JP2024097405A - 熱可塑性繊維およびシート状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄地化が要求される紙や不織布等のシート状物内であっても優れた熱接着性を発揮でき、力学物性に優れる薄地のシート状物に適した熱可塑性繊維を提供する。
【解決手段】繊維横断面の周長Pと断面積Sの比である比表面積P/Sが0.50μm-1以上であり、結晶化度が20%以下であることを特徴とする熱可塑性繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄地のシート状物および薄地のシート状物に適した熱可塑性繊維に関するものである。
繊維は、その細くて長いという形態に由来する様々な特徴を有することから、衣料用途のみならず、産業資材用途にいたるまで幅広く利用されており、人々の生活が豊かになった昨今では、より高度な機能を有した繊維製品が求められるようになっている。
繊維の形態を活用した繊維製品の一形態として、繊維を3次元的に重ね合わせた紙や不織布、さらに繊維間を機械的・化学的・熱的な方法により結合させたもの等のシート状物があり、構成する繊維間に空隙を有する多孔質構造を特徴としている。この多孔質構造を活用することで、所望の物質の濾過や分離が可能となることから、各種フィルターや隔膜などの幅広い用途で利用されており、近年、フィルターや隔膜などの装置モジュールの小型軽量化・高性能化の要求が高まっていることから、前記用途に使用されるシート状物においても薄地化・低目付化が求められている。
薄地・低目付のシート状物においては、製造工程中の微小な張力変動によりシート状物が破断しやすいことに加え、モジュール化工程での他部材のエッジやバリとの接触によって容易に引き裂かれるといった課題があり、これら課題の解決に向けて、シート状物の強度向上を目的とした研究・技術開発が盛んに行われている。
シート状物の強度向上に向けた研究・技術開発のアプローチとして、シート状物の骨格材となる主体繊維を高度化する方法に加えて、主体繊維間を化学的あるいは熱的に接着して構造を固定するバインダー繊維を高度化する方法があり、シート状物の破壊は、多くの場合、接着点の破壊を起点として進行することから、主体繊維間を強固かつ均一に接着することを狙った様々なバインダー繊維に関する技術が提案されている。
特許文献1では、延伸ポリエステル短繊維を骨格材とする紙の高強度化を狙った未延伸ポリエステル短繊維に関する技術が提案されている。延伸・熱処理により結晶化した骨格材と同じポリマーの未延伸・非晶状態のバインダー繊維を用いることで、熱処理によりバインダー繊維を軟化・流動させた際に、同一組成に由来して主体繊維になじみやすく、さらに繊維を細径化し、かつ低複屈折・低比重の低配向・低結晶化度のバインダー繊維とすることで、主体繊維間を強固かつ均一に接着することを可能としている。
特許文献2は、未延伸ポリエステル短繊維の極限粘度を低下させることにより、熱処理によるバインダー繊維の軟化時に、バインダー成分を良好に流動させる技術であり、主体繊維間をより強固に接着することを可能としている。
特許文献3は、結晶化温度が高く発現する低粘度の結晶性ポリエステルと結晶化温度が低く発現する高粘度のポリエステルを芯鞘型に複合して未延伸バインダー繊維とする技術であり、熱接着工程時に高流動性を示す鞘成分の流動が低流動性を示す芯成分により適度に担持されることで、シート状物の強度を向上しながらも、製造工程中のローラーへの貼り付きといったトラブルを抑制することができる。
特許文献4は、均一な繊維径を有するバインダー用極細繊維に関する技術であり、易溶解性成分からなる海成分と難溶解成分からなる島成分の海島型複合繊維の未延伸糸を低温で脱海処理することで、繊維径ばらつきが小さい非晶状態の極細繊維とし、これをバインダー繊維として用いることで、均一性に優れた高強度の紙を得ることができる。
特開昭57-82600号公報 特開平1-104823号公報 特開2013-136851号公報 特開2012-92458号公報
特許文献1は、主体繊維と同組成のポリエステル短繊維であり、複屈折と比重が低い非晶状態であることにより、バインダー繊維として用いた場合に、親和性・流動性の観点で主体繊維になじみやすく、なおかつ繊維を細径化することにより、単位重量あたりの構成本数が増加して接着点がシート状物全体に均一に分散しやすくなることを利用したものである。この技術では、バインダー繊維の直径は数μm以上あり、構成繊維量が多い高目付のシート状物の場合には優れた強度を発揮できるものの、構成繊維量が少なくなる低目付のシート状物の場合には、バインダー繊維が存在しない部分が欠点として顕在化しやすく、製造工程中に破断して製造自体が困難になる場合があった。
特許文献2は、未延伸ポリエステル短繊維の極限粘度を低下させることにより、バインダー成分の流動性を高め、より強固な接着を狙ったものであるが、バインダー繊維の直径は特許文献1と同程度であり、低目付のシート状物の場合には、やはり、バインダー繊維の存在しない部分が欠点として顕在化しやすく、製造工程中で破断する場合があった。
特許文献3は、芯鞘型に複合した未延伸バインダー繊維とし、熱接着工程時の鞘成分の流動を芯成分により適度に担持することで、主体繊維間を強固に接着しつつ、製造工程中の貼り付きによる工程張力を低減して破断を抑制できるが、シート状物の強度自体は特許文献2と大きく変化しないため、その後のモジュール化工程での張力変動や他部材との接触により破断してしまう場合があった。
特許文献4は、海島型複合繊維の未延伸糸を前駆体とすることで、従来の単成分紡糸では困難であった非晶状態の極細繊維を発生させ、これをバインダー繊維に用いることで、単位重量あたりのバインダー繊維の構成本数を飛躍的に増加させて、均一性に優れた高強度の紙を得るものである。しかしながら、繊維径が小さくなるにともない、繊維が柔軟で曲がりやすくなることから、製造工程中で極細繊維が絡み合った繊維塊を形成しやすく、特に低目付のシート状物では、微小な繊維塊であっても欠点として顕著にシート物性に影響することから、適用できる工程が限定される場合があった。
以上のように、シート状物を強固かつ均一に接着することを狙いとした熱可塑性繊維としては、厚地・高目付のシート状物を想定して主体繊維間を強固かつ均一に接着して高強度化を達成する技術は存在するものの、薄地・低目付のシート状物においてもその効果を十分に発揮できる技術は存在しておらず、製造工程中にシート状物が破断しやすく、適用できる工程が限定されてしまっていた。そこで、昨今の要望に応じて、薄地・低目付のシート状物内であっても、優れた熱接着性を発揮でき、力学物性に優れるシート状物の製造に適した熱可塑性繊維が望まれていた。
上記課題は、以下の手段により達成される。すなわち、
(1)繊維横断面の周長Pと断面積Sの比である比表面積P/Sが0.50μm-1以上であり、結晶化度が20%以下であることを特徴とする熱可塑性繊維。
(2)繊維横断面の長軸の長さと短軸の長さの比である扁平度が7以上であり、短軸の長さが4.00μm以下であることを特徴とする(1)に記載の熱可塑性繊維。
(3)融点が180℃以上であることを特徴とする(1)あるいは(2)のいずれかに記載の熱可塑性繊維。
(4)(1)に記載の熱可塑性繊維が少なくとも一部に含まれるシート状物。
(5)主体繊維が接着部で接着されて構成されたシート状物であって、シート状物の断面において、主体繊維の断面の外周長Pのうち接着部と接している接着長Pの割合である接着率P/Pのばらつきが80%以下であることを特徴とするシート状物。
(6)空隙率が30%以上であることを特徴とする(5)に記載のシート状物。
(7)(4)~(6)のいずれかに記載のシート状物を一部に含んだ繊維製品。
本発明は繊維の形態的特徴と繊維構造に由来して、薄地化・低目付化が要求されるシート状物内であっても優れた熱接着性を発揮できる熱可塑性繊維に関するものであり、力学物性に優れる薄地のシート状物を提供することができる。
本発明の熱可塑性繊維の横断面構造の一例の概略図である。 本発明の熱可塑性繊維の原料として用いる多層積層繊維の横断面構造の一例の概略図である。 多層積層繊維の製造方法の一例を説明するための横断面図である。
以下、本発明について望ましい実施形態と共に詳述する。
本発明の1つは、薄地・低目付のシート状物内であっても優れた熱接着性を発揮することを特徴とした熱可塑性繊維に関するものであり、本発明で言う熱可塑性繊維とは、加熱により軟化・流動して被接着材に付着したのち、冷却固化して被接着材間を接着・結合できる繊維のことを指す。
本発明の熱可塑性繊維は、繊維の形態的特徴と繊維構造に由来して優れた熱接着性を発揮するものであり、繊維の形態的特徴による熱接着性の発現という観点では、熱可塑性繊維の単位重量あたりの表面積である比表面積を大きくし、被接着材との接着面積を増大させることで、優れた力学物性を達成することを技術思想としている。この指標として、本発明の熱可塑性繊維は、繊維横断面の周長Pと断面積Sの比である比表面積P/Sが0.50μm-1以上である必要があり、本発明における第1の要件としている。
