JP2024030250A - グリッパ及びワークの保持方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの加工時間をより一層短縮する。【解決手段】グリッパは、少なくともワークの曲げ加工に用いられる曲げロボットのアームの先端部に設けられた回転構造体に直接又は間接的に取り付けられるグリッパ本体と、前記グリッパ本体の先端部に設けられ、ワークを吸着する吸着体と、を備え、前記吸着体は、前記回転構造体の回転軸と交差する方向に向く吸着面を含み、前記回転構造体の回転軸に沿う方向及び前記吸着面と直交する方向の双方と直交する軸を中心として回転可能に構成され、前記吸着面と直交する方向における前記回転構造体の幅内に位置している。【選択図】図2

Description

本発明は、グリッパ及びワークの保持方法に関する。
従来から、ワークの曲げ加工の補助等を行う曲げロボットが知られている。例えば、特許文献1には、図10に示すように、アームの先端部に設けられたロボットヘッド部102と、ロボットヘッド部102の先端に設けられたジョイントプレート103と、ジョイントプレート103の先端に設けられたシャフト104と、シャフト104に取り付けられたベースフレーム105の先端部に複数設けられ、ロボットヘッド部102よりも上側又は下側に位置するバキュームパッド106と、を備える曲げ加工機用ロボットが記載されている。ベースフレーム105及びバキュームパッド106は、シャフト104の軸回りに垂直面内で回動可能に構成されている。ジョイントプレート103は、ロボットヘッド部102の軸回りに垂直面内で回動可能に構成されている。
特許文献1に記載の曲げ加工機用ロボットは、例えば、バキュームパッド106によりワークWをロボットヘッド部102よりも上側に保持した下アプローチ状態において、プレスブレーキのパンチPとダイDによりワークWの一辺を曲げた後、ベースフレーム105及びバキュームパッド106をシャフト104の軸回りに回転させることにより、ワークWをロボットヘッド部102の上側から下側へ移動させる。こうして、ワークWの最初に曲げた一辺とは反対側の一辺をプレスブレーキ側に位置させる。
そして、ワークWの反対側の一辺をプレスブレーキ側に位置させた状態から、ジョイントプレート103をロボットヘッド部102の軸回りに180°回転させることにより、ワークWをロボットヘッド部102の下側から再度上側へ移動させて、下アプローチ状態に戻した後、ワークWの反対側の一辺を曲げ加工するよう構成されている。
そのため、特許文献1に記載の曲げ加工機用ロボットでは、プレスブレーキにより、例えばワークの一辺を曲げた後に、曲げ加工機用ロボットの姿勢変更やワークの掴み換えを行うことなく、ワークの反対側の一辺を、最初に曲げた一辺と同じ向きに曲げることができる。これにより、ワークの加工時間を短縮できるという利点がある。
特開2001-287185号公報
ところで、特許文献1に記載の曲げ加工機用ロボットにおいて、ワークの反対側の一辺をプレスブレーキ側に位置させた状態において、ワークの反対側の一辺を最初に曲げた一辺とは曲げ方向を逆向きに曲げたい場合、図10に示すように、バキュームパッド106により吸着保持されたワークWが、ロボットヘッド部102よりも下側に位置する上アプローチ状態でワークWの曲げ加工を行うことが考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載の曲げ加工機用ロボットでは、上記のような上アプローチ状態においては、ロボットヘッド部102がバキュームパッド106よりも上側に位置するため、上記上アプローチ状態でのワークWの曲げ加工時において、曲げ加工機用ロボットのアームがワークWの曲げ加工時の動きに従って上方斜め前方側に動作すると、ロボットヘッド部102及びその先の各部がプレスブレーキのパンチPやプレスブレーキそのものに干渉するおそれがある。
そのため、特許文献1に記載の曲げ加工機用ロボットでは、補助把持装置を介して、ロボットヘッド部102がバキュームパッド106よりも下側に位置するようにワークWの掴み換えをする動作を行う必要がある。その他の曲げ加工機用ロボットにおいては、ロボットヘッド部102がバキュームパッド106よりも下側に位置するように曲げ加工機用ロボットの姿勢そのものを変更する動作が必要となる場合がある。いずれの場合にも、ワークWの加工時間を要するという問題がある。
