JP2502740B2 - 染料転写体 - Google Patents

染料転写体

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JP2502740B2
JP2502740B2 JP1095748A JP9574889A JP2502740B2 JP 2502740 B2 JP2502740 B2 JP 2502740B2 JP 1095748 A JP1095748 A JP 1095748A JP 9574889 A JP9574889 A JP 9574889A JP 2502740 B2 JP2502740 B2 JP 2502740B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、染料転写体上の色素を受像体上の染着層へ
転写し画像を形成する染料転写型感熱記録において、染
料転写体の同一カ所を複数回使用する多数回記録のため
の染料転写体に関する。
従来の技術 昇華性の高い色素を用いた染料転写型感熱記録は記録
ドット毎の濃度階調記録が可能なフルカラー記録方式で
あるが、転写体コストが高い欠点があり転写体の多数回
利用に対する試みが行われている。多数回記録の報告と
して、 従来例1「昇華転写型感熱記録体のn倍モード記録特
性」(昭和60年第2回ノンインパクトプリンティング技
術シンポジウム論文集、P101〜104)、 従来例2「多数回記録用昇華型フィルムの検討」(画
像電子学会昭和61年度全国大会予稿集)、 がある。従来例1、2は共に相対速度方式による多数回
記録特性に関する。多数回記録には同一部分をN回繰り
返し使用する単純繰り返し方式と、受像体に対し染料転
写体の供給速度を1/nにし実質的にn回の多数回記録を
行うn倍モード相対速度方式の2つがある。相対速度方
式は、染料転写体・受像体間の滑性化のための工夫が必
要だが、常に転写体の未記録部分が供給されるため実質
的な繰り返し数は単純繰り返し方式に比べ大きくとるこ
とができる。
従来例1では転写体・受像体間に球形スパーサ粒子を
介し、繰り返し数n=12で記録濃度約1.8を実現してい
る。従来例2では転写体と受像体を密着走行させn=10
で記録濃度約1.0を実現している。
また、従来例3として特開昭63−27291号公報記載の
ものを挙げることができる。これは、相対速度記録を可
能にするために、色材層は結着材にイソシアネート類で
架橋した樹脂を用いて染着層との融着を防ぎ、粒径0.1
〜1μmのポリエチレンパウダーや二硫化モリブデンな
どの固体滑剤を添加して潤滑性を付与している。これも
従来例1と同様、スペーサを含まない系に比べ、記録感
度の低下が起こり、またスペーサ粒径が小さい場合に
は、相対速度比の増大に伴う記録濃度の低下は無視でき
ない。
これらに対して、新しい材料構成の例として従来例
4、「MULTI−USABLE DYE TRANSFER SHEETS」(第61
回電子写真学会研究討論会予稿集p266〜269)を挙げる
ことができる。これは、色材層や受像紙染着層の中の染
料の拡散のしやすさを制御したり、色材層の厚み方向に
予め染料の濃度分布を形成することで色材層表面の染料
濃度の低下を抑え、これによって多数回記録を可能にす
るものである。
発明が解決しようとする課題 通常記録(1回記録)と同等のフルカラー画像記録を
実現するには、通常記録時の飽和記録濃度と同等の飽和
記録濃度(約1.5〜1.8)を確保することと、記録履歴の
影響がでないよう同一記録エネルギーに対し繰り返し回
数による記録濃度変化が小さいことが条件となる。
従来例1では、多数回記録に必要な色素量を充分に確
保すれば、記録特性的には前記条件を満足している。し
かし染料転写体・受像体間に相対速度走行を可能にする
滑性を与えると同時に、転写量を昇華過程により律速さ
せるためのスペースを設けるため、使用可能な色素が昇
華性の高い色素に限られる。従来例2では密着拡散転写
により昇華性の低い高耐候性色素を使用することが可能
であるが、多数回記録に必要な色素量を十分確保して
も、同一記録エネルギーに対する繰り返し回数増加によ
る記録濃度低下が大きく、またその結果多数回記録時に
得られる飽和記録濃度が実用レベルに達していない。従
来例3も従来例1と同様、スペーサを含まない系に比
べ、記録感度の低下が起こり、またスペーサ粒径が小さ
い場合には、相対速度比の増大に伴う記録濃度の低下は
