JP2504559B2 - 車体の組立装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は自動車の車体を組み立てる車体の組立装置に
関する。

（従来の技術） １つの組立ラインで複数種類の車体を組み立てること
のできる、いわゆる併行生産型の組立装置として、例え
ば第４図に示すような装置がある。この装置はリフト＆
キャリー方式のシャトルバ搬送装置を中心に構成されて
いるもので、フロアのトンネル部をスポット溶接するマ
ルチスポット溶接機と、マルチスポット溶接機群によっ
て溶接されなかった溶接点をスポット溶接する汎用機と
しての溶接ロボット群とを、ライン上で分離するととも
に、マルチスポット溶接機の側方にこのマルチスポット
溶接機のフィクスチャと短時間で交換可能な別のフィク
スチャを設け、モデルチェンジ等の際にはマルチスポッ
ト溶接機のフィクスチャを交換するだけでよくするとと
もに、フロア組立中においても異なった２種類のフロア
に車体組立を行うことができる。（特開昭57−104476号
公報） （発明が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来のフロア組立ラインに
おいては、マルチスポット溶接機のフィクスチャの交換
には時間がかかり、交換の間はラインのストップをよぎ
なくされ、多車種混流の生産ラインには対応できないと
いう問題点があった。

本発明はこのような従来の問題点に着目してなされた
もので、その目的とするところは、１つの車体の組立装
置でラインを止めるとなく多車種混流の生産が可能な車
体の組立装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 前述のごとき従来の問題に顧みて、本発明は、各車種
に対応した各下治具を装着した各台車を待機する台車ス
トレージと、上記各台車の各下治具に対応した各上治具
を待機した上治具ストレージと、前記台車ストレージか
ら移動した各台車の各下治具に対応した第１の各部品を
載置する第１のステージと、上記第１のステージから移
動した各台車の第１の各部品に対応した第２の各部品を
載置位置決めすると共に前記上治具ストレージの対応し
た各上治具を各下治具に係合して前記第１の各部品と第
２の各部品とを組付け固定するための第２のステージ
と、上記第２のステージから移動した各台車上の第1,第
２の各部品の必要箇所を予めテイーチングしたプログラ
ムに応じて自動的に溶接する溶接ロボットを備えた第３
のステージと、上記第３のステージから移動した各台車
から各上治具を元の上治具ストレージへ回収すると共に
各台車上の溶接した部品を次工程へ移送し、かつ各台車
を元の台車ストレージへ戻す第４のステージ（５）と、
を備えた車体の組立装置である。

（作用） 上記構成において、台車ストレージから所望の台車が
第１のステージに移動されると、当該台車に装着した下
治具に対応した第１の部品が下治具上に載置位置決めさ
れる。そして、当該台車が第２のステージに移動する
と、前記第１の部品に対応した第２の部品が載置位置決
めされると共に前記下治具に対応した上治具が上治具ス
トレージから移動され、下治具に係合される。すなわ
ち、下治具に対する上治具の係合により、前記第１の部
品と第２の部品とが組付け固定される。

次に、前記台車が第３のステージに移動すると、当該
第３のステージにおける溶接ロボットにより、第１の部
品と第２の部品との必要箇所の溶接が自動的に行われ
る。その後、前記台車を第４のステージに移送すると、
上治具が元の上治具ストレージへ回収されると共に溶接
後の部品が次工程へ移送され、かつ前記台車は元の台車
ストレージに戻されるものである。

すなわち、各車種に対応した下治具を装着した各台車
を第１のステージから第４のステージへ順次移動するこ
とにより、各車種に対応した各部品の組立が自動的に行
われるものである。

（実施例） 以下、第１図ないし第３図の図面を参照して本発明の
一実施例について詳細に説明する。

第１図、第２図は本発明にかかる車体の組立装置１の
装置全体の概要を示す図であり、本実施例では３種類の
異なった（形状、寸法の異なったＡ車種、Ｂ車種、Ｃ車
種の）フロアを併行して組み立てる場合について説明す
る。

