JP2007162089A - 燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度と高成形性を兼備する自動車の燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法を提案する。
【解決手段】C:0.01〜0.10mass%、Si:0.5mass%未満、Mn:0.5〜2.0mass%、P:0.050mass%以下、S:0.010mass%以下、Al:0.10mass%以下を含有し、さらにTi,Nbのうちの1種または2種を合計で0.005〜0.10mass%含有する鋼スラブを熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶焼鈍し、亜鉛系めっき処理を施してから化成処理を行い、次いで、その化成処層の一方の表面に金属粉末を含有するアミン変性エポキシ系樹脂皮膜を形成し、他方の表面にシリカ、潤滑剤および導電性粒子を含有するアクリル系エマルション樹脂皮膜を形成することにより、引張強度が340MPa以上で、フェライト相を主とする組織からなる燃料タンク用表面処理鋼板を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法に関するものであり、特に、高強度で高成形性を有すると共に優れた溶接部靭性を示す自動車の燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法に関するものである。
自動車の車体には多くの薄鋼板が使用されており、中でも、外板パネルには、優れた成形性を有する冷延鋼板や表面処理鋼板が用いられている。さらに、鋼の成分組成や熱間圧延条件等の製造条件を最適化することにより、熱延鋼板や冷延鋼板、表面処理鋼板の成形性は一段と改善されている。その結果、成形性に優れる冷延鋼板の用途はますます拡大する傾向にある。
ところで、近年、地球環境保護の観点から、排出ガス規制や燃費向上が急務であり、自動車車体の軽量化は極めて重要な課題となっている。また、自動車の安全性向上への要求も高まりつつある。このような要求に応えるためには、高張力鋼板を採用する、すなわち鋼板強度を高めて板厚の低減を図ることが有効である。しかし、高強度化に伴い、成形性も劣化するのが通常である。
一方、自動車用の燃料タンクは、車体の床下という極めて限られたスペースに設置されることから、自ずと複雑な形状となるのが一般的である。そのため、燃料タンクに用いられる鋼板には、高い成形性が求められるため、高張力鋼板を適用することは難しい。
高い成形性を有する高強度燃料タンク用鋼板を得る技術としては、例えば、特許文献1〜3には、成形性を阻害する固溶元素(C,N)を低減して極低炭素、極低窒素とした上で、さらに、Ti,Nbなどの炭窒化物形成元素と、Si,Mn,Pといった成形性を比較的阻害しない固溶強化元素とを添加することにより、高強度の冷延鋼板や表面処理鋼板(いわゆる、IF型高張力鋼板)を製造する技術が開示されている。
しかし、これらの技術から得られる鋼板は、極低炭素であるがために、粒界に存在して粒界強度を確保するCが減少し、プレス成形後、特に0℃以下の低温で衝撃が外部から加わった時に、いわゆる縦割れと称する脆性破壊を起こし易いことが知られている。そのため、安全性を重視する燃料タンクには、上記のように単純に絞り成形性のみを改善した鋼板を適用するには問題があった。
これに対して、C量が0.10mass%以上の中炭素鋼を素材に用いた高強度鋼板には、また別の問題点がある。例えば、燃料タンクは、一般に、プレス成形されたアッパーシェルとロアーシェルの2つの部品をシーム溶接あるいはスポット溶接して製造することから、溶接部の強度および靭性に優れることが求められる。しかし、中炭素鋼を素材とする鋼板は、炭素当量(Pcm)が高いため、溶接部の靭性が劣るという問題点がある。したがって、IF型高張力鋼板と同様、燃料タンク用素材として用いるには問題があった。
また、特許文献4には、C:0.05〜0.20mass%、Si:0.5〜2.0mass%、Al:0.01〜2.0mass%、0.6mass%≦Si+Al≦2.0mass%の成分組成を有し、鋼組織中に残留オーステナイトを体積率で2〜20%含有させた自動車用燃料タンク用高強度鋼板が開示されている。しかし、Siを0.5mass%以上含有すると、熱間圧延時に、FeSiOが鋼板表面に生成して赤スケールとなり、酸洗、冷延後もその痕跡が残存し、表面の美麗さを損なう。さらに、再結晶焼鈍時にSiの酸化物が鋼板表面に濃化し、亜鉛めっきが乗らないいわゆる不めっきを引き起こし易いという問題がある。
特開2002−030384号公報 特開2005−200750号公報 特許第3399729号公報 特開2005−187837号公報
上記のように、従来技術では、高強度で高成形性を有する自動車の燃料タンク用鋼板を製造することはできなかった。一方、自動車の燃料タンクは、上述したように、プレス成形された上下2つの部品を溶接して製造するため、成形性に優れるだけでなく、溶接性にも優れることが求められる。さらに、燃料タンクは、ガソリン等と接するため、それらに対する耐食性に優れることも求められる。
そこで、本発明の目的は、溶接性、耐食性に優れるだけでなく、溶接部靭性に優れ、しかも高強度と高成形性とを兼備した自動車の燃料タンク用表面処理鋼板を安定して製造する方法について提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するために、IF型高張力鋼板と中炭素鋼板が有する欠点を補うような成分系をベースとして、成分組成と製造条件を変種々に変動させて高強度鋼板を製造し、燃料タンクに必要な特性についての評価を行った。その結果、従来、成形性が要求される分野では積極的に用いられていなかった低炭素鋼をベースとし、冷延後の焼鈍条件を適正化することで、溶接部靭性に優れると共に、高強度と高成形性を併せもつ燃料タンク用表面処理鋼板が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、C:0.01〜0.10mass%、Si:0.5mass%未満、Mn:0.5〜2.0mass%、P:0.050mass%以下、S:0.010mass%以下、Al:0.10mass%以下を含有し、さらにTi,Nbのうちの1種または2種を合計で0.005〜0.10mass%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶温度以上に加熱後、冷却速度10℃/秒以上で550℃以下まで冷却する再結晶焼鈍し、その後、付着量が片面当たり10〜200g/m以上の亜鉛系めっき処理を施してから化成処理を行い、次いで、その化成処理層の一方の表面に金属粉末を含有するアミン変性エポキシ系樹脂皮膜を形成し、それの他の表面にはシリカ、潤滑剤および導電性粒子を含有するアクリル系エマルション樹脂皮膜を形成することにより、引張強度が340MPa以上で、フェライトを主相とし、セメンタイト、ベイナイトのうちの1種または2種を含む組織からなる燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法である。
