JP2024013935A - ポリオール組成物、ウレタン硬化物及びウレタン粘着剤 - Google Patents

ポリオール組成物、ウレタン硬化物及びウレタン粘着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオール種や厚み、硬化温度等に係らず良好な硬化性を有し、耐湿熱耐久性が顕著に良好なポリウレタンの形成に資するポリオール組成物、該ポリオール組成物を用いて得られるウレタン硬化物、該ウレタン硬化物からなるウレタン粘着剤を提供することに向けられている。【解決手段】ポリオール(A)、トリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含むポリオール組成物(F)【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオール組成物に関する。詳細にはポリオール組成物から得られるウレタン硬化物、ウレタン硬化物を含むウレタン粘着剤に関する。
粘着剤は、例えば、テープ、ラベル、シール、化粧用シート、滑り止めシート、両面粘着テープ等に用いられており、近年ではパソコン、テレビ、携帯電話等の液晶ディスプレイやタッチパネルの密着等の様々な分野で使用されている。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、オキシアルキレン系粘着剤等が知られており、特に最近は、強い粘着力を有する強粘着型粘着剤から、微小な粘着力を有する微粘着型粘着剤まで広範囲の用途にアクリル系粘着剤が使用される傾向がある。
しかしながら、アクリル系粘着剤は、アクリルモノマーが粘着剤中に残存する場合に、臭気や皮膚刺激性、基材の汚染が問題となる。またアクリル系粘着剤は、被着体に貼付した後、経時変化によって、粘着力が上昇したり移行性が高くなる傾向がある。このため被着体に糊残りが生じ易く、再剥離性が不充分になりやすいという問題がある。また、アクリル系粘着剤では、凝集力を発現するためガラス転移温度が高いコモノマーを使用することから低温での耐衝撃性が不足し耐寒性に劣るといった問題があった。
これに対し、ウレタン系粘着剤は、アクリル粘着剤に比べて分子量が小さく、被着体の形状変化に容易に追従できる長所を有しており、特にポリアルキレンオキシド等のポリオールやそれを用いたウレタンプレポリマーが、ポリウレタンの原料として多く用いられている。
特許文献1では、分子量分布が狭く、不飽和モノオールが顕著に少ないポリアルキレンオキシドを用いた粘度が低くハンドリング性に優れるウレタン形成性組成物、並びにそれを用いた高い柔軟性や低温特性を有するウレタン粘着剤を開示している。
しかしながら、これらを含めた種々のポリオール、並びにそのウレタンプレポリマーから得られるウレタン硬化物は、通常の環境で使用する際の耐熱性や耐湿熱性は発現するが、顕著に高い耐湿熱性を必要とする用途では耐久性が十分ではない場合があり、製造工程や使用環境で高温、高湿となる使用環境で被着体の汚染や機械物性、接着性が損なわれるという問題が生じる場合があるため、耐湿熱耐久性を向上したいという要望があった。また、硬化時高厚み化等のために硬化に高温や長時間の加温が必要となった場合に熱履歴により硬化性が不十分となる場合があり、ウレタン硬化物の凝集力が低下しやすく、改善したいという要望があった。
そのため、ポリオール種や厚み、硬化温度等に係らず高い硬化性やウレタン硬化物の耐湿熱耐久性の発現に資するポリオール組成物が求められていた。
特許第6891412号公報
本発明は、ポリオール種や厚み、硬化温度等に係らず良好な硬化性を有し、耐湿熱耐久性が顕著に良好なポリウレタンの形成に資するポリオール組成物、該ポリオール組成物を用いて得られるウレタン硬化物、及び該ウレタン硬化物からなるポリウレタン粘着剤を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリオールに加えて特定の化合物2種を組み合わせることによって、驚くべきことに比較的耐湿熱性が低いポリオールの使用、高厚み、高温等の条件に係らず良好な硬化性を有し、顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現するウレタン硬化物の形成に資するポリオール組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の各態様は以下に示す[1]~[16]である。
[1]ポリオール(A)、トリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含むポリオール組成物(F)
[2]ポリオール組成物(F)中のトリアゾール誘導体(C)の含有率が0.001質量%以上0.1質量%未満、且つヒンダードフェノール化合物(D)の含有率が0.1質量%以上0.7質量%未満であり、ヒンダードフェノール化合物(D)とトリアゾール誘導体(C)の質量比率(ヒンダードフェノール化合物(D)/トリアゾール誘導体(C))が1.5~30倍の範囲である、[1]に記載のポリオール組成物(F)
[3]炭素数3のアルキレンオキシド残基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により算出した数平均分子量が10万未満である、[1]または[2]に記載のポリオール組成物(F)
[4]不飽和度が0.020meq/g未満である、[1]乃至[3]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[5]トリアゾール誘導体(C)がフェノール性水酸基を1つ以上有するベンゾトリアゾール誘導体である、[1]乃至[4]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[6]ヒンダードフェノール化合物(D)が、炭素数8以上の長鎖アルキル基とエステル基を有する、[1]乃至[5]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[7]不揮発分濃度が90質量%以上である、[1]乃至[6]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[8]ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とのウレタンプレポリマー(E)を含む[1]乃至[7]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[9]ウレタンプレポリマー(E)中に、アルキレンオキシド残基を50~99.5質量%の範囲、且つポリイソシアネート残基を0.5~10質量%の範囲で含む、[8]に記載のポリオール組成物(F)
[10]ウレタンプレポリマー(E)中に、不飽和基を0.03質量%未満の範囲で含む、[8]または[9]に記載のポリオール組成物(F)
[11]ウレタンプレポリマー(E)が、不飽和度0.010meq/g未満で且つ水酸基価より算出した分子量が3000~20000の範囲である2官能のポリアルキレンオキシド(A1)とポリイソシアネート(B)の反応物である、[8]乃至[10]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[12]ウレタンプレポリマー(E)を形成する、全ポリオールの平均官能基数faveが1.90~2.20の範囲である、[8]乃至[11]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[13]ポリイソシアネート(B)が脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、それらの変性体のいずれかを含み、ウレタンプレポリマー(E)を形成する、全ポリイソシアネートの平均官能基数faveが2.00~3.19の範囲である、[8]乃至[12]いずれかに記載のポリオール組成物(F)
[14][1]乃至[13]いずれかに記載のポリオール組成物(F)とイソシアネート化合物(G)とを含むウレタン形成性組成物(H)。
[15][14]に記載のウレタン形成組成物の反応物を含むウレタン硬化物(I)。
[16][15]に記載のウレタン硬化物からなるウレタン粘着剤。
本発明のポリオール組成物は、ポリウレタンを得るために、イソシアネート化合物との反応に伴う硬化(固化)を進めることでの良好な硬化性をポリオール種や厚み、硬化温度等に係らず有し、高い耐湿熱耐久性のウレタン硬化物を得ることができる。
本発明のウレタン硬化物は、ポリオール種に係らず耐湿熱環境下での使用が期待でき、比較的耐湿熱性の低いポリアルキレンオキシド等を使用して顕著に良好な柔軟性と低温特性等の特性を発現させやすいため、温湿度の変化が大きい用途での使用や被着体の動きや形状変化への追従性、顕著に良好な低温特性が期待でき、シーリング材、塗料、粘着剤、接着剤など幅広い用途に好適に使用できる。
なかでも、本発明のウレタン硬化物を用いたウレタン粘着剤は、柔軟な組成でも顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現するため、被着体への濡れ性や追従性等が期待できる柔軟・耐湿熱性のウレタン粘着剤として特に好適に使用することができる。
以下に本発明の一態様であるポリオール組成物(F)を詳細に説明する。
<ポリオール組成物(F)>
本発明のポリオール組成物(F)は、ポリオール(A)、トリアゾール誘導体(C)及び分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含む。
ポリオール組成物中に分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)に加えてトリアゾール誘導体(C)を含むことで、ヒンダードフェノール化合物(D)の相溶化剤として作用してウレタン樹脂への分散性を向上しつつ金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、硬化時の熱劣化の抑制効果や湿熱条件での耐久性向上効果により、顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現でき、単独では従来困難であった特に柔軟となりやすい高温や高湿条件に弱いポリアルキレンオキシドやポリエステルポリオール等のポリオールの使用有無に係らず、得られるウレタン硬化物が顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現することができる。また、同様に高温や高湿条件に弱いポリオールの使用有無に係らず、高厚みや高温でも良好な硬化性を発現する。一方、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含まない場合、トリアゾール誘導体を添加しても耐湿熱性が不足するため、硬化条件によっては熱劣化によって硬化性が不足しやすく、得られるウレタン硬化物の耐湿熱耐久性の顕著な向上が困難である。即ち、ポリオール組成物(F)中に、トリアゾール誘導体(C)、または分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含まない場合、相乗効果が発現せず、ヒンダードフェノール化合物(D)、トリアゾール誘導体(C)を単独で添加してもポリオール種や高厚みや高温の条件では硬化性が不足するとともに、得られるウレタン硬化物の耐湿熱耐久性の顕著な向上が困難であり、温湿度の変化が大きい用途での使用が困難である。
ポリオール組成物(F)の数平均分子量は10万未満であることが好ましい。これにより、ポリオール組成物(F)の粘度がより低くなりやすくハンドリング性が向上するとともに製造時の溶剤量や濃縮量をより削減でき、低VOC化効果が高い。
なかでも、高固形分化しても一定の粘度を保持しやすく液流れによる成形不良をより抑制でき、且つ得られるウレタン硬化物がより安定的に高い凝集力を発現しやすいため、数平均分子量が5千以上6万未満であることが好ましく、最も好ましくは6千以上4万未満であることが好ましい。
ここで、ポリオール組成物(F)の数平均分子量は、ポリオール組成物(F)そのものをゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で計測・算出するものであり、後述するポリアルキレンオキシドと同様の方法にて測定し、溶剤やケトエノール互変異性化合物、フェノール系酸化防止剤、その他分子量600以下の添加剤等の分子量600以下の成分は除外して算出した。
ポリオール組成物(F)の不飽和基の含有量としては、得られるウレタン硬化物の強度や凝集力が高くなりやすいため0.020meq/g未満であることが好ましく、0.015meq/g以下であることが更に好ましく、0.0001~0.010meq/gの範囲であることが最も好ましい。ここで、不飽和基の含有量はポリオール成分を複数含有する場合でも組成物に対して測定または算出するものであり、後述するポリアルキレンオキシド(A1)と同様の方法にて測定できるが、ポリオール成分を複数含む場合でかつ原料が分かっている場合、各原料の不飽和基量より算出してもよい。
ポリオール組成物(F)中のポリオール(A)の含有量としては、より高凝集力と高柔軟性を両立しやすいため、1~99.9質量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは適度な粘度で架橋条件によらずより安定的に塗工性が優れやすく、高凝集力と高柔軟性を両立しやすいため、60~99.8質量%の範囲であり、最も好ましくは80~99.7質量%の範囲である。またポリオール組成物(F)中にポリオール(A)とポリイソシアネート(B)からなるウレタンプレポリマー(E)を含む場合、ウレタンプレポリマー(E)中のポリオール(A)成分の含有量も含めて上記成分の含有量となることが好ましく、ウレタンプレポリマー(E)中のポリオール(A)構造の含有量とウレタンプレポリマーを形成していないポリオール(A)の含有量の総和が上記好ましい含有量の範囲となることが好ましい。
ポリオール組成物(F)は、得られるウレタン硬化物の濡れ性が顕著に良好となりやすく、且つ特長的に低いガラス転移点を発現しやすく低温特性に優れやすいため、アルキレンオキシド残基を60質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは80~99.9質量%であり、最も好ましくは95~99.8質量%の範囲である。ここで、アルキレンオキシド残基の含有量とは、ポリオールが一成分であればその分子内での含有量、複数の成分を含む場合はその複数成分に対する含有量を意味する。なお、NMR法等により各残基の含有量を算出することができるが、必要に応じ各成分の分離やアルカリ分解等を行って各留分を分析して算出してもよい。また組成物中の各原料が分かっている場合、各原料の仕込み比率と各原料のアルキレンオキシド残基の含有率より算出してもよい。例えば、ウレタンプレポリマー(E)を形成する際のポリアルキレンオキシド(A1)、並びに混合するポリアルキレンオキシド(A1)等の水酸基価より算出した数平均分子量より各開始剤残基、不飽和基分を除算して算出したアルキレンオキシド残基含有率と各原料の仕込み比率等より、計算してもよい。
更に、アルキレンオキシド残基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数2~20のアルキレンオキシド残基等が挙げられ、ポリオール組成物(F)が液状で高透明となりやすく、良好な機械物性のウレタン硬化物が得られやすいため炭素数2~3のアルキレンオキシド残基を含むことが好ましく、例えばプロピレンオキシド残基、エチレンオキシド残基等がより好ましいアルキレンオキシド残基として挙げられ、最も好ましくは炭素数3のアルキレンオキシド残基であり、プロピレンオキシド残基が挙げられる。
なかでもウレタン硬化物の機械物性を向上しやすいため、ポリオール組成物(F)中に炭素数3のアルキレンオキシド残基を60質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは80~99.9質量%であり、最も好ましくは95~99.8質量%の範囲である。また、耐湿熱性が向上しやすいため炭素数2のアルキレンオキシド残基であるエチレンオキシド残基を含んでもよく、含む場合の含有量としては0.1質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは湿熱条件後の凝集力と湿熱条件保持後の粘着力を維持しやすいため0.5~15質量%であり、最も好ましくは1~13質量%の範囲である。
なかでも、得られるウレタン硬化物がより顕著に良好な濡れ性や低温特性を発現しやすいため、ポリオール組成物(F)中には、数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造を含むことが好ましく、特に2官能の数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造を含むことが好ましい。数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造の含有量としては特に限定されないが、ポリオール組成物(F)中に50質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは70~99.9質量%であり、最も好ましくは95~99.8質量%の範囲である。数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造とは、ポリオール組成物中のポリオール(A)またはウレタンプレポリマー(E)いずれか、もしくはこれら両方に由来する構造であり、その含有量は前記アルキレンオキシド残基と同様の方法で計測、算出できる。
また、特に限定されないが、ポリオール組成物(F)中には、より良好な柔軟性を発現しやすいため、芳香族アミン残基等の芳香族構造や炭素数6以上の糖残基、ポリオキシテトラメチレン残基、ポリカーボネート残基としては50質量%以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは20質量%以下であり、最も好ましくは意図的に含まないことである。なお、上記構造の好適な含有量の範囲としては、ベンゼンやトルエン等の揮発して除去される溶剤やエステル系可塑剤等のイソシアネートと非反応性の添加剤中の上記構造は含まない。また脂環族構造としては、特に限定されないが、より高い柔軟性を安定的に発現しやすいため、20質量%以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは意図的に含まないことである。
ポリオール組成物(F)中の各残基の含有量としては、必要に応じてコリッシュ分解やアルカリ分解等により、各原料に分解して組成比を求めてもよく、各原料の仕込み比が分かっている場合、仕込み比と各原料の化学構造中の割合より算出してもよい。
ポリオール組成物(F)の25℃における粘度は特に限定されないが、より液流れがしにくく均一に薄膜~厚膜まで成形がしやすいため、0.1~30Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5~20Pa・sの範囲であり、最も好ましくは3~15Pa・sの範囲である。なかでも、乾燥工程などで揮発分の揮発や加温されても一定の粘度を有することで、塗工、硬化工程で液流れやボイドの発生、塗工末端の厚み増加等の成形不良がより発生しにくいため、特に限定されないが、不揮発分が90質量%以上で0.1~30Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは不揮発分が99質量%以上で0.5~20Pa・sの範囲であり、最も好ましくは不揮発分が99.5質量%以上で3~15Pa・sの範囲である。また、同様の理由で、80℃における粘度が0.05~20Pa・sの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、0.1~15Pa・sの範囲であり、最も好ましくは0.5~10Pa・sの範囲である。このような性状は、比較的高分子量のポリオールやそのウレタンプレポリマー等を用いることで得られやすく、特に高温でも粘度が変わりにくく高厚み成形性に優れやすいためウレタンプレポリマー(E)を含むことが好ましい。
ポリオール組成物(F)は25℃で均一な液状であり、静置により分離がないことが好ましく、特に視認性が良好で異物等を発見しやすく、得られるウレタン硬化物も透明となりやすいため、目視上透明であることが好ましい。なかでも、100μm幅でのHaze値が5%以下であることが好ましく、更に好ましくは3%以下であり、最も好ましくは1%以下である。なおPET基材等に塗工し、基材分のHaze値を除算してポリオール組成物(F)のHaze値を算出してもよい。
ポリオール組成物(F)は、ポリオール(A)に加えて、その他活性水素化合物を含むことができ、特に限定されない。例えば、塗工性やレベリング性等を改善するため、1つの水酸基を有するポリアルキレンオキシド等のモノオールを含んでもよく、また凝集力付与等のためにアミノアルコールやポリアミン等のアミン化合物やメルカプトエタノールやジチオール等のチオール化合物、水、接着性や粘着力付与等のためにカルボン酸化合物等を含むことができる。
ポリオール(A)に加えて、その他活性水素化合物を含む場合、より良好な柔軟性と耐湿熱耐久性を維持・向上しやすいため、45質量%以下の範囲であることが好ましい。なかでも、25質量%以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは8質量量%以下であり、最も好ましくは0.01~4質量%の範囲である。
ポリオール組成物(F)は、トリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)に加えて、添加剤としてケトエノール互変異性化合物、酸遅延剤、その他遅延剤、ウレタン化触媒、帯電防止剤、可塑剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、滑材、溶剤、鎖延長剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤等、種々の公知の添加剤を含んでもよい。
なかでも、より良好な硬化性を発現しやすいため金属成分を含むウレタン化触媒、触媒活性を調整して成形性が良好となりやすいためケトエノール互変異性化合物、を含むことが好ましい。
