JP5267809B2 - フィルター基材およびそれを用いたフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、成形性に優れたフィルター基材および、それを用いたフィルターに関する。更に詳しくは、優れた捕集性能と成形加工性及び形状保形耐久性を併せ持つフィルター基材、およびそのフィルター基材を用いた捕集性と耐久性に優れたフィルターを提供することにある。
汎用長繊維不織布であるポリエステル長繊維不織布をフィルター基材に使用するフィルターは公知である。が、ポリエステル長繊維不織布を用いると、高速紡糸による配向結晶化繊維では、伸度が低く、剛直で、結晶化促進のためと思われる、成形性が不充分となり、形状保持性が劣る問題が生じていることも公知である。
フィルターのプリーツ加工性を向上させるため、配向結晶化させない未延伸ポリエチレンテレフタレート長繊維不織布を用いる積層フィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、繊維伸度が高い低配向度のスパンボンド不織布を補強材として用いるため、成形加工性は向上するが剛直性と強度がやや劣る積層体になり、又、積層体を更に熱成形する場合、配向度の低い繊維が結晶化を促進されるため、脆くなり、形態保持性や耐久性が劣る問題がある。
プリーツ加工用不織布を未延伸糸を熱接着成分に使用し、凹凸襞付きカレンダーで凹凸加工する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、襞が付与されているので、折り畳み構造がつくりやすい効果はあるが、未延伸糸を使用することで、特許文献1と同様の問題がある。
フィルターのプリーツ成形性とプリーツ形態保持性を向上させる方法として、熱接着成分を用いる方法が多数提案されている。
低融点成分を鞘成分とする長繊維不織布をエンボス加工で低融点成分を圧着させて浅い凹凸を付与し、毛羽立ちを抑制し、500mg以上の剛軟度でプリーツの形態保持をおこなう方法が提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。この方法は、低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
低融点成分を鞘成分とする長繊維不織布をエンボス加工で低融点成分を圧着させて浅い凹凸を付与し、目付と剛軟度を規定した方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この方法は、シート剥離は改善されるが、低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
低融点成分を鞘成分とする長繊維層と低融点成分と高融点成分の長繊維が混繊された層が積層されエンボス加工し、更にカレンダー加工で厚み調整する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。低融点成分によりプリーツ加工性は向上するが、低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
低融点成分を含む太い複合繊維と細い繊維を混繊して熱接着成分を減らしてエンボス加工して、枠体機能を太い熱接着繊維で構成することによりプリーツ加工性、プリーツ形態保持性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献7参照)。この方法も低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
低融点成分を鞘成分とする複合長繊維の繊維配列を折り畳み方向に直列化して、プリーツの耐折強さを改良する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。この方法はある程度、耐折強さは改良されるが、低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
低融点成分を接着成分とした複合長繊維不織布をエンボス加工により、特定の通気度と目付の関係と剛軟度を満たし、プリーツ加工性と形態保持性を得る方法、および特定の目付と嵩密度にする方法で捕集性を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献9、10参照)。これらの方法でも、低融点成分によりプリーツ加工性は向上するが、低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
低融点成分を熱接着成分とする複合長繊維不織布に細繊度不織布と高融点長繊維不織布を積層してカレンダー加工により、プリーツ加工性と剛性を付与する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照)。この方法では、低融点成分が1層のみなので、緩和現象は緩和されるが、充分なプリーツ加工性を得るにはいたっていない問題が残る。
低融点成分を熱接着成分とする複合又は混繊長繊維不織布にエンボス加工する方法が提案されている(例えば、特許文献12参照)が、特許文献2〜5と同じ方法であり、同様の問題がある。
