JP2023145863A - 防振ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、十分な支持機能も有し、低動倍率性と高減衰性とを両立することができる防振ゴムゴム組成物の提供、並びに、該防振ゴム組成物によって得られ金具とゴムとの接着性に優れた防振ゴムを提供する。【解決手段】主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合で含むと共に、ゴム成分を100質量部とした場合に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~50質量部含有する防振ゴム組成物とする。また、ゴム成分を100質量部とした場合に、カーボンブラックを15~70質量部含有するものとする。【選択図】なし

Description

本発明はゴム組成物及び防振ゴムに係るものであり、例えば、防振性に優れる防振ゴムを提供できる防振ゴム組成物、並びにこの防振ゴム組成物を適用して得られ接着性に優れた防振ゴムに関する。
自動車用防振などのように、周波数や振幅等の異なる複数種の振動伝達系で用いられる防振ゴムにおいては、入力される各種の振動に適宜対応できるように、適正かつ有効な防振特性を発揮することが要求される。
例えば、自動車用防振ゴムでは、一般に、100Hz以上の高周波数領域の比較的小さな振幅の振動が入力される場合は、振動の伝達を遮断するために、低動ばね特性が要求される。また、5~15Hz程度の低周波数領域の比較的大きな振幅の振動が入力される場合は、振動を減衰させる制振効果を大きくするために、高い減衰特性が要求される。一方で、防振ゴムは、重量物を支えるなどの支持機能も要求され、一定の静的な力に耐え得るために、静的なばね特性(Ks)をある程度大きくしなければならない。
従って、例えば100Hzの微振幅振動入力時における動的ばね定数(Kd100)と静的ばね定数(Ks)との比である動倍率(=Kd100/Ks)(静動比ともいう)の値は、小さくすることが望まれている。また、高減衰特性の観点では、例えば10Hzの大振幅振動入力時における損失係数(tanδ;ロスファクターともいう)の値は、大きくすることが望まれている。
しかしながら、一般に、減衰特性を高めると、それに伴って動倍率の値が大きくなり、逆に、動倍率の値を小さくすると、それに伴って減衰特性が低下してしまうことが知られている。すなわち、低動倍率特性と高減衰特性との間には二律背反の問題があって、防振ゴムにおいては、これら両特性の両立を実現することが強く望まれている。
このような課題に対して、ジエン系ゴムに水添化イソプレンゴムを添加した防振ゴム組成物(例えば、特許文献1)、塩素化ブチルゴムのマトリクス相の中にカーボンブラックが偏在したブタジエンゴムのドメインが分散されている防振ゴム組成物(例えば、特許文献2)、さらには、ビニルおよびスチレンを主成分とする未加硫のジエン系ゴム材料に、液状のスチレンブタジエンゴムを配合してなる防振ゴム組成物(例えば、特許文献3)が提案されている。
一方で、自動車用防振ゴムでは、繰り返しの振動疲労耐久性の観点から、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)のブレンドゴム(以下、必要に応じてNR/BRと適宜称する)が広く用いられており、NR/BRの低動倍率化については比較的容易に達成可能であるが、上記課題である低動倍率特性と高減衰特性の両立は、達成が難しい課題となっている。
例えば特許文献4では、NR/BRを用いた場合の低動倍率特性と高減衰特性の両立の課題に対して、カーボンブラックを0質量部超かつ10質量部以下で含有し、更にオイルを50質量部~70質量部含有するジエン系ゴムが提案され、NR/BRを用いることが記されている。
自動車用の防振ゴムでは、前述の如く、周波数や振幅等の異なる複数種の振動伝達系で用いられる。このため、防振ゴム材料には、種々の硬さや減衰性の異なるゴム材料が用いられており、ゴム成分としてNR/BRの硬さや減衰性を制御する目的で、粒子径やストラクチャーが異なる各種のカーボンブラックの添加量を調整したり、ナフテン系オイルなどのプロセスオイルの添加量を調整することが、従来から行われている。
一方で、自動車のコンパクト化や高出力化等により、自動車用防振ゴムを取り巻く環境も高温になる傾向にあることから、防振ゴムの耐熱性向上も特に要求されるようになっている。
また、車両用防振ゴムの多くは、金具とゴム材とが一体化して形成された金具付きゴム部材となっており、フレーム,エンジン等の各種構成品同士の連結部材として用いられている。このような防振ゴムでは、金具とゴム材との界面を接着させるため、通常、接着剤が用いられる。この接着剤を用いた接着方法としては、一般に、一つの接着剤を用いる「接着剤一液塗工式」と、金具表面にプライマーとして下塗り接着剤を塗布した後、更に上塗り接着剤を塗布する「接着剤二液塗工式」とがあるが、高い接着性を得るために、後者の二液塗工式が広く用いられている。
特開平07-216136号公報 特開2019-131761号公報 特開2005-113092号公報 特開2018-188522号公報
しかしながら、特許文献1記載の防振ゴム組成物は、ゴム強度が不十分になり易く、特許文献2乃至特許文献3記載の防振ゴム組成物は、NR/BRを用いていないため、繰り返し振動を受けた時の振動耐久性が不十分となる場合があった。
また、特許文献4記載のNR/BRを用いた防振ゴム組成物では、カーボンブラック含有量が少なく軟化剤であるオイルを多量に含有するため、得られる防振ゴム用加硫ゴムの硬さが柔らかくなり過ぎてしまい、防振ゴムとしての支持機能が不十分になる場合があった(例えば特許文献4の実施例に記載のゴム硬さ(硬度)は5~21であり、車両用防振ゴムに用いられる加硫ゴム硬さとしては極めて低硬度であり、支持機能が不十分となり易い)。
