JP2023547661A - Cd3に結合するポリペプチド構築物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、i)VH領域は、X1YAX2N(ここで、X1は、K、V、S、G、R、T又はIであり;及びX2は、M又はIである)のCDR-H1配列;RIRSKYNNYATYYADX1VKX2(ここで、X1は、S又はQであり;及びX2は、D、G、K、S又はEである)のCDR-H2配列;及びHX1NFGNSYX2SX3X4AY(ここで、X1は、G、R又はAであり;X2は、I、L、V又はTであり;X3は、Y、W又はFであり;及びX4は、W、F又はYである)のCDR-H3配列を含み;ii)VL領域は、X1SSTGAVTX2X3X4YX5N(ここで、X1は、G、R又はAであり;X2は、S又はTであり;X3は、G又はSであり;X4は、N又はYであり;及びX5は、P又はAである)のCDR-L1配列;X1TX2X3X4X5X6(ここで、X1は、G又はAであり;X2は、K、D又はNであり;X3は、F、M又はKであり;X4は、L又はRであり;X5は、A、P又はVであり;及びX6は、P又はSである)のCDR-L2配列;及びX1LWYSNX2WV(ここで、X1は、V、A又はTであり;及びX2は、R又はLである)のCDR-L3配列を含み;iii)i)のVH領域及び/又はii)のVL領域のCDR配列の1つ以上は、CDR-H1のX24V及びX24F;CDR-H2のD15及びX116A;CDR-H3のH1、X12E、F4及びN6;並びにCDR-L3のX11L及びW3から選択される1つのアミノ酸置換又はその組合せを含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物に関する。本発明は、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター及び前記ポリヌクレオチド又は前記ベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞にも関する。さらに、本発明は、前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物を産生するためのプロセス及び本発明の前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物を含む医薬組成物も提供する。さらに、本発明は、前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物の医学的使用及び前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物を含むキットに関する。

Description

本発明は、ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、i)VH領域は、XYAXN(ここで、Xは、K、V、S、G、R、T又はIであり;及びXは、M又はIである)のCDR-H1配列;RIRSKYNNYATYYADXVKX(ここで、Xは、S又はQであり;及びXは、D、G、K、S又はEである)のCDR-H2配列;及びHXNFGNSYXSXAY(ここで、Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;及びXは、W、F又はYである)のCDR-H3配列を含み;ii)VL領域は、XSSTGAVTXYXN(ここで、Xは、G、R又はAであり;Xは、S又はTであり;Xは、G又はSであり;Xは、N又はYであり;及びXは、P又はAである)のCDR-L1配列;XTX(ここで、Xは、G又はAであり;Xは、K、D又はNであり;Xは、F、M又はKであり;Xは、L又はRであり;Xは、A、P又はVであり;及びXは、P又はSである)のCDR-L2配列;及びXLWYSNXWV(ここで、Xは、V、A又はTであり;及びXは、R又はLである)のCDR-L3配列を含み;iii)i)のVH領域及び/又はii)のVL領域のCDR配列の1つ以上は、CDR-H1のX4V及びX4F;CDR-H2のD15及びX16A;CDR-H3のH1、X2E、F4及びN6;並びにCDR-L3のX1L及びW3から選択される1つのアミノ酸置換又はその組合せを含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物に関する。本発明は、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター及び前記ポリヌクレオチド又は前記ベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞にも関する。さらに、本発明は、前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物を産生するためのプロセス及び本発明の前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物を含む医薬組成物も提供する。さらに、本発明は、前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物の医学的使用及び前記ポリペプチド又はポリペプチド構築物を含むキットに関する。
T細胞エンゲージャー(TCE)は、T細胞受容体を介して変異細胞又は感染細胞上の外来性ペプチドを認識するT細胞の能力を利用する。T細胞認識は、低親和性でペプチドMHC(pMHC)のペプチド負荷分子と相互作用するクローン型分布アルファベータ及びガンマデルタT細胞受容体(TcR)によって媒介される。TcRの抗原特異的鎖は、シグナル伝達ドメインを有さず、代わりに保存されたマルチサブユニットシグナル伝達装置CD3に結合される。TcRライゲーションがシグナル伝達装置に直接伝達される機構は、T細胞生物学における基本的な関心事項である。簡潔に説明すると、細胞表面抗原結合を細胞内リン酸化シグナル伝達カスケードに変換するCD3サブユニットである。これらのリン酸化事象は、サイトカイン並びにグランザイム及びパーフォリン等のエフェクタータンパク質の発現増加をもたらすNFAT及びNFkB等の転写因子の活性化をもたらす。腫瘍細胞上の標的抗原とT細胞上のCD3とを同時に結合して人工免疫シナプスを形成し、最終的に前記標的抗原を発現する細胞の破壊をもたらすTCEによって使用されるのは、この特徴である。
臨床的観点から、TCEは、効率的な殺細胞活性を示す必要があるだけでなく、同時に例えば管理可能な副作用プロファイルのような他の特性が望ましい。しかしながら、これらの態様は、TCEの開発に関して考慮すべき唯一のものではない。薬物開発にとって重要な他の領域は、患者前段階、すなわち例えば貯蔵寿命、生産の拡張性、溶解性、安定性及び製剤の容易さ等、患者の体外のTCEの懸念特性である。換言すれば、薬学的観点からの重要な特徴は、例えば、薬物製造又は投与におけるような特定の必要性に対処するための所与のTCE又はその一部の開発可能性である。臨床的及び薬理学的観点からの要件をまとめることは、商業化に関連したTCEプラットフォームの進歩にとって重要である。免疫シナプスの形成を誘導するTCEを有することの生物学的複雑さを考慮すると、標的細胞の死滅を媒介する際のその有効性を維持しながら、例えば貯蔵寿命、生産の拡張性、溶解性、安定性及び製剤の容易さ等の他の特性に関してTCEを操作することは、困難であり得る。
TCEの熱安定性は、患者の体内及び体外の重要な特徴である。TCEのより高い熱安定性は、引き起こされる高分子量凝集体の形成を減少させ、それにより、次いで体内で長時間活性であるが、貯蔵中により安定であるTCEが提供される。さらに、高分子量凝集体の減少はまた、投与時のTCEのより好ましい免疫原性プロファイルをもたらし、それにより副作用のリスクを低減することができる。
従来、TCEの抗標的及び抗CD3結合ドメインを構成するVH及びVLドメインは、安定性を改善する焦点であった領域である。これは、TCEの一部であるFvに特に当てはまる。VHとVLとの間の疎水性相互作用は、Fvの安定性を強く決定すると考えられている。相互作用は、多くのFvにおいて、インビトロ及び/又はインビボ用途のために安定であるほど十分に強くない可能性がある。これは、単鎖Fv(scFv)をもたらすリンカーによるFvのVドメインのカップリングをもたらした。リンカーは、Vドメイン(可変ドメイン)を共に保持するのに有効であることが示されているが、scFvを活性に保つこと又は所与の用途にとって十分に活性であることが常に有効であるとは限らず、そのため、安定性をさらに改善する必要がある。安定性を高めるための1つのアプローチは、2つのVドメインの相互作用を増加させることにより、生物学的に活性なFvの安定性を、標的結合モノマーのままであるように増加させることができることである。scFvの安定性を改善するためのアプローチは、当技術分野で記載されているが、TCEの一部であるFvの安定性を改善することは、当技術分野で依然として必要とされている。
本発明は、ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、
i)VH領域は、
YAXN(ここで、Xは、K、V、S、G、R、T又はIであり;及びXは、M又はIである)のCDR-H1配列;
RIRSKYNNYATYYADXVKX(ここで、Xは、S又はQであり;及びXは、D、G、K、S又はEである)のCDR-H2配列;及び
HXNFGNSYXSXAY(ここで、Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;及びXは、W、F又はYである)のCDR-H3配列
を含み;
ii)VL領域は、
SSTGAVTXYXN(ここで、Xは、G、R又はAであり;Xは、S又はTであり;Xは、G又はSであり;Xは、N又はYであり;及びXは、P又はAである)のCDR-L1配列;
TX(ここで、Xは、G又はAであり;Xは、K、D又はNであり;Xは、F、M又はKであり;Xは、L又はRであり;Xは、A、P又はVであり;及びXは、P又はSである)のCDR-L2配列;及び
LWYSNXWV(ここで、Xは、V、A又はTであり;及びXは、R又はLである)のCDR-L3配列
を含み;
iii)i)のVH領域及び/又はii)のVL領域の1つ以上のCDR配列は、
CDR-H1のX4V及びX4F;
CDR-H2のD15(好ましくはE)及びX16A;
CDR-H3のH1(好ましくはA又はN)、X2E、F4(好ましくはI)及びN6(好ましくはS又はT);並びに
CDR-L3のX1L及びW3(好ましくはY)
から選択される1つ以上のアミノ酸を含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物に関する。
「ポリペプチド構築物」(代わりには本明細書では「化合物」とも称される)という用語は、パラトープを含むドメイン自体を含む抗原結合(又はエピトープ結合)分子を指す。本発明に関連して、ポリペプチド構築物は、天然に存在せず、操作された少なくとも1つの連続した非分枝アミノ酸鎖を含む有機ポリマーとして理解される。単一ポリペプチドであるポリペプチド構築物の例は、単一ポリペプチド鎖上に少なくとも1つの機能的標的結合ドメインを少なくとも1つの完全な機能的CD3結合ドメインと共に含むコア構造を含むBiTE(登録商標)分子であり、これらのドメインは、例えば、異なるポリペプチド鎖上に標的結合因子とCD3結合因子とを含むXmabとは異なり、いずれかの挿入ドメインなしで可撓性のあるペプチド(「リンカー」)によって直接連結されている。本発明と関連して、複数のアミノ酸鎖を含むこのようなポリペプチド構築物も同様に想定される。「ポリペプチド」という用語は、本発明の化合物の一本鎖形態と関係して使用されることが好ましいが、「ポリペプチド構築物」は、好ましくは、複数のポリペプチド鎖、例えば2つ、3つ又は4つのポリペプチド鎖を含むポリペプチドも説明するのにより適切であり得る。さらに、「ポリペプチド構築物」という用語は、1つ以上の非アミノ酸系構成成分、例えばヒト血清アルブミン等(HSA)を含む本発明の化合物を記載するのにも適している。ポリペプチドのアミノ酸鎖は、典型的には、少なくとも50個のアミノ酸を含み、好ましくは少なくとも100個、200個、300個、400個又は500個のアミノ酸を含む。本発明と関連して、ポリマーのアミノ酸鎖は、アミノ酸で構成されていない実体に連結していることも想定される。