熱接着成分を少なくする方法として、花弁型断面として花弁部を熱接着成分とする方法が多数提案されている(例えば、特許文献13〜18参照)が、いずれも、低融点成分のガラス転移点温度(Tg)に由来する緩和による耐久性が劣る問題があるので好ましくない。
他方、低融点成分を含有しない長繊維不織布を用いる方法として、長繊維不織布をニードルパンチ加工で三次元交絡させ、樹脂含浸して繊維の交点を樹脂で固定する方法で剛性を付与して耐久性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献19参照)。この方法は、剛性は向上するが、ニードルパンチによる開孔でろ過性能が低下し、さらに、プリーツ加工性が劣る問題がある。
フィルター性能を保持して、プリーツ加工性の向上もしくは、プリーツ形態保持性を改良する方法は提案されているが、フィルター性能を保持しつつ、優れたプリーツ加工性と加熱雰囲気も含めたプリーツ形態保持性、耐久性を同時に併せ持つフィルター基材を得る課題は未だ解決されていない。
特開平4−180808号公報 特開平10−99608号公報 特開平9−192426号公報 特開平11−253718号公報 特開2001−54709号公報 特開平8−100371号公報 特開平11−192406号公報 特開2001−62217号公報 特開2003−275519号公報 特開2007−98259号公報 国際公開第2005/058458号パンフレット 特開2007−231500号公報 特開2001−248056号公報 特開2001−276529号公報 特開2001−271260号公報 特開2005−7268号公報 特開2005−111337号公報 特開2007−125546号公報 特開平6−47219号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、フィルター性能を保持しつつ、優れたプリーツ加工性とプリーツ形態保持性、耐久性を同時に併せ持つフィルター基材およびそのフィルター基材を用いたフィルターを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)ガラス転移点温度が60℃以上のポリエステル(A成分)98.0〜99.95重量%と、ポリエステル(A成分)と非相溶でガラス転移点温度が120℃〜160℃の熱可塑性樹脂(B成分)0.05〜2.0重量%を含有し、複屈折率が0.04〜0.09、繊度が1〜5dtexの長繊維で構成された、見掛密度0.30〜0.60g/cm、目付150〜400g/m、曲げ反発性が25〜60mN、MIT屈曲10000回試験後の引張強度保持率が70〜100%、180℃の乾熱収縮率が5%以下で、交絡処理していない長繊維不織布からなり、0.3μm以上0.5μm以下の粒子捕集効率が25%以上、QF値が0.03mmAq−1以上であることを特徴とするフィルター基材。
(2)A成分がポリエチレンテレフタレートであり、B成分がスチレン・メタクリル酸メチル・無水マレイン酸共重合体またはスチレン・マレイン酸共重合体である(1)記載のフィルター基材。
(3)プリーツ加工された(1)または(2)記載のフィルター基材。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルター基材を用いたフィルター。
本発明のフィルター基材をフィルターとして用いることにより、中性能フィルターの濾過機能を維持して、屈曲疲労性に優れ、良好なプリーツ加工性とプリーツ形態保持性に優れ、50℃未満の温度域でも耐久性に優れた各種フィルターが得られる。また、高性能フィルター用プレフィルターとして用いる場合も、高機能フィルターを積層してプリーツ加工する場合にも、プリーツ加工性が良好なため、高機能フィルターへの負荷を最小にした高性能フィルターを得られ、プレフィルター部分が耐久性を有するので、フィルター性能も耐久性の優れた各種フィルター用途に展開することができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明は、ガラス転移点温度が60℃以上のポリエステル(A成分)98.0〜99.95重量%と、ポリエステル(A成分)と非相溶でガラス転移点温度が120℃〜160℃の熱可塑性樹脂(B成分)0.05〜2.0重量%を含有し、複屈折率が0.04〜0.09、繊度が1〜5dtexの長繊維で構成された、見掛密度0.30〜0.60g/cm、目付150〜400g/m、縦方向の曲げ反発性が25〜50mN、MIT屈曲10000回試験後の引張強度保持率が70〜100%、180℃の乾熱収縮率が5%以下で、交絡処理していない長繊維不織布からなり、0.3μm以上0.5μm以下の粒子捕集効率が25%以上、QF値が0.03mmAq−1以上であることを特徴とするフィルター基材である。
本発明における、ガラス転移点温度が60℃以上のポリエステル(A成分)とは、ガラス転移点温度を越えると塑性変形を開始するので、その温度が少なくとも60℃以上のポリエステルのことを言う。たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート(PCHT)などが例示できる。本発明では、ガラス転移点温度が60℃未満のポリエステルでは、得られるフィルター基材の熱緩和が大きくなるので耐熱性が劣り好ましくない。
