JPH03977B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はブロツコリーの鮮度を長期間保持する
保存袋に関するものである。最近青果物は通常、
鮮度保持のため或いは冷蔵庫で保存し易いようプ
ラスチツクフイルムで包装した形態で流通してい
る。しかし、内容物が腐敗し易いものは黄変、悪
臭等が発生し易い。

これは密封された青果物の呼吸作用の結果、内
部の雰囲気の組成が、その保存に不適当となるた
めと考えられる。これらの保存に適した雰囲気は
青果物の種類によつて異なるが、一般に炭酸ガス
濃度が８％程度以下、最適値は５〜６％前後、湿
度は80〜95％が好適であるとされている。しか
し、呼吸作用が旺盛なもの或いは特に腐敗し易い
ものは炭酸ガス濃度が10％近くに達する場合があ
り、または湿度が過飽和となつて水滴がたまり、
黄変、腐敗、悪臭等の発生が促進されることが多
い。近年これらの場合、小量の活性炭を和紙に包
んで青果物と共にプラスチツクフイルムで密閉す
る方法が多く採用されており、腐敗、悪臭を防止
上著しい効果が認められ、長期保存が可能となつ
ている。しかし、ブロツコリーは非常に特異な性
状を示し、通常の鮮度保持剤を封入して密封して
も、花らいが黄変し易く短時間に商品価値が低下
し、次いで強い悪臭が発生して商品価値が全く失
われる。20℃で保存した場合、30時間で花らいの
黄変が発生し、45時間すなわち約２日で完全に黄
変し悪臭が発生する。これはブロツコリーの呼吸
作用が非常に旺盛なため多量の炭酸ガスが発生し
て濃度10〜13％にも達する著しい特異な性質を示
し、一方酸素が消費されて５％以下となる。この
ため分子内呼吸を誘発し、悪臭の原因となる有機
ガスを発生するためと考えられる。ブロツコリー
の取入れから流通消費迄の期間を考えた場合５〜
６日間の鮮度保持が可能となれば、流通範囲及ぼ
需要量の大巾な伸長を見込みうるといわれ、その
解決がまたれていた課題である。

これらの観点から包装袋として酸素の透過を抑
制しうる如き材質及び厚さのプラスチツクフイル
ムの選択と、更に内部に蓄積される炭酸ガスを除
去する方法について研究した結果、ブロツコリー
を特定の種類及び厚さを有するプラスチツクフイ
ルムで包装し、中に接触面積が大きく且つ、活性
炭個有の表面積が大きく、従つて、従来の鮮度保
持剤より一層吸着速度が高い吸着剤を使用し、ま
たは更に炭酸ガス吸収剤を加えることにより、相
当長期間鮮度保持が可能となつて、著しく商品価
値を高めうること見出し本発明に到達した。

すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブタジエン及びエチレン・酢酸ビニル共重合体
よりなる群より選ばれた１つのポリマーよりなる
厚さ15〜50μのフイルムの包装袋にシート状の発
泡体に粉末活性炭或いは更に消石灰を添着せしめ
た吸着剤及びブロツコリーを密封せしめてなるブ
ロツコリー保存袋である。

以下更に本発明について詳しく説明する。

ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブタジ
エンは物性の異なつた種々のフイルムが市販され
ているが、厚さ15〜50μの範囲内であれば充分酸
素シールの目的を達しうる。厚さ15μ以下になる
と花らんが黄変する場合があり、また50μ以上に
なると、包装袋内面に常に水滴を結んだ状態とな
つて悪臭を発生し易く、本発明の用途に不適当で
ある。また包装用フイルムに使用されるエチレ
ン・酢酸ビニル共重合体の組成は、通常酢酸ビニ
ル含有率５〜30％である。

これはポリエチレン、ポリプロピレン、及びポ
リブタジエンと異なり、或る程度酸素透過性を有
するが、水分透過性も相当ありまた呼吸作用に伴
つて発生するエチレンも通過除去する作用があ
る。エチレンは特に植物ホルモンとして青果物の
成熟黄変を促進する作用があるとされ、該フイル
ム物性は鮮度保持の促進と阻害の両面が考えられ
るが、実際に使用した結果、良好な結果が得られ
ている。