この比表面積P/Sは以下のようにして求めるものである。
本発明の熱可塑性繊維からなる繊維束をエポキシ樹脂等の包埋剤で包埋し、ダイヤモンドナイフを装着したミクロトームで繊維横断面を切削して削り出し、この横断面を走査型電子顕微鏡(SEM)等で断面を識別できる倍率で撮影する。
撮影した画像に存在する繊維1本の横断面について、画像解析ソフトを用いて、断面外周部の長さを測定する。この値を繊維1本の周長Pfnとし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この外周部に囲われた内側の面積を画像解析ソフトで測定し、この値を繊維1本の断面積Sfnとし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この周長Pfnと断面積Sfnを用いて、下式により小数点第3位を四捨五入して繊維1本の比表面積Pfn/Sfnを算出する。
fn/Sfn(μm-1)=Pfn(μm)/Sfn(μm
上記の測定を100本の繊維について実施して各繊維の比表面積Pfn/Sfn(n=1~100)を算出し、これらの算術平均を本発明の比表面積P/Sとする。
比表面積P/Sが0.50μm-1以上であれば、繊維径が十数μmある一般的な熱接着に用いられる熱可塑性繊維と比較して、接着に寄与できる表面を2倍以上確保できることになり、紙や不織布等のシート状物のバインダー繊維として用いた場合には、主体繊維等の被接着材を強固かつ均一に接着し、優れた力学物性を発揮することができる。
また、この観点で言えば、比表面積P/Sが高まるにつれて、本発明の効果がより顕著化できることとなり、比表面積P/Sが1.00μm-1以上であれば、一般的な熱接着に用いられる熱可塑性繊維の4倍以上の表面が得られることになり、構成繊維量が少なくなる薄地・低目付のシート状物であっても、接着に寄与できる表面を十分に確保できることとなり、接着が不十分な欠点が発生しづらくなるため、より好ましい範囲として挙げることができる。
さらに、比表面積P/Sが2.00μm-1以上であることが、本発明での特に好ましい範囲であり、係る範囲であれば、一般的な熱接着に用いられる熱可塑性繊維の8倍以上の表面が得られることとなり、目付が数g/mとなるような構成繊維量が極めて少ない極薄地・極低目付のシート状物であっても、十分に接着面積を確保して力学物性を担保できるため、より好ましい範囲として挙げることができる。
さらに、比表面積P/Sが4.00μm-1以上であることが、本発明での特に好ましい範囲であり、係る範囲であれば、一般的な熱接着に用いられる熱可塑性繊維の16倍以上の表面が得られることとなり、極薄地・極低目付のシート状物において本発明の熱可塑性繊維の混率が少ない場合であっても、十分に接着面積を確保できることとなり、シート状物の骨格材である主体繊維等の被接着材の特徴を顕著に反映させた極薄地・極低目付のシート状物を得ることができる。
一方、比表面積P/Sが増大するにつれて、熱可塑性繊維は極細・極薄化することとなり、接着点あたりの熱可塑性繊維の付着量がごくわずかになった場合には、接着点で剥離や破壊が起こりやすくなる傾向にあるが、比表面積P/Sが20未満であれば実使用に問題なく、本発明の目的を達成することができる。
以上のように、本発明の熱可塑性繊維は繊維の形態的特徴により、熱可塑性繊維の比表面積を増大させることで、従来の熱接着に用いられる熱可塑性繊維と比較して飛躍的に大きな接着面積を確保し、薄地・低目付のシート状物内であっても主体繊維等の被接着材を強固かつ均一に接着して優れた力学物性を発揮できるものである。
この熱可塑性繊維の熱接着性は、繊維の形態的特徴による接着面積の大小だけでなく、各接着点における熱可塑性繊維の含侵状態によっても影響を受けるものであり、熱接着性を十分に発揮するためには、熱可塑性繊維の流動性も重要な要件となる。この流動性の指標として、本発明の熱可塑性繊維では、結晶化度が低いことを第2の要件としており、結晶化度が20%以下である必要がある。
ここで言う結晶化度とは、以下のようにして求めるものである。
電子天秤を用いて熱可塑性繊維を約5mg量り取った後、示差走査熱量計(DSC)に繊維をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50~320℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
得られた測定結果(DSC曲線)における発熱ピークの面積より結晶化発熱量ΔHc(J/g)、吸熱ピークの面積より結晶融解熱量ΔHm(J/g)を算出する。なお、発熱ピークや吸熱ピークが複数見られた場合、すべてのピークの面積を合算した値より、ΔHcおよびΔHmを算出する。1水準につき測定位置を変更して3回測定を行い、算術平均を求めΔHcおよびΔHmを算出した後、以下の式にて、小数点第1位を四捨五入して結晶化度を算出する。
結晶化度(%)=(ΔHm-ΔHc)/ΔHm×100
なお、ここで言うΔHmは完全結晶融解熱量(J/g)である。
本発明の熱可塑性繊維において、結晶化度が20%以下であれば、該熱可塑性繊維のガラス転移温度以上に加熱した場合に、非晶領域が結晶領域に阻害されづらく十分に軟化・流動できるため、カレンダー加工等で熱プレスした場合に、軟化・流動した該熱可塑性繊維が被接着材の間に入り込み、高い熱接着性を発揮することができる。
この技術思想に基づくと、結晶化度が小さい方が熱接着工程において熱可塑性繊維が良好に軟化・流動することになり、本発明の熱可塑性繊維においては、結晶化度が15%以下であることが好ましく、係る範囲であれば、被接着材の複雑な凹凸にも隙間なく入り込みやすく、被接着材の形状に関わらず優れた熱接着性を発揮することができる。
また、結晶化度が10%以下であることがより好ましく、係る範囲であれば、カレンダー加工の熱プレス圧力が低い場合にも、軟化・流動した熱可塑性繊維が被接着材との間に入り込みやすいため、熱プレスによるローラーへの貼り付きを低減して工程張力を低下できることとなり、薄地・低目付のシート状物の製造工程中での破断を抑制できる。
さらに、結晶化度が8%以下であることが特に好ましく、係る範囲であれば、カレンダー加工を用いないオーブン等の非接触加熱であっても、熱可塑性繊維が軟化・流動して被接着材との間に入り込み、優れた熱接着性を発揮することができる。
以上のように、本発明の熱可塑性繊維は、繊維の形態的特徴による接着面積の増大効果に加えて、その繊維構造に由来する加熱時の良流動性により、熱可塑性繊維が被接着材との間に隙間なく入り込み、優れた熱接着性を発揮するものであり、これにより従来技術では達成が困難であった、薄地・低目付のシート状物での優れた力学物性を達成できるものである。
この加熱時の良流動性により優れた熱接着性を発揮するという観点では、被接着材間のマクロな凹凸に加えて、接着点の微細な凹凸にも分子レベルで隙間なく入り込むことが好ましく、この指標として本発明の熱可塑性繊維のtanδのピーク値が0.10以上であることが好ましい。
ここで言うtanδとは、動的粘弾性自動測定器(レオバイブロン)を用い、試料をチャック間距離30mmで挟んだ後、0.07g/dtexの張力をかけて、昇温速度3℃/min、周波数110Hzの条件で測定するものである。
このtanδのピーク値はその温度において拘束されずに移動が可能な分子鎖の量に相当し、この値が大きいほどその温度において材料が流動しやすいことを意味しており、tanδのピーク値が0.10以上であれば、被接着材間に軟化・流動した熱可塑性繊維が入り込みやすく、被接着材間を強固に接着できるため好ましい範囲として挙げることができる。
また、tanδのピーク値が0.15以上であれば、被接着材表面の凹凸にも軟化・流動した熱可塑性繊維が入り込みやすく、被接着材と接着した熱可塑性繊維の剥離を抑制できるため、より好ましい範囲として挙げることができる。さらに、tanδのピーク値が0.20以上であれば、被接着材表面の微細な凹凸にも分子レベルで入り込み、被接着材と接着した熱可塑性繊維との剥離を顕著に抑制できるため、特に好ましい範囲として挙げることができる。
本発明の熱可塑性繊維における接着面積の増大効果が十分に発揮されるためには、シート状物内において、熱可塑性繊維の表面が余すところなく被接着材へと露出できることが好ましく、該熱可塑性繊維は、繊維どうしが絡み合った繊維塊等の凝集体となることなく、シート状物全体に均一に分散することが好ましい。
この観点に基づくと繊維横断面の形態がポイントとなり、本発明の熱可塑性繊維は、繊維横断面の長軸の長さと短軸の長さの比である扁平度が7以上であることが好ましい。
この繊維横断面の扁平度は以下のようにして求めるものである(図1も参照)。
