JP2024041336A - 防振ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents

防振ゴム組成物及び防振ゴム Download PDF

Info

Publication number
JP2024041336A
JP2024041336A JP2022146083A JP2022146083A JP2024041336A JP 2024041336 A JP2024041336 A JP 2024041336A JP 2022146083 A JP2022146083 A JP 2022146083A JP 2022146083 A JP2022146083 A JP 2022146083A JP 2024041336 A JP2024041336 A JP 2024041336A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
vibration
mass
parts
metal fitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022146083A
Other languages
English (en)
Inventor
倫宏 原田
貴弘 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kinugawa Rubber Industrial Co Ltd
Original Assignee
Kinugawa Rubber Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kinugawa Rubber Industrial Co Ltd filed Critical Kinugawa Rubber Industrial Co Ltd
Priority to JP2022146083A priority Critical patent/JP2024041336A/ja
Publication of JP2024041336A publication Critical patent/JP2024041336A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Springs (AREA)

Abstract

【課題】低動倍率特性と高減衰特性を両立するとともに、接着性に優れた防振ゴム組成物及び防振ゴムを提供する。【解決手段】防振ゴム組成物は、主ゴム成分としてジエン系ゴムとハイスチレンゴムを、質量比でジエン系ゴム/ハイスチレンゴム=50/50~90/10の割合で含むと共に、全ゴム成分を100質量部とした場合に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~45質量部含有し、かつ、カーボンブラックを5~50質量部含有したものとする。この防振ゴム組成物を、金具表面上の接着剤層を介して該金具表面に加硫接着することにより、該金具と加硫ゴムとが一体的に形成された防振ゴムを構成する。【選択図】なし

Description

本発明は防振ゴム組成物及び防振ゴムに係るものであり、例えば、従来には無い優れた防振特性を有する防振ゴムを提供できる防振ゴム組成物、並びにこの防振ゴム組成物を用いたものであって接着性に優れた防振ゴムに関する。
自動車用防振ゴムなどのように、周波数や振幅等の異なる複数種の振動伝達系で用いられる防振ゴムにおいては、入力される各種の振動に適宜対応できるように、適正かつ有効な防振特性を発揮することが要求される。
例えば、自動車用防振ゴムでは、幅広い周波数での種々の振幅の振動入力に対して、振動伝達の遮断と振動を減衰させる性能が求められる。
振動伝達の遮断のためには、動バネ定数(Kd)を小さくすることが効果的であることが知られている。しかしながら、防振ゴムは、重量物を支えるなど一定の静的な力に耐え得ることが求められるため、静的なバネ特性(Ks)はある程度大きくしなければならない。従って、動的バネ定数(Kd)と静的バネ定数(Ks)との比である動倍率(=Kd/Ks。いわゆる静動比ともいう)の値は、小さいことが望まれる。
一方、振動を減衰させるためには、損失係数(tanδ。いわゆるロスファクターともいう)を大きくすることが効果的であるとされている。しかしながら、一般に、減衰特性(損失係数)を大きくした場合には、それに伴って動倍率の値が大きくなり、逆に、動倍率の値を小さくした場合には、減衰特性(損失係数)が低下してしまうことが知られている。
すなわち、低動倍率特性と高減衰特性との間には二律背反の問題があって、防振ゴムにおいては、これら両特性の両立を実現することが強く望まれている。さらには、通常の防振ゴム組成物の加硫物の場合、小振幅入力時の弾性率は、大振幅入力時の弾性率と比較して大きな値を示すことが知られている。即ち、入力された振幅によっては、バネ定数が大きく変化することになる。
この低動倍率特性と高減衰特性の両立課題に対しては、例えば、ジエン系ゴムに水添化イソプレンゴムを添加した防振ゴム組成物(例えば、特許文献1)、塩素化ブチルゴムのマトリクス相の中にカーボンブラックが偏在したブタジエンゴムのドメインが分散されている防振ゴム組成物(例えば、特許文献2)、さらには、ビニルおよびスチレンを主成分とする未加硫のジエン系ゴム材料に、液状のスチレンブタジエンゴムを配合してなる防振ゴム組成物(例えば、特許文献3)が提案されている。
自動車用の防振ゴムは、前述の如く、どの程度の支持機能(例えば、後述のように連結部材として用いた場合の支持機能)が必要であるか、また、周波数や振幅等の異なる複数種の振動伝達系でどのように振動伝達を遮断し、かつ、発生した振動をどのように減衰させるか等、種々検討されている。例えば、防振ゴムに使用する防振ゴム材料においては、種々の弾性率(硬さ)や減衰性の異なるゴム材料が用いられており、ジエン系ゴムの硬さや減衰性を制御する場合には、各種の粒子径やストラクチャーが異なるカーボンブラックの添加量とナフテン系オイルなどのプロセスオイルの添加量を調整することにより、当該防振ゴムの振動特性調整が行われている。
また、車両用防振ゴムの多くは、金具とゴム材(防振ゴム組成物から成るゴム材)とが一体化して形成された構造(以下、単に金具付き構造と適宜称する)となっており、例えば車両のフレーム,エンジン等の各種構成品同士の連結部材として用いられている。このような金具付き構造の防振ゴムでは、金具とゴム材との界面を接着させるため、通常、接着剤が用いられている。接着方法としては、一般に、一つの接着剤を用いる「接着剤一液塗工式」と、金具表面にプライマーとして下塗り接着剤を塗布した後、更に上塗り接着剤を塗布する「接着剤二液塗工式」とがあるが、高い接着性を得ることを目的とする場合には、当該接着剤二液塗工式が広く用いられている。