このポリペプチドは、抗体、例えば完全長の免疫グロブリン分子の構造及び/又は機能に基づいた構造的及び/又は機能的な特徴を含む。このため、ポリペプチド構築物は、その標的又は抗原に、より正確には前記標的又は標的抗原のエピトープに特異的に且つ好ましくは選択的に又は免疫特異的に結合し、且つ/又は抗体において天然に見られる重鎖可変領域(VH)及び/又は軽鎖可変領域(VL)を含むか、又はその抗体に由来するドメインを含む。したがって、構築物は、代わりに、天然抗体又はその断片において見られるようなパラトープ状構造及びエピトープ結合構造を含むと見なされ得る。本発明によるポリペプチド構築物は、免疫特異的標的結合を可能にする抗体、すなわち、特に指定しない限り、標的抗原上のエピトープを免疫特異的に又は免疫選択的に認識するパラトープの最小構造要件を含む。この最小要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖CDR(すなわちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3であり、CDR-L1、CDRL2及びCDR-L3とも称される)並びに/又は3つの重鎖CDR(すなわちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3であり、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3とも称される)、好ましくは6つすべてのCDRの存在によって定義され得る。このため、ポリペプチド構築物は、結合ドメインにおける3つ又は6つのCDRの存在を特徴とし得、当業者は、それらのCDRがパラトープ結合構造内で(どのような順序で)どこに位置するかをわかっている。ポリペプチド又はポリペプチド構築物のCD3結合ドメインとの関連において、前記パラトピック結合構造は、CDRを含むVH領域及びVL領域の存在を特徴とする結合ドメインであると特定される。したがって、本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物は、CDRを有するVH領域及びVL領域を含むヒトCD3ε(本明細書ではCD3ε又は「CD3イプシロン」とも呼ばれる)鎖の細胞外エピトープに選択的、免疫特異的及び/又は免疫選択的に結合する結合ドメインである少なくとも1つのパラトピック結合構造を含む。したがって、本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物は、ヒトCD3εに、免疫特異的に及び/又は免疫選択的に結合するパラトープを含む。用語「CDR」及びその複数の「CDR」は、3個が軽鎖可変領域(CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3)の結合特性を構成し、3個が重鎖可変領域(CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3)の結合特性を構成する相補性決定領域を指す。CDRは、抗体(又は構築物又は結合ドメイン)の、抗原との特異的相互作用を担う残基の大部分を含有するため、抗体分子の機能的活性に寄与し:CDRは、抗原特異性の主要な決定基である。CDR境界及び長さの正確な定義は、異なる分類及び付番方式に依存する。したがって、CDRは、Kabat、Chothia、contact又は本明細書に記載のナンバリングシステムを含む任意の他の境界定義によって参照され得る。異なる境界にもかかわらず、これらのシステムのそれぞれは、可変配列内のいわゆる「超可変領域」を構成するものにある程度の重複を有する。したがって、これらの系に従うCDRの定義は、隣接するフレームワーク領域に関する長さ及び境界領域が異なる場合がある。例えば、Kabat(異種間の配列可変性に基づくアプローチ)、Chothia(抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ)及び/又はMacCallum(Kabat et al.,前掲;Chothia et al.,J.Mol.Biol,1987,196:901-917;及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol,1996,262:732)。抗原結合部位の特性決定のためのさらに別の基準は、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用されるAbM定義である。例えば、Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains.In:Antibody Engineering Lab Manual(Ed.:Duebel,S.and Kontermann,R.,Springer-Verlag,Heidelberg)参照。2つの残基同定技術が、重複するが同一ではない領域を定義する限り、それらを組み合わせてハイブリッドCDRを定義することができる。しかしながら、いわゆるKabatシステムによるナンバリングが好ましい。本明細書で使用される「抗原結合構造」という用語は、抗原結合構造又は特定の標的抗原に対して結合活性を有するいずれかの分子を含むいずれかのポリペプチド/ポリペプチド構築物を指す。前記抗原結合構造又は抗原結合分子は、生物に由来するものに限定されず、例えば、人工的に設計された配列から生じたポリペプチドであり得る。これらの抗原結合構造又は抗原結合分子は、天然のポリペプチド、合成ポリペプチド、組換えポリペプチドなどのいずれでもあり得る。本発明による抗原結合構造は、抗原の一部に特異的に結合する、すなわちCD3εのエピトープに特異的に結合するため、抗原(エピトープ)結合構造は、本明細書では広く「パラトープ構造」としても定義され得る。したがって、本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物は、標的抗原/標的エピトープに好ましくは免疫特異的に又は免疫選択的に結合しているパラトープを含むドメインとしても定義され得、少なくとも1つのさらなるパラトープを含む特定の実施形態では、さらなる、異なる又は同じ標的抗原/標的エピトープに好ましく免疫特異的に又は免疫選択的に結合する。そのため、本明細書が本発明の構築物又は分子のドメインに言及するときには常に、構築物は、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲のいずれか1つによって特定されるように、ヒトCD3εに結合する少なくとも1つのパラトープ構造(又はパラトープ)を含む。特定の実施形態において、前記構築物は、ヒトCD3ε又は本明細書で定義される異なる標的抗原にも結合する少なくとも1つのさらなるパラトープを含む。
本発明に従って使用される「抗体」という用語は、生物工学的又はタンパク質工学的方法又はプロセスによって生成されたラクダ抗体及び他の免疫グロブリンも含む完全長抗体を含む。これらの完全長抗体は、例えば、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体並びにマウス、ハムスター、ウサギ、ラット、ヤギ又は非ヒト霊長類などの他の種由来の抗体であり得る。
本発明の「ポリペプチド/ポリペプチド構築物」は、天然に存在する完全長免疫グロブリンの構造も含み得る。例えば、抗体構築物は、(少なくとも)2つの完全長抗体重鎖及び2つの完全長抗体軽鎖を含み得る。しかしながら、本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物は、好ましくはCD3結合ドメインのVH領域及びVL領域を連結するリンカーを含み、好ましくはscFvをもたらし、且つ/又は他の実施形態では、パラトープを含む少なくとも1つのさらなる結合ドメインを含むことを考えると、それらは、天然に存在せず、その機能は、天然に存在する産物と著しく異なる。このために、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物は、好ましくは、scFv並びに/又はいくつかの実施形態では異なる特異性及び/若しくは選択性を有する別個のパラトープ/結合ドメインを含む、人工「複合」分子である。
上述のように、本発明のポリペプチドは、1つを超えるポリペプチド鎖を含み得、すなわち2つ以上のポリペプチド鎖を含むポリペプチド、特にCD3εへの免疫特異的結合を可能にする三次元タンパク質様構造を形成するポリペプチドも本発明の対象である。したがって、「ポリペプチド構築物」という用語の定義には、1つのポリペプチド鎖のみからなる分子と、2つ、3つ、4つ又はそれより多数のポリペプチド鎖であって、同一である(ホモ二量体、ホモ三量体又はホモオリゴマー)か又は異なる(ヘテロ二量体、ヘテロ三量体又はヘテロオリゴマー)かのいずれかであり得るポリペプチド鎖からなる分子とが含まれる。上述で特定された抗体及びその断片、変異体、誘導体並びにこれらに由来する構築物についての例は、とりわけ、Harlow and Lane,Antibodies:A laboratory manual,CSHL Press(1988);Kontermann and Duebel,Antibody Engineering,Springer,2nd ed.2010;並びにLittle,Recombinant Antibodies for Immunotherapy,Cambridge University Press 2009で説明されている。
本発明の「ポリペプチド/ポリペプチド構築物」は、VH、VHH、VL、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2又は「rIgG」(重鎖と軽鎖とからなる「半抗体」)などの完全長抗体の断片も含み得るが、VH及びVL領域を含むと定義されているため、上述の断片のすべてがCD3ε結合ドメインに対して適用可能であるわけではないが、少なくとも1つのさらなる結合ドメインに関する実施形態に適用可能である。本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物は、抗体変異体又は抗体誘導体とも呼ばれる抗体の修飾断片も含み得る。例として、scFv、ジ-scFv若しくはビ(ス)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、scFab、Fab2、Fab3、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab)、タンデムジ-scFv、タンデムトリ-scFv、以下のような構造:(VH-VL-CH3)2、(scFv-CH3)2、((scFv)2-CH3+CH3)、((scFv)2-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)2、トリアボディ又はテトラボディなどのマルチボディ及びVHH、VH又はVLであり得る、選択的且つ好ましくは他の可変領域若しくは可変ドメインとは無関係に抗原又は標的に特異的に結合する単に1つの可変領域を含むナノボディ又は単一可変ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体である構造によって具現化される「ミニボディ」が挙げられるが、これらに限定されないものの、VH及びVL領域を含むと定義されているため、上述の断片のすべてがCD3ε結合ドメインに対して適用可能であるわけではないが、少なくとも1つのさらなる結合ドメインに関する実施形態には適用可能である。本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物のさらなる可能な形式は、クロスボディ、マキシボディ、ヘテロFc構築物、モノFc構築物及びscFc構築物である。これらの形式の例を本明細書において以下に説明する。