本発明は、上記製造方法において、再結晶焼鈍後、550〜300℃の温度域で30秒以上保持する過時効処理を施すことを特徴とする。
また、本発明は、上記製造方法において、亜鉛系めっき処理後、420℃以上の温度でめっき層内に鉄亜鉛合金を形成する合金化処理を施すことを特徴とする。
また、本発明は、上記成分組成に加えてさらに、CaおよびREMのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.0010〜0.050mass%含有することを特徴とする。
本発明によれば、鋼板の成分組成と冷延後の焼鈍条件を適正化することで、高い引張強度と優れた成形性を有すると共に、溶接部靭性にも優れる燃料タンク用表面処理鋼板を提供することができる。また、本発明により製造された鋼板は、固溶Cを多く含むため、高い焼付硬化能を有する。その結果、本発明の鋼板を用いた燃料タンクは、プレス成形による加工硬化と黒色塗装焼付処理で起こる焼付硬化との相乗効果により、燃料タンクの強度上昇が図れるので、素材板厚の低減を有利に実現することが可能となる。
本発明が開発対象とする燃料タンク用表面処理鋼板(以下、「燃料タンク用鋼板」とも言う)の成分組成を上記範囲に限定する理由について説明する。
C:0.01〜0.10mass%
Cは、高強度を得るために必要の元素である。Cの含有量が0.01mass%未満では、本発明が目的とする高い強度を得るために必要な強化元素の添加量が多くなり過ぎて、溶接部の靭性の低下や、原料コストの上昇を招く。一方、Cの含有量が0.10mass%を超えると、溶接部靭性が著しく劣化するので好ましくない。よって、Cの含有量は、0.01〜0.10mass%の範囲とする。優れた成形性を得るためには、Cの含有量は0.08mass%以下とするのがより好ましい。
Si:0.5mass%未満
Siは、鋼の延性を低下させることなく、強度を高めることができる有用な強化元素である。しかし、Siを0.5mass%以上含有すると、亜鉛系めっきの密着性や鋼板表面の美麗性、溶接部靭性を損なうようになる。よって、Siの含有量は0.5mass%未満とする。
Mn:0.5〜2.0mass%
Mnは、Sによる熱間割れを防止するのに有効な元素であり、含有するS量に応じて添加する必要がある。また、Mnは、結晶粒を微細化し、鋼板強度を高める効果がある。安定してSを固定し、340MPa以上の引張強度を得るためには、Mnを0.5mass%以上添加することが必要である。さらに、440MPa超級の引張強度が要求される場合には、Mnは1.0mass%以上、より好ましくは1.5mass%以上添加するのが望ましい。しかし、Mnを過度に添加すると、鋼の熱間変形抵抗を増加させる傾向がある。さらに、溶接性や溶接部の成形性をも悪化させる傾向にある。よって、Mn添加量の上限は2.0mass%とする。なお、良好な耐食性と成形性が要求される用途には、Mnは1.5mass%以下とするのが好ましい。
P:0.050mass%以下
Pは、鋼を固溶強化するのに有効な元素である。しかし、Pを過度に含有すると、鋼が脆化し、さらに鋼板の伸びフランジ性を悪化させる。また、Pは、鋼中で偏析する傾向が強いため、それに起因した溶接部の脆化を招き易い。以上のことから、Pの含有量は0.050mass%以下とする。上記特性が特に問題となる用途には、Pの含有量は0.020mass%以下とするのが好ましい。
S:0.010mass%以下
Sは、鋼中に介在物として存在して、鋼板の延性を減少させ、さらに耐食性の劣化をもたらす元素であり、低いほど好ましい。そこで、本発明では、S含有量を0.010mass%以下とする。なお、Sは、成形性が要求される用途では0.005mass%以下とするのが好ましく、特に伸びフランジ性が要求される場合には0.003mass%以下とするのがより好ましい。
Al:0.10mass%以下
Alは、脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上するのに有効な元素であり、また、鋼の組織を微細化するのにも有効な元素である。特に、Nを固定して時効による伸びの低下、降伏点の上昇および降伏伸びによるストレッチャーストレインの発生を抑制するという観点からは、0.010mass%以上添加するのが好ましい。しかし、Alを0.10mass%を超えて添加すると、原料コストをいたずらに上昇させるだけなので、上限を0.10mass%とする。
Ti,Nbのうちの1種または2種:合計で0.005〜0.10mass%
TiおよびNbは、鋼の結晶粒を均一に微細化して鋼板の強度を高める他、微細析出物の形成によりフェライト素地を硬化して炭化物との強度差を小さくするので、伸びフランジ性を改善するのに有効な元素である。これらの効果は、Ti,Nbの単独添加だけでなく、複合添加でも互いに相殺されることなく発現し、合計で0.005mass%以上の添加で得ることができる。しかし、Ti,Nbの合計添加量が0.10mass%を超えると、熱間圧延における変形抵抗の増加をもたらすので、0.10mass%以下とする。
本発明の燃料タンク用鋼板は、要求に応じて、上記成分に加えてさらに、Ca,REMを下記の範囲で含有することができる。
Ca,REMのうちの1種または2種:合計で0.0010〜0.050mass%
Ca,REMは、介在物の形態を制御し、伸びフランジ性を改善する効果がある。この効果を、表面欠陥等の発生を伴うことなく発現させるためには、Ca,REMは、合計で0.0010〜0.050mass%の範囲で添加するのが好ましい。
本発明の燃料タンク用鋼板は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。ただし、上記成分以外の成分でも、本発明の作用効果を害しない範囲であれば、不可避的不純物のレベルを超えて含有することを妨げるものではない。
次に、本発明に係る燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法について説明する。
鋼スラブ
本発明の燃料タンク用鋼板の素材となる鋼スラブは、上述した成分組成を有する鋼を通常公知の方法で溶製し、造塊−分塊圧延法、連続鋳造法あるいは薄スラブ鋳造法等公知の方法で製造することが好ましい。ただし、鋼成分のマクロ偏析を防止し、材質、形状の均一化を図るためには、連続鋳造法を用いて製造することが望ましい。
