JP2024023934A - 表面被覆金属部材、それに用いる水性防錆表面処理組成物、およびその製造方法 - Google Patents

表面被覆金属部材、それに用いる水性防錆表面処理組成物、およびその製造方法 Download PDF

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Takafumi Koshina
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Abstract

【課題】安定的に優れた耐食性を有する表面被覆金属部材の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の表面被覆金属部材の製造方法は、金属部材の表面に設けられためっき膜に、化成処理を施して化成皮膜を形成する化成処理工程と、化成皮膜に、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、および水を含む溶媒、を含む水性防錆表面処理組成物を塗布し、乾燥して、珪素皮膜を形成する表面処理工程と、を有するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、表面被覆金属部材、それに用いる水性防錆表面処理組成物、およびその製造方法に関する。
これまで金属部材の表面を処理する水性表面処理剤において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、エポキシ基含有シランカップリング剤、コロイダルシリカを含有する水系金属表面処理剤を用いた金属表面処理方法が記載されている(請求項1、段落0012など)
特開2014-237880号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の金属表面処理方法において、安定的に優れた耐食性の点で改善の余地があることが判明した。
めっき浴中のめっき液は、ロット間バラツキや、繰り返し使用、再利用などによって生じる不純物の影響によって、組成にバラツキを有している。作業過程でのコンタミ、めっき槽やめっき対象物からの鉄分の溶出などから不純物が生じると推察される。
本発明者が検討した結果、めっき液の組成バラツキの影響によって、連続塩水噴霧試験(SST試験)の白錆発生時間が大きく変動することが判明した。すなわち、金属部材のめっき膜上に水性防錆表面処理を施したとしても、下地のめっき膜のバラツキによって、SST試験の白錆発生時間が変動し、耐食性にバラツキが生じる恐れがあった。
このような知見に基づき鋭意研究したところ、めっき膜上に化成皮膜を形成することで、耐食性のバラツキが抑制されることが見出された。さらに検討を進めた結果、めっき膜、化成皮膜の上に、所定の水性防錆表面処理組成物からなる珪素皮膜を形成することで、耐食バラツキを抑えたまま、耐食性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
金属部材の表面に設けられためっき膜に、化成処理を施して化成皮膜を形成する化成処理工程と、
前記化成皮膜に、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、および水を含む溶媒、を含む水性防錆表面処理組成物を塗布し、乾燥して、珪素皮膜を形成する表面処理工程と、
を有する、表面被覆金属部材の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
表面に、めっき膜、化成皮膜、及び珪素皮膜を有する金属部材において、前記化成皮膜上の前記珪素皮膜を形成するために用いる水性防錆表面処理組成物であって、
シランカップリング剤と、
水性コロイダルシリカと、
水分散性樹脂と、
水を含む溶媒と、を含む、
水性防錆表面処理組成物が提供される。
また、本発明によれば、
表面にめっき膜を有する金属部材と、
前記めっき膜の表面に形成された化成皮膜と、
前記化成皮膜の表面に形成された、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、および水分散性樹脂を含む水性防錆表面処理組成物からなる珪素皮膜と、
備える、表面被覆金属部材が提供される。
本発明によれば、亜鉛めっきの浴種や処理のバラツキ等による耐食性の差を解消し、安定的に優れた耐食性を有する表面被覆金属部材、それに用いる水性防錆表面処理組成物、およびその製造方法が提供される。
本実施形態に係る構造物中の表面被覆金属部材の構成の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本実施形態の表面被覆金属部材の製造方法について概説する。
表面被覆金属部材の製造方法は、化成処理工程と表面処理工程とを有する。
化成処理工程は、金属部材の表面に設けられためっき膜の上に、化成処理を施して化成皮膜を形成する工程を含む。
表面処理工程は、得られた化成皮膜の上に、水性防錆表面処理組成物を塗布し、乾燥して、珪素皮膜を形成する工程を含む。この水性防錆表面処理組成物(以下、単に「組成物」と略称することもある。)は、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、および水を含む溶媒を含む。