比表面積を求める際に撮影した画像に存在する繊維1本の横断面について、画像解析ソフトを用いて断面の最大長を測定し、この値を繊維1本の長軸の長さとしてμm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。続いて、この最大長の中間点で最大長の線分と直交する直線のうち繊維断面と交わる部分の長さを測定し、この値を繊維1本の短軸の長さとしてμm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この長軸の長さと短軸の長さを用いて、下式により繊維1本の扁平度を算出する。
扁平度=長軸の長さ(μm)/短軸の長さ(μm)
上記の測定を100本の繊維について実施して各繊維の扁平度を算出し、これらの算術平均を本発明の扁平度とする。
本発明の熱可塑性繊維は、この扁平度が7以上であることが好ましく、係る範囲であれば、断面の形態的特徴、すなわち、断面の形状異方性に由来して短軸方向と長軸方向の曲げ剛性が著しく異なることとなり、繊維の曲がる方向が短軸方向に制限されることとなる。このような変形方向の制限に由来して、繊維を3次元的に重ね合わせるシート化工程で繊維どうしが接触した場合であっても、繊維どうしが折れ曲がって絡み合った繊維塊となることがなく、熱可塑性繊維の接着面積を被接着材との接着に有効に活用でき、薄地・低目付のシート状物であっても優れた力学物性を発揮できるのである。さらに、扁平度が7以上であることにより、シート化工程において繊維が敷き詰められる際には、繊維横断面の短軸方向がシート状物の厚み方向に優先的に向くことになり、繊維横断面の短軸方向が揃った緻密な多孔質構造を形成することとなる。このような繊維横断面の短軸方向が揃った緻密構造となることで、シート状物の厚みは自ずと薄地化し、さらには後述する繊維横断面の短軸の長さが短い効果に相まって、優れた熱接着性を発揮することになる。
このように本発明の熱可塑性繊維は、断面の形状異方性を利用して曲がる方向を制限することにより、シート化工程における繊維どうしの絡み合いを低減でき、この技術思想に基づけば、断面の扁平度が高いほど短軸方向と長軸方向の曲げ剛性の差が拡大し、シート化工程中で強固に曲げ方向が短軸方向に制限されることとなる。すなわち、扁平度が10以上であれば、断面の短軸方向と長軸方向で曲げ剛性が100倍以上に異なることとなり、シート化工程中での繊維の曲げ方向は実質短軸方向のみに制限されることとなる。このように曲げ方向が短軸方向に強固に制限されることで、シート化工程において空気や液体等の乱流が発生する場合であっても、熱可塑性繊維どうしが絡み合いづらく、接着面積を有効に活用することができるため、扁平度は10以上であることがより好ましい。
さらに、扁平度が15以上であれば、複雑で激しい乱流が発生しやすい高速・高生産量向けのシート化工程であっても、断面の形状異方性に由来する曲げ方向の制限がより顕著に働き、繊維どうしが絡み合いづらくなるため、扁平度は15以上であることが特に好ましい。
一方、断面の扁平度が高くなるにつれて、シート化工程等で外力が加わった場合に断面の長軸方向に割れを生じやすくなる傾向にあるが、扁平度が500未満であれば実使用に問題なく、本発明の目的を達成することができる。
以上のように、本発明の熱可塑性繊維はその断面の高い形状異方性により、繊維を重ね合わせるシート化工程での曲がる方向が短軸方向のみに制限されることとなり、熱可塑性繊維どうしが絡み合った繊維塊等の凝集体を形成しづらく、熱可塑性繊維の接着面積を被接着材への接着へと有効に活用して優れた力学物性を発揮できるものである。さらには、前述したように、繊維横断面の短軸方向がシート状物の厚み方向に揃って緻密な構造を形成するという効果も発揮するものであり、この特徴を活かして熱接着性をより良好なものとするという観点では、短軸の長さが4.00μm以下であることが好ましく、係る範囲であれば、本発明の熱可塑性繊維の短軸方向が被接着材の形状に沿って柔軟に変形できることになる。
ここで言う短軸の長さとは、上記で測定した100本の繊維の短軸の長さの算術平均をμm単位で小数点第3位を四捨五入して表すものである。
本発明の熱可塑性繊維において、短軸の長さが4.00μm以下であれば、繊維断面の短軸方向の曲げ剛性が十分に低く、被接着材の形状に沿って柔軟に変形して被接着材との隙間を縮小できることとなり、短時間の熱接着工程であっても被接着材間に入り込み、優れた熱接着性を発揮できることとなる。
この技術思想に基づくと、短軸の長さが短いほど熱可塑性繊維が短軸方向に柔軟に変形することとなり、熱接着工程前の段階で熱可塑性繊維と被接着材の隙間を縮小できることから、本発明の熱可塑性においては、短軸の長さが2.00μm以下であることがより好ましく、係る範囲であれば、被接着材間の凹凸にも繊維横断面の短軸方向が追従して変形できることになり、短時間の熱接着工程であっても剥離のない優れた熱接着性を発揮することができる。
さらに、短軸の長さが1.50μm以下であることが特に好ましく、係る範囲であれば、被接着材間の複雑な凹凸にも熱可塑性繊維が変形して密着し、より短時間で熱接着工程を完了することができる。
一方で、シート化工程における外力が加わった場合に破断しにくい範囲として、本発明の熱可塑性繊維における短軸の長さが0.05μm以上であることを挙げることができ、本発明における実質的な下限値となる。
本発明の熱可塑性繊維は、接着面積の増大効果と良流動性により発揮される優れた熱接着性を、繊維横断面の特徴的な形態により顕著化できるものであり、これをさらに高度化するという観点では、繊維横断面の形状がある範囲内で分布を持った状態が好適であり、本発明の熱可塑性繊維においては、短軸の長さにばらつきがあることが良い。
本発明における短軸の長さのばらつきとは、上記で測定した100本の繊維の短軸の長さを用いて算術平均と標準偏差を算出し、標準偏差を算術平均で除することで得られる変動係数を%単位の整数で小数点以下を四捨五入することで求めるものである。
短軸の長さが適度な分布を持って存在することにより、繊維横断面の形状が一致しないことで、繊維を敷き詰めるシート化工程で、それぞれの熱可塑性繊維が異なる動きをすることとなり、より均一に分散されることとなる。以上の観点から、本発明の熱可塑性繊維においては、短軸の長さのばらつきが10%以上であることが好ましく、係る範囲とすることにより、シート化工程でそれぞれの熱可塑性繊維が異なる動きをして内部で偏在しづらくなり、より均一に分散されるようになる。
また、短軸の長さのばらつきが20%以上になると、シート化工程中での繊維の屈曲挙動等もそれぞれの繊維で異なることとなり、熱可塑性繊維どうしが重なり合いづらく、接着面積を被接着材への接着へ有効に活用できるようになる。
この観点を推し進めると、短軸の長さのばらつきが大きいほど、熱可塑性繊維はより均一に分散されることになるが、シート化工程等で外力が加わった場合に、短軸の長さが短すぎることにより熱可塑性繊維が破断しやすくなる傾向にあるため、該短軸の長さのばらつきが50%以下であることが好ましく、本発明における実質的な上限値となる。
本発明の熱可塑性繊維においては、各繊維の繊維横断面差による均一分散効果に加えて、繊維横断面において、外周の凹凸による立体障害効果で、シート化工程に供する前の熱可塑性繊維間を良好に開繊することができ、シート状物内での均一分散を達成しやすくなるため、繊維横断面における凹凸度が20%以上であることが好ましい。
本発明で言う凹凸度とは、撮影した繊維断面の画像を用いて、断面の最大長を10等分した点で最大長の線分と直交する線分が繊維断面と交わる長さをそれぞれ測定し、これら10箇所の長さの算術平均と標準偏差を算出して、標準偏差を算術平均で除してパーセント単位で少数点以下を四捨五入した値を単繊維の凹凸度とする。同様の測定を10本の繊維断面について行い、算出した10本の繊維の凹凸度の算術平均をここで言う凹凸度とする。この凹凸度が20%以上あることにより、繊維間の微小な空隙を起点としてシート化工程に供する前の熱可塑性繊維を1本1本の状態に開繊しやすく、シート化工程での均一な分散を達成しやすくなる。
また、凹凸度が高いことで、シート化工程に供する前の熱可塑性繊維間を良好に開繊できるようになるが、断面の一部に負荷が集中して割れが生じない範囲としては、凹凸度が50%以下であり、本発明における実質的な上限値として挙げることができる。
本発明の熱可塑性繊維は、繊維の形態的特徴と繊維構造に由来する接着面積増大効果と良流動性により優れた熱接着性を発揮するものであり、上記した繊維横断面の特徴的な形態によって接着面積と良流動性の効果を余すことなく発揮するものである。本発明の熱可塑性繊維を湿式抄紙等のシート化工程により紙や不織布等のシート状物とし、さらにカレンダー加工で熱プレスする等により、主体繊維等の被接着材間を強固かつ均一に接着し、優れた力学物性を発揮するのである。特に、本発明の熱可塑性繊維は、接着面積増大効果と良流動性により構成繊維量の少ない薄地・低目付のシート状物であっても優れた力学物性を発揮できるため、小型軽量で高性能なフィルターや隔膜に適したシート状物を得ることができる。