さらに、「ポリペプチド構築物」という用語の定義には、二価及び多価(polyvalent)/多価(multivalent)のポリペプチド/ポリペプチド構築物並びに異なる結合ドメインを介して2種、3種又はより多種の抗原構造(エピトープ)に選択的に且つ好ましくは特異的に結合する二重特異性及び多特異性/多重特異性ポリペプチド/ポリペプチド構築物が含まれる。例えば、ポリペプチド構築物が、ある標的(CD3イプシロン)に対する2つの結合ドメインと、別の標的、例えば本明細書で後述するものに対する1つの結合ドメインとを有する場合又はその逆の場合、このポリペプチド構築物は、特異性よりも大きい結合価を有し得、いずれの場合でも、このポリペプチド構築物は、三価であり、且つ二重特異性である。一般的に、「二重特異性」という用語は、ポリペプチド構築物が少なくとも2つの異なる抗原、例えば前記CD3ε及びさらなる標的、例えば本明細書で以下に特定されるものに結合するという意味を含む。
「パラトープ」、「抗原結合ドメイン」、「エピトープ結合ドメイン」、「結合ドメイン」又は「~に結合するドメイン」という用語は、本発明と関連して、標的上の又は抗原(ここではCD3)上のエピトープに選択的に且つ好ましくは特異的に又は免疫特異的に結合する/エピトープと選択的に且つ好ましくは特異的に又は免疫特異的に相互作用する/エピトープを選択的に且つ好ましくは特異的に又は免疫特異的に認識する構築物のドメインを特徴付ける。「結合ドメイン」、又は「~に結合するドメイン」、又は「ドメイン」という用語は、本発明と関連して、標的上の又は抗原上のエピトープに免疫特異的に結合する/エピトープと免疫特異的に相互作用する/エピトープを免疫特異的に認識する構築物のドメインを特徴付ける。CD3ε結合ドメイン(さらなる結果的に第2、第3などの結合ドメインを含むポリペプチド/ポリペプチド構築物の場合、第1の結合ドメインとも称される)の構造及び機能、好ましくはいずれかのさらなる結合ドメイン(例えば、細胞表面抗原、例えば腫瘍抗原等に結合する)の構造及び/又は機能も、抗体、例えば完全長免疫グロブリンポリペプチドの構造及び/又は機能に基づいている。そのため、「結合ドメイン」又は「~に結合するドメイン」は、免疫特異的標的結合を可能にする抗体の最小限の構造要件を含み得る。CD3ε結合ドメインの構造要件は、1領域当たり対応する3つのCDRを有するVH及びVL領域を含むように指定されているが、いずれかのさらなる結合ドメインにおける前記最小構造要件は、例えば、少なくとも3つの軽鎖CDR(すなわちVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3)及び/又は3つの重鎖CDR(すなわちVH領域のCDR1、CDR2及びCDR3)、好ましくは6つのCDRすべての存在によって定義され得る。「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)は、典型的には、抗体軽鎖可変領域(VL)と抗体重鎖可変領域(VH)とを含み得るが、両方を含む必要はなく、VH又はVLの一方のみを含み得る。Fd断片は、例えば、インタクトな抗原結合ドメインの何らかの抗原結合機能を保持していることが多い。「パラトープ」、「抗原結合構造」及び「エピトープ結合構造」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原又はその部分の全体又は一部分に特異的に結合し、且つその全体又は一部分に相補的である領域を含む抗体(又は本発明による分子)の一部分も指し、すなわち、抗体は、抗原の特定の一部分にのみ結合することができる。特定の部分は、「エピトープ」と呼ばれる。抗原結合ドメインは、1つ以上の抗体可変ドメインから提供することができる。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)の両方を含む抗体可変領域を含有する。このような好ましい抗原結合ドメインとしては、例えば、「一本鎖Fv(scFv)」、「一本鎖抗体」、「Fv」、「単鎖Fv2(scFv2)」、「Fab」及び「F(ab’)2」が挙げられる。CD3ε結合ドメインについて、scFvの形態をとることが好ましい。
「~に結合するドメイン」、「パラトープを含むドメイン」(又は「結合ドメイン」、「抗原結合構造」、「エピトープ結合構造」)の形式の例としては、別段の定義がない限り、下記が挙げられるが、これらに限定されない:完全長抗体、完全長抗体の断片(例えば、VH、VHH、VL)、(s)dAb、Fv、軽鎖(VL-CL)、Fd(VH-CH1)、重鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2又は「r IgG」(「半抗体」)、抗体バリアント又は抗体誘導体、例えばscFv、di-scFv又はbi(s)-scFv、scFv-Fc、scFv-ジッパー、scFab、Fab2、Fab3、ダイアボディ、単鎖ダイアボディ、タンデムダイアボディ(Tandab’s)、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFv、「ミニボディ」((VH-VL-CH3)2、(scFv-CH3)2、((scFv)2-CH3+CH3)、((scFv)2-CH3)又は(scFv-CH3-scFv)2等の形式から選択される)、マルチボディ(例えば、トリアボディ又はテトラボディ)及び単一ドメイン抗体(例えば、VHH、VH又はVLであり得る1つの可変領域のみを含むナノボディ又は単一可変ドメイン抗体)。「~に結合するドメイン」(又は「結合ドメイン」)の形式のさらなる例として、以下が挙げられる:(1)VL、VH、CL及びCH1を含む抗体断片又は抗体バリアント(例えばFab);(2)2個の連結されたFab断片を含む抗体断片又は抗体バリアント(例えばF(ab’)2);(3)VH及びCH1を含む抗体断片又は抗体バリアント(例えばFd);(4)VL及びCLを含む抗体断片又は抗体バリアント(例えば軽鎖);(5)VL及びVHを含む抗体断片又は抗体バリアント(例えばFv);(5)VHドメインを有するdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);(6)重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも3つの単離されたCDRを含む抗体バリアント;並びに(7)単鎖Fv(scFv)。本発明に係る構築物又は結合ドメインの実施形態についての例は、例えば、国際公開第00/006605号パンフレット、国際公開第2005/040220号パンフレット、国際公開第2008/119567号パンフレット、国際公開第2010/037838号パンフレット、国際公開第2013/026837号パンフレット、国際公開第2013/026833号パンフレット、米国特許出願公開第2014/0308285号明細書、米国特許出願公開第2014/0302037号明細書、国際公開第2014/144722号パンフレット、国際公開第2014/151910号パンフレット及び国際公開第2015/048272号パンフレットで説明されている。本発明に関連して、パラトープは、本明細書で説明されているポリペプチドの一部であり且つ抗原を認識してこの抗原に結合する抗原部位として理解される。パラトープは、典型的は、少なくとも約5つのアミノ酸の小さい領域である。本明細書で理解されるパラトープは、典型的には、抗体由来の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の配列の一部を含む。本発明に係るポリペプチドの各結合ドメインは、それぞれ3つが抗体由来のVH配列及びVL配列内に含まれる6つの相補性決定領域(CDRループ)のセットを含むパラトープを備えている。
化合物、特に本発明の構築物について、a)構築物は単鎖ポリペプチド若しくは単鎖構築物であり、b)CD3ε結合ドメインはscFvの形式であり、c)いずれかのさらなる、例えば第2の結合ドメイン及び/若しくは第3のドメインはscFvの形式であり、d)第1及び前記さらなる、例えば前記第2及び/若しくは第3のドメインは、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、より好ましくはグリシン/セリン又はグリシン/グルタミンリンカーを介して結合しており、且つ/又はe)構築物は、血清半減期の延長を提供するドメイン、例えばFcベースのドメイン若しくはヒト血清アルブミン(HSA)を含むことが想定される。後者の場合、「ポリペプチド構築物」という用語は、単一より多いペプチド鎖を含むことを明らかにする好ましい実施形態である。血清半減期を延長する好ましいFcベースのドメイン(「HLE」ドメインとも呼ばれる)は、各々がヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む2つのポリペプチドモノマーを含み、前記2つのポリペプチドモノマーはペプチドリンカー(例えば、配列番号18及び19を参照)を介して互いに融合しており;形式はN末端からC末端の順序で、ヒンジ-CH2-CH3-リンカー-ヒンジ-CH2-CH3である。
本発明の構築物は、好ましくは、「インビトロ生成構築物」及び/又は「組換え構築物」である。本発明との関連において、「インビトロ生成」という用語は、結合ドメイン又は可変領域(例えば、少なくとも1つのCDR)のすべて又は部分がタンパク質チップ上の非免疫細胞選択、例えばインビトロファージディスプレイ又は候補アミノ酸配列をその抗原への結合能力に関して試験することのできるいずれかの他の方法で生成されている上述の定義による構築物を指す。したがって、この用語は、好ましくは、動物の免疫細胞におけるゲノム再編成によってのみ生成される配列を除外する。構築物の第1及び/又は第2のドメインは、既存の(モノクローナル)抗体からのCDR配列を足場に移植することによってではなく、ファージディスプレイ法又はライブラリースクリーニング法によって産生されるか、又はそれによって得ることができることが想定される。「組換え構築物」は、(とりわけ)組換えDNA技術又は遺伝子工学を用いて生成又は製造された構築物である。