さらには、補強材であるカーボンブラック含有量が少ないため、ゴム強度も不十分となり、例えば繰り返し大荷重がかかった場合の耐久性が不十分である場合があった。加えて、アロマ系オイルやナフテン系オイルなどのプロセスオイルの多量添加は、防振ゴムの耐熱性の低下につながることが多い。
また、防振ゴムでは上述の如く、高い接着性が求められるが、使用する防振ゴム組成物によっては、接着性が不十分となる場合があった。特に、熱環境が厳しい条件で使用される場合の接着性が不十分となり易かった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐熱性に優れ、十分な支持機能も有し、低動倍率性と高減衰性とを両立することができる防振ゴム組成物、および該防振ゴム組成物によって得られ金具とゴムとの接着性に優れた防振ゴムの提供をその目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を行った。そして、主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを含有し質量比で天然ゴムの割合を高くした防振ゴム組成物であって、特定の分子量(Mn)のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を特定の範疇で含有することによって、例えば加硫ゴム硬さが防振ゴムの支持機能の観点で十分な程度の場合(例えば十分な静的なバネ定数(ゴム硬さ40~75)を有している場合)においても、良好な低動倍率特性と高減衰特性との両立が図れて、従来の防振ゴム組成物には無かった優れた防振特性を実現できることを見出した。
すなわち、本発明の防振ゴム組成物の一態様は、主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合で含むと共に、ゴム成分を100質量部とした場合に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~50質量部含有することを特徴とする防振ゴム組成物である。
上記防振ゴム組成物の一態様の構成により、良好な低動倍率を維持しつつ、優れた高減衰性を実現でき、更には高い接着性を実現できる。
また、上記防振ゴム組成物の一態様では、該ゴム成分を100質量部とした場合に、カーボンブラックを15~70質量部含有することが好ましい。これにより、十分な支持機能を持ちつつ、低動倍率特性及び振動高減衰性の両立を、より高いレベルで実現できることとなる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、平均分子量(Mn)が8000~12000であって、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以上0℃以下であり、かつ、該カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が15~80m2/gであり、該カーボンブラックの含有量は、該ゴム成分を100質量部とした場合に20~60質量部であることが好ましい。この範疇の場合、十分な支持機能を持ちつつ、低動倍率特性及び振動高減衰性の両立を、より高いレベルで実現でき、更には高い接着性を実現できることとなる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が20~45m2/gであり、該カーボンブラックの含有量は、該ゴム成分を100質量部とした場合に25~50質量部であることが好ましい。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該ブタジエンゴムは、シス1,4-結合量が90%以上であり、かつ、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が50~75であることが好ましい。これにより、より優れた低動倍率性と高いゴム強度を実現できることとなる。
さらに、上記防振ゴム組成物の一態様では、該ゴム成分を100質量部とした場合に、プロセスオイルを0~5質量部含有することが好ましい。この範疇の場合、十分な支持機能を持ちつつ、低動倍率特性及び振動高減衰性の両立、更には耐熱性を、より高いレベルで実現できることとなる。
本発明の防振ゴムの一態様は、上記防振ゴム組成物の一態様と金具との両者が、金具表面上に形成した接着剤層を介して加硫接着されて、該両者が一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴムである。
上記防振ゴムの一態様の構成により、金具と加硫ゴムとの接着性に優れ、かつ低動倍率特性及び振動高減衰性の両立を実現できる。
本発明によれば、耐熱性に優れ、十分な支持機能も有し、低動倍率性と高減衰性とを両立することができる防振ゴムゴム組成物の提供、並びに、該防振ゴム組成物によって得られ金具とゴムとの接着性に優れた防振ゴムを提供することができる。
本発明に係る実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて成るテストピース1の概略説明図である。 本発明に係る実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて成るテストピース1における動倍率(Kd100/Ks)とtanδ(10Hz)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
前述の如く、低動倍率特性と高減衰特性との間には二律背反の関係がある。即ち、通常は、減衰性と動倍率は一定の関係があり、同じ形状の防振ゴム(ゴムサンプル)であれば、ある減衰性の場合に、ほぼ同じ動倍率となる。本発明で言う低動倍率高減衰性とは、この一定の関係から外れ、同じ減衰性であれば、通常の防振ゴム材料よりも動倍率が低くなると言うことを意味する。逆に言うと、同じ動倍率であれば、減衰性が大きくなると言う意味である。