この車体の組立装置１には上流から下流にむかって複
数のステージ2,3,4,5が配設されている。6,7,8a,8b,8c,
9は床面に配設されたレールである。これらのレールの
上を自走式の台車10が基本となるフロアパネル16を位置
決め搭載して走行し、各ステージに順次停止することで
組立作業が行われる。なお、レール8aはＡ車種の、レー
ル8bはＢ車種の、レール8cはＣ車種の、それぞれの自走
式の台車10の循環およびストレージのためのものであ
る。

さらに隣接するレール同士（レール９と６、レール６
と７、レール７と８、レール８と９）の間にはターンテ
ーブル11,12,13,14が配設され、自走式の台車10の進路
を90°変更する機能をもっている。

自走式の台車10にはそれぞれ下治具15a,15b,15cが載
置されている。Ａ車種に対応した下治具15aはフロアパ
ネル16aを載置する位置決め部17aとフロアパネル16aの
下側に固着される部品で図示していないが例えば、排気
マウントブラケットの載置部と、フロアパネル16aのロ
ケート穴19aに嵌挿されるロケートピン18aとから構成さ
れている。（Ｂ車種、Ｃ車種も同じため説明は省略す
る。） なお図示はしないが第１のステージ２には例えば第１
の部品としてのフロアパネル16を下治具15の上に載置す
るためのローダが設けられている。

第２のステージ３には自走式のオーバヘッドローダ20
が配設され、この自走式のオーバヘッドローダ20により
上治具21a,21b,21cが搬送される。Ａ車種に対応した上
治具21aはフロアパネル16aを押圧する押圧部27aとフロ
アパネル16aの上側に固着される第２の部品（例えば、
シートマウントブラケット）Saの位置決め部28aとから
構成されている。（Ｂ車種、Ｃ車種も同じため説明は省
略する。） 22,23a,23b,23c,24は天井に配設された高架レールで
ある。なお、高架レール23aはＡ車種の、高架レール23b
はＢ車種の高架レール23cはＣ車種の、それぞれの自走
式でかつ載置式のオーバヘッドローダ25にて搬送される
上治具21a,21b,21cのストレージのためのものである。
また、第４のステージ５には第２のステージ３に配設さ
れたと同じオーバヘッドローダ26が配設され高架レール
24を走行し上治具21a,21b,21cを回収するとともに、高
架レール23上を走行するオーバヘッドローダ25に移し替
える。

第３のステージ４には治具押え用３軸ロボット29,30
がフレーム31の上・下に対向し設置されている。さらに
フレーム31の上部には、レーザ溶接ロボット32が設置さ
れている。このレーザ溶接ロボット32は各車種A,B,Cに
対応した溶接スポットを溶接するようティーチングがな
されており、それぞれのプログラムに応じて自動的に、
かつ必要箇所を溶接することができる。

第３図（ａ）、第３図（ｂ）は本発明にかかる上・下
治具の詳細を自走式台車10と共に示す。下治具15は自走
式台車10に設けられたロケートピン33で位置決めされ、
自走式台車10とともにレール6,7,8,9を走行する。な
お、自走式台車10には走行用のモータ34、タイミングベ
ルト35、車軸36に取り付けられたプーリ37と車輪50、レ
ール上を正確に走行するようローラ38が具備されてい
る。

下治具15aと上治具21aはロケートピン39とロケート穴
40で位置決めされる。尚、下治具15aと上治具21aはいず
れも部品をクランプするためのクランパは取り付けてい
ない。上治具21aはレーザ溶接ロボット32でフロアパネ
ル16aと部品（Sa等）を溶接する関係ですきまをあける
ため型鋼を溶接等により組み合わせて構成されている。