一方で、自動車のコンパクト化や高出力化等により、自動車用防振ゴムを取り巻く温度環境も高温になる傾向にあることから、防振ゴムの耐熱接着性向上も必要になってきている。
特開閉07―216136号公報 特開2019-131761号公報 特開2005-113092号公報
しかしながら、特許文献1及び2記載の防振ゴム組成物は、ゴム強度が不十分になり易く、特許文献3記載の防振ゴム組成物においては、低動倍率特性と高減衰特性との両立が困難になる場合もあった。
また、金具付き構造の防振ゴムの場合、上述の如く高い接着性が求められるが、使用する防振ゴム組成物によっては、接着性が不十分となる場合があった。特に、温度環境が厳しい条件で使用される場合には、耐熱接着性が不十分になり易かった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、十分な支持機能を持ち、低動倍率特性と高減衰特性とを両立することができる防振ゴム組成物、および当該防振ゴム組成物によって得られ金具とゴム材との接着性に優れた防振ゴムの提供をその目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を行った。そして、主ゴム成分としてジエンゴムとハイスチレンゴムを特定の割合で含有し、かつ、全ゴム成分を100質量部とした場合に、軟化剤として特定のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~40質量部含有し、かつ比較的少量のカーボンブラックを含有することによって、防振ゴムとしての支持機能を発揮するのに十分な加硫ゴム硬さ(ゴム硬さ40~75)を有する場合においても、良好な低動倍率特性と高減衰特性との両立が図れて、従来の防振ゴム組成物には無かった優れた防振特性を実現できることを見出した。以下、各成分の含有量を質量部と記載する場合があるが、全て、全ゴム成分を100質量部としたときの各成分の質量部であることを意味する。
すなわち、本発明の防振ゴム組成物の一態様は、主ゴム成分としてジエン系ゴムとハイスチレンゴムを、質量比でジエン系ゴム/ハイスチレンゴム=50/50~90/10の割合で含むと共に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~45質量部含有し、かつ、カーボンブラックを5~50質量部含有することを特徴とする防振ゴム組成物である。
上記防振ゴム組成物の一態様の構成により、十分な支持機能を持ったうえで、良好な低動倍率特性を維持しつつ、優れた高減衰特性を実現でき、更には高い接着性を持った防振ゴムを得ることができる。
また、上記防振ゴム組成物の一態様では、該全ゴム成分を100質量部とした場合に、窒素吸着比表面積が15~80m/gのカーボンブラックを5~40質量部含有し、かつ、全カーボンブラック含有量が5~45質量部であることが好ましい。この範疇の場合、十分な支持機能を持ちつつ、低動倍率特性及び高減衰特性の両立をより高いレベルで実現可能な防振ゴム組成物を得ることができる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該全ゴム成分を100質量部とした場合に、窒素吸着比表面積が20~45m/gであるカーボンブラックの含有量が20~40質量部であり、かつ、全カーボンブラック含有量が20~40質量部であることが好ましい。この範疇の場合、十分な支持機能を持ちつつ、低動倍率特性及び高減衰特性の両立をより高いレベルで実現できる防振ゴム組成物を得ることができる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体が、平均分子量(Mn)が8000~12000であって、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以上0℃以下であることが好ましい。この範疇の場合、より優れた低動倍率特性と優れた高減衰特性を実現でき、更には高い接着性を持つ防振ゴム組成物を得ることができる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該ジエン系ゴムが、天然ゴム(NR)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)を含有し、ハイスチレンゴムを含む全ゴム成分を100質量部とした場合に、天然ゴム(NR)を40~80質量部、スチレンブタジエンゴム(SBR)を10~45質量部含有することが好ましい。この範疇の場合、所望の支持機能を保持し得るゴム強度を持ちつつ、低動倍率特性及び高減衰特性の両立をより高いレベルで実現できる防振ゴム組成物を得ることができる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該全ゴム成分を100質量部とした場合に、プロセスオイルを0~5質量部含有することが好ましい。この範疇の場合、十分な支持機能を持ちつつ、低動倍率特性及び高減衰特性の両立をより高いレベルで実現できる防振ゴム組成物を得ることができる。
本発明の防振ゴムの一態様は、前記のような防振ゴム組成物が、金具表面上の接着剤層を介して該金具表面に加硫接着されて、該金具と該加硫接着された防振ゴム組成物による加硫ゴムとが一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴムである。
上記防振ゴムの一態様の構成により、金具と加硫ゴムとの接着性に優れ、かつ低動倍率特性及び高減衰特性の両立を実現できる。
本発明によれば、良好な低動倍率特性を維持しつつ、高減衰特性に優れた、防振ゴム組成物の提供、並びに、良好な低動倍率特性を維持しつつ、高減衰特性に優れ、かつ接着性に優れた防振ゴムを提供することができる。
本発明に係る実施例1~9及び比較例1~7の各防振ゴム組成物を用いて成るテストピース1の概略説明図である。 本発明に係る実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて成るテストピース1における動倍率(Kd100/Ks)とtanδ(10Hz)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に関連する事項について詳細に説明する。
前述の如く、低動倍率特性と高減衰特性との間には二律背反の関係がある。即ち、通常は、減衰性(損失係数)と動倍率は一定の関係があり、同じ形状の防振ゴム(ゴムサンプル)であれば、ある減衰性の場合に、ほぼ同じ動倍率となる。本発明で言う低動倍率特性及び高減衰特性の両立とは、この一定の関係から外れ、同じ減衰性であれば、通常の防振ゴム材料よりも動倍率が低くなると言うことを意味する。逆に言うと、同じ動倍率であれば、減衰性が大きくなると言う意味である。