スラブ再加熱
鋼スラブは、その後、熱間圧延に供するが、その際のスラブの加熱方法は、一旦、室温まで冷却してから加熱炉で再加熱する従来の方法に加えて、スラブ製造後、冷却することなく直ちに熱間圧延する直送圧延法や直接圧延法、あるいは完全に冷却することなく加熱炉に装入し、軽加熱を行ったのち熱間圧延する温片装入法を採用してもよい。なお、スラブ加熱温度は、スラブ冷却段階で生成する粗大なTiC,NbCを再溶解して熱延時に微細に析出させるために、1000℃以上とするのが好ましい。スラブ加熱温度の上限は、特に規制しないが、酸化ロスを軽減するためには1300℃以下とするのが望ましい。
熱間圧延〜冷間圧延
熱間圧延の条件は、特に制限しないが、仕上圧延終了温度を800℃以上とするのが好ましい。仕上圧延終了温度が800℃を下回ると、熱延板の組織が不均一となり、これが、冷延、焼鈍後も残存するため、プレス成形性を阻害するおそれがあるからである。機械的特性をより向上するには、820℃以上とするのがより好ましい。一方、仕上圧延終了温度の上限は、高過ぎると、スケール庇などの表面欠陥の発生を引き起こすため、950℃程度に抑えるのが好ましい。
熱延後の冷却、巻取条件は、特に規制しないが、水冷し、500〜700℃の温度で巻き取ることが好ましい。巻取温度を低くすることは、鋼板強度を高める効果があるため、340MPa以上の引張強度を得るには有利である。しかし、時効を起こす原因となるNをAlNとして析出させて、延性、絞り成形性を向上させるためには、むしろ高温で巻き取る方が好ましい。したがって、要求特性に応じて、巻取温度を制御するのが好ましい。なお、熱間圧延に続く、酸洗および冷延条件についても特に制限はなく、通常公知の条件で行うことができる。
再結晶焼鈍
冷間圧延後の鋼板は、成形性を付与するために、再結晶焼鈍を行うことが必須である。再結晶焼鈍の方法としては、箱焼鈍(バッチ焼鈍)法、連続焼鈍設備(CAL)あるいは焼鈍設備を有する連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)を利用する連続焼鈍法があるが、鋼板の材質や形状の均一性および生産性の観点からは、連続焼鈍法が好適である。
CALまたはCGLを用いて連続焼鈍法で再結晶焼鈍を行う場合の加熱温度は、冷間圧延で形成された圧延組織を再結晶させる必要から、再結晶温度以上が必要であり、好ましくは650℃以上である。ただし、Ti,Nbの添加量が多い場合は再結晶温度が上昇しているので、700℃以上とすることが好ましい。さらに、粒成長を促進して成形性をより向上させるためには750℃以上とすることが好ましい。
再結晶焼鈍後は、550℃以下の温度まで冷却速度10℃/秒以上で冷却し、その後、550〜300℃の温度域で30秒以上保持する過時効処理を施すことが好ましい。この急冷後の過時効処理によって、歪時効の原因となる鋼中の固溶Cの析出が促進され、固溶Cが低減する結果、耐時効性の改善の外、降伏応力の低下や降伏点伸びの減少、延性の向上等の特性向上が可能となる。
本発明の燃料タンク用鋼板は、再結晶焼鈍後あるいは後述する亜鉛系めっき処理後で樹脂皮膜形成前のいずれかの段階において、表面粗度の調整、形状矯正ならびに機械的特性の改善を目的として、調質圧延(スキンパス圧延)あるいはレベラー加工を行ってもよい。調質圧延率あるいはレベラー加工率については、特に制限はなく、要求特性に応じて適宜決定すればよい。
燃料タンクには、耐食性が優れることが要求されることから、その素材となる鋼板にも優れた耐食性が要求される。したがって、本発明の燃料タンク用鋼板においても、再結晶焼鈍後の鋼板の表裏面に亜鉛系めっき処理および化成処理を順次施し、耐食性に優れる亜鉛系めっき層およびクロメート層を形成することが必須である。
亜鉛系めっき処理
亜鉛系めっき層は、鉄素地(被めっき鋼板)よりも卑な電位を示すため、燃料タンクにプレス成形する際、このめっき層が損傷しても、亜鉛の犠牲防食作用により赤錆の発生を抑制するので、特に燃料タンクの外面耐食性を向上させる効果がある。亜鉛系めっき層の種類については、特に限定はしないが、例えば、電気亜鉛めっき、電気亜鉛−ニッケル合金めっき、電気亜鉛−コバルト合金めっき、電気亜鉛−鉄合金めっき等の電気めっき、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融亜鉛−アルミニウムめっき、溶融亜鉛−マグネシウムめっき、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっき等の溶融めっきなどの他、シリカ、アルミナ、有機樹脂などをめっき層中に分散させた亜鉛系分散めっきやこれらを積層した多層めっきなどを挙げることができ、いずれを採用してもよい。
亜鉛系めっき層の付着量は、片面当たり10〜200g/mの範囲とする必要がある。上記付着量が10g/m未満では、亜鉛の犠牲防食効果が小さく、耐食性が不足するおそれがあり、一方、上記付着量を200g/m超えとしても、耐食性向上効果が飽和して付着量に見合う改善効果が得られないばかりでなく、溶接性が劣化するおそれがある。好ましい片面当たりの付着量は、15〜100g/mの範囲である。
なお、亜鉛系めっき処理後、必要に応じて、亜鉛の融点以上である420℃以上の温度で鉄と亜鉛の合金層を形成させるいわゆる合金化処理を施すことが好ましい。この合金化処理によって、表面が適度に凹凸化して塗装密着性や塗装後耐食性が向上したり、溶接性が向上したりする効果があるので好ましい。
化成処理
化成処理とは、本発明では、クロメート層を形成する処理のことを言う。このクロメート層は、耐食性を向上させる効果に加えて、その上層に形成する後述する第1あるいは第2樹脂皮膜と下地の亜鉛系めっき層との密着性を確保するために必要な中間層である。クロメート層の付着量は、金属クロム換算で片面あたり5〜200mg/mの範囲とすることが好ましい。上記付着量が5mg/m未満では、耐食性が不足するばかりでなく、上述した樹脂皮膜と亜鉛系めっき層との間の密着性が低下し、プレス成形時に摺動部の樹脂皮膜、場合によってはさらに亜鉛系めっき層が剥離し、加工部の耐食性が劣化するおそれがある。一方、上記付着量が200mg/mを超えると、クロメート層自体が脆くなり、加工摺動部でクロメート層の剥離が生じ、これに伴って、上層の樹脂皮膜も剥離し易くなるため、加工部の耐食性が劣化するおそれがあるからである。なお、クロメート層の付着量は、好ましくは片面あたり10〜100mg/mの範囲である。