無視できない。
これに対して従来例4では、少なくとも昇華性の高く
ない色素と結着剤を含み、層表面側における前記色素の
重量濃度が層基体側より低いよう構成された色材層を基
体上に有する染料転写体を用いることにより、密着拡散
転写において染料転写体の同一カ所を多数回使用するこ
とが可能になる。しかしながら、油溶性樹脂を含む色素
低濃度層を有機溶剤溶液塗布によって積層すると、予め
塗布してある色素高濃度層が溶解してしまい色材層表面
の色素濃度を低く抑えることが難しく、本来予期できる
良好な多数回記録特性を完全に発揮しているわけではな
かった。これに対しては、水系塗液により低濃度層を構
成することで良好な多数回記録特性を得ることができ
る。だが、球形スペーサ粒子などを用いていないため受
像体染着層と融着を起こし易く、相対速度記録が困難で
あるので、相対速度記録を可能にするために色材層(特
に低濃度層)に分子量が余り大きくない樹脂酸誘導体や
室温近傍で液体であるワックスやシリコーンオイルなど
の滑性を含有させたり、ポリジメチルシロキサン構造を
有する部分を含む水分散性樹脂で低濃度層を構成するこ
とで相対速度記録を可能とする必要がある。この様な手
法で相対速度記録方式の多数回記録は可能になるが、多
数回記録特性を良好にするために色素高濃度層の色素濃
度は高く且つ厚みが大きいので、層の変形、具体的には
相対速度記録方式による層の引きずりが発生し易く、正
確な階調記録や良好な画質を得ることが困難であった。
本発明は、前記問題点を解消し、相対速度記録が可能
かつ実用性の高い高耐候性低昇華性の色素が使用可能
で、同一記録エネルギーに対する記録回数増に伴う記録
濃度低下が小さく、より多数回まで高い飽和記録濃度を
保持することができ、より低いランニングコストで通常
の1回記録と同等の階調再現性、画質を有するフルカラ
ー記録を可能とする多数回記録用染料転写体を提供する
ことを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は、少なくとも色素と結着樹脂を含む色素高濃
度層と、層中の色素濃度が前記高濃度層より低く、少な
くとも水溶性樹脂または水分散性樹脂を含む色素透過性
低濃度層とを、基材上に順次積層した構成において、色
素高濃度層を構成する結着樹脂が架橋剤により架橋され
たことを特徴とするものである。
作用 相対速度記録方式では、転写体と受像体を異なった速
度で走行させながら、サーマルヘッドや通電ヘッドで押
圧・加熱する。多数回記録特性を良好にするために色素
高濃度層は、結着樹脂には染料が良く拡散できる熱変形
温度が低い熱可塑性樹脂を用い、色素濃度は高く且つ厚
みが大きいので、受像体染着層に引きずられて層の変形
が発生する。このような引きずりが起こると、その後更
に記録に供される部分の色材層が薄くなり、十分な染料
量が確保されていないために記録信号に応じた記録濃度
が得られず、さらには記録画像全体に色材層の変形に起
因する記録濃度ムラが発生する。
そこで色素高濃度層を架橋前で結着樹脂を架橋硬化し
て色素高濃度層の機械的強度を増加させると、相対速度
記録方式において高濃度層に働く剪断応力に対しても変
形することがなくなり、階調再現性は確保され、記録濃
度にムラのない良好な画質を得ることができる。
実施例 本発明の一実施例について説明する。
第1図に本実施例における染料転写体1およびその受
像体4の構成例を示す。転写体1は、転写基材2上に色
素高濃度層9、色素透過性低濃度層10を順次積層し色材
層3としたものである。また、受像体4は、受像基体5
上に染着層6を設けたものである。
染料転写体1、受像体4間にスペースを設けない場
合、色素の転写は色材層3・染着層6間の色素の拡散現
象に支配される。従って、多数回記録の色素消費過程に
おける色材層3表面の色素濃度変化に着目すると、通常
の形成法による1層の色材層では初期状態において色材
層内部に色素の濃度勾配が無いため、初回の記録時には
表面付近の色素が消費され、色材層表面の色素濃度は色
材層内部の濃度の半分近くに低下する。2回目以降は色
材層内部の濃度勾配により内部からも色素が供給される
ため色材層表面の色素濃度低下速度は非常に小さくな
る。従って同一記録エネルギーを加えたときの多数回記
録時の記録濃度変化は、初回から2回目にかけて大きく
低下し、以降の記録濃度低下は小さい。これに対して、
少なくとも色素と結着樹脂を含む色素高濃度層9と、層