即ち、例えば動倍率を縦軸とし減衰性(損失係数)を横軸にとったグラフにより、一般的な防振ゴム組成物で作成した防振ゴムの特性を表すと、当該防振ゴムが同一形状であれば、該グラフにおいて一本の線状の特性線で表されることとなる。また、低動倍率特性及び高減衰特性の両立効果が一般の防振ゴム組成物よりも優れるということは、防振ゴムの特性が、該グラフの線状の特性線から外れた位置に出現(例えば後述の図2の場合、実施例1~9の特性は、比較例1~6による特性線よりも図示下方側に出現)されることになる。
なお、本実施形態に適用可能な各資材(各成分)の含有量に関して、以下単に質量部と記載する場合があるが、質量部とは、全ゴム成分を100質量部としたときの各資材(各成分)の含有割合(質量部)を意味する。
本実施形態の防振ゴム組成物は、主ゴム成分としてジエン系ゴムとハイスチレンゴムを、質量比でジエン系ゴム/ハイスチレンゴム=50/50~90/10の割合で含むと共に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~45質量部含有することを特徴とする。
防振ゴム組成物においては、主ゴム成分にジエン系ゴムを用い、各種防振ゴム製品が必要とする支持機能と減衰性を達成するために、各種窒素吸着比表面性の異なるカーボンブラックを必要に応じて含有(必要量含有)せしめ、さらには、支持機能の調整を図るためにナフテン系オイルなどの軟化剤と併用して用いることが検討されてきた。しかしながら、単に前述の如く得られた防振ゴム組成物を用いた防振ゴムは、低動倍率特性と高減衰特性を所望通りに両立することが出来ない場合もあった。
本発明者は、カーボンブラックなどのフィラー類を全く含有しないジエン系ゴムに平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を含有せしめた防振ゴム組成物について検証したところ、該ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体の含有量が多くなるに連れて、弾性率と減衰性の振幅依存性が小さくなるだけでなく、低動倍率特性と高減衰特性の両立効果が大きくなることを発見した。しかしながら、このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、ナフテン系オイルなどと同様に軟化剤として作用し、ゴム組成物の加硫物の弾性率やゴム硬さを大きく低下させるため、フィラー類を全く含有しないゴム組成物に適用した場合には、支持機能が不十分となることが考えられ得る。また、必要な支持機能を確保するため(ゴム硬さを高めるため)にカーボンブラックなどのフィラー類を含有させると、該フィラー類の添加量が多くなるに連れて減衰性は増加するが、動倍率も大きくなってしまう傾向となる。さらに、弾性率の振幅依存性が大きくなり、微振幅でのバネ定数が増大するため、高周波微振幅での動バネ定数がより高くなることも考えられ得る。
そこで、本発明者は、主ゴム成分としてジエン系ゴムとハイスチレンゴムを、質量比でジエン系ゴム/ハイスチレンゴム=50/50~90/10の割合で含むと共に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~45質量部含有せしめた防振ゴム組成物を検証したところ、多量のカーボンブラックを含有しなくても十分な支持機能を確保できるうえに弾性率の振幅依存性を小さくでき、低動倍率特性と高減衰特性の両立が十分可能であることを見出した。
該防振ゴム組成物において、平均分子量(Mn)が3000~12000であるブタジエン・スチレン・ランダム共重合体の含有量が45質量部を超えてしまう場合、十分な支持機能を確保するためには、カーボンブラック等の補強性フィラーも多量に含有させることが必要になり、これにより所望の低動倍率特性を得ることが困難となるおそれがある。更に、該防振ゴム組成物(未加硫ゴム組成物)の粘着性が強くなり過ぎてしまうため、該防振ゴム組成物の加工性が著しく低下(例えば混練加工する場合に防振ゴム組成物がロールに貼りつき易くなる)ことも考えられ得る。
以下に、本発明の防振ゴム組成物に使用可能な各成分に関して説明する。
[ゴム成分]
本実施形態の防振ゴム組成物においては、主ゴム成分としてジエン系ゴムとハイスチレンゴムを、質量比でジエン系ゴム/ハイスチレンゴム=50/50~90/10の割合(以下、単に本発明ゴム成分範疇と適宜称する)で含む。この本発明ゴム成分範疇の場合、防振ゴムとして十分な支持機能を持ち、高減衰特性の防振ゴム組成物を得ることができる。ここで、主ゴム成分とは、ジエン系ゴムとハイスチレンゴムの合計量が全ゴム成分中の90質量%以上であることを意味する。好ましくは、ジエン系ゴムとハイスチレンゴムの合計量を、全ゴム成分中の95質量%以上とすることが挙げられる。
ジエン系ゴムとは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)が挙げられる。
天然ゴムとしては、特に制限はなく、防振ゴムに用いられている通常の天然ゴムを適用することができる。具体的には、例えば、シートゴム(クレープを含む)では、RSS(RIBBED SMOKED SHEET)、WHITE CREPES、PALE CREPES、ESTATE BROWN CREPES、COMP CREPES、THIN BROWN CRAPES(RIMILLS)、THICH BLANCKET CRAPES(AMBERS)、FLAT BARK CREPES、PURE SMOKED BRANKET CRAPESの全ての等級が挙げられる。また、ブロックゴムでは、SMR(STANDARD MALAYSIAN RUBBER)、SIR(STANDARD INDONESIAN RUBBER)、STR(STANDARD THAI RUBBER)、SSR(STANDARD SINGAPOREAN RUBBER)、SCR(STANDARD CEYLON RUBBER)、SVR(STANDARD VIETNAMESE RUBBER)などが挙げられる。
スチレンブタジエンゴム(SBR)としては、特に制限はなく、防振ゴムに用いられている溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。
ブタジエンゴム(BR)としては、特に制限はなく、防振ゴムに用いられている市販の各種ブタジエンゴムを適用することができる。中でも低動倍率特性、低温特性、繰り返し変形に対する耐久性の観点から、シス1,4-結合量が高いタイプのブタジエンゴムを適用することが好ましい。
イソプレンゴム(IR)としては、特に制限はなく、防振ゴムに用いられている市販の各種ブタジエンゴムを適用することができる。中でも低動倍率特性、低温特性、繰り返し変形に対する耐久性の観点から、ハイシスタイプのイソプレンゴムを適用することが好ましい。