金属成分を含むウレタン化触媒としては、金属成分を含みウレタン化活性を示す化合物であれば特に限定されないが、Fe、Sn、Zr、Ti、Alのいずれか一つ以上の金属を含む有機金属化合物等が挙げられる。
好ましい金属成分を含むウレタン化触媒としては、反応性を調整しやすいFeキレート触媒、Zrキレート触媒、Tiキレート触媒、Alキレート触媒等の金属キレート触媒の1種または2種以上であると、トリアゾール誘導体とヒンダードフェノール化合物を添加時に硬化性低下を抑制しやすく耐湿熱耐久性を向上しやすいため更に好ましく、最も好ましくはFeキレート触媒を使用することである。
Sn触媒としては特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジバーサテート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
金属キレート触媒としては、特に限定されないが、例えば、Feキレート触媒としてはトリスアセチルアセトネート鉄等、Zrキレート触媒としてはジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等、Tiキレート触媒としては、チタンアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート等、Alキレート触媒としてはアルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ポリオール組成物(F)中の金属成分を含むウレタン化触媒の含有量は、特に限定されないが、0.001質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。なかでも、より成形性が良好となり得られるウレタンの塗膜外観が良好となりやすいため、金属成分を含むウレタン化触媒の含有量は0.001質量%~0.1質量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは0.005質量%~0.07質量%の範囲である。
本発明のポリオール組成物(F)に含まれることが好ましいケトエノール互変異性化合物としては、触媒活性を調整して成形性が良好となりやすいため、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンのいずれか1種以上を含むことが好ましい。
ケトエノール互変異性化合物を含む場合、その含有量は、より成形性が良くなりやすいため金属成分を含むウレタン化触媒に対するモル比率(ケトエノール互変異性化合物/金属触媒)が1倍以上であることが好ましく、更に好ましくは3倍~5000倍の範囲であり、ポリオール組成物(F)中の含有量としては、0.001質量%~20質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.05質量%~5質量%の範囲である。
酸遅延剤としては、特に限定されないがpKa5.0以下の酸を含むことが好ましい。そのようなpKa5.0以下の酸としては、塩酸、硝酸、リン酸やエチルアシッドホスフェートや2-エチルヘキシルアシッドホスフェート等の炭素数2~20の酸性リン酸エステル等のリン系酸遅延剤などが挙げられ、なかでも、反応性と物性のバランスが良好となりやすいためリン系酸遅延剤を用いることが好ましい。酸遅延剤を用いるときのポリオール組成物(F)中の含有量としては、0.001質量%~1質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.005質量%~0.1質量%の範囲である。
鎖延長剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、分子量1000以下の低分子量ポリアルキレングリコール等のグリコール類;エチレンジアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミンが挙げられる。なかでも、ウレタンウレアを形成し、良好な物性のウレタンを得やすいため多価アミンが好ましい。
帯電防止剤としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩やイオン液体等が挙げられ、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド等のリチウム塩や4級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、脂肪酸エステルや脂環式エステル、ポリエーテルエステル等が挙げられ、例えばエポキシ化脂肪酸エステル、ミリスチン酸エステル、ポリアルキレングリコールの末端エステル変性化合物等が挙げられる。
レオロジーコントロール剤としては、ウレア誘導体、レシチン等の有機系レオロジーコントロール剤、ヒュームドシリカ等の無機系レオロジーコントロール剤が挙げられる。
安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ホスファイト系加工安定剤、硫黄系耐熱安定剤、ヒドロキシルアミン系加工安定剤、メラミン系難燃剤、イミダゾール系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤等が挙げられ、例えば、BASF社製の市販品であるイルガスタブシリーズ、イルガフォスシリーズ、イルガノックスシリーズ、シマソーブシリーズ、ユビナールシリーズ、チヌビンシリーズ、メラプールシリーズ等が挙げられ、用途や必要特性によって適宜好適に選択し、使用できる。
また、特に限定されないが、環境上の負荷が大きいことから、ウレタン化触媒等として、スズ化合物を1000ppm以上含まないことが好ましく、更に好ましくは50ppm以上含まないことであり、最も好ましくは意図的に含まないことである。また、同様に特に限定されないが、環境への負荷が大きいことから、溶剤を30質量%以上含まないことが好ましく、より好ましくは10質量%以上含まないことである。なかでも、顕著に環境への負荷が小さいことに加え、更に作業環境が顕著に向上しやすいため、5質量%以上含まないことが更に好ましく、特に好ましくは1質量%以上含まないことである。なお、本態様では沸点200℃以下のケトエノール互変異性化合物等の揮発性の添加剤は溶剤に含まないものとするが、揮発性の添加剤を含めて、揮発性の化合物は1質量%以上含まないことが最も好ましく、本発明のポリオール組成物(F)はそのような性状で得られやすい。
ポリオール組成物(F)の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリオールや原料を均一に分散することができる方法であれば特に限定されるものではなく、従来公知の様々な撹拌方法を用いて撹拌する方法が挙げられる。撹拌機としては、例えば、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバー、ニーダー、ミキサー、ラボプラストミル、プラネタリーミキサー等を挙げることができ、ポリオール組成物が撹拌する温度で液状の場合は、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバーが好適に用いられる。また、各原料を均一に早く溶解・分散するため、常温から高温まで加温して分散してもよく、本発明のポリオール組成物(F)は耐湿熱性や耐熱性が高いため、そのような調製を好適に適応することができ、良好な硬化性を維持することができる。
また、ポリオール組成物(F)中にウレタンプレポリマー(E)を含む場合、事前に常温から150℃の範囲の温度で形成し、任意の温度でポリオールやトリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)、必要に応じて添加剤を混合する方法、あらかじめ添加剤と混合した状態でウレタンプレポリマーを常温から150℃の範囲の温度で形成し、任意の温度でポリオールやトリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)、必要に応じてその他添加剤を混合する方法等により調整することができる。また、不揮発分濃度や粘度、チキソトロピーインデックスを調整するため、ウレタンプレポリマー形成前または形成中、形成後等の任意のタイミングで希釈や濃縮、脱水等を行ってもよい。
ポリオール組成物(F)の不揮発分濃度は、特に限定されないが、塗工機などで塗工する際に良好な塗工性が得られやすいため、通常10~100質量%の範囲であり、好ましくは50~100質量%の範囲である。
なかでも、本発明のポリオール組成物(F)は、より高固形分化が可能で低VOCの特長を発現しやすいため、ポリオール組成物(F)の不揮発分濃度は80質量%以上の範囲でより好適に使用でき、更に好ましくは高固形分で高厚み化がしやすく、高厚みでも高い硬化性と顕著に高い耐湿熱耐久性となる特長を活かして環境によらず好適に使用できるため90質量%以上の範囲であり、より好ましくは95~99.9質量%の範囲であり、最も好ましくは99~99.9質量%の範囲である。
また、特に限定されないが、可塑剤等の添加剤を多く用いることなく顕著に高固形分化しやすいため、本発明のポリオール組成物(F)中に、ポリオール(A)とトリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を併せた成分が70~100質量%の範囲で含むことが好ましく、更に好ましくは80~100質量%の範囲である。
<ポリオール(A)>
ポリオール(A)としては、ポリマー末端、分岐鎖末端等に少なくとも1個の水酸基を有していればよく、特に限定されないが、イソシアネート化合物との反応によって得られるポリウレタンが、柔軟性を始めとした良好な物性バランスを発現しやすいため分子中に2~8個の水酸基を有していることが好ましく、さらに好ましくは入手が容易で設計の幅が広く汎用性が高いため分子中に2~4個の水酸基を有しているポリオールであり、最も好ましくは2~3個の水酸基を有している多官能ポリオールである。ポリオール(A)の平均官能基数が1.0以上2.0未満の場合、イソシアネート官能基数が3以上の多官能のイソシアネートを用いること、必要に応じて水やジアミンなどのイソシアネートと反応する活性水素を2つ以上有する成分を含むことで、架橋構造が密になり好ましい。
特に限定されないが、ポリウレタン原料としては、なかでも水酸基価1~1000(mgKOH/g)が好ましく、さらに好ましくは10~800(mgKOH/g)の範囲である。なお、水酸基価はJIS K1557の方法などに従って算出できる。
ポリオール(A)の分子量としては、特に限定されないが硬化性と柔軟性が顕著に優れやすいためゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により算出した数平均分子量が1000~50000の範囲であることが好ましく、3000~20000の範囲であることが更に好ましく、最も好ましくは4000~10000の範囲である。
ポリオール(A)は、ポリウレタンの製造に用いられる市販のポリオールが挙げられる。特に限定されないが、例えば、アルキレンオキシドやテトラヒドロフランの開環重合等により得られるポリエーテルポリオール類、ポリエーテルポリオール中でビニルモノマーをラジカル重合して得られるポリマーポリオール類、多価アルコールと多価カルボン酸類との重縮合により得られるポリエステルポリオール類、多価アルコール類と多価カルボン酸類とアミノアルコール類との重縮合により得られるポリエステルアミドポリオール類、ラクトン類の開環重合により得られるポリラクトンポリオール類、多価アルコール類とカーボネート類との重縮合により得られるポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール及びその水素添加物類、ポリイソプレンポリオール及びその水素添加物類、部分鹸化エチレン-酢酸ビニル共重合体、大豆油やひまし油等の天然油系ポリオール類、ハロゲン及び/又はリン系ポリオール、フェノール系ポリオール等が挙げられる。これらポリオールは、一種又は二種以上混合して使用してもよい。
ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸と多価アルコールより誘導される化合物が挙げられる。特に限定されないが、例えば、アジピン酸、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、リノシール酸、ジメチルテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートから誘導されるポリエステルポリオール等が挙げられる。また、ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等の環状エステルの開環重合によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール等も挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンジアミン、トリレンジアミン、シュークロース、アミノアルコール、ブタノール、グリセリン、ジエチレングリコール、分子量1000以下の低分子量ポリプロピレングリコール等の開始剤に対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドやテトラヒドロフランを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオール化合物が挙げられる。
ハロゲン及び/又はリン系ポリオールとしては、例えば、トリクロロブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等を開環重合して得られる含ハロゲンポリオール、ブロモ化ペンタエリスリトール/シュークロース系ポリオール、テトラブロモフタル酸ポリエステル等のハロゲン系ポリオール、リン酸化合物にアルキレンオキシドを付加して得られるリン系ポリオール等が挙げられる。
フェノール系ポリオールとしては、例えば、フェノール、又はノニルフェノール、アルキルフェノール等のフェノール誘導体をホルムアルデヒドとジエタノールアミン等の2級アミンやアンモニア、1級アミン等を用いてマンニッヒ変性し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるマンニッヒ系ポリオール等が挙げられる。
なかでも、ポリアルキレンオキシド残基やポリエステル残基は通常の処方では耐湿熱耐久性が低くなりやすいが、トリアゾール誘導体(C)と分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)の添加により耐湿熱耐久性を顕著に向上しやすく、汎用性が高く入手が容易であるため、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの何れか1種以上を含むことが好ましい。ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールの割合としては、ポリオール(A)100重量部中、10~100重量部の範囲であることが好ましい。
更に、顕著に柔軟性が向上しやすく、通常耐湿熱性は低いがトリアゾール誘導体(C)と分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)の添加により耐湿熱耐久性を顕著に向上でき、顕著に良好な柔軟性と顕著に良好な耐湿熱耐久性を両立しやすいため、ポリオール(A)として開始剤に対してアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリアルキレンオキシド(A1)を含むことが特に好ましい。
より好ましいポリアルキレンオキシド(A1)としては、特に限定されないが、再剥離性と濡れ性、柔軟性、低温特性、が良好となりやすいため、不飽和度が0.010meq/g未満で且つ水酸基価より算出した分子量が3000~20000の範囲である2つの水酸基を有するポリアルキレンオキシドを含むことが好ましい。
ポリアルキレンオキシド(A1)の不飽和度は、0.010meq/g以下であることが好ましく、それを用いて得られるウレタンプレポリマー(E)と、イソシアネート架橋剤等との反応に伴う硬化(固化)がより速くなり硬化性を向上しやすく、得られるウレタン硬化物の強度や凝集力がより向上しやすい。なかでも、より好ましくは0.007meq/g以下であり、最も好ましくは低分子量成分が顕著に少なく特長的に耐汚染・再剥離性が向上しやすいため、0.004meq/g以下である。
ここで、ポリアルキレンオキシド(A1)の「不飽和度(meq/g)」とは、ポリアルキレンオキシド1g当たりに含まれる不飽和基の量であり、ポリアルキレンオキシドに含まれる不飽和モノオールの数に対応する。すなわち、不飽和度が高ければ不飽和モノオールが多く、不飽和度が低ければ不飽和モノオールは少ない。
なお、本態様では、高分子論文集1993,50,2,121-126に記載のNMR法に準拠してポリアルキレンオキシド(A1)の不飽和度を測定した。本態様では、不飽和モノオールが顕著に少ないポリアルキレンオキシド(A1)を測定の対象とするので、測定精度を高めるために、NMR測定における積算回数は500回以上とした。
ポリアルキレンオキシド(A1)を用いる場合、特に限定されないが、得られるポリウレタンの凝集力が高くなりやすいため水酸基価より算出した数平均分子量が3000~20000の範囲であることが好ましく、なかでも得られるポリオール組成物(F)が一定の粘度で高固形分化しやすく且つウレタン硬化物の濡れ性や柔軟性、低温特性がより向上しやすいため、より好ましくは3500以上15000以下であり、最も好ましくは4000以上10000以下である。
なお、ポリアルキレンオキシド(A1)の数平均分子量は、JIS K-1557-1に記載の方法により算出したポリアルキレンオキシド(A)の水酸基価と、ポリアルキレンオキシド(A1)1分子中の水酸基数と、から算出することができる。
ポリアルキレンオキシド(A1)は、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn);Mw/Mn)が1.1以下であることが好ましく、更に好ましくは1.06以下であり、最も好ましくは1.005~1.039の範囲である。Mw/Mnが上記範囲内であると、汚染の原因となる低分子量物がより少なくなることでより優れた耐汚染性を発現しやすいため好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography+;GPC)法より測定することができる。
ポリアルキレンオキシド(A1)は、2つの水酸基を有する2官能のポリアルキレンオキシドを含むことが好ましい。2官能のポリアルキレンオキシド(A1)を含むことで、得られるウレタン硬化物(H)が直鎖状に高分子量化しやすく、より顕著に柔軟なウレタン硬化物となって、且つトリアゾール誘導体(C)と分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含むことで高い硬化性を発現し、良好な粘着性や接着性、伸び物性等の機械物性を向上しやすい。
ポリアルキレンオキシド(A1)は、1分子中に炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基を含むことが好ましい。炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基として特に限定されず、例えば、炭素数3~20のアルキレンオキシド残基を挙げることができる。具体的には、プロピレンオキシド残基、1,2-ブチレンオキシド残基、2,3-ブチレンオキシド残基、イソブチレンオキシド残基、ブタジエンモノオキシド残基、ペンテンオキシド残基、スチレンオキシド残基、シクロヘキセンオキシド残基等が挙げられる。これらのアルキレンオキシド残基の中でも、ポリアルキレンオキシド(A)を得るための原料の入手が容易で、得られるポリアルキレンオキシド(A1)の工業的価値が高いことから、プロピレンオキシド残基が好ましい。
また、ポリアルキレンオキシド(A1)は、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基として、単一のアルキレンオキシド残基のみを含んでいてもよく、2種類以上のアルキレンオキシド残基を含んでいてもよい。なお、2種以上をアルキレンオキシド残基が含まれる場合は、例えば、1種のアルキレンオキシド残基が連鎖的に繋がったものに、それ以外のアルキレンオキシド残基が連鎖的に繋がったものであってもよく、2種以上のアルキレンオキシド残基がランダムに繋がったものでもよい。さらに、ポリアルキレンオキシド(A1)は、炭素数が3以上のアルキレンオキシド残基に加えて、炭素数2のエチレンオキシド残基を含んでいてもよい。ポリアルキレンオキシド(A1)中のエチレンオキシド残基の含有率としては結晶性が低く、低温で固化しにくく成形性に優れやすいため50質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは30質量%以下であり、最も好ましくは含まないことである。
<トリアゾール誘導体(C)>
本発明のポリオール組成物(F)は、トリアゾール誘導体(C)を含有する。
ポリオール組成物が分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)に加えてトリアゾール誘導体(C)を含むことで、ヒンダードフェノール化合物(D)の相溶化剤として作用してウレタン樹脂への分散性を向上しつつ金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、硬化時の熱劣化の抑制効果や湿熱条件での耐久性向上効果により、顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現でき、単独では従来困難であった熱や高湿条件に弱いポリオールの使用有無に係らず、得られるウレタン硬化物が良好な耐湿熱耐久性を発現することができる。また、同様に熱や高湿条件に弱いポリオールの使用有無に係らず、高厚みや高温でも良好な硬化性を発現する。
ポリオール組成物中にトリアゾール誘導体(C)を含まない場合、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を用いても、高厚みや高温の条件での良好な硬化性の発現が困難であるとともに、得られるウレタン硬化物の所望の耐湿熱耐久性を発現せず、柔軟性を維持しつつ被着体の汚染抑制や樹脂強度の低下抑制が困難であり、使用が困難である。
