に優れる
など優れた特性を有することなどから注目され、液晶表
示素子、液晶記憶素子等として盛んに研究されるように
なってきた。
このように優れた特性を得るためには、強誘電性液晶
からなる液晶材料を高度に配向制御する必要があり、そ
のため、各種の配向制御方法が提案されてきている。
例えば、強誘電性液晶として低分子の強誘電性液晶を
用いる場合、その配向制御には、従来、ラビング法、剪
断法、温度勾配法、斜方蒸着法などが用いられている。
しかしながら、従来主流のネマチック液晶を用いる液
晶光学素子と比較して高速応答性、メモリー性を有する
強誘電性液晶を用いた液晶光学素子の製造は未だ実用化
されていない。その原因としては、次のような理由が挙
げられる。
素子のセル厚を数μm以下にしなければならないた
め素子の大面積化が困難である。
基板に予めポリマー(ポリイミド等)をコートして
ラビングなどの処理によって配向制御する方法は、予め
基板に行う操作及び制御が複雑であるなどの欠点があ
り、また、基板として通常ガラス基板を用いるため、複
雑な搬送工程を有する製造装置を極めて清浄に保つ必要
があり、しかも連続的生産が難しい。
室温付近で熱力学的に安定な強誘電性液晶相(カイ
ラルスメクチックC相)を示す液晶が少ない。
例えば、特開昭63-25622号公報には、低分子の強誘電
性液晶と熱可塑性樹脂とを混合して用い液晶材料の製膜
性を向上させ、常温付近で強誘電性相を発現させ、温度
変化による結晶構造の変化を少なくさせる方法が記載さ
れている。しかしながら、この方法においては、強誘電
相の熱力学的安定性を得るために樹脂と液晶の組み合わ
せを特定せねばならず、また、配向処理方法としてラビ
ング法などを用いなければならず、工程が複雑になり、
大面積化が困難である。
また、特開昭63-109419号公報には、強誘電性液晶パ
ネル作製時のスペーサー材の散布、配向膜塗布、ラビン
グ処理、液晶の注入などの工程を省略するために液晶を
高分子物質に混合して複合膜をつくり、その後一軸延伸
し、さらにその後液晶が等方相を示す温度まで加熱して
冷却することで液晶が配向した複合膜を得る方法が記載
されている。しかしながら、この方法においては、一軸
延伸したことで配向した高分子に沿って液晶分子を配合
させるというラビング処理と類似の作用により液晶材料
を配向させているので等方相からの徐冷が必要であり生
産性が悪い、液晶材料の高度な配向が得られず得られた
素子のコントラストが低い、気泡を噛込むなど延伸処理
後2枚の基板間に液晶材料を挟持することが難しい、強
誘電性液晶と高分子の種類によって配向性が変わるので
最適化を要するといったような問題がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前記事情に基づいてなされたもので、本発
明の目的は、前記の課題を解決し、電界等の外部刺激に
対する高速応答性、コントラスト比等の液晶光学素子と
しての基本特性に優れ、しかも十分な屈曲性を有し、か
つ製膜性に優れ大面積化が容易であるなどの優れた特長
を有する液晶光学素子を提供することにある。
本発明の目的はまた、室温付近(−20℃〜40℃)で結
晶化又はガラス化しない熱力学的に安定な強誘電性相を
有する液晶光学素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、簡単なプロセスで歩留よく連続
的に量産することができ、しかも基板に配向制御のため
の特定な前処理操作を施すことなしに、容易に高度の配
向を得ることができるなどの優れた利点を有する実用上
著しく有利な液晶光学素子の製造方法を提供することに
ある。
本発明の目的はまた、基板の光学的異方性の影響を受
けない高コントラストの液晶光学素子を簡単工程で製造
できる液晶光学素子の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は液晶光学素子に用いる偏光板
を無駄なく利用できるようにする液晶光学素子の製造方
法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、ガラス転移温度Tgが30℃以上の熱
可塑性樹脂、数平均分子量が1,000〜400,000の強誘電性
高分子液晶及びカイラルスメチックC相を呈する低分子
の強誘電性液晶からなる強誘電性液晶組成物を電極が配
設された2枚の厚さ20〜1000μmの可撓性基板で挟持し
た液晶光学素子を提供するものである。
本発明において用いられる、前記可撓性基板として
は、各種の材質のものを使用することができるが、通
常、生産性、汎用性、加工性等の点から強度、耐熱性、
透明性、耐久性などに優れたプラスチックからなる基板
等が好適に使用される。
この可撓性を有するプラスチックの具体例としては、
例えば、一軸又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
などの結晶性ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホンなどの非結晶性ポリマー、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ナイ
ロン等のポリアミドなどを挙げることができる。
これらの中でも、特に一軸又は二軸延伸ポリエチレン
テレフタレート、ポリエーテルスルホンなどが好まし
い。
本発明において、前記二枚の基板は、互いに同じ材質
のものであってもよく、又は相違する材質のものであっ
てもよいが、通常、上記の二枚の基板のうち少なくとも
一方の基板を光学的に透明なものとし、透明な電極を設
けて使用する。
本発明において使用する前記基板の形状としては、特
に制限はなく、使用目的等に応じて各種の形状のものを
使用することができるが、通常、板状、シート状又はフ
ィルム状のものなどが好適に使用することができ、特
に、連続的生産方式に有利であることなどからフィルム
状のものが好適に使用される。