本発明でのポリエステル成分は、共重合ポリエステルは、ガラス転移点温度が60℃未満となる場合があり、含有させる場合でも、ホモポリエステルを95モル%以上含有させることで、耐熱性、耐久性が保持できるので許容されるが、好ましくはホモポリエステルが99モル%以上含有するものであり、さらに好ましくは汎用性の高いポリエチレンテレフタレート100%である。本発明では、特性を低下させない範囲で、必要に応じて、抗酸化剤、耐光剤、着色剤、抗菌剤、難燃剤などの改質剤を添加してもよい。
本発明における、ポリエステルと非相溶でガラス転移点温度が120℃〜160℃の熱可塑性樹脂(B成分)とは、ポリエステルと相溶性を有しないで、ポリエステル中で島成分として独立に存在する特性を有し、海成分であるポリエステルのガラス転移点温度より少なくとも40℃は高いガラス転移点温度とすることで、島成分が紡糸張力を受けてポリエステルの配向結晶化を抑制する効果を発揮する機能を保持する熱可塑性樹脂であり、たとえば、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、メチルペンテン系樹脂及びそれらの共重合体樹脂などがあげられる。
本発明での島成分のガラス転移点温度は、120℃未満では、配向抑制効果が少なくなり、添加量を増やす必要があり、高速紡糸時に糸切れしやすくなるので好ましくない。160℃を超えると、細化速度が高くなり(吐出糸径変化が早くなり)、高速紡糸時に糸切れが発生しやすくなるので好ましくない。本発明における好ましい島成分としては、スチレンーアクリレート系共重合樹脂が好ましく、ポリエステルにポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる場合、ガラス転移点温度が122℃のスチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体樹脂(市販品では、例えば、Rohm GmbH&Co.KGのPLEXIGLAS hw55)が少量の添加量で配向結晶化抑制効果が大きいので、特に好ましい。ポリエステルにポリエチレンナフタレート(PEN)を用いる場合は、島成分はスチレン・無水マレイン酸共重合体(ガラス転移点温度155℃:市販品では、例えば、SARTOMER Company Inc.のSMA1000など)を用いるのが好ましい。
本発明のフィルター基材に用いる不織布を構成する長繊維は、ガラス転移点温度が60℃以上のポリエステル(A成分)98.0〜99.95重量%と、ポリエステル(A成分)と島成分として、非相溶でガラス転移点温度が120℃〜160℃の熱可塑性樹脂(B成分)0.05〜2.0重量%を含有する繊維で構成される。島成分の添加量が0.05重量%未満では、配向結晶化抑制効果が少なくなり易成形性で且つ剛直性の付与効果が出ない場合がある。添加量2.0重量%を超えて添加すると、紡速が3000m/分を超えると糸切れが激しくなり、糸切れしない低紡速では複屈折率が本発明要件を満たさなくなり、剛直性が劣るので好ましくない。本発明の実施形態からの好ましい添加量は、生産性の観点から紡速3500m/分以上で糸切れしない島成分の添加量として、0.1〜1.5重量%であり、より好ましくは紡速4000m/分以上で糸切れしない添加量として、0.1〜1.0重量%である。
本発明のフィルター基材に用いる不織布を構成する繊維は長繊維である。短繊維では、不織布強力が低く、かつ剛直性が低くなるので、形態保持性や耐久性が劣るフィルター基材となるので好ましくない。本発明では、発明要件を満たす長繊維不織布であれば特には限定されないが、好ましくは、安価なコストで、配向結晶化による剛直性向上効果が発現できる高速紡糸で得られるスパンボンド不織布が特に推奨される。
本発明のフィルター基材に用いる不織布を構成する長繊維は、複屈折率が0.04〜0.09の長繊維である。複屈折率が0.04未満では、熱変形し易くなるが、剛直性が劣り、プリーツの形態保持性が低下し、フィルター熱成型すると脆くなるため、耐久性が劣るので好ましくない。0.09を超えると、剛直性は高くなるが変形時の追随性が劣り、プリーツ加工性が悪くなるので好ましくない。より好ましい複屈折率は0.045〜0.08であり、さらに好ましくは0.05~0.07である。
本発明のフィルター基材に用いる不織布を構成する長繊維の繊度は、1〜5dtexの長繊維である。0.5dtex未満では、耐磨耗性が劣り好ましくない。5dtexを越えると、濾過性能が低下するので好ましくない。より好ましい長繊維の繊度は1.0dtex〜3dtexであり、さらに好ましくは1.5dtex〜2.5dtexである。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の見掛密度は、0.30〜0.60g/cmである。見掛密度が0.30g/cm未満では、剛直性が低下してプリーツの形態保持性が劣る場合があり好ましくない。0.60g/cmを越えると、通気性が悪くなり、濾過性能が低下し、不織布が硬くなることで、プリーツ加工性が劣る場合があるので好ましくない。より好ましい見掛密度は0.35〜0.50g/cmであり、さらに好ましくは、0.38〜0.45g/cmである。