ポリオール組成物(F)中のトリアゾール誘導体(C)の含有量は、特に限定されないが0.0001質量%以上3.0質量%未満であることが好ましい。なかでも、耐湿熱耐久性の向上効果がより大きく、且つウレタン硬化物からのブリードがよりしにくく耐汚染性に優れるため、0.001質量%以上0.1質量%未満であることが好ましく、0.001質量%以上0.090質量%以下であることが更に好ましく、0.001質量%以上0.07質量%以下であることがまた更に好ましく、最も好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。
ポリオール組成物(F)中のトリアゾール誘導体(C)に対するヒンダードフェノール化合物(D)の重量比率(ヒンダードフェノール化合物(D)/トリアゾール誘導体(C))は、特に限定されないが0.01~100倍の範囲であることが好ましい。なかでも、ヒンダードフェノール化合物(D)とトリアゾール誘導体(C)がより良好に相溶して、湿熱条件でブリードがよりしにくく耐汚染性に優れ、且つより顕著に良好な硬化性と耐湿熱耐久性を安定的に発現しやすいため、更に好ましくは1.5~30倍の範囲であり、また更に好ましくは2.0~30倍の範囲であり、特に好ましくは6.0~25倍の範囲であり、最も好ましくは5~20倍の範囲である。
ポリオール組成物(F)中のトリアゾール誘導体(C)としては、5員環に3つの窒素原子を含むトリアゾール構造を含んでいれば、特に限定されない。トリアゾール誘導体のように3つの窒素原子を含まない化合物では、金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、硬化時の熱劣化の抑制効果や湿熱条件での耐久性向上効果が軽微であり、硬化性や耐湿熱耐久性が不足するため適応が困難である。
トリアゾール誘導体(C)としては、例えば、1,2,4-トリアゾール誘導体、1,2,3-トリアゾール誘導体が挙げられ、好適に使用できる。
なかでも、硬化時の熱劣化が小さくより高い硬化性を維持しやすく、耐湿熱耐久性が高いウレタン硬化物を形成しやすいため、1,2,3-トリアゾール誘導体の1種であるベンゾトリアゾール誘導体を1種以上含むことが好ましい。また、ベンゾトリアゾール誘導体は、より良好な硬化性を発現しやすいためフェノール性水酸基を1つ以上有することが好ましく、イソシアネートと反応して失活しにくく安定的に耐湿熱耐久性を向上しやすいため、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有することが更に好ましい。フェノール性水酸基のオルト位に有することが好ましい置換基としては、t-ブチル基などの4級の置換基やトリアゾリル基などの3級の置換基、メチレン基などの2級の置換基などが挙げられる。またトリアゾール誘導体を液状化しやすく、相溶性が良く塗工ムラが発生しにくく透明な外観のウレタンを形成しやすいためフェノール性水酸基のパラ位にアルキル基やエステル基を有することが好ましい。
トリアゾール誘導体(C)は、硬化時の揮発やウレタンからのブリードがしにくく硬化性向上効果や耐汚染性が高くなりやすく、またヒンダードフェノール化合物との親和性がより良好となって相溶性が向上し耐湿熱耐久性向上効果が高くなりやすいため、分子量100~2000の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは分子量200~1000の範囲であり、最も好ましくは分子量300~700の範囲である。特に限定されないが、これらトリアゾール誘導体(C)はヒンダードフェノール化合物(D)やウレタン樹脂との相溶性に優れやすく、より得られるウレタンの耐湿熱耐久性が安定的に良好となりやすいため室温で液状であることが好ましい。
1,2,4-トリアゾール誘導体としては、下記一般式(1)で示す化合物が挙げられる。またこれらの互変異性体も含む。
(式(1)中、R1、R2及びR3は、特に限定されず、置換基の種類、有無は任意に選ぶことができる。)
R1、R2及びR3は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ポリオキシアルキレン、水素原子などが挙げられる。
1,2,4-トリアゾール誘導体としては、例えば、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール等が挙げられ、好適に使用できる。
1,2,3-トリアゾール誘導体としては、下記一般式(2)で示す化合物が挙げられる。またこれらの互変異性体も含む。
(式(2)中、R1、R2及びR3は、特に限定されず、置換基の種類、有無は任意に選ぶことができる。)
R1、R2及びR3は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ポリオキシアルキレン、水素原子などが挙げられる。また式中のR1、R2は独立していても、結合しアリールやヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルといった環を形成してもよい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、1,2,3-トリアゾール誘導体であって、トリアゾールの4位と5位の炭素を含むベンゼン環構造を有する化合物であり、特に限定されないが、下記一般式(3)で示す化合物が挙げられる。またこれらの互変異性体も含む。
(式(3)中、R1、R2、R3、R4及びR5は、特に限定されず、置換基の種類、有無は任意に選ぶことができる。)
R1、R2、R3、R4及びR5は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ポリオキシアルキレン、水素原子などが挙げられる。なかでも、耐湿熱耐久性が高く良好な機械物性となりやすいため、R5にフェニル環構造を直結して有することが好ましい。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、例えば、2,2‘-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール(城北化学工業製TT-LYK)、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール(城北化学工業製TT-LX)、カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学工業製CBT-1)、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール(城北化学工業製BT-LX)、1,2,3-ベンゾトリアゾール、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6‘-tert-ブチル-4’-メチル-2,2‘-メチレンビスフェノール(城北化学工業製JAST-500)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール](城北化学工業製JF-832)、2-(2‘-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(城北化学工業製JF-83)、2-(2‘-ヒドロキシ-3’,5‘-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(城北化学工業製JF-80)、2-(2’-ヒドロキシ-3‘-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(城北化学工業製JF-79)、2-(2‘-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(城北化学工業製JF-77)、2-(2‘-ヒドロキシ-3’,5‘-ビス(メチルベンジル)フェノール)ベンゾトリアゾール(BASF製チヌビン234)などが挙げられる。
なかでも、トリアゾール誘導体(C)は、ヒンダードフェノール化合物(D)との親和性がより良好となって相溶性が向上し、耐湿熱耐久性向上効果が高くなりやすく、硬化時の揮発やウレタンからのブリードがしにくく硬化性向上効果や耐汚染性も高くなりやすいため、フェノール性水酸基を1つ以上有することが好ましい。
フェノール性水酸基を有するベンゾトリアゾール誘導体としては、上記一般式(3)中のR1、R2、R3、R4、R5のいずれか1つ以上にフェノール性水酸基を含む化合物が挙げられる。フェノール性水酸基はベンゼン環に直結した水酸基を指し、上記フェノール性水酸基を含むアリール基はベンゾトリアゾールに直結していても、直結していなくてもよいが、トリアゾールの金属等への配位を促進し反応性を調整しやすく、熱劣化や湿熱劣化を抑制してより良好な硬化性を発現しやすいため、フェノール性水酸基を含むアリール基がベンゾトリアゾールに直結していることが好ましい。
なかでも、イソシアネートとフェノール性水酸基が反応しにくく硬化性が高くなりやすいためフェノキシ基のオルト位とトリアゾール窒素が直結した化合物であることが更に好ましく、特に限定されないが、下記一般式(4)で示す化合物が挙げられる。またこれらの互変異性体も含む。
(式(4)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は特に限定されず、置換基の種類、有無は任意に選ぶことができる。)
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ポリオキシアルキレン、水素などが挙げられる。なかでも一般式中のR8はt-ブチル基などの4級の置換基やトリアゾリル基などの3級の置換基、メチレン基などの2級の置換基であることが更に好ましい。
なかでも、ヒンダードフェノール化合物との相溶性、特に樹脂との相溶性が高い長鎖アルキルエステル構造を有するヒンダードフェノール化合物と顕著に相溶性が良く、且つ液状となってより顕著に高い耐湿熱耐久性を発現しやすいため、R6にアルキルエステル基などの置換基を有することが最も好ましい。R6に含まれることが好ましいアルキルエステル構造としては、最も好ましいヒンダードフェノール化合物の構造と同様に炭素数8以上30未満のアルキル基を有するエステル構造である。
一般式(4)で示す化合物としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(BASF製チヌビン571)、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロピオン酸の炭素数7~9のアルキルエステル)(BASF製チヌビン99-2)などが挙げられ、相溶性が良く、硬化性の改良効果と耐湿熱耐久性の向上効果がより顕著に高く、最も好適に使用できる。
<ヒンダードフェノール化合物(D)>
ポリオール組成物(F)は、ヒンダードフェノール化合物(D)を含有することを特徴とする。ポリオール組成物中にトリアゾール誘導体(C)に加えて、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含むことで、トリアゾール誘導体(C)と分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)の親和性がより高くなって相溶性が向上し、且つ得られるウレタン樹脂とも相溶しやすく、顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現でき、単独添加では従来困難であった高温・高湿条件に比較的弱いポリオールの使用有無に係らず、得られるウレタン硬化物が良好な耐湿熱耐久性を発現することができる。また、同様に高温・高湿条件に比較的弱いポリオールの使用有無に係らず、高厚みや高温でも良好な硬化性を発現する。
ポリオール組成物中にヒンダードフェノール化合物(D)を含まない場合、トリアゾール誘導体(C)を用いても耐熱性が不足するため、使用するポリオールや使用条件によって、高厚みや高温の条件など熱履歴によらず安定的に顕著に良好な硬化性を発現することが困難であるとともに、得られるウレタン硬化物の所望の耐熱性を安定的に発現せず耐湿熱耐久性が不足し、特に柔軟性を維持しつつ被着体の汚染抑制や樹脂強度の低下抑制が困難であるため使用が困難である。
また、ヒンダードフェノール化合物(D)の分子量が250未満の場合、湿熱条件でのブリードが発生しやすく安定的に顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現することが困難であり、更に高温で揮発しやすくVOCやフォグの要因となって環境や被着体を汚染しやすいため使用が困難である。一方、分子量が1000を超える場合、トリアゾール誘導体(C)及び樹脂との親和性が低下し、耐湿熱耐久性の向上効果が小さくなるとともに、樹脂への分散性や相溶性が低下しやすく、融点も高くなりやすいためハンドリング性も不足して安定的に顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現することが困難である。
ポリオール組成物(F)中のヒンダードフェノール化合物(D)の含有量は、特に限定されないが通常3質量%未満であり、より良好な経済性で安定的に耐湿熱耐久性の付与が可能であるため、0.1質量%以上0.7質量%未満であることが好ましい。なかでも、より顕著に良好な耐湿熱耐久性の付与が可能であり、ウレタン硬化物からのブリードがよりしにくく耐汚染性にも優れるため、0.15質量%以上0.6質量%未満であることが好ましく、更に好ましくは0.2質量%以上0.5質量%未満である。
分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)としては、フェノールのヒドロキシ基を基準としたオルト位に、立体障害性置換基として嵩高い置換基を有する化合物であり、本態様ではトリアゾール構造を含まない化合物を指す。すなわち、トリアゾール(C)とヒンダードフェノール(D)は互いに異なる化合物である。また、フェノールのヒドロキシ基を基準とした一方のオルト位に、立体障害性置換基として嵩高い置換基を有していれば、特に限定されず、一方のオルト位にt-ブチル基等の2級以上の立体障害性置換基として嵩高い置換基を有し、他方のオルト位にはメチル基等の第1アルキル基等の嵩高さが不十分な置換基を有するものであってもよく、短期的な耐湿熱耐久性が必要な用途等で好適に使用でき、使用環境によって適宜選択できる。なかでも、長期的に高い耐湿熱耐久性を発現しやすいため、両オルト位に嵩高い置換基を有することが好ましい。
嵩高い置換基としては、2級以上の置換基であり、t-ブチル基などの4級の置換基やイソプロピル基などの3級の置換基、2級で長鎖の置換基などが挙げられ、例えば、t-ブチル基以外にも炭素数5以上の分岐状アルキル基として末端アルキル基の一つ又は二つがメチル基であり他が炭素数2~20の直鎖状又は分岐状アルキル基、末端アルキル基全てが炭素数2~20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数5~10のいずれかのシクロアルキル基、炭素原子数6~24のいずれかのアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。なかでも、嵩高くフェノールのヒドロキシ基付近に立体障害が発生しやすく、より安定的に高い耐湿熱耐久性を発現しやすいため、嵩高い置換基は3級または4級の置換基であることが好ましく、最も好ましくはt-ブチル基などの4級の置換基である。
特に限定されないが、トリアゾール誘導体(C)と比較してヒンダードフェノール化合物(D)を多く用いることが経済性や耐ブリード性の面で好ましいが、より高い相溶性で塗工ムラが発生しにくく透明な外観のウレタンを形成しやすいためフェノール性水酸基のパラ位に置換基を有することが好ましく、なかでも、アルキル基やエステル基、ホスホネート基、アミド基、アルキルアリール基を有することが好ましい。特に、より良好にウレタン樹脂と相溶し耐湿熱耐久性をより顕著に向上しやすいため、炭素数8以上の長鎖アルキル基とエステル基を有することが好ましい。
ヒンダードフェノール化合物(D)は、分子量250以上1000以下であれば特に限定されないが、硬化時の揮発やウレタンからのブリードがよりしにくく耐湿熱耐久性をより顕著に向上しやすい、また相溶性が良好で得られるウレタンの塗工ムラが発生しにくく透明な外観のウレタンを形成しやすいため分子量300~900の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは分子量350~800の範囲であり、最も好ましくは分子量380~700の範囲である。
特に限定されないが、これらヒンダードフェノール化合物(D)は相溶性や分散性に優れて、常温または比較的低温の加温で溶解や分散がしやすく、ポリオール組成物中でも析出しにくくハンドリング性に優れるとともに、得られるウレタン中により均一に分散しより安定的に耐湿熱耐久性を発現し、透明性等の塗膜外観も良好となりやすいため融点が170℃以下であることが好ましく、更に好ましくは100℃以下であり、最も好ましくは得られるウレタン硬化物中で湿熱条件等の環境に係らずブリードしにくく耐汚染性がより良好となりやすいため30℃~100℃の範囲であり、例えば、融点が50℃のBASF社製チヌビン99-2等が挙げられる。また、必要に応じて液状としたり分散性を改良するためヒンダードフェノール化合物に対し10質量%以下の微量の希釈剤を含んでもよい。
特に限定されないが、ヒンダードフェノール化合物としては、下記一般式(5)で示す化合物が挙げられる。またこれらのダイマー体やオリゴマー体も含む。
(式(5)中、R1、R5の少なくともいずれかは2級以上の立体障害性置換基であり、R2及びR3及びR4は、特に限定されず、置換基の種類、有無は任意に選ぶことができる。)
R1、R5の少なくともいずれかは、2級以上の立体障害性置換基であり、例えば、2級アルキル、3級アルキル、4級アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ポリオキシアルキレンなどが挙げられる。R1、R5の片方のみ2級以上の立体障害性置換基を有する場合のもう片方のR1、R5としては、水素原子やメチル基が挙げられる。
R2及びR3及びR4としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ポリオキシアルキレン、水素原子などが挙げられる。
式中のR1、R2、R3、R4、R5は独立していても、結合しアリールやヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルといった環を形成してもよい。またエーテル基やチオエーテル基、エステル基、ホスホネート基、ウレタン基、アミド基、ウレア基など任意の置換基を含んでいてもよい。
このようなヒンダードフェノール化合物としては、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(BHT)、[3-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]プロピル] 3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1010)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(イルガノックス1076)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール(イルガノックス1520)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス1135)、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール、2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、オクチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ桂皮酸、2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン、カルシウムビス[3,5-ジ(t-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート]、ビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート] 等の、BASF社の「イルガノックス」シリーズや、株式会社アデカの「アデカスタブ」シリーズ等が挙げられ、そのうち分子量220で高温での揮発性やブリード性が高い4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール(BHT)や分子量1178と高い4量体構造を有する相溶性が低めの[3-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]プロピル] 3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1010)等を除く、分子量250以上1000以下の化合物がヒンダードフェノール化合物(D)として好適に使用できる。また、これらのヒンダードフェノール化合物(D)を1種以上含んでいればよく、ヒンダードフェノール化合物(D)を2種以上、またはヒンダードフェノール化合物(D)1種類以上とその他ヒンダードフェノール化合物等とを混合して使用してもよい。
ヒンダードフェノール化合物(D)としては、良好な相溶性で耐湿熱耐久性をより安定的に発現しやすいため、エステル構造を含むことが好ましく、特に限定されないが、下記一般式(6)で示す化合物が好適に用いられる。またこれらのダイマー体やオリゴマー体も含み、より良好な耐湿熱耐久性を発現しやすいためより好ましい。
(式(6)中、R1及びR5は2級以上の立体障害性置換基であり、R3は炭素数1以上のアルキル基、nは1~50のいずれかである。R2、R4は、特に限定されず、置換基の種類、有無は任意に選ぶことができる。)