基板の厚みは、基板の透明度、可撓性の程度、強度、
加工性などの材質、素子の使用目的などに応じて適宜選
定することができ、20〜1000μmの範囲内に設定され
る。
本発明において、前記電極としては、通常用いられる
もの、例えば、金属膜、導電性酸化物膜などの導電性無
機膜、導電性有機膜など各種のものを使用することがで
きる。
本発明において、前記二枚の電極のうち少なくとも一
方の電極として、通常、光学的に透明又は半透明のもの
を使用することが望ましく、少なくとも一枚の透明又は
半透明の電極は、透明な基板側に設けることが望まし
い。
この透明又は半透明の電極の具体例としては、例え
ば、NESA膜といわれる酸化錫膜、ITO膜といわれる酸化
錫を混入した酸化インジウム膜、酸化インジウム膜、金
やチタンなどの蒸着膜或いは他の薄膜状の金属又は合金
などを挙げることができる。これらの電極は、公知の手
法などの各種の手法、例えば、スパッタリング法、蒸着
法、印刷法、塗布法、メッキ法、接着法など、又はこれ
らを適宜組み合わせた手法を用いて、基板又は液晶層等
の所定の面上に設けることができる。
これらの電極の形状としては、特に制限はなく、基板
等の所定の面上の全面にわたるものであってもよく、ス
トライプ状のものであってもよく、又は他の所望の形状
のものであってもよい。
本発明における強誘電性液晶組成物に用いられる熱可
塑性樹脂としては、Tgが30℃以上のもの、好ましくは70
℃以上のものが用いられる。
具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリ
フッ化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共
重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビ
ニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エ
ステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重
合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合
体、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリテトラフルオロクロルエチレン、ポリフッ化ビ
ニリデン等のハロゲン化ビニル重合体又は共重合体; ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、ポリ
ビニルエーテル、ポリアリルエーテル等の不飽和アルコ
ール若しくはエーテルの重合体又は共重合体; アクリル酸若しくはメタアクリル酸等不飽和カルボン
酸の重合体又は共重合体; ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル、ポリフタル
酸等のポリアリルエステル等のアルコール残渣中に不飽
和結合をもつものの重合体又は共重合体; ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステ
ル、マレイン酸エステル若しくはフマル酸エステルの重
合体等の酸残渣又は酸残基とアルコール残基中に不飽和
結合をもつものの重合体或いは共重合体; アクリロニトリル若しくはメタアクリロニトリルの重
合体又は共重合体、ポリシアン化ビニリデン、マロノニ
トリル若しくはフマロニトリルの重合体又は共重合体等
の不飽和ニトリル重合体或いは共重合体; ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−メ
チルスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合
体、スチレン−p−メチルスチレン共重合体、ポリビニ
ルベンゼン、ポリハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル
化合物の重合体又は共重合体; ポリビニルピリジン、ポリ−N−ビニルピロリジン、
ポリ−N−ビニルピロリドン等の複素環式化合物の重合
体又は共重合体; ポリカーボネート等のポリエステル縮合物、ナイロン
6、ナイロン6,6等のポリアミド縮合物; 無水マレイン酸、無水フマール酸及びそのイミド化物
を含む重合体又は共重合体; ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミ
ド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリスルホン、ポリエーテルフルホン、ポリア
リレート等の耐熱性有機高分子等が挙げられる。
本発明においては熱可塑性樹脂は構造材料として用い
るので液晶材料との相溶性は大きくても、小さくてもい
ずれでもよい。
次に、本発明において用いられる強誘電性高分子液晶
としては、側鎖に強誘電性の液晶特性を発現する基を有
する強誘電性の液晶ポリマーが好ましく使用される。こ
れらの中でも特にカイラルスメクチックC相をとるもの
が好適に使用される。
側鎖型強誘電性高分子液晶の具体例としては、例え
ば、以下の各々の一般式からなる繰り返し単位を有する
ポリマー、コポリマー又はこれらのブレンド物等を挙げ
ることができる。
〔1〕ポリアクリレート系(特願昭61-305251号及び特
願昭62-106353号として本出願人が出願) 〔式中、kは1〜30までの整数であり、 であり、Xは−COO−又は−OCO−であり、R2は−COO
R3、−OCOR3、−OR3、又は−R3であり、ここでR3(式中、m及びnは、各々独立に、0〜9の整数であ
り、qは、0又は1であり、R4及びR5は、それぞれ−CH
3、ハロゲン原子又はCNであり、但し、R5が−CH3である
場合には、nは0ではなく、C*は不斉炭素原子を表し、
C(*)はn≠0の場合不斉炭素原子を意味する。)で表さ
れる基を表す。〕 このポリマーの数平均分子量は、1,000〜400,000であ