クロメート層を形成する化成処理は、通常公知の方法で行えばよく、特に制限されないが、3価クロメート処理液は、6価クロムを含有しないため、環境上好ましい。この3価クロメート処理液は、クロム酸(CrO)を出発原料とし、これを還元剤でCr3+に還元することにより得られる。上記還元剤としては、でんぷん、果糖、蔗糖等の多糖類、蓚酸、ぎ酸等の有機酸あるいはフェノール類、過酸化水素、亜りん酸、次亜りん酸等の無機化合物を用いることができる。なお、3価クロメート処理液は、上記以外の方法で得たものを用いてもよい。
本発明の燃料タンク用鋼板は、上記亜鉛系めっき処理と化成処理を施したのち、さらにその化成処理層の上層の表裏面それぞれに、有機樹脂を主体とする、異なる樹脂皮膜を形成する必要がある。それは、燃料タンクは、プレス成形されたアッパーシェルとロアーシェルを溶接して製造するため、鋼板の表裏面に形成される皮膜は、溶接性に優れることが必要であるが、その他に、ガソリン等と接する燃料タンクの内面側は、耐ガソリン性に優れることが求められ、一方、外界と接する燃料タンクの外面側は、成形時の潤滑性および加工後の耐食性に優れることが求められることから、それぞれの要求に合わせた皮膜を形成する必要があるからである。具体的には、本発明では、燃料タンクの内面となる面には、AlやNi等の金属粉末を含有するアミン変性エポキシ樹脂皮膜(以降、「第1樹脂皮膜」とも称する)を、他方の燃料タンクの外面となる面には、シリカと潤滑剤と導電性粒子を含有するアクリル系エマルション樹脂皮膜(以降、「第2樹脂皮膜」とも称する)を形成する。
以下、これらの樹脂皮膜について説明する。
第1樹脂皮膜:アミン変性エポキシ系樹脂皮膜
燃料タンクの内面となる面に形成する第1樹脂皮膜は、AlやNi等の金属粉末を含有するアミン変性エポキシ樹脂皮膜であることが必要である。この第1樹脂皮膜は、アルコール、特にメタノールそのものあるいはメタノールが酸化して生成した蟻酸が混合したガソリンに対して優れた耐食性および耐久性を発揮し、下層の亜鉛系めっき層やクロメート層が、アルコール含有燃料と直接接触するのを阻止するいわゆるバリヤー層の役目を果たすものである。
第1樹脂皮膜のベース樹脂となる有機樹脂は、ガソリン、アルコール、蟻酸系燃料に対して、優れた耐食性および耐久性を有し、かつ素地原板(鋼板+亜鉛系めっき層+クロメート層)に対する密着性およびプレス成形性に優れていることが必要である。そこで、本発明では、ベース樹脂として、このような特性を具備するアミン変性エポキシ樹脂を用いる。
上記アミン変性エポキシ樹脂とは、主骨格を形成するエポキシ樹脂のオキシラン環がアミンにより開環したものであり、該エポキシ樹脂としては、優れたプレス成形性を確保するため、5000〜50000、好ましくは10000〜40000の質量平均分子量を有するものが好ましい。用いることができるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等がある。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂は、塗料としての安定性に優れるほか、プレス成形性や内面耐食性にも優れる皮膜を安定して得ることができる。また、エポキシ樹脂は、単独、あるいはアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等のジカルボン酸を反応させたエポキシエステル樹脂として用いてもよく、さらに、ポリアルキレングリコールジグリシジンエーテルを併用してもよい。
エポキシ樹脂のオキシラン環に付加するアミンとしては、例えば、エチルエタノールアミン、エタノールアミン等のモノアルカノールアミン、および、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン等のジアルカノールアミンの1級または2級アミンが挙げられる。これらの中でも、ジエタノールアミンは、安定した付加条件を有し、化成皮膜や金属粉末との密着性が高い点で好ましい。
上記エポキシ樹脂のオキシラン環1当量に付加するアルカノールアミンのモル数は0.2〜1.0モルが好ましい。付加するアルカノールアミンが0.2モルより少ない場合には、アミン変性度が不足するため、後述する金属粉末とアミン変性エポキシ樹脂の親和性が低下し、プレス成形時に金属粉末が樹脂皮膜から脱離しやすくなり、その程度が激しい場合には、めっき層の剥離が生じるため、プレス成形性が悪化するおそれがあり、加えて、同様の理由から樹脂皮膜中の樹脂/金属粉末間に腐食性イオンが滞留しやすくなって十分な疎水性が得られず、蟻酸イオンなどの腐食性イオンを皮膜中に呼び込み易いことから、腐食性の強いメタノール系燃料に対する内面耐食性が不足するおそれがある。一方、付加するアルカノールアミンが1.0モルを超えると、その超えた分はオキシラン環に付加されないため、余剰アミンが吸水性を高めて内面耐食性が低下するおそれがある。
上記のように、アミン変性エポキシ樹脂は、第1樹脂皮膜中の金属粉末と主骨格のエポキシ樹脂との界面を強化する。さらにアミン変性エポキシ樹脂を用いた時の特徴として、第1樹脂皮膜とクロメート層との密着力を向上させる効果も有する。この効果は、平面部の耐食性向上やプレス成形時の皮膜剥離の抑制、さらには加工部の内面耐食性をも向上させる効果がある。
本発明で用いるアミン変性エポキシ樹脂は、質量平均分子量が5000〜50000の範囲が好ましい。質量平均分子量が5000未満の場合には、主骨格エポキシ樹脂の分子量が低すぎるため、分子間力が不足して皮膜の強靱性が劣るため、プレス成形時に皮膜が削られ、所期したプレス成形性が得られないおそれがある。また、質量平均分子量が50000を超える場合には、分子末端のオキシラン環に付加されているアルカノールアミンの量が少なくなるため、樹脂と金属粉末との親和性が不足し、プレス成形時に皮膜から金属粉末が脱離する、あるいは、所期の内面耐食性を得られないおそれがある。
次に、第1樹脂皮膜中に含有させる金属粉末は、電気抵抗溶接性を確保することを主目的として添加する。すなわち、有機樹脂のみからなる皮膜は、一般に電気絶縁性が高いため、膜厚が1μm以上になると、電気抵抗溶接を行うことが困難となる。そこで、樹脂皮膜中に、金属粉末を適正量分散させることによって、皮膜の導電性を高める必要がある。
なお、金属粉末を樹脂皮膜中に含有させるだけでは、抵抗溶接性の確保が不十分な場合がある。というのは、有機樹脂に硬化剤を添加して十分な架橋反応を起こさせた場合には、有機樹脂が溶接時の発熱でも溶融し難くなる。その結果、皮膜排除が困難となり、溶接不良を起こしてナゲット間のラップが不十分となるおそれがあるからである。逆に、架橋反応が不十分で、未反応の硬化剤が残存する場合には、凝集力が低くなったり、親水性が高くなったりするなどの理由で、酸、塩素イオンなどの腐食因子が樹脂皮膜中に侵入し易くなり、タンク内面の耐食性を劣化させる原因ともなる。よって、有機樹脂皮膜中には硬化剤を含有させないことが好ましい。
