JP2005238098A - エアフィルター用濾材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】濾過性能とロングライフ性を両立し、取扱でかかる引張、引裂といった作用に対して十分な性能を有し、補強材を貼り合わせる必要のないエアフィルター用濾材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維および単繊維繊度0.7〜5dtexの繊維の2種を含み、一方の面に他方の面よりも前記単繊維繊度が0.01〜7dtexの異形断面極細繊維が多く存在し、繊維同士が実質的に融着していないことを全て満たす不織布からなるエアフィルター用濾材、およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、気体中に存在する粒子を濾過分離するのに好適なエアフィルター用濾材、およびその製造方法に関する。
従来より、繊維からなる濾材で粒子を分離するエアフィルターは、食品、医療品、工業製品の分野で広く利用されており、粒子濾過の高効率化に対する要求も高い。粒子濾過を高効率化するには繊維間の空隙を細かく、均一にする必要がある。そこで、繊維の繊度を小さくするとともに、繊維を多方向に交絡させようと3次元交絡処理が行われてきた。
このような方法としては、可燃性極細繊維からなるウエブに高圧液体流処理を施してエアフィルター用濾材を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、通常フィルターとして用いる不織布はフィルターカートリッジとする際に、濾過面積を大きくするために襞折り加工を行うが、極細繊維のみで構成された不織布は剛性や、加工時の寸法安定性が低いため襞折り加工が困難であるという欠点があった。
この欠点を解決する手段として、スパンボンド法によって得られた割繊型複合繊維不織布の低融点成分を熱融着させた後、一方の面のみ高圧液体流処理することによって極細繊維不織布に補強材を貼り合わせたような構造を形成して、エアフィルターを得る方法が知られている(例えば、特許文献2)。しかし、融着したシートは引裂の作用に対して強度が小さいため取扱が困難であり、融着によって圧力損失が大きくなるという欠点がある。また、高圧液体流処理によって緻密な構造が形成されることからも、圧力損失が大きくなり、ロングライフ化が困難である。
特開昭58−89924号公報 特開2001−271260号公報
本発明の課題は、上述の欠点を解消し、濾過性能とロングライフ性を両立し、取扱でかかる引張、引裂といった作用に対して十分な性能を有し、補強材を貼り合わせる必要のないエアフィルター用濾材およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るエアフィルター用濾材は、下記の(1)〜(3)を全て満たす不織布からなることを特徴とするものからなる。
(1)不織布を構成する繊維が、単繊維繊度0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維および単繊維繊度0.7〜5dtexの繊維の2種を含むこと。
(2)不織布の一方の面に他方の面よりも前記単繊維繊度が0.01〜7dtexの異形断面極細繊維が多く存在すること。
(3)不織布を構成する繊維同士が実質的に融着していないこと。
また、本発明に係るエアフィルター用濾材の製造方法は、少なくとも2種の高分子物質を、分割によって異形断面極細繊維を得ることができる複合繊維製造用口金から吐出し、延伸した後、積層して得た異形断面極細繊維に分割可能な複合繊維からなるウエブの一方の面に高圧液体流を打ち付けることによって、一方の面に他方の面よりも異形断面極細繊維を多く発現させることで、上記のようなエアフィルター用濾材を製造することを特徴とする方法からなる。
本発明によれば、圧力損失の増大を招きにくく、望ましい濾過性能とロングライフ性を両立させることができ、取扱でかかる引張、引裂といった作用に対して十分な性能を有し、補強材を貼り合わせる必要のないエアフィルター用濾材を提供できるとともに、そのエアフィルター用濾材を効率よく製造する方法を提供することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明のエアフィルター用濾材を構成する不織布は、少なくとも単繊維繊度が0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維と、単繊維繊度が0.7〜5dtexの繊維からなり、該不織布の一方の面に他方の面よりも単繊維繊度が0.01〜7dtexの異形断面極細繊維が多く存在する必要がある。このような不織布を得る手段として、2種以上の高分子物質からなる複合繊維で形成した繊維構造体の一方の面のみを異形および極細化する方法を挙げることできる。このような複合繊維として、少なくとも1成分を溶出することによって異形および極細化できる海島型、物理的な作用によって異形および極細化できる分割型の複合繊維を挙げることができるが、特に分割型の複合繊維は、異形および極細化する際に溶出によるロスが少なく好ましい。