る。1,000未満であるとこのポリマーのフィルム、塗膜
としての成形性に支障を生じる場合があり、一方、400,
000を超えると応答時間が長くなる等の好ましくない結
果の現れることがある。そして、数平均分子量の特に好
ましい範囲は、R1の種類、kの値、R3の光学純度等に依
存するので一概に規定できないが1,000から200,000であ
る。
このポリマーの一般的な合成方法は、下式、 (ここで、k、R1、R2、R3、R4、R5、m及びnは前記の
ものである。) で示されるモノマーを公知の方法で重合することにより
得ることができる。
なお、ポリアクリレート系のうち、次式で示す液晶の
カイラルスメクチックC相を示す温度Tsc *、及び平均分
子量Mnの例を示すと、次の通りである。
(a)k=12,Mn=5300,Tsc *:5〜12℃ (b)k=14,Mn=6500,Tsc *:13〜31℃ 〔II〕ポリエーテル系(特願昭61-309466号として本出
願人が出願したものなど) (式中、k、R1、R2、R3、R4、R5、m、n及びXは前記
〔I〕と同じである。) このポリマーの数平均分子量は、1,000〜400,000であ
る。1,000未満であるとこのポリマーのフィルム、塗膜
としての成形性に支障を生じる場合があり、一方400,00
0を超えると応答速度が遅くなる等の好ましくない結果
の現れることがある。そして、数平均分子量の特に好ま
しい範囲は、R1の種類、kの値、R3の光学純度等に依存
するので一概に規定できないが、1,000〜200,000であ
る。
このポリマーの一般的な合成方法は、下記一般式 (ここで、k、R1、R2、R3、R4、R5、m、n及びXは前
記と同じである。) で示されるモノマーを公知の方法で重合することにより
得ることができる。
なお、ポリエーテル系のうち、次式で示す液晶のカイ
ラルスメクチックC相を示す温度Tsc *、及び平均分子量
Mnの例を示すと、次の通りである。
(a)k=8,Mn=2800,Tsc *:24〜50℃ (b)k=10,Mn=2400,Tsc *:19〜50℃ 〔III〕ポリシロキサン系(特願昭62-114716号として本
出願人が出願したものなど) (式中、R6は低級アルキル基であり、k、R1、R2、R3
R4、R5、m、n及びXは前記と同じである。) このポリマーの数平均分子量は、1,000〜400,000であ
る。この数平均分子量が1,000未満ではこのポリマーの
フィルム塗膜としての成形性に支障を生じる場合があ
り、一方、400,000を超えると電界応答速度が遅い等の
好ましくない結果の現れることがある。数平均分子量の
特に好ましい範囲は、R1基の種類、k、m、nの値、R3
基の光学純度等に依存するので一概に規定できないが、
通常、1,000〜200,000である。
このポリマーは例えば、下式、 (式中、R6は前記と同じ意味を有する。) で表される繰り返し単位からなるアルキルヒドロポリシ
ロキサンと下式 H2C=CH(CH2)k-2−O−R1 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、k、m、及びnは前記と
同じ意味を有する。) で表される液晶ユニット化合物とを一定条件で反応させ
ることにより合成することができる。
なお、ポリシロキサン系のうち次式で示す液晶SmC*
を示す温度Tsc *及び平均分子量Mnの例を示すと、次の通
りである。
(a)k=6,Mn=16400,Tsc *:70〜90℃ (b)k=8,Mn=15000,Tsc *:39〜91℃ 〔IV〕ポリエステル系(特願昭61-206851号として本出
願人が出願したものなど) 〔式中のR7はH、CH3又はC2H5、sは1〜20の整数、A
はO(酸素)又は−COO−、tは0又は1、R1、R2
R3、R4、R5、k、m及びnは前記と同じ意味を有す
る。) 又は、 〔式中のs、A、t、R1、R2、R3、R4、R5、k、m及び
nは前記と同じ意味を有する。) これらのポリマーは、通常のポリエステルの縮重合反
応によって得られる。すなわち、上記構造の二塩基酸又
はこれらの酸クロライドと、二価アルコールの縮重合反
応によって得られる。
これらのポリマーの数平均分子量は1,000〜400,000の
範囲にある。この分子量が1,000未満ではこのポリマー
のフィルムや塗膜としての成形性に支障が生じる場合が
あり、一方、400,000を超えると応答速度が遅い等の好
ましくない結果の現れることがある。数平均分子量の特
に好ましい範囲は、R2の種類、kの値、R3の光学純度等
に依存するので一概に規定できないが、通常1,000〜20
0,000である。
〔V〕
前記〔I〕ポリアクリレート系、〔III〕ポリエーテ
ル系、〔III〕ポリシロキサン系及び〔IV〕ポリエステ
ル系の繰り返し単位を含む共重合体。
前記〔I〕〜〔IV〕の繰り返し単位を含む具体例とし
ては次のものがある。
〔I〕の繰り返し単位と、以下の繰り返し単位を含む
共重合体。
(式中R8はH、CH3、Cl、F、Br、又はIであり、R9はC
110のアルキル又はアリールである。) この共重合体の数平均分子量Mnは1,000〜400,000であ
り、好ましくは1,000〜200,000である。
また、〔I〕の繰り返し単位は、20〜90%が好まし
い。
〔I〕の繰り返し単位の前駆体単量体である と以下の単量体との重合によって得られる共重合体。
〔式中、R10はC120のアルキル又はアリールであ
る。〕 〔I〕の繰り返し単位と の繰り返し単位を含む共重合体。
(式中uは1〜30の整数であり、R11は、 あり、X1は−COO−、−OCO−又は−CH=N−であり、R
12は−COOR13、−OCOR13、−OR13又は−R13であり、R13
はC110のアルキル、フルオロアルキル又はクロロアル
キルである。) 本発明に用いられる強誘電性高分子液晶としては、ポ
リマー中の側鎖の末端部分に不斉炭素が1又は2存在す