本発明の構築物は、モノクローナルであることが想定される。本明細書で使用される場合、「モノクローナル」(mAb)と称されるポリペプチド又は構築物は、実質的に均一な抗体/構築物の集団から得られ、すなわち、この集団に含まれる個々の抗体/構築物は、微量で存在し得る天然に存在する可能な変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除いて、(特にそのアミノ酸配列に関して)同一である。モノクローナル抗体/構築物は、高度に特異的であり、抗原内の単一のエピトープを対象としており、これは、典型的には異なる決定基(又はエピトープ)を対象とする異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と対照的である。この特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養によって合成されるため、他の免疫グロブリンによる混入を受けない点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体/構築物の特徴を示すのであり、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるものではない。
モノクローナル抗体の調製には、連続細胞株培養によって産生された抗体を提供するいずれかの技術を使用することができる。例えば、使用されるモノクローナル抗体は、Koehler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に説明されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)によって作製され得る。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのさらなる技術の例としては、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor,Immunology Today 4(1983),72)及びEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985),77-96)が挙げられる。
次に、ハイブリドーマは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び表面プラズモン共鳴(BIACORE(商標))分析などの標準方法を用いてスクリーニングして、特定の抗原に選択的に且つ好ましくは特異的に又は免疫特異的に結合する抗体を産生する1つ以上のハイブリドーマを同定することができる。例えば、組換え抗原、その天然に存在する形態、いずれかの変異体又は断片及びこれらの抗原性ペプチドなど、いずれかの形態の関連抗原が免疫原として使用され得る。BIAcore(商標)システムで採用されている表面プラズモン共鳴を使用して、標的抗原のエピトープにファージ抗体/構築物が結合する効率を高めることができる(Schier,Human Antibodies Hybridomas 7(1996),97-105;Malmborg,J.Immunol.Methods 183(1995),7-13)。
構築物又は結合ドメインを作製する別の例示的方法としては、タンパク質発現ライブラリー、例えば、ファージディスプレイ又はリボソームディスプレイライブラリーのスクリーニングが挙げられる。ファージディスプレイについては、例えば、Ladner et al.、米国特許第5,223,409号明細書、Smith(1985)Science 228:1315-1317、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)で説明されている。
ディスプレイライブラリーの使用に加えて、関連抗原を使用して、非ヒト動物、例えばげっ歯類(例えば、マウス、ハムスター、ウサギ又はラットなど)を免疫化することができる。一実施形態において、非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子の少なくとも一部を含む。例えば、マウス抗体産生が欠損したマウス系統を、ヒトIg(免疫グロブリン)遺伝子座の大きいフラグメントを用いて改変することが可能である。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する遺伝子に由来する抗原特異的モノクローナル抗体を製造及び選択し得る。例えば、Xenomouse(商標)マウス、Green et al.(1994)Nature Genetics 7:13-21、米国特許出願公開第2003-0070185号明細書、国際公開第96/34096号パンフレット及び国際公開第96/33735号パンフレットを参照されたい。
モノクローナル抗体は、非ヒト動物からも得られ、次いで当技術分野で公知の組換えDNA技術を使用して、修飾、例えばヒト化、脱免疫化、キメラ化などを行うことができる。修飾された構築物又は結合ドメインの例として、非ヒト抗体/構築物のヒト化変異体、「親和性成熟化した」構築物又は結合ドメイン(例えば、Hawkins et al.J.Mol.Biol.254,889-896(1992)及びLowman et al.,Biochemistry 30,10832-10837(1991)を参照されたい)及びエフェクター機能が変化した抗体変異体又は突然変異体(例えば、米国特許第5,648,260号明細書、前掲のKontermann and Duebel(2010)及び前掲のLittle(2009)を参照されたい)が挙げられる。
免疫学において、親和性成熟とは、B細胞が免疫応答の過程中に抗原に対する親和性が高まった抗体を産生する過程である。同じ抗原への反復曝露により、宿主は連続的により高い親和性の抗体を産生する。天然のプロトタイプと同様に、インビトロ親和性成熟は、突然変異及び選択の原理に基づいている。インビトロ親和性成熟は、抗体、抗体断片、抗体変異体、構築物又は結合ドメインを最適化するためにうまく使用されてきた。CDR内部のランダム突然変異は、放射線、化学的変異原又は誤りがちなPCRを用いて導入される。加えて、遺伝的多様性は、チェイン・シャッフリング法によって増大させることができる。ファージディスプレイのようなディスプレイ法を使用した2回又は3回の突然変異及び選択により、通常、低ナノモル濃度範囲の親和性の抗体、抗体断片、抗体変異体、構築物又は結合ドメインが得られる。
本発明の構築物又は結合ドメインの好ましい種類のアミノ酸置換変異には、親抗体構造(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体構造)の超可変領域内の1つ以上の残基を置換することが関わる。概して、結果として得られた、さらなる開発のために選択された変異体は、その生成の元になった親抗体構造と比べて改善された生物学的特性を有する。そのような置換変異体を作製するための簡便な方法は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟を含む。簡潔に言えば、超可変領域のいくつかの部位(例えば、6~7箇所の部位)を変異させて、各部位に可能なすべてのアミノ酸置換を生成する。このように生成された変異体を、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物との融合体として繊維状ファージ粒子から一価の状態で提示する。次いで、ファージにより提示された変異体を、本明細書に開示されるそれらの生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。抗原結合に大きく寄与する候補超可変領域部位(修飾のための候補)を同定するために、アラニンスキャニング突然変異誘発も実施することができる。代わりに又は加えて、抗原と構築物又は結合ドメインとの間の複合体の結晶構造の解析は、結合ドメインとその特異的抗原との間の接触点の同定に有益であり得る。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書中で詳述される技術による置換の候補である。そのような変異体が生成されると、変異体のパネルは、本明細書において説明されるようなスクリーニングに供され、1つ以上の関連するアッセイにおいて優れた特性を有する抗体、その抗原結合断片、構築物又は結合ドメインが、さらなる開発のために選択され得る。
本発明の構築物及び結合ドメインは、「キメラ」バージョンを特に含み、このキメラバージョンでは、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来するか又は特定の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか又は相同であり、この鎖の残部が所望の生物学的活性を示す限り、別の種に由来するか又は別の抗体のクラス若しくはサブクラスに属する抗体並びにそのような抗体の断片又はバリアント中の対応する配列と同一であるか又は相同である(米国特許第4,816,567号明細書、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))。本明細書における目的のキメラ構築物又は結合ドメインには、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿等)に由来する可変ドメイン抗原結合配列とヒト定常領域配列とを含む「霊長類化」構築物が含まれる。キメラ抗体又は構築物を作製する種々の手法が記載されている。例えば、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.ScL U.S.A.81:6851,1985、Takeda et al.,Nature 314:452,1985、Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号明細書;Boss et al.、米国特許第4,816,397号明細書;Tanaguchi et al.、欧州特許第0171496号明細書、欧州特許第0173494号明細書及び英国特許第2177096号明細書を参照されたい。
抗体、ポリペプチド構築物、抗体断片、抗体変異体又は結合ドメインは、例えば、国際公開第98/52976号パンフレット又は国際公開第00/34317号パンフレットに開示される方法を用いて、ヒトT細胞エピトープの特異的欠失(「脱免疫化」と呼ばれる方法)によっても修飾され得る。簡潔に言えば、MHCクラスIIに結合するペプチドに関して抗体、構築物又は結合ドメインの重鎖及び軽鎖可変領域を分析することができる。これらのペプチドは、潜在的T細胞エピトープに相当する(例えば、国際公開第98/52976号パンフレット及び国際公開第00/34317号パンフレットに定義される通り)。潜在的なT細胞エピトープの検出には、国際公開第98/52976号パンフレット及び国際公開第00/34317号パンフレットに記載される通り、「ペプチドスレッディング法」と呼ばれるコンピューターモデリング手法を適用することができ、加えて、ヒトMHCクラスII結合ペプチドのデータベースで、VH及びVL配列に存在するモチーフを検索することができる。これらのモチーフは、18の主要なMHCクラスIl DRアロタイプのいずれかに結合し、したがって潜在的なT細胞エピトープを構成する。検出された潜在的T細胞エピトープは、可変ドメイン又は可変領域内の少数のアミノ酸残基の置換によって又は好ましくは単一アミノ酸置換によって除去することができる。典型的には、保存的置換が行われる。限定されないが、多くの場合、ヒト生殖系列抗体配列中の位置に共通のアミノ酸が使用され得る。ヒト生殖細胞系配列については、例えば、Tomlinson,et al.(1992)J.Mol.Biol.227:776-798;Cook,G.P.et al.(1995)Immunol.Today Vol.16(5):237-242;及びTomlinson et al.(1995)EMBO J.14:14:4628-4638において開示される。V BASEディレクトリ(www2.mrc-lmb.cam.ac.uk/vbase/list2.php)は、ヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的な要覧を提供する(編纂者Tomlinson,LA.et al.MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UKにより編集)。これらの配列をヒト配列の供給源として、例えばフレームワーク領域及びCDRに使用することができる。例えば、米国特許第6,300,064号明細書に記載されるコンセンサスヒトフレームワーク領域を使用することもできる。