本発明の一態様は、ワークの加工時間をより一層短縮することが可能なグリッパ及びワークの保持方法である。
本発明の一態様に係るグリッパは、少なくともワークの曲げ加工に用いられる曲げロボットのアームの先端部に設けられた回転構造体に直接又は間接的に取り付けられるグリッパ本体と、前記グリッパ本体の先端部に設けられ、ワークを吸着する吸着体と、を備え、前記吸着体は、前記回転構造体の回転軸と交差する方向に向く吸着面を含み、前記回転構造体の回転軸に沿う方向及び前記吸着面と直交する方向の双方と直交する軸を中心として回転可能に構成され、前記吸着面と直交する方向における前記回転構造体の幅内に位置している。
本発明の一態様に係るワークの保持方法は、上記のグリッパによりワークを吸着保持した状態において、前記グリッパの前記吸着体を回転させて前記ワークを反転させることにより、前記ワークの向きを変更する。
本発明の一態様に係るグリッパ及びワークの保持方法によれば、グリッパ本体の先端部に設けられた吸着体が、回転構造体の回転軸と交差する方向に向く吸着面を含み、回転構造体の回転軸に沿う方向及び吸着面と直交する方向の双方と直交する軸を中心として回転可能に構成されており、吸着面と直交する方向における回転構造体の幅内に位置していることにより、ワークの曲げ加工時のロボットの姿勢変更動作やワークの掴み換え動作を行う必要がなくなるので、ワークの加工時間をより一層短縮することができる。
本発明の一態様に係るグリッパ及びワークの保持方法によれば、ワークの加工時間をより一層短縮することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットを示す概略図である。 図2は、一実施形態に係るグリッパを示す上面図である。 図3は、一実施形態に係るグリッパを示す図2のA-A線一部断面図である。 図4は、一実施形態に係るグリッパの回転動作の一例を示す概略図である。 図5は、一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。 図6は、一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。 図7は、一実施形態に係るグリッパの曲げ加工時の動作を示す側面図である。 図8は、一実施形態に係るグリッパの曲げ加工時の動作を示す側面図である。 図9は、一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。 従来の曲げロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態に係るグリッパ及びワークの保持方法を詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施の形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて示されている場合、並びに一部の構成要素の記載が省略されている場合がある。
[グリッパを有するワーク供給ロボットの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットを示す概略図である。
図1に示すように、一実施形態に係るワーク供給ロボット1は、概略的には、ワーク載置台9上に平積みに積載されたワークW群から最上位のワークWtを搬送可能に構成されている。なお、ワークW群は、ワーク載置台9上に、所謂櫛歯状に載置されていてもよい。ワーク供給ロボット1は、最上位のワークWtを保持するロボットハンドとしてのグリッパ10を含んでいる。
ここで、グリッパ10は、少なくともワークWの曲げ加工に用いられるワーク供給ロボット(曲げロボット)1のアーム部(アーム)2の先端部に設けられた回転部(回転構造体)3に直接又は間接的に取り付けられるグリッパ本体11を備える。また、グリッパ10は、グリッパ本体11の先端部に設けられ、ワークWを吸着する吸着部(吸着体)12を備える。吸着部(吸着体)12は、回転部(回転構造体)3の回転軸P1(図2等参照)と交差(本実施形態では直交)する方向に向く吸着面12a(図3等参照)を含む。吸着部(吸着体)12は、回転部(回転構造体)3の回転軸P1に沿う方向及び吸着面12aと直交する方向の双方と直交する軸P2(図2等参照)を中心として回転可能に構成されている。吸着部(吸着体)12は、吸着面12aと直交する方向における回転部(回転構造体)3の幅F(図3参照)内に位置している。