本発明者の知見によれば、金属部材のめっき膜上に化成皮膜を形成することで、耐食性のバラツキを抑制でき、さらに、その化成皮膜の上に、所定の水性防錆表面処理組成物からなる珪素皮膜を形成することで、耐食バラツキを抑えたまま、耐食性を高めることができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、安定的に優れた耐食性を有する表面被覆金属部材を実現できる。
以下、表面被覆金属部材の製造方法について詳述する。
表面被覆金属部材の製造方法は、めっき処理工程を含んでもよい。
めっき処理工程は、金属部材の表面の少なくとも一部にめっき膜を形成する工程を含む。
金属部材を構成する金属素材は、用途に応じ適宜設定することができるが、たとえば、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、スズならびにこれらの金属を含む合金、またはこれらの金属によるめっき鋼、あるいは蒸着品等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属部材の一例として、鋼鉄で構成されてもよいが、非鋼鉄材料または非金属材料で構成されてもよい。
めっき膜は、公知のめっき処理を用いて、金属部材の表面に形成される。例えば、溶融した亜鉛浴中に金属部材を浸漬し、その表面に溶融亜鉛めっき膜を形成してもよい。
めっき膜は、一または二以上の金属種を含む金属層であればよく、少なくとも亜鉛またはクロムを含んでもよい。好ましい形態の一つとして、めっき膜は、亜鉛を含むめっき膜(亜鉛めっき膜)で構成されてもよい。亜鉛めっき膜として、溶融亜鉛めっき膜を用いることが好ましい。
めっき膜付きの金属部材の一例としては、たとえば、JIS H 8641:溶融亜鉛めっき、JIS H 8610:電気亜鉛めっき、JIS H 8625:クロメート皮膜(三価Crを含む)、JIS G 3313:電気亜鉛めっき鋼板、JIS G 3302:溶融亜鉛めっき鋼板などが挙げられる。
表面被覆金属部材の製造方法は、化成処理工程を含む。
化成処理としては、公知の処理方法を採用することができるが、例えば、亜鉛、マンガン、鉄、カルシウムなどを含むリン酸塩処理;ジルコニウム、チタン及びハフニウム等を含むジルコニウム系処理;亜鉛、アルミニウム、・銅などを含むクロム塩処理(クロメート処理);フェルマイト処理(黒染め処理);セリウムやバナジウム、タングステンなどを含む化成処理;等が挙げられる。
この中でも、環境負荷を低減する観点から、リン酸塩処理やジルコニウム系処理等の非クロム系化成処理を用いることができる。リン酸塩処理として、リン酸亜鉛を含む処理液を用いてもよい。ジルコニウム系処理として、ジルコニウムを含む処理液を用いてもよい。
化成処理工程は、めっき膜の少なくとも一部に、リン酸亜鉛皮膜やジルコニウム皮膜などの化成皮膜を形成できる。
また、リン酸塩処理やジルコニウム系処理は、セリウム(Ce)系の化成処理やクロメート処理と比べて、耐食性のバラツキを抑制することができる。
また、リン酸塩処理やジルコニウム系処理は、フェルマイト処理と比べて、美観性や耐傷付き性に優れる。
この中でも、ジルコニウム系処理は、リン酸塩処理と比べて、ジルコニウム化成皮膜を通して、下地のめっき膜の色目を目視でき、美観に優れる外観を実現できる。また、ジルコニウム系処理により、めっき膜の変色を防止できるため、様々な用途に活用できる。
表面被覆金属部材の製造方法は、表面処理工程を含む。
表面処理工程は、例えば、化成皮膜の少なくとも一部に、水性防錆表面処理組成物を塗布し、これに乾燥処理を施すことで、珪素皮膜を形成ができる。
乾燥処理は、20~25℃の常温で乾燥してもよいが、適切な温度まで加熱して行ってもよい。例えば、80℃~200℃の加熱条件で、5分~240分加熱してもよい。
また、水性防錆表面処理組成物中に、めっき膜および化成皮膜を有する金属部材を浸漬させ、乾燥処理を施してもよい。
ここで、水性防錆表面処理組成物の各成分について詳述する。
水性防錆表面処理組成物は、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、および水を含む溶媒を少なくとも含む。
水性防錆表面処理組成物は、表面に、めっき膜、化成皮膜、及び珪素皮膜を有する金属部材において、化成皮膜上の珪素皮膜を形成するために用いることができる。
詳細なメカニズムは定かでないが、金属層に含まれる金属原子と、珪素皮膜中のシランカップリング剤由来の珪素(Si)元素とが酸素原子を介した架橋構造を形成し、その架橋構造中にシリカが適切に配置された珪素皮膜となるため、構造物における耐食性を高められる、と考えられる。
また、水分散性樹脂を使用することにより、膜形成時の珪素皮膜において、完全に反応しきらないために残存するH基やOH基、あるいは水分によって、樹脂が溶解することが抑制される。このため、耐食性を高められると考えられる。
<シランカップリング剤>
水性防錆表面処理組成物は、シランカップリング剤を含む。
シランカップリング剤を用いることで、水分散性樹脂や水性コロイダルシリカを含む組成物を、水性溶液として安定化させることができる。また、シランカップリング剤は、水性コロイダルシリカや水分散性樹脂との間の親和性を向上できるため、安定な水性溶液(組成物)を形成することができる。