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の目付は、150〜400g/mである。150g/m未満では、濾過性能の寿命が短くなり、耐久性も低下する場合あり好ましくない。400g/mを越えると、プリーツ加工性が低下する場合があり好ましくない。より好ましい目付は、200〜350g/mであり、さらに好ましくは200〜300g/mである。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の縦方向の曲げ反発性は、25〜60mNである。25mN未満では、プリーツの形態保持性が劣る場合があり好ましくない。60mNを越えるとプリーツ加工性時の折り畳み抵抗が大きくなり、プリーツ形状の凹凸点の仕上がり状態がシャープにならない場合があり好ましくない。より好ましい縦方向の曲げ反発性は、30〜50mNであり、さらに好ましくは35〜45mNである。なお、プリーツ形状保持性は、折り畳み方向である縦方向の曲げ反発性が支配的であるので、本発明では、横方向の曲げ反発性は、特には限定されないが、10mN以上が好ましく、15mN以上がより好ましい。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の荷重9.8NでのMIT屈曲10000回試験後の引張強度保持率は、70〜100%である。引張強度保持率が70%未満では、フィルターの耐久性が劣り好ましくない。特に、繊維配列が縦方向に配列しすぎると、縦方向の引張強度保持率は満たすが、横方向の引張強度保持率が極端に低下するので、繊維配列は、ランダム配列が望ましい。本発明では、縦方向及び横方向共に引張強度保持率を70%以上必要である。本発明の好ましい引張強度保持率は80%以上、より好ましくは、縦方向が90%以上、横方向が80%以上である。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の180℃の乾熱収縮率は、5%以下である。収縮率が5%を超えると、熱処理での収縮によりフィルター基材が変形してしまうので好ましくない。より好ましい収縮率は2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
本発明のフィルター基材に用いる不織布は、交絡処理していない不織布である。本発明でいう交絡処理とは、ニードルパンチ交絡処理、水流交絡処理などの不織布を貫通させる交絡処理をいう。交絡処理を行うと、長繊維を用いても繊維が切断され、不織布強力や剛直性が低下する上に、ダストの原因を生じるので好ましくない。本発明では、繊維を損傷させないため、交絡処理しない不織布に限定される。本発明でいう交絡処理しない不織布とは、エンボス加工、カレンダー加工などの圧着加工で不織布を固定された不織布を言う。本発明では、交絡処理されていない不織布であれば、本発明要件を満たせば特には限定されないが、圧着面積が全面に及ぶとフィルム化して濾過性能が低下してしまうので好ましくない。濾過性能を保持するためには、繊維形態を保つためのフィルム化させない圧着方法として、エンボス加工が望ましい。エンボス加工における好ましい圧着面積率は、濾過性能と耐磨耗耐久性及び剛性を同時に満足できる30%未満であり、より好ましくは、10〜20%である。本発明のエンボス加工文様は、特には制限されないが、好ましくは、横楕円ドットや織目柄などが挙げられる。
本発明フィルター基材の濾過性能は、0.3μm以上0.5μm以下の粒子捕集効率が25%以上、QF値が0.03mmAq−1以上を同時に満たす必要がある。
本発明では、中性能フィルターの機能を保持させるため、大気塵捕集効率として、捕集粒子径は0.3μm以上0.5μm以下の粒子を捕捉する機能で評価する。
本発明のフィルター基材は、0.3μm以上0.5μm以下の粒子捕集効率が25%以上必要である。25%未満では、フィルターの濾過性能が劣り、中性能フィルターとして好ましくない。より好ましい0.3μm以上0.5μm以下の粒子捕集効率が30%以上である。
本発明のフィルター基材は、捕集性能と圧力損失の関係からフィルター性能を限定するためQF値を0.03mmAq−1以上に特定する。QF値が0.03mmAq−1未満では、捕集性能が高くても圧力損失が大きい場合や、圧力損失が低くても捕集性能が悪い場合などがあり、フィルター性能としては好ましくない。より好ましいQF値は、0.04mmAq−1以上、さらに好ましくは0.05mmAq−1以上である。なお、QF値の上限値は特に限定されないが、QF値は0.09mmAq−1が限界値となるので、上限は0.09mmAq−1である。
本発明のフィルター基材は、プリーツ加工により、一定断面積当りの濾過面積を大きくして濾過量を増大させることで、フィルターの使用寿命を長く保つことにある。プリーツの形状は公知の形状を使用でき、特には限定されないが、少なくとも、平面の断面積の2倍以上、好ましくは3〜5倍の濾過面積とするのが望ましい。折り畳み形状は、ジグザク形状や湾曲形状が形態加工の容易性と形態維持性から望ましい。
本発明のフィルター基材を高性能フィルターに用いる場合は、高性能膜などの高性能フィルター基材と積層してプリーツ加工するのが望ましい。