なお、一実施形態に係るワーク供給ロボット1は、曲げ加工機等の加工機(図示せず、以下同じ。)と、この加工機及びワーク供給ロボット1を制御する制御装置(図示せず、以下同じ。)と、を備えて構成され、加工機と共にワークWの自動加工を行う加工システムに含まれてもよい。
[ワーク供給ロボットの詳細構成]
ワーク供給ロボット1は、ワーク載置台9と、ワークWの搬送先(例えば、加工機等)との間に配置されている。ワーク供給ロボット1は、ワーク載置台9上でワークWを保持し、保持したワークWを加工機等の搬送先に向けて搬送するように構成されている。
具体的には、ワーク供給ロボット1は、移動機構60と、グリッパ10と、アーム部2と、を含んでいる。また、ワーク供給ロボット1は、これら各部を制御する制御部(図示せず)を含んでいる。移動機構60は、ワーク供給ロボット1を移動させる。グリッパ10は、ワークWを保持可能に構成される。アーム部2は、グリッパ10をワークWに対して接近又は離隔させる。
移動機構60は、レール部60aと、ベース台60bと、ベース台駆動手段(図示せず)と、を有する。レール部60aは、床面8上に敷設される。ベース台60bは、レール部60a上に沿って移動可能に構成される。ベース台駆動手段は、ベース台60bを駆動させる。移動機構60は、例えば、所謂直動機構として構成される。移動機構60は、制御装置に含まれるロボット制御部(図示せず)からの制御信号に基づく制御部による制御によって、床面8上においてワーク供給ロボット1を移動させる。なお、移動機構60は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
アーム部2は、一端部が移動機構60のベース台60bに連結されると共に、他端部(先端部)の回転部3がグリッパ10に連結されている。アーム部2は、ロボット制御部からの制御信号に基づく制御部による制御によって、グリッパ10をワークWに対して接近又は離隔させるよう構成されている。一実施形態において、アーム部2は、6軸の制御軸を有する多関節アームである。
アーム部2は、ワーク載置台9からのワークWの搬送だけではなく、加工機等へのワークWの搬送(搬入)、ワークWの加工(曲げ加工)の補助、及び、加工機等からの製品(曲げ加工品)の搬送(搬出)等を実行可能に構成されている。なお、アーム部2を含むワーク供給ロボット1は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、アーム部2は、上述した6軸の制御軸を有する多関節アームの構成に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
[グリッパの構成]
図2は、一実施形態に係るグリッパを示す上面図である。図3は、一実施形態に係るグリッパを示す図2のA-A線一部断面図である。図4は、一実施形態に係るグリッパの回転動作の一例を示す概略図である。
グリッパ10は、図2及び図3に示すように、アーム部2の先端部の回転部3に、例えばベース部材15を介して着脱可能に装着されるグリッパ本体11と、グリッパ本体11に取り付けられ、ワークWを保持可能に構成された複数の吸着部12と、を有している。このように構成されたグリッパ10(及びベース部材15)は、回転部3の回転によって、回転軸P1を回転中心として360°回動可能にアーム部2に装着される。また、吸着部12は、図4に示すように、後述する回転機構の回転駆動により、軸P2を回転中心として図中矢印で示す方向に180°回動自在に設けられている。