なお、本発明に適用可能な各資材(各成分)の含有量に関して、以下単に質量部と記載する場合があるが、質量部とは、全ゴム成分を100質量部としたときの各資材(各成分)の含有割合(質量部)を意味する。
本発明の防振ゴム組成物は、主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合で含むと共に、平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体(液状SBR)を15~50質量部含有することを特徴とする。
防振ゴム組成物において、主ゴム成分として天然ゴムを主体にスチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)をブレンドして用いることは、一般的に行われている。より低動倍率で高耐久な防振ゴムが望まれる場合には、主ゴム成分として天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合で含むものがよく用いられている。
しかしながら、天然ゴムやブタジエンゴムは、低減衰性(低ロスともいう)のゴムであることが知られており、低動倍率性に優れた防振ゴムは得られるが、通常使用される車両用途の防振ゴムのゴム硬さ(例えばゴム硬さが40から70程度)の弾性体であって、低動倍率性と高減衰性との両立せしめる防振ゴム組成物を得ることはできなかった。すなわち、主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合で含むと共に、軟化剤として特定のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~50質量部含有せしめるといった技術的思想は存在していなかった。
そのため、従来においては、本発明の防振ゴム組成物と同様の成分組成には想到できず、高耐久性である天然ゴムとブタジエンゴムのブレンドゴムを用いても、低動倍率と高減衰性の両立性(本発明と同程度の低動倍率性と高減衰性の両立性)が得られていない。
本発明の防振ゴム組成物に使用する各成分に関して説明する。
[ゴム成分]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合(以下、単に本発明ゴム成分範疇と適宜称する)で含む。主ゴム成分とは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)の合計量が全ゴム成分中の90質量%以上であることを意味する。好ましくは、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)の合計量が全ゴム成分中の95質量%以上である。主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを本発明ゴム成分範疇で含む場合、ゴム強度が高く振動耐久性に優れ、低動倍率のゴム組成物が得ることができる。
天然ゴムとしては、特に制限はなく、防振ゴムに用いられる通常の天然ゴムを適用することができる。具体的には、例えば、シートゴム(クレープを含む)では、RSS(RIBBED SMOKED SHEET)、WHITE CREPES、PALE CREPES、ESTATE BROWN CREPES、COMP CREPES、THIN BROWN CRAPES(RIMILLS)、THICH BLANCKET CRAPES(AMBERS)、FLAT BARK CREPES、PURE SMOKED BRANKET CRAPESの全ての等級が挙げられる。また、ブロックゴムでは、SMR(STANDARD MALAYSIAN RUBBER)、SIR(STANDARD INDONESIAN RUBBER)、STR(STANDARD THAI RUBBER)、SSR(STANDARD SINGAPOREAN RUBBER)、SCR(STANDARD CEYLON RUBBER)、SVR(STANDARD VIETNAMESE RUBBER)などが挙げられる。
本発明で使用するブタジエンゴム(BR)としては、特に制限はなく、防振ゴムに用いられる市販の各種ブタジエンゴムを使用することができる。中でも、低動倍率性、低温特性、繰り返し変形に対する耐久性の観点から、シス1,4‐結合量は高いほど好ましく、例えばシス1,4‐結合量が90%以上である高シスBRを使用することが好ましく、93%以上であることがより好ましい。
また、同じ化学組成のBRでは、ムーニー粘度(ML1+4)が高いほど分子量が高くなる傾向があり、耐久性を良好にするには、例えば100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)を50以上とすることが好ましい。一方で、ムーニー粘度(ML1+4)が高くなるに従い、ゴムの流動性は低下する傾向にあり、ムーニー粘度(ML1+4)があまりにも高くなると、防振ゴム材料組成物の練り加工性、成形加工性が悪化する傾向にある。そのため、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は、75以下であることが好ましい。より好ましくは、ムーニー粘度(ML1+4)65以下である。即ち、本発明において、ブタジエンゴム(BR)は、粘度が50以上65以下のものが好ましく使用される。このようなブタジエンゴムとしては、JSR BR730,JSR BR54,JSR BR740(以上、JSR社製)、ウベポール390L(宇部興産社製)、BUNA CB21,CB22,CB1221(以上、アランセオ社製)などが挙げられる。