樹脂皮膜中に含有させる金属粉末としては、固有抵抗が高く、発熱量が大きいものであることが好ましく、具体的には、Ni,Al,Fe,Cu等の金属粉末を挙げることができる。中でも、Ni粉末は、メタノールに対する耐食性に優れ、固有抵抗も高いので、好適な金属である。また、Al粉末は、Ni粉末と比較して固有抵抗や融点が低く、溶接性の向上には最適ではないが、鱗片状(フレーク状)として皮膜中に含有させることにより、蟻酸水溶液などの腐食性イオンの透過を抑制することができるので、内面耐食性を向上するのに有効である。そこで、樹脂皮膜の導電性を高めて抵抗溶接性を向上させるとともに、腐食性イオンの透過を抑制して内面耐食性をも向上させるために、樹脂皮膜中にAlとNiの金属粉末を複合して含有させることが好ましい。さらにお、AlやNiの金属粉末以外に、Fe,Cu等の金属粉末を含有させてもよいことは勿論である。
上記Ni粉末としては、平均粒径が1〜9μmの粒状のものが好ましい。平均粒径が1μm未満だと通電点が不足するおそれがあり、また、平均粒径が9μmを超えると、皮膜が多孔質になるため内面耐食性が劣化し、さらにはプレス成形時における塗膜のパウダリングも問題になる可能性があるからである。より好ましい平均粒径は、2〜7μmの範囲である。
また、Al粉末としては、平均長径が8〜18μm、平均短径が1〜10μm、厚みが1〜5μmの鱗片状のものが好ましい。平均長径および平均短径が各々8μmおよび1μm未満の場合には、鱗片としての面積が小さすぎるため、蟻酸等の腐食性イオンの透過抑制能が低くなり、内面耐食性が低下する傾向がある。この問題は、平均長径のみまたは平均短径のみが短い場合にも起こる。一方、平均長径および平均短径が各々18μmおよび10μmを超える場合には、皮膜が多孔質になりすぎるため、皮膜強度が不足したり脆化したりしてパウダリングが発生したり、プレス成形部の内面耐食性が低下する傾向がある。また、平均厚みが1μm未満の場合には、内面耐食性の寿命が短くなるおそれがあり、また、平均厚みが5μmを超える場合には、第1樹脂皮膜の表面に露出するAl粉末の割合が多くなりすぎ、抵抗溶接性が低下する。なお、Al粉末は、平均長径が10〜15μm、平均短径が5〜8μm、平均厚みが2〜4μmであることがより好ましい。
第1樹脂皮膜中に配合するNiおよびAlの金属粉末の合計量は、有機樹脂100質量部に対して30〜110質量部であることが好ましい。上記量が30質量部未満の場合には、通電点が不足して導電性に劣るため、抵抗溶接性が低下するおそれがあるからであり、また、上記量が110質量部を超える場合には、第1樹脂皮膜自体が脆弱になり、プレス成形時の耐パウダリング性が低下し、内面耐食性が低下するおそれがある。より好ましい含有量は、有機樹脂100質量部に対して45〜100質量部の範囲である。
また、第1樹脂皮膜中のNiおよびAlの金属粉末の合計量が前記範囲である場合において、Ni/Al比(質量比)を80/20〜30/70とすることにより、抵抗溶接性および内面耐食性をバランスよく向上させることができる。Ni/Al比が30/70未満の場合には、固有抵抗が高いNi粉末の量が不足して抵抗溶接性が低下するおそれがあり、また、Ni/Al比が80/20を超える場合には、燃料の浸透を抑制する働きを有するAl粉末の量が減るため、内面耐食性が低下するおそれがある。より好ましいNi/Al比は70/30〜40/60である。
なお、第1樹脂皮膜には、アミン変性エポキシ樹脂以外の樹脂、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂またはオレフィン樹脂の1種以上を含有していてもよい。また、第1樹脂皮膜には、必要に応じて、潤滑剤、カップリング剤、顔料、チクソトロピック剤、分散剤等の添加剤を添加することもできる。
第1樹脂皮膜の厚さは、1〜10μmとすることが好ましい。1μm未満では、内面層に要求される耐食性が十分に得られないおそれがあるからであり、また、10μmより厚くしても、内面耐食性やプレス成形性のさらなる向上が期待できず、逆に、シーム溶接性が低下するからである。
第1樹脂皮膜の形成は、前記アミン変性エポキシ樹脂とAlとNiの金属粉末および必要に応じて適宜添加される各種の添加剤を含む塗料を調製し、これを内面側のクロメート層の上層に塗布することにより行う。上記塗料は、エポキシ当量が500〜5000のエポキシ樹脂にアルカノールアミンを添加して、常温〜100℃で4〜5時間反応させて得られるアミン変性エポキシ樹脂に、サンドミル、アトライター等を用いて、金属粉末および必要に応じて添加される各種の添加剤を、所定量の配合しての調製することができる。
第2樹脂皮膜:アクリル系樹脂皮膜
燃料タンクの外面となる面に形成する第2樹脂皮膜は、シリカと潤滑剤と導電性粒子とを含有したアクリル系エマルション樹脂皮膜とする必要がある。以下に、その理由について説明する。
燃料タンクの外面に形成する第2樹脂皮膜に使用するベース樹脂としては、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が候補として挙げられる。しかし、燃料タンク用鋼板には、優れたプレス成形性が要求されるため、該鋼板の燃料タンクの外面となる面には、強靭な皮膜を形成させる必要がある。このような特性を有するものとして、上記有機樹脂に硬化剤を添加して架橋反応させた皮膜がある。しかし、反応後の有機樹脂は、前述したように、溶接時の発熱によっても溶融し難くなるため、溶接不良を引き起こすおそれがある。また、この場合には、後述する導電性粒子を添加しても改善を期待できない。従って、硬化剤なしで強靭な皮膜が得られる樹脂であることが必要である。
また、有機樹脂の形態には、エマルションタイプと水溶性とがあり、水溶性の場合、水溶化させるために、親水性の官能基を大量に付加させる必要があるため、皮膜の親水性が高くなり、腐食因子(酸、塩素イオンなど)が皮膜中に進入し易くなって、タンク外面の耐食性が劣化する傾向がある。そのため、有機樹脂の形態としては、エマルションタイプであることが好ましい。上記観点から、タンクの外面側に形成する第2有機樹脂のベース樹脂について検討した結果、アクリル系エマルション樹脂が最適であることを見出した。
上記アクリル系エマルション樹脂は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含有するビニル系モノマー混合物を、乳化剤の存在下で、水中にて乳化重合したエマルション樹脂であり、必要に応じて、中和や変性を行った樹脂である。このアクリル系エマルション樹脂は、常温架橋性を有していてもよく、例えば、アクリル系エマルション樹脂中に、カルボニル基を持たせ、ポリヒドラジド化合物を加えて架橋させたものを用いてもよい。