分割型の複合繊維を製造するためには少なくとも2成分の物質からなる必要があり、断面形状が異形断面である必要があるため、溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂からなることが形状を制御し易く、好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンのホモポリマーおよび/またはコポリマーが価格の点から好ましい。中でも、ポリエステルおよびポリアミドは、耐熱性に優れるために適用範囲が広く、両者の相溶性が低いため複合繊維とした後に収縮、液流等の物理的な作用によって容易に分割でき、好ましい。
続いて本発明の特徴の1つである繊維の断面形状および単繊維繊度について述べる。本発明では、少なくとも単繊維繊度が0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維と、単繊維繊度が0.7〜5dtexの繊維で不織布を構成する必要がある。
単繊維繊度が小さい0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維は、エアフィルターとした際の捕集効率を大きくするための繊維であり、0.01dtex未満ではエアフィルターとした際に圧力損失が大きくなりすぎ、0.7dtexを超えるとエアフィルターとした際に捕集効率が小さくなる。より好ましい単繊維繊度の範囲は0.03〜0.5dtexであり、0.05〜0.3dtexの範囲がさらに好ましい。
また、単繊維繊度が大きい0.7〜5dtexの繊維は形態安定性、襞折り加工性を付与するための繊維であり、0.7dtex未満では形態安定性、襞折り加工性が十分ではなく、5dtexを超えると溶融紡糸する際の冷却固化が困難となる。より好ましい単繊維繊度の範囲は1〜4.5dtexであり、1.2〜4dtexの範囲がさらに好ましい。
次に、0.01〜0.7dtexの極細繊維は繊維断面形状が異形である必要があるが、本発明でいう繊維断面形状が異形とは、真円でないものをいい、例えば楕円形、多角形等であればよい。このとき、下記式1のAで示す異形の程度が1.5〜10の範囲が圧力損失と製造の容易さの点から好ましく、特に2〜5の範囲が好ましい。式1のAが1.5未満では繊維の嵩高さが得られないため圧力損失が大きくなり、10を超える繊維は、複合繊維では同一成分同士が合流し易く、単成分繊維では形状の制御が困難になる。
A=Cr/Ir (式1)
ここで、Cr:繊維断面における最小外接円の径、
Ir:繊維断面における最大内接円の径、である。
このような2種の繊維を形成可能な複合繊維として例えば、図1に示したような、互いに異なる成分11、12を有する繊維断面10を形成した後、成分11、12からなる部分を互いに分割する分割処理の有無によって0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維と0.7〜5dtexの繊維を得ることができる。
本発明における不織布としては特に限定するものではないが、長繊維不織布であればエアフィルターとして用いた際の発塵性が小さく、好ましい。
複合繊維を用いて長繊維不織布を得る手段としては、熱溶融した上述のポリマーを例えば特公昭39−29636号公報、特公昭43−7411号公報等に記載されている口金を用いて吐出し、エアジェット法またはローラー法によって、3000〜9000m/分の速度で延伸した後、ウエブコンベア等の捕集面に捕集して得ることができる。このとき、エアジェット法によって、延伸および捕集を連続して行えば、一旦巻き取った後、開繊する必要が無いため、生産性の点で好ましい。ここでいうエアジェット法とは、エジェクター、エアーサッカーといった装置を用いて、紡出された糸条を空気によって牽引して延伸する方式である。
このようにして得られた長繊維不織布は、本発明の効果を損なわない範囲で他の繊維や不織布を積層、混合することができ、熱処理を施すこともできるが、圧力損失の増大、捕集効率の低下、引裂の作用に対する強度の低下といった問題が発生することを防ぐため、繊維同士が実質的に融着しない範囲での処理等が好ましい。