るものに限定されるものではなく、側鎖の末端部分に不
斉炭素が3以上含まれるものも使用できる。
本発明で用いられる低分子の強誘電性液晶としては、
例えば、次のものがある。
(ここで、zは3〜30の整数である。) 4−〔4′−(12−(2,2−ジメチロールプロピオ
ニルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕安息
香酸2−メチルブチルエステル 4−〔4′−(12−(2,2−ジアセトキシプロピオ
ニルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕安息
香酸2−メチルブチルエステル 4′−(12−(2,2−ジメチロールプロピオニルオ
キシ)ドデシルオキシ)ビフェニル−4−カルボン酸2
−メチルブチルエステル 4′−〔12−(2,2−ジアセトキシプロピオニルオ
キシ)ドデシルオキシ〕ビフェニル−4−カルボン酸2
−メチルブチルエステル 4′−〔4″−(12−(2,2−ジメチロールプロピ
オニルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾイルオキシ〕ビ
フェニル−4−カルボン酸2−メチルブチルエステル 4′−〔4″−(12−(2,2−ジアセトキシプロピ
オニルオキシ)ドデシルオキシ)ベンゾキシ〕ビフェニ
ル−4−カルボン酸2−メチルブチルエステル 4−〔4″−(12−(2,2−ジメチロールプロピオ
ニルオキシ)ドデシルオキシ)ビフェニリル−4′−カ
ルボニルオキシ〕安息香酸2−メチルブチルエステル 4−〔4″−(12−(2,2−ジアセトキシプロピオ
ニルオキシ)ドデシルオキシ)ビフェニリル−4′−カ
ルボニルオキシ〕安息香酸2−メチルブチルエステル DOBAMBC(p−デシロキシベンジリデン−アミノ−
2−メチルブチルシンナメート) 4′−オクチルオキシビフェニル−4−カルボン酸
2−メチルブチルエステル 4−(4″−オクチルオキシビフェニル−4′−カ
ルボニルオキシ)安息香酸2−メチルブチルエステル 4−オクチルオキシ安息香酸4−(2−メチルブチ
ルオキシ)フェニルエステル 4′−オクチルオキシビフェニル−4−カルボン酸
3−メチル−2−クロロペンチルエステル 3−メチル−2−クロロペンタン酸4′,4″−オク
チルオキシビフェニリルエステル p−ヘキシルオキシベンジリデン−p′−アミノ−
2−クロロプロピルシンナメート 4−(2−メチルブチルベンジリデン)−4′−オ
クチルアニリン等のカイラルスメクチックC相を呈する
強誘電性の液晶化合物が用いられる。
本発明においては、本発明の目的に支障のない範囲
で、液晶材料にさらに他の液晶状ポリマーを混合して使
用することも可能である。
前記熱可塑性樹脂(A)と強誘電性高分子液晶及び低
分子の強誘電性液晶を含む液晶成分(B)の混合比は好
ましくは(A)の割合を20〜90重量%、(B)の割合を
80〜10重量%、さらに好ましくは(A)の割合を20〜60
重量%、(B)の割合を80〜40重量%とする。(B)が
少なすぎると液晶光学素子を形成した際の光透過率が小
さくなったり、後述の曲げ配向処理で十分な配向が得ら
れないことがある。一方多すぎると製膜性が悪化した
り、液晶光学素子としたときの耐衝撃性が悪くなること
がある。
液晶成分(B)中の強誘電性高分子液晶の配合割合は
後述する曲げ変形処理に於ける配向性及び大面積化に有
利な製膜性を向上させるために3〜90モル%、好ましく
は10モル%〜80モル%とする。
本発明における強誘電性液晶組成物には前記熱可塑性
樹脂と液晶成分のほかに1種類以上の2色性色素を混入
させてもよい。2色性色素としてはアントラキノン系、
アゾ系、ジアゾ系、メロシアニン系等の色素が挙げられ
る。
熱可塑性樹脂と液晶成分の混合方法は特に限定されな
いが、次に示すような単純混合法と溶液混合法が挙げら
れる。
単純混合法は室温又は液晶の粘度が小さくなる温度
〔カイラルスメクチックC相(SmC*)、スメクチックA
相(SmA)、ネマチック相(N)、等方相(Iso)又はこ
れらの混相など結晶相やガラス相でない温度〕で熱可塑
性樹脂と液晶成分とを混練する方法である。
溶液混合法は熱可塑性樹脂と液晶成分とを適当な溶媒
に溶解させて混合する方法である。溶媒としてはメチレ
ンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、テ
トラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルホルムアミドなど種々のものが利用
できる。
本発明において、前記強誘電性液晶組成物から液晶光
学素子を得る方法は、2枚の電極付き基板と強誘電性液
晶組成物の膜を積層する方法と、電極付き基板に強誘電
性液晶組成物を塗布等により製膜してこれに電極付き基
板を積層する方法、両側の基板に液晶組成物を製膜した
ものを積層する方法等がある。
液晶組成物の膜を形成しこれを積層する方法は、キャ
スト法、押出し法、プレス法など通常のポリマーに対し
て行われる製膜法を用いて強誘電性液晶物質の膜をつく
り、その両側を少なくとも一方が透明な電極を有する可
撓性基板で挟持し液晶光学素子とする。
基板上に塗膜を形成して積層する塗布法は、製膜と同
時に配向処理も行うことができるが、その好適な操作条
件や膜厚等の範囲が広いという利点があり、本発明にお
いて好ましい方法である。塗布法としては、加熱塗布
法、溶液塗布法、水面塗布法など各種の方法があり、例
えばバーコータによる塗布法、ダイレクトグラビアロー
ル法、マイクログラビア法などが挙げられる。
上記の積層工程は、通常2本の加圧ローラーを用いて
常温以上で行う。
液晶光学素子中の強誘電性液晶組成物の膜厚として
は、通常、0.5〜10μm、好ましくは0.5〜4μm程度の
範囲内に設定するのが適当である。
第2図は、本発明の液晶光学素子の製造における配向
工程及びラミネート加工等による挟持工程の前工程とし
て好適に使用することができる塗布法による強誘電性液