本発明フィルター基材は、耐屈曲疲労性に優れているので、プリーツ形状のままで、濾過塵除去のための振動付与などにも形態保持機能が発現され、耐久性の良好なフィルターとして使用できる。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の力学特性は、本発明要件を満たせば特には限定されないが、引張強度は、少なくとも300N以上、好ましくは、縦方向は600N以上、より好ましくは700N以上2000N未満である。破断伸度は、20%以上、好ましくは25%以上70%未満である。引裂強度は、少なくとも35N以上、より好ましくは50N以上である。3点曲げ剛性は、0.1N/15mm以上、好ましくは0.2N/15mm以上、より好ましくは、0.25N/15mmである。
本発明のフィルター基材に用いる不織布の通気特性は、本発明要件を満たせば特には限定されないが、通気度は4cc/cm/秒以上、好ましくは、6cc/cm/秒である。
本発明のフィルター基材を用いたフィルターは、公知のフィルター構造が使用できる。
以下に本発明の製法についての一例を開示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に用いるフィルター基材に用いる不織布の特性要件は、通常の高速紡糸によるスパンボンド不織布の製造方法では得られない。
本発明のフィルター基材に用いる不織布特性を満たすスパンボンド不織布を得るには、ガラス転移点温度が60℃以上のポリエステルに、ポリエステルと非相溶性を有する、ガラス転移点温度が120〜160℃の非晶性熱可塑性樹脂を0.05〜2.0重量%添加ブレンドして、高速紡糸する必要がある。
本発明での最も好ましい、ポリエチレンテレフタレートを用いる製造法について以下に述べる。
主成分として固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート99.5重量%と島成分としてスチレン・メタクリル酸メチル・無水マレイン酸共重合体0.5重量%(例えば、PLEXIGLAS hw55)を乾燥機でブレンド乾燥し、次いで、通常の溶融紡糸機にて、紡糸ノズルは管長(L)と管径(D)の比(L/D)が1〜5のオリフィスを持つノズルを用いて、紡糸温度は、スチレン系のB成分は、熱分解するとスチレンラジカルを発生し、分岐を生じると糸切れなどの問題を起こすので、できるだけ熱分解を抑制できる紡糸温度で紡糸できる組合せにして、分岐を起こさないようにするのが好ましく、例えば285℃にて紡糸する。紡糸ノズルのL/Dが、1未満では、バラス効果が大きくなりやすく高速紡糸では糸切れが発生しやすくなる。L/Dが5を越えると剪断力でA成分とB成分が分離しやすくなるので、配向結晶化抑制効果が繊維断面内で均質になりにくい問題がある。本発明では、繊維断面内で均質にA成分中にB成分が分散できるL/Dは、2〜4が好ましく、より好ましくは3である。吐出量は所望の繊度を得るために、設定牽引速度に応じて設定する。例えば、2dtexの繊維を得たい場合、牽引による紡糸速度を4500m/分に設定する時は、単孔吐出量を0.9g/分にて吐出する。
紡糸された吐出糸条はノズル直下〜10cm下で冷却風により冷却されつつ、下方に設置された牽引ジェットにて牽引細化されて固化する。A成分が固化する前にB成分が固化して、A成分は、配向結晶化し難くなり、得られる長繊維の伸度を高く保つことができる。
本発明では、繊維の複屈折率が0.04〜0.09になる範囲で、糸切れしない不織布を製造する必要から、牽引による紡糸速度(Vw:m/分)が3500m/分〜5000m/分の範囲において、紡糸速度(Vw:m/分)とB成分添加量(G:重量%)との関係が下記式(式1)の関係を満足する紡糸速度で紡糸することで、繊維の複屈折率が0.04〜0.09の、糸切れのない本発明部材に用いる成形性に優れた長繊維不織布を得ることができる。
Vw(m/分)≦4000−2200*lnG(重量%)・・・・・(式1)
例えば、島成分の添加量0.5重量%では、Vw≦5500m/分となり、5500m/分以下の紡糸速度で糸切れしないで紡糸できる。
牽引紡糸された長繊維は、下方に設置された吸引ネットコンベア上に振落されて所望の目付(本発明では150〜400g/m2、が推奨される)で積層ウエッブ化される。本発明での好ましい繊維配列は、縦横方向の力学特性差をなくすことが推奨されるので、ランダム配列とするのが望ましい。少なくとも、繊維配列による縦横方向の力学特性差は比率で0.7〜1.2までとするため、吐出繊維本数や引き取り速度などにより繊維配列を調整する必要がある。連続して、ウエッブはバラケないように100〜130℃にて予備圧着されてハンドリング性を確保される。次いで、巻き取られ、又は、連続して、エンボス加工される。本発明では、且つ、圧着面積率10〜20%が好ましいので、用いるエンボスローラーのエンボス文様は、圧着面積となる凸部面積が11〜22%に設定した文様を用いるのが好ましい。本発明でのエンボス加工温度は、素材と目付、加工速度、線圧により好ましい温度は異なるが、見掛嵩密度を0.30〜0.60g/cmになるよう、120℃〜230℃で行うのが好ましい。