本発明の防振ゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲(例えば10質量部以下の範疇)で、上記天然ゴムとブタジエンゴム以外の他のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分としては、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などが挙げられる。
[ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を、15~50質量部の割合(以下、本発明共重合体範疇と適宜称する)で含有する。この本発明共重合体範疇の場合、適切な柔軟性を持つとともに振動減衰性に優れ、低動倍率性との両立が可能となる。なお、このブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、軟化剤として作用し、通常のゴム用のイオウ系加硫剤と併用しても弾性体とならないため、本発明ではゴム成分及び樹脂成分には含めない。このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体としては、例えば、Ricon 100,Ricon 181,Ricon 184(以上、Cray Valley社製)、L-SBR-820,L-SBR-841(以上、株式会社クラレ社製)などが挙げられる。
好ましくは、ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体の平均分子量(Mn)が8000~12000であって、かつ、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以上0℃以下のものが挙げられる。このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体によれば、さらに低動倍率と振動高減衰性の両立効果が大きい。このようなブタジエン・スチレン・ランダム共重合体の具体例としては、L-SBR-841(株式会社クラレ社製)などが挙げられる。
[カーボンブラック]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、カーボンブラックを15~70質量部の割合(以下、本発明カーボンブラック範疇と適宜称する)で含有することが好ましい。この本発明カーボンブラック範疇の場合、防振ゴムの支持機能を果たすための適切な静バネ定数が得られ易い。前述の如く、ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は軟化剤としても作用する。即ち、カーボンブラックの含有量が15質量部よりも少ないと、加硫ゴム硬さが低くなり過ぎて、適切な静バネ定数を得ることが難しくなる。カーボンブラックの含有量が70質量部よりも多いと、高周波数微振幅での弾性率の向上がより大きくなる。従って低動倍率効果が小さくなる。
用いるカーボンブラックとしては、特に限定はなく、市販の各種ゴム用のファーネスブラックやカラー用ファーネスブラックを使用することができるが、中でも、窒素吸着比表面積が15~80m2/gのカーボンブラックが好ましく使用される。このようなカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスカーボンブラックとして知られるHAF級、MAF級,FEF級、GPF級,SRF級、FT級などが挙げられる。このカーボンブラックの含有量としては、ゴム成分を100質量部とした場合に20~60質量部であることが好ましい。
更には、窒素吸着比表面積が20~45m2/gのカーボンブラック含有量が25~50質量部であることがより好ましい。このようなカーボンブラックによれば、低動倍率高減衰効果が大きい。このようなカーボンブラックの具体例としては、ゴム用ファーネスカーボンブラックとして知られるFEF級、GPF級、SRF級などが挙げられる。
[プロセスオイル]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、上記成分のほかにプロセスオイルを含有することができる。しかしながら、天然ゴムやブタジエンゴムの如きジエン系ゴム組成物に用いられるナフテン系オイルやアロマ系オイル、パラフィン系オイルなどのプロセスオイルは、弾性率を低下させる作用はあるものの、減衰性を大きくする作用は乏しく、さらには、低動倍率性と高減衰性の両立効果はない。また、上記プロセスオイルの多量添加は、耐熱性を低下させる傾向にある。このため、プロセスオイルの添加量においては、ゴム硬さを調整する程度(例えば少量添加する程度である5質量部以下)に設定することが好ましい。さらに好ましくは、3質量部以下に設定することが挙げられる。
[加硫剤(架橋剤)]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、上記成分のほかに加硫剤(架橋剤)を含有する。加硫剤(架橋剤)としては、公知のイオウ系加硫剤を使用することができる。イオウないしイオウ系化合物を使用した加硫は、防振ゴムの耐久性に優れることから、好ましく使用される。さらに、本発明で使用される平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、イオウないしイオウ系化合物では殆ど架橋しないため、弾性体となることはできず、軟化剤として作用させることができる。
イオウないしイオウ系化合物としては、具体的には、硫黄、塩化硫黄、2‐(4’‐モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4,4’‐ジチオジモルホリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2‐エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが例示できる。イオウないしイオウ系化合物のほかに、ビスマレイミド加硫、樹脂加硫などを併用しても構わない。