なお、隣り合う繊維間の接着・摩擦力等による橋架け構造により、そのシート状物の力学特性を発揮することとなるが、この橋架け構造は、シート状物内に存在する繊維間が相互に作用して力が伝達するような構造となるため、シート状物内に同一量の繊維が存在する場合には、繊維径が細く繊維長が長いほど、橋架け構造が形成されて力の伝達が促進されることとなる。すなわち、繊維径に対する繊維長の比が高いほど、橋架け構造の形成が促進されることとなり、この指標として本発明の熱可塑性繊維では繊維長を短軸の長さで除した値であるアスペクト比が高いことが好適であると言える。
本発明で言うアスペクト比とは、以下のように求めるものである。
本発明の熱可塑性繊維からなる繊維束をマイクロスコープにて全長を測定できる繊維が10本以上観察できる倍率で画像を撮影する。繊維が撮影された画像から無作為に抽出した10本の繊維の繊維長を測定する。ここで言う繊維長とは、2次元的に撮影された画像から繊維1本の長手方向の長さとし、画像解析ソフトを用いてmm単位で小数点第2位を四捨五入して測定するものである。以上の操作を同様に撮影した10画像について行い、100本の繊維の繊維長の算術平均を本発明の繊維長とする。この繊維長を上記で求めた短軸の長さを用いて、下式により小数点以下を四捨五入して本発明のアスペクト比を算出する。
アスペクト比=繊維長(μm)/短軸の長さ(μm)
本発明の熱可塑性繊維を湿式抄紙等して使用する場合には、該アスペクト比が1000以上であることが好ましく、係る範囲であれば、繊維間に橋架け構造が十分に形成されることとなり、シート状物としての強度が向上されることとなる。
また、本発明において、熱可塑性繊維のアスペクト比が2000以上であることがより好ましく、係る範囲であれば、シート状物として優れた力学特性を発揮するだけでなく、シート化工程での繊維の脱落が極少化されるなど、工程通過性にも優れることとなる。
本発明の熱可塑性繊維を構成するポリマーは、シート状物や繊維製品としての実使用を踏まえると、耐熱性に優れたポリマーであることが好ましく、本発明の熱可塑性繊維を構成するポリマーの融点は180℃以上であることが好ましい。
ここで言うポリマーの融点は、以下のように求めるものである。
ポリマーを真空乾燥機によって水分率200ppm以下とし、約5mgを秤量し、示差走査熱量計(DSC)を用いて、0℃から320℃まで昇温速度16℃/分で昇温後、320℃で5分間保持してDSC測定を行う。昇温過程中に観測された融解ピークより融点を算出する。1試料につき3回測定を行い、その算術平均を本発明のポリマーの融点とする。なお、融解ピークが複数観測された場合には、最も高温側の融解ピークトップを融点とする。
本発明の熱可塑性繊維を構成するポリマーの融点が180℃以上であることにより、該熱可塑性繊維によって構成されたシート状物を種々加工して用いる場合であっても、加工工程中の熱で該熱可塑性繊維が軟化して接着力が損なわれづらく、優れた工程通過性を発揮するため、好ましい範囲として挙げることができる。
また、熱可塑性繊維を構成するポリマーの融点が200℃以上であることにより、他の融点の低い熱可塑性樹脂を塗布・塗膜する場合であっても、接着点の軟化によりシート状物の力学物性が損なわれづらく良好に工程を通過できるため、より好ましい範囲として挙げることができる。
さらに、熱可塑性繊維を構成するポリマーの融点が220℃以上であることにより、上記したような熱が加わる加工工程での張力が高い場合であっても、接着点が十分に固化した状態を維持でき、力学物性が損なわれることなく多様な工程を適用できるため、特に好ましい範囲として挙げることができる。
なお、本発明の熱可塑性繊維は、熱接着工程前は非晶状態を維持し、熱接着工程後に熱結晶化させることで、低温熱処理での強固な熱接着を実現しながらも実使用に十分な耐熱性を発揮することができる。以上を踏まえたポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィドを挙げることができ、これらのポリマーであれば、紡糸後の未延伸糸は室温環境下で非晶状態を維持しやすく、ガラス転移に由来する軟化・流動により被接着材間を強固に接着させた後、結晶化させることで優れた耐熱性や耐薬品性を発揮することができる。
また、本発明のもう1つは、薄地・低目付であっても良好な繊維間の熱接着性を示し、優れた力学物性を発揮することを特徴としたシート状物に関するものであり、ここで言うシート状物とは、繊維を3次元的に重ね合わせた紙や不織布に加えて、これらの紙や不織布を加工したものや重ね合わせたもの、粒子や樹脂を含侵あるいは表面に塗膜したものを指す。
本発明のシート状物は、上記した飛躍的に大きな接着面積を確保できる本発明の熱可塑性繊維をバインダー繊維として用いることで、シート状物の骨格材である主体繊維間が強固かつ均一に接着されていることを特徴としている。従来技術では達成されなかった優れた力学物性を達成するための重要な要件として、シート状物の断面において、繊維断面の外周長Pと、Pのうち接着部と接している接着長Pとの割合である接着率P/Pのばらつきが80%以下である必要があり、本発明のシート状物の要件としている。
なお、ここで言う接着部とは、シート状物を構成するバインダー繊維が、加熱により軟化・流動することで、隣接する主体繊維間を接着している部分を指し、この接着部においてバインダー繊維は軟化・流動前の繊維形態を完全に失っていても、一部、繊維形態を維持するものであってもよい。なお、上記した接着率P/Pのばらつきとは以下のようにして求めるものである。
本発明のシート状物の断面を剃刀等で切断して切り出し、この断面を走査型電子顕微鏡(SEM)等でシート状物の厚み方向全体が観察できる倍率で撮影する。
撮影した画像に存在する繊維(主体繊維)1本の横断面について、画像解析ソフトを用いて、断面外周部の長さを測定する。この値を繊維1本の外周長Pm1とし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この外周長Pm1のうちバインダー繊維と接着している外周部の長さを画像解析ソフトで測定し、この値を繊維1本の接着長Pb1とし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。なお、シート状物の断面において、バインダー繊維は、熱接着工程による軟化・流動により主体繊維間に含侵する形態で存在している(既に繊維としての形態は保持されていない場合もあるが、便宜上、以下においてもバインダー繊維と記すことがある)が、主体繊維とそこに含侵したバインダー繊維の間で、凹凸の違いによるコントラストが得られることから、主体繊維とバインダー繊維の界面を識別することができる。この外周長Pmnと接着長Pbnを用いて、下式により整数で(小数点以下を四捨五入)繊維1本の接着率Pbn/Pmnを算出する。
bn/Pmn(%)=Pbn(μm)/Pmn(μm)×100
上記の測定を100本の繊維について実施して各主体繊維の接着率Pbn/Pmn(n=1~100)を算出し、これらの算術平均と標準偏差を算出し、標準偏差を算術平均で除することで得られる変動係数を%単位の整数で小数点以下を四捨五入して表した値を本発明で言う接着率P/Pのばらつきとする。
本発明のシート状物が優れた力学物性を発揮するためには、シート状物内全体で均一に主体繊維間を接着している必要があり、この指標として接着率P/Pのばらつきが80%以下である必要があり、係る範囲であれば、バインダー繊維で接着されていない主体繊維の割合が少なく、主体繊維間がす抜けづらいため、優れた力学物性を発揮できる。
この技術思想に基づくと、接着率P/Pのばらつきが小さいほどシート状物全体で均一に主体繊維間が接着されて優れた力学物性を発揮することとなり、接着率P/Pのばらつきが70%以下であることが好ましく、係る範囲であれば、シート状物全体の主体繊維で一定の接着長が確保され、接着長の極端に短い接着点起因でのシート状物の破壊が起こりづらくなる。
さらに、接着率P/Pのばらつきが60%以下であることがより好ましく、係る範囲であれば、シート状物全体の主体繊維で均一に応力を負担できるため、薄地・低目付のシート状物であっても優れた力学物性を発揮することができる。
また、各接着点における主体繊維とバインダー繊維の接着強度という観点では、接着率P/Pが高いほどが好ましく、接着率P/Pが25%以上であれば、主体繊維がバインダー繊維によって強固に接着されており、容易に界面で剥離しないため、好ましい範囲として挙げることができる。
さらに、接着率P/Pが30%以上あれば、シート状物の破壊が主体繊維自体の破壊によって生じるほどに接着点が強固に接着されることとなり、主体繊維の力学物性をシート状物の力学物性として十分に発揮できるため、より好ましい範囲として挙げることができる。
なお、本発明のシート状物の多孔質構造を有効に活用するという観点では、シート状物の空隙率は高いことが好ましく、空隙率が30%以上であれば、構成する繊維間の空隙を有効に活用して高度な濾過・分離性能を発揮しやすく、好ましい範囲として挙げることができる。
また、該シート状物の空隙率は50%以上であることがより好ましく、係る範囲であれば、該シート状物内に粒子や樹脂などを含侵させた場合に、その高い空隙率に由来して十分な量の粒子や樹脂を担持でき、シート状物を基材としながらも含侵成分の性能を発揮することができる。