本実施形態の防振ゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲(例えば10質量部以下の範疇)で、上記天然ゴムとブタジエンゴム以外の他のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などが挙げられる。
[ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体]
本実施形態の防振ゴム組成物においては、平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~40質量部の割合(以下、本発明共重合体範疇と適宜称する)で含有する。この本発明共重合体範疇の場合、適切な柔軟性を持つとともに高減衰特性に優れ、低動倍率特性との両立が可能となる。なお、このブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、軟化剤として作用し、通常のゴム用のイオウ系加硫剤と併用しても弾性体となることは無いため、本発明ではゴム成分及び樹脂成分には含めない。このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体としては、例えば、Ricon 100,Ricon 181,Ricon 184(以上、Cray Valley社製)、L-SBR-820,L-SBR-841(以上、株式会社クラレ社製)などが挙げられる。好ましくは、ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体の平均分子量(Mn)が8000~12000であって、かつ、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以上0℃以下のものが挙げられる。このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体によれば、さらに低動倍率特性と高減衰特性の両立効果が大きい。このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体の具体例としては、L-SBR-841(株式会社クラレ社製)などが挙げられる。
[カーボンブラック]
本実施形態の防振ゴム組成物においては、カーボンブラックを5~50質量部の割合(以下、本発明カーボンブラック範疇と適宜称する)で含有する。この本発明カーボンブラック範疇の場合、防振ゴムの支持機能を果たすための適切な静バネ定数が得られ易い。前述の如く、ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、軟化剤としても作用する。
なお、カーボンブラックの含有量が5質量部よりも少ないと、加硫ゴム硬さが低くなり過ぎて、適切な静バネ定数を得ることが難しくなる。カーボンブラックの含有量が50質量部よりも多いと、高周波数微振幅での弾性率の向上がより大きくなり、低動倍率特性の効果が小さくなる。
用いるカーボンブラックとしては、特に限定はなく、市販の各種ゴム用のファーネスブラックやカラー用ファーネスブラックを使用することができるが、中でも窒素吸着比表面積が15~80m/gのカーボンブラックが好ましく使用される。このようなカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスカーボンブラックとして知られるHAF級、MAF級,FEF級、GPF級,SRF級、FT級などが挙げられる。このカーボンブラックの含有量としては、ゴム成分を100質量部とした場合に5~45質量部であることが好ましい。
更には、20~45m/gの窒素吸着比表面積のカーボンブラック含有量が20~40質量部であることがより好ましい。このようなカーボンブラックによれば、適切な支持機能を保持できると共に低動倍率高減衰効果が大きくなる。このようなカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスカーボンブラックとして知られるFEF級、GPF級、SRF級などが挙げられる。
[プロセスオイル]
本実施形態の防振ゴム組成物においては、上記成分の他にプロセスオイルを含有することができる。しかしながら、天然ゴムやブタジエンゴムの如きジエン系ゴム組成物に用いられるナフテン系オイルやアロマ系オイル、パラフィン系オイルなどのプロセスオイルは弾性率を低下させる作用はあるものの、減衰性を大きくする作用は乏しく、さらには、低動倍率特性と高減衰特性の両立効果はない。また、上記プロセスオイルの多量添加は、耐熱性を低下させる傾向にある。このため、プロセスオイルの添加量においては、ゴム硬さを調整する程度(例えば少量添加する程度である5質量部以下)に設定することが好ましい。
[加硫剤(架橋剤)]
本実施形態の防振ゴム組成物においては、上記成分の他に加硫剤(架橋剤)を含有することができる。加硫剤(架橋剤)としては、公知のイオウ系加硫剤を使用することができる。イオウないしイオウ系化合物を使用した加硫は、防振ゴムの耐久性に優れることから好ましく使用される。さらに、本発明で使用される平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、イオウないしイオウ系化合物では殆ど架橋しないため、弾性体となることはできず、軟化剤として作用させることができる。
イオウないしイオウ系化合物としては、具体的には、硫黄、塩化硫黄、2-(4'-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4,4'-ジチオジモルホリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが例示できる。イオウないしイオウ系化合物の他に、ビスマレイミド加硫、樹脂加硫などを併用しても構わない。
[充填剤]
本実施形態の防振ゴム組成物においては、上記成分の他にカーボンブラック以外の充填剤を含有することができる。上記充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等の無機系充填剤、高分子フィラー等の有機系充填剤等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記充填剤の多量添加は、低動倍率特性と高減衰特性の両立を低下させる場合があるうえ、繰り返し変形による耐久性を低下させる場合がある。このため、加工性やゴム硬さを調整するために、少量添加する程度(例えば20質量部以下)の含有量にすることが好ましい。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(フュームドシリカ)、湿式法シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホシリカが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シリカの比表面積は特に制限されないが、窒素吸着比表面積で、通常、50~400m2/g、好ましくは100~250m2/g、更に好ましくは120~220m2/gのものが挙げられる。このようなシリカであれば、動倍率や損失係数が高いレベルで改善され、好適である。ここで、窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じ、BET法で測定される。