中の色素濃度が前記高濃度層より低い色素透過性低濃度
層10とを、基材2上に順次積層して色材層3とした染料
転写体は、初期状態において色材層基体側よりも層表面
側の色素重量濃度が低いので、初回から色材層内部から
の色素供給がなされることになり、この結果、色材層表
面の色素濃度の急激な低下に伴う、初期の記録濃度の急
激な低下が大きく改善される。
このような2層構成において初期の記録濃度変化を抑
えるには、色素透過性低濃度層10の色素重量濃度を色素
高濃度層9の色素重量濃度の1/2以下とすることがより
好ましく効果が大きい。色素透過性低濃度層10の厚み
は、色素透過性低濃度層10の色素濃度の色素高濃度層9
の色素濃度に対する比率により最も効果の高い厚みに調
整することが出来る。比率が高い場合は厚く、低い場合
には薄くすることで調整可能であり、色素透過性低濃度
層10の色素濃度が零に近い場合は1μm以下にすること
が好ましい。また、色素透過性低濃度層10を構成する樹
脂の色素透過能により効果の高い厚みに調整することも
できる。すなわち、色素透過能が比較的小さい樹脂の場
合は薄く、大きい場合は厚くすることで調整できる。ま
た、2層構成においては、色素透過性低濃度層10に長期
保存時の色素高濃度層9の保護機能を持たせることが出
来るため、従来保存性の観点で問題のあった色素高濃度
層9の色素含有率を50重量%以上にすることが可能であ
り、これにより多量の色素を効率よく染料転写体上1に
保持することができ、また高濃度で色素を保持するた
め、より多数回の記録まで色材層3内部の色素濃度を高
く保てるため、より多数回の記録まで記録濃度変化の少
ない高濃度記録が出来る。しかし、色素濃度が異なる同
じ様な溶剤組成の塗液を繰り返し塗布する方法では、後
から塗布する塗液によって先に設けた色素高濃度層9が
溶解してしまい、その高濃度の色素のために容易に後か
ら塗布している色素透過性低濃度層10の色素濃度を高め
てしまう。このため良好な多数回記録特性を得ることが
できないので、「少なくとも色素と結着樹脂を含む色素
高濃度層9と、層中の色素濃度が前記高濃度層より低
く、少なくとも水溶性樹脂または水分散性樹脂を含む色
素透過性低濃度層10とを、基材2上に順次積層」するこ
とで、色素透過性低濃度層10は色素高濃度層9を溶解し
ない水系塗液として塗布するので上記に述べたような問
題点は解決できる訳である。
さらに上記のような転写体は、染料転写体1の熱記録
ヘッドの対する走行速度が受像体4の熱記録ヘッドに対
する走行速度より小さな状態で、染料転写体裏面もしく
は受像体裏面より選択的に加熱して色材層3中の色素を
受像体染着層6へ転写し受像体4上へ画像を形成する相
対速度記録方式の多数回記録においても、相対速度比n
の増加による記録濃度低下を抑えることが可能である。
また相対速度記録方式は転写体基材2の記録に供される
部分は、繰り返しによる多数回記録に比べ熱記録による
ダメージが小さいため、画質への影響が小さく、好まし
い方法である。
ここで相対速度記録方式の原理を第2図に示す。転写
体1と受像体4は色材層3と染着層6とが密着するよう
にプラテン7によりサーマルヘッド8の押圧される。受
像体4のサーマルヘッド8に対する速度vに対し、転写
体1はv/n(n=1、2、…)で走行する。転写体1の
走行方向は、受像体4の走行方向に対し同方向でも逆方
向でも構わない。だが、転写体1がサーマルヘッド8に
よって加熱されているので転写体色材層3と受像体染着
層6の融着が起こり易く、少なくとも色材層3もしくは
染着層6の一方に十分な滑性が必要であり、この様な潤
滑性は、転写体1の低濃度層10にポリジメチルシロキサ
ン構造を有する部分を含む水分散性樹脂を用いたり、ワ
ックスや反応性シリコーンオイルなどの滑剤を含有させ
ることで確保できる。しかしながら、上記のような方法
で相対速度方式の多数回記録は可能になるが、多数回記
録特性を良好にするために色素高濃度層9は、結着樹脂
には染料が良く拡散できる熱変形温度が低い熱可塑性樹
脂を用い、色素濃度は高く且つ厚みが大きいので、受像
体染着層6に引きずられて層の変形が発生し易く、この
ような引きずりが起こると、その後更に記録に供される
部分の色材層3が薄くなり、十分な染料量が確保されて
いないために記録信号に応じた記録濃度が得られず、さ
らには記録画像全体に色材層の変形に起因する記録濃度
ムラが発生する。