[充填剤]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、上記成分のほかにカーボンブラック以外の充填剤を含有することができる。上記充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等の無機系充填剤、高分子フィラー等の有機系充填剤等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(フュームドシリカ)、湿式法シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホシリカが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シリカの比表面積は特に制限されないが、窒素吸着比表面積で、通常、50~400m2/g、好ましくは100~250m2/g、更に好ましくは120~220m2/gのものが挙げられる。このようなシリカであれば、動倍率や損失係数が高いレベルで改善され、好適である。ここで、窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じ、BET法で測定される。
[加硫促進剤]
加硫剤としてイオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することができる。加硫促進剤としては、具体的には、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N‐オキシジエチレン‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N‐ジイソプロピル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物や、2‐メルカプトベンゾチアゾール、2‐(2,4‐ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル‐4‐モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物や、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物や、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2‐エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物などを、挙げることができる。これらの加硫促進剤は、各々の種類のうちの1種のみを用いても良いし、2種以上を併用することもでき、異なる種類のものを併用することもできる。上記加硫促進剤の配合量は、上記天然ゴム及び上記ブタジエンゴムを含む全ゴム成分の合計量を100質量部とした場合、好ましい範囲は0.5~15質量部、より好ましい範囲は1~10質量部、更に好ましい範囲は1.2~8質量部である。また、加硫速度の調整として、スコーチ防止剤であるN‐シクロヘキシルチオフタルイミド、N‐フェニル‐N‐(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミドなどを好ましく使用することができる。
[加硫助剤]
また、加硫剤としてイオウ化合物を使用する場合には、亜鉛華や活性亜鉛華などの酸化亜鉛(ZnO)あるいは複合亜鉛華等の加硫助剤と、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫助剤を併用することが好ましい。ここで、複合亜鉛華とは、表面に酸化亜鉛(亜鉛華)の層を有し、コア成分として内部に無機金属塩を含有するものなどが知られており、例えば井上石灰工業社製のMETA-Z Lシリーズ(META-Z L40、L50、L60)などが例示される。酸化亜鉛若しくは複合亜鉛華の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下とすることが挙げられる。ステアリン酸若しくはステアリン酸亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下とすることが挙げられる。
[老化防止剤]
本実施形態の防振ゴム組成物は、天然ゴムとブタジエンゴムを使用するため、耐オゾン性や耐熱性に劣る場合には、公知の老化防止剤により改良することが好ましい。老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、ワックス類等が挙げられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いられる。前記老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、1~15質量部の範囲が好ましく、3~10質量部の範囲がより好ましい。
[加工助剤]
本実施形態の防振ゴム組成物は、加工性の改善を目的として、加工助剤を含有することができる。加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を適用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸や、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩や、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類や、粘着性付与を目的としたテルペン樹脂やクマロン樹脂などのタッキファイヤー類が、挙げられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[カップリング剤]