[加硫促進剤]
加硫剤としてイオウ化合物を使用する場合は、加硫促進剤を併用して使用することができる。加硫促進剤としては、具体的には、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物や、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物や、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物や、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物などを、挙げることができる。これらの加硫促進剤は各々の種類のうちの1種のみを用いても良いし、2種以上を併用することもでき、異なる種類のものを併用することもできる。上記加硫促進剤の配合量は、全ゴム成分を100質量部とした場合、好ましい範囲は0.5~15質量部、より好ましい範囲は1~10質量部、更に好ましい範囲は1.2~8質量部である。また、加硫速度の調整として、スコーチ防止剤であるN-シクロヘキシルチオフタルイミド、N-フェニル-N-(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミドなどを好ましく使用することができる。
[加硫助剤]
また、加硫剤としてイオウ化合物を使用する場合には、亜鉛華や活性亜鉛華などの酸化亜鉛(ZnO)あるいは複合亜鉛華等の加硫助剤とステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫助剤を併用することが好ましい。ここで、複合亜鉛華とは、表面に酸化亜鉛(亜鉛華)の層を有し、コア成分として内部に無機金属塩を含有するものなどが知られており、例えば井上石灰工業社製のMETA-Z Lシリーズ(META-Z L40、L50、L60)などが例示される。酸化亜鉛若しくは複合亜鉛華の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下とすることが挙げられる。ステアリン酸若しくはステアリン酸亜鉛の含有量は、全ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下とすることが挙げられる。
[老化防止剤]
本実施形態の防振ゴム組成物は、ジエン系ゴムを使用するため、耐オゾン性や耐熱性に劣る場合には、公知の老化防止剤により改良することが好ましい。老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いられる。前記老化防止剤の含有量は、全ゴム成分100質量部に対し、1~15質量部の範囲が好ましく、3~10質量部の範囲がより好ましい。
[加工助剤]
本実施形態の防振ゴム組成物は、加工性の改善を目的として、加工助剤を含有することができる。加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を適用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸や、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩や、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類や、粘着性付与を目的としたテルペン樹脂やクマロン樹脂などのタッキファイヤー類が、挙げられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[カップリング剤]
本実施形態の防振ゴム組成物は、振動特性の調整を目的として、ゴム成分とカーボンブラックとのカップリング剤、ゴム成分とシリカとのシランカップリング剤などの添加剤や、加硫戻り防止剤など公知のゴム用添加剤を、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[防振ゴム組成物の製造]
本実施形態の防振ゴム組成物を製造するに際しては、自明な各種の手法を採用することが可能である。例えば、バンバリーミキサーやロール機等の公知の混練装置を用い、この混練装置内に、各種ジエン系ゴムとハイスチレンゴム、そしてブタジエン・スチレン・ランダム共重合体とカーボンブラックをそれぞれ配合するとともに、加硫剤を始めとする上述のゴム用添加物を適宜配合して混練し、目的とする構成の未加硫ゴム組成物に調製する。各成分の混練方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行っても良い。具体例としては、例えば、加硫剤(架橋剤)と加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて混練し、次いで、架橋剤と加硫促進剤を配合し、オープンロールを用いて混練することが挙げられる。
[金具付き構造の防振ゴムの製造]
本実施形態の金具付き構造の防振ゴムを製造するに際しては、自明な各種の手法を採用することが可能であり、その一例として以下の手法が挙げられる。
まず、金具(後述の図1では符号2で示す金具)の表面をショットブラストなどで粗面加工し、その粗面加工した表面において防振ゴム組成物と接着させる部分に、1液性(接着剤一液塗工式)または2液性(接着剤二液塗工式)の加硫接着剤を塗布し乾燥させる。次に、前記加硫接着剤を塗布した金具を、防振ゴム組成物を加硫させるのに適した温度に加熱された所望の形状の金型のキャビティ内の所望の位置に設置する。その後、インジェクションなどの装置により、前記金具が設置された金型キャビティ内に防振ゴム組成物を注入する。防振ゴム組成物を注入後、一定時間加熱することにより、防振ゴム組成物の加硫(架橋)反応と前記金具表面の加硫接着剤との反応を同時的に進行させる。そして、前記金型内のものを取り出すことにより、所望の金具付き構造の防振ゴムを得ることができる。
また、防振ゴムの形状、サイズ等も何ら限定されるものでなく、防振特性の程度や用途等に応じて適宜に設定することが可能である。