そこで色素高濃度層9を架橋剤で結着樹脂を架橋硬化
して色素高濃度層9の機械的強度を増加させると、相対
速度記録方式において高濃度層に働く剪断応力に対して
も変形することがなくなり、階調再現性は確保され、記
録濃度にムラのない良好な画質を得ることができる訳で
ある。この様な架橋による機械的強度の増強は低濃度層
10についても当てはまるが、厚みが大きい高濃度層9の
方が効果が大きい。
染料転写体1を使用し、染料転写体1の熱記録ヘッド
8に対する走行速度が前記受像体4の熱記録ヘッド8に
対する走行速度より小さな状態で、染料転写体1の裏面
もしくは受像体4の裏面より選択的に加熱して色材層3
中の色素を染着層6へ転写し受像体4上へ画像を形成す
る相対速度記録方式の多数回記録において、初期の記録
濃度低下が小さく、階調再現性、画質が良好な多数回記
録が可能である。
以下、本実施例に用いる具体的材料について説明を加
える。
転写に必要な加熱源は、サーマルヘッド、通電方式、
レーザによるヒートモード加熱等特に限定されず、従っ
て染料転写体1、受像体4に使用する基体も用途により
種々のものが使用可能である。例えばサーマルヘッド8
に対する染料転写体1の基材2としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカー
ボネート等のエステル系高分子、ナイロン等のアミド系
高分子、アセチルセルロース、セロハン等のセルロース
誘導体、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル
イミド等のイミド系高分子等があり、基材2のサーマル
ヘッド8に直接接する面には必要に応じて耐熱層或は滑
性層を設ける。また通電記録、誘導加熱記録を行うため
には、上記材料等に導電性を付与したフィルムが使用さ
れる。
色素としては分散色素、塩基性染料及び塩基性染料の
ダイフォーマなどがある。
色素高濃度層9を形成する結着樹脂は架橋剤により架
橋硬化されるものであれば特に限定するものではない
が、飽和ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリアミド、
変性ポリカーボネート、ポリウレタン、変性(メタ)ア
クリル樹脂等を挙げることができ、必要な特性に応じて
選択、組み合わせて用いられるが、多数回記録特性を向
上するためには、色素の透過能が高い熱変形温度(ASTM
D648)またはガラス転移温度(ASTM D1043)が50〜1
50℃程度の熱可塑性樹脂が好ましく、また架橋反応につ
いてみると特に加温しなくともイソシアネート類と反応
する飽和ポリエステル、ポリビニルホルマール、ポリビ
ニルアセタール、ポリビニルブチラールなどヒドロキシ
ル基を多く有する樹脂が好ましい。
色素高濃度層9の結着樹脂と反応させる架橋剤として
は特に限定されるものではなく、ポリメチロール尿素
類、ポリメチロールメラミン類、グリオキザールなどポ
リアルデヒド類、エポキシ化合物、ポリイソシアネート
類等を挙げることができるが、高濃度層9を構成するた
めの塗液を基材2上に塗布した後でも室温で容易に架橋
が進行するポリイソシアネート類は最も好ましい。
色素高濃度層9は、少なくとも色素と結着樹脂を含ん
でいれば良いが、前記のような色素、結着樹脂の他、滑
剤、色素分散剤など各種添加剤を含んでいても良い。し
かしシリコーン化合物・ワックスなどを添加して色素高
濃度層9の表面自由エネルギーを小さくしてしまうと、
表面自由エネルギーが比較的高い水系塗液を後から塗布
することが困難になるので注意が必要である。
色素高濃度層9の形成方法としては、インクを基材2
上に塗布し、乾燥する方法が最も簡単であり、架橋剤を
含んだインクを塗布してから乾燥時点において、あるい
は乾燥終了後貯蔵時点において架橋反応が進行すること
を期待すればよい。
色素高濃度層9を形成するためのインク調製に使用す
る溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノールなどのアルコール類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸ブチルなどの
エステル類、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノ
ンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどの
窒素化合物類、ジクロルメタン、クロルベンゼン、クロ
ロホルムなどのハロゲン化炭化水素などが使用できる。
更に、インクを基材2上に塗布する方法としては、リバ
ースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコータ
ー、エアドクタコーターなどを使用して実施することが
できる(原崎勇次著、槙書店1979年発行「コーティング
方式」)。塗液の塗布方法としては、色素透過性低濃度
層10の場合についても同様である。
色素高濃度層9の厚みは、色素高濃度層中の色素濃
度、目標とする記録回数または相対速度比そして必要な
最高記録濃度を得るために受像体4上に必要な色素量に
依存するが、最低限下記の式で与えられる乾燥塗工重量
は確保することが望ましい。
最低乾燥塗工重量(g/m2)=(目標記録回数)×(必
要色素量g/m2)/(色素重量濃度) 色素透過性低濃度層10に用いる水溶性樹脂または水分
散性樹脂は適度の色素透過能があれば特に限定されるも
のではなく、部分鹸化ポリビニルアルコール、水溶性ポ
リアミド、水溶性ポリエステル、各種アイオノマー樹脂
などを用いることができるが、その樹脂単独で相対速度
方式の多数回記録が可能になる潤滑性を示すものとし
て、ポリジメチルジロキサン構造を有する部分を含むポ
リジメチルシロキサンのグラフトまたはブロック共重合
体などを挙げることができる。
また、色素透過性低濃度層10に滑剤などを含有させて
潤滑性を付与する場合、滑剤等を水系塗液に溶解または
乳化させる方法や、滑剤などを含む塗液を更に積層する
方法などがある。滑剤は特に限定されるものではなく、
各種シリコーンオイル、ワックス、脂肪酸誘導体などが
挙げられるが、使用する状態で液状であるような滑剤は
画質を劣化させるので避けた方がよい。
さらに滑性を与えるために添加する微粒子は、特に限
定されないが、表面エネルギーが小さいポリテトラフル
オロエチレンの微粒子が好ましい。
色素透過性低濃度層10を形成するためのインク調製に
使用する溶剤としては、水以外にアルコール類、ケトン
類、セロソルブ類などを添加しても良い。
色素透過性低濃度層10の厚みは、用いる水溶性樹脂ま
たは水分散性樹脂の色素拡散速度や色素濃度あるいは目
標とする記録に必要なエネルギー、記録回数または相対
速度記録での相対速度比nなどに応じて調製することが
できるが、記録回数またはnが数10程度では厚みは0.1
〜1μm程度が適当である。
受像体4は,通常受像基体5と染着層6から構成され
る。
受像基体5としては、通常透明なものとしてはポリエ
ステル等の各種フィルム、白色のものとしてはポリエス
テル、ポリプロピレン等を主とした合成紙あるいはコー
ト紙、普通紙等が目的に応じて用いられる。
染着層6に用いる染着性物質としてはポリエステル、
ポリアミド、アクリル樹脂、アセテート樹脂、各種セル
ロース誘導体、デンプン、ポリビニルアルコール等があ
り、更に硬化樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ア
セテート等の熱、光、電子線等による硬化物や湿分で加
水分解・縮合して硬化する各種シリコン樹脂などがあ
り、必要に応じて選択、組み合わせて用いられる。
以下、具体的実施例1〜5とその効果を説明する。
染料転写体1の基材2としては芳香族ポリアミドフィ
ルム(6μm厚)に耐熱滑性層を設けたものを共通に用
いた。受像体4の基体5としてはPET製白色合成紙を使
用し、この上に紫外線硬化樹脂(昭和高分子(株)SP50
03)10g、増感剤(日本チバガイギー(株)イルガキュ
ア184)0.1g、アミド変性シリコーンオイル(信越化学
(株)KF3935)0.05gをトルエン10gに溶解した塗液をワ
イヤーバーにて塗布した後、熱風乾燥し、さらに1kW高
圧水銀灯で1分間紫外線を照射して硬化させ、染着層を
形成して受像体とした。
記録手段としてはサーマルヘッド8を使用し、記録条
件としては、 記録周期 16.7ms/l 記録パルス幅 MAX4.0ms 解像度 6l/mm 記録エネルギー 6J/cm2(可変) 転写体走行速度 1.0mm/s※ 受像体走行速度 10.0mm/s を基本とした(※相対速度記録の場合のみ、単純繰り返
し記録では10.0mm/sである)。
〈実施例1〉 基材2上に下記の構造式の染料2.5gと結着樹脂として
ブチラール樹脂(積水化学(株)エスレックBX−1)1.