上記アクリル系エマルション樹脂の製造に用いるビニル系モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(n−、i−、t−)、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜18(1〜24)のアルキルエステルまたはシクロアルキルエステルや、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等のアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルやアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマーや2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂またはメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステルやN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレートやアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類やグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和モノマーや酢酸ビニル、スチレン、α−クロロスチレン、アクリロニトリル等を挙げることができる。
乳化重合反応は、乳化剤の存在下にて、水媒体中で攪拌下に所定温度でモノマーおよび重合開始剤を一括あるいは連続的に供給して行う。乳化剤は、通常、重合モノマー全量に対して0.05〜10mass%、好ましくは0.1〜5mass%の範囲で添加する。乳化剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等のカチオン乳化剤、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリル燐酸エステル等のアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンプロピルブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤、ラウリルペタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両イオン性乳化剤等が挙げられる。その他に、水溶性高分子のポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル共重合体、スチレンスルホン酸ナトリウムの共重合体等も、単独もしくは上記乳化剤と併用して用いることができる。
重合時のモノマー濃度は、通常30〜70mass%、好ましくは35〜65mass%とすればよく、重合開始剤としては一般的に用いられるラジカル重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ソーダなどの過硫酸塩、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等を用いることができる。ラジカル重合開始剤の使用量は、重合モノマー全量に対し0.1〜10mass%程度、好ましくは0.3〜5mass%程度とすればよい。反応時間は、2〜16時間程度とすればよく、重合時の温度は60〜100℃程度とすればよい。
なお、プレス成形時の金型と鋼板との接触面積を可能な限り低減するためには、硬度の高い皮膜とすることが重要であり、このためにはガラス転移点(Tg)の高いベース樹脂が有効であり、第2樹脂皮膜のベース樹脂のTgは0〜90℃であることが好ましい。Tgが0℃未満では、プレス時の金型や鋼板表面温度では皮膜の硬度が低すぎて、金型/鋼板の接触率が高くなって成形性が低下し、一方、Tgが90℃以上では、皮膜が脆すぎて成形性が不良となるからである。より好ましいTgは50〜80℃の範囲である。
なお、ベース樹脂中には、反応促進剤、安定剤、分散剤等の一般的な添加剤を、本発明の主旨を損なわない範囲で添加することを妨げるものではなく、むしろ好ましい。
次に、第2樹脂皮膜中に含まれるシリカは、タンクの外面における耐食性を付与するために添加する。このシリカとしては、例えば、コロイダルシリカ、オルガノシリカゾル、シリカ粉末あるいは脱水縮合によりシリカとなる有機シリケート(例えば、エチルシリケート等を酸触媒と併用して用いる)等が挙げられる。なお、上記シリカの平均粒径は、皮膜中にシリカを均一に分散させるために、5〜70nmの範囲のものを用いるのが好ましい。
皮膜中に配合するシリカの量は、有機樹脂100質量部に対してシリカ5〜80質量部とすることが好ましい。5質量部未満では耐食性が低下し、80質量部を超えると、皮膜が脆弱になり、加工時に型かじりが発生し、プレス成形性が低下するおそれがある。なお、シリカは熱分解性が劣り、抵抗溶接性を低下させる傾向があるため、添加量は20〜60質量部であることがより好ましい。
なお、本発明では、ベース樹脂とシリカの反応促進剤として、シランカップリング剤を添加してもよい。用いるシランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
次に、第2樹脂皮膜中に含まれる潤滑剤としては、ポリオレフィンワックスであるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のオレフィン系炭化水素の重合体からなるワックスなどが好ましく、これらを組み合わせて用いてもよい。また、フッ素を含有した潤滑剤を用いてもよい。これらの潤滑剤は、プレス成形時に、皮膜と金型との間に潤滑層を形成することによりプレス成形性を維持する。添加する潤滑剤の量は、上記有機樹脂100質量部に対して潤滑剤1〜40質量部であることが好ましい。40質量部を超えると、形成される第2樹脂皮膜の強度が低下し、潤滑性が低下するおそれがあり、また、1質量部未満では潤滑性が不足する傾向があるからである。より好ましくは5〜30質量部の範囲である。
上記潤滑剤は、平均粒径が1〜7μmのものであることが好ましい。平均粒径が1μm未満では、樹脂皮膜から突出する潤滑剤の量が少なく、プレス成形性が低下するおそれがあり、また、7μm超えでは、樹脂皮膜が脆弱になりすぎて耐パウダリング性が低下し、プレス成形性が劣る傾向があるからである。