このようにして製造された防振ゴムは、例えばメンバマウント、ストラットマウント、サスペンションブッシュ、ボディマウント等の自動車用防振ゴムとして、振動あるいは衝撃伝達系を構成する部材間に介装されて防振性乃至緩衝性を実現するように用いられることになる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、幾つかの実施例及び比較例を記載するが、本発明はそれら実施例の記載によって何らの制約を受けるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更、改良等を加えることが可能であることは言うまでもないところである。
≪防振ゴム組成物の作成≫
表1、表2に示す割合で各種材料を配合して混練することにより、防振ゴム組成物を調製した。なお、上記混練は、まず、加硫剤と加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用い5分間混練して、混練物(マスターバッチ)を得た。次いで、当該混練物に、オープンロールを用いて冷却(オープンロール内の冷却水温度を約20℃に設定して冷却)しながら、加硫剤と加硫促進剤を添加して5分間混練することにより、防振ゴム組成物(実施例1~8,比較例1~7)を作成した。
Figure 2024041336000001
Figure 2024041336000002
なお、表1、表2に記載した材料の種類は、次の通りである。
・天然ゴム:SVR CV60
・スチレンブタジエンゴム:商品名「SBR-1502」JSR株式会社製、結合スチレン量23.5%
・ハイスチレンゴム:商品名「JSR 0061」、JSR社製、結合スチレン量66質量%
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体‐1:商品名「L-SBR-841」、クラレ株式会社製、平均分子量(Mn)10000、Tg-6℃
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体‐2:商品名「RICON100」、クレーバレー社製、平均分子量(Mn)4500、Tg-15℃
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体‐3:商品名「RICON181」、クレーバレー社製、平均分子量(Mn)3200、Tg-65℃
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体‐4:商品名「L-SBR-820」、クラレ株式会社製、平均分子量(Mn)8300、Tg-14℃
・カーボンブラック‐1:商品名「旭#52」、旭カーボンブラック株式会社製、窒素吸着比表面積28m/g(SRF級特殊品)
・カーボンブラック‐2:商品名「VULCAN 3D」、キャボットジャパン株式会社製、窒素吸着比表面積76m/g(HAF級)
・カーボンブラック‐3:商品名「VULCAN 6J」、キャボットジャパン株式会社製、窒素吸着比表面積108m/g(ISAF級)
・老化防止剤‐1:商品名「ノクラック 6C」、大内振興社製、(N‐フェニル‐N’‐(1,3‐ジメチルブチル)‐P‐フェニレンジアミン)
・老化防止剤‐2:商品名「ノクラックMB」、大内振興株式社製、(2‐メルカプトベンズイミダゾール)
・老化防止剤‐3:商品名「オゾエース0100」、日本精蝋株式会社、(パラフィンワックス)
・複合亜鉛華:商品名「META‐Z‐L60」、井上石灰工業社製
・ステアリン酸:商品名「ステアリン酸つばき」、日本油脂株式会社製
・プロセスオイル(ナフテン系オイル):商品名「クリセフオイルH56」、ENEOS株式会社製
・加硫剤:硫黄、鶴見化学工業社製「金華印微粉硫黄200MESH」
・加硫促進剤‐1(N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾリルスルフェンアミド):大内振興化学株式会社製「ノクセラーCZ‐G」
・加硫促進剤‐2(テトラメチルチウラムジスルフィド):大内振興化学株式会社製「ノクセラーTT‐P」
〔引張り特性及び熱老化後特性測定用の2mm加硫ゴムシートの作製〕
表1及び表2に示す実施例1~9及び比較例1~7の各防振ゴム組成物をゴムにおいて、厚みが略2mmとなるキャビティの2mmシート用金型を用いたコンプレッション成形により、160℃にて加硫時間10分で加硫成型を行って、厚み2mmの加硫ゴムシート(以下、単に評価用ゴムシートと適宜称する)を得た。
〔防振ゴムのテストピースの作製〕
図1に示す防振ゴムのテストピース1を作製するにあたり、まず、片面の中心にボルト3が立設された50mm×50mmの鉄製金具2を二つ準備し、各金具2のボルト3が立設されていない面をショットブラスト処理し粗面化した。次に、各金具2の、ボルトが立設されていない面それぞれに、下塗り接着剤としてケムロック205(ロード・ファー・イースト社製)を塗布し、80℃雰囲気にて20分間乾燥させ、下塗り接着剤層(厚み10μm)を形成した。この下塗り接着層形成金具を室温まで冷却後、続いて、上記下塗り接着剤層の表面に、上塗り接着剤としてケムロック6125(ロード・ファー・イースト社製)を塗布し、80℃雰囲気にて20分間乾燥させ、上塗り接着剤層(厚み10μm)を形成した。そして、成形用金型内に、各金具2を配置(各金具2の上塗り接着層が対向した姿勢となるように配置)し、さらに、インジェクション成形機を用いて、成形用金型内における各金具2間に未加硫ゴムを充填し、加硫(160℃×12分間)して、図1に示すような40mm×40mm×30mmの直方体に形成した金具2付き角型防振ゴムのテストピース1を作製した。
≪引っ張り物性≫
実施例1~9及び比較例1~7の各防振ゴム組成物を用いて得た各評価用ゴムシートにおいて、JIS3号ダンベルで打ち抜き、JIS K 6251に準拠して、破断強度(TB)、破断伸び(EB)、および硬度(Hs:JIS A)を測定した。これら各測定結果は表1及び表2に示す。
≪振動特性試験≫
実施例1~9及び比較例1~7の各防振ゴム組成物を用いて得たそれぞれのテストピース1について、まず、各ボルト3を介して、軸方向荷重を加えて軸方向(ボルト3軸方向)に6mm圧縮させ、一旦、減荷するという圧縮・減荷工程を、2回繰り返した。この後、再度、6mm圧縮(すなわち3回目の加荷過程)させることにより、該圧縮時(3回目の加荷過程)における荷重-撓み特性を測定し、それに基づいて荷重‐撓み曲線を作成した。そして、該荷重‐撓み曲線から、撓みが2mmと4mmになったときの荷重値P1,P2(単位は、N)をそれぞれ読み取り、該荷重値P1,P2を関係式「Ks=(P2-P1)/2」に適宜代入することによって、各々の静的ばね定数Ks(N/mm)を算出した。