本発明に用いられる繊維構造物の目付は特に限定するものではないが、10〜500g/m2の範囲が形態安定性と価格、重量の点から好ましく、より好ましい目付の範囲は30〜400g/m2であり、50〜300g/m2の範囲がさらに好ましい。このときの繊維構造物の厚みも特に限定するものではないが、0.2〜1.5mmの範囲は厚みが薄く、かつ形態安定性に優れる点で好ましく、より好ましい厚みの範囲は0.3〜1.2mmであり、0.4〜1mmの範囲がさらに好ましい。
次に、複合繊維を分割する方法として、ニードルパンチ法、高圧液体流法、収縮法を挙げることができるが、本発明では該不織布の一方の面に他方の面よりも単繊維繊度が0.01〜7dtexの異形断面極細繊維が多く存在する必要があるため、一方の面のみを選択的に分割できる高圧液体流による処理が好ましい。この高圧液体流処理とは、コンベアー上を進行する繊維シートから5.0〜100mmの距離に繊維シートの進行方向と直交する方向に並んだ間隔0.2〜30mm、口径0.05〜3.00mmのノズルを配置し、ノズルから8〜40MPaに加圧された水を連続的に繊維シートに打ち付ける方法である。このとき、不織布の一方の面に他方の面よりも単繊維繊度が0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維が存在すれば良いが、10%以上多く存在する場合は、本発明の目的の1つである補強材を不要とする効果が明確となり好ましい。ここでいう、10%以上多く存在するとは、不織布から幅方向に均一な距離から採取した10点以上の不織布表面を100倍に拡大して撮影し、0.5mm四方の範囲に確認できる0.01〜0.7dtexの繊維本数を数えて一方の面と他方の面で比較し、繊維本数が10%以上多いことをいう。
本発明では、該不織布の引張および引裂といった作用に対して十分な性能を有する必要があり、取扱における問題がなければよい。ここで、引張強力測定における、最大荷重が10〜200N/cmの範囲は形態安定性と加工の容易さを両立できるので好ましく、より好ましい最大荷重の範囲は30〜180N/cmであり、50〜150N/cmの範囲がさらに好ましい。また、このときの最大荷重点伸度としては、10〜150%の範囲が形態安定性と取扱性を有し、好ましく、より好ましい最大荷重点伸度の範囲としては20〜130%であり、30〜110%の範囲がさらに好ましい。ここでいう引張強力測定における最大荷重とは、JIS−L1096−5.3.1(1999)によって測定されるものをいう。また、最大荷重点伸度は最大荷重点での伸度をいう。
このような不織布を得る方法として、例えばポリエチレンテレフタレートからなる繊維を用いた場合、ポリマーを配向させるために速度500〜3000m/分で紡糸した後、1.5〜5倍に延伸するか、または速度3000〜9000m/分で紡糸することによって得ることができるが、上述のとおり、生産性の点から巻き取ることなく延伸および捕集を連続して行う、後者の方法が好ましい。また、引裂強力測定における引裂強力は、方向を問わずに1.5〜32Nの範囲は、形態安定性と取扱性を両立できるため好ましく、より好ましい引裂強度の範囲は1.6〜32Nであり、1.7〜32Nの範囲がさらに好ましい。ここでいう引裂強力とは、JIS−L1096−8.15.5(1999)によって測定される引裂強力をいう。このような引裂強力を得る手段としては、特に限定されないが、例えば繊維密度を調整する方法を挙げることができる。具体的には、ニードルパンチ法における針の打ち込み本数、高圧液体流処理の条件、収縮加工、プレス処理を適宜調整して行うことができる。
続いて、本発明のエアフィルター用濾材としての性能は特に限定するものではないが、該不織布に風速が4m/分で大気を通過させたときの圧力損失と、0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が下記式2を満たしている範囲は、捕集効率を得るための圧力損失が小さく、フィルター寿命が長くなるため好ましい。
Y>20×lnX+10 (式2)
ここで、X:圧力損失(mmAq)、
Y:径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率(%)、である。
また、下記式3を満たす範囲は、本発明の効果がより顕著になり、さらに好ましい。
Y>21×lnX+14 (式3)
ここで、X:圧力損失(mmAq)、
Y:径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率(%)、である。