次にこのように構成された車体の組立装置における作
用を説明する。Ａ車種、Ｂ車種、Ｃ車種の下治具15a、1
5b、15cを載置した自走式の台車10はそれぞれストレー
ジ位置にて待機している。待機している例えばＡ車種の
下治具15aを載置した自走式台車10は指令を受け、ター
ンテーブル14、レール９、ターンテーブル11を経て第１
のステージ２に向かう。第１のステージ２において、フ
ロアパネル16aの下側につく部品、例えば排気マウント
ブラケットを所定の位置に載置したのち、フロアパネル
16aが図示しないローダにより位置決め部17aにロケート
ピン18aを介して位置決めされる。この状態で自走式台
車10は第２のステージ３に向かう。一方Ｂ車種の下治具
15bを載置した自走式台車10は指令を受け、上述したＡ
車種と同様の経路で第１のステージ２に向かう。第１の
ステージでの作用はＡ車種と同じため説明は省略する。

第２のステージ３に到達・停止したＡ車種の下治具15
aには、例えばシートマウントブラケットSaが人、また
はローダにより所定の位置に載置された後、オーバヘッ
ドローダ20により搬送され待機していた上治具21aが、
下降し下治具15aにロケートピン39を介して一体化され
る。同時にシートマウントブラケットSaを位置決め部28
aで位置決めし、押圧部27aでフロアパネル16aを上治具2
1aの自重で押圧する。

自走式台車10上でフロアパネル16aと部品（Sa等）を
挟持し一体化された下治具15aと上治具21aは第３のステ
ージ４に向かう。この時Ｂ車種の下治具15bとフロアパ
ネル16b等は第２ステージ３に、Ｃ車種の治具15cは第１
のステージ２にそれぞれ自走式台車10に載置され向か
う。

第３のステージ４でＡ車種の自走式台車10が所定の位
置で停止すると、第３のステージ４の下側に固設した３
軸ロボット30により図示しないロケートピンを介して正
確に位置決めされ、自走式台車10ごと上昇させられると
同時にフレーム31の上側に固設された３軸ロボット29に
より上治具21a側から強固に押圧する。従ってフロアパ
ネル16aとシートマウントブラケットSa、排気マウント
ブラケットは強固に密着させられる。この時点でフレー
ム31の上部に設けられたレーザ溶接ロボット32により所
要の箇所が溶接される。尚、ここではサイクルタイムの
関係で搬送中に部品相互の位置がずれない程度の溶接を
し、後工程の増打ちラインにて必要箇所の溶接が行われ
る。溶接が終了すると、フレーム31の上側の３軸ロボッ
ト29の押圧力は解除され、同時に第３のステージ４の下
側の３軸ロボット30は自走式台車10ともども下治具15
a、上治具21aを下降させ自走式台車10をレール６上に載
置する。

自走式台車10はさらに第４のステージ５に向かう。こ
の時、Ｂ車種の下治具15bとフロアパネル16bと上治具21
bを載置した自走式台車10は第３のステージ４に、Ｃ車
種の下治具15cとフロアパネル16cを載置した自走式台車
10は第２のステージ３に、Ａ車種の下治具15aを載置し
た自走式台車10は第１のステージ２にそれぞれ向かう。

第４のステージ５に停止したＡ車種の自走式台車10上
では、上治具21aが天井に配設された高架レール24上を
自走し待機していたオーバヘッドローダ26により搬出さ
れる。オーバヘッドローダ26は所定の位置まで上治具21
aを搬送し、レール23aを自走するローダ25に移し替え
る。ローダ25は上治具21aをストレージ位置まで搬送し
待機する。

一方、仮溶接の終わったフロアパネル16aは図示しな
い搬出手段により、次工程への台車（図示しない）に乗
せ換えられる。さらに下治具15aを載置した自走式台車1
0はレール６、ターンテーブル12、レール７、ターンテ
ーブル13を経てレール8a上のストレージ位置に戻り、次
の指令が来るまで待機することになる。

以上Ａ車種を中心に説明してきたが、Ｂ、Ｃ車種につ
いても同様であり、おおがかりなライン設備を必要とせ
ず、各車種に柔軟に対応させることができる。また説明
では３車種の場合について述べてきたが、さらに多くの
車種にも簡単に対応が可能である。