本実施形態の防振ゴム組成物は、振動特性の調整を目的として、ゴム成分とカーボンブラックとのカップリング剤、ゴム成分とシリカとのシランカップリング剤などの添加剤や、加硫戻り防止剤など公知のゴム用添加剤を、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[防振ゴム組成物の製造]
本発明に係る防振ゴム組成物を製造するに際しては、自明な各種の手法を採用することが可能である。例えば、バンバリーミキサーやロール機等の公知の混練装置を用い、この混練装置内に天然ゴムとブタジエンゴムそしてブタジエン・スチレン・ランダム共重合体をそれぞれ投入するとともに、加硫剤を始めてとする上述のゴム用添加物を配合し、適宜混練して、目的とする構成の未加硫ゴム組成物に調製する。各成分の混練方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行っても良い。具体例としては、例えば、加硫剤(架橋剤)と加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて混練し、ついで、架橋剤と加硫促進剤を配合し、オープンロールを用いて混練することが挙げられる。
[金具付き防振ゴムの製造]
本発明に係る金具付き防振ゴムを製造するに際しては、自明な各種の手法を採用することが可能であり、その一例として以下の手法が挙げられる。
まず、金具(後述の図1では符号2で示す金具)の表面をショットブラストなどで粗面加工し、その粗面加工した表面において防振ゴム組成物と接着させる部分に、1液性または2液性の加硫接着剤を塗布し乾燥させる。次に、前記加硫接着剤を塗布した金具を、防振ゴム組成物を加硫させるのに適した温度に加熱された所望の形状の金型のキャビティ内の所望の位置に、設置する。その後、インジェクションなどの装置により、前記金具が設置された金型キャビティ内に防振ゴム組成物を注入する。防振ゴム組成物を注入後、一定時間加熱することにより、防振ゴム組成物の加硫(架橋)反応と前記金具表面の加硫接着剤との反応を同時的に進行させる。そして、金型から取り出すことにより、金具付きの防振ゴムを得ることができる。
また、防振ゴムの形状、サイズ等もなんら限定されるものでなく、防振特性の程度や用途等に応じて適宜に設定することが可能である。
このようにして製造された防振ゴムは、例えばメンバマウント、ストラットマウント、サスペンションブッシュ、ボディマウント等の自動車用防振ゴムとして、振動あるいは衝撃伝達系を構成する部材間に介装されて防振性乃至緩衝性を実現するように用いられることになる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、幾つかの実施例及び比較例を記載するが、本発明はそれら実施例の記載によって何らの制約を受けるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更、改良等を加えることが可能であることは、言うまでもないところである。
≪防振ゴム組成物の作成≫
表1、表2に示す割合で各種材料を配合して混練することにより、防振ゴム組成物を調製した。なお、上記混練は、まず、加硫剤と加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて5分間混練し、ついで、加硫剤と加硫促進剤を配合し、オープンロールを用いて、冷却水温度を約20℃に設定して、冷却しながらバンバリーミキサーで混錬したゴムに加硫剤と加硫促進剤を添加し、5分間混練することにより防振ゴム組成物(実施例1~9,比較例1~6)を作成した。
Figure 2023145863000001
Figure 2023145863000002
なお、表1、表2に記載した材料は、次の通りである。
・天然ゴム:SVR CV60
・ブタジエンゴム-1:シス1,4‐結合量94%、ムーニー粘度(ML1+4)55、JSR株式会社製「BR-730」
・ブタジエンゴム-2:シス1,4‐結合量96%、ムーニー粘度ML1+4)44、JSR株式会社製「BR-01」
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体-1:平均分子量(Mn)4500、Tg-15℃、クレーバレー社製「RICON100」
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体-2:平均分子量(Mn)10000、Tg-6℃、クラレ株式会社製「L-SBR-841」
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体-3:平均分子量(Mn)3200、Tg-65℃、クレーバレー社製「RICON181」
・ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体-4:平均分子量(Mn)3200、Tg-57℃、クレーバレー社製「RICON184」
・カーボンブラック-1:窒素吸着比表面積22m2/g(SRF級)、旭カーボンブラック株式会社製「旭#50HG」
・カーボンブラック-2:窒素吸着比表面積76m2/g(HAF級)、キャボットジャパン株式会社製「VULCAN 3D」
・カーボンブラック-3:窒素吸着比表面積115m2/g(ISAF級)、日鉄カーボン株式会社製「ニテロン#300」
・老化防止剤-1:(N-フェニル-N’‐(1,3‐ジメチルブチル)‐P‐フェニレンジアミン)、大内振興社製「ノクラック6C」
・老化防止剤-2:(2‐メルカプトベンズイミダゾール)大内振興株式社製「ノクラックMB」