さらに、該シート状物の空隙率は65%以上であることにより、粒子や樹脂などの含侵を想定した場合には、容易にシート状物の隅々まで粒子や樹脂を行き渡らせることができ、高圧力を付与しないディッピングで加工した場合であっても含侵成分の性能を存分に発揮することとなるため、特に好ましい範囲として挙げることができる。
以上のように、本発明の熱可塑性繊維は、膨大な接着面積と良流動性により優れた熱接着性を発揮するものであり、紙や不織布などのシート状物はもちろんのこと、綿状物、帯状物、紐状物、糸状物など、いかなる構造や形状の材料に用いることができる。この優れた熱接着性を活かした用途として、フィルター、有害物質除去製品、電池用セパレーター、吸音材などの資材用途をはじめ、化粧品、化粧用マスク、ワイピングクロスなどの生活用途、細胞培養用足場材、人工血管、血液フィルターなどの医療用途、およびジャケット、スカート、パンツ、下着などの衣料材などが挙げられる。
以下に本発明の熱可塑性繊維の製造方法の一例を詳述する。
本発明の熱可塑性繊維の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば難溶解性ポリマーと易溶解性ポリマーからなる多層積層繊維(図2)から易溶解性ポリマーを除去することによって得ることができる。
なお、ここで言う多層積層繊維とは、2種類以上のポリマーが、交互あるいは順不同に積層された多層積層構造の繊維断面を有した繊維を意味し、この積層構造の形態としては、難溶解性ポリマーと易溶解性ポリマーが、一方向に交互積層されたものだけでなく、繊維中心から外層に向けて放射状に積層されたものや、繊維断面において、不規則に積層されたもの、または、これらを組み合わせたものであってもよい。
本発明の多層積層繊維の製糸方法は、所有する製造プロセスや使用するポリマーに応じて、適宜選択するものであるが、生産性に優れるという観点から、溶融紡糸法を採用すると良い。
溶融紡糸法による多層積層繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタンなどの溶融成形可能なポリマーで製糸することができる。また、これらのポリマーは、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。また、これらの添加剤を含むポリマーを選択した場合には、添加剤である微粒子の粒径に対応して多層積層繊維の各層に凹凸が生じることとなり、これを元に発生させる繊維に任意の凹凸を付与することもできる。
上記したポリマーの中から2種類以上のポリマーを選択し、製糸することで多層積層繊維が製造されるが、安定な積層構造を形成するという観点では、ポリマーの組み合わせも重要である。すなわち、組み合わせるポリマーの溶解度パラメーター(SP値)差が小さいほど、層間で合流などがない良好な積層構造が形成されることとなり、界面を形成する2種類のポリマーの溶解度パラメーター差が3.0以下となるようポリマーを選択するとことが好ましい。
ここで言う溶解度パラメーター(SP値)とは、(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメーターを意味し、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載の値から算出でき、一方の成分の溶解度パラメーターからもう一方の成分の溶解度パラメーターを減じた値の絶対値が本発明で言う溶解度パラメーター差を意味する。
また、溶解性の異なるポリマーを用いることによって、多層積層繊維の易溶解性ポリマーを除去し、難溶解性ポリマーからなる短繊維を効率良く発生させることができる。例えば、多層積層繊維を構成するポリマーをアルカリ易溶解性ポリエステルとアルカリ難溶解性ポリエステル、あるいは、アルカリ易溶解性ポリエステルとポリフィニレンスルフィド(アルカリ難溶解性)、あるいは、アルカリ易溶解性ポリエステルとポリアミド(アルカリ難溶解性)とすれば、アルカリ減量処理により、アルカリ難溶解性ポリマーからなる短繊維が良好に発生することとなる。特に、易溶解性ポリエステルとしては、ポリエチレングリコール、ナトリウムスルホイソフタル酸が単独、あるいは組み合わされて共重合したポリエステルを用いることが、紡糸性および低濃度の水系溶剤に簡単に溶解するという観点から好ましい。多層積層繊維から短繊維を発生させるのに好適なポリマーの組合せの例として、融点の関係から易溶解成分に5-ナトリウムスルホイソフタル酸が5mol%~15mol%共重合されたポリエチレンテレフタレートおよびに前述した5-ナトリウムスルホイソフタル酸に加えて重量平均分子量500~3000のポリエチレングリコールが5wt%~15wt%共重合されたポリエチレンテレフタレート、難溶解成分にポリエチレンテレフタレート、あるいは、ポリフィニレンスルフィドを用いることが挙げられる。
多層積層繊維を紡糸する際の紡糸温度は、2種類以上のポリマーのうち、主に高融点や高粘度ポリマーが流動性を示す温度とする。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点から融点+60℃以下で設定するよい。これ以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解等することなく、分子量低下が抑制されるため好ましい。多層積層繊維を紡糸する際の吐出量としては、0.1g/min・hole~20.0g/min・holeとすることで安定して製造することができる。また、A成分とB成分の比率は、吐出量を基準にA成分/B成分の重量比率で5/95~95/5の範囲で選択することができる。A成分として難溶解性ポリマー、B成分として易溶解性ポリマーを用いて、多層積層繊維から短繊維を発生させる場合、難溶解性ポリマー比率が高いほど扁平極細繊維の生産性の観点では好ましく、A成分/B成分比率が、50/50~95/5であれば、積層構造の一部が途切れることなく、安定して多層積層繊維が得られ、高い生産効率で本発明の熱可塑性繊維を得ることができる。
上記した紡糸温度で溶融し、流動性を持たせたポリマーは、紡糸口金に挿入することで、複合流を形成し、多層積層断面を有した繊維の製造が可能となる。ここで用いる紡糸口金は、2種類以上のポリマーを複合化させる従来公知の複合口金を応用して製糸することも可能であるが、特殊な多層積層断面を安定的に形成するには、下記する複合口金が好適に用いられる。
本発明で好適に用いられる複合口金は、例えば、図3に示すような計量プレートD、複合プレートEおよび吐出プレートFの3種類の部材が積層された複合口金を用いることが好ましい。ちなみに、図3は、A成分およびB成分といった2種類のポリマーを用いた例であり、必要であれば3種類以上のポリマーを用いて製糸してもよい。
該複合口金では、計量プレートDにより、複合プレートEの各孔当たりのポリマー量を計量し、複合プレートEにより計量された異なる種類のポリマー流を合流させて複合流とし、これを分割・再合流することで複合流を構成する層数を倍増させ、吐出プレートFによって複合プレートEで形成された複合流を圧縮して吐出するという役割を担っている。なお、ここで言う複合流とは、流動方向に垂直な断面が2種類以上のポリマーによって構成された流体を意味する。
複合プレートEの微細流路は、流路内における流れの乱れを極小化するような流路構成とすることで、多層積層繊維の製造を可能としたものである。ちなみに、上述した微細流路は、流路内で流体を合流または分割するという点においては、従来の静止型混合器(スタティックミキサー)と同様の特徴を有していると言えるが、一般的な静止型混合器は2種類のポリマーを混合することを目的とした流路設計となっており、積層した複合流の界面に乱れが生じやすく、上記したような複合口金を用いる方法が好適に採用される。
なお、複合口金の説明が錯綜するのを避けるために、図示されていないが、計量プレートDよりも上に積み重ねられる部材に関しては、紡糸機および紡糸パックに合わせて、流路を形成する部材を用いればよい。計量プレートDを既存の流路部材に合わせて設計することで、既存の紡糸パックおよびその部材をそのまま活用することができる。このため、特に該口金のために紡糸機を専有化する必要はない。
また、実際には、流路-計量プレートD間、あるいは計量プレートD-複合プレートE間に複数枚の流路プレートを積み重ねるとよい。これは、口金断面方向および単繊維の断面方向に効率的にポリマーが移送される流路を設け、複合プレートEに導入される構成とすることが目的である。
吐出プレートFより吐出された複合流は、冷却固化されて、油剤を付与されて周速が規定されたローラーによって引き取られて複合繊維となる。この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定すればよいが、本発明の熱可塑性繊維を安定に製造するには、100~3000m/minの範囲で未延伸糸として引き取ることが好ましい。