「ヒト化」抗体、そのバリアント又は断片、構築物及び結合ドメインは、主としてヒト配列の免疫グロブリンをベースとし、これは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する。ほとんどの場合、ヒト化抗体、そのバリアント又は断片、構築物及び結合ドメインは、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)をベースとし、このヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)では、超可変領域又はCDRからの残基が、所望の特異性、親和性、能力及び/又は生物学的活性を有する、げっ歯類(例えば、マウス、ハムスター、ラット又はウサギ)等の非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域又はCDRからの残基に置き換えられる。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、本明細書で使用されている「ヒト化」抗体、その変異体又は断片、構築物及び結合ドメインは、レシピエント抗体でもドナー抗体でも見られない残基も含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改良及び最適化するために行われる。ヒト化抗体、その変異体又は断片、構築物及び結合ドメインは、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分(例えば、Fc)も含み得、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含み得る。さらなる詳細については、Nature,321:522-525(1986);Reichmann et al.,Nature,332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)参照。
ヒト化抗体、その変異体又は断片、構築物及び結合ドメインを、抗原結合に直接関与しない(Fv)可変領域の配列をヒト(Fv)可変領域からの均等な配列に置き換えることにより作成し得る。そのような分子を生成するための例示的な方法は、Morrison(1985)Science 229:1202-1207;Oi et al.(1986)BioTechniques 4:214並びに米国特許第5,585,089号明細書、米国特許第5,693,761号明細書、米国特許第5,693,762号明細書、米国特許第5,859,205号明細書及び米国特許第6,407,213号明細書によって提供される。これらの方法は、重鎖又は軽鎖の少なくとも一方からの免疫グロブリン(Fv)可変領域のすべて又は一部をコードする核酸配列を単離すること、操作すること及び発現させることを含む。そのような核酸は、上記のように、所定の標的に対する抗体を産生するハイブリドーマ及び他の供給源から得ることができる。次に、ヒト化抗体、そのバリアント若しくは断片、構築物又は結合ドメインをコードする組換えDNAを適切な発現ベクターにクローニングし得る。
ヒト化抗体、そのバリアント又は断片、構築物及び結合ドメインを、ヒト重鎖及び軽鎖の遺伝子を発現するが、内因性マウス免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子の発現能を有しないトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用しても作製し得る。Winterは、本明細書に記載されるヒト化分子の調製に用い得る例示的CDRグラフト方法について記載している(米国特許第5,225,539号明細書)。所与のヒト配列のCDRがすべて、非ヒトCDRの少なくとも一部に置き換えら得るか、又はCDRの一部のみが非ヒトCDRに置き換えられ得る。ヒト化分子が所定の抗原に結合するのに必要な数のCDRを置き換えるのみで十分である。
ヒト化抗体、そのバリアント若しくは断片、構築物又は結合ドメインを保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖細胞系列置換及び/又は復帰変異の導入により最適化し得る。そのような変化した免疫グロブリン分子は、当技術分野で公知のいくつかの技術のいずれかによって作製することができる(例えば、Teng et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:7308-7312,1983;Kozbor et al.,Immunology Today,4:7279,1983;Olsson et al.,Meth.Enzymol.,92:3-16,1982及び欧州特許第239400号明細書)。
ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答により、業界はキメラ抗体又は他のヒト化抗体/構築物を調製するに至った。しかしながら、特に抗体又は構築物の慢性又は多用量利用において、ある種のヒト抗キメラ抗体(HACA)反応が観察されるであろうことが予想される。したがって、HAMA又はHACA反応の懸念及び/又は影響をなくすために、標的に対するヒト結合ドメインを含む構築物を提供することが望ましいであろう。
そのため、一実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、少なくとも1つのさらなる結合ドメインを有し、前記結合ドメインは、「ヒト」である。用語「ヒト抗体」、「ヒト構築物」及び「ヒト結合ドメイン」には、例えば、Kabat et al.(1991)(前掲)によって記載されているものを含む、当技術分野で公知のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に実質的に対応する、可変領域及び定常領域又はドメインなどの抗体由来領域をそれぞれ有する抗体、構築物及び結合ドメインが含まれる。本発明のヒト構築物又は結合ドメインは、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダム又は部位特異的突然変異誘発により導入されるか、又はインビボで体細胞突然変異により導入された突然変異)を、例えばCDR、特にCDR3に含み得る。ヒト構築物又は結合ドメインは、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基に置き換えられた少なくとも1、2、3、4、5つ又はそれを超える位置を有し得る。本明細書で使用される通りのヒト抗体、構築物及び結合ドメインの定義は、Xenomouse(商標)マウス等の技術又はシステムを用いて誘導し得るもののように、抗体の人工的及び/又は遺伝的に改変されていないヒト配列のみを含む完全ヒト抗体、構築物及び結合ドメインも企図する。
少なくとも1つのヒト結合ドメインを含むポリペプチド/ポリペプチド構築物は、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター又はウサギ)などの非ヒト可変及び/又は定常領域を有する抗体又は構築物に伴う問題の一部を回避する。そのような齧歯類由来タンパク質が存在すると、抗体若しくは構築物の迅速なクリアランスをもたらす可能性があるか、又は患者による抗体若しくは構築物に対する免疫応答を生じさせる可能性がある。げっ歯類由来の構築物の使用を回避するため、げっ歯類が完全ヒト抗体を産生するようにげっ歯類にヒト抗体機能を導入してヒト化又は完全ヒト構築物を作製することができる。
YACにおいてメガベースサイズのヒト遺伝子座をクローニング及び再構築する能力並びにそれらをマウス生殖細胞系列に導入する能力は、非常に大きいか又は粗くマッピングされた遺伝子座の機能的要素の解明並びにヒト疾患の有用なモデルの作出にとって強力な手法を提供する。さらに、マウス遺伝子座をそれらのヒト均等物で置換するためのそのような技術の使用は、発生中のヒト遺伝子産物の発現及び調節、他の系とのそれらのコミュニケーション並びに疾患の誘導及び進行へのそれらの関与に対する特有の洞察を提供することができる。
そのような戦略の重要な実際的応用は、マウス体液性免疫系の「ヒト化」である。内在性免疫グロブリン(Ig)遺伝子が不活性化されたマウスへのヒトIg遺伝子座の導入により、抗体のプログラムされた発現及び構築並びにB細胞の発生におけるそれらの役割の基礎となる機構を研究する機会が得られる。さらに、このような戦略であれば、ヒト疾患における抗体療法の可能性を実現する上で重要なマイルストーンとなる完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)の作製にとって理想的な供給源を得ることができるであろう。完全ヒト抗体又はそれに由来する構築物は、マウスmAb又はマウス由来mAbに固有の免疫原性及びアレルギー反応を最小化し、それによって投与される抗体/構築物の有効性及び安全性を増大させることが期待される。完全ヒト抗体又は構築物の使用により、化合物の反復投与を必要とする慢性及び再発性のヒト疾患、例えば炎症、自己免疫及び癌の治療に実質的な利点が得られると予想され得る。
この目標に向けた1つのアプローチは、そのようなマウスがマウス抗体の非存在下でヒト抗体の大きいレパートリーを産生することを見越して、ヒトIg遺伝子座の大きい断片を用いてマウス抗体産生が欠損したマウス系統を操作することであった。大きいヒトIg断片は、大きい可変遺伝子多様性並びに抗体産生及び発現の適切な調節を保存するであろう。抗体の多様化及び選択並びにヒトタンパク質に対する免疫寛容の欠如のためにマウス機構を利用することにより、これらのマウス株における再現されたヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含む任意の目的の抗原に対する高親和性抗体を生じるはずである。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトmAbを容易に産生及び選択することができた。この一般的な戦略は、最初のXenoMouse(商標)マウス系統の発生と関連して実証された(Green et al.Nature Genetics 7:13-21(1994)を参照されたい)。このXenoMouse(商標)系統は、可変領域及び定常領域のコア配列を含有したヒト重鎖遺伝子座及びカッパ軽鎖遺伝子座のそれぞれ245kb及び190kbサイズの生殖細胞系列配置断片を含有する酵母人工染色体(YAC)を用いて操作された。YACを含有するヒトIgは、抗体の再配列及び発現の両方についてマウス系と適合性であることが証明され、不活性化マウスIg遺伝子を置換することができた。これは、それらがB細胞の発生を誘導して、完全ヒト抗体の成体様ヒトレパートリーを産生し、抗原特異的ヒトmAbを産生する能力によって実証された。これらの結果は、多数のV遺伝子、追加の調節エレメント及びヒトIg定常領域を含有するヒトIg遺伝子座の大部分の導入が、感染及び免疫化に対するヒト液性応答を特徴とする実質的に完全なレパートリーを再現し得ることも示唆した。Green et al.の研究は、それぞれヒト重鎖遺伝子座及びκ軽鎖遺伝子座のメガベースサイズの生殖細胞系列配置YAC断片を導入することによる約80%超のヒト抗体レパートリーの導入にまで拡張された。Mendez et al.Nature Genetics 15:146-156(1997)及び米国特許出願公開第08/759,620号明細書を参照されたい。