このときの圧力損失と捕集効率は、JISB9908形式3に準じた装置を用いて、ダストは試験室内の大気(0.3〜0.5μm)、フィルター通過風速は4m/分で測定し、圧力損失は、フィルターの上流側および下流側の圧力差、捕集効率はパーティクルカウンターKC−01B(リオン社製)で得た値を下記式4の算式で計算して評価した値である。
捕集効率(%)=(1−C2/C1)×100 (式4)
ここで、C1:フィルターの上流側ダスト(0.3〜0.5μm)個数、
C2:フィルターの下流側ダスト(0.3〜0.5μm)個数、である。
このようなエアフィルター用濾材を得る手段としては、特に限定されないが、繊維径、不織布の目付および密度、0.01〜0.7dtexの繊維の異形の程度を調整する方法を挙げることができる。繊維径は高分子物質の口金からの吐出量を適宜調整し、不織布の目付はウエブ製造時に供給量を適宜調整し、不織布の密度はニードルパンチ法における針の打ち込み本数、高圧液体流処理の条件、収縮加工、プレス処理を適宜調整し、0.01〜0.7dtexの繊維の異形の程度は口金の形状を調整することによって行うことができる。
また、本発明のエアフィルター用濾材には、襞折り加工、難燃加工、意匠加工を適宜施すことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。まず、本発明において用いた特性等の測定、評価方法について説明する。
(1)異形の程度
不織布から幅方向に均一な距離から採取した10点以上の不織布の幅方向の断面を1000倍に拡大して撮影し、ランダムに選んだ5点以上の異形断面繊維を式1で計算した後、平均した値を異形の程度Aとした。
A=Cr/Ir (式1)
ここで、Cr:繊維断面における最小外接円の径、
Ir:繊維断面における最大内接円の径、である。
(2)一方の面と他方の面に存在する0.01〜0.7dtexの繊維本数
不織布から幅方向に均一な距離から採取した10点以上の不織布表面を100倍に拡大して撮影し、0.5mm四方の範囲に確認できる0.01〜0.7dtexの繊維本数を数えて一方の面と他方の面で比較した。
(3)目付
不織布から幅方向に均一な距離から採取した3点以上の10cm四方の試料重量を計測し、その平均値を1m2あたりの重量に換算した値を目付とした。
(4)厚み
ダイヤルシックネスゲージH(株式会社尾崎製作所製)を用いて、10点以上の箇所を測定した平均値を厚みとした。
(5)引張強力測定における最大荷重および最大荷重点伸度
JIS−L1096−5.3.1(1999)に従って測定した。
(6)引裂強力測定における引裂強力
JIS−L1096−8.15.5(1999)に従って測定した。
(7)圧力損失および捕集効率
JISB9908形式3に準じた装置を用いて、ダストは試験室内の大気(0.3〜0.5μm)、フィルター通過風速は4m/分で測定し、圧力損失は、フィルターの上流側および下流側の圧力差、捕集効率はパーティクルカウンターKC−01B(リオン社製)で得た値を式4の算式で計算して評価した。
捕集効率(%)=(1−C2/C1)×100 (式4)
ここで、C1:フィルターの上流側ダスト(0.3〜0.5μm)個数、
C2:フィルターの下流側ダスト(0.3〜0.5μm)個数、である。
(8)襞折り加工性
幅0.5m×長さ1mの試料をロータリー式プリーツ加工機で、ピッチが3cmとなるようにプリーツ加工し、襞が鋭角に形成されて、シートの蛇行が無いものを良好とし、それ以外のものを劣るとした。
実施例1
290℃に加熱した複合紡糸装置により、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6を重量比50:50の割合で、丸型中空断面でポリエチレンテレフタレートとナイロン6が交互に放射状に配列され、且つそれぞれのポリマーが6本づつのフィラメントを形成する口金から押し出した。押し出した糸条を常温の空気を用いた冷却装置にて冷却し、次いで、紡糸口金下100cmの位置に配された常温の空気を利用するエジェクターにより、5000m/分の速度で引き取り、移動する金網製の堆積装置にフィラメントを積層させウェブを作製した。このとき得られた複合繊維の単繊維繊度は、1.2dtexであり、図2に示すような、ポリエチレンテレフタレート(1)とナイロン6(2)が交互に放射状に配列された繊維断面形状であり、これから分割された極細繊維の異形の程度は2.5であった。
得られたウェブを80℃に加熱したドット柄のエンボスロールを用いて加熱した。加熱後のウエブは、熱融着していないものだった。次に、速度10m/分で移動するスクリーン上で20MPaに加圧した常温の水を0.8mm間隔に並んだ直径0.1mmのノズルから吹き出してシートの一方の面に打ち付けることによって、複合繊維を単繊維繊度0.1dtexの極細繊維に分割し、0.1dtexの繊維が一方の面に他方の面よりも42%多く、目付114g/m2、厚み0.56mm、最大荷重がタテ101.9N/cm、ヨコ39.2N/cm、最大点伸度がタテ40%、ヨコ68%、引裂強力がタテは4.1N、ヨコ1.8Nのエアフィルター用濾材を得た。このときの圧力損失は16.3mmAq、捕集効率は75.2%であった。また、襞折り加工性も良好であった。