例えば、ポリエステルにポリエチレンテレフタレート、島成分にスチレン・メタクリル酸メチル・無水マレイン酸共重合体1部の組成で、目付が250g/m、見掛密度0.40g/cmの不織布を得るには、横楕円凸型エンボスを線圧120kN/mで行う場合、250〜260℃が好ましく、より好ましくは255℃である。このような条件では、横楕円ドットで圧着面積16%の最も好ましい本発明のフィルター基材に用いる、中性能フィルターの濾過性能を保持して、プリーツ加工性、プリーツ形態保持性に優れたフィルター基材用長繊維不織布が得られる。
得られた長繊維不織布は、次いで、プリーツ加工され、プリーツを有するフィルター基材としてフィルターに組み立てられ使用される。
プリーツ加工は、本発明フィルター基材用不織布が通常のホモポリマーからなるスパンボンドに比較して、剛性を有するが易成形性を有するので、公知の方法で容易にプリーツ加工を行うことができる。プリーツ加工は、任意の山谷の折り畳み構造とすることができる。例えば、空気フィルターでは、山谷間距離を18mm〜24mmとして折り畳み圧縮された状態で山谷部の先端を熱セットされる。セット温度は、任意に最適な温度とできるが、本発明フィルター基材では80〜140℃が好ましく、より好ましくは120℃である。セットされたプリーツ加工されたフィルター基材は所定の形状に切断し、フィルター枠にセット固定されてフィルターが得られる。高機能フィルター用に高機能多孔膜などを積層してプリーツ加工してもよい。本発明のフィルター基材用不織布は、易プリーツ性であるので、高機能多孔膜などへの負荷を抑制した状態でプリーツ加工ができるので、高機能多孔膜などに損傷を与えず、生産効率の向上にも寄与できる。本発明での好ましい実施形態としては、長繊維不織布の縦方向に不織布を供給し、折り畳み形態を付与するのが望ましい。
なお、本発明のフィルター基材は、プリーツ加工しないでそのままフィルター基材として用いることもできる。又、熱成形により、袋状やポット状など、各種形状に熱成形されてフィルターとして用いることもできる。
かくして、得られた本発明のフィルター基材を用いたフィルターは、そのまま耐磨耗性と耐熱耐久性を有する剛直性に由来する形態保持性の優れた中性能フィルターとして用いることができ、更に高機能フィルターを積層成型することで、高機能フィルターのプレフィルター機能として、補強性能と耐久性を発現し、長期に使用できるフィルターとすることができる。フィルターの種類としては、気体フィルターや液体フィルターなど多岐にわたるフィルター用途に適用できる各種フィルターを安価に提供することを可能にすることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、本発明における実施例で記載する評価は以下の方法による。
1.熱可塑性樹脂成分のガラス転移点温度及び融点
各熱可塑性樹脂のサンプル5mgを採取し、示差走査型熱量計(TA instruments社製Q100)にて、窒素雰囲気下で20℃から10℃/分にて290℃まで昇温させたときの発熱ピーク位置の温度をガラス転移点温度、吸熱ピーク位置の温度を融点として評価した。
2.不織布の目付:Ms
JIS L 1096 2000に準じて測定した単位面積あたりの質量(Ms):g/m
3.不織布の見掛密度
JIS L 1096 2000に準じ、荷重0.196Nにて測定した厚み(ti):mmを求め、下記式にて見掛密度を求めた。
見掛密度(g/cm)=Ms/(1000×1000×0.1ti)
4.縦方向の曲げ反発性
JIS L 1096 1999 の8.20.1のA法に準拠して測定した剛軟度を曲げ反発性とし、縦方向の剛軟度を本発明では、縦方向の曲げ反発性(mN)とする。
5.MIT屈曲1万回試験後の引張強度保持率
22℃×65RH%室内において、幅15mm、測定長さ110mmのサンプルを、JIS P8115のMIT試験機法に準拠して、荷重9.8N、屈曲角度135°、屈曲回数175回/分にて1万回屈曲させたサンプルの屈曲部を中央において、JIS L 1906に準拠して測定した引張り強さと伸び率の破断までの曲線(SS曲線)を測定して、グラフより、破断までの最大の引張強度(n=10の平均値)Tjを求める。なお、屈曲試験しない時のサンプルも同様にして測定して最大引張強度(n=10の平均値)T0を求め、下記式にて、強度保持率を求めた。
MIT屈曲試験後の引張強度保持率(%)=(Tj/T0)×100
6.不織布の圧着面積率
不織布1mの表面を20箇所サンプリングし、SEMにて500倍の写真をとり、1000倍に拡大した写真を印刷して、圧着部を切り抜き、切り抜いた圧着部の面積(Sp)を求め、単位面積あたりの圧着部数から、全体の面積(S0)に対してのSpの比率を求める。(n=20)
P=Sp×n/S0
7.不織布の乾熱収縮率
JIS L 1906 5.9に準拠して求めた熱収縮率を乾熱収縮率(%)とする。
8.フィルター基材の0.3μm以上0.5μm以下の捕集効率
不織布の任意の部分から、φ50mmのサンプルを3 個採取し、それぞれのサンプルについて、サンプルを濾過装置ホルダーにセットし、大気塵を濾材サンプル下流側からエアー流量5cm/秒にて吸引空気量1mになるまで吸引させ、濾材上流の吸引大気塵中の0.3μm以上、0.5μm以下のダストをカウンターで測定しダスト数(D1)を求め、他方、濾材サンプルを通過した吸引濾過大気中の0.3μm以上、0.5μm以下のダストをカウンターで測定してダスト数(D2)を求め、下記式にて捕集効率を求めた。