XenoMouse(商標)モデルの作製は、米国特許出願公開第07/466,008号明細書、同第07/610,515号明細書、同第07/919,297号明細書、同第07/922,649号明細書、同第08/031,801号明細書、同第08/112,848号明細書、同第08/234,145号明細書、同第08/376,279号明細書、同第08/430,938号明細書、同第08/464,584号明細書、同第08/464,582号明細書、同第08/463,191号明細書、同第08/462,837号明細書、同第08/486,853号明細書、同第08/486,857号明細書、同第08/486,859号明細書、同第08/462,513号明細書、同第08/724,752号明細書、同第08/759,620号明細書並びに米国特許第6,162,963号明細書;同第6,150,584号明細書;同第6,114,598号明細書;同第6,075,181号明細書及び同第5,939,598号明細書並びに日本特許第3068180B2号公報、同第3068506B2号公報及び同第3068507B2号公報でさらに議論され詳述されている。Mendez et al.Nature Genetics 15:146-156(1997)及びGreen and Jakobovits J.Exp.Med.188:483-495(1998)、欧州特許第0463151B1号明細書、国際公開第94/02602号パンフレット、国際公開第96/34096号パンフレット、国際公開第98/24893号パンフレット、国際公開第00/76310号パンフレット及び国際公開第03/47336号パンフレットも参照されたい。
別のアプローチでは、とりわけ、GenPharm International,Inc.を含む他社が「小遺伝子座(minilocus)」アプローチを利用している。小遺伝子座法では、外来性Ig遺伝子座は、Ig遺伝子座からの小片(個々の遺伝子)を含めることを通して模倣される。したがって、1つ以上のVH遺伝子、1つ以上のDH遺伝子、1つ以上のJH遺伝子、μ定常領域及び第2の定常領域(好ましくはγ定常領域)が動物への挿入用構築物として形成される。この手法は、Surani et al.に対する米国特許第5,545,807号明細書並びにそれぞれLonberg及びKayに対する米国特許第5,545,806号明細書、同第5,625,825号明細書、同第5,625,126号明細書、同第5,633,425号明細書、同第5,661,016号明細書、同第5,770,429号明細書、同第5,789,650号明細書、同第5,814,318号明細書、同第5,877,397号明細書、同第5,874,299号明細書及び同第6,255,458号明細書、Krimpenfort及びBernsに対する米国特許第5,591,669号明細書及び同第6,023.010号明細書、Berns et al.に対する米国特許第5,612,205号明細書、同第5,721,367号明細書及び同第5,789,215号明細書並びにChoi及びDunnに対する米国特許第5,643,763号明細書並びにGenPharm Internationalの米国特許出願公開第07/574,748号明細書、同第07/575,962号明細書、同第07/810,279号明細書、同第07/853,408号明細書、同第07/904,068号明細書、同第07/990,860号明細書、同第08/053,131号明細書、同第08/096,762号明細書、同第08/155,301号明細書、同第08/161,739号明細書、同第08/165,699号明細書、同第08/209,741号明細書に記載されている。欧州特許第0546073B1号明細書、国際公開第92/03918号パンフレット、国際公開第92/22645号パンフレット、国際公開第92/22647号パンフレット、国際公開第92/22670号パンフレット、国際公開第93/12227号パンフレット、国際公開第94/00569号パンフレット、国際公開第94/25585号パンフレット、国際公開第96/14436号パンフレット、国際公開第97/13852号パンフレット及び国際公開第98/24884号パンフレット並びに米国特許第5,981,175号明細書も参照されたい。さらに、Taylor et al.(1992)、Chen et al.(1993)、Tuaillon et al.(1993)、Choi et al.(1993)、Lonberg et al.(1994)、Taylor et al.(1994)及びTuaillon et al.(1995)、Fishwild et al.(1996)を参照されたい。
Kirinも、ミクロセル融合によって大きい染色体片又は染色体全体が導入された、マウスからのヒト抗体の作製を実証した。欧州特許出願公開第773288号明細書及び同第843961号明細書を参照されたい。Xenerex Biosciencesは、ヒト抗体の潜在的な作製のための技術を開発している。この技術では、SCIDマウスをヒトリンパ細胞、例えばB細胞及び/又はT細胞で再構成する。次いで、マウスを抗原で免疫化し、抗原に対する免疫応答を生じさせることができる。米国特許第5,476,996号明細書、同第5,698,767号明細書及び同第5,958,765号明細書を参照されたい。
いくつかの実施形態では、本発明の構築物は、「単離された」又は「実質的に純粋な」構築物である。「単離された」又は「実質的に純粋な」は、本明細書に開示される構築物の記載に使用されるとき、その生産環境の成分から識別、分離及び/又は回収されている構築物を意味する。好ましくは、構築物は、その生産環境由来の他のすべての成分との関連がないか、又は実質的に関連がない。組換えトランスフェクト細胞から生じるものなど、その産生環境の夾雑成分は、構築物の診断又は治療使用を妨げ得る材料であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性又は非タンパク質性化合物を挙げることができる。単離された又は実質的に純粋な構築物は、状況に応じて、所与の試料における全タンパク質/ポリペプチド含量の5重量%~99.9重量%を占め得ることが理解される。所望の構築物は、誘導性プロモーター又は高発現プロモーターを使用して、有意により高い濃度で製造され得る。この定義は、当技術分野で知られている多種多様な生物体及び/又は宿主細胞における構築物の産生を含む。特定の実施形態において、構築物は、(1)スピニングカップシークエネーターを用いることによりN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー又は好ましくは銀染色法を用いた非還元又は還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製されることになる。しかしながら、通常、単離された構築物は、少なくとも1つの精製工程により調製されることになる。
一実施形態によれば、構築物全体及び/又は結合ドメインは、1つ以上のポリペプチドの形態又はタンパク質の形態である。タンパク質性部分に加えて、そのようなポリペプチド又はタンパク質は、非タンパク質性部分(例えば、化学的リンカー又は化学的架橋剤、例えばグルタルアルデヒド)を含み得る。
ペプチドは、共有結合性ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸モノマーの短鎖である。そのため、ペプチドは、広範な化学的クラスの生物学的オリゴマー及びポリマーに分類される。ペプチド又はポリペプチド鎖の一部であるアミノ酸は「残基」と呼ばれ、連続してナンバリングすることができる。環状ペプチドを除くすべてのペプチドは、ペプチドの一端にN末端残基を有し、他端にC末端残基を有する。オリゴペプチドは、ごく少数のアミノ酸からなる(通常、2~20個)。ポリペプチドは、より長く連続した非分枝ペプチド鎖である。ペプチドは、サイズに基づいてタンパク質と区別され、任意の基準としておよそ50個以下のアミノ酸を含有するものと理解され得る。タンパク質は、通常、生物学的に機能的な方法で配置された1個以上のポリペプチドからなる。ペプチドとポリペプチド及びタンパク質とに適用される実験技法の態様(例えば、電気泳動法、クロマトグラフィー等の詳細)が異なるが、ペプチドをポリペプチド及びタンパク質と区別するサイズ境界は、絶対的ではない。そのため、本発明に関連して、「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、相互交換可能に使用され得、「ポリペプチド」という用語が多くの場合に好ましい。
ポリペプチドは、上述のように、2個以上のポリペプチド分子からなる二量体、三量体及びより高次のオリゴマー等の多量体をさらに形成し得る。このような二量体、三量体などを形成するポリペプチド分子は、同一であっても又はなくてもよい。そのような多量体の対応する高次構造は、結果的に、ホモ二量体又はヘテロ二量体、ホモ三量体又はヘテロ三量体等と称される。ヘテロ多量体の例は、その天然に存在する形態において、2つの同一のポリペプチド軽鎖及び2つの同一のポリペプチド重鎖からなる抗体分子又は免疫グロブリン分子である。「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、修飾が、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などの翻訳後修飾によって達成される天然に修飾されたペプチド/ポリペプチド/タンパク質も指す。「ペプチド」、「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、本明細書で言及される場合、ペグ化など、化学的にも修飾され得る。そのような修飾は、当技術分野で周知であり、本明細書で後述される。