また、さらに説明ではフロアパネルの組立ラインにつ
いて述べてきたが、略平坦面を有する部品であればフロ
アの組立に限るものではないのは言うまでもない。

（発明の効果） 以上のごとき実施例の説明より理解されるように、本
発明においては、各車種に対応した各下治具を装着した
各台車を待機する台車ストレージが設けてあると共に、
上記各下治具に対応する各上治具を待機した上治具スト
レージが設けてある。

そして、台車の移動経路には、各台車の各下治具に対
応した第１の各部品を載置する第１のステージが設けて
あると共に、上記第１の各部品に対応した第２の各部品
を載置位置決めすると共に前記上治具ストレージの対応
した各上治具を各下治具に係合して前記第１の各部品と
第２の各部品とを組付け固定するための第２のステージ
が設けてある。

さらに、第1,第２の各部品の必要箇所を予めティーチ
ングしたプログラムに応じて自動的に溶接する溶接ロボ
ットを備えた第３のステージが設けてあると共に、各台
車上から各上治具を元の上治具ストレージへ回収すると
共に溶接した部品を次工程へ移送し、かつ各台車を元の
台車ストレージへ戻す第４のステージが設けてある。

したがって、本発明によれば、車種のモデルチェンジ
に対しては各台車に装着する下治具及び対応する上治具
をモデルチェンジに対応して交換し、かつ第３のステー
ジにおける溶接ロボットに対して、モデルチェンジの部
品の組立に対応して溶接位置のティーチングを実施する
ことによって容易に対応することができるものである。

すなわち、本発明によれば、既存の組立ラインの大き
な変更を要することなく、かつ組立ラインを長時間停止
するようなことなしに容易に対応できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる車体の組立装置の装置全体の概
要を示す平面図、 第２図は第１図のII−II線に沿う矢視図、 第３図（ａ）、（ｂ）は上治具、下治具にてフロアパネ
ルを位置決めした状態を自走式台車とともに示す。 第４図は従来技術におけるフロア組立ラインの装置全体
の斜視図。 2,3,4,5…第１−４のステージ、6,7,8,9…レール、10…
自走式台車、11,12,13,14…ターンテーブル、22,23,24
…高架レール（天井配設）、20,25,26…オーバヘッドロ
ーダ、15…下治具、21…上治具、16…フロアパネル（車
体部品）、Ｓ……シートマウントブラケット、（車体部
品）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】各車種（A,B,C）に対応した各下治具（15
   a,15b,15c）を装着した各台車（10）を待機する台車ス
   トレージと、上記各台車（10）の各下治具（15a,15b,15
   c）に対応した各上治具（21a,21b,21c）を待機した上治
   具ストレージと、前記台車ストレージから移動した各台
   車（10）の各下治具（15a,15b,15c）に対応した第１の
   各部品を載置する第１のステージ（２）と、上記第１の
   ステージ（２）から移動した各台車（10）の第１の各部
   品に対応した第２の各部品を載置位置決めすると共に前
   記上治具ストレージの対応した各上治具（21a,21b,21
   c）を各下治具（15a,15b,15c）に係合して前記第１の各
   部品と第２の各部品とを組付け固定するための第２のス
   テージ（３）と、上記第２のステージ（３）から移動し
   た各台車（10）上の第1,第２の各部品の必要箇所を予め
   テイーチングしたプログラムに応じて自動的に溶接する
   溶接ロボット（32）を備えた第３のステージ（４）と、
   上記第３のステージ（４）から移動した各台車（10）か
   ら各上治具（21a,21b,21c）を元の上治具ストレージへ
   回収すると共に各台車（10）上の溶接した部品を次工程
   へ移送し、かつ各台車（10）を元の台車ストレージへ戻
   す第４のステージ（５）と、を備えたことを特徴とする
   車体の組立装置。