晶組成物の製膜方法の一例を表す略示図である。
第2図中の1は電極付可撓性基板、2は強誘電性液晶
組成物、3は強誘電性液晶組成物2を塗布した電極付可
撓性基板1からなる積層基板、4はロールコーター、5
は誘導ロール、6は供給ロール、7はかき取り用ドクタ
ーナイフを表す。
なお、強誘電性液晶組成物を薄い膜として仕上げる場
合等においては、基板間の導通を防止するために、製膜
もしくは挟持段階において、基板間に例えば、酸化ケイ
素や絶縁性プラスチック等の絶縁性スペーサー材を設け
てもよく、あるいは、予め、基板と強誘電性液晶組成物
層の間に薄いポリマー等の絶縁膜を塗布法等により設け
ておくこともできる。
この絶縁膜の膜厚としては、特に制限はないが、通
常、1μm以下、好ましくは0.5μm以下とするのが適
当である。
このように塗布製膜された強誘電性液晶組成物に対向
基板を重ね合わせて挟持する方法としては、例えば、加
圧ローラ等を用いる通常のラミネート方法などが好適に
使用することができる。
なお、第1図にはこの加圧ローラを用いるラミネート
方法の、最も簡単な例の一つを示す。
第1図中の、8は加圧ローラ対を示し、3は強誘電性
液晶組成物2を塗布した電極付可撓性基板1を示し、
1′は対向する電極付可撓性基板を表す。
本発明において、液晶光学素子の連続的かつ高速量産
的な作製方法としては、例えば、一方の電極付可撓性プ
ラスチック基板を高速に移動させながら、これに強誘電
性液晶を上記の塗布法等を用いて連続的に製膜し、次い
で対向する電極付プラスチック基板を重ね合せて連続的
にラミネートする方法が特に好適に使用することができ
る。
本発明における液晶組成物の配向方法としては、例え
ば上記の如くして作製された液晶光学素子を特定な方向
に曲げ変形処理することにより該液晶光学素子中の強誘
電性液晶を配向せしめる。本発明においては、強誘電性
高分子液晶等を含むマルチドメイン状態におけるマクロ
な弾性率が小さい強誘電性液晶組成物を用いているので
単に曲げるだけでも充分な配向状態を実現することがで
きる。
この曲げ変形処理による高度の配向の実現は、第3図
に例示するように曲げ変形による微小な剪断応力が曲げ
変形を受けた近傍の強誘電性液晶部分に加わることによ
り達成されるものと考えられる。
第3図は、曲げ変形処理により、液晶光学素子中の強
誘電性液晶の曲げ変形部分近傍に加わる剪断応力の分布
状態の様子の一例を示す略示図であり、図中の(a)
は、液晶光学素子9を曲げ変形処理している状態の一例
を示す略示図であり、1及び1′は、それぞれ、電極付
可撓性基板、2は強誘電性液晶組成物、10′は液晶光学
素子1の曲げ変形部分を表し、(b)はこの曲げ変形部
分近傍10の部分拡大図であり、11等の矢印は変形処理に
より強誘電性液晶組成物に加わった剪断応力による変位
の分布の状態の一例を表す。
強誘電性液晶組成物は、ネマチック液晶と比較して弾
性率が大きいので、曲げ変形を施すと一様な変形よりも
ドメイン単位の相互のすべりによる変形となり易い。し
たがって、剪断方向に対して配向方向は垂直となる。
第4図は、本発明の配向方向の一例として、一本のロ
ーラ12を用いて、液晶光学素子1を連続的に移動させな
がら曲げ変形処理を行う方式一例を示す略示図である。
なお、第4図中の10′は、液晶光学素子9の曲げ変形
部分を表す。
本発明の曲げ変形処理においては、この曲げ変形処理
の基板面上の曲げ方向を基板の光学的主軸方向(配向方
向)から強誘電性液晶組成物のほぼチルト角θ分又は90
°−θ分だけ又は基板の長手方向から強誘電性液晶のほ
ぼチルト角θ分又は90°−θ分だけ傾けることが重要で
ある。ここで曲げ方向とは基板を折り曲げた場合にでき
る二つの面の境界線の方向を意味する。
基板が一軸又は二軸延伸PET等の光学的異方性を有す
る基板を使用する場合は、曲げ方向を基板の光学的主軸
方向に対してθ又は90°−θ分だけ傾けて曲げ変形処理
を行う。
第5図は液晶光学素子の曲げ方向と偏光子との関係を
示す説明図である。9は強誘電性液晶物質を挟持した液
晶光学素子、12は基板の光学的主軸方向、13、14は素子
の曲げ方向、15、16は偏光子の偏光軸、17はある方向に
電界が印加されたときの液晶の配向方向(暗)、18は17
と逆向きに電界が印加されたときの液晶の配向方向
(明)を示している。
例えば、13の方向に沿って曲げ変形を与えると液晶の
ドメインは13の点線と平行な方向に配向する。このとき
電界を印加しその符号を変えることで液晶分子17、18の
方向間をスイッチングし、2枚の偏光子15、16を直交さ
せて9の外側に液晶のチルト角θだけずらして配置する
ことで高コントラストの明暗の状態を得ることができ
る。もちろん2枚の偏光子の偏光軸を平行とし、いずれ
も15又は16の方向にしてもよく、その場合、明暗の関係
が逆になる。
また、2色性色素を混入した場合には、一般に知られ
たゲストホストモードでの動作が可能になり、偏光子を
1枚に省略できる。その偏光軸の方向は通常液晶の配向
方向とθだけずらして配置する。
それぞれの角度の関係θ(又は90°−θ)、偏光子と
配向方向との関係は正確に合っていることが望ましい
が、通常、10°以下の範囲でずれは許容される。好まし
くは5°以下のずれにすることで高コントラストが実現
できる。
この曲げ変形処理による配向は、液晶の種類によって
は適当な温度に加熱することにより、より有効に行うこ
とができる。
本発明における前記曲げ変形処理による配向は、通
常、強誘電性液晶組成物が、少なくとも、等方相とスメ
クチックA相との混相を示す温度又は等方相とカイラル
スメクチックC相との混相を示す温度からスメクチック
A相又はカイラルスメクチックC相を示す温度範囲で行
うか或いは強誘電性液晶組成物が等方相を示す温度、等
方相とスメクチックA相の混相を示す温度又は等方相と
カイラルスメクチックC相の混相を示す温度からスメク
チックA相又はカイラルスメクチックC相を示す温度ま
で冷却しながら行うことが望ましい。