グリッパ本体11は、例えば、回転部(回転構造体)3の回転軸P1の軸方向と平行に延びる中央シャフト部(第1軸部)13と、中央シャフト部(第1軸部)13の軸方向と交差する方向(軸P2の軸方向)に延びる回転シャフト部(第2軸部)14と、を含む。吸着部(吸着体)12は、回転シャフト部(第2軸部)14の軸P2の延在方向に沿って回転シャフト部(第2軸部)12に複数設けられている。なお、グリッパ本体11は、図2に示す上面視で中央シャフト部13及び回転シャフト部14が、例えばT字形状となるように回転部3に装着されている。すなわち、本実施形態では、回転軸P1の軸方向と平行に直線状に延びる長い中央シャフト部13の先端部に、回転軸P1と交差する軸P2の軸方向に直線状に延びる回転シャフト部14が設けられている。そして、複数の吸着部12は、各吸着部12の吸着面12aが同じ方向を向くように、軸P2の軸方向に沿って間隔を空けて配置されている。このような形状により、回転部3と各吸着部12との間の距離を十分に確保することができると共に、ワークWが回転シャフト部14の回転に伴って移動しても回転部3に干渉しない構造を実現することができる。
複数の吸着部12は、回転シャフト部14の外周部の周方向における軸P2に沿った方向の同一位置において、エアを吸引するエア吸引源(図示せず)に配管を介してそれぞれ接続されている。配管は、例えばグリッパ本体11に沿って内部又は外部に配設されている。各吸着部12は、その上端部がワークWの表面に吸着可能(接触可能)な吸着面12aを構成する平型(側方台形形状)の吸着パッドにより構成され得る。従って、各吸着部12は、図1に示すように、吸着面12aが回転軸P1と直交するように移動した上で、エア吸引源による配管を通したエアの吸引力によって、ワーク載置台9に平積みに積載されたワークW群から最上位のワークWtの表面に吸着可能に構成されている。
また、グリッパ本体11の中央シャフト部13は、回転部3の回転中心部に位置している。中央シャフト部13を、回転軸P1を回転中心とした回転中心部に位置させることで、例えば図4に示すように、吸着部12の向きが回転シャフト部14の回転により変更されたときの、回転軸P1及び軸P2の双方と交差する垂直軸VLの軸方向における吸着面12aによるワークWの吸着保持位置が、中央シャフト部13の厚みと吸着部12の高さの2倍程度の寸法以外は、ほぼ変化しないようにすることが可能となる。また、中央シャフト部13が上記の回転中心部に位置することで、吸着部12の向きが回転部3の回転により変更されたときの垂直軸VLの軸方向における吸着面12aによるワークWの吸着保持位置も、同様にほぼ変化しないようにできる。ここで、「回転部3の回転中心部」とは、例えば回転中心部の投影面積の範囲をHとした場合、以下のように定義され得る。すなわち、図3に示すように、回転部3の回転軸P1を金型であるダイDの上面Uと水平方向に一致させたときに、ダイDの垂直方向中心を通る曲げ線Vと中央シャフト部13の前面13bとの間の水平方向の距離をL2、この距離L2からマージンαを引いた距離をL2-αとする。また、マージンαの垂線VαとダイDの上面Uとの交点を原点として、グリッパ10側の斜め上方及び斜め下方にそれぞれ上面Uとのなす角度θで延びる線を、グリッパ10がプレスブレーキに干渉するプレスブレーキ干渉ラインPLとする。更に、上記投影面積の範囲Hから図2に示す中央シャフト部13の外側面13aまでの径方向の距離をL3としたときに、投影面積の範囲Hは、H/2+L3<(L2-α)tanθゆえにH<|2{(L2-α)tanθ-L3}|となる。なお、角度θは、ワークWを90°曲げる場合は例えば45°であり、例えば15°~45°の範囲を取り得る。このように、「回転部3の回転中心部」は、投影面積の範囲Hで定義し得る。
なお、本実施形態に係るグリッパ10は、上記のように、グリッパ本体11と、回転部(回転構造体)3と、を連結するベース部材15を更に備える。そして、中央シャフト部13は、吸着部(吸着体)12がワークWを吸着保持して回転するときに、ワークWがベース部材15と干渉しない程度の長さを有する。また、グリッパ本体11は、吸着部(吸着体)12を回転させる回転機構16を内蔵する。グリッパ本体11と回転部3との間にベース部材15を備えることで、グリッパ本体11を間接的に回転部3に取り付けることができ、取り付けのバリエーションを増やすことが可能となる。なお、グリッパ本体11は、ベース部材15を介さずに回転部3に直接に取り付けることも可能である。