以上については、溶融紡糸法を採用した事例になるが、上記した複合口金を使用すれば、溶液紡糸のような溶媒を使用する紡糸方法でも、本発明に用いる多層積層繊維を製造することが可能なことは言うまでもない。
以上のようにして得られた多層積層繊維から特殊な形態的特徴を有する熱可塑性繊維を得るには、易溶解性ポリマーが溶解可能な溶剤などに多層積層繊維を浸漬して易溶解性ポリマーを除去することで、難溶解性ポリマーからなる特殊な形態的特徴を有する熱可塑性繊維を得ることができる。易溶解性ポリマーが、5-ナトリウムスルホイソフタル酸などが共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートの場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いることができ、その方法としては、例えば、多層積層繊維あるいはそれからなるシート状物とした後で、アルカリ水溶液に浸漬させればよい。この時、アルカリ水溶液を40~80℃とすると、繊維の結晶化度を低く維持しつつ、加水分解の進行を早めることができるため好ましい。なお、多層積層繊維から該熱可塑性繊維を発生させる方法としては、上述の溶解処理に限定されるものではないが、易溶解性ポリマーの溶解除去により難溶解性ポリマーからなる熱可塑性繊維の単繊維へと確実に分離しつつ、繊維の損傷を最低限に抑えることができ、本発明の熱可塑性繊維を良好に発生させることができる。
なお、本発明の熱可塑性繊維をバインダー繊維として用いることで本発明のシート状物とすることができる。本発明の熱可塑性繊維をシート状物とする場合、その方法は特に限定されるものではない。例えば抄紙法を選択することで該熱可塑性繊維をシート状物内全体に均一に分散させやすく、得られたフィラメントを数十本~数万本束ねたトウにして、所望の繊維長にカットすることで、抄紙法に適した短繊維とすることができる。なお、易溶解性ポリマーを除去する前の多層積層繊維の状態でカットしてもよく、易溶解性ポリマー除去後の難溶解性ポリマーからなる熱可塑性繊維の状態でカットしてもよい。
上記した多層積層繊維から発生させた該熱可塑性繊維は、短軸の長さが短く、長軸の長さが非常に大きいといった特殊な繊維横断面を有することとなり、この断面形状に由来して繊維間で絡み合いを起こしにくく、該熱可塑性繊維を水媒体中に分散させた場合に均質性の高い抄紙原液となる。
実使用等における紙や不織布等のシート状物の形態を安定させて力学特性を向上させるという観点では、本発明の熱可塑性繊維をバインダー繊維として5~70重量%で混合することが好ましく、係る範囲であれば、シート状物の緻密構造を固定し、シート強度を向上させることができる。さらには、シート状物の骨格を担うことを目的とした主体繊維と混合されていることが好ましく、シート状物の総重量に対して、10~95重量%で適宜調整することができる。なお、主体繊維を混合した場合には、主体繊維間に該熱可塑性繊維が充填されて、主体繊維間の接着点として作用することで橋掛け構造を形成し、優れた力学物性を発揮するものである。
ここで言う主体繊維の繊維径や繊維横断面は、目的に応じて適宜選択することができるが、薄地・低目付で緻密な多孔質構造を有したシート状物の形成を目的とする場合には、主体繊維においても、短軸の長さに対して、長軸の長さが長い扁平断面を有した繊維が好適に採用され、この場合には、本発明の熱可塑性繊維との積層構造が円滑に形成され、より緻密性に優れたシート状物の製造が可能になる。なお、主体繊維は、バインダー繊維よりも軟化温度が高いことが好ましく、十分に結晶化が進行した結晶化度が高い繊維であることが好ましい。主体繊維が結晶化度の高い繊維であることで、同一組成のポリマーからなるバインダー繊維を非晶状態で用いた場合に、主体繊維は軟化せずにシート状物の強靭な骨格材として働きながらも、バインダー繊維のみが軟化・流動して主体繊維間を強固に接着することができる。
以上の各種短繊維を調製した抄紙原液を、一定濃度に希釈した後、傾斜ワイヤー、円網上等で脱水して、シート状物を形成する。抄紙に使用する装置としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜短網抄紙機あるいはこれらを組み合わせた抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、抄紙原液中での繊維の分散性に加え、所望の目付に合わせて、抄紙速度や繊維量、水媒体量を調整し、濾水時の繊維の集積を制御する。ここで形成されたシート状物は、乾燥工程および熱処理工程を経て、水分の除去とバインダー繊維の接着を行い、本発明のシート状物が製造される。この乾燥方式としては、シートの乾燥とバインダー繊維の熱接着を同時に実施できる観点から、熱風通気(エアースルー)を利用する方法や熱回転ロール(熱カレンダーロール等)に接触させる方法が好適に採用される。
以下に実施例を挙げて、本発明の熱可塑性繊維およびシート状物について具体的に説明する。
実施例および比較例については、下記の評価を行った。
A.ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度1216s-1の溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s-1の溶融粘度を記載している。なお、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
B.ポリマーの融点
試料を真空乾燥機によって水分率200ppm以下とし、約5mgを秤量し、TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC)Q2000を用いて、0℃から320℃まで昇温速度16℃/分で昇温後、320℃で5分間保持してDSC測定を行った。昇温過程中に観測された融解ピークより融点を算出した。測定は1試料につき3回行い、その平均値を融点とした。なお、融解ピークが複数観測された場合には、最も高温側の融解ピークトップを融点とした。
C.溶解度パラメーター差
溶解度パラメーター(SP値)は、(蒸発エネルギー/モル容積)の平方根で定義される物質の凝集力を反映するパラメーターであり、種々の溶剤にポリマーを浸漬させ、膨潤の圧が極大となる溶剤の(蒸発エネルギー/モル容積)の値を該ポリマーの(蒸発エネルギー/モル容積)とすることにより求めることができる。このようにして求められたSP値は、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されており、この値を用いることができる。また、組み合わせるポリマーの溶解度パラメーター差は、(A成分のSP値-B成分のSP値)の絶対値として算出する。
D.繊度
繊維の100mの重量を測定し、その値を100倍した値を算出した。この測定を10回繰り返し、その平均値を繊度(dtex)とした。また上記の繊度をフィラメント数で割った値を単繊維繊度(dtex)とした。
E.比表面積P/S
熱可塑性繊維からなる繊維束をエポキシ樹脂などの包埋剤で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert-Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面を(株)日立製作所製 H-7100FA型透過型電子顕微鏡(TEM)にて断面を認識できる倍率にして画像を撮影した。画像解析ソフト(WINROOF)を用いて、断面外周部の任意の位置を測定開始点に定め、測定開始点から外周部を一連の画像でたどり、再び測定開始点に戻るまでの長さを測定する。この値を繊維1本の周長Pfnとし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この外周部に囲われた内側の面積を画像解析ソフトで測定し、この値を繊維1本の断面積Sfnとし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この周長Pfnと断面積Sfnを用いて、下式により小数点第3位を四捨五入して繊維1本の比表面積Pfn/Sfnを算出する。
fn/Sfn(μm-1)=Pfn(μm)/Sfn(μm
上記の測定を100本の繊維について実施して各繊維の比表面積Pfn/Sfn(n=1~100)を算出し、これらの算術平均を本発明の比表面積P/Sとする。
F.扁平度・短軸の長さ・長軸の長さ
上記で撮影した繊維横断面について、三谷商事株式会社製画像解析ソフトWINROOF2015を用いて、単繊維の横断面の最大長を測定し、この値を単繊維の長軸の長さとしてμm単位で小数点以下第3位を四捨五入して求めた。次に、最大長の中間点で最大長の線分と直交する線分が繊維断面と交わる長さを測定し、この値を単繊維の短軸の長さとしてμm単位で小数点以下第3位を四捨五入して求めた。この長軸の長さと短軸の長さを用いて、下式により単繊維の扁平度を算出した。
扁平度=長軸方向の長さ(μm)/短軸方向の長さ(μm)