・老化防止剤-3:(ワックス)日本精蝋株式会社「オゾエース0100」
・複合亜鉛華:井上石灰工業社製「META-Z-L60」
・ステアリン酸:日本油脂株式会社製「ステアリン酸つばき」
・ナフテン系オイル:ENEOS株式会社製「クリセフオイルH56」
・加硫剤:硫黄、鶴見化学工業社製「金華印微粉硫黄200MESH」
・加硫促進剤-1(N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾリルスルフェンアミド):大内振興化学株式会社製「ノクセラーCZ-G」
・加硫促進剤-2(テトラメチルチウラムジスルフィド):大内振興化学株式会社製「ノクセラーTT-P」
〔引張り特性及び熱老化後特性測定用の2mm加硫ゴムシートの作製〕
表1及び表2に示す実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物において、ゴムの厚みが略2mmとなるキャビティの2mmシート用金型を用いたコンプレッション成形により、160℃にて加硫時間10分で加硫成型行って、厚み2mmの加硫ゴムシート(以下、単に評価用ゴムシートと適宜称する)を得た。
〔防振ゴムテストピースの作製〕
図1に示す防振ゴムのテストピース1を作製するにあたり、まず、片面の中心にボルト3が立設された50mm×50mmの鉄製金具2を二つ準備し、各金具2のボルト3が立設されていない面をショットブラスト処理し粗面化した。次に、各金具2の、ボルトが立設されていない面それぞれに、下塗り接着剤としてケムロック205(ロード・ファー・イースト社製)を塗布し、80℃雰囲気にて20分間乾燥させ、下塗り接着剤層(厚み10μm)を形成した。この下塗り接着剤層を形成した各金具2を室温まで冷却後、続いて、それぞれの下塗り接着剤層の表面に、上塗り接着剤としてケムロック6125(ロード・ファー・イースト社製)を塗布し、80℃雰囲気にて20分間乾燥させ、上塗り接着剤層(厚み10μm)を形成した。そして、成形用金型内に、各金具2を配置(各金具2の上塗り接着層が対向した姿勢となるように配置)し、さらに、インジェクション成形機を用いて、成形用金型内における各金具2間に未加硫ゴムを充填し、加硫(160℃×12分間)して、図1に示すような40mm×40mm×30mmの直方体に形成した金具2付き角型のテストピース1を作製した。
≪引っ張り物性≫
実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて得た各評価用ゴムシートにおいて、JIS3号ダンベルで打ち抜き、JIS K 6251に準拠して、破断強度(TB)、破断伸び(EB)、および硬度(Hs:JIS A)を測定した。これら各測定結果は表1及び表2に示す。
≪耐熱老化性試験≫
実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて得た各評価用ゴムシートにおいて、まず、JIS3号ダンベルで打ち抜き、100℃雰囲気に設定したギヤー式老化試験機に336時間(2週間)投入して、熱老化させた試験片をそれぞれ作成した。次に、各試験片において、上記≪引っ張り物性≫と同様の方法で引張試験を行って破断伸び(すなわち熱老化後の破断伸び)を測定した。そして、熱老化前の破断伸び(EB)に対する熱老化後の破断伸びの変化率(AcEB)を算出した。これら各算出結果は表1及び表2に示す。
≪振動特性試験≫
実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて得たそれぞれのテストピース1について、まず、各ボルト3を介して、軸方向荷重を加えて軸方向(ボルト3軸方向)に6mm圧縮させ、一旦、減荷するという圧縮・減荷工程を、2回繰り返した。この後、再度、6mm圧縮(すなわち3回目の加荷過程)させることにより、該圧縮時(3回目の加荷過程)における荷重-撓み特性を測定し、それに基づいて荷重‐撓み曲線を作成した。そして、該荷重‐撓み曲線から、撓みが2mmと4mmになったときの荷重値P1,P2(単位は、N)をそれぞれ読み取り、該荷重値P1,P2を関係式「Ks=(P2-P1)/2」に適宜代入することによって、各々の静的ばね定数Ks(N/mm)を算出した。
また、これとは別に、各テストピース1について、前記同様に各ボルト3を介して、軸方向に3mm圧縮させた状態にし、その圧縮状態のテストピース1の一方のボルト3側(例えば図示下方)から、該3mm圧縮した位置を中心とする振幅±0.05mmの定変位調和圧縮振動を、周波数100Hzにおいて加える試験を行い、JIS-K-6385-2012の「防振ゴムの試験方法」における「非共振方法(a)」に準拠して、100Hz時の動的ばね定数Kd100(N/mm)を求めた。そして、その求めた動的ばね定数(Kd100)と前記算出した静的ばね定数(Ks)とから、動倍率(=Kd100/Ks)を算出した。
また、この振動特性試験では、各テストピース1について、前記同様に各ボルト3を介して、軸方向に3mm圧縮させた状態にし、その圧縮状態の各テストピース1の一方のボルト3側から、該3mm圧縮した位置を中心とする振幅±1.0mmの定変位調和圧縮振動を、周波数10Hzにおいて加える試験を行い、10Hz時の損失係数tanσ(10Hz)を算出した。これら各算出結果を、表1及び表2に示す。
さらに、上記のようにして算出された各テストピース1における動倍率Kd100/Ksと損失係数tanσ(10Hz)との関係を示すグラフを、図2に示した。この図2は、実施例1~9と比較例1~6を対比したものである。なお、図2では、記号「●」の隣接位置には対応する実施例1~9の数字部分(1~9)を記載し、記号「×」の隣接位置には対応する比較例1~6の数字部分(1~6)を記載した。
≪耐熱接着性試験≫