図3に示すように、グリッパ本体11の中央シャフト部13の長さ(回転軸P1に沿った長さ)L1は、例えば、ワークWを吸着保持した状態における回転軸P1に沿ったワークWの長さをLとし、ワークWの中央部分を通る箇所を各吸着部12が吸着すると仮定した場合、L/2よりも長い長さに設定される。一方、仮に、ワークWの端部近傍を通る箇所を各吸着部12が吸着する場合は、中央シャフト部13の長さL1は、回転軸P1に沿ったワークWの長さLよりも長い長さに設定される([L/2,L]<L1)。より具体的には、中央シャフト部13の長さL1は、例えば7cm程度に設定されている。中央シャフト部13の長さL1がこのように設定されることにより、各吸着部12が上向き又は下向きのいずれの向きでワークを吸着保持する状態になったとしても、ベース部材15に干渉することはないので、干渉による曲げ加工時の不具合を防止することができる。ここで、ワークWを吸着保持した状態における回転軸P1に沿ったワークWの長さLとは、吸着部(吸着体)12に吸着保持された状態のワークWにおける、ベース部材15側の端部から、これと反対側の端部(プレスブレーキ90側の端部)までの、回転軸P1に沿った直線距離をいう。例えば、長方形状のワークWを、該ワークWの長辺が中央シャフト部13と平行となるよう吸着保持させる場合には、回転軸P1に沿ったワークWの長さLは、ワークWの一方の短辺から他方の短辺までの、回転軸P1に沿った直線距離を意味する。一方、長方形状のワークWを、該ワークWの長辺が中央シャフト部13に対して傾くよう吸着保持させる場合には、回転軸P1に沿ったワークWの長さLは、ワークWのベース部材15側の頂点からこれと対向する頂点(プレスブレーキ90側の頂点)までの、回転軸P1に沿った直線距離を意味する。
また、グリッパ本体11に内蔵される回転機構16は、図2~図4に示すように、ラック部11aと、回転シャフト部14の外周側に設けられたピニオン部11bと、駆動部11cと、を含んでいる。駆動部11cは、例えば、中央シャフト部13の内部に設けられた電動シリンダにより構成される。駆動部11cは、その他、ラック部11aの代わりにベルト駆動等が可能な電動モータ等も採用し得る。ラック部11aは、中央シャフト部13の内部に収容された駆動部11cの先端側に設けられている。ピニオン部11bは、回転シャフト部14の軸P2に沿った方向の中央部の外周側に設けられ、ラック部11aと噛合している。
このように構成された回転機構16では、駆動部11cによりラック部11aを回転軸P1に沿った方向に動かすと、ピニオン部11bと共に回転シャフト部14が軸P2回りに回動するので、各吸着部12を垂直軸VLの垂直面内で、例えば180°自在に回転させることができる。なお、回転機構16は、グリッパ本体11に内蔵されているので、外観上の美観が損なわれることはない。
[ワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作]
図5は、一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。図6は、一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。図7は、一実施形態に係るグリッパの曲げ加工時の動作を示す側面図である。図8は、一実施形態に係るグリッパの曲げ加工時の動作を示す側面図である。図9は、一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットによる曲げ加工の動作を示す概略図である。
ワーク供給ロボット1によるワークWの曲げ加工の動作においては、上記のグリッパ10によりワークWを吸着保持した状態において、グリッパ10の吸着部(吸着体)12を回転させてワークWを変位(反転)させることにより、ワークWの向きを変更することが行われる。
まず、ワーク供給ロボット1は、図1に示すように、グリッパ10の各吸着部12の吸着面12aを回転軸P1と交差する横向きにするように回転シャフト部14を回転させて各吸着部12の位置を変化させる。そして、ワークW群の最上位のワークWtをグリッパ10で吸着保持する。その後、吸着保持したワークWをプレスブレーキに搬送(搬入・搬出)する。なお、ワークWは、例えばその寸法が比較的小さい所謂小物の被加工物や、プレスブレーキを基準にした場合に左右方向に長く前後方向に短い、例えば短冊状の被加工物である。
一実施形態に係るワーク供給ロボット1では、例えば図5に示すように、グリッパ10がワークWを吸着保持した状態で、回転部3の回転軸P1の軸方向が、プレスブレーキ90にほぼ正対して向かう方向となる正面姿勢で、ワークWをプレスブレーキ90にアプローチさせることができる。このため、グリッパ10をプレスブレーキ90のパンチP及びダイDに十分近づけて曲げ加工を行うことが可能となる。