上記シランカップリング剤として、水中に溶解できる水溶性シランカップリング剤が用いられる。
上記シランカップリング剤は、例えば、一般式:(RSi(OR4―m(上記一般式中、Rは炭素数1~20を有する官能基、Rは低級アルキル基である。mは0~3の整数である。)で表されるアルコキシシラン、またはこれを加水分解し、縮重合させた化合物が用いられる。上記シランカップリング剤は、組成物中、その一部が加水分解していてもよい。
上記一般式で表されるシランカップリング剤の具体例としては、例えば、Si(OCH、Si(OC、CHSi(OCH、CHSi(OC、CSi(OCH、CSi(OC、CH(O)CHCHO(CHSi(OCH、CH=C(CH)COO(CHSi(OCH、CH=CHCOO(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCH、HS(CHSi(OCH、OCN(CHSi(OC等を挙げることができる。
また、上記化学式において、R中の官能基としては、例えば、ビニル、3-グリシドキシプロピル、3-グリシドキシプロピルメチル、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチル、p-スチリル、3-メタクリロキシプロピル、3-メタクリロキシプロピルメチル、3-アクリロキシプロピル、3-アミノプロピル、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチル、N―フェニル―3-アミノプロピル、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル―3-アミノプロピル、3-ウレイドプロピル、3-メルカプトプロピル、3-イソシアネートプロピル等の基を例示できる。
上記化学式中、低級アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、イソペンチル、ネオペンチル等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を挙げることができる。
上記水溶性シランカップリング剤としては、例えば、官能基がエポキシ基を備えるシランカップリング剤(エポキシシラン)、または官能基がアミノ基を備えるシランカップリング剤(アミノシラン)を含むことができる。この中でも、耐食性の観点から、エポキシシランを用いることがより好ましい。
上記エポキシシランとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシランなどのグリシジルまたはエポキシ基含有トリアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上記シランカップリング剤の含有量は、水性防錆表面処理組成物全体に対して、固形分換算で、例えば、0.5質量%~12質量%、好ましくは1質量%~11質量%、より好ましくは3質量%~10質量%である。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
また、固形分とは、水やアルコール溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。この固形分は、水性防錆表面処理組成物を加熱処理した後、各成分の反応後に残存する残存物としてもよい。
<水性コロイダルシリカ>
上記水性防錆表面処理組成物は、水性コロイダルシリカを含む。
水溶性コロイダルシリカは、水溶媒や、水を含む混合溶媒中に分散するもので、SiOで構成される無機粒子を含む。無機粒子の平均粒子径は、たとえば、1~200nmとしてもよい。
水性防錆表面処理組成物は、水性コロイダルシリカ以外の、Al、TiO、ZrO、Fe等の無機酸化物で構成される無機コロイド粒子を含んでもよい。無機コロイド粒子は、水中に分散する無機粒子で構成される。
水性コロイダルシリカを用いることで、水性防錆表面処理組成物から得られる皮膜についての強度を一段と向上させることができる。また、組成物中の分散性を高めることができるので、シリカ粒子が皮膜中に均一に分散した、珪素皮膜を形成できる。
上記水性コロイダルシリカの安定pH域は、酸性側、中性側、アルカリ側のいずれかにある。この中でも、組成物の溶液安定性の観点から、酸性側のpHで安定化する水性コロイダルシリカを用いることができる。
上記無機粒子は、例えば、平均粒子径が1~200nm、好ましくは3~100nmの範囲にある。ナノサイズの無機粒子を用いることにより、水とアルコールとの水系混合溶媒を使用する場合、凝集や沈降を抑制でき、液安定性に優れた組成物を調製できる。また、組成物で表面処理した製品の防錆性能を向上ができる。
水性コロイダルシリカ等の無機コロイド粒子を用いることで、さらに強固な皮膜構造を実現することができる。
詳細なメカニズムは定かでないが、上述の皮膜中の空間に、シリカ等の無機粒子が適切に配置されるため、珪素皮膜等の皮膜の緻密さが高まり、耐食性が向上すると考えられる。
上記水性コロイダルシリカの含有量は、水性防錆表面処理組成物中に対して、固形分換算で、例えば、0.5質量%~12質量%、好ましくは0.6質量%~10質量%、より好ましくは0.8質量%~8質量%である。上記下限値以上とすることで、皮膜に適度な強度を付与できる。上記上限値以下とすることで、皮膜の物性のバランスを図ることができる。