3g、ポリイソシアネートとしてコロネートL(日本ポリ
ウレタン(株))0.29gをトルエン21g、MEK9gの混合溶
媒に溶かしたインクをワイヤーバーで乾燥塗工重量が3g
/m2になるように塗布し乾燥し、色素高濃度層9を設け
た。一方で、エチレングリコールモノブチルエーテルを
溶媒として、粘度79センチストークスの片末端ジオール
型のポリジメチルシロキサン(信越化学工業(株)X−
22−170D)とメチルメタクリレートをエステル交換した
マクロモノマー4部、スチレン16部、メタクリル酸メチ
ル30部、ヒドロキシエチルメタクリレート15部、アクリ
ル酸イソブチル25部、アクリル酸10部を溶液重合し、ポ
リジメチルシロキサンをグラフトしたアクリル樹脂溶液
を得た。これにトリエチルアミンを加えて中和した後、
水を加えてエマルジョンを得た。このエマルジョンを塗
液としたワイヤーバーで先ほどの色素高濃度層9の上に
乾燥塗工重量が約0.3g/m2になるように塗布し、80℃で
2分乾燥して低濃度層10とし、染料転写体1を得た。
〈実施例2〉 実施例1と同様に、基材2上に上記の構造式の染料
2.5gと結着樹脂としてホルマール樹脂(電気化学工業
(株)デンカホルマール#100)1.3g、ポリイソシアネ
ートとしてコロネートL(日本ポリウレタン(株))0.
29gをトルエン21g、MEK9gの混合溶媒に溶かしたインク
をワイヤーバーで乾燥塗工重量が3g/m2になるように塗
布し乾燥し、色素高濃度層9を設けた後、水溶性ポリエ
ステル(日本合成化学工業(株)ポリエスターWR901)2
gを30gの水に溶解した溶液を塗液として、先ほどの高濃
度層9の上にワイヤーバーで乾燥塗工重量が約0.3g/m2
になるように塗布し、80℃で2分乾燥して低濃度層とし
た。さらにブチラール樹脂(積水化学工業(株)エスレ
ックBMS)2g、アミノ変性シリコーンオイル(信越化学
工業(株)KF393)0.1g、エポキシ変性シリコーンオイ
ル(信越化学工業(株)X−22−343)0.1gをトルエン3
0gに溶解して3日間放置した塗液を、先ほどの低濃度層
の上にワイヤーバーで乾燥塗工重量が約0.3g/m2になる
ように塗布して滑性を有する低濃度層10を構成し、染料
転写体1とした。
〈実施例3〉 基材2上に上記の構造式の染料2.5gと結着樹脂として
飽和ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)バイロン290)
1.4g、ポリイソシアネートとしてコロネートL(日本ポ
リウレタン(株))0.14gをトルエン21g、MEK9gの混合
溶媒に溶かしたインクをワイヤーバーで乾燥塗工重量が
3g/m2になるように塗布し乾燥し、色素高濃度層9を設
けた。続いて実施例1で作成したポリジメチルシロキサ
ングラフトアクリル樹脂のエマルジョン塗液を用いて同
様に塗布して低濃度層10とし、染料転写体1を得た。
〈実施例4〉 基材2上に上記の構造式の染料2.5gと結着樹脂として
ブチラール樹脂(積水化学(株)エスレックBX−1)1.