例えば、プレスブレーキ90によってワークWの最初に曲げた一辺側を、続けて曲げ方向を逆向きに曲げる場合、グリッパ10がワークWの上方に位置し各吸着部12が下向きとなる上アプローチ姿勢から、回転部3の回転によりベース部材15と共にグリッパ本体11及び各吸着部12を回転軸P1を回転中心に180°回転させる。これにより、ワークWの最初に曲げた一辺の曲げ方向が上方向から下方向に方向転換され、図5に示すようなグリッパ10がワークWの下方に位置し各吸着部12が上向きとなる下アプローチ姿勢がとられる。この状態から、グリッパ10が吸着保持したワークWの最初に曲げた一辺側を、パンチPとダイDの間に正面姿勢のまま挿入し、プレスブレーキ90のバックゲージ(図示せず)に当接させて位置決めを行う。
その後、図6に示すように、2回目の曲げ加工を行う際にアーム部2を、曲げ順ごとのワーク供給ロボット1のフォローイングの軌跡に応じてプレスブレーキ90に向かって斜め上方に移動させワークWのはね上げに追従させるフォローイングを行う。これにより、ワークWの最初に曲げた一辺側を、続けてクランク状に折り曲げることができる。最初に曲げた一辺側をクランク状に折り曲げたら、図7に示すように、グリッパ10を正面姿勢に戻した上で、ワークW及びグリッパ10を、図中矢印Bで示すようなプレスブレーキ90から離隔する方向に引き戻す。なお、グリッパ10を正面姿勢に戻すのは、折り曲げた後にそのままワークW及びグリッパ10を図中矢印Bで示す離隔する方向に引き戻した上で、行われてもよい。そして、例えばワークWの最初に曲げた一辺と反対側の一辺を、2回目に曲げた曲げ方向(クランク状の折曲部)とは逆向きに曲げる場合、ワークWの反対側の一辺がプレスブレーキ90側に向くように、回転機構16により回転シャフト部14を回転させて各吸着部12を図中矢印で示すように180°回転させる。
これにより、図8に示すように、ワークWの最初に曲げた一辺と反対側の一辺の曲げ方向を逆方向とすることが可能な、グリッパ10がワークWの上方に位置し各吸着部12が下向きとなる上アプローチ姿勢がとられる。この状態から、ワークW及びグリッパ10を、図中矢印Fで示すようなプレスブレーキ90に接近する方向に押し出す。こうして、グリッパ10が吸着保持したワークWの反対側の一辺を、図9に示すように、パンチPとダイDの間に正面姿勢のまま挿入し、プレスブレーキ90のバックゲージ(図示せず)に当接させて位置決めを行う。そして、3回目の曲げ加工を行う際にアーム部2を、曲げ順ごとのワーク供給ロボット1のフォローイングの軌跡に応じてプレスブレーキ90に向かって斜め上方に移動させワークWのはね上げに追従させるフォローイングを行う。
このように、一実施形態に係るグリッパ10を有するワーク供給ロボット1は、ワークWの掴み換え動作が不要で、且つアーム部2の先端部側の姿勢を変更する動作も不要となるので、曲げ加工作業の加工時間を大きく中断させることなく、次工程の曲げ加工を行うことができるため、加工時間を短縮して生産性を大幅に向上させることが可能となる。
[一実施形態に係るグリッパを有するワーク供給ロボットの効果]
以上説明したように、一実施形態に係るグリッパ10は、アーム部2の先端部の回転部3に直接吸着部12が設けられる態様とは異なり、回転部3から回転軸P1の軸方向に沿って延びるグリッパ本体11を備え、このグリッパ本体11の先端側に複数の吸着部12を設けている。また、各吸着部12の吸着面12aが回転部3の回転軸P1と交差する方向に向いており、各吸着部12は、回転軸P1に沿う方向及び吸着面12aと直交する方向の双方と直交する軸P2を中心として180°回転可能となっている。このため、回転部3と各吸着部12との間の距離を大きくとることが可能で、グリッパ10を正面姿勢でプレスブレーキ90にアプローチさせることができるため、アーム部2の先端部がプレスブレーキ90等に干渉することはなく、小さなワークWでも確実に曲げ加工を行うことができる。