また、液晶セル全体を均一な配向とするには、液晶光
学素子Aを連続的に移動させながら曲げ変形処理を行う
のが好適である。
本発明の配向方法において、前記曲げ変形処理による
配向は、各種の装置および方式を用いて行うことができ
るが、通常、少なくとも一本の自由回転ローラを用い
て、液晶光学素子を移動させながら曲げ変形処理する方
法、好ましくは少なくとも二本の自由回転ローラ間を連
続的に移動させながら曲げ変形処理する方法が好適に使
用することができる。
以下に、本発明の曲げ変形処理による配向についてよ
り詳細に説明する。
本発明の配向方法において、前記曲げ変形処理におけ
る液晶光学素子の曲げの度合は、曲率半径で表して、通
常、5〜1,000mm、好ましくは10〜500mmの範囲内となる
度合に設定して行うのが適当である。
この曲率半径が、小さすぎると、基板を損傷したり、
細いパターンの電極を断線する恐れがあり、一方、大き
すぎると、液晶部分に充分な剪断応力が印加されず、良
好な配向状態が得られないことがある。本発明の配向方
法において、前記曲げ変形処理による強誘電性液晶の配
向は、該曲げ変形処理を、液晶光学素子を移動しながら
行うことによって、より有効にかつ効率よく行うことが
でき、特に液晶光学素子を、少なくとも二本の自由回転
ローラ間を連続的に移動させることによって曲げ変形処
理することにより、さらに有効に、かつ高速量産的に行
うことができる。
この曲げ変形処理における液晶光学素子の移動速度とし
ては、曲げ部分の曲率半径、温度、強誘電性液晶の種類
等に依存するので、一様に規定することができないが、
通常は、塗布製膜工程及びラミネート処理工程に適合し
た連続製造プロセスのライン速度に合せた速度で充分で
あり、したがって、曲げ変形処理による配向工程を含め
た各工程のライン速度を同一の速度に設定することがで
き、これにより、液晶光学素子の連続高速生産プロセス
を効率よく実現することができ、量産性を著しく高める
ことができる。
前記連続的生産プロセス等において、曲げ変形処理に
おける液晶光学素子の移動速度の具体的な大きさとして
は、例えば、通常、0.1〜50m/分(0.16〜83.3cm/秒)程
度の範囲内とするのが好適である。
なお、上記に例示の曲げ変形処理における液晶光学素
子の移動速度は、主として、塗布条件によって決定され
たものである。
したがって、曲げ変形処理のみに適合した移動速度
は、特に制限はなく、上記の範囲よりもさらに広い範囲
の大きさとすることもできるが、その移動速度があまり
大きすぎると、基板の種類によっては曲げ変形時に割れ
などの損傷を受けることがあり、一方、あまり小さすぎ
ると、配向は充分に得られるが、製造時間が長くなり、
実用性が低くなる。
前記曲げ変形処理による配向処理においては、必ずし
も精密な温度設定を必要としないが、広範囲の、特に非
常に大きいライン速度(製品の巻取り速度に対応する速
度)においても極めて良好な配向を得るためには、強誘
電性液晶組成物が等方相を示す温度、等方相とスメクチ
ックA相の混相を示す温度又は等方相とカイラルスメク
チックC相の混相を示す温度からスメクチックA相又は
カイラルスメクチックC相を示す温度まで冷却しながら
曲げ変形処理を行うのが好ましい。
以下に、この等方相温度から液晶相温度まで冷却しな
がら曲げ変形処理による配向処理を行う配向方法の一例
を図面を参照しながら概説する。
第6図は、本発明の配向方法の特に好適な方法の一例
として、上記の等方相温度から液晶相温度まで冷却しな
がら曲げ変形処理による配向処理を施す連続的な配向方
法の一例を占める略示図である。
第6図中の9は液晶光学素子、19及び20は、それぞれ
自由回転ローラ、21は加熱装置を表し、T1、T2、及びT3
は、それぞれ、加熱装置21、自由回転ローラ19及び自由
回転ローラ20の温度を表す。
第6図に示す配向方法の例では、液晶光学素子9を連
続的に移動させながら、温度をT1に設定してある加熱装
置21により等方相を示す温度に加熱し、次いで、温度が
それぞれT2及びT3の二本の自由回転ローラ19及び20の間
を移動させながら、液晶光学素子9中の強誘電性液晶組
成物をその液晶相温度まで冷却しつつ曲げ変形処理によ
る配向処理を行う。このとき2本のローラによる基板の
曲げ方向と基板の主軸方向と直角方向との傾きaはθ又
は90°−θとなるようにする。ロールは2本に限らず1
本でも3本以上でもよい。好ましくは2本以上とする。
上記において、温度T1は、少なくとも液晶光学素子1が
曲げ変形処理を受けはじめた時点まで等方相を達成する
のに充分な温度とすればよく、温度T2及びT3は、液晶光
学素子1が曲げ変形処理を終了するまでに液晶相を示す
温度まで冷却することができる温度範囲の温度に設定す
ればよい。
ここで、温度T1は、通常は、T2及びT3より高い温度に
設定するのが好適である。
一方、温度T2とT3は、同じであってもよく、あるいは
相違していてもよく、いずれでもよいが、液晶光学素子
9の熱容量を考慮しつつ温度制御を容易にし、長時間安
定に運転するために、通常、温度T3をT2より低く保つの
が好適である。
なお、本発明の配向方法において、曲げ変形処理によ
る配向に用いる自由回転ローラの使用方式としては、特
に制限はないが、通常、第6図に示すように、少なくと
も二本の複数の自由回転ローラを逐次的に組合わせて配
列し、これらのローラ間に液晶光学素子を連続的に移動
させることにより曲げ変形処理を行う方式が特に好適に
使用することができる。
以上のように、本発明の配向方法は、基板等に煩雑な
前処理を要することなく、極めて簡単な操作で高度の配
向を達成することができ、高速応答性、コントラスト比
等に優れた液晶光学素子を効率よく得ることができ、し
かも高速の連続量産プロセスを容易に実現することがで
きるなどの優れた利点を有する実用上著しく有利な液晶
光学素子の配向方法であり、各種の、電極付可撓性基板
挟持型強誘電性液晶光学素子の製造工程における配向方
法として好適に利用することができる。