「選択的に」及び「好ましくは、選択的に」、「(特異的に又は免疫特異的に)結合する」、「(特異的に又は免疫特異的に)認識する」又は「(特異的に又は免疫特異的に)反応する」という用語は、本発明に従い、構築物又は結合ドメインが、標的分子(抗原)、本明細書ではそれぞれCD3上の所与のエピトープと選択的に相互作用する又は(免疫学的)特異的に相互作用することを意味する。この選択的相互作用又は会合は、代替物質(非標的分子、例えば、本明細書ではCD3γ等)と比べて、特定の標的(本明細書ではCD3ε)上のエピトープに対してより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、より高い親和性で又はこれらのパラメータのいくつかの組合せで生じる。しかしながら、異なる種における相同タンパク質間の配列類似性のため、標的(例えば、ヒト標的)に選択的に且つ/又は免疫特異的に結合する構築物又は結合ドメインは、異なる種由来の(例えば、非ヒト霊長類由来の)相同標的分子と交差反応し得る。したがって、「選択的に結合する」、「特異的/免疫特異的結合」などという用語は、2個以上の種のエピトープ又は構造的に関連するエピトープへの構築物又は結合ドメインの結合を含み得る。本発明との関連において、本発明のポリペプチドは、そのそれぞれの標的構造に特定の様式で結合する。好ましくは、本発明に係るポリペプチドは、それぞれの標的構造に「特異的に若しくは免疫特異的に結合する」か、それを「(特異的に若しくは免疫特異的に)認識する」か又はそれと「(特異的に若しくは免疫特異的に)反応する」1つの結合ドメイン当たり1つのパラトープを含む。これは、本発明に従い、ポリペプチド又はその結合ドメインが、標的分子(抗原)、すなわちCD3ε上の所与のエピトープと相互作用するか又は(免疫)特異的に相互作用するこし、特定の実施形態では、第2及び/又は第3の標的分子など、少なくとも1つのさらなる標的分子上の所与のエピトープと相互作用することを意味する。この相互作用又は会合は、代替物質(非標的分子)と比べて、特定の標的上のエピトープに対してより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、より大きい親和性で又はこれらのパラメータのいくつかの組合せで生じる。しかしながら、異なる種における相同タンパク質間の配列類似性のため、その標的(ヒト標的など)に免疫特異的に結合する抗体構築物又は結合ドメインは、異なる種(非ヒト霊長類など)からの相同標的分子と交差反応し得る。したがって、用語「特異的な/免疫特異的な結合」は、複数の種中のエピトープ及び/又は構造的に関連するエピトープに対する抗体構築物又は結合ドメインの結合を含み得る。用語「(免疫)選択的に結合する」は、構造的に関連するエピトープへの結合を除外する。
本発明に関連して、「エピトープ」という用語は、結合構造、すなわちパラトープによって選択的に認識される/免疫特異的に認識される抗原の部分又は領域を指す。「エピトープ」は、抗原性であり、したがってエピトープという用語は、本明細書では「抗原構造」又は「抗原決定基」とも呼ばれることがある。エピトープに結合する結合ドメインの部分は、パラトープと呼ばれる。特異的結合は、結合ドメイン及び抗原のアミノ酸配列中の特異的モチーフによって達成されると考えられている。したがって、結合は、その一次構造、二次構造及び/又は三次構造のため並びに前記構造の潜在的な二次修飾の結果として達成される。パラトープがその抗原決定基と特異的に相互作用すると、前記部位が抗原に単純に結合し得る。いくつかの場合、代わりに又は加えて、特異的相互作用により、例えば抗原の立体配座の変化の誘導、抗原のオリゴマー化などに起因してシグナルの開始がもたらされ得る。
タンパク質抗原のエピトープは、その構造及びパラトープとの相互作用に基づいて2つのカテゴリー、立体エピトープ及び線状エピトープに分類される。立体配座エピトープは、抗原のアミノ酸配列の不連続なセクションから構成される。こうしたエピトープは、抗原の三次元表面の特徴及び形状又は三次構造(折り畳み)に基づいてパラトープと相互作用する。エピトープの立体配座を決定する方法としては、X線結晶学、二次元核磁気共鳴(2D-NMR)分光法並びに部位特異的スピン標識及び電子常磁性共鳴(EPR)分光法があるが、これらに限定されない。対照的に、線状エピトープは、その一次構造に基づいて、パラトープと相互作用する。線状エピトープは、抗原由来のアミノ酸の連続配列によって形成され、典型的には、特有の配列内に少なくとも3つ又は少なくとも4つ、より一般的には少なくとも5つ又は少なくとも6つ又は少なくとも7つ、例えば約8~約10個のアミノ酸を含む。
所与のヒト標的タンパク質についてのエピトープマッピングのための方法を以下に説明する。前記所与のヒト標的タンパク質内の所定の領域(連続したアミノ酸ストレッチ)は、標的タンパク質パラログの対応する領域と交換される/置き換えられる(結合ドメインが、使用されるパラログと交差反応しない限り)。これらのヒト標的/パラログキメラを宿主細胞(CHO細胞など)の表面上に発現させる。抗体又は構築物の結合は、FACS解析を介して試験することができる。このキメラ分子への抗体若しくは構築物の結合が完全になくなる場合又は大幅な結合の低下を観察する場合、このキメラ分子から取り除かれたヒト標的の領域が免疫特異的エピトープ-パラトープ認識に関連すると結論付けることができる。前記結合の低下は、ヒト(野生型)標的への結合と比較して、好ましくは少なくとも10%、20%、30%、40%又は50%、より好ましくは少なくとも60%、70%又は80%、最も好ましくは90%、95%又はさらに100%であり、それにより、ヒト標的への結合は100%であるよう設定される。代わりに、上述のエピトープマッピング解析は、1つ又はいくつかの点突然変異をヒト標的の配列へと導入することによって改変することができる。これらの点突然変異は、例えば、ヒト標的とそのパラログとの間の差異を反映し得る。
構築物又は結合ドメインによる認識に対する標的抗原の特定の残基の寄与を決定するさらなる方法は、解析される各残基を、例えば、部位特異的変異誘発によりアラニンに置き換えるアラニンスキャニング(例えば、Morrison KL&Weiss GA.Curr Opin Chem Biol.2001 Jun;5(3):302-7を参照されたい)である。アラニンが使用される理由は、アラニン以外のアミノ酸の多くが有する二次構造基準をそれでも模倣する、かさ高くなく、化学的に不活性なメチル官能基があるからである。突然変異した残基のサイズの保存が所望される場合、バリン又はロイシンなどのかさ高いアミノ酸を使用し得る。
結合ドメインと標的抗原のエピトープとの間の相互作用は、結合ドメインがエピトープ/標的抗原(本明細書ではCD3)に対して認識可能な又は有意な親和性を呈し、概して標的抗原以外のタンパク質又は抗原に対して、上述で論議した、例えば他の種由来の相同標的との交差反応性があったとしても、有意な親和性を呈さないことを含意する。「有意な親和性」としては、10-6M以下の親和性(解離定数、KD)での結合が挙げられる。好ましくは、結合は、結合親和性が10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下又はさらに10-11M以下若しくは10-12M以下であるときに特異的と見なされる。結合ドメイン(免疫)が標的と特異的に反応又は結合するかどうかは、例えば、その所望の標的タンパク質又は抗原に対する前記結合ドメインの親和性を非標的タンパク質又は抗原(ここではそれぞれCD3以外のタンパク質)に対する前記結合ドメインの親和性と比較することにより、容易に試験することができる。好ましくは、本発明の構築物は、さらなる標的に対する任意のさらなる結合ドメインが本発明の構築物に意図的に導入されない限り、CD3以外のタンパク質又は抗原に有意に結合せず(すなわち、CD3結合ドメインは、CD3以外のタンパク質に結合しない)、その場合、その結合ドメインのその特異的標的への結合も本発明によって提供される。
第1のドメインの親和性は、ヒトCD3εについて100nM以下、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、30nM以下又は20nM以下であることが想定される。これらの値は、好ましくは、スキャッチャードアッセイなど、細胞ベースのアッセイで測定される。他の親和性決定方法も周知である。これらの値は、好ましくは、Biacoreアッセイなど、表面プラズモン共鳴アッセイで測定される。
「有意に結合しない」及び「選択的に結合しない」という用語は、本発明の構築物又は結合ドメインが、細胞の表面上に発現する場合、前記CD3以外のタンパク質又は抗原に結合しないことを意味する。したがって、構築物は、CD3以外のタンパク質又は抗原と(前記タンパク質又は抗原が細胞の表面上に発現するときに)30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下の反応性(ここではそれぞれCD3への結合を100%とする)を示す。「反応性」は、例えば、親和性値で表すことができる(上述を参照されたい)。
本発明の構築物(より具体的にはヒトCD3εに結合するパラトープ/結合ドメインを含むドメイン)は、CD3ε類似体、より具体的にはヒトCD3ε類似体及び/又はマカク/カニクイザルCD3ε類似体に結合しないか又は有意に結合しないことが想定される。構築物が標的細胞の表面上の(ヒト又はマカク/カニクイザル)CD3εパラログに結合しないか又は有意に結合しないことも想定される。
ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインの一部としてのVH領域は、上記のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3配列を含む。CDR配列は、当技術分野で一般的な慣行であるように、プレースホルダの代わりになり得る所与のアミノ酸残基について「X」として示されるプレースホルダを含む。プレースホルダは、所与のCDR配列ごとに、X、X、Xなどの形式で連続してナンバリングされる。列挙されたCDR配列中のプレースホルダの代わりになり得るアミノ酸残基は、好ましくは、例えば他の実施形態では、特に明記されない限り、最初に列挙されたアミノ酸が最も好ましく、2番目に列挙されたアミノ酸が2番目に好ましく、以下同様である。配列が2つ以上のプレースホルダを含む場合、アミノ酸の優先性に関して同じことが適用され;すなわち各プレースホルダについて列挙された最初のアミノ酸残基の組合せが最も好ましく、各プレースホルダについて列挙された2番目のアミノ酸残基の組合せが2番目に好ましいなどである。この好ましい階層は、異なる好ましいアミノ酸残基が組み合わされるように、前記好ましい階層とは独立したプレースホルダのそれぞれについてのアミノ酸残基の組合せを排除しない。同じ階層は、本明細書中下記に記載されるアミノ酸配列におけるプレースホルダの代わりになる本明細書中下記に列挙されるすべてのアミノ酸残基に当てはまる。したがって、上記は、VH及びVL配列並びに本明細書全体を通して列挙される任意の他の配列の配列において「X」として示されるプレースホルダにも適用される。
CDR-H1配列は、XYAXNのアミノ酸配列を含み、Xは、K、V、S、G、R、T又はIであり;Xは、M又はIである。プレースホルダアミノ酸に関して、上記で説明した階層に従い、プレースホルダX及びXのアミノ酸は、その嗜好性に従って列挙され、最初に列挙されたアミノ酸が最も好ましく、2番目に列挙されたアミノ酸が2番目に好ましいなどである。Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Mが最も好ましい。好ましい組合せは、それぞれK及びM、V及びM、S及びMから選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのMであり、最も好ましい組合せはK及びMである。別の好ましい組合せは、それぞれX及びXのK及びIである。CDR-H1配列の好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、GYAMN、RYAMN、TYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINが最も好ましい。
CDR-H2配列は、RIRSKYNNYATYYADXVKXのアミノ酸配列を含み、Xは、S又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEである。Xについて、アミノ酸Sが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Dが最も好ましい。好ましい組合せは、S及びD、S及びG、S及びK、S及びSから選択される、それぞれX及びXに対する組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのSであり、最も好ましいのは組合せS及びDである。CDR-H2配列の好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKE、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。