比較例1
290℃に加熱した複合紡糸装置により、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6を重量比50:50の割合で、丸型中空断面でポリエチレンテレフタレートとナイロン6が交互に放射状に配列され、且つそれぞれのポリマーが6本づつのフィラメントを形成する口金から押し出した。押し出した糸条を常温の空気を用いた冷却装置にて冷却し、次いで、紡糸口金下100cmの位置に配された常温の空気を利用するエジェクターにより、5000m/分の速度で引き取り、移動する金網製の堆積装置にフィラメントを積層させウェブを作製した。このとき得られた複合繊維の単繊維繊度は、1.2dtexであり、図2に示すような繊維断面形状であり、極細繊維の異形の程度は2.5であった。
得られたウェブを80℃に加熱したドット柄のエンボスロールを用いて加熱した。加熱後のウエブは、熱融着していないものだった。次に、速度10m/分で移動するスクリーン上で20MPaに加圧した常温の水を0.8mm間隔に並んだ直径0.1mmのノズルから吹き出してシートの両面に打ち付けることによって、複合繊維を単繊維繊度0.1dtexの極細繊維に分割し、0.1dtexの繊維が一方の面に他方の面と同様に存在し、目付118g/m2、厚み0.50mm、最大荷重がタテ99.7N/cm、ヨコ37.1N/cm、最大点伸度がタテ35%、ヨコ59%、引裂強力がタテは4.4N、ヨコ1.5Nのエアフィルター用濾材を得た。このときの圧力損失は20.3mmAq、捕集効率は78.4%であった。しかしながら、剛性が低いため襞折り加工性の劣るものであった。
比較例2
290℃に加熱した複合紡糸装置により、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6を重量比50:50の割合で、ナイロン6の周囲をポリエチレンテレフタレートの島繊維が囲むように配列され、且つポリエチレンテレフタレートが12本のフィラメントを形成する口金から押し出した。押し出した糸条を常温の空気を用いた冷却装置にて冷却し、次いで、紡糸口金下100cmの位置に配された常温の空気を利用するエジェクターにより、5000m/分の速度で引き取り、移動する金網製の堆積装置にフィラメントを積層させウェブを作製した。このとき得られた複合繊維の単繊維繊度は、1.2dtexであり、図3に示すような、ナイロン6(2)の周囲をポリエチレンテレフタレート(1)の島繊維が囲むように配列された繊維断面形状であり、ポリエチレンテレフタレートが形成する島繊維の異形の程度は1.1であった。
得られたウェブを80℃に加熱したドット柄のエンボスロールを用いて加熱した。加熱後のウエブは、熱融着していないものだった。次に、速度10m/分で移動するスクリーン上で20MPaに加圧した常温の水を0.8mm間隔に並んだ直径0.1mmのノズルから吹き出してシートの一方の面に打ち付けることによって、0.1dtexの繊維が一方の面に他方の面よりも56%多く存在し、目付111g/m2、厚み0.58mm、最大荷重がタテ111.4N/cm、ヨコ41.0N/cm、最大点伸度がタテ45%、ヨコ72%、引裂強力がタテは4.2N、ヨコ2.0Nのエアフィルター用濾材を得た。このときの圧力損失は35.0mmAq、捕集効率は80.2%であり、圧力損失の大きなものであった。また、襞折り加工性は良好であった。
比較例3
150℃に加熱したドット柄のエンボスロールを用いて熱融着させる以外は実施例1と同様にして、0.1dtexの繊維が一方の面に他方の面よりも40%多く、目付113g/m2、厚み0.50mm、最大荷重がタテ111.4N/cm、ヨコ51.2N/cm、最大点伸度がタテ35%、ヨコ59%、引裂強力がタテは2.1N、ヨコ0.9Nのエアフィルター用濾材を得た。このときの圧力損失は24.2mmAq、捕集効率は74.0%であった。襞折り加工性は良好であったが、破れやすく、取扱の困難なものであった。
本発明によって、濾過性能とロングライフ性を両立し、取扱でかかる引張、引裂といった作用に対して十分な性能を有し、補強材を貼り合わせる必要のないエアフィルター用濾材および、その製造方法を提供することができ、これを用いたエアフィルターは、効率よく粒子を濾過することが要求される、食品、医療品、工業製品等の各種分野に広く適用できる。