R1、R5としては、2級以上の立体障害性置換基であり、例えば、2級アルキル、3級アルキル、4級アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ポリオキシアルキレンなどが挙げられる。R2及びR3としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール又はアルキル置換アリール、ヘテロアリール又はアルキル置換ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ポリオキシアルキレン、水素などが挙げられる。また式中のR1、R2、R3、R4、R5は独立していても、結合しアリールやヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルといった環を形成してもよい。またエーテル基やチオエーテル基、エステル基、ホスホネート基、ウレタン基、アミド基、ウレア基など任意の置換基を含んでいてもよい。
好ましいR1、R5としては、t-ブチル基やイソプロピル基以外にも炭素数5以上の分岐状アルキル基として末端アルキル基の一つ又は二つがメチル基であり他が炭素数2~20の直鎖状又は分岐状アルキル基、末端アルキル基全てが炭素数2~20の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数5~10のいずれかのシクロアルキル基、炭素原子数6~24のいずれかのアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。なかでも一般式中のR1は良好な耐湿熱耐久性をより長期的に発現しやすいため、立体障害の大きい4級の置換基や3級の置換基であることが好ましい。
一般式(6)中のR3にはポリオール組成物中で相溶性や分散性がより顕著に良好となりやすく、ウレタンを形成した際も均一となって良好な耐湿熱耐久性をより安定的に発現しやすいため、炭素数2以上のアルキル基を有することが好ましく、更に好ましくはより顕著に相溶性が優れやすいことから炭素数8以上の長鎖アルキル基を有することであり、より好ましくは炭素数8以上30未満の長鎖アルキル基とを有することであり、最も好ましくは炭素数8以上20未満の長鎖アルキル基とを有することであり。また、R3に1つまたは2つ以上のヒンダードフェノール構造を含むことでダイマー体やオリゴマー体となり、好適に使用できる。
R2、R4としては特に限定されないが、好ましくは入手が容易であるため水素原子であることが好ましい。
一般式(6)中のnはより相溶性に優れやすくブリードしにくいことから2~10の範囲であることが好ましく、最も好ましくは2である。
このようなより好ましいヒンダードフェノール化合物(D)としては、特に限定されないが、下記一般式(7)で示す化合物が好適に用いられる。またこれらのダイマー体やオリゴマー体も含む。
(式(7)中、R1及びR3は4級又は3級の置換基であり、R2は炭素数8以上30未満のアルキル基である)
なかでも、R1、R3は、イソシアネート基と反応しにくくより長期的に耐湿熱耐久性を発現しやすいため、t-ブチル基であることが最も好ましい。
上記化合物としては、特に限定されないが、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル(イルガノックス1076)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス1135))などが挙げられ、硬化性の改良効果と耐湿熱耐久性の向上効果がより顕著に高く、最も好適に使用できる。
<ウレタンプレポリマー(E)>
ポリオール組成物(F)は、適度な粘度を有し、塗工性やハンドリング性、厚膜での塗工、厚膜での成形性に優れやすいため、ポリオールとポリイソシアネートとのウレタンプレポリマーを含むことが好ましく、なかでもポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とのウレタンプレポリマー(E)を含むことが好ましい。
ウレタンプレポリマー(E)は、経過時間で増粘しにくく、ポリオール組成物の性状が安定しハンドリング性に優れやすいため、水酸基末端であることが好ましいが、アミノ基末端やその他活性水素基末端等でもよく特に限定されない。
ウレタンプレポリマー(E)を形成する場合の、ポリオールの有する水酸基の総和(MOH)に対する前記ポリイソシアネートの有するNCO基の総和(MNCO)のモル比率(MNCO/MOH)は1.0未満であることが好ましく、水酸基末端として得られやすく、ポリオール組成物(F)の保存安定性が良く安定的に塗膜外観に優れるウレタンを形成しやすい。なかでも、低いチキソトロピーインデックス(TI値)を示しやすく、更にゲル状物や不溶分が生成しにくく且つ一定の粘度を有しやすく、条件によらず良好な塗工性のウレタン形成性組成物(H)を得やすいため、ポリオールの有する水酸基の総和(MOH)に対する前記ポリイソシアネートの有するNCO基の総和(MNCO)のモル比率(MNCO/MOH)は、0.05以上0.69以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.10以上0.49以下であり、最も好ましくは0.15以上0.45以下である。
ウレタンプレポリマー(E)は、ポリオール(A)で例示した種々のポリオールの残基をはじめ任意の残基を含むことができる。なかでも、ウレタンプレポリマー(E)は、耐湿熱耐久性が低下しやすいアルキレンオキシド残基やポリエステル残基を含む場合でも、特長的に顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現しやすく特に好適に使用できるが、当該残基の有無に係らず顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現しやすいため、特に限定されない。また、ウレタンプレポリマー(E)は、アルキレンオキシド残基とポリエステル残基のいずれか1種以上、ポリイソシアネート残基を構成成分として含むことが好ましく、得られるウレタン硬化物の濡れ性が顕著に良好となりやすく、且つ特長的に低いガラス転移点を発現しやすいためアルキレンオキシド残基を30質量%以上含むことがより好ましく、ウレタン硬化物の柔軟性と凝集力のバランスに優れ、硬化性と耐湿熱耐久性を両立しやすいため、ポリイソシアネート残基を0.01~20質量%の範囲で含むことが好ましい。
なかでも、より柔軟性が高く追従性に優れやすいため、アルキレンオキシド残基を50~99.5質量%の範囲、且つポリイソシアネート残基を0.5~10質量%の範囲で含むことが好ましい。また、ウレタンプレポリマー(E)は、より良好な硬化性を発現しやすいため、不飽和基が0.03質量%未満の範囲であることが好ましく、更に好ましくは0.01質量%未満の範囲である。
ウレタンプレポリマー(E)中の不飽和度としては、特に限定されないが、0.010meq/g以下であれば、得られるポリウレタンの強度や凝集力が高くなりやすいため好ましく、更に好ましくは0.007meq/g以下であり、より好ましくは0.003meq/g以下であり、最も好ましくは0.0001~0.0018meq/gの範囲である。本態様では不飽和基の含有量は前記ポリオール(A)で例示したポリアルキレンオキシド(A1)と同様の方法にて測定できるが、各原料が分かっている場合、原料の不飽和度やその組成比より算出してもよい。
ウレタンプレポリマー(E)中のアルキレンオキシド残基の含有量としては、50~99.5質量%であることが好ましいが、更に好ましくは70~99.5質量%の範囲であり、最も好ましくは90~99.5質量%の範囲である。
更に、アルキレンオキシド残基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数2~20のアルキレンオキシド残基等が挙げられ使用できるが、ポリオール組成物(F)が液状で高透明となりやすく、良好な機械物性のウレタン硬化物が得られやすいため炭素数2~3のアルキレンオキシド残基を含むことが好ましく、例えばプロピレンオキシド残基、エチレンオキシド残基がより好ましいアルキレンオキシド残基として挙げられる。
なかでもウレタン硬化物の機械物性を向上しやすいため、ウレタンプレポリマー(E)中にプロピレンオキシド残基を30質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは50~99.5質量%であり、特に好ましくは70~99.5質量%であり、最も好ましくは90~99.5質量%の範囲である。また、耐湿熱性が向上しやすいため、エチレンオキシド残基を含んでもよく、含む場合の含有量としては0.1質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは1~20質量%であり、最も好ましくは5~18質量%の範囲である。
なかでも、得られるウレタン硬化物がより顕著に良好な濡れ性や低温特性を発現しやすいため、ウレタンプレポリマー(E)中には、数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造を含むことが好ましく、数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造の含有量としては特に限定されないが、ウレタンプレポリマー(E)中に30質量%以上含むことが好ましく、更に好ましくは50~99.5質量%であり、特に好ましくは70~99.5質量%であり、最も好ましくは90~99.5質量%の範囲である。なかでも、上記数平均分子量3000以上のポリアルキレンオキシド構造は2つの水酸基を有するポリオールの残基であることが好ましい。
また、ウレタンプレポリマー(E)中に、3つ以上の活性水素基を有するポリオール残基を含んでもよく、特に限定されないが、低いチキソトロピーインデックス(TI値)を示しやすく、更にゲル状物や不溶分が生成しにくく、高固形分化でき、条件によらず良好な塗工性のウレタン形成性組成物(H)を得やすいため、凝集力を発現可能な範囲でプレポリマー形成に用いる原料ポリオールの平均官能基数が低い方が好ましく、ウレタンプレポリマー(E)中の3つ以上の活性水素基を有するポリオール残基の含有量としては、50質量%以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは0~10質量%の範囲である。なかでも、より安定的に高固形分で適度な粘度で塗工性・生産性に優れ、得られるウレタン硬化物が凝集力を維持しつつ柔軟となってより優れる追従性を発現しやすいためウレタンプレポリマー(E)中の3つ以上の活性水素基を有するポリオールの開始剤残基の含有重量としては、0~5質量%の範囲であることが特に好ましく、最も好ましくは0~3質量%の範囲であり、そのような開始剤残基としてはトリメチロールプロパン残基やグリセリン残基、ペンタエリスリトール残基等が挙げられる。
特に限定されないが、得られるウレタン硬化物の濡れ性と凝集力のバランスに優れ、顕著に高いボールタック性と再剥離性を両立しやすいため、ウレタンプレポリマー(E)中には、ポリイソシアネート残基を0.1~10質量%の範囲で含むことが好ましく、より好ましくは0.3~5質量%の範囲であり、なかでも、凝集力を維持しつつより顕著に柔軟となりやすく、追従性が良好となりやすいため0.5~3質量%の範囲であることが最も好ましい。
更に、ポリイソシアネート残基としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート残基、脂環族ポリイソシアネート残基、芳香族ポリイソシアネート残基、またはこれらの変性体等が挙げられ使用できるが、ポリオール組成物(F)の着色が小さくなりやすく、より高い柔軟性のウレタン硬化物が得られやすいため、脂肪族ポリイソシアネート残基、脂環族ポリイソシアネート残基、またはこれらの変性体の残基を含むことが好ましく、更に好ましくは高い凝集力を維持しつつ、顕著に柔軟なウレタン硬化物を得やすいため、脂肪族ポリイソシアネート残基、またはこれらの変性体であることがより好ましい。また、ポリイソシアネートの変性体の残基としては、特に限定されないが、アダクトタイプ等のウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基を含む変性物の残基やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体の残基が挙げられる。ウレタン/ヌレート変性やヌレート/アロファネート変性等のこれらの2種以上の変性構造を含む変性体残基も好適に使用できる。なかでも、顕著に良好な濡れ性を発現しやすいため、変性体を用いる場合、ウレタン変性、アロファネート変性構造の1種以上を含むことが好ましい。
このようなポリイソシアネート残基としては、2官能以上のポリイソシアネート残基を含むことが好ましく、脂肪族ポリイソシアネート残基、脂環族ポリイソシアネート残基、芳香族ポリイソシアネート残基、またはこれらの変性体の残基等が挙げられ、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の残基、またはこれらの変性体の残基等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(E)中の各残基の含有量としては、必要に応じてコリッシュ分解やアルカリ分解等により、各原料に分解して組成比を求めてもよく、各原料の仕込み比が分かっている場合、仕込み比と各原料の組成より算出してもよい。
ウレタンプレポリマー(E)は、適度な粘度を有し成形性が良好となりやすく、塗膜外観が良好となるため重量平均分子量が3000以上であることが好ましい。なかでも流動性が良好で成形性に優れやすい重量平均分子量が5000~200000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは重量平均分子量が8000~50000の範囲であり、最も好ましくは15000~40000の範囲である。
ウレタンプレポリマー(E)の分子量分布は通常6.0未満であることが好ましいが、より好ましくはポリオール組成物(F)のチキソトロピーインデックスがより低下しやすく、粘度によらず液のハンドリング性に優れ、流動性も顕著に優れやすくなって成形性がより優れやすいためウレタンプレポリマー(E)の分子量分布は1.50未満であることが好ましく、更に好ましくは1.35未満であり、最も好ましくは1.05~1.35未満の範囲である。上記の液の流動性が顕著に向上しやすい狭い分子量分布を示すウレタンプレポリマー(E)は、2官能で不飽和度が低いポリアルキレンオキシド(A1)、特に2官能で不飽和度が0.004meq/g以下と顕著に低く、分子量分布が1.039未満と顕著に狭い分子量分布を有するポリアルキレンオキシドを用いることで得られやすく、例えばイミノホスファゼニウム塩触媒とルイス酸触媒を用いて得たポリアルキレンオキシドが挙げられ、上記したポリアルキレンオキシドを用いることで当該ウレタンプレポリマー(E)が得られやすく、好ましい。
なお、ウレタンプレポリマー(E)の重量平均分子量、分子量分布は、ポリスチレンを標準物質、テトラヒドロフランを溶離液にゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法を用い、常法に従って測定することができる。また、ポリオール組成物(F)をゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定し、ポリオール(A)等のピークを除して、ウレタンプレポリマー(E)の重量平均分子量、分子量分布を算出してもよい。
ウレタンプレポリマー(E)の製造方法は、特に限定されないが、ポリオールとポリイソシアネートを含む原料を種々の方法で反応することで製造できる。例えば常温から150℃の温度で反応し、ウレタン化反応を進行することで製造できる。また公知の溶剤や触媒、各種添加剤等を使用して製造してもよく、そのままウレタンプレポリマーを含むポリオール組成物を調製して残存していてもよく、各成分を除去してもよい。
また、ポリオール等の活性水素化合物とポリイソシアネートを水酸基過剰で重合し、直接水酸基末端のウレタンプレポリマーを形成する方法や、ポリオール等の活性水素化合物とポリイソシアネートをNCO基過剰で重合してNCO基末端のウレタンプレポリマーを形成後、ポリオール等を追加添加して反応し2段で水酸基末端のウレタンプレポリマーを形成する2段重合法等が挙げられ何れも使用できる。
特に限定されないが、NCO基末端のウレタンプレポリマーを形成後、ポリオールを追加添加して反応し2段で水酸基末端のウレタンプレポリマーを形成する方法では、NCO基末端から水酸基末端に変換する際に水酸基価が高い低分子量のポリオール等が必要となる場合があり、1段重合で製造した場合と比較してウレタン基が多くなりやすく凝集力が向上して軽剥離から高粘着力まで制御がしやすいが、柔軟性の特長や低いガラス転移点の特長がマイルドになりやすく、特性を損なわない範囲で適応することができる。
最も好ましくは、ウレタン基量を低減しやすく、より顕著に良好な柔軟性や低温特性が発現しやすいため、ポリオール等の活性水素化合物とポリイソシアネートを水酸基過剰で1段で重合し、直接水酸基末端のウレタンプレポリマーを形成することである。また、少量のポリオール等の活性水素化合物やポリイソシアネートを分割して添加し、2段以上での重合とすることも好適にできる。
ウレタンプレポリマー(E)を製造する際のポリオール、及び、ポリイソシアネート化合物は、真空加熱等で脱水して使用することが好ましいが、作業が煩雑となる場合は脱水せずに使用してもよい。
(ウレタンプレポリマー原料)
ウレタンプレポリマー(E)は、特に限定されないが、ウレタンプレポリマー(E)は、少なくとも前記ポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)から得られることが好ましい。
ウレタンプレポリマー(E)の形成に用いることが好ましいポリオール(A)は、ポリオール組成物のポリオール(A)の項で記載したポリオールが挙げられ好適に使用でき、好ましいポリオールも同様の種類、性状のポリオールが挙げられるが、条件によらず良好な塗工性のウレタン形成性組成物(H)を得やすいため、2つの水酸基を有するポリオールを含むことが好ましく、耐湿熱耐久性を顕著に向上しやすく、汎用性が高く入手が容易であるため、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの何れか1種以上を含むことが特に好ましく、最も好ましくはポリエーテルポリオールの1種であるポリアルキレンオキシド(A1)を用いることが好ましい。
なかでも、ウレタンプレポリマー(E)の形成に用いることが好ましいポリオール(A)としては、特に限定されないが、低いチキソトロピーインデックス(TI値)を示しやすく、更にゲル状物や不溶分が生成しにくく、高固形分化でき、条件によらず良好な塗工性のウレタン形成性組成物(H)を得やすいため、プレポリマー形成に用いる原料ポリオールの平均官能基数が2.5未満となる範囲で含むことが好ましく、更に好ましくはより安定的に高固形分で適度な粘度で塗工性・生産性に優れ、得られるウレタン硬化物が凝集力を維持しつつ柔軟となってより優れる追従性を発現しやすいため1.90~2.20の範囲で含むことであり、最も好ましくは1.97~2.10の範囲で含むことである。なお本態様での上記原料ポリオールの平均官能基数は、ポリアルキレンオキシドを用いる場合、製造時に副生する不飽和モノオールによる実質の官能基数の低減を加味した値である。
ウレタンプレポリマー(E)の形成に用いることが好ましいポリオール(A)としては、特に限定されないが、凝集力が向上し再剥離性が良好となりやすいため、不飽和度が0.010meq/g未満で且つ水酸基価より算出した分子量が3000~20000の範囲である2つの水酸基を有するポリアルキレンオキシド(A1)を含むことがより好ましく、更に好ましくは凝集力を保持しつつ、より良好な濡れ性と柔軟性、低温特性を発現しやすいため、不飽和度が0.004meq/g未満で且つ水酸基価より算出した分子量が4000~12000の範囲である2つの水酸基を有するポリアルキレンオキシドを含むことであり、最も好ましくは不飽和度が0.003meq/g未満で且つ水酸基価より算出した分子量が5500~10000の範囲である2つの水酸基を有するポリアルキレンオキシドを含むことである。
ウレタンプレポリマー(E)の形成に用いることが好ましいポリイソシアネート(B)としては、イソシアネート基の平均官能基数が2.0以上であれば好ましいが、特に限定されるものではない。ポリイソシアネート(B)としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、および、これらとポリアルキレンオキシドとが反応することで得られる変性イソシアネート、ならびに、これらの2種以上の混合物が挙げられる。更に、これらのイソシアネートにウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基又はオキサゾリドン基を含む変性物やポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の縮合体が挙げられる。
これらの中でも、高透明で着色の少ないポリオール組成物(F)を得やすいために、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、または、これらの変性体が好ましい。1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、脂肪族イソシアネート含有のプレポリマー、脂環式イソシアネートの含有プレポリマー、または、これらのイソシアネートのウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、アミド基、イミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基もしくはオキサゾリドン基含有変性物がより好ましい。これらのイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、凝集力や成形性を高める等の理由で、ポリイソシアネート(B)に加えて、3官能以上のイソシアネート化合物や1官能イソシアネート化合物等のその他ポリイソシアネートを併用して反応し、ウレタンプレポリマー(E)を形成してもよいが、低いチキソトロピーインデックス(TI値)を示しやすく、更にゲル状物や不溶分が生成しにくく、条件によらず良好な塗工性のウレタン形成性組成物(H)を得やすく、またより良好な硬化性を発現しやすいため、ウレタンプレポリマー(E)の形成に用いる全ポリイソシアネートの平均官能基数faveが1.90~5.00の範囲であることが好ましく、なかでも不純物等に含まれる1官能イソシアネート等で末端を封止する成分が少なくなってプレポリマーが鎖延長して凝集力を高めやすく、高固形分で一定の粘度となって成形性を高めやすいため、2.00~3.19の範囲であることが好ましく、更に好ましくは2.00~2.79の範囲であり、最も好ましくは2.00~2.19の範囲である。