また、これとは別に、各テストピース1について、前記同様に各ボルト3を介して、軸方向に3mm圧縮させた状態にし、その圧縮状態のテストピース1の一方のボルト3側(例えば図示下方)から、該3mm圧縮した位置を中心とする振幅±0.05mmの定変位調和圧縮振動を、周波数100Hzにおいて加える試験を行い、JIS-K-6385-2012の「防振ゴムの試験方法」における「非共振方法(a)」に準拠して、100Hz時の動的ばね定数Kd100(N/mm)を求めた。そして、その求めた動的ばね定数(Kd100)と前記算出した静的ばね定数(Ks)とから、動倍率(=Kd100/Ks)を算出した。
また、この振動特性試験では、各テストピース1について、前記同様に各ボルト3を介して、軸方向に3mm圧縮させた状態にし、その圧縮状態の各テストピース1の一方のボルト3側から、該3mm圧縮した位置を中心とする振幅±1.0mmの定変位調和圧縮振動を、周波数10Hzにおいて加える試験を行い、10Hz時の損失係数tanδ(10Hz)を算出した。これら各算出結果を、表1及び表2に示す。
さらに、上記のようにして算出された各テストピース1における動倍率Kd100/Ksと損失係数tanδ(10Hz)との関係を示すグラフを、図2に示した。この図2は、実施例1~9と比較例1~6を対比したものである。なお、図2では、記号「〇」の隣接位置には対応する実施例1~9の数字部分(1~9)を記載し、記号「□」の隣接位置には対応する比較例1~6の数字部分(図2中では〇で囲んだ1~6)を記載した。
≪耐熱接着性試験≫
実施例1~9及び比較例1~7の各防振ゴム組成物を用いて得たそれぞれのテストピース1について、まず、前記同様に各ボルト3を介して、50%伸長(図1では図示上下方向に伸長)させた状態で、100℃雰囲気にて60分間保持して、各金具2の接着剥がれの有無を目視で観察した。その後、更に10℃昇温させた雰囲気で40分間保持して、各金具2の接着剥がれの有無の目視確認を繰り返し、最後に200℃雰囲気で40分間保持して、各金具2の接着剥がれの有無確認を行い、試験を終了した。この試験において、各金具2の接着剥がれを防止できた温度が高い程、耐熱接着性が良好であると判断した。表1及び表2には、接着剥がれを防止できた温度のうち最高温度を記載した。例えば、160℃では接着剥がれがなく、170℃で接着剥がれが発生した場合、表1及び表2の耐熱接着性の欄には「160℃」と記した。なお、200℃でも接着剥がれを防止できた場合は「200℃」と記した。なお、この試験では、実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物において、それぞれ2個のテストピース1を作製し、該2個のテストピース1の試験結果のうち剥がれた温度が低い方の結果を、該各防振ゴム組成物の耐熱接着性の指標として採用した。これら各試験結果を表1及び表2に示す。
≪実施例の効果≫
図2の結果によれば、実施例1~9の各防振ゴム組成物を用いた場合(以下、単に実施例1~9の場合と適宜称する)においては、振動特性試験結果(動倍率と損失係数との関係を示す結果)が、比較例1~7の各防振ゴム組成物を用いた場合(以下、単に比較例1~7の場合と適宜称する)の振動特性試験結果による特性線(図示省略)を基準にすると、いずれも図示下方側に位置しており、低動倍率特性と高減衰特性の両立に優れていることが判る。
また、表1及び表2の結果に示すとおり、実施例1~9の場合、耐熱接着性試験結果が全て170℃以上であり、比較例1~6の場合と比較して良好なものであった。なお、カーボンブラック含有量が5質量部である実施例5は、他の実施例と比較すると、やや引張強度が低く、バンバリーミキサーによる混練後(ミキサー排出時)の粘着性がやや高くなる傾向にはあったが、加工性としては十分なレベルであり、低動倍率特性と高減衰特性の両立効果及び耐熱接着性も優れていることから、防振ゴムとして使用できる可能性は十分高いと判断した。また、窒素吸着比表面積が76m/gであるカーボンブラックを50質量部含有する実施例9は、他の実施例と比較すると、低動倍率特性と高減衰特性の両立効果という観点でやや劣るものの、比較例1~7よりは該両立効果が大きいことから、防振ゴムとして使用できる可能性があると判断した。
一方、ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を含有しない比較例1~3及び比較例5は、低動倍率特性と高減衰特性の両立効果は得られなかった。また、ハイスチレンゴムを含有せずカーボンブラック含有量が60質量部である比較例4、ハイスチレンゴムを20質量部含有し且つブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を30質量部含有するものの窒素吸着比表面積76m/gであるカーボンブラックをやや多く含有(表2では60質量部含有)する比較例6は、10Hzにおけるtanδが0.306であり高減衰特性には優れているものの、動倍率が5.79と大きな値となってしまった。なお、カーボンブラックを20質量部含有しブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を50質量部含有する比較例7は、バンバリーミキサーによる混練後の材料の粘着性が激しく、該ミキサーからの排出性が悪いうえに、オープンロールによる混練時のロール粘着性も激しく、加工が困難であったため加工性が低いものと判断(加工性NGと判断)し、物性評価は行わなかった。
1…テストピース
2…金具
3…ボルト(支持棒)

Claims (10)

  1. 主ゴム成分としてジエン系ゴムとハイスチレンゴムを、質量比でジエン系ゴム/ハイスチレンゴム=50/50~90/10の割合で含むと共に、全ゴム成分を100質量部とした場合に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~45質量部含有し、かつ、カーボンブラックを5~50質量部含有することを特徴とする防振ゴム組成物。
  2. 該全ゴム成分を100質量部とした場合に、窒素吸着比表面積が15~80m/gのカーボンブラックを5~40質量部含有し、かつ、全カーボンブラック含有量が5~45質量部であることを特徴とする請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 該全ゴム成分を100質量部とした場合に、窒素吸着比表面積が20~45m/gであるカーボンブラックの含有量が20~40質量部であり、かつ、全カーボンブラック含有量が20~40質量部であることを特徴とする請求項1記載の防振ゴム組成物。
  4. 該ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体が、平均分子量(Mn)が8000~12000であって、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以上0℃以下であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の防振ゴム組成物。