また、水性コロイダルシリカの含有量は、上記シランカップリング剤100質量部に対して、固形分換算で、例えば、10質量部~300質量部、好ましくは15質量部~200量部、より好ましくは20質量部~150質量部である。
<水分散性樹脂>
上記水性防錆表面処理組成物は、水分散性樹脂を含む。
水分散性樹脂は、水中に分散する樹脂で構成される。
水分散性樹脂を構成する樹脂としては、水に分散できる樹脂の中から適宜選択すればよく、例えば、ポリアクリル酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂およびこれらの変性体を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、耐食性、皮膜の耐久性の観点から、ポリアクリル酸樹脂やシリコーン樹脂を用いてもよい。
水分散性樹脂を用いることで、水溶性樹脂よりも皮膜の耐食性をより一層高められる。詳細なメカニズムは定かではないが、樹脂が水成分などへの溶解することを抑制できるため、と考えられる。
水分散性樹脂の含有量は、水性防錆表面処理組成物中、固形分換算で、例えば、1質量%~12質量%、好ましくは1.5質量%~11質量%、より好ましくは2質量%~10質量%である。上記下限値以上とすることで、皮膜の耐熱性や耐食性を向上できる。上記上限値以下とすることで、皮膜の物性のバランスを図ることができる。
<溶媒>
上記の水性防錆表面処理組成物は、水を含有する溶媒を含む。この溶媒は、水のみを含む水溶媒で構成されていてもよく、水と水以外の親水性溶媒とを含む水系混合溶媒で構成されていてもよい。
上記水としては、例えば、市水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
上記親水性溶媒としては、アルコールなどの極性有機溶媒が挙げられる。溶液安定性の観点から、上記水系混合溶媒は、水とアルコールとの混合溶媒で構成されてもよい。水性防錆表面処理組成物中の各成分の化学的性質や配合量などを鑑み、水系混合溶媒中の水の含有比率を決定できる。
上記アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコールなどの沸点が100℃未満の低沸点アルコールや、iso-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノターシャルブチルエーテル(ETB)、ジホルムアルデヒドメトキシエタノールなどの沸点が100℃以上の高沸点アルコールを用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、入手容易性の高さと、各成分に対する溶解性の高さから、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、s-ブチルアルコールおよびt-ブチルアルコールからなる群から選ばれる一種又は二種以上のアルコールを含むことができる。また、メチルアルコール(沸点:64.7°C)、エチルアルコール(沸点:78.37℃)、iso-プロピルアルコール(沸点:82.4℃)などの低沸点アルコールを用いることで、より低温環境下や乾燥環境下において塗膜を成膜することが可能になる。
本実施形態において、アルコールを用いることで、各成分の溶解性を向上させ、得られる水性防錆表面処理組成物の保存安定性を向上させることができる。理由は明確でないが、水とアルコールを含む混合溶媒を用いることにより、亜鉛表面を有する金属部材の表面に形成する皮膜における防錆性能を向上できる。また、アルコールは、水性防錆表面処理組成物の発泡を抑制できるため、塗膜中に泡が入ってシリカ質皮膜が不均一になることを抑制できる。
上記アルコールの含有量は、水性防錆表面処理組成物全体中、例えば、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.2質量%~12質量%、より好ましくは0.3質量%~10質量%である。上記の範囲内とすることで、組成物の長期保管安定性を高めることができる。また、上記上限値以下とすることによって、密着性を高めることができる。
また、上記アルコールの含有量は、上記水およびアルコールの合計含有量100質量%に対して、例えば、0.1質量%~18質量%、好ましくは0.2質量%~15量%、より好ましくは0.3質量%~14質量%である。このような数値範囲内とすることで、水性防錆表面処理組成物の長期保管安定性を高めることができる。
上記アルコールの含有量は、シランカップリング剤および水分散性樹脂の合計含有量100質量部に対して、例えば、1質量部~300質量部、好ましくは2質量部~200質量部、より好ましくは3質量部~170質量部である。上記下限値以上とすることにより、シランカップリング剤が安定的に溶解された組成物を実現できる。上記上限値以下とすることにより、水分散性樹脂の分散性を高めることができる。上記の範囲内とすることで、組成物の長期保管安定性を高めることができる。