ウレタンプレポリマー(E)は、求められる特性や粘度に合わせて、ポリアミンやポリチオール、アミノアルコール、ヒドロキシアクリレート等のポリオール(A)と異なる活性水素化合物やアクリレート基含有モノイソシアネート等のポリイソシアネート(B)と異なるイソシアネート化合物を原料として用いてもよく、特に限定されないが、得られるウレタン硬化物の良好な柔軟性と、低温特性が維持しやすいため、使用する場合、ウレタンプレポリマー(E)中の30質量%以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは0.01~4質量%の範囲である。
また、塗工性を高める等の理由でポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル等の1官能のポリオールを用いてもよいが、凝集力が低下しやすいため、使用する場合、ウレタンプレポリマー(E)中の5重量%以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下であり、最も好ましくは0.001~0.5質量%の範囲である。
<ウレタン形成性組成物(H)>
ウレタン形成性組成物(H)は、上記ポリオール組成物(F)とイソシアネート化合物(G)を含む、組成物である。
イソシアネート化合物(G)としては、特に限定されるものではないが、前記ポリイソシアネート(B)と同じものを挙げることができ、好ましいイソシアネートも同じものが挙げられる。イソシアネート化合物(G)と、ポリイソシアネート(B)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
なかでも、相溶性が良好でより高透明なウレタン形成性組成物(H)となって、より顕著に柔軟で且つ濡れ性に優れ、高透明なウレタン硬化物を得られやすいため、イソシアネート化合物(G)中にアロファネート構造を含むことが好ましい。
アロファネート構造としては、特に限定されないが、例えば、下記化学式(8)に示される構造が挙げられ、好適に含まれる。
[前記化学式(8)中のR1は、モノオール残基またはポリオール残基である。]
また、前記化学式(8)中のR1がポリオール残基の場合、特に限定されないが、例えば、下記化学式(9)に示される構造が挙げられ、好適に含まれる。
[前記化学式(9)中のR1はポリオール残基であり、通常ポリオールからn価の水酸基を除いた構造で、前記nは通常2~100の範囲である。]
化学式(9)中のR1は、より相溶性に優れやすいことから、炭素数1~50のモノオール残基またはポリオール残基であることが好ましい。
化学式(9)中のnは、運動性が高くなってより濡れ性に優れやすいことから、1~2の範囲の整数(R1がモノオール残基、又はジオール残基)であることが好ましい。
また、イソシアネート化合物(G)は、汎用性が高く良好な物性を発現しやすいことから、芳香族イソシアネート残基、脂肪族イソシアネート残基、脂環族イソシアネート残基、またはこれらのイソシアネートの変性体の残基、の何れか1種以上であることがより好ましく、更に好ましくは透明性に優れやすいことから脂肪族イソシアネート残基、脂環族イソシアネート残基、またはこれらのイソシアネートの変性体の残基の何れか1種以上であり、最も好ましくは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらのイソシアネートのアロファネート変性体及び/又はイソシアヌレート変性体の残基の何れか1種以上である。
なかでも、反応性が高く、ウレタン硬化物の生産性が良好であり、得られるウレタン硬化物がより顕著に柔軟で且つ濡れ性に優れやすくなるため、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体を含むことが好ましい。
イソシアネート化合物(G)がポリイソシアネートである場合、そのゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)法により算出した平均のイソシアネート官能基数は、凝集力を保持しつつ、より柔軟性と濡れ性を発現しやすいことから1.90~2.99の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.95~2.69の範囲であり、最も好ましくは2.00~2.19の範囲である。
イソシアネート化合物(G)がポリイソシアネートである場合、その平均のイソシアネート官能基数の算出方法としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出したポリイソシアネートの数平均分子量とイソシアネート含量(イソシアネート基濃度)を用い、下記の式により算出した。
イソシアネート官能基数=(ポリイソシアネート数平均分子量×イソシアネート基濃度)/(42×100)
また複数のポリイソシアネートを用いる場合、各原料の使用量と各原料の平均のイソシアネート官能基数、ポリイソシアネート数平均分子量よりポリイソシアネート(G)全体の平均のイソシアネート官能基数を求めてもよい。
ウレタン形成性組成物(H)中のイソシアネート化合物(G)の含有率については、特に限定されないが、ポリオール組成物(F)中の全水酸基に対するイソシアネート化合物(G)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)の比(MNCO/MOH)が、モル比率で0.5以上4.0未満であることが好ましく、更に好ましくは、より硬化性が良好で、得られるウレタン硬化物中に過剰のNCO基と空気中の水分等の反応による炭酸ガス発泡痕がより発生しにくいため0.9以上2.5未満の範囲であり、最も好ましくは1.0以上1.7未満である。
またウレタン形成性組成物(H)中のポリオール組成物(F)とイソシアネート化合物(G)の質量比((F)の質量/(G)の質量)は、特に限定されないが、通常99/1~20/80の範囲であり、好ましくは98/2~50/50の範囲であり、更に好ましくは97/3~85/15の範囲である。上記比率で含むことで、凝集力を保持しつつより顕著に柔軟なウレタン硬化物が得られやすく、架橋剤混合後の増粘が緩やかであり、可使時間が長くなってハンドリング性がより向上しやすい。
ウレタン形成性組成物(H)には、ポリオール組成物(F)にて例示した添加剤等を含んでもよく、必要に応じて追加してもよい。好ましい添加剤の種類や含有量の範囲もポリオール組成物(F)の好ましい添加剤の種類や含有量の範囲と同等である。添加剤の種類や含有量がこの範囲であると、ウレタン形成性組成物(H)を塗工機などで塗工する際に良好な塗工性が得られ、良好な可使時間、硬化性を示すなど取り扱いを容易なものにすることができ、得られるウレタン硬化物もより顕著な柔軟性を発現しやすい。
ウレタン形成性組成物(H)の調製には、プレポリマーや原料を均一に分散することができる方法であれば特に限定されるものではなく、従来公知の様々な撹拌方法を用いて撹拌する方法が挙げられる。撹拌機としては、例えば、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバー、ニーダー、ミキサー、ラボプラストミル、プラネタリーミキサー等を挙げることができる。ウレタン形成性組成物(H)が撹拌する温度で液状の場合は、汎用撹拌機、自転公転ミキサー、ディスパー分散機、ディゾルバーが好適に用いられる。
ウレタン形成性組成物(H)の25℃における粘度は特に限定されないが、より液流れがしにくく均一に薄膜~厚膜まで成形がしやすいため、0.1~30Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1~20Pa・sの範囲であり、最も好ましくは3~15Pa・sの範囲である。また、特に限定されないが、乾燥工程などの高温条件でも、液流れやボイドの発生、塗工末端の厚み増加等の成形不良が発生しにくいため、80℃における粘度が0.05~20Pa・sの範囲であることが好ましく、更に好ましくは、0.1~15Pa・sの範囲であり、最も好ましくは0.5~10Pa・sの範囲である。また、0~25℃で均一な液状であり、静置により分離がないことが好ましい。
また、ウレタン形成性組成物(H)に有機溶媒を用いる場合の有機溶剤としては特に限定されず、ポリオール組成物(F)に含んでもよい有機溶媒にて例示した有機溶媒等が挙げられる。好ましい濃度範囲や溶液粘度もポリオール組成物(F)の好ましい濃度範囲や溶液粘度と同等である。濃度範囲や溶液粘度がこの範囲であると、ウレタン形成性組成物(H)を塗工機などで塗工する際に良好な塗工性が得られるなど取り扱いを容易なものにすることができる。
ウレタン形成性組成物(H)は、トリアゾール誘導体(C)とヒンダードフェノール化合物(D)を含むため、可使時間が長くなってハンドリング性が優れやすく、不揮発分濃度が80質量%以上であって、20%の粘度上昇に要する時間が4時間以上であることが好ましく、そのような性状で得られやすい。なかでも、ウレタン形成性組成物(H)の不揮発分濃度が80重量%以上で且つケトエノール互変異性化合物の含有量が0.001~2.0質量%の範囲であって、20%の粘度上昇に要する時間が15時間以上となることが好ましく、そのような性状で得られやすい。更に好ましくは、不揮発分濃度が90質量%以上で且つケトエノール互変異性化合物の含有量が0.003~0.5質量%の範囲であり、20%の粘度上昇に要する時間が24時間以上となることが好ましく、そのような性状で得られやすい。
<ウレタン硬化物(I)>
ウレタン硬化物(I)は、ウレタン形成性組成物(H)の反応物であって、ウレタン形成性組成物(H)中のポリオール(A)やウレタンプレポリマー(E)等の活性水素化合物とイソシアネート化合物(G)の反応物を含む。
ウレタン硬化物(I)は、ウレタン形成性組成物(H)を種々の方法によって反応させ、硬化(固化)することで得られる。それらのウレタン硬化物(I)の製造方法としては特に限定されない。例えば、ウレタン形成性組成物(H)を、必要に応じて、ウレタン化触媒、酸化防止剤、安定剤、充填剤、架橋剤、その他添加剤等の存在下、常温または150℃以下の高温でウレタン化反応、ウレア化反応を進めることによって製造することができる。
また、良好な硬化性を発現するため、必要に応じて高温で賦活化する工程や溶剤を除去する工程を含んでもよい。
ウレタン硬化物(I)の用途は、特に限定されるものでなく、通常のポリウレタンが使用される何れの用途にも使用できるが、機械物性や粘・接着特性などが要求される用途に特に好適に使用できる。具体的には、建築・土木用シーリング材、建築用弾性接着剤等の接着剤、ガムテープや表面保護フィルム、光学用に代表される各種粘着剤、剥離材、制振材、塗料、エラストマー、塗膜防水材、床材、可塑剤、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム等の用途が例示され、好適に使用できる。
その中でも、ポリウレタンに対して、粘接着特性、耐汚染性、低VOC、耐寒性や柔軟性等への要求が強く、環境適応性や施工性、塗工性、下地への追従性が求められることから、シーリング材、塗料、粘着剤、接着剤として用いることが特に好ましい。
<ウレタンシート>
ウレタン形成性組成物(H)は、高固形分化でき塗工性が顕著に優れることから、薄膜~高厚みまで均一な厚みのウレタン硬化物(I)のシートが得られる。
ウレタンシートにおいては、その厚みは特に制限されないが、塗膜の外観が特に良好になることから、塗膜の厚みは0.1~3000μmの範囲であることが好ましく、5~1500μmの範囲であることが更に好ましい。なかでも、高固形分で適度な粘度を有するウレタン形成性組成物(H)となりやすく、硬化に厳しい条件が必要となりやすい高厚み品まで、顕著に良好な硬化性を均一に発現し、このような厚みで成形しても指触により指に粘着剤が残存しにくい特徴的なウレタン硬化物(I)のシートが得やすいため、10~700μmの範囲であることが好ましい。
また、種々の用途に適用しやすくするため、少なくとも1種の基材とその基材上に設けられたウレタン硬化物(I)層を有する2層以上の構成のウレタンシートとしてもよく、少なくとも1種の基材とその基材上に設けられたウレタン硬化物(I)層に加えて離型フィルム層等を含む3層以上の構成や、基材の両面にウレタン硬化物(I)層を有する3層構成、更に当該ウレタン硬化物(I)層に加えて離型フィルム層等を含む5層以上の構成のウレタンシートとしてもよい。また粘着剤層に芯材を含包してシート化してもよい。
<ウレタン粘着剤>
ウレタン硬化物(I)は、再剥離性に優れ、顕著に良好な耐湿熱耐久性を示すため、ウレタン硬化物(I)を含むことでウレタン粘着剤として特に好適に用いることができる。また高固形分の原料由来で形成しやすく、環境への負荷が小さい低VOC製品となりやすく好ましい。
本発明のウレタン粘着剤は、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等、特にポリアルキレンオキシドを用いても、顕著に良好な耐湿熱耐久性を発現するため、耐湿熱耐久性に加えて良好な柔軟性と粘着特性、低温~高温までの耐衝撃性を発現しやすい。また、粘着剤形成性組成物が適度な粘度を有し、均一な組成で得られやすいため透明性が優れやすい。
本発明のウレタン粘着剤は、高温高湿環境静置後の劣化が少なく凝集力を保持しやすい特徴があるため、特に限定されないが、ガラス基材に張り合わせ後、85℃、85%RH条件で120時間静置後に界面剥離可能であることが好ましく、このような良好な再剥離性を発現しやすい。更に本発明のウレタン粘着剤は、良好な耐湿熱耐久性と良好な柔軟性とを特長的に両立しやすく、周波数1Hz、25℃での弾性率が2×10Pa~3×10Pa以下であることが好ましく、さらに好ましくは3×10Pa~2×10Paの範囲であり、最も好ましくは、5×10Pa~1.5×10Paの範囲であり、良好な耐湿熱耐久性を維持しつつそのような性状で得られやすい。周波数1Hz、25℃での弾性率が2×10Pa~3×10Paの範囲内であれば、凝集力を保持しつつ粘着剤が変形しやすいため、界面剥離性や粘着力等の粘着特性を発現しつつ被着体の段差へ追従して気泡の発生を抑制しやすいため好ましい。
本発明において、25℃での弾性率は、動的粘弾性測定装置UBM社製RheogelE-4000を用いて、測定温度-100℃~200℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hz、せん断モード条件にて測定を行い、それぞれの温度における貯蔵弾性率G‘の値を意味する。
ウレタン粘着剤のガラス転移温度は、特に限定されないが-30℃以下の範囲が好ましい。さらに好ましくは、-80℃~-50℃の範囲である。ガラス転移温度-30℃以下の範囲であれば、糊残りや耐熱性が低下せず、低温下でも落下した際に剥離や割れが抑制でき低温での高い密着性が期待できるため好ましい。
本発明において、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置、UBM社製Rheogel E-4000を用いて、測定温度-100℃~200℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hz、せん断モード条件にて測定を行い、貯蔵弾性率G‘に対する損失弾性率G“の比であるtanδのピーク値を取る温度をガラス転移温度として評価した。
ウレタン粘着剤のJIS Z0237の方法で測定した無アルカリガラスとの粘着力は、特に限定されないが、0.1N/25mm~30N/25mm未満の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは適度な粘着力を発現しつつ再剥離性に顕著に優れやすいため、0.5N/25mm~20N/25mm未満の範囲であり、特に好ましくは1N/25mm~10N/25mm未満の範囲である。また特に限定されないが、再剥離性の観点から剥離形態が界面剥離であることが好ましい。
ウレタン粘着剤の粘着力は、無アルカリガラスとして0.7mm厚みのコーニング社製イーグルXGを用いてJIS Z0237に準じて測定した値である。具体的には、粘着面に厚さ38μmのPETフィルム東レ社製ルミラーS-10を裏打ちし、幅25mmにカットしてJIS Z0237に準じてロール圧着して試験片を作製。引張試験機オリエンテック社製RTG-1210を用いて、JIS Z0237に準拠して23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った、180°引き剥がし粘着力(N/25mm)を粘着力とした。
ウレタン粘着剤のJISK7136の方法で測定したHazeは、特に限定されないが、好ましくは90μm厚みでのHazeが2%未満であり、さらに好ましくはHazeが0.4%未満であり、もっとも好ましくはHazeが0.2%未満である。90μm厚みでのHazeが1%未満であれば、透明性が高く視認性に優れ、良好な外観が期待できるため好ましい。特に限定されないが、光学用粘着シート等の光学用途で用いる場合、80μm厚みでのHazeが1%未満であることが好ましい。このような80μm厚みでのHazeが1%未満の粘着剤は、粘着剤形成性組成物を構成するNCO基総量と活性水素基総量のモル比率([NCO基総量]/[OH基総量])が0.9~1.3未満となる範囲の条件で製造することが好ましい。
本発明において、Hazeは測定に用いる基材を除いた値である。具体的には、PMMA基材のHazeが0.2%、PMMAと粘着剤の2層構造でのHazeが0.5%の場合、粘着剤のHazeは0.5-0.2=0.3%とした。
ウレタン粘着剤は耐湿熱条件保持して取り出し後に白化しにくく、耐湿熱白化性が良好である。具体的には、85℃、85%RH条件で5日間保持後に取り出し、25℃、50%RHの恒温室に静置後のHaze値変化が1%未満となりやすい。
ウレタン粘着剤は、ポリオール種や厚み等に係らず耐湿熱耐久性が良好で、この特長を活かすことで、室温で柔軟性を有し高温でも弾性を保持でき、振動吸収性、粘着性、低温特性、タック性に優れ、印刷段差への追従性や耐衝撃性、低温から高温までの密着性が期待できる。
ウレタン粘着剤は、フィルム状やシート状、板状、ブロック状等任意の形状で提供することができる。
<ウレタン粘着剤シート>
本発明のウレタン粘着剤シートは、少なくとも1種の基材とその基材上に設けられた粘着剤層を有し、粘着剤層が本発明のウレタン硬化物(I)を含むことをその特徴とする。
本発明のウレタン粘着剤シートに用いる基材としては、例えば、離型フィルム、芯材等が挙げられる。このような離型フィルムとしては、例えば、PET、PP、TPX、これらのシリコーン、フッ素等の離型処理したフィルム等が挙げられる。市販品としては、例えば、東洋紡社製ピューレックスA31、A33、A35、A43等の離型PETが挙げられる。芯材としては、不織布やPETフィルム、PPフィルム等が挙げられる。
本発明のウレタン粘着剤シートの積層構成としては、特に限定されないが、例えば、離型PETで両面を挟み込んだ3層構造の基材レス型粘着シート、粘着剤層に芯材を用いた5層構成の両面粘着シート等が挙げられる。
本発明のウレタン粘着剤シート中の粘着剤層の厚みとしては、特に限定されないが、好ましくは0.1μm~3000μmの範囲であり、さらに好ましくは1μm~1500μmの範囲であり、最も好ましくは10μm~700μmである。特に曲面や凹凸、折り曲げ等の追従が必要な粘着シートの場合、90μm~700μmの範囲が好ましい。
ウレタン粘着剤を用いたウレタン粘着剤シートの形状としては、所望の形状としてよい。特に限定されないが、ロール状としてもよく、裁断してシート状としてもよい。
ウレタン粘着剤シートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、本発明のポリオール組成物(F)を含む成分と、架橋剤を含む成分とを所定の比率で混合してウレタン形成性組成物とした後、例えば、ロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、ダイコーター等による塗工する方法を挙げることができる。これらの塗工方式を用いる場合、基材の片面又は両面にウレタン形成性組成物を塗布した後、必要に応じて脱泡、加熱、乾燥することが望ましい。
加熱する方法としては、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、一般に使用される方法を用いることができる。乾燥温度は特に制限されないが、通常50~200℃、より好ましくは70~150℃の範囲であり、さらに好ましくは高温条件でも劣化しにくく特徴的に高い硬化性を発現しやすいため、110~150℃の範囲であることが好ましく、高温で生産性良く粘着剤シートを作製しやすい特徴を発現する。基材として熱可塑性樹脂を使用する場合、乾燥温度はその融点以下であることが望ましい。乾燥温度50~200℃の範囲では、基材の劣化や色調の変化が生じにくいため好ましい。
加熱時間としては特に制限されず、厚みや触媒量等により任意に選択できるが、通常10秒以上30分未満であり、好ましくは1分以上15分未満である。なかでも、本発明のポリオール組成物を用いたウレタン形成性組成物は顕著に良好な耐湿熱耐久性で、高温や高厚み等の条件によらず高い硬化性を示すため、高厚みでも塗工ライン速度を速めやすく、粘着剤層厚み90μm以上で且つ3分以上8分未満で加熱硬化することで特長を活かし、生産性にも優れやすいためより好ましく、そのような条件で硬化しやすい。
ウレタン粘着剤、ウレタン粘着剤シートの用途としては、特に限定されず、例えば、テープ、ラベル、シール、化粧用シート、滑り止めシート、両面粘着テープ等が挙げられる。具体的には、包装テープ、ラベル用テープ、マスキングテープ、クラフトテープ等の包装・事務・家庭用粘着テープ、絆創膏等の医療用テープ、皮膚貼付用等の生体用テープ、壁紙用テープ、フォームテープ、建築用弾性粘着剤等の建築用テープ、パソコン、テレビ、携帯電話、自動車、太陽電池、半導体、その他家電等に用いる電子材料用テープ、液晶ディスプレイ、タッチパネルの密着等に用いる光学用粘着シート、出荷・製造工程における表面保護テープ、防水テープ、導電性テープ、放熱性テープ等が例示され、好適に使用できる。