  5. 該ジエン系ゴムが、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有し、ハイスチレンゴムを含む全ゴム成分を100質量部とした場合に、天然ゴムを40~80質量部、スチレンブタジエンゴムを10~50質量部含有することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の防振ゴム組成物。
  6. 該ジエン系ゴムが、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含有し、ハイスチレンゴムを含む全ゴム成分を100質量部とした場合に、天然ゴムを40~80質量部、スチレンブタジエンゴムを10~50質量部含有することを特徴とする請求項4記載の防振ゴム組成物。
  7. 請求項1~3の何れかに記載の防振ゴム組成物が、金具表面上の接着剤層を介して該金具表面に加硫接着されて、該金具と該加硫接着された防振ゴム組成物による加硫ゴムとが一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
  8. 請求項4記載の防振ゴム組成物が、金具表面上の接着剤層を介して該金具表面に加硫接着されて、該金具と該加硫接着された防振ゴム組成物による加硫ゴムとが一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
  9. 請求項5記載の防振ゴム組成物が、金具表面上の接着剤層を介して該金具表面に加硫接着されて、該金具と該加硫接着された防振ゴム組成物による加硫ゴムとが一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
  10. 請求項6記載の防振ゴム組成物が、金具表面上の接着剤層を介して該金具表面に加硫接着されて、該金具と該加硫接着された防振ゴム組成物による加硫ゴムとが一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
JP2022146083A 2022-09-14 2022-09-14 防振ゴム組成物及び防振ゴム Pending JP2024041336A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022146083A JP2024041336A (ja) 2022-09-14 2022-09-14 防振ゴム組成物及び防振ゴム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022146083A JP2024041336A (ja) 2022-09-14 2022-09-14 防振ゴム組成物及び防振ゴム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024041336A true JP2024041336A (ja) 2024-03-27

Family

ID=90417090

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022146083A Pending JP2024041336A (ja) 2022-09-14 2022-09-14 防振ゴム組成物及び防振ゴム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024041336A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006199792A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び防振ゴム
JP5648014B2 (ja) 高減衰組成物および粘弾性ダンパ
WO2011016545A1 (ja) 防振ゴム組成物
JP2010144142A (ja) 高減衰ゴム組成物
WO2015182349A1 (ja) 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP2010254872A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物
TW201809104A (zh) 高衰減橡膠組成物及黏彈性減震器
WO2014080794A1 (ja) 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP2017082171A (ja) 高減衰ゴム組成物および粘弾性ダンパ
WO2018198647A1 (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び車両用防振ゴム
JP5568581B2 (ja) 高減衰組成物および粘弾性ダンパ
JP6248777B2 (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び防振ゴム
JP2014077050A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム
JP2024041336A (ja) 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP5568493B2 (ja) 防振ゴム組成物
WO2012120638A1 (ja) 防振ゴム組成物およびその製法、並びにその加硫体
JP2023145863A (ja) 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP5968191B2 (ja) 防振ゴム組成物
JP2019031607A (ja) 高減衰ゴム組成物および粘弾性ダンパ
JP2020090665A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム
JP7296414B2 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
WO2018043198A1 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
JP7405593B2 (ja) 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム
JP2018131475A (ja) 車両用防振ゴム組成物及び車両用防振部材
JP2004307820A (ja) 耐熱性防振ゴム組成物