水性防錆表面処理組成物のpHは、含まれる成分に応じて適切に選択できるが、リン酸系防錆剤を含む場合には、例えば、4.0~6.9等の酸性側に構成されてもよいが、リン酸系防錆剤を含まない場合にはアルカリ性側に構成されてもよい。アルカリ性の水性防錆表面処理組成物には、水溶性遷移金属化合物が含まれなくてもよい。
アルカリ性の水性防錆表面処理組成物のpHは、例えば、7.0~13.0、好ましくは7.2~12.0である。
本実施形態において、pHは、水性防錆表面処理組成物の液温25℃±1℃で、pHメータを用いて測定できる。液温は、25℃を通常採用するが、+1℃、あるいは-1℃程度のバラツキを許容し得る。
<水溶性遷移金属化合物>
水性防錆表面処理組成物は、水溶性遷移金属化合物を含んでもよく、含まなくてもよい。
水溶性遷移金属化合物は、水溶性チタン化合物または水溶性ジルコニウム化合物を含むものである。水溶性遷移金属化合物は、水中に溶解し得る。
上記水溶性チタン化合物としては、無機系チタン化合物、ペルオキソチタネート、アミン系水溶性チタネート、キレート系チタネート(水溶性のチタンキレート剤)からなる群から選択される一種以上を含むことができる。この水溶性チタン化合物としては、具体的には、例えば、三塩化チタン、四塩化チタン、硫酸チタン、酸塩化チタン等の無機系チタン化合物、無機系またはキレート系のペルオキソチタネート、アミン類の存在下で例えばチタンアルコキシドと水とを反応させて得られたアミン系水溶性チタネート、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸及びグリコール等のオキシカルボン酸が配位したオキシカルボン酸キレートチタンや、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルカノールが配位したアルカノールアミンキレートチタン等のキレート系チタネート(水溶性のチタンキレート剤)などを含むことができる。
また、上記水溶性ジルコニウム化合物は、上記水溶性チタン化合物と同様の構造を有することができるが、例えば、無機系ジルコニウム化合物、ペルオキソジルコネート、アミン系水溶性ジルコネート、キレート系ジルコネートからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
上記チタンキレート剤は、例えば、一般式:Ti(X)で表される有機化合物およびそのオリゴマーを用いることができる。上記一般式中Xは、水酸基、低級アルコキシ基、およびキレート性置換基から選ばれるものであり、4個のXは同一であっても、異なってもよい。
上記低級アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ等の炭素数6以下、好ましくは4以下のアルコキシ基が挙げられる。
上記キレート性置換基は、例えば、キレート形成能を持つ有機化合物から誘導された基である。キレート形成能を持つ有機化合物としては、アセチルアセトン等のβ-ジケトン、アセト酢酸等のアルキルカルボニルカルボン酸およびそのエステル、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
上記キレート性置換基の具体例は、ラクテート、アンモニウムラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルアセトネート、アセトアセテート、エチルアセトアセテート等が挙げられる。
上記水溶性遷移金属化合物は、水性防錆表面処理組成物全体中、固形分換算で、例えば、0.1質量%~7質量%、好ましくは0.2質量%~5質量%、より好ましくは0.3質量%~3質量%である。
<リン酸系防錆剤>
水性防錆表面処理組成物は、リン酸系防錆剤を含んでもよく、含まなくてもよい。
上記リン酸系防錆剤として、高縮合リン酸塩および多価リン酸エステルの少なくとも一方が使用されてもよい。
上記高縮合リン酸塩は、4個以上のリン酸が脱水縮合してなる高縮合物の塩を用いてもよい。
上記高縮合リン酸塩のリン酸の縮合度(分子内のリン酸由来の構造単位数)は、例えば、4以上、好ましくは5以上、より好ましくは6以上である。これにより、耐食性を高めることができる。一方、上記縮合度の上限値は、特に制限されるものではないが、たとえば、50以下、40以下、30以下としてもよい。
上記高縮合リン酸塩としては、例えば、直鎖状構造、環状構造、または、直鎖状構造と環状構造とが相互に結合した網目構造を有するものを用いることができる。この中でも、高縮合リン酸塩は、環状構造または網目構造を有することが好ましい。
上記多価リン酸エステルは、複数のリン酸エステル残基を有する化合物である。リン酸エステル残基は、リン酸モノエステル構造またはリン酸ジエステル構造を有する。リン酸エステル残基を形成するアルコール部分は、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコールのいずれでもよい。
上記多価リン酸エステルの具体例としては、例えば、フィチン酸が挙げられる。
上記高縮合リン酸塩および多価リン酸エステルのいずれか一方の含有量またはこれら合計含有量は、水性防錆表面処理組成物全体中、固形分換算で、例えば、0.1質量%~1.0質量%、好ましくは0.15質量%~0.9量%、より好ましくは0.3質量%~0.75質量%である。上記下限値以上とすることで、耐食性を高められる。上記上限値以下とすることで、皮膜の物性のバランスを図ることができる。