0.3μm以上0.5μm以下の捕集効率(%)=(1−D2/D1)×100
9.QF値
上記捕集効率測定時の濾材の上流側と下流側の平均差圧(ΔP:mmAq)を計測して、下記式にてQF値を求める。
QF値(1/mmAq)=−{ln(捕集効率)/100}/(ΔP)
10.フィルター基材の耐磨耗性
フィルター基材用不織布を切り出し、大栄科学精器の学振式染色物摩擦堅牢度試験機にて、摩擦面が不織布のエンボス面側となるように設置して、摩擦の同布に金巾3号を用い、摩擦回数100回にて、JIS L−0847の方法に準拠して磨耗試験を行った。表面の磨耗程度を目視判断で以下の評価を行った。
表面の磨耗がない:◎、毛羽立ち、損傷が微小:○、毛羽立ち、損傷が少〜中ある:△、毛羽立ち、損傷が大:×
11.プリーツ加工性
小型プリーツ加工機にて、ロール状フィルター基材用不織布を5m/分にて供給し、襞折り幅20mmのプリーツを形成させ、圧縮状態での熱板処理温度120℃にてセットして得られたプリーツ加工したフィルター基材のプリーツ形成状態と機台の運転状況から、目視官能評価で判定した。
◎:機台詰りなし、プリーツ形状非常に良好、○:機台詰りなし、プリーツ形状良好、△:機台詰りなし、プリーツ角度少し甘い、×:機台詰りありはすべて、詰りなしでプリーツ形状ズレ、異常あり
12.プリーツ加工フィルター基材の耐久性
プリーツ成形したフィルター基材を、厚み100mm、縦横500mm角の正方形枠に濾過面積が3倍になるように折り畳み状態で端末を接合剤で固定し枠付きフィルターを作成し、該枠付きフィルターを、50℃雰囲気中にてプリーツの凹凸が上下になるように置いて、中央にφ200mmの円盤に荷重を乗せて、全荷重が19.6Nとなるようにして、24時間放置後、除重して室温にもどし、形状変化を目視判定した。
◎:変形なし、○:少し変形、△:かなり変形、×:潰れた
<実施例1>
ガラス転移点温度が67℃で固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)99重量%と島成分としてRohm GmbH&Co.KGのPLEXIGLAS hw55(hw55)を1.0重量%を混合乾燥し、ノズルオリフィスはL/D3.0のノズルを用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.12g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度4500m/分にて引取り、ネットコンベア上に振落してウエッブを得た。連続して、ネット上で100℃の予備圧着ローラーにて押さえ処理を行い単糸繊度2.5dtexの長繊維からなるウエッブを得た。次いで、圧着面積率18%の横楕円エンボスローラーにて、最適加熱温度として240℃にて、線圧120kN/mにてエンボス加工して、目付250g/mの不織布を得た。得られたウエッブと不織布の評価結果を表1に示す。
次いで、得られた不織布をプリーツ加工してフィルター基材の評価を行った結果を表1に示す。
本発明の要件を満たす実施例1のフィルター基材は、優れた濾過性能を保持して、剛直性、耐磨耗性、プリーツ加工性、形態保持性とも優れたフィルター機能を保持し、そのフィルター基材を用いて得られたフィルターも耐久性に優れたフィルターであった。
<実施例2>
PET99.5重量%、Rohm GmbH&Co.KGのPLEXIGLAS hw55(hw)を0.5重量%し、エンボス加工温度を255℃、線圧125kN/mにてエンボス加工した以外、実施例1と同様にして得られたウエッブ、不織布、フィルター基材、及びフィルターの評価結果を表1に示す。
本発明の要件を満たす実施例2のフィルター基材は、優れた濾過性能を保持して、剛直性、耐磨耗性、プリーツ加工性、形態保持性とも優れたフィルター機能を保持し、そのフィルター基材を用いて得られたフィルターも耐久性に優れたフィルターであった。
<比較例1>
PET100重量%とし、紡糸温度285℃、エンボス加工温度を260℃、線圧130kN/mとした以外、実施例1と同様にして得られたウエッブ、不織布、フィルター基材、及びフィルターの評価結果を表1に示す。
本発明の要件を満たさない比較例1のフィルター基材は、優れた濾過性能を保持して、剛直性、耐磨耗性、形態保持性とも優れたフィルター機能は保持しているが、構成繊維の複屈折率が高く、プリーツ加工性が劣るフィルター基材であった。
<比較例2>
B成分として分子量250000のスチレン(PS)を1重量%添加し、リン系難燃剤として、アデカスタブPFRを5重量%添加して、常法により混練ペレタイズした樹脂を用い、エンボス加工温度を135℃、線圧110kN/mとした以外、比較例1と同様にして得たウエッブ、不織布、フィルター基材、及び、フィルター基材を用いたフィルターの評価結果を表1に示す。
比較例2は、紡糸で糸切れがある(スチレンの熱分解による分岐の生成と類推される)、収縮率も高い不織布を用いたフィルター基材で、耐磨耗は許容されるが、濾過性能および、形態保持性も劣り、それを用いたフィルターは耐久性が劣るフィルターであった。