次に基板がPES(ポリエーテルスルホン)、PS(ポリ
スルホン)等の光学異方性をもたない基板の場合には基
板の長手方向に対してほぼθ又は90°−θだけ曲げ方向
を傾けて曲げ配向処理を行う。第7図及び第8図はそれ
ぞれa=0°とa=θのときの液晶光学素子の上下電極
間に電場を印加させ、偏光子を用いて表示素子とする場
合の液晶分子22の傾き、偏光子の方向(23、24)と偏光
板原反25との関係を示す説明図である。液晶分子22は液
晶分子長軸から+θ、−θ傾いて暗状態、明状態を呈す
る。a=0として曲げ変形処理を行うと偏光板25は第7
図のように26のむだな部分を生ずるが、a=θとして曲
げ変形処理を行うと第8図のように偏光板25はむだなく
利用できる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜6 上記のとの混合液晶(混合モル比1:3)と強誘電
性高分子液晶の混合モル比を(+):=9:1と
したもの(A1)、及び4:6としたもの(A2)を調製し、
相転移挙動を調べたところ次のようになった。
(S1:顕微鏡観察ではガラス的な相だが未同定。少なく
とも−20℃までは結晶化しなかった。) A1、A2のいずれも強誘電性高分子液晶の混合によっ
て室温付近でのカイラルスメクチックC相が安定化さ
れ、低温時にも結晶化による配向状態の破壊がなされに
くくなった。
次に熱可塑性樹脂としては次の3つを用いた。
B1ポリクロルスチレン Mw=50000、Tg=90℃、 B2ポリ2−ビニルピリジン Mw=40000、Tg=104℃、 B3ポリカーボネート Mw=20000、Tg=150℃、 ポリマーの違いによる効果を調べるために液晶成分と
熱可塑性樹脂の混合比はすべて重量比で2:1とした。こ
れらの混合物はジクロルメタンに溶解し、すべて10重量
%の溶液とした。
可撓性基板としてはITO電極付きのPES(ポリエーテル
スルホン)基板(幅150mm、厚み125μm)を両側に用い
た。
液晶組成物の基板への塗布工程はマイクログラビアコ
ーターを用いて前記溶液を片側のロール状基板に連続的
に塗布することにより行ったのち、対向基板とともに2
本の加圧ローラー間を通してラミネートした。このとき
の強誘電性液晶組成物の厚みは約5μmであった。これ
らを第9図に示す配向装置を用いて曲げ変形処理による
配向処理を行った。
第9図の装置において、配向ロールの温度はT1=70
℃、T2=90℃、T3=70℃、T4=40℃であり、配向ロール
の直径100mm、配向ロールの中心間距離120mm、ライン速
度3m/minとし、配向処理ののち測定用として150mm×200
mmに切り出した液晶光学素子を、25℃で、クロスニコル
下で±10Vの電圧を印加してコントラスト比を測定した
ところ表示の結果が得られた。
得られた液晶光学素子はすべてについて双安定性が発
現し、24時間放置後も通過光量は5%以下の変化しかな
かった。) この結果Tgの低い熱可塑性樹脂を用いたものほど曲げ
変形時に有効な剪断力が液晶材料に印加されて高度な配
向が得られることが判明した。これらはいずれも室温で
の曲げ変形に対して配向は安定であり、曲率半径50mmま
で曲げても配向が壊れることはなかった。
実施例7 実施例1〜6と同じ方法で熱可塑性樹脂としてTgの低
いポリビニルアセテート(Tg=32℃)を用いて液晶光学
素子を得た。このものはA1の系でコントラスト比80、A2
の系でコントラスト比71が得られたが、室温での変形に
対してやや安定性に劣り、曲率半径100mm程度の曲げで
再配向が起きてコントラスト比は20以下まで低下した。
比較例1 強誘電性高分子液晶を含まないとのみの混合液晶
(モル比1:3)と熱可塑性樹脂B1との重量比1:2の混合物
を用いて実施例1〜6と同じ方法で塗布、配向処理を行
ったところ得られた液晶光学素子のコントラスト比は18
であった。このように強誘電性高分子液晶をわずか10%
加えただけでも曲げに配向処理が極めて良好に行われる
ことが実施例1との比較から明らかである。
実施例8 低分子の強誘電性液晶 と実施例1〜6で用いた強誘電性高分子液晶をモル比
7:3で混合し、次のような相転移挙動を示す混合液晶と
した。
(S1:未同定。少なくとも−30℃までは結晶化しなかっ
た。) この混合結晶とポリ塩化ビニルの重量比3:2の混合物
をテトラヒドロフラン(THF)に溶解して15重量%の溶
液とした。スクリーン印刷法によってITO付き一軸延伸P
ET基板(100μm厚、幅200mm)に塗布し、溶媒蒸発後、
約6μm厚の複合膜を得た。これに対向基板として塗布
されていない同じ基板をラミネート後基板の光学主軸方
向に対して液晶のチルト角分(25℃でa=14℃)だけ傾
けた方向に曲げ変形を与えながら等方相より冷却した。
第6図の方法において、T1=90℃、T2=81℃、T3=40
℃、ライン速度4.0m/min、配向ロールの直径100mm、ロ
ール中心間距離=120mmとし、配向処理を行った。
得られた液晶光学素子を200mm×180mmに切り出したの
ちコントラスト比を測定したところ、25℃で±5Vの電圧
印加で62となった。
また、35℃以下の全カイラルスメクチックC相温度域
で双安定性が確認できた。曲げ変形に対する安定性は曲
率半径20mmまで良好であった。
比較例2 実施例7と同様な方法で熱可塑性樹脂を全く用いずに
混合液晶のみを塗布配向処理した。コントラスト比は25
℃、±5Vで105が得られたが切断工程で配向が一部乱
れ、また曲げに対しては曲率半径70mm以下で大きく配向
が壊れた。
このように熱可塑性樹脂の混合によって室温付近では
膜の機械的安定性が増し、加熱変形時には軟化して液晶
の配向制御を容易にすることが明らかとなった。また強
誘電性高分子液晶を混入することでその配向が著しく向
上する。この効果は少量で現れるので本来の高速安定性
を損なうことはない。
〔発明の効果〕
本発明は以下に示す効果を有している。
(1)本発明の液晶光学素子は電界等の外部刺激に対す