(他の成分)
上記水性防錆表面処理組成物は、上記成分以外にも、その他の添加剤を含むことができる。
その他の添加剤としては、通常、プライマー材料に含まれる各種添加剤を用いることができるが、例えば、pH調整剤、滑剤、防腐剤、充填材、着色剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、抗菌剤などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加剤の添加量は、用途に応じ適宜設定することができる。
上記防腐剤としては、イソチアゾリン系化合物などが挙げられる。
水性防錆表面処理組成物(水性防錆処理剤)の一例としては、組成物中に含まれる全ての成分が、水溶性成分または水分散性成分で構成されていてもよい。すなわち、上記水性防錆表面処理組成物は、水溶性成分または水分散性成分のみを含む水溶液で構成され得る。
なお、水性防錆処理剤の技術分野において、環境に配慮する観点から、水性防錆処理剤中のクロム成分の含有量が制限されるが、中には、三価クロムや六価クロムを含むものが存在する。
これに対して、本実施形態の水性防錆表面処理組成物は、六価クロム、三価クロム等のクロム成分を実質的に含まない構成とすることで、クロムフリー防錆処理剤に適用できる。これにより、環境負荷が低減された水性防錆表面処理組成物を実現できる。
なお、防錆性をさらに向上させる観点からは、三価クロムを必要量含むことも可能であるが、たとえば、この三価クロムの量は、水性防錆表面処理組成物全体に対して、1質量%以下に制限されていることが好ましく、0.5質量%以下に制限されていることがより好ましく、0.1質量%以下に制限されていることがさらに好ましく、実質的に含まないことが殊更に好ましい。
なお、本明細書において、この六価クロムおよび三価クロムの量は、この特定の価数を有するクロムの塩の含有量を指すものとする。
上記水性防錆表面処理組成物は、各成分を混合することにより得られる。
各成分の混合する順番は、限定されるものではなく、任意の順番で混合することが可能である。
以上の製造方法により、表面被覆金属部材が得られる。
図1は、表面被覆金属部材100の構成の一例を示す断面図である。
表面被覆金属部材100は、基材10、めっき膜20、化成皮膜30、および珪素皮膜40を含む。
一例として、基材10(金属部材)は、表面にめっき膜20を有し、化成皮膜30は、めっき膜20の表面に形成されており、珪素皮膜40は、化成皮膜30の表面に形成される。
これらは、上記の表面被覆金属部材の製造方法で例示されたものを使用できる。例えば、珪素皮膜40は、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、および水分散性樹脂を含む水性防錆表面処理組成物からなるものである。
化成皮膜30は、化成処理に使用される処理液中に含まれる一種または2種以上の金属を含んでもよい。例えば、化成皮膜30は、亜鉛元素、およびジルコニウム元素からなる群から選ばれる一または二以上を含んでもよい。
表面被覆金属部材100中の珪素皮膜40は、最外層のトップコート層として使用されてもよい。
表面被覆金属部材100は、目的に応じて、これらの膜以外を備えてもよく、めっき膜20、化成皮膜30、珪素皮膜40のそれぞれを単層、または複数層有していてもよい。
表面被覆金属部材100は、金属部材に対して優れた防錆性を付与することができるため、幅広い用途に適用することができるが、例えば、自動車部品など高温高湿条件に曝される用途や、建築部材、電子部材などに用いることができる。
表面被覆金属部材100の一例としては、例えば、各種の土木構造物、建築物、港湾設備、プラント、船舶、海洋構造物、橋梁、タンク、工業用水系施設、電力設備、通信設備等の鉄鋼構造物、およびこれらに用いる鋼鉄部材が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されない。
表1に示す各成分の情報は以下の通りである。
(シランカップリング剤)
・エポキシシラン1:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(旭化成ワッカーシリコ-ン社製、GF-82、固形分:67質量%)
(水分散性樹脂)
・ポリアクリル酸樹脂1:水分散性アクリル樹脂(Stahl Polymers社製、固形分:60質量%)
・シリコーン樹脂1:水分散性シリコーン樹脂(旭化成ワッカーシリコーン社製、固形分:60質量%)
(水溶性遷移金属化合物)
・チタンキレート剤1:チタンラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル社製、TC-300、固形分:20質量%)
(無機コロイド粒子)
・水性コロイダルシリカ1:(日産化学工業社製、スノーテックスST-O、酸性ゾル、粒子径:20nm、固形分:40質量%)
(リン系防錆剤)
・高縮合リン酸塩1:ウルトラリン酸ナトリウム(関東化学社製、直鎖状および環状のものが相互に結合した網目構造、固形分:100質量%)
・多価リン酸エステル1:フィチン酸(扶桑化学社製、固形分:100質量%)
(防腐剤)
・イソチアゾリン系化合物1:イソチアゾリン系化合物(三愛石油社製、IT-25XA、固形分:100質量%)