本発明のウレタン粘着剤、粘着シートは、特に耐湿熱耐久性が必要な用途や高厚み化が必要な追従性が必要な用途、例えば、電子機器の基盤や半導体、自動車部材、生体用途等、曲面・凹凸部への密着や湿熱環境対応が必要な用途、フォルダブル材料等の折り曲げに対しての追従やタッチパネル等の印刷段差への追従が必要で湿熱環境での使用が想定される用途に好適に使用することができ、具体的には、タッチパネル用途等の光学用途や電気電子部品用途、自動車用途、生体用テープ、各種結束用途等に使用することができる。具体的な用途としては、特に限定するものではないが、スマートフォン、タブレットPC、ノートパソコン等の電子機器に用いられる光学用粘着シート、電子部品の保護テープが例示される。これらのなかでも、上記電子機器内部の各種フィルムの密着に好適に用いることができる。
電子・光学用粘着シートの具体的な電子・光学用途としては、特に限定されないが、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、フォルダブル端末、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機等のタッチパネルやディスプレイ、ITOフィルムや銀メッシュ、銅メッシュ、偏光板、半導体といったその周辺の機能性フィルムの密着等に用いる粘着シートが挙げられる。タッチパネルの動作方式としては、特に限定されず、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式、電磁誘導式等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例により限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した原料、及び評価方法は以下に示すとおりである。
(原料1)実施例及び比較例に用いたポリオール(A)、ポリアルキレンオキシド(A1)
実施例及び比較例に用いたポリアルキレンオキシド等の性状は、以下の方法で求めた。
<ポリオールの水酸基価と数平均分子量>
ポリオールの水酸基価は、JIS-K1557-1に記載の方法に準拠して測定した。また、ポリオールの水酸基価とポリオール1分子中の水酸基数から、ポリオールの数平均分子量を算出した。
<GPC数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布>
ポリオール、又はポリオール組成物、又はウレタン形成性組成物を、溶媒としてTHFを用いた標準条件によりGPC測定を行い、標準ポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量を評価した。
サンプル瓶へ固形分が10mgとなる量とTHF10mlを添加し、1終夜静置することで溶解し、PTFEカードリッジフィルター(0.5μm)でろ過することでサンプルを得た。検出器としてRI検出器RI8020、測定用カラムとしてTSKgelGMR-HHRL×2本直列を用いた(いずれも東ソー社製)。
測定条件は、カラム温度40℃、流速1.0ml/min、溶媒THFの条件で測定を行い、東ソー社製標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線検量線として数平均分子量、重量平均分子量の解析を行った。また、それらの比率Mw/Mnを分子量分布とした。測定装置には東ソー製HLC-8320GPC、解析には東ソー製HLC-8320GPC-ECOSEC-WorkStationを用いた。
<ポリアルキレンオキシド(A1)の不飽和度、平均官能基数>
ポリアルキレンオキシド(A1)の不飽和度は、高分子論文集1993,50,2,121-126に記載のNMR法に準拠し、スキャン回数800回で測定した。更に当該不飽和度を片末端に不飽和基を有するモノオール量に換算し、実質の水酸基の平均官能基数を算出した。また、ウレタンプレポリマー、ウレタン形成性組成物中の不飽和度は、原料が分かっているため、用いたそれぞれのポリアルキレンオキシドの不飽和度と量比より算出した。
<エチレンオキシド含量(wt%)>
核磁気共鳴装置(NMR)を用い、重溶媒にテトラメチルシラン含有重クロロホルムを使用して1HNMRを測定した。0.8~1.5ppmの範囲の積分値(プロピレンオキシド鎖)、3.2~3.9ppmの範囲の積分値(プロピレンオキシド鎖およびエチレンオキシド鎖)からポリオール中のエチレンオキシド含量を算出した。
(原料1-1)実施例、比較例に用いたポリオール(A)
ポリアルキレンオキシド(A1-1)、(A1-2):イミノ基含有フォスファゼニウム塩(IPZ)触媒とトリイソプロポキシアルミニウムを併用し、脱水・脱溶媒を十分に行い、2官能分子量400のポリオキシプロピレングリコールに十分に脱水したプロピレンオキシドを付加したポリプロピレンオキシド
ポリアルキレンオキシド(A1-3):市販の3官能のポリアルキレンオキシドであり、不飽和度がやや低く、末端にエチレンオキシドを付加した、グリセリン開始剤残基を有するポリオキシエチレン・プロピレンオキシド
ポリアルキレンオキシド(A1-4):水酸化カリウム触媒を用いて常法によりプロピレンオキシドを付加し製造したグリセリン開始剤残基を有する3官能ポリアルキレンオキシド
ポリオール(A2):市販のポリエステルポリオール(東ソー(株)製ニッポラン4009)
なお、実施例、比較例に用いたポリオール(A)、ポリアルキレンオキシド(A1)は、いずれも、加熱・真空脱水した後に使用した。また、触媒を使用、または併用して作製したポリアルキレンオキシドについては、触媒を除去した上で使用した。
ポリオール(A)の性状を表1に示す。
(原料2)トリアゾール誘導体(C)、その他化合物(CC)
トリアゾール誘導体(C1):2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(BASF製チヌビン571)
トリアゾール誘導体(C2):トリアゾール誘導体C2:3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロピオン酸の炭素数7~9のアルキルエステル)(BASF製チヌビン99-2)
トリアゾール誘導体(C3):2-(2‘-ヒドロキシ-3’,5‘-ビス(メチルベンジル)フェノール)ベンゾトリアゾール(BASF製チヌビン234)長鎖アルキルエステルを有さないトリアゾール
その他化合物(CC1):1,2-ジメチルイミダゾール その他化合物(CC2):N,N’-ジメチルピペラジン
(原料3)分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D)、その他フェノール化合物(DC)
ヒンダードフェノール化合物(D1):イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イルガノックス1135
ヒンダードフェノール化合物(D2):3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、イルガノックス1076
その他フェノール化合物(DC1):4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、BHT(分子量220)
その他フェノール化合物(DC2):[3-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]プロピル] 3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート、イルガノックス1010(分子量1178)
(原料4)添加剤
ケトエノール互変異性化合物:アセチルアセトン
ウレタン化触媒:トリスアセチルアセトネート鉄(Fe(acac)3)
(原料5)実施例及び比較例に用いたイソシアネート化合物(B)、(F)
イソシアネート(B1):1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
イソシアネート(B2):イソホロンジイソシアネート(IPDI)
イソシアネート(F1):アロファネート変性2官能HDI系架橋剤(東ソー社製コロネート2770)
(ポリオール組成物(F)の作製)
サンプル瓶にポリオール(A)、ウレタン化触媒としてトリスアセチルアセトネート鉄(Fe(acac)3)、の10%MEKマスターバッチを固形分換算で表記載の使用量となる量加えて混合し、脱水、脱溶媒を行った。
冷却後、トリアゾール誘導体(C)、ヒンダードフェノール化合物(D)、必要に応じてアセチルアセトンを添加した。その後、必要に応じて約50℃程度の加温と混合をすることで溶解・分散させ、ポリオール組成物(F)を得た。
(ウレタンプレポリマー(E)、ウレタンプレポリマーを含むポリオール組成物(F)の作製)
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた四つ口ナスフラスコに、ポリオール(A)、ウレタン化触媒としてトリスアセチルアセトネート鉄(Fe(acac)3)の10%MEKマスターバッチを固形分換算で表記載の使用量となる量加え、100℃条件にて2時間真空脱水、脱溶媒を行った。
冷却後、イソシアネート化合物(B1)を所定量加え、窒素下で70℃まで昇温して反応を行った。反応器内容物のNCO基量を赤外分光光度計を用いて追跡、NCO基の消失により反応完結を確認しOH基末端のウレタンプレポリマー(E)の形成を確認した。
冷却後、トリアゾール誘導体(C)、ヒンダードフェノール化合物(D)、必要に応じてポリオール(A)やアセチルアセトンの添加を行い、約50℃の加温と混合により溶解・分散させ、ポリオール組成物(F)とした。また必要に応じて、GPC法によりポリオール組成を確認した。
(ウレタン形成性組成物(H)、ウレタン硬化物(I)の作製)
実施例及び比較例では、所定量の各原料(ポリオール組成物(F)、イソシアネート(G))を30mlのサンプル瓶にいれ、ペンシルミキサーを用いて、常温で撹拌、脱泡することでウレタン形成性組成物(H)を得た。
(性能評価)
ウレタン形成性組成物(H)を、厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが120μmの高厚みとなるようにベーカー式アプリケーターを用いて塗工した。その後、オーブン内温度が140℃になるよう設定した防爆オーブンに7分間保持して揮発分の除去と硬化反応を進行させ、PETフィルム上にウレタン硬化物(I)を形成し、離型PETを張り合わせて3層のシート構造とした。その後23℃、相対湿度50%の環境で1週間静置することでポリウレタンシートを得た。
その工程においてポリオール組成物(F)、並びにウレタン形成性組成物(H)、の性能の指標として、以下の評価基準にて評価した。
<高温・高厚みでの硬化性>
◎(硬化性合格):オーブンから取り出した熱硬化直後のウレタン硬化物に臭気がなく、高厚み部を含めて高い凝集力を発現し、指触時に指に粘着剤が残らない。
○(硬化性合格):オーブンから取り出した直後のウレタン硬化物に臭気がなく、一部の箇所に指触時に付着物が発生するが、1週間室温硬化後の指触時に指に粘着剤が残らない。
×(硬化性不合格):オーブンから取り出した直後のウレタン硬化物に臭気があり劣化傾向が僅かにみられる、またはオーブンから取り出して1週間室温硬化後の指触時に一部の箇所で指に粘着剤が僅かに残る場合(硬化時の熱劣化等による硬化性低下と判断)。
◎、○のものは、高温・高厚み条件で加熱硬化しても熱劣化が見られず硬化でき、条件によらず顕著に良好な硬化性を示すと判断し、本項目合格とした。
<耐湿熱耐久性>
ポリウレタンシートの離型PETを剥離してガラス基材に張り合わせ、85℃85%RH条件の恒温恒湿槽内で120時間静置し、取り出して2日間23℃50%RH条件に静置して水分を安定させた後に引張試験機で300mm/min条件でガラス基材より剥離した際の様子より、以下の基準で評価した。
◎(耐湿熱耐久性合格):高温高湿環境から取り出した直後の粘着剤に臭気がなく、23℃50%RH静置後、引張試験にて粘着力0.5N/25mm以上で全面界面剥離した場合。
○(耐湿熱耐久性合格):高温高湿環境から取り出した直後に僅かに臭気があったが、23℃50%RH静置後、引張試験にて全面界面剥離した場合。高温高湿環境から取り出した直後の粘着剤に臭気がなく、23℃50%RH静置後、引張試験にて粘着力0.5N/25mm未満で全面界面剥離した場合。(顕著に高い実用的な耐湿熱耐久性と判断)
×(耐湿熱耐久性不合格):◎、○以外の場合
(高温高湿環境から取り出した直後に強い臭気がある場合、引張試験にて一部/又は全部が凝集破壊となる場合。劣化により凝集力低下がみられ、高い耐湿熱耐久性は無いと判断)
◎、○のものは、85℃85%RH120時間の過酷な高温・高湿条件でも熱劣化が見られず、条件によらず顕著に良好な耐湿熱耐久性を示すと判断し、本項目合格とした。特に◎のものは特に両立が難しい耐湿熱性の高い中剥離粘着剤として特に好適と判断した。
高温・高厚みでの硬化性、耐湿熱耐久性何れも合格なものを、過酷な高温・高湿条件でも湿熱劣化が見られず、条件によらず顕著に良好な耐湿熱耐久性、硬化性を示すと判断し、合格とした。
<柔軟性>
上記、性能評価の項にて両面離型PETを用いてウレタンシートを作製し、得られたウレタン硬化物のみを取り出してせん断モードにて動的粘弾性を測定し、25℃での弾性率(G’)を以下の基準で評価。段差追従性や折り曲げ追従性の指標とした。
◎(柔軟性合格):3.0×10Pa以上、2.0×10Pa・s以下。
○(柔軟性合格):2.0×10Pa・s超、4.0×10Pa・s以下。
△(柔軟性の特長なし):4.0×10Pa・s超。
※本評価では上記範囲外の弾性率の試験片はなかった。
高温・高厚みでの硬化性、耐湿熱耐久性何れも合格であり、且つ本評価で合格のものは通常トレードオフとなる顕著に良好な柔軟性と顕著に良好な耐湿熱耐久性を両立可能と判断し、耐湿熱性に加えて追従性等が期待できる特に特長的な柔軟・高耐湿熱性のウレタン硬化物と判断した。
<高厚みでの成形性>(プレポリマーを含む系で評価)
◎(高厚み成形性合格):乾燥厚み500μmで塗工、硬化時に流動による厚みムラが10%以内で、且つオーブンから取り出した熱硬化直後のウレタン硬化物に指触時に指に粘着剤が残らない。
○(高厚み成形性合格):乾燥厚み500μmで塗工、硬化時に流動による厚みムラが10%超20%以内で、且つオーブンから取り出した熱硬化直後のウレタン硬化物に指触時に指に粘着剤が残らない。
×(高厚み成形性の特長なし):乾燥厚み500μmで塗工、硬化時に流動による厚みムラが20%超、またはオーブンから取り出した熱硬化直後のウレタン硬化物に指触時に指に粘着剤が残る。塗工不良や硬化時の高温で液流れしやすい、または500μm厚みで熱劣化、硬化不良が発生しやすいと判断。
<高固形分化>
◎(低VOC合格):不揮発分99%以上、且つ25℃における粘度が3~15Pa・sの範囲
○(低VOC合格):◎判定を除く、不揮発分80%以上、且つ25℃における粘度が0.5~20Pa・sの範囲
×(特長なし):不揮発分80%未満、又は80%以上で25℃における粘度が0.5~20Pa・sの範囲外。高固形分で一定の粘度を有さないため、低VOC化困難と判断。
高温・高厚みでの硬化性、耐湿熱耐久性何れも合格であり、且つ本評価で合格のものは高固形分で適度な粘度を有して高厚み成形性に優れ、特長的に高厚み成形性と耐湿熱耐久性の発現に資するポリオール組成物と判断した。
<可使時間>
◎(可使時間良好):硬化剤を混合し、48時間後の粘度上昇率が20%以下。
○(可使時間良好):硬化剤を混合し、10時間後の粘度上昇率が20%以下、48時間後の粘度上昇率が20%超。
△(使用可能):硬化剤を混合し、4時間後の粘度上昇率が20%以下、10時間後の粘度上昇率が20%超。
△×(特長なし):硬化剤を混合し、4時間後の粘度上昇率が20%超。
なお、混合・静置は23℃条件で行い、粘度はB型粘度計にて25℃で測定した。
<粘着特性>
◎(粘着性良好):粘着力が0.5~20N/25mm、且つ保持力が24時間以上でズレが1mm未満。
○(粘着性良好):粘着力が◎と×の間の値、且つ保持力が100分以上。
△(その他):粘着力が0.1N/25mm未満又は30N/25mm超、又は保持力が100分未満。適度な粘着性ではなく軽剥離向けや非再剥離・高粘着用途向けに好適、または凝集力不足と判断。
耐湿熱耐久性に加えて、可使時間、粘着特性、何れも合格のものを、特長的に長い可使時間を有し、実用的な適度な粘着特性を有するものと判断し、前記諸特性を発現しつつ、特にウレタン硬化物の連続生産に適した生産性に優れるポリオール組成物(F)と判断した。
(実施例1)
実施例1は、サンプル瓶にポリオール(A1-1)を85重量部、ポリオール(A1-3)を15重量部、ウレタン化触媒としてトリスアセチルアセトネート鉄(Fe(acac)3)、の10%MEKマスターバッチを固形分換算で表記載の使用量となる量加えて十分に混合後、エバポレーターにて脱水、脱溶媒を行った。
冷却後、トリアゾール誘導体(C1)を0.03重量部、ヒンダードフェノール化合物(D1)を0.3重量部、アセチルアセトンを0.3重量部添加し、約50℃程度に加温し混合することで溶解・分散させ、ポリオール組成物(F1)を得た。なお、ポリオール組成物(F1)は、室温で均一透明な液体であり、相溶性が良好でウレタン硬化物に良好な透明性が期待できる組成物であった。また、ポリオール組成物(F1)の不揮発濃度は99.7重量%と顕著に高いものであり、低VOCが期待できるものであったが、ウレタンプレポリマー(E)を含まないため、高厚みでは硬化時の流動が大きいものであった。
得られたポリオール組成物(F1)とイソシアネート化合物(G1)を、(F1)に由来する水酸基の量(MOH)と(G1)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(G1)のMNCO/((F1)のMOH)=1.15となるようにペンシルミキサーで混合し、自転公転ミキサーを用いて混合・脱泡し、ウレタン形成性組成物(H1)を得た。
ウレタン形成性組成物(H1)を、厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが120μmの高厚みとなるようにベーカー式アプリケーターを用いて塗工した。その後、オーブン内温度が140℃になるよう設定した防爆オーブンに7分間保持して揮発分の除去と硬化反応を進行させ、PETフィルム上にウレタン硬化物(I1)を形成し、離型PETを張り合わせて3層のシート構造とした。その後23℃、相対湿度50%の環境で1週間静置することでポリウレタンシートを得た。
表2に組成や評価結果を示すが、ウレタン形成性組成物(H1)は、トリアゾール誘導体(C1)ヒンダードフェノール化合物(D1)を含むため、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、少量のケトエノール互変異性化合物の使用量にも係らず48時間後の粘度上昇率が20%以下と顕著に可使時間に優れるものであり、得られたウレタン硬化物(I1)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。
更に得られたウレタン硬化物(I1)の塗膜は、2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が1.3×10Paと顕著に柔軟であり、耐湿熱耐久性に加えて折り曲げ等の変形や動作、段差等への追従性に期待できるウレタン硬化物(I1)であり、ガラス転移温度も-56℃と顕著に低く低温特性に優れ、低温での耐衝撃剥離性に期待できる良好な耐寒性が期待できるものであった。
(実施例2~6)
実施例1に対して、相乗効果を見るため、トリアゾール誘導体(C1)とヒンダードフェノール化合物(D1)の添加量、混合質量比を変更したポリオール組成物(F2)~(F6)を作製し、同様にウレタン形成性組成物(H2)~(H6)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I2)~(I6)を含むウレタンシートを作製した。
表2に組成や評価結果を示すが、実施例2~6何れの添加量、混合質量比でも140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、得られたウレタン硬化物(I2)~(I6)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I2)~(I6)の塗膜は、実施例1と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I2)~(I6)であった。
(実施例7)
実施例2に対して、分子量5400のポリオール(A1-1)から分子量8500のポリオール(A1-2)に変更し、多官能のポリオール(A1-3)の添加量を15重量部から25重量部に変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(F7)、ウレタン形成性組成物(H7)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I7)を含むウレタンシートを作製した。
表2に組成や評価結果を示すが、実施例7の組成でも140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、得られたウレタン硬化物(I7)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I7)の塗膜は、実施例2と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I7)であった。
(実施例8)
実施例2に対して、不飽和度の低いポリオール(A1-1)と多官能ポリオール(A1-3)の組成から、不飽和度が高くモノオールを多く含む分、多官能としたポリアルキレンオキシド(A1-3)のみに変更し、モノオールを加味した実質の官能基数を2.25と同程度とした以外は同様の条件で、ポリオール組成物(F8)、ウレタン形成性組成物(H8)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I8)を含むウレタンシートを作製した。