上記の測定を100本の繊維について実施して各繊維の扁平度を算出し、これらの算術平均の小数点以下を四捨五入して扁平度を算出した。なお、短軸の長さと長軸の長さについても、上記で測定した100本の繊維のそれぞれの長さの算術平均をμm単位で小数点以下第3位を四捨五入して求めた。
G.短軸の長さのばらつき
上記で測定した100本の繊維の短軸の長さを用いて標準偏差を算出し、標準偏差を算術平均で除することで得られる変動係数を%単位の整数で小数点以下を四捨五入して短軸の長さのばらつきを算出した。
H.凹凸度
上記で撮影した繊維断面の画像を用いて、断面の最大長を10等分した点で最大長の線分と直交する直線のうち繊維断面と交わる部分の長さをそれぞれ測定し、これら10箇所の長さの算術平均と標準偏差を算出して、標準偏差を平均値で除してパーセント単位で少数点以下を四捨五入した値を単繊維の凹凸度として算出した。同様の測定を10本の繊維断面について行い、算出した10本の単繊維の凹凸度の算術平均を凹凸度として算出した。
I.繊維長・アスペクト比
熱可塑性繊維からなる繊維束をマイクロスコープにて全長を測定できる短繊維が10本以上観察できる倍率で画像を撮影する。短繊維が撮影された画像から無作為に抽出した10本の短繊維の繊維長を測定する。ここで言う繊維長とは、2次元的に撮影された画像から繊維1本の長手方向の長さとし、画像解析ソフトを用いてmm単位で小数点第2位を四捨五入して測定するものである。以上の操作を同様に撮影した10画像について行い、100本の繊維の繊維長の算術平均を本発明の繊維長とする。この繊維長をμm単位に換算した値と上記で求めた短軸の長さを用いて、下式により小数点以下を四捨五入して本発明のアスペクト比を算出する。
アスペクト比=繊維長(μm)/短軸の長さ(μm)
J.結晶化度
電子天秤を用いて熱可塑性繊維を約5mg量り取った後、TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSC)Q2000型に繊維をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分、測定温度範囲50~320℃の条件で示差走査熱量測定を実施する。
得られた測定結果(DSC曲線)における発熱ピークの面積より結晶化発熱量ΔHc(J/g)、吸熱ピークの面積より結晶融解熱量ΔHm(J/g)を算出する。なお、発熱ピークや吸熱ピークが複数見られた場合、すべてのピークの面積を合算した値より、ΔHcおよびΔHmを算出する。1水準につき測定位置を変更して3回測定を行い、算術平均を求めΔHcおよびΔHmを算出した後、以下の式にて、小数点第1位を四捨五入して結晶化度を算出する。
結晶化度(%)=(ΔHm-ΔHc)/ΔHm×100
なお、ここで言うΔHmは完全結晶融解熱量(J/g)であり、PETの場合には140.1(J/g)、PPSの場合には146.2(J/g)を用いた。
K.tanδ
オリエンテック社製レオバイブロン DOV-II-EPを使用し、海島複合繊維の動的粘弾性測定を実施した。チャック間距離30mmで試料を挟み、0.07g/dtexの張力をかけ、昇温速度3℃/min、周波数110Hzの条件で測定したときのtanδのピークトップ温度およびピーク値を評価した。
L.目付
250mm×250mm角に切り出したシート状物を秤量し、単位面積(1m)当たりの重量(g)に換算した値の小数点第1位を四捨五入して整数値としたものを不織布の目付とした。
M.厚み
TECLOCK社製ダイヤルシックネスゲージSM-114(測定子形状10mmφ、目量0.01mm、測定力2.5N以下)を用いてμm単位で測定し、シート状物の厚みを測定した。測定は1サンプルにつき無作為の5ヶ所で行い、その算術平均を整数で小数点以下を四捨五入して求めた値を不織布の厚みとした。
N.空隙率
シート状物の目付および厚さから、以下の式にてシート状物の見かけ密度を算出する。
見かけ密度(g/cm)=目付(g/m)/厚み(μm)
これを10サンプルについて行い、その算術平均値の小数点第3位を四捨五入した値を見かけ密度とし、以下の式から空隙率を算出した。
空隙率(%)=(1-見かけ密度/真密度)×100
なお、実施例で挙げたポリエチレンテレフタレートおよびポリフェニレンスルフィドの真密度(g/cm)として、1.38(g/cm3)を用いた。
O.接着率・接着率のばらつき
シート状物の断面を剃刀等で切断して切り出し、この断面を株式会社日立ハイテクノロジーズ社製走査型電子顕微鏡S-5500(SEM)でシート状物の厚み方向全体が観察できる倍率で撮影する。撮影した画像に存在する主体繊維1本の横断面について、画像解析ソフトを用いて、断面外周部の長さを測定する。この値を繊維1本の外周長Pm1とし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。この外周長Pm1のうちバインダー繊維と接着している外周部の長さを画像解析ソフトで測定し、この値を繊維1本の接着長Pb1とし、μm単位で小数点第3位を四捨五入して表す。なお、シート状物の断面において、バインダー繊維は、熱接着工程による軟化・流動により主体繊維間に含侵する形態で存在しているが、主体繊維とそこに含侵したバインダー繊維の間で、凹凸の違いによるコントラストが得られることから、主体繊維とバインダー繊維の界面を識別できる。この外周長Pmnと接着長Pbnを用いて、下式により整数で(小数点以下を四捨五入)繊維1本の接着率Pbn/Pmnを算出する。
bn/Pmn(%)=Pbn(μm)/Pmn(μm)×100
上記の測定を100本の繊維について実施して各主体繊維の接着率Pbn/Pmn(n=1~100)を算出し、これらの算術平均を本発明の接着率P/Pとする。標準偏差についても同様に算出し、標準偏差を算術平均で除することで得られる変動係数を%単位の整数で小数点以下を四捨五入して表した値を本発明で言う接着率P/Pのばらつきとする。
P.均一性
250mm×250mm角に切り出したシート状物の均一性を目視観察により次の3段階で評価した。
A:シート状物内に繊維塊がなく均一性が良好である
B:シート状物内に繊維塊が視認できる
C:シート状物内に繊維塊が視認できるとともに破れやピンホールが生じている。
Q.強度
オリエンテック社製テンシロンUTM-III-100を用いて、試料幅15mm、初期長20mm、引張速度20mm/分の条件で最大点荷重の値を測定し、5回の測定値の単純な数平均を求めシート状物の強度(N/15mm)を算出し、小数点第1位を四捨五入した。
[参考例1]
ポリエチレンテレフタレート(PET、溶融粘度:120Pa・s、融点:254℃、SP値:21.4MPa1/2)を290℃で溶融紡糸した。吐出されたポリマー流を冷却固化させた後、油剤を付与し、紡糸速度1000m/minで巻取り、200dtex-72フィラメント(総吐出量20g/min)の未延伸糸を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラー間で3.6倍延伸を行い、56dtex-72フィラメントの延伸繊維を得た。その後、得られた延伸繊維をカッターにて切断し、平均繊維長5mmの短繊維を得た。
[参考例2]
p-フェニレンスルフィド単位のみからなるポリフェニレンスルフィド(PPS、溶融粘度:130Pa・s、融点:283℃、SP値:25.8MPa1/2)を310℃で溶融紡糸した。吐出されたポリマー流を冷却固化させた後、油剤を付与し、紡糸速度1000m/minで巻取り、200dtex-72フィラメント(総吐出量20g/min)の未延伸糸を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と200℃に加熱したローラー間で3.6倍延伸を行い、56dtex-72フィラメントの延伸繊維を得た。その後、得られた延伸繊維をカッターにて切断し、平均繊維長5mmの短繊維を得た。
[実施例1]
A成分として、ポリエチレンテレフタレート(PET、溶融粘度:120Pa・s、融点:254℃、SP値:21.4MPa1/2)と、B成分として、5-ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%、ポリエチレングリコールを9wt%共重合したポリエチレンテレフタレート(SSIA-PEG共重合PET、溶融粘度:95Pa・s、融点:233℃、SP値:22.9MPa1/2)を準備した。なお、これらのポリマーの溶解度パラメーター差は1.5MPa1/2となる。
A成分およびB成分を290℃で別々に溶融後、A/B成分の複合比率を80/20として、図3に例示した複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出した。なお、複合プレートには両成分を交互に64層に積層できる微細流路Gを用い、図2に示すような2種類のポリマーが一方向に交互に多層積層された複合形態となるように吐出した。吐出された複合ポリマー流を冷却固化させた後、油剤を付与し、紡糸速度1000m/minで巻取り、100dtex-24フィラメント(総吐出量20g/min)の未延伸糸を採取した。
