JP2503560B2 - 酸素吸収体 - Google Patents

酸素吸収体

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JP2503560B2
JP2503560B2 JP62336660A JP33666087A JP2503560B2 JP 2503560 B2 JP2503560 B2 JP 2503560B2 JP 62336660 A JP62336660 A JP 62336660A JP 33666087 A JP33666087 A JP 33666087A JP 2503560 B2 JP2503560 B2 JP 2503560B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、密閉容器内の酸素を迅速に吸収する酸素吸
収体に関する。
<従来の技術> 近年、包装食品の保存期間中におけるカビの発生や腐
敗を防止する目的で、食品を包装する雰囲気中から酸素
を選択的に除去する方法が行なわれている。
この目的の酸素吸収剤は、従来からアルコルビン酸,
鉄,ハイドロサルファイトを主剤とし、さらに助剤を加
えたものを通気性包装材料に収納して、使用時まで非通
気性包装材料で包装しておくのが一般的であった。
上記酸素吸収剤が酸素吸収反応を開始するため水が必
要で、そのため例えば特公昭62−18217号公報に示され
るように、予じめ酸素吸収剤に予じめ水を助剤の一種と
して添加しておく方法、また特公昭61−71463号公報に
示されるように酸素吸収剤中の成分の結晶水を遊離さ
せ、その結晶水を利用して酸素吸収反応を開始させる方
法がとられている。
<解決しようとする問題点> 前記酸素吸収反応のうち前者は、予じめ酸素吸収剤中
に水を加えたものであるので、酸素吸収反応の開始、お
よび速度は速い反面、酸素吸収剤中に水が初めから存在
するので、通気性包装材料中へ充填,密封,非通気性材
料中へ密閉する工程で外気中の酸素と反応するおそれが
ある。そのため不活性ガス雰囲気中での充填,密封する
必要があり、作業性が悪く、また酸素吸収剤の能力が低
下してしまう危険があった。
一方後者は、予じめ水は加えられておらず、酸素吸収
剤中の成分から分離した結晶水により酸素吸収反応が開
始するから、酸素吸収剤の包装材料への充填、密封の作
業性は、前者に比較的良好であるが、分離した結晶水に
より除々に酸素吸収反応が開始するため、反応開始時の
酸素吸収速度が遅い欠点を有していた。
ところで、これら酸素吸収剤は、食品の保存ばかりで
なく嫌気性細菌の培養にも、例えば特開昭61−78373号
公報に示されるように用いられるようになってきた。
嫌気性細菌を培養するためには、培養開始後、培養雰
囲気中の酸素濃度を1時間後に0.1%以下にすることが
必要である。
ところが、従来の酸素吸収剤は、前述のように、水を
予じめ加えたものは、酸素吸収速度は速いが、作業性お
よび酸素吸収能力が不安定であり、また成分中の結晶水
を用いるものは、作業性、酸素吸収剤の安定性では優れ
ているが、酸素吸収開始時の酸素吸収速度が劣るため嫌
気性細菌の培養に用いることができなかった。
本発明の目的は、酸素吸収速度が速く、安定した酸素
吸収体を提供することである。
<問題を解決するための手段> 本発明は、水を予じめ含なまい酸素吸収剤を通気性包
装材料で包装した酸素吸収包装体と水は通さないが水蒸
気透過性包装材料で水を包装した水包装体と非通気性包
装材料からなる外装体中に密封してなる酸素吸収体であ
る。
この酸素吸収包装体と水包装体とは、別々にしてもよ
いし、酸素吸収包装体中に水包装体を同封してもよい。
ここで、本発明に用いる酸素吸収剤としては、鉄粉,
アスコルビン酸,硫酸第一鉄を主成分とし、これに水以
外の助剤を加えた従来から用いられている酸素吸収剤を
用いることができる。
前記酸素吸収材は、酸素を吸収するだけのものでな
く、炭酸ガスを同時に発生させるものでもよい。
この酸素吸収剤を充填する通気性包装材料としては、
内面にヒートシール性と通気性を有する孔のあいたポリ