また、一実施形態に係るグリッパ10は、回転部3の回転軸P1を回転中心として垂直面内で360°回転し、各吸着部12が軸P2を回転中心とする垂直軸VLの垂直面内で180°回転することができる構造を有するので、ワークWの向きを自在に変更することができ、全ての辺を上記のような姿勢変更動作及び掴み換え動作をすることなく曲げ加工することができる。そして、各吸着部12が、吸着面12aと直交する方向(例えば、垂直軸VLの軸方向)における回転部3の幅(例えば、回転部3を含むアーム部2の先端部の外径)F内に位置するので、上述した上下のアプローチ姿勢において、ワークWが幅Fを超えて高さ方向で干渉することを防止することができる。
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、一実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した一実施形態では、各吸着部12が上向き又は下向きのアプローチ姿勢でプレスブレーキ90に搬送されるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、各吸着部12が水平面及び垂直面に対して45°の方向を向くように、斜め向きのアプローチ姿勢をとってもよい。
上述した一実施形態では、グリッパ本体11が、中央シャフト部13及び回転シャフト部14が直線状で上面視T字形状に形成されたものとして説明したが、これに限定されない。例えば、中央シャフト部13に相当する部分が、ワークWの折曲部の形状に干渉しないように、側面視でクランク状に曲がっていても、蛇腹状に複数の凸凹部を構成するように折れ曲がっていてもよい。この場合、回転シャフト部14は、中央シャフト部13の先端のみならず、凸凹部の途中に設けられていてもよい。
また、上述した一実施形態では、回転機構16が、グリッパ本体11に内蔵されたものとして説明したが、これに限定されない。回転機構16は、ベース部材15にも一部内蔵されたり、グリッパ本体11の外部に設けられたりしてもよい。また、グリッパ本体11の回転軸P1に沿った方向の長さ(中央シャフト部13の長さL1)及び軸P2に沿った方向の長さ(回転シャフト部14の長さ)は、各吸着部12に吸着保持されたワークWが各吸着部12の回転によりベース部材15(ベース部材15がない場合は回転部3)に干渉せずに十分にワークWを吸着保持可能な長さであれば、上述したものに限定されない。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 ワーク供給ロボット
2 アーム部
3 回転部
8 床面
9 ワーク載置台
10 グリッパ
11 グリッパ本体
11a ラック部
11b ピニオン部
11c 駆動部
12 吸着部
12a 吸着面
13 中央シャフト部
14 回転シャフト部
15 ベース部材
16 回転機構
90 プレスブレーキ

Claims (5)

  1. 少なくともワークの曲げ加工に用いられる曲げロボットのアームの先端部に設けられた回転構造体に直接又は間接的に取り付けられるグリッパ本体と、
    前記グリッパ本体の先端部に設けられ、ワークを吸着する吸着体と、
    を備え、
    前記吸着体は、前記回転構造体の回転軸と交差する方向に向く吸着面を含み、前記回転構造体の回転軸に沿う方向及び前記吸着面と直交する方向の双方と直交する軸を中心として回転可能に構成され、前記吸着面と直交する方向における前記回転構造体の幅内に位置している
    グリッパ。
  2. 前記グリッパ本体は、前記吸着体を回転させる回転機構を内蔵する
    請求項1に記載のグリッパ。
  3. 前記グリッパ本体は、前記回転構造体の回転軸の軸方向と平行に延びる第1軸部と、前記第1軸部の軸方向と交差する方向に延びる第2軸部と、を含み、
    前記吸着体は、前記第2軸部の延在方向に沿って前記第2軸部に複数設けられている
    請求項1又は2に記載のグリッパ。
  4. 前記グリッパ本体と、前記回転構造体と、を連結するベース部材を更に備え、
    前記第1軸部は、前記吸着体がワークを吸着保持して回転するときに、前記ワークが前記ベース部材と干渉しない程度の長さを有する
    請求項3に記載のグリッパ。
  5. 請求項1又は2に記載のグリッパによりワークを吸着保持した状態において、前記グリッパの前記吸着体を回転させて前記ワークを反転させることにより、前記ワークの向きを変更する
    ワークの保持方法。
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