4g、グリオキザール0.1gをトルエン21g、MEK9gの混合溶
媒に溶かしたインクをワイヤーバーで乾燥塗工重量が3g
/m2になるように塗布し乾燥し、色素高濃度層9を設け
た。続いて実施例1で作成したポリジメチルシロキサン
グラフトアクリル樹脂のエマルジョン塗液を用いて同様
に塗布して低濃度層10とし、染料転写体1を得た。
〈実施例5〉 基材2体上に上記の構造式の染料2.5gと結着樹脂とし
てブチラール樹脂(積水化学(株)エスレックBX−1)
1.3g、エポキシ樹脂(シェル化学エピコート827)0.2
g、無水フタル酸0.05gをトルエン21g、MEK9gの混合溶媒
に溶かしたインクをワイヤーバーで乾燥塗工重量が3g/m
2になるように塗布し乾燥し、色素高濃度層9を設け
た。続いて実施例1で作成したポリジメチルシロキサン
グラフトアクリル樹脂のエマルジョン塗液を用いて同様
に塗布して低濃度層10とし、染料転写体1を得た。
〈比較例1〉 実施例1と同様にして色素高濃度層9を設けて染料転
写体1とした。
〈比較例2〉 基材2上に上記の構造式の染料2.5gと結着樹脂として
ブチラール樹脂(積水化学(株)エスレックBX−1)1.
5gをトルエン21g、MEK9gの混合溶媒に溶かしたインクを
ワイヤーバーで乾燥塗工重量が3g/m2になるように塗布
し乾燥し、色素高濃度層9を設けた。続いて実施例1で
作成したポリジメチルシロキサングラフトアクリル樹脂
のエマルジョン塗液を用いて同様に塗布して低濃度層10
とし、染料転写体1を得た。
〈比較例3〉 基材2上に上記の構造式の染料2.5gと結着樹脂として
ポリサルホン(日産化学工業(株)P−1700)1.5gをト
ルエン21g、MEK9gの混合溶媒に溶かしたインクをワイヤ
ーバーで乾燥塗工重量が3g/m2になるように塗布し乾燥
し、色素高濃度層9を設けた。続いて実施例1で作成し
たポリジメチルシロキサングラフトアクリル樹脂のエマ
ルジョン塗液を用いて同様に塗布して低濃度層10とし、
染料転写体1を得た。
以上のような実施例1〜5及び比較例1〜3の染料転
写体1を前記条件で記録に供し、記録濃度が2.0になる
ための記録エネルギー、前記記録エネルギーでの相対速
度記録の可否並びに画質、記録後の転写体1の表面の変
形状態、単純繰り返し方式での多数回記録特性を調べ
た。結果は第1表及び第3図のようになった。
第3図における多数回記録特性は、単純繰り返し方式
多数回記録における同一記録エネルギーでの記録濃度変
化=N回目の記録濃度/1回目の記録濃度(%)を測定し
た。
発明の効果 本発明によれば、相対速度記録が可能かつ実用性の高
い高耐候性低昇華性の色素が使用可能で、同一記録エネ
ルギーに対する記録回数増に伴う記録濃度低下が小さ
く、より多数回まで高い飽和記録濃度を保持することが
でき、より低いランニングコストで通常の1回記録と同
等の階調再現性、画質を有するフルカラー記録を可能と
する多数回記録用染料転写体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例における染料転写体およびその
受像体の断面図、第2図は相対速度記録方式多数回記録
の原理図、第3図は同染料転写体の具体的実施例1〜5
における多数回記録濃度特性を示すグラフである。 3……色材層、9……色素高濃度層、10……色素透過性
低濃度層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 章博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 田口 信義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−215593(JP,A) 特開 平2−238995(JP,A) 特開 平2−67191(JP,A) 特開 平2−217293(JP,A) 特開 平2−227289(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも色素と結着樹脂を含む色素高濃
    度層と、層中の色素濃度が前記高濃度層より低く、少な
    くとも水溶性樹脂または水分散性樹脂を含む色素透過性
    低濃度層とを、基材上に順次積層して色材層とした染料
    転写体において、色素高濃度層を構成する結着樹脂が架
    橋剤により架橋されてなる染料転写体。
  2. 【請求項2】色素透過性低濃度層を構成する水溶性樹脂
    または水分散性樹脂がポリジメチルシロキサン構造を有
    する部分を含む高分子化合物である請求項1記載の染料
    転写体。
  3. 【請求項3】色素高濃度層を構成する結着樹脂が、ポリ
    ビニルホルマール、ポリビニルアセタールまたはポリビ
    ニルブチラールであり、架橋剤が複数のイソシアネート
    基を有する化合物、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エ
    ポキシ樹脂またはポリアルデヒド化合物である請求項1
    記載の染料転写体。
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