本発明において用いられる複合繊維の構成例を示す断面図である。 実施例1で用いた複合繊維の構成を示す断面図である。 比較例2で用いた複合繊維の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 ポリエチレンテレフタレート
2 ナイロン6
10 複合繊維
11、12 互いに異なる成分

Claims (9)

  1. 下記の(1)〜(3)を全て満たす不織布からなることを特徴とするエアフィルター用濾材。
    (1)不織布を構成する繊維が、単繊維繊度0.01〜0.7dtexの異形断面極細繊維および単繊維繊度0.7〜5dtexの繊維の2種を含むこと。
    (2)不織布の一方の面に他方の面よりも前記単繊維繊度が0.01〜7dtexの異形断面極細繊維が多く存在すること。
    (3)不織布を構成する繊維同士が実質的に融着していないこと。
  2. 単繊維繊度が0.01〜0.7dtexの極細繊維が、式1で示す異形の程度Aが1.5〜10の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のエアフィルター用濾材。
    A=Cr/Ir (式1)
    ここで、Cr:繊維断面における最小外接円の径、
    Ir:繊維断面における最大内接円の径、である。
  3. 不織布を構成する繊維が、少なくともポリエステルおよびポリアミドの2種からなることを特徴とする、請求項1または2に記載のエアフィルター用濾材。
  4. 不織布が長繊維不織布であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
  5. 引張強力測定における、最大荷重が10〜200N/cm、最大荷重点伸度が10〜150%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
  6. 不織布の引裂強力測定における引裂強力が1.50〜32Nであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
  7. 不織布に風速4m/分で大気を通過させたときの不織布の圧力損失と、不織布の0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が、式2を満たすことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のエアフィルター用濾材。
    Y>20×lnX+10 (式2)
    ここで、X:圧力損失(mmAq)、
    Y:径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率(%)、である。
  8. 少なくとも2種の高分子物質を、分割によって異形断面極細繊維を得ることができる複合繊維製造用口金から吐出し、延伸した後、積層して得た異形断面極細繊維に分割可能な複合繊維からなるウエブの一方の面に高圧液体流を打ち付けることによって、一方の面に他方の面よりも異形断面極細繊維を多く発現させることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のエアフィルター用濾材の製造方法。
  9. 少なくとも2種の熱可塑性樹脂を、分割によって異形断面極細繊維を得ることができる複合繊維製造用口金から吐出し、エアジェット法で延伸した後、ウエブコンベア等の捕集面で開繊、捕集して得た異形断面極細繊維に分割可能な複合繊維からなるウエブの一方の面に8〜40MPaに加圧した水流を打ち付けることによって、一方の面に他方の面よりも異形断面極細繊維を多く発現させることを特徴とする、請求項8に記載のエアフィルター用濾材の製造方法。
JP2004051272A 2004-02-26 2004-02-26 エアフィルター用濾材およびその製造方法 Pending JP2005238098A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103014994A (zh) * 2012-12-13 2013-04-03 安徽太平洋特种网业有限公司 一种易洁环保过滤网带的生产工艺
CN103088519A (zh) * 2012-12-13 2013-05-08 安徽太平洋特种网业有限公司 一种聚酯导电滤带的生产工艺
CN103946435A (zh) * 2011-11-28 2014-07-23 东丽株式会社 混纤非织造布和使用其的滤材

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