吸着剤は多孔質発泡体に活性炭微粉末を含浸せ
しめたものである。発泡体は連続気泡で表面積が
大きなものであればよく、特に材質は限定しない
が、ポリエーテル系或いはポリエステル系のウレ
タンフオームが好適である。また活性炭の原料・
性状は特に限定しないが、ヤシ殻を原料として賦
活度を高めた比表面積1500〜1700m²／ｇの高性能
活性炭で且つ100メツシユパス程度の微粒子が好
ましい。発泡体への含浸量は40〜60％程度が適当
である。本発明では、連続気泡型発泡体による表
面積の増大、比表面積が大きく且つ微粒子状活性
炭を使用して、著しくガス吸着速度を高めて、鮮
度保持の目的を達することができた。発泡体には
更に消石灰を含浸せしめることもでき、その場合
炭酸ガスの吸収能力が著しく増加する。吸着剤は
発泡体のため外気との接触面積が著しく大きい点
と相まつて、微量有害ガスの吸着除去に適してお
り、更にブロツコリーと共に密閉する関係上、シ
ート状かつ屈伸性を有する形態が好ましい。尚発
泡体には不織布或いは通気性がある紙等も含まれ
る。

吸着剤の使用量はブロツコリー２Kgに対して、
厚さ２mm、150×200mmのシート１〜４枚あるが２
〜３枚が好適である。本発明におけるプラスチツ
クフイルムの包装形態はシユリンク包装、ストレ
ツチ包装のほかにヒートシール法或いは開口部を
紐でしばつて密封する方法等も可能である。また
本発明は、ライナーに直接ラミネートしたり積層
フイルムを含むダンボール箱に入れ合せ目をシー
ルする場合も含んでいる。このような場合ブロツ
コリーはプラスチツクフイルムの袋に入れること
なしに直接ダンボール箱に入れる方法で使用でき
る。

本発明によれば青果物の中でも特に変色、悪臭
発生を起し易く、従来鮮度保持が困難とされてい
たブロツコリーを５日〜７日間新鮮な状態で保つ
ことが可能となり、これによりブロツコリーの商
品価値を著しく高め流通範囲を拡大することがで
きるようになつた。

以下本発明の実施例について説明する。

実施例 １ 大きさ670×550mm、厚さ25μの二軸延伸ポリプ
ロピレンフイルムの包装袋に厚さ２mm、大きさ
150×200mmのウレタンフオームに比表面積1700
m²／ｇ100メツシユバス90％以上の活性炭４ｇを
添着させた吸着剤とブロツコリー２Kgを入れて密
封し、常温で保持したが、７日間経過しても、花
らいの黄変及び悪臭は殆んど認められなかつた。

実施例 ２ 実施例１の吸着剤において活性炭添着量を３ｇ
及び消石灰２ｇを添着した他同一条でブロツコリ
ーを密封保持したところ、８日間経過しても花ら
いの黄変及び悪臭は全く認められなかつた。

実施例 ３ 大きさ670×550mm、厚さ30μのポリエチレンフ
イルムの包装袋に、厚さ２mm、大きさ150×250mm
のウレタンフオーム、表面積1700m²／ｇ、100メ
ツシユパス90％以上の活性炭４ｇを添着させた吸
着剤とブロツコリー２Kgを入れて密封し、常温で
保持したが７日間経過しても花らいの黄変及び悪
臭の発生は全く認められなかつた。

実施例 ４ 実施例１において二軸延伸ポリプロピレンフイ
ルムの代りに厚さ30μ、酢酸ビニル含有率17％の
エチレン酢酸ビニル共重合体フイルムを使用した
結果、７日間経過しても花らいの黄変及び悪臭の
発生は全く認められなかつた。

比較例 実施例１において吸着剤を使用しなかつた他同
一条件でブロツコリーを保存した結果１日間で或
程度の花らいの黄変及び悪臭が認められ、２日間
で完全に黄変し、著しい悪臭を発するようになつ
た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジ
   エン及びエチレン・酢酸ビニル共重合体よりなる
   群より選ばれた１つのポリマーよりなる厚さ15〜
   50μのフイルムの包装袋にシート状の発泡体に粉
   末活性炭或いは更に消石灰を添着せしめた吸着剤
   及びブロツコリーを密封せしめてなるブロツコリ
   ー保存袋。