表2に組成や評価結果を示すが、実施例2に対して、実質の官能基数は同程度であるが比較的低分子量の成分が増加した影響と考えられる硬化の遅延傾向は僅かにあったが、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでも幾分良好な硬化性を示し、得られたウレタン硬化物(I8)の塗膜は、実施例2より僅かに低下するが耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。また3官能のポリオール(A1-4)をベースとするため、実施例2に対して僅かに柔軟性は低下したが、良好な柔軟性を示した。
(実施例9)
実施例2に対して、分子量5400でポリアルキレンオキシド構造を有するポリオール(A1)から、分子量1000のポリエステルポリオールであるポリオール(A2)に変更した以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(F9)、ウレタン形成性組成物(H9)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I9)を含むウレタンシートを作製した。
表2に組成や評価結果を示すが、実施例2に対して、2官能のみでポリエステル構造を主とする影響と考えられる硬化の遅延傾向と耐湿熱耐久性の低下傾向は僅かにあったが、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでも幾分良好な硬化性を示し、得られたウレタン硬化物(I9)の塗膜は、実施例2より僅かに低下するが耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。またポリエステルポリオールをベースとするため、柔軟性に特長はみられなかったが、タックが小さく軽剥離向きであった。
(実施例10)
実施例2に対して、多官能ポリオールであるポリオール(A1-3)を含まない代わりに架橋剤であるポリイソシアネート(G1)を1.15当量から1.3当量に増量し、アセチルアセトンを添加しなかった以外は同様の条件で、ほぼ不揮発分濃度が100%のポリオール組成物(F10)、ウレタン形成性組成物(H10)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I10)を含むウレタンシートを作製した。
表2に組成や評価結果を示すが、実施例10の組成でも140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、得られたウレタン硬化物(I10)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I10)の塗膜は、実施例2と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I10)であった。
(比較例1)
実施例4に対して、ヒンダードフェノール化合物(D1)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC1)、ウレタン形成性組成物(HC1)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC1)を含むウレタンシートを作製した。
表3に組成や評価結果を示すが、ヒンダードフェノール化合物(D1)を含まないため、トリアゾール誘導体(C1)を最も多く使用した実施例4と同量用いても、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC1)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して再剥離時の粘着力も0.5N/25mm未満で全面凝集破壊であり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例2)
実施例5に対して、トリアゾール誘導体(C1)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC2)、ウレタン形成性組成物(HC2)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC2)を含むウレタンシートを作製した。
表3に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C1)を含まないため、ヒンダードフェノール化合物(D1)を最も多く使用した実施例5と同量用いても、得られたウレタン硬化物(IC2)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例3)
実施例7に対して、ヒンダードフェノール化合物(D1)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC3)、ウレタン形成性組成物(HC3)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC3)を含むウレタンシートを作製した。
表3に組成や評価結果を示すが、ヒンダードフェノール化合物(D1)を含まないため、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC3)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して再剥離時の粘着力も0.5N/25mm未満で全面凝集破壊であり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例4)
実施例7に対して、トリアゾール誘導体(C1)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC4)、ウレタン形成性組成物(HC4)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC4)を含むウレタンシートを作製した。
表3に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C1)を含まず、且つ比較例2より用いるポリオール(A1)の分子量が大きいためウレタン基量が少なくてヒンダードフェノール化合物(D1)の含有量も少ないため、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC4)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例5、6)
実施例8に対して、それぞれトリアゾール誘導体(C1)、またはヒンダードフェノール化合物(D1)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC5)、(FC6)、ウレタン形成性組成物(HC5)、(HC6)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC5)、(IC6)を含むウレタンシートを作製した。
表3に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C1)、またはヒンダードフェノール化合物(D1)を含まないため、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC5)、(IC6)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例7、8)
実施例9に対して、それぞれトリアゾール誘導体(C1)、またはヒンダードフェノール化合物(D1)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC7)、(FC8)、ウレタン形成性組成物(HC7)、(HC8)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC7)、(IC8)を含むウレタンシートを作製した。
表3に組成や評価結果を示すが、柔軟なポリアルキレンオキシド構造を含まず代わりにポリエステル構造を含むため140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性は僅かに低下したのみであったが、トリアゾール誘導体(C1)、またはヒンダードフェノール化合物(D1)を含まないため、得られたウレタン硬化物(IC7)、(IC8)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(実施例11~13)
実施例7に対して、ヒンダードフェノール化合物(D1)からヒンダードフェノール化合物(D2)、トリアゾール誘導体(C1)からトリアゾール誘導体(C2)にそれぞれ種類を変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(F11)~(F13)、ウレタン形成性組成物(H11)~(H13)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I11)~(I13)を含むウレタンシートを作製した。
表4に組成や評価結果を示すが、実施例7と同様にトリアゾール誘導体(C)に加えて分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D)を含むため、同様に実施例11~13いずれの組成でも140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、得られたウレタン硬化物(I11)~(I13)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I11)~(I13)の塗膜は、実施例7と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I11)~(I13)であった。
(実施例14)
実施例9に対して、ヒンダードフェノール化合物(D1)からヒンダードフェノール化合物(D2)、トリアゾール誘導体(C1)からトリアゾール誘導体(C2)に種類を変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(F14)、ウレタン形成性組成物(H14)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I14)を含むウレタンシートを作製した。
表4に組成や評価結果を示すが、実施例9と同様に2官能のみでポリエステル構造を主とする影響と考えられる硬化の遅延傾向と耐湿熱耐久性の低下傾向は僅かにあったが、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでも幾分良好な硬化性を示し、得られたウレタン硬化物(I14)の塗膜は、実施例9と同様に僅かに低下するが耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。またポリエステルポリオールをベースとするため、柔軟性に特長はみられなかったが、タックが小さく軽剥離向きであった。
(比較例9、10)
実施例11に対して、トリアゾール誘導体(C1)からトリアゾール構造を含まず代わりにイミダゾール構造またはピペラジン構造を有するその他化合物(CC1)、(CC2)に種類を変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(FC9)、(FC10)、ウレタン形成性組成物(HC9)、(HC10)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC9)、(IC10)を含むウレタンシートを作製した。
表4に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C)を含まないため、ヒンダードフェノール化合物(D1)を用いても、相乗効果が発現せず、相溶化剤として作用してウレタン樹脂への分散性を向上しつつ金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、硬化時の熱劣化の抑制効果や湿熱条件での耐久性向上効果が見られず、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC9)、(IC10)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例11、12)
実施例12に対して、分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D1)から、揮発やブリードがしやすい低分子量のフェノール誘導体(DC3)、分子量が高く相溶性が低くなりやすい高融点のフェノール誘導体(DC4)へ変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(FC11)、(FC12)、ウレタン形成性組成物(HC11)、(HC12)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC11)、(IC12)を含むウレタンシートを作製した。
表4に組成や評価結果を示すが、分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D)を含まないため、得られたウレタン硬化物(IC11)、(IC12)の塗膜は、耐湿熱環境で5日の長期静置により、揮発やブリード、相分離、高融点等の影響による耐熱効果低減の影響と考えられる、劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例13)
実施例14に対して、トリアゾール誘導体(C1)からトリアゾール構造を含まないその他化合物(CC1)、に種類を変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(FC13)、ウレタン形成性組成物(HC13)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC13)を含むウレタンシートを作製した。
表4に組成や評価結果を示すが、耐熱性の低いと考えられるポリアルキレンオキシド構造を含まずポリエステル構造を多く含むため高厚みでの硬化性はあったが、トリアゾール誘導体(C)を含まないため、ヒンダードフェノール化合物(D1)を用いても、相乗効果が発現せず、相溶化剤として作用してウレタン樹脂への分散性を向上しつつ金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、湿熱条件での耐久性向上効果が見られず、得られたウレタン硬化物(IC13)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(実施例15)
実施例1に対して、高固形分で適度な粘度を発現させ、高厚みでの厚みムラが少ない高厚み成形性等の特性を発現するため、ウレタンプレポリマー(E)、ウレタンプレポリマーを含むポリオール組成物(F)の作製例に従って、ポリオール(A1-1)とポリイソシアネート(B1)からなるウレタンプレポリマー(E1)を形成した。当該組成物をGPC法により解析を行い、未反応のポリオール(A1-1)を32area%含む組成物であり、ウレタン基を有するウレタンプレポリマー(E1)成分の分子量分布は1.35未満と顕著に狭い分散度であった。また使用原料から算出した不飽和度は0.0018meq/gが顕著に少ないものであった。
更に多官能のポリオール(A1-3)、トリアゾール誘導体(C2)を0.03重量部、ヒンダードフェノール化合物(D2)を0.3重量部、アセチルアセトンを0.3重量部添加し、約50℃程度に加温し混合することで溶解・分散させ、ウレタンプレポリマー(E1)を含むポリオール組成物(F15)を得た。なお、ポリオール組成物(F15)は、室温で均一透明な液体であり、相溶性が良好でウレタン硬化物に良好な透明性が期待できる組成物であった。
ポリオール組成物(F15)は、数平均分子量が1.5万と、6千以上4万未満の適度な分子量で、不揮発濃度は99.7重量%と顕著に高いものであり低VOC化が期待でき、ウレタンプレポリマー(E)を含むため、25℃での粘度は9.8Pa・sと高固形分で一定の粘度を有し、高温・高厚みで硬化時の流動が小さく、高固形分、高厚みで塗工・硬化する際のハンドリング性に優れ、高厚み成形性に期待できるものであった。
得られたポリオール組成物(F15)とイソシアネート化合物(G1)を、(F15)に由来する水酸基の量(MOH)と(G1)に由来するイソシアネート基の量(MNCO)が、モル比率で、(G1)のMNCO/((F15)のMOH)=1.15となるようにペンシルミキサーで混合し、自転公転ミキサーを用いて混合・脱泡し、ウレタン形成性組成物(H15)を得た。ウレタン形成性組成物(H15)を、厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが120μm、並びに500μmの高厚みとなるようにベーカー式アプリケーターを用いて塗工した。その後、オーブン内温度が140℃になるよう設定した防爆オーブンに7分間保持して揮発分の除去と硬化反応を進行させ、PETフィルム上にウレタン硬化物(I15)を形成し、離型PETを張り合わせて3層のシート構造とした。その後23℃、相対湿度50%の環境で1週間静置することでポリウレタンシートを得た。
表5に組成や評価結果を示すが、ウレタン形成性組成物(H15)は、トリアゾール誘導体(C2)、ヒンダードフェノール化合物(D2)を含むため、120μm厚み、500μm厚み何れでも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、少量のケトエノール互変異性化合物の使用量にも係らず48時間後の粘度上昇率が20%以下と顕著に可使時間に優れるものであり、得られたウレタン硬化物(I15)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。
更に得られたウレタン硬化物(I1)の塗膜は、2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が1.0×10Paと顕著に柔軟であり、耐湿熱耐久性に加えて折り曲げ等の変形や動作、段差等への追従性に期待できるウレタン硬化物(I15)であり、ガラス転移温度も-56℃と顕著に低く低温特性に優れ、低温での耐衝撃剥離性に期待できる良好な耐寒性であった。
また比較的リニアに高分子量のポリアルキレンオキシドで鎖延長したウレタンプレポリマー(E)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は6N/25mmの良好な粘着力と40℃、1kg荷重で1440分以上、ズレなしの良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
(実施例16~20)
実施例15で得られた未反応のポリオール(A1-1)を32area%含むウレタンプレポリマー(E1)を用いて、相乗効果を見るため、トリアゾール誘導体(C2)とヒンダードフェノール化合物(D2)の添加量、混合質量比を変更したポリオール組成物(F16)~(F20)を作製し、同様にウレタン形成性組成物(H16)~(H20)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I16)~(I20)を含むウレタンシートを作製した。得られた各組成物の粘度や外観等の性状は実施例15と同程度であり、高固形分化や高厚み成形性、高透明性に期待できるものであった。
表5に組成や評価結果を示すが、実施例16~20の何れの添加量、混合質量比において、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、得られたウレタン硬化物(I16)~(I20)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I16)~(I20)の塗膜は、実施例15と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I16)~(I20)であった。
更に実施例15と同様に比較的リニアに高分子量のポリアルキレンオキシドで鎖延長したウレタンプレポリマー(E)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は0.5N/25mm以上の良好な粘着力と良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
(実施例21)
実施例7に対して、ポリオール(A1-2)とポリイソシアネート(B1)からなるウレタンプレポリマー(E2)を形成し、同様の条件でポリオール組成物(F21)、ウレタン形成性組成物(H21)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I21)を含むウレタンシートを作製した。
得られた各組成物の粘度や外観等の性状は実施例16~20と同様に、高固形分化や高厚み成形性、高透明性に期待できるものであった。
表5に組成や評価結果を示すが、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、得られたウレタン硬化物(I21)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I21)の塗膜は、2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I21)であった。
更に比較的リニアに高分子量のポリアルキレンオキシドで鎖延長したウレタンプレポリマー(E2)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は0.5N/25mm以上の良好な粘着力と良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
(実施例22)
実施例9に対して、ポリエステル構造を含むポリオール(A2)とポリイソシアネート(B1)からなるウレタンプレポリマー(E3)を形成し、同様の条件でポリオール組成物(F22)、ウレタン形成性組成物(H22)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I22)を含むウレタンシートを作製した。
得られた各組成物の粘度や外観等の性状は、ポリエステル構造を含むが実施例21と同様に高固形分で粘度があり、低VOC化や高厚み成形性に期待できるものであった。