(溶媒)
・水1:イオン交換水
・アルコール1:イソプロピルアルコール(大伸化学社製)
・鋼板(スタンダードテストピース社製)
(めっき浴)
・溶融亜鉛めっき浴A(めっき浴中のFeイオンの濃度:2ppm)
・溶融亜鉛めっき浴B(めっき浴中のFeイオンの濃度:20ppm)
・溶融亜鉛めっき浴C(めっき浴中のFeイオンの濃度:10ppm)
Figure 2024023934000002
表1中、非溶媒成分(シランカップリング剤、水分散性樹脂、水溶性遷移金属化合物、無機コロイド粒子、リン系防錆剤、および防腐剤)の含有量は、使用量を表す。
<水性防錆表面処理組成物の調製>
表1に示す原料成分の配合比率(質量%)に従って、各成分を秤量し、攪拌機を用いて各成分を混合することにより、各実施例・各比較例の水溶液(サンプル1~4)を得た。
Figure 2024023934000003
<表面被覆金属部材の作製>
(めっき処理)
JIS H8641に準じて、上記の鋼板の表面を脱脂、酸性溶液で洗浄、フラックス処理、上記の溶融亜鉛めっき浴A~Cのいずれかに浸漬してめっき膜を形成し、その後、冷却して、めっき膜付き鋼板(試験片)を作製した。
(化成処理)
得られた試験片のめっき膜に対して、表2に示すように、化成処理を施さないか、リン酸亜鉛処理またはジルコニウム処理を施して、めっき膜上に化成皮膜を形成した。
(表面処理)
化成処理した試験片を、表2のサンプル1~4(水性防錆表面処理組成物)のいずれかに浸漬させ、サンプル1~3では120℃で15分加熱処理を行い、サンプル4では200℃で120分加熱処理を行って、厚み:約1μmの珪素皮膜を化成皮膜の表面上に形成した。
一方、化成処理していない試験片のめっき膜に対して、表2のサンプル1~4(水性防錆表面処理組成物)を用い、同様にして、珪素皮膜を形成した。
表2中、化成処理を実施し、かつ、水性防錆表面処理組成物としてサンプル2~4を使用したものを実施例とし、化成処理を実施しないか、または水性防錆表面処理組成物としてサンプル1を使用したものを比較例とした。
得られた各試験片を用いて、以下の評価項目について評価を行った。
<連続塩水噴霧試験:SST試験>
表2に示す各実施例・各比較例の試験片について、JIS Z2371に準拠し、塩水噴霧試験(SST、試験温度:35℃)を行い、白錆が発生した試験時間(h)を測定した。結果を表2に示す。
表2の化成処理なしの試験片(比較例)は、めっき浴の種類が異なると白錆発生時間が異なるため、めっき膜の状態に応じて耐食性にバラツキが生じる結果を示した。
一方、表2の化成処理有り(リン酸亜鉛処理)・サンプル1の試験片(比較例)は、めっき浴A~Cの間で白錆発生時間のバラツキが小さくなるが、白錆発生時間の絶対値が基準値よりも小さく、耐食性が十分ではない結果を示した。
これらに対して、表2の化成処理有り(リン酸亜鉛処理/ジルコニウム処理)・サンプル2~4の試験片(実施例)は、めっき浴A~Cの間で白錆発生時間のバラツキが小さく、かつ白錆発生時間の絶対値が基準値よりも大きいため、安定的に優れた耐食性がある結果を示した。
また、表2の化成処理有り(ジルコニウム処理)・サンプル3~4(実施例)の試験片は、ジルコニウム化成皮膜を通して鋼板のめっき膜の色目を目視できめっき光沢と同等の良好な外観を有し、リン酸亜鉛処理ではマット系の美観に優れる外観を有することが分かった。
10 基材
20 めっき膜
30 化成皮膜
40 珪素皮膜
100 表面被覆金属部材
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 金属部材の表面に設けられためっき膜に、化成処理を施して化成皮膜を形成する化成処理工程と、
前記化成皮膜に、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、および水を含む溶媒、を含む水性防錆表面処理組成物を塗布し、乾燥して、珪素皮膜を形成する表面処理工程と、
を有する、表面被覆金属部材の製造方法。
2. 1.に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記化成処理が、リン酸塩処理、またはジルコニウム系処理から選択される、表面被覆金属部材の製造方法。
3. 1.又は2.に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記水分散性樹脂が、ポリアクリル酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂およびこれらの変性体からなる群から選ばれる一種以上を含む、表面被覆金属部材の製造方法。
4. 1.~3.のいずれか一つに記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記溶媒がアルコールを含む、表面被覆金属部材の製造方法。
5. 4.に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記水性防錆表面処理組成物中、前記アルコールの含有量が、0.1質量%以上15質量%以下である、表面被覆金属部材の製造方法。