る高速応答性、コントラスト比等の液晶光学素子として
の基本特性に優れ、しかも十分な屈曲性を有し、製膜性
に優れ大面積化が容易である。
(2)本発明の液晶光学素子は室温付近で結晶化せず、
熱力学的に安定である。
(3)本発明の液晶光学素子の製造方法は曲げ変形処理
という極めて簡単かつ容易な操作により高速かつ連続的
に高度の配向を達成することができる。
(4)基板の光学的異方性の影響を受けずに高コントラ
ストの液晶光学素子を実現できる。
(5)基板に煩雑な特定の前処理を施すことなく、容易
に高度の配向を得ることができる。
(6)液晶光学素子の素子構成として用いる偏光板を無
駄なく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の配向工程の前工程として好適に使用
することができるラミネート方式による液晶光学素子の
製造方法を表す略示図である。 第1図中の、1、1′は電極付可撓性基板、2は強誘電
性液晶組成物、3は強誘電性液晶物質2を塗布した電極
付可撓性基板1からなる積層基板、8は加圧ローラ対を
示し、1′は対向する電極付可撓性基板を表す。 第2図は、本発明の配向工程およびラミネート加工等に
よる挟持工程の前工程として好適に使用することができ
る塗布法による強誘電性液晶物質の製膜方法の一例を表
す略示図である図中の1は電極付可撓性基板、2は強誘
電性液晶組成物、3は強誘電性液晶物質2を塗布した電
極付可撓性基板1からなる積層基板、4は、ロールコー
ター、5は誘導ロール、6は供給ロール、7はかき取り
用のドクターナイフを表す。 第3図は、本発明の発明方法において、曲げ変形処理に
より、液晶光学素子中の強誘電性液晶の曲げ変形部分に
加わる剪断応力の分布状態の様子の一例を示す略示図で
ある。(a)は液晶光学素子を曲げ変形処理している状
態の一例を示す略示図であり、(c)はこの曲げ変形部
分近傍の部分拡大図である。 図中の、9は液晶光学素子、1及び1′は、それぞれ電
極付可撓性基板、2は強誘電性液晶組成物、10′は液晶
光学素子9の曲げ変形部分、11等の矢印は曲げ変形処理
により曲げ変形部分近傍10の強誘電性液晶に加わった剪
断応力の分布の状態の一例を表す。 第4図は、本発明における配向方法の例を表す略示図で
ある。図中の9は液晶光学素子、12は自由回転ローラ、
10′は曲げ変形部分を表す。 第5図は、本発明における配向方法について曲げ方向と
偏光子の関係を示す説明図である。図中の、9は液晶光
学素子、12は基板の光学的主軸方向、13、14は曲げ方
向、15、16は偏光板の偏光軸である。 第6図は、本発明における配向方法の例を表す略示図で
ある。図中の、9は液晶光学素子、19、20は、それぞれ
自由回転ローラ、21は加熱装置を表す。 第7図及び第8図はそれぞれa=0°とa=θのときの
液晶光学素子の上下電極間に電場を印加させ、偏光子を
用いて表示素子とする場合の液晶分子の傾き、偏光子の
方向と偏光板原反との関係を示す説明図である。 第9図は本発明における配向方法の例を表す略示図であ
る。配向ロールが3本のものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−25622(JP,A) 特開 昭63−72784(JP,A) 特開 昭63−66229(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移温度Tgが30℃以上の熱可塑性樹
    脂、数平均分子量が1,000〜400,000の強誘電性高分子液
    晶及びカイラルスメチックC相を呈する低分子の強誘電
    性液晶からなる強誘電性液晶組成物を電極が配設された
    2枚の厚さ20〜1000μmの可撓性基板で挟持した液晶光
    学素子。
  2. 【請求項2】ガラス転移温度Tgが30℃以上の熱可塑性樹
    脂20〜90重量%及び数平均分子量が1,000〜400,000の強
    誘電性高分子液晶を該強誘電性高分子液晶及びカイラル
    スメチックC相を呈する低分子の強誘電性液晶の合計量
    に対して3〜90モル%含む液晶成分80〜10重量%からな
    る強誘電性液晶組成物を電極が配設された2枚の厚さ20
    〜1000μmの可撓性基板で挟持した液晶光学素子。
  3. 【請求項3】ガラス転移温度Tgが30℃以上の熱可塑性樹
    脂、数平均分子量が1,000〜400,000の強誘電性高分子液
    晶及びカイラルスメチックC相を呈する低分子の強誘電
    性液晶からなる強誘電性液晶組成物を電極が配設された
    2枚の20〜1000μm可撓性基板で挟持した液晶光学素子
    を曲げ変形処理により配向させる液晶光学素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】曲げ変形処理を強誘電性液晶組成物が等方
    相とスメクチックA相、等方相とカイラルスメクチック
    C相、スメクチックA相、又はカイラルスメクチックC
    相のいずれかを示す温度範囲で行うか或は強誘電性液晶
    組成物が等方相を示す温度、等方相とスメクチックA相
    の混相を示す温度又は等方相とカイラルスメクチックC
    相の混相を示す温度からスメクチックA相又はカイラル
    スメクチックC相を示す温度まで冷却しながら行う請求
    項3記載の液晶光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】曲げ変形処理の曲げ方向を該基板面上で基
    板の光学的主軸方向(配向方向)から強誘電性液晶のほ
    ぼチルト角θ分若しくは90°−θ分だけ傾けて行うか、
    又は基板の長手方向からほぼチルト角θ分若しくは90°
    −θ分だけ傾けて行う請求項3又は4記載の液晶光学素
    子の製造方法。
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