表5に組成や評価結果を示すが、2官能のみでポリエステル構造を主とする影響と考えられる硬化の遅延傾向と耐湿熱耐久性の低下傾向は僅かにあったが、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、得られたウレタン硬化物(I22)の塗膜は、実施例21より僅かに低下するが耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。またポリエステルポリオールをベースとするため、柔軟性に特長はみられず粘着力は0.5N/25mm以下であったが、タックが小さく軽剥離向きであった。
(実施例23)
実施例21に対して、脂肪族のポリイソシアネート(B1)と2官能成分が主のポリオール(A1-2)とからなるウレタンプレポリマー(E2)から、脂環族のポリイソシアネート(B2)と2官能成分が主のポリオール(A1-2)と多官能のポリオール(A1-3)を95:5の質量比率で併用して得た3官能成分を少量含むウレタンプレポリマー(E4)を用い、プレポリマー形成後に多官能ポリオールを追加しなかった以外は、同様の条件でポリオール組成物(F23)、ウレタン形成性組成物(H23)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I23)を含むウレタンシートを作製した。得られた各組成物の粘度や外観等の性状は、3官能成分をプレポリマー中に含むが少量であるためハンドリング性は良好で、実施例21と同様に高固形分化や高厚み成形性、高透明性に期待できるものであった。
表5に組成や評価結果を示すが、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、得られたウレタン硬化物(I23)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I23)の塗膜は、2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I23)であった。
更に少量多官能成分は含むが、高分子量のポリアルキレンオキシドで概ねリニアに鎖延長したウレタンプレポリマー(E4)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は0.5N/25mm以上の良好な粘着力と良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
(実施例24)
実施例15で得られたウレタンプレポリマー(E1)を含む組成物を用いて、実施例15に対して多官能のポリオール(A1-3)を追加しなかった代わりに架橋剤であるポリイソシアネート(G1)を1.15当量から1.3当量に増量し、アセチルアセトンを添加しなかった以外は同様の条件で、ほぼ不揮発分濃度が100%のポリオール組成物(F24)、ウレタン形成性組成物(H24)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I24)を含むウレタンシートを作製した。
表5に組成や評価結果を示すが、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、得られたウレタン硬化物(I24)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I24)の塗膜は、2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I24)であった。
更に比較的リニアに高分子量のポリアルキレンオキシドで鎖延長したウレタンプレポリマー(E1)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は0.5N/25mm以上の良好な粘着力と良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
なお、実施例21、22、23で得られたウレタンプレポリマー(E)を含む組成物はいずれも2官能を主としたポリオール(F)中の水酸基に対して、2官能のポリイソシアネート(G)を0.5当量未満で鎖延長したものであるため、実施例15で得られたウレタンプレポリマー(E1)を含む組成物と同様に未反応のポリオール(A)を含むものである。
(比較例14)
実施例15で得られたウレタンプレポリマー(E1)を含む組成物を用いて、実施例18に対して、ヒンダードフェノール化合物(D2)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC14)、ウレタン形成性組成物(HC14)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC14)を含むウレタンシートを作製した。
表6に組成や評価結果を示すが、ヒンダードフェノール化合物(D)を含まないため、トリアゾール誘導体(C2)を最も多く使用した実施例18と同量用いても、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC14)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して再剥離時の粘着力も0.5N/25mm未満で全面凝集破壊であり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例15)
実施例15で得られたウレタンプレポリマー(E1)を含む組成物を用いて、実施例19に対して、トリアゾール誘導体(C2)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC15)、ウレタン形成性組成物(HC15)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC15)を含むウレタンシートを作製した。
表6に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C)を含まないため、ヒンダードフェノール化合物(D2)を最も多く使用した実施例18と同量用いても、得られたウレタン硬化物(IC15)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例16、17)
実施例21で得られたウレタンプレポリマー(E2)を含む組成物を用いて、実施例20に対して、それぞれトリアゾール誘導体(C2)、またはヒンダードフェノール化合物(D2)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC16)、(FC17)、ウレタン形成性組成物(HC16)、(HC17)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC16)、(IC17)を含むウレタンシートを作製した。
表6に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C2)、またはヒンダードフェノール化合物(D2)を含まないため、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC16)、(IC17)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例18、19)
実施例22で得られたウレタンプレポリマー(E3)を含む組成物を用いて、実施例21に対して、それぞれトリアゾール誘導体(C2)、またはヒンダードフェノール化合物(D2)を添加しなかった以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(FC18)、(FC19)、ウレタン形成性組成物(HC18)、(HC19)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC18)、(IC19)を含むウレタンシートを作製した。
表6に組成や評価結果を示すが、柔軟なポリアルキレンオキシド構造を含まず代わりにポリエステル構造を含むため140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性は僅かに低下したのみであったが、トリアゾール誘導体(C2)、またはヒンダードフェノール化合物(D2)を含まないため、得られたウレタン硬化物(IC18)、(IC19)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(実施例25、26)
実施例21で得られたウレタンプレポリマー(E2)を含む組成物を用いて、実施例21に対して、ヒンダードフェノール化合物(D2)からヒンダードフェノール化合物(D1)、トリアゾール誘導体(C2)からトリアゾール誘導体(C1)にそれぞれ種類を変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(F25)、(F26)、ウレタン形成性組成物(H25)、(H26)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I25)、(I26)を含むウレタンシートを作製した。
表7に組成や評価結果を示すが、実施例21と同様にトリアゾール誘導体(C)に加えて分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D)を含むため、同様に実施例25、26いずれの組成でも、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、得られたウレタン硬化物(I25)、(I26)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I25)、(I26)の塗膜は、実施例21と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I25)、(I26)であった。
更に比較的リニアに高分子量のポリアルキレンオキシドで鎖延長したウレタンプレポリマー(E2)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は0.5N/25mm以上の良好な粘着力と良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
(実施例27)
実施例21に対して、実施例21で得られた2官能を主としたポリオール(A1-2)のみをポリオールに用いたウレタンプレポリマー(E2)を含む組成物から、ポリオール(A1-2)に少量の多官能のポリオール(A1-3)を併用して形成したウレタンプレポリマー(E5)を含む組成物へ変更し、アセチルアセトンを用いずトリアゾール誘導体(C)とヒンダードフェノール化合物(D)の種類を変更した以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(F27)、ウレタン形成性組成物(H27)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I27)を含むウレタンシートを作製した。
表7に組成や評価結果を示すが、実施例21と同様にトリアゾール誘導体(C)に加えて分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D)を含むため、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、得られたウレタン硬化物(I27)の塗膜は、耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。更に得られたウレタン硬化物(I27)の塗膜は、実施例21と同様に2官能を中心としたポリアルキレンオキシド構造を含み、且つ末端を封止する不飽和モノオールが少ないため欠陥の少ない柔軟で緩やかなネットワークを形成しやすく、25℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa未満と顕著に柔軟なウレタン硬化物(I27)であった。
更に少量多官能成分は含むが、高分子量のポリアルキレンオキシドで概ねリニアに鎖延長したウレタンプレポリマー(E5)を架橋した構造のため、得られるウレタン硬化物は0.5N/25mm以上の良好な粘着力と良好な保持力を有するものであり、実用的で良好な粘着特性を発現するものであった。
(実施例28)
実施例22で得られたウレタンプレポリマー(E3)を含む組成物を用いて、実施例22に対して、トリアゾール誘導体(C)を相溶性の良い長鎖アルキルエステル構造を有さないトリアゾール誘導体(C3)へ変更し、ヒンダードフェノール化合物(D2)の種類を変更した以外は、同様の条件で、ポリオール組成物(F28)、ウレタン形成性組成物(H28)、PETフィルム上にウレタン硬化物(I28)を含むウレタンシートを作製した。
表7に組成や評価結果を示すが、2官能を主としたポリエステル構造の影響と考えられる硬化の遅延傾向と耐湿熱耐久性の低下傾向に加えて、トリアゾール誘導体(C)に相溶性の良い長鎖アルキルエステル構造を有さない影響と考えられる高厚み成形性の低下傾向は僅かにあったが、120μm厚み、500μm厚み何れも、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に優れ、厚みムラも少なく高厚み成形性に優れ、得られたウレタン硬化物(I28)の塗膜は、実施例27より僅かに低下するが耐湿熱耐久性に顕著に優れるものであった。またポリエステルポリオールをベースとするため、柔軟性に特長はみられず粘着力は0.5N/25mm以下であったが、タックが小さく軽剥離向きであった。
(比較例20~23)
実施例21、22で得られたウレタンプレポリマー(E2)を含む組成物、ウレタンプレポリマー(E3)を含む組成物を用いて、それぞれトリアゾール誘導体(C2)から異なるその他化合物(CC)、分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D2)から揮発やブリードがしやすい低分子量のフェノール誘導体(DC3)や分子量が高く相溶性が低くなりやすい高融点のフェノール誘導体(DC4)へ変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(FC20)~(FC23)、ウレタン形成性組成物(HC20)~(HC23)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC20)~(IC23)を含むウレタンシートを作製した。
表7に組成や評価結果を示すが、トリアゾール誘導体(C)を含まない比較例20、21はヒンダードフェノール化合物(D1)を用いても、相乗効果が発現せず、相溶化剤として作用してウレタン樹脂への分散性を向上しつつ金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、硬化時の熱劣化の抑制効果や湿熱条件での耐久性向上効果が見られず、140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性に劣り、得られたウレタン硬化物(IC20)、(IC21)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
また、分子量250以上1000未満のヒンダードフェノール化合物(D)を含まない比較例22、23はトリアゾール誘導体(C1)を用いても、得られたウレタン硬化物(IC22)、(IC23)の塗膜は、耐湿熱環境で5日の長期静置により、揮発やブリード、相分離、高融点等の影響による耐熱効果低減の影響と考えられる、劣化が見られて臭気と樹脂劣化があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、耐湿熱耐久性が不十分で高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
(比較例24)
実施例22で得られたウレタンプレポリマー(E3)を含む組成物を用いて、実施例22に対して、トリアゾール誘導体(C2)から異なるその他化合物(CC)へ変更した以外は同様の条件で、ポリオール組成物(FC24)、ウレタン形成性組成物(HC24)、PETフィルム上にウレタン硬化物(IC24)を含むウレタンシートを作製した。
表7に組成や評価結果を示すが、柔軟なポリアルキレンオキシド構造を含まず代わりにポリエステル構造を含むため140℃、7分で防爆オーブンにて揮発分除去と硬化反応を行った際の高温・高厚みでの硬化性は僅かに低下したのみであったが、トリアゾール誘導体(C2)を含まないため、ヒンダードフェノール化合物(D2)を用いても、相乗効果が発現せず、相溶化剤として作用してウレタン樹脂への分散性を向上しつつ金属触媒等へ窒素が適度に配位して高厚みや高温での熱反応硬化時の触媒活性や分解反応が温和になる影響と考えられる、硬化時の熱劣化の抑制効果や湿熱条件での耐久性向上効果が見られず、得られたウレタン硬化物(IC24)の塗膜は、耐湿熱環境で劣化が見られて臭気と樹脂の溶解があり、更には凝集力が低下して凝集破壊があり、高温・高湿環境への耐性が必要な用途での使用が困難なものであった。
本発明の実施例のポリオール組成物(F)は、ポリアルキレンオキシド(A1)を含むものは何れも数平均分子量が5千以上6万未満で、0.5~20Pa・sの範囲であり、高固形分化しても一定の粘度を保持しやすく液流れによる成形不良をより抑制しやすいものであり、ウレタン硬化物は何れもガラス転移温度が-50℃未満であり低温衝撃での耐剥離性が期待できる耐寒性に優れるものであった。
本実施例のうち、ポリアルキレオキシド(A1)を含み、且つアセチルアセトンを含むものは何れも48時間後の粘度上昇率が20%未満であり可使時間に優れ、アセチルアセトンを含まない実施例においてもトリアゾール誘導体とヒンダードフェノール化合物を含むため可使時間が長く、何れも4時間後の粘度上昇率が20%未満であった。
以上、実施例で示したように、本開発におけるポリオール組成物(F)は、耐湿熱性の高いポリオールの使用有無によらず、顕著に高い耐湿熱耐久性を示すウレタン硬化物の形成に資するポリオール組成物であり、その特徴を活かすことにより、顕著に良好な高温・高厚みでの硬化性と耐湿熱耐久性を発現するポリウレタンとして、シーリング材、塗料、粘着剤、接着剤など幅広い用途に好適に使用できることが示された。
なかでも、本発明のウレタン硬化物(I)を用いたウレタンシートは、硬化性と耐湿熱耐久性に加えて、適度な粘着力を有し再剥離性、柔軟性、耐寒性を発現するため、ウレタン粘着剤として好適に使用できることが示され、さらには、高透明となりやすく、凝集力と顕著に高い柔軟性を発現しやすいため、折り曲げや変形への追従性や印刷段差追従性、低温、高温環境、高温高湿環境用途、再剥離用途での応用に期待でき、フォルダブル材料等の光学用粘着剤や生体用粘着剤、電子材料用粘着剤として好適に使用できることが示された。

Claims (16)

  1. ポリオール(A)、トリアゾール誘導体(C)、分子量250以上1000以下のヒンダードフェノール化合物(D)を含むポリオール組成物(F)
  2. ポリオール組成物(F)中のトリアゾール誘導体(C)の含有率が0.001質量%以上0.1質量%未満、且つヒンダードフェノール化合物(D)の含有率が0.1質量%以上0.7質量%未満であり、ヒンダードフェノール化合物(D)とトリアゾール誘導体(C)の質量比率(ヒンダードフェノール化合物(D)/トリアゾール誘導体(C))が1.5~30倍の範囲である、請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  3. 炭素数3のアルキレンオキシド残基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により算出した数平均分子量が10万未満である請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  4. 不飽和度が0.020meq/g未満である請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  5. トリアゾール誘導体(C)がフェノール性水酸基を1つ以上有するベンゾトリアゾール誘導体である請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  6. ヒンダードフェノール化合物(D)が、炭素数8以上の長鎖アルキル基とエステル基を有する請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  7. 不揮発分濃度が90質量%以上である請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  8. ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とのウレタンプレポリマー(E)を含む請求項1に記載のポリオール組成物(F)
  9. ウレタンプレポリマー(E)中に、アルキレンオキシド残基を50~99.5質量%の範囲、且つポリイソシアネート残基を0.5~10質量%の範囲で含む請求項8に記載のポリオール組成物(F)
  10. ウレタンプレポリマー(E)中に、不飽和基を0.03質量%未満の範囲で含む請求項8に記載のポリオール組成物(F)
  11. ウレタンプレポリマー(E)が、不飽和度0.010meq/g未満で且つ水酸基価より算出した分子量が3000~20000の範囲である2官能のポリアルキレンオキシド(A1)とポリイソシアネート(B)の反応物である請求項8に記載のポリオール組成物(F)
  12. ウレタンプレポリマー(E)を形成する、全ポリオールの平均官能基数faveが1.90~2.20の範囲である請求項8に記載のポリオール組成物(F)
  13. ポリイソシアネート(B)が脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、それらの変性体のいずれかを含み、ウレタンプレポリマー(E)を形成する、全ポリイソシアネートの平均官能基数faveが2.00~3.19の範囲である請求項8に記載のポリオール組成物(F)
  14. 請求項1に記載のポリオール組成物(F)とイソシアネート化合物(G)とを含むウレタン形成性組成物(H)。
  15. 請求項14に記載のウレタン形成組成物(H)の反応物を含むウレタン硬化物(I)。
  16. 請求項15に記載のウレタン硬化物(I)からなるウレタン粘着剤。
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