また、潤滑剤の軟化点は、70〜150℃の範囲のものであれば何れを用いてもよく、また、プレス成形性向上のため、軟化点の異なる2種以上の潤滑剤を組み合わせて用いてもよい。潤滑剤の軟化点が70℃未満では、発熱を伴う過酷なプレス条件下では、潤滑層の弾性率が著しく低下して潤滑性が低下し、プレス成形性が劣る傾向があり、また、150℃超えでは、潤滑剤の軟化が不足して潤滑層が強靱化し、潤滑性が低下してプレス成形性が劣る傾向があるからである。
次に、第2樹脂皮膜中に含まれる導電性粒子は、電気抵抗溶接性をより一層向上させて、安定して連続溶接できるようにするため添加する。樹脂皮膜中に添加する導電性粒子としては、種々のものがあるが、本発明では、金属粒子、金属化合物粒子、グラファイト粒子の中から選択した1種または2種以上を用いることが好ましい。
上記金属粒子としては、ニッケル、錫、銅等の粒子、SUS304L,SUS316,SUS430等のステンレスに代表される合金の粒子が好ましく、特に、ニッケル、錫、ステンレスの粒子がより好適である。
また、上記金属化合物粒子は、酸化錫粉末に代表される導電性を有する金属酸化物粒子のことである。この金属酸化物粒子は、単一組成のものの外、複合酸化物やコアに安価な粒子を使用し表面に導電性に優れた金属酸化物をドープしたもの、複合化処理を施したものなどを用いてもよい。具体的には、酸化錫粉末として、Nano Tek Tinoxide(シーアイ化成製)、酸化錫のコロイド分散液として、セラメースS−8(多木化学製)、ATO(アンチモン錫複合酸化物)粉として、SN−100P(石原産業製)、ATOのコロイド分散液として、SN−100D(石原産業製)、AZO(アンチモン亜鉛複合酸化物)粉として、SC−18(堺化学工業製)、AZOのコロイド分散液として、セルナックスCK−Z300H(日産化学工業製)等を挙げることができる。
また、グラファイト粒子としては、グラファイト粉末、有機溶媒や水に分散したコロイドゾル等が挙げられ、市販品の粉末タイプとしては、例えば、AUP(黒鉛工業製)、TGP−05(東海カーボン製)、GP−60S,GP−82,GP−78,GP−63(以上日立冶金製)等が挙げられ、有機溶媒や水に分散したコロイドゾルとしては、ヒタゾルGA−66、ヒタゾルAB−1、ヒタゾルGA−315(以上日立冶金製)、バニーライC−9A,バニーライBP−4(以上日本黒鉛工業製)等が挙げられる。
これらの導電性粒子は、平均粒径が0.01〜3.0μmの範囲のものが好ましい。平均粒径が3.0μm超えでは、プレス時に皮膜より突出している導電性粒子が金型と接触してプレス成形性が劣化するとともに、プレス成形部の耐食性が劣化するおそれがある。また、平均粒径が0.01μm未満では、皮膜中に通電経路ができにくくなり、抵抗溶接性、特にスポット溶接性が低下する傾向があるからである。導電性粒子のより好ましい平均粒径は0.03〜2.0μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μmの範囲である。
第2樹脂皮膜中に配合する導電性粒子の量は、有機樹脂100質量部に対して導電性粒子5〜30質量部とすることが好ましい。30質量部を超えると、皮膜の強靭性が損なわれ、プレス時に皮膜がパウダリング化してプレス性が劣化するとともに、プレス成形部の耐食性が劣化するおそれがある。また、5質量部未満では、上記添加効果が得られず、抵抗溶接性、特にスポット溶接性が劣化する傾向がある。なお、導電性粒子のより好ましい配合量は、11〜30質量部である。
第2樹脂皮膜は、攪拌機、温度計および還流冷却器などを備えた反応槽に脱イオン水、乳化剤A(ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸アンモニウム)、乳化剤B(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を仕込み、加熱攪拌して昇温し、過硫酸アンモニウムを加えてさらに攪拌し、次いで、脱イオン水、乳化剤A、スチレン、メタクリル酸メチルからなる単量体予備混合物を反応槽に滴下し、その後、ジメチルアミノエタノールを加えて安定な水分散体を得る。次いで、シリカ、潤滑剤、導電性を有する粒子と脱イオン水を加えて混練し、懸濁液を調整する。この際、脱イオン水等の溶媒の量は、懸濁液全体の75〜90mass%とするのが好ましい。この樹脂混合物を、所定の厚さになるよう鋼板にロール塗布し、10〜30秒後の到達温度が50〜200℃となる条件で焼き付けて形成するのが好ましい。
なお、第2樹脂皮膜には、ベースの有機樹脂と、シリカ、潤滑剤および導電性粒子を上記範囲で含有するものであれば、その他の添加剤等を含有してもよい。また、鋼板のプレス成形性をより改善するために、加工難易度に応じて、樹脂皮膜の上にさらに潤滑油を塗布しても問題はなく、むしろ皮膜の損傷防止の観点からは好ましい。
次に、本発明の燃料タンク用鋼板の組織、機械的特性等について説明する。
鋼板組織:フェライトとセメンタイトおよび/またはベイナイト
本発明の燃料タンク用鋼板は、主としてフェライト相からなり、その他の相として、セメンタイト、ベイナイトのうちの1種または2種を含む組織からなる。その結果、優れた成形性が得られる。ただし、セメンタイトとベイナイトの合計量は、体積分率で10%以内であることが好ましい。
引張強度TS:340MPa以上
従来、自動車の燃料タンクに用いる鋼板には、成形性を確保する観点から、引張強度TSが300MPa以下の軟質の深絞り用鋼板が使用されてきた。しかし、燃料タンクの重量を軽減し、自動車車体の軽量化を達成するためには、燃料タンクとしての必要強度を確保した上で、素材板厚を薄くする必要がある。そのためには、素材の高強度化が必須である。本発明の表面処理鋼板は、上記成分組成と製造条件とを組み合わせることにより、引張強度TSが340MPa以上の高強度を有するものとなるので、燃料タンクの軽量化を達成することが可能となる。
なお、本発明で得られる鋼板は、時効劣化が起こり難く、プレス成形性に優れ、しかも、溶接部の衝撃吸収エネルギーが20J以上の優れた靭性を有するので、溶接組立後に衝撃が加わっても溶接部からの破断のおそれがないという特性を有する。
表1に示した成分組成を有し、残部が実質的にFeからなる鋼を転炉で溶製し、連続鋳造して鋼スラブとし、この鋼スラブを1200℃の温度に再加熱し、仕上圧延修了温度を850℃とする熱間圧延後、650℃で巻取り、空冷して室温まで冷却し、熱延板とした。この熱延板を、酸洗後、板厚1.2mmに冷間圧延し、その後、この冷延板を、表2に示した条件で、連続焼鈍設備(CAL)で再結晶焼鈍したのち電気亜鉛めっき設備(EGL)で電気亜鉛めっきを施すか、あるいは、連続溶融亜鉛めっき設備(CGL)で再結晶焼鈍したのち溶融亜鉛めっきを施し、その一部についてはさらに、合金化処理を施した。なお、上記電気亜鉛めっきの付着量は、片面当たり40g/m、溶融亜鉛めっきの付着量は片面当たり35g/mとした。