<比較例3>
単孔吐出量0.6g/分にて溶融紡糸し、紡糸速度2400m/分にて引取り、目付250g/mの仮圧着シートを、エンボス加工する前にテンターにて、定長で120℃にて1分間熱処理した以外、比較例1と同様にして得られた不織布は、高密度、高伸度で高収縮なものとなり、その不織布を用いたフィルター基材は、濾過性能が劣り、プリーツの加工性はよいが、耐久性が劣るフィルターとなる。
<比較例4>
実施例2と同様にして作成したウエッブを、ペネ60でニードルパンチ加工して得た不織布、フィルター基材、及び、作成したフィルターの評価結果を表1に示す。
比較例4は、交絡処理をしているため、22℃雰囲気中の屈曲点荷重が低くなるため、嵩高な不織布用いたため、フィルター基材は、剛直性が劣り、濾過性能、耐磨耗性、プリーツ加工性とも劣るものであり、それを用いたフィルターも耐久性が劣るものであった。
<比較例5>
島成分としてRohm GmbH&Co.KGのPLEXIGLAS hw55(hw55)を4.0重量%を混合した以外、実施例1と同様にして紡糸したが、糸切れが顕著で、正常なウエッブを得ることができなかった。よって、フィルター基材の性能評価は実施できなかった。
<比較例6>
芯成分として、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)を、鞘成分として、酸成分として、イソフタール酸を40モル%とテレフタール酸を60モル%及びグリコール成分にエチレングリコールを用いて得た、ガラス転移点温度56℃、固有粘度0.61、融点139℃の共重合ポリエステル(PETI)を、複合紡糸機にて別々に溶融して、紡糸温度285℃にて、吐出部で芯/鞘比:80/20となるように供給して合流させた以外、紡糸引取り工程で糸切れを発生したが、実施例1同様にしてウエッブを作成し、エンボス温度125℃とした以外、実施例1同様にして得たウエッブ、不織布、フィルター基材及び、作成したフィルターの評価結果を表1に示す。
比較例6は熱接着成分としてガラス転移点温度の低い系を含むため緩和しやすく、圧着加工されると濾過性能の低下を生じると共に、耐久性の劣るフィルター素材になる。
<実施例3>
単孔吐出量を0.9g/分、引取速度を3600m/分とし、エンボス温度を195℃とした以外実施例2と同様にして得た、ウエッブ、不織布、フィルター基材、フィルターの評価結果を表2にしめす。
本発明要件を満たす実施例3のフィルター基材は、優れた濾過性能を保持して、剛直性、耐磨耗性、プリーツ加工性、形態保持性とも優れたフィルター機能を保持し、そのフィルター基材を用いて得られたフィルターも耐久性に優れたフィルターであった。
<比較例7>
目付を100g/m、エンボス加工温度を220℃、線圧を100kN/mとした以外、実施例2と同様にして得たウエッブ、不織布、フィルター基材、フィルターの評価結果を表2にしめす。
比較例7は、目付が低く剛直性に劣るため、プリーツ加工性と耐久性が劣るフィルター基材である。
<比較例8>
目付を450g/mとして以外は、実施例2と同様にして得たウエッブ、不織布、フィルター基材、フィルターの評価結果を表2にしめす。
比較例8は、目付が高すぎて剛直なため、プリーツ加工性がやや劣るフィルター基材となる。
Figure 0005267809
Figure 0005267809
本発明により得られた本発明のフィルター基材を用いたフィルターは、そのまま耐磨耗性と耐熱耐久性を有する剛直性に由来する形態保持性にも優れた中性能フィルターとして用いることができ、更に高機能フィルターを積層成型することで、高機能フィルターのプレフィルター機能として、補強性能と耐久性を発現し、長期に使用できるフィルターとすることができる。フィルターの種類としては、気体フィルターや液体フィルターなど多岐にわたるフィルター用途に適用できる各種フィルターを安価に提供することを可能にすることができる。

Claims (4)

  1. ガラス転移点温度が60℃以上のポリエステル(A成分)98.0〜99.95重量%と、ポリエステル(A成分)と非相溶でガラス転移点温度が120℃〜160℃の熱可塑性樹脂(B成分)0.05〜2.0重量%を含有し、複屈折率が0.04〜0.09、繊度が1〜5dtexの長繊維で構成された、見掛密度0.30〜0.60g/cm、目付150〜400g/m、縦方向の曲げ反発性が25〜60mN、MIT屈曲10000回試験後の引張強度保持率が70〜100%、180℃の乾熱収縮率が5%以下で、交絡処理していない長繊維不織布からなり、0.3μm以上0.5μm以下の粒子捕集効率が25%以上、QF値が0.03mmAq−1以上であることを特徴とするフィルター基材。
  2. A成分がポリエチレンテレフタレートであり、B成分がスチレン・メタクリル酸メチル・無水マレイン酸共重合体またはスチレン・マレイン酸共重合体である請求項1記載のフィルター基材。
  3. プリーツ加工された請求項1または2記載のフィルター基材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフィルター基材を用いたフィルター。
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