得られた多層積層繊維を繊維長が5.0mmとなるようにカット加工し、カットした多層積層繊維を50℃に加熱した1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(浴比1/100)に60分間浸漬することで、易溶解性ポリマーのSSIA-PEG共重合PETを99%以上溶解除去して図1に示すような横断面が扁平形状の熱可塑性繊維を得た。
得られた熱可塑性繊維の横断面から比表面積P/Sを測定したところ、比表面積P/Sは4.14μm-1と極めて大きなものであった。断面形態は、長軸と短軸の長さが著しく異なったリボン状の断面となっており、扁平度は40で、短軸の長さは0.50μm、長軸の長さは20.00μmであった。また、断面の短軸の長さのバラツキは32%、凹凸度は21%であり、適度に短軸の長さにバラツキを有し、かつ表面に適度に凹凸が存在するものであった。また、結晶化度は6%と非晶状態であり、tanδは0.25と高い流動性を示すものであった。
バインダー繊維として上記の熱可塑性繊維を30質量%、被接着材の主体繊維として参考例1にて得られた短繊維を70質量%の割合で抄紙分散液中に混合し、繊維濃度が0.4質量%となるように調合した。この抄紙液を簡易抄紙機に供給し、目付5g/mの湿式不織布を得た。さらに、80℃の平板加熱プレス機を用いて、プレス圧1.5MPaで3分間熱圧着を行い、シート状物を得た。
得られたシート状物には繊維塊などの凝集体がなく均一は良好であり、薄地・低目付でありながらも強度は2.40N/15mmと良好であった。結果を表1に示す。
[実施例2、3]
実施例1に記載の方法において、両成分を32層(実施例2)、16層(実施例3)に積層する微細流路を有した複合プレートに変更した以外はすべて実施例1と同様に実施した。これらの多層積層繊維に上記と同様のカット加工と溶解処理を行い、図1に示すような断面形状が扁平の熱可塑性繊維を得た。これらの熱可塑性繊維の評価結果は、表1に示すとおりであるが、実施例2および実施例3は大きな比表面積を有しており、また、断面形状は扁平度の高い極薄のリボン状で、適度な短軸の長さのバラツキと凹凸度を有するものであった。シート状物として評価したところ、実施例1と比較して、扁平度が減少し、短軸の平均長さが増加するにともない、接着率がわずかに低下し、接着率のばらつきがわずかに大きくなるものの、薄地・低目付でありながらも優れた強度を発揮するものであった。
[実施例4、5]
実施例2に記載の方法において、易溶解性ポリマーを除去する際の溶解処理の温度を60℃(実施例4)、70℃(実施例5)にした以外はすべて実施例2と同様に実施した。評価結果は表1に示すとおりであるが、実施例2と比較して、溶解処理の温度が高くなることで、熱可塑性繊維の結晶化度が増加し、tanδが低下した。シート状物とした場合には、実施例2と比較して結晶化度が高くなり流動性が低下することにより、接着率が低下し、接着率のばらつきが増加したが、優れた強度を維持するものであった。
[実施例6、7]
実施例2に記載の方法において、微細流路Gとは流路構成が異なる複合プレートを用いた以外はすべて実施例2と同様に実施した。得られた熱可塑性繊維の評価結果は表1に示すとおりであるが、実施例2と同様の扁平度が高い極薄の断面形状を有していたが、複合プレートの流路構成変更により、短軸の長さばらつきが小さい断面の熱可塑性繊維(実施例6)と、凹凸度が小さい断面の熱可塑性繊維(実施例7)を得た。シート状物として評価したところ、シート状物内に繊維塊はなく均一であったが、実施例2と比較して、わずかに接着率が減少し、接着率のばらつきが増加していたが、強度に優れるものであった。
[比較例1]
参考例1に記載の未延伸糸をバインダー繊維として用いた以外はすべて実施例1と同様に実施した。評価結果は以下に示す通りであるが、繊維横断面は丸断面形状で比表面積も小さいものであり、これをシート状物とした場合には、随所で破れやピンホールのある不均一なものとなり、接着率のばらつきも極めて大きく、強度も著しく低いものであった。
[比較例2]
実施例2に記載の方法において、120℃に加熱した熱風乾燥機に多層積層繊維を30分間放置して事前に熱結晶化させた後、90℃、30分間で溶解処理を行った以外はすべて実施例2と同様に実施した。評価結果は表1に示すとおりであるが、得られた熱可塑性繊維は結晶化度が36%と高く、これをシート状物とした場合には、随所で破れやピンホールのある不均一なものとなり、接着率のばらつきも極めて大きく、強度も著しく低いものであった。
[実施例8、9]
実施例2、実施例3に記載の方法において、A成分をp-フェニレンスルフィド単位のみからなるポリフェニレンスルフィド(PPS、溶融粘度:130Pa・s、融点:283℃、SP値:25.8MPa1/2)、B成分を5-ナトリウムスルホイソフタル酸が5.0mol%共重合されたポリエチレンテレフタレート(SSIA共重合PET、溶融粘度:130Pa・s、融点:245℃)として310℃で吐出し、吐出された複合ポリマー流を冷却固化させた後、油剤を付与し、紡糸速度1000m/minで巻取り、100dtex-24フィラメント(総吐出量20g/min)の未延伸糸を採取した。
得られた未延伸糸を50℃に加熱した3重量%の水酸化ナトリウム水溶液(浴比1/100)に40分間浸漬して溶解処理し、易溶解性ポリマーのSSIA共重合PETを99%以上溶解除去して図1に示すような横断面が扁平形状の熱可塑性繊維を得た。なお、水酸化ナトリウム水溶液中には溶解促進剤としてライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製DY-1125K(第4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤)を水酸化ナトリウム水溶液質量に対して0.5重量%添加した。
バインダー繊維として上記の熱可塑性繊維を30質量%、被接着材の主体繊維として参考例2にて得られた短繊維を70質量%の割合で抄紙分散液中に混合し、繊維濃度が0.4質量%となるように調合した。この抄紙液を簡易抄紙機に供給し、目付5g/mの湿式不織布を得た。さらに、120℃の平板加熱プレス機を用いて、プレス圧1.5MPaで3分間熱圧着を行い、シート状物を得た。
得られた熱可塑性繊維の評価結果は、表2に示すとおりであるが、実施例8および実施例9は大きな比表面積を有しており、また、断面形状は扁平度の高い極薄のリボン状で、適度な短軸の長さのバラツキと凹凸度を有するものであった。シート状物として評価したところ、シート状物内に繊維塊がなく均一であり、接着率が高く、接着率のばらつきが低いものであり、強度に優れるものであった。
[実施例10]
実施例8に記載の方法において、易溶解性ポリマーを除去する際の溶解処理の温度を100℃(実施例10)とした以外はすべて実施例8と同様に実施した。評価結果は表1に示すとおりであるが、実施例8と比較して、溶解処理の温度が高くなることで、熱可塑性繊維の結晶化度が増加し、tanδが低下した。シート状物とした場合には、実施例8と比較して結晶化度が高くなることで、接着率が低下し、接着率のばらつきが増加したが、優れた強度を維持するものであった。
[比較例3]
参考例2に記載の未延伸糸をバインダー繊維として用いた以外はすべて実施例8と同様に実施した。評価結果は以下に示す通りであるが、繊維横断面は丸断面形状で比表面積も小さいものであり、これをシート状物とした場合には、随所で破れやピンホールのある不均一なものとなり、接着率のばらつきも極めて大きく、強度も著しく低いものであった。
Figure 2024097405000001
Figure 2024097405000002
A:短繊維
B:A成分
C:B成分
D:計量プレート
E:複合プレート
F:吐出プレート
G:微細流路

Claims (7)

  1. 繊維横断面の周長Pと断面積Sの比である比表面積P/Sが0.50μm-1以上であり、結晶化度が20%以下であることを特徴とする熱可塑性繊維。
  2. 繊維横断面の長軸の長さと短軸の長さの比である扁平度が7以上であり、短軸の長さが4.00μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性繊維。
  3. 融点が180℃以上であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の熱可塑性繊維。
  4. 請求項1に記載の熱可塑性繊維が少なくとも一部に含まれるシート状物。
  5. 主体繊維が接着部で接着されて構成されたシート状物であって、シート状物の断面において、主体繊維の断面の外周長Pのうち接着部と接している接着長Pの割合である接着率P/Pのばらつきが80%以下であることを特徴とするシート状物。
  6. 空隙率が30%以上であることを特徴とする請求項5に記載のシート状物。
  7. 請求項4~請求項6のいずれかに記載のシート状物を一部に含んだ繊維製品。
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