実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いて得たそれぞれのテストピース1について、まず、前記同様に各ボルト3を介して、50%伸長(図2では図示上下方向に伸長)させた状態で、100℃雰囲気にて60分間保持して、各金具2の接着剥がれの有無を目視で観察した。その後、更に10℃昇温させた雰囲気で40分間保持して、各金具2の接着剥がれの有無の目視確認を繰り返し、最後に200℃雰囲気で40分間保持して、各金具2の接着剥がれの有無確認を行い、試験を終了した。この試験において、各金具2の接着剥がれを防止できた温度が高い程、耐熱接着性が良好であると判断した。表1及び表2には、接着剥がれを防止できた温度のうち最高温度を記載した。例えば、160℃では接着剥がれがなく、170℃で接着剥がれが発生した場合、表1及び表2の耐熱接着性の欄には「160℃」と記した。なお、200℃でも接着剥がれを防止できた場合は「200℃OK」と記した。なお、この試験では、実施例1~9及び比較例1~6の各防振ゴム組成物において、それぞれ2個のテストピース1を作製し、該2個のテストピース1の試験結果のうち剥がれた温度が低い方の結果を、該各防振ゴム組成物の耐熱接着性の指標として採用した。これら各試験結果を表1及び表2に示す。
≪実施例の効果≫
図2の結果によれば、実施例1~9の各防振ゴム組成物を用いた場合(以下、単に実施例1~9の場合と適宜称する)においては、振動特性試験結果(動倍率と損失係数との関係を示す結果)が、比較例1~6の各防振ゴム組成物を用いた場合(以下、単に比較例1~6の場合と適宜称する)の振動特性試験結果による曲線(点線)を基準にすると、いずれも図示下方に位置しており、低動倍率高減衰性に優れていることが判る。更には、表1及び表2の結果によれば、実施例1~9の場合、比較例1~6の場合と比較して、熱老化後の破断伸び変化率(AcEB)が小さいことから、熱老化特性に優れることも判る。
更に、図2及び表1の結果から、実施例2の場合及び実施例9の場合は、ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体において、平均分子量(Mn)が10000で、ガラス転移温度(Tg)が-6℃であり、かつ、カーボンブラックにおいて、窒素吸着比表面積が22m2/gであり、カーボンブラックの含有量が該ゴム成分を100質量部とした場合に40質量部であり、最も低動倍率高減衰効果が大きいことが判る。
カーボンブラック含有量が80質量部と比較的多い実施例8の場合は、減衰性が非常に大きく、低動倍率高減衰効果は、認められるが、動倍率が5.35と比較的高めであることが読み取れる。更に、実施例2の場合と実施例9の場合、低動倍率高減衰性効果は、ほぼ同じではあるが、シス1,4‐結合量94%、ムーニー粘度(ML1+4)55であるブタジエンゴムを用いた実施例2の場合の方が、ゴム強度が比較的高いことが判る。
更には、表1及び表2の結果から、実施例1~9の場合、比較例1~6の場合と比較して、金具2との接着性に優れることが判る。従って、実施例1~9の場合は、防振ゴムとして有効であることが判る。
1…テストピース
2…金具
3…ボルト(支持棒)

Claims (7)

  1. 主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=50/50~95/5の割合で含むと共に、ゴム成分を100質量部とした場合に、軟化剤として平均分子量(Mn)が3000~12000のブタジエン・スチレン・ランダム共重合体を15~50質量部含有することを特徴とする防振ゴム組成物。
  2. 該ゴム成分を100質量部とした場合に、カーボンブラックを15~70質量部含有することを特徴とする請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 該ブタジエン・スチレン・ランダム共重合体は、平均分子量(Mn)が8000~12000であって、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以上0℃以下であり、
    該カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が15~80m2/gであり、
    該カーボンブラックの含有量は、該ゴム成分を100質量部とした場合に20~60質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の防振ゴム組成物。
  4. 該カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が20~45m2/gであり、
    該カーボンブラックの含有量は、該ゴム成分を100質量部とした場合に25~50質量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の防振ゴム組成物。
  5. 該ブタジエンゴムは、シス1,4-結合量が90%以上であり、かつ、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が50~75であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の防振ゴム組成物。
  6. 該ゴム成分を100質量部とした場合に、プロセスオイルを0~5質量部含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の防振ゴム組成物。
  7. 請求項1~請求項6の何れかに記載の防振ゴム組成物と金具との両者が、金具表面上に形成した接着剤層を介して加硫接着されて、該両者が一体的に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
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