エチレン、外面に紙,不織布のような通気性材料からな
る積層材料を用いればよく、さらに、耐水性、耐油性を
付与するため外面にシリコーン系,フッ素系の揆油剤を
塗布してもよい。
また、水包装体に用いる水透過性で水蒸気透過性包装
材料としては、例えば内面に熱可塑性ウレタン層、外面
に前記と同じ通気性材料からなる積層材料用いればよ
い。
この熱可塑性ウレタン層は、基本的には、分子量1000
〜3000のOH基末長鎖端長鎖ポリオール、ジイソアネート
と分子量500以下の短鎖ポリオール等鎖延長剤を主原料
として、長鎖ポリオールに由来するソフトセグメントと
短鎖ジオールとジイソシアネートからのポリウレタンの
ハードセグメントからなく線状ランダム交互ブロック共
重合体である。したがって長鎖ポリオールの種類によっ
てポリエステル系,ポリエーテル系及びポリカプロラク
トン系などがあり、いずれも使用できる。
水包装体の内面は熱可塑性ウレタンに限定されず、微
多孔性フィルムで前記樹脂と同等の性質を有するもので
あれば使用できる。この微多孔性フィルムとして、ガー
レー式通気度が、0.01乃至1000秒/100mlで、常圧で水を
通さず、水蒸気は透過するものである。微多孔性フィル
ムとして市販されているものとしては、ジュラガード
(セラニーズ社製)、FP−2(旭化成工業製)、NFシー
ト(徳山曹達製)、セルポアNW01(積水化学工業製)等
がある。
<作用> 酸素吸収体を密封したまま、例えば40℃で一定期間エ
ージングした後、外装体を開封し、酸素吸収包装体を使
用すればよく、使用前に、酸素吸収反応に必要な水は、
酸素吸収包装体より分離されており、使用時にエージン
グすることにより酸素吸収包装体中に水蒸気透過性包装
材料を通して水分が水蒸気の状態で均一に供給され、酸
素吸収反応が迅速に開始できる状態となる。
<実施例> 以下の組成からなる酸素剤を内面が穴あきポリエチレ
ンフィルム、外面が不織布からなる積層材料で8g充填、
密封した酸素吸収包装体1と内面が熱可塑性ウレタン
層、外面が不織布からなる積層材料で水4g充填、密封し
た水包装体2とをポリ塩化ビニリデンコートポリエステ
ル/ポリエチレンからなる外装体3中に密閉した酸素吸
収体である。
<組成> アスコルビン酸ナトリウム 30重量部 硫酸第一鉄・7水塩 5 〃 水酸化カルシウム 6 〃 塩化カルシウム・2水塩 3 〃 活性炭 10 〃 ケイ酸カルシウム 20 〃 次に、前記酸素吸収体40℃で3日間エージング後、外
装体3を開封し、酸素吸収包装体のみ取り出して、容量
1の容器中に入れ、密閉して、経時的に容器中の酸素
濃度を測定した。
1時間後に容器の酸素濃度は0.1以下で、また炭酸ガ
ス濃度は、7%となった。
<効果> 本発明は、以上の構成からなるので、使用前までは酸
素吸収剤と水とは分離した状態となっているので、充填
等で酸素吸収反応が進行したりすることがなく作業性が
安定し、しかも使用時には、エージングにより、酸素吸
収反応に必要な水分が水蒸気の状態で均一に供給される
ので使用開始時の酸素吸収速度は速く、同時に炭酸ガス
の発生速度も速く、嫌気性細菌の培養に対しても十分使
用可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示す説明図である。 1……酸素吸収包装体 2……水包装体 3……外装体

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水を予め含まない酸素吸収剤を通気性包装
    材料で包装した酸素吸収包装体と、水は通さないが、水
    蒸気透過性包装材料で水を包装した水包装体を非通気性
    包装材料から成る外装体中に密封して成る酸素吸収体。
  2. 【請求項2】酸素吸収包装体と水包装体とが別々である
    特許請求の範囲第1項記載の酸素吸収体。
  3. 【請求項3】水包装体が酸素吸収体中に収納されている
    特許請求の範囲第1項記載の酸素吸収体。
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