その後、表2に示したように、コーティング設備で、3価クロムの付着量が片面当たり40mg/mのクロメート層を塗布し、次いで、その上層片面には、第1樹脂皮膜として、Al,Ni金属粉末を含んだアミン変性エポキシ系樹脂(W)、Al,Ni金属粉末を含んだウレタン樹脂(Y)、Al,Ni金属粉末を含んだアクリル樹脂(Z)のいずれか1種を4.0g/m、他の上層片面には、第2樹脂皮膜として、シリカ、潤滑剤および導電性粒子を含有するアクリル系エマルション樹脂(X)、ウレタン樹脂(Y)、アクリル樹脂(Z)のいずれか1種を1.0g/m塗布し、150℃の温度で乾燥し、冷却して製品板とし、下記の試験に供した。
<引張特性>
上記製品板から、引張方向が圧延方向に対して直角となるように、JIS Z 2201に規定された5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行った。
<平均r値>
平均r値は、上記製品板から、圧延方向に対して0度、45度、90度方向からJIS Z 2201に規定されたJIS5号試験片を採取し、JIS Z 2254に準拠して各方向のr値を測定し、下記式;
平均r値=(r+2r45+r90)/4
から求めた。なお、r:圧延方向のr値、r45:圧延方向に45度方向のr値、r90:圧延方向に90度方向のr値を意味する。
<衝撃試験>
鋼板を2枚重ねにして、加圧力6860N、溶接電流13kA、ON−OFF:3サイクル、溶接速度:3m/minでシーム溶接し、図1に示すように、長辺中央部がシーム溶接部となる、幅2.4mm×高さ10mm×長さ55mmで長さ方向中央部(溶接部)に2mmのVノッチを付与した試験片を切り出し、この試験片を用いて、−40℃における衝撃吸収エネルギーをJIS Z 2242に準拠して測定した。
<耐時効性、焼付硬化性>
耐時効性(時効指数:AI)は、7.5%予歪を付与した時の応力と、それに、100℃×30分の時効処理を施した後の応力との差で評価した。また、焼付硬化性(BH)は、2.0%予歪を付与した時の応力と、それに、170℃×20分の時効処理を施した後の応力との差で評価した。
<鋼板組織>
鋼板の圧延方向断面を研摩後、5mass%ナイタール液でエッチングして鋼組織を現出させ、光学顕微鏡で観察して鋼板組織を構成する相を調べた。
<摩擦係数>
板幅30mm×長さ300mmの試験片を採取し、第2樹脂皮膜側を摺動面(金型ダイスと接触する面)として、図2に示す模擬金型を、押付力:3920N押し付け、引抜速度:1.0m/minで防錆油Z5(出光石油製)を塗布した条件下で摺動試験を行い、試験片を引き抜くのに要する力と押付力の比から、摩擦係数(=引張力/押付力)を求めた。
<限界絞り比>
製品板から、各種径の円板状のブランクを打ち抜き、このブランクを、鋼板の第1樹脂皮膜面をポンチ側、第2樹脂皮膜面をダイス側にして、33mmφの平底ポンチで円筒(カップ)に絞り加工し、破断なしに絞れた最大のブランク径をポンチ径で割って限界絞り比(LDR)を求めた。なお、この際の試験条件は、クリアランス:1.2mm、しわ押さえ荷重:3トン、絞り速度:60mm/秒とし、潤滑油として、防錆油Z5(出光石油製)を1g/m塗布した。
<内面耐食性>
上記限界絞り比の測定で得られた、ブランク径が60mmの時にカップ内面について、耐食性を評価した。試験は、無鉛ガソリン/蟻酸水溶液=1/1(重量比)の燃料を、カップの容積の約80%まで投入し、常温で1ヶ月間放置して、カップ内面に発生した赤錆発生面積率(%)を測定し、赤錆発生面積率が50%未満を耐食性良(○)、50%以上80%未満を耐食性やや良(△)、80%以上を耐食性不良(×)と評価した。
上記測定の結果を表3に示した。表3から、本発明の条件を満たす成分組成、製造条件で製造された鋼板は、溶接部の靭性のみならず、すべての特性がバランスよく、良好であることがわかる。
Figure 2007162089
Figure 2007162089
Figure 2007162089
本発明の鋼板は、自動車の燃料タンク用に限定されるものではなく、例えば、自動二輪車、農耕機械などの燃料タンクにも好適に用いることができる。
衝撃吸収エネルギーの測定に用いた試験片の形状を説明する図である。 摩擦係数の測定に用いた模擬金型の形状を説明する図である。

Claims (4)

  1. C:0.01〜0.10mass%、
    Si:0.5mass%未満、
    Mn:0.5〜2.0mass%、
    P:0.050mass%以下、
    S:0.010mass%以下、
    Al:0.10mass%以下を含有し、
    さらにTi,Nbのうちの1種または2種を合計で0.005〜0.10mass%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延し、冷間圧延し、再結晶温度以上に加熱後、冷却速度10℃/秒以上で550℃以下まで冷却する再結晶焼鈍し、その後、付着量が片面当たり10〜200g/m以上の亜鉛系めっき処理を施してから化成処理を行い、次いで、その化成処理層の一方の表面に金属粉末を含有するアミン変性エポキシ系樹脂皮膜を形成し、それの他の表面にはシリカ、潤滑剤および導電性粒子を含有するアクリル系エマルション樹脂皮膜を形成することにより、引張強度が340MPa以上で、フェライトを主相とし、セメンタイト、ベイナイトのうちの1種または2種を含む組織からなる燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法。
  2. 上記製造方法において、再結晶焼鈍後、550〜300℃の温度域で30秒以上保持する過時効処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法。
  3. 上記製造方法において、亜鉛系めっき処理の後、420℃以上の温度でめっき層内に鉄亜鉛合金を形成する合金化処理を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法。
  4. 上記成分組成に加えてさらに、CaおよびREMのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.0010〜0.050mass%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法。
JP2005361510A 2005-12-15 2005-12-15 燃料タンク用表面処理鋼板の製造方法 Pending JP2007162089A (ja)

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