6. 1.~5.のいずれか一つに記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記水性防錆表面処理組成物が、リン系防錆剤として、高縮合リン酸塩および多価リン酸エステルの少なくとも一方を含む、表面被覆金属部材の製造方法。
7. 1.~6.のいずれか一つに記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記水性防錆表面処理組成物が、水溶性遷移金属化合物を含む、表面被覆金属部材の製造方法。
8. 1.~7.のいずれか一つに記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記水性防錆表面処理組成物が、クロム成分を実質的に含まない、表面被覆金属部材の製造方法。
9. 1.~8.のいずれか一つに記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
前記めっき膜が、亜鉛またはクロムを含む、表面被覆金属部材の製造方法。
10. 表面に、めっき膜、化成皮膜、及び珪素皮膜を有する金属部材において、前記化成皮膜上の前記珪素皮膜を形成するために用いる水性防錆表面処理組成物であって、
シランカップリング剤と、
水性コロイダルシリカと、
水分散性樹脂と、
水を含む溶媒と、を含む、
水性防錆表面処理組成物。
11. 表面にめっき膜を有する金属部材と、
前記めっき膜の表面に形成された化成皮膜と、
前記化成皮膜の表面に形成された、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、および水分散性樹脂を含む水性防錆表面処理組成物からなる珪素皮膜と、
備える、表面被覆金属部材。
12. 11.に記載の表面被覆金属部材であって、
前記化成皮膜が、亜鉛元素、およびジルコニウム元素からなる群から選ばれる一または二以上を含む、表面被覆金属部材。

Claims (12)

  1. 金属部材の表面に設けられためっき膜に、化成処理を施して化成皮膜を形成する化成処理工程と、
    前記化成皮膜に、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、水分散性樹脂、および水を含む溶媒、を含む水性防錆表面処理組成物を塗布し、乾燥して、珪素皮膜を形成する表面処理工程と、
    を有する、表面被覆金属部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記化成処理が、リン酸塩処理、またはジルコニウム系処理から選択される、表面被覆金属部材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記水分散性樹脂が、ポリアクリル酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂およびこれらの変性体からなる群から選ばれる一種以上を含む、表面被覆金属部材の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記溶媒がアルコールを含む、表面被覆金属部材の製造方法。
  5. 請求項4に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記水性防錆表面処理組成物中、前記アルコールの含有量が、0.1質量%以上15質量%以下である、表面被覆金属部材の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記水性防錆表面処理組成物が、リン系防錆剤として、高縮合リン酸塩および多価リン酸エステルの少なくとも一方を含む、表面被覆金属部材の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記水性防錆表面処理組成物が、水溶性遷移金属化合物を含む、表面被覆金属部材の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記水性防錆表面処理組成物が、クロム成分を実質的に含まない、表面被覆金属部材の製造方法。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の表面被覆金属部材の製造方法であって、
    前記めっき膜が、亜鉛またはクロムを含む、表面被覆金属部材の製造方法。
  10. 表面に、めっき膜、化成皮膜、及び珪素皮膜を有する金属部材において、前記化成皮膜上の前記珪素皮膜を形成するために用いる水性防錆表面処理組成物であって、
    シランカップリング剤と、
    水性コロイダルシリカと、
    水分散性樹脂と、
    水を含む溶媒と、を含む、
    水性防錆表面処理組成物。
  11. 表面にめっき膜を有する金属部材と、
    前記めっき膜の表面に形成された化成皮膜と、
    前記化成皮膜の表面に形成された、シランカップリング剤、水性コロイダルシリカ、および水分散性樹脂を含む水性防錆表面処理組成物からなる珪素皮膜と、
    備える、表面被覆金属部材。
  12. 請求項11に記載の表面被覆金属部材であって、
    前記化成皮膜が、亜鉛元素、およびジルコニウム元素からなる群から選ばれる一または二以上を含む、表面被覆金属部材。
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