CDR-H3配列は、HXNFGNSYXSXAYのアミノ酸配列を含み、Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;Xは、W、F又はYである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Iが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Yが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Wが最も好ましい。CDR-H3配列の好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
CDR-L1配列は、XSSTGAVTXYXNのアミノ酸配列を含み、Xは、G、R又はAであり;Xは、S又はTであり;Xは、G又はSであり;Xは、N又はYであり;Xは、P又はAである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Sが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Nが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Pが最も好ましい。CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。
CDR-L2配列は、XTXのアミノ酸配列を含み、Xは、G又はAであり;Xは、K、D又はNであり;Xは、F、M又はKであり;Xは、L又はRであり;Xは、A、P又はVであり;Xは、P又はSである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Fが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Lが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Aが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Pが最も好ましい。CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS、GTKFLVP及びGTNKRAPから選択され、GTKFLAPが最も好ましい。
CDR-L3配列は、XLWYSNXWVのアミノ酸配列を含み、Xは、V、A又はTであり;Xは、R又はLである。Xについて、アミノ酸Vが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Rが最も好ましい。好ましい組合せは、V及びR、A及びR、T及びRからそれぞれ選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのRであり、最も好ましい組合せはV及びRである。CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV、TLWYSNRWV及びALWYSNLWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。
好ましい実施形態において、i)の前記VH領域は、XYAXNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなるCDR-H1配列(Xは、K、V、S、G、R又はIであり;Xは、M又はIである);RIRSKYNNYATYYADXVKXのCDR-H2配列(Xは、S又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEである);及びHXNFGNSYXSXAYのCDR-H3配列(Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;Xは、W、F又はYである)を含み;及びii)の前記VL領域は、XSSTGAVTSGXYPNのCDR-L1配列(Xは、G、R又はAであり;XはN又はYである);XTXのCDR-L2配列(XはG又はAであり;XはK又はDであり;XはF又はMであり;XはL又はRであり;Xは、A、P又はVであり;XはP又はSであり;及びXLWYSNRWVのCDR-L3配列(XはV、A又はTである)を含み;i)のVH領域及び/又はii)のVL領域の前記1つ以上のCDR配列は、CDR-H1中のX4V又はX4F;CDR-H2中のD15(好ましくはE)、X16A;CDR-H3中のH1(好ましくはA又はN)、X2E、F4(好ましくはI)及び/又はCDR-H3中のN6(好ましくはS又はT);及びCDR-L3中のW93(好ましくはY)から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
前記CDR-H1配列は、XYAXNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、K、V、S、G、R又はIであり;Xは、M又はIである。Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Mが最も好ましい。好ましい組合せは、それぞれK及びM、V及びM、S及びMから選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのMであり、最も好ましい組合せはK及びMである。別の好ましい組合せは、それぞれX及びXのK及びIである。CDR-H1配列の好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、GYAMN、RYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINが好ましく、KYAMNが最も好ましい。
前記CDR-H2配列は、RIRSKYNNYATYYADXVKXのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、S又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEである。Xについて、アミノ酸Sが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Dが最も好ましい。好ましい組合せは、S及びD、S及びG、S及びK、S及びSから選択される、それぞれX及びXに対する組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組合せたXのSであり、最も好ましいのは組合せS及びDである。CDR-H2配列の好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKE、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。
CDR-H3配列は、HXNFGNSYXSXAYのアミノ酸配列を含み、Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;XはW、F又はYである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Iが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Yが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Wが最も好ましい。CDR-H3配列の好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
CDR-L1配列は、XSSTGAVTSGXYPNのアミノ酸配列を含み、Xは、G、R又はAであり;Xは、N又はYである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Nが好ましい。CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN及びASSTGAVTSGNYPNから選択され、GSSTGAVTSGNYPN又はASSTGAVTSGNYPNが好ましく、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。
CDR-L2配列は、XTXのアミノ酸配列を含み;XはG又はAであり;Xは、K又はDであり;Xは、F又はMであり;Xは、L又はRであり;Xは、A、P又はVであり;Xは、P又はSである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Fが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Lが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Aが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Pが最も好ましい。CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS及びGTKFLVPから選択され、GTKFLAP又はGTKFLVPが好ましく、GTKFLAPが最も好ましい。
CDR-L3配列は、XLWYSNRWVのアミノ酸配列を含み、XはV、A又はTであり、アミノ酸Vが最も好ましい。CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV及びTLWYSNRWVから選択され、VLWYSNRWV又はTLWYSNRWVがより好ましく、VLWYSNRWVが最も好ましい。
さらに好ましい実施形態において、i)の前記VH領域は、XYAXNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなるCDR-H1配列(Xは、K、V、S、R又はIであり;Xは、M又はIである);RIRSKYNNYATYYADXVKXのCDR-H2配列(Xは、S又はQであり;Xは、D、G、K又はSである);及びHXNFGNSYXSXAYのCDR-H3配列(XはG又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;Xは、W、F又はYである)を含み;及びii)の前記VL領域は、XSSTGAVTSGXYPNのCDR-L1配列(XはG又はAであり;XはN又はYである);GTKFLXPのCDR-L2配列(XはA又はVである);及びXLWYSNRWVのCDR-L3配列(XはV、A又はTである);i)のVH領域及び/又はii)のVL領域の前記1つ以上のCDR配列は、CDR-H1中のX4V又はX4F;CDR-H2中のD15(好ましくはE)、X16A;CDR-H3中のH1(好ましくはA又はN)、X2E、F4(好ましくはI)及び/又はN6(好ましくはS又はT);及びCDR-L3中のW93(好ましくはY)から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
前記CDR-H1配列は、XYAXNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、K、V、S、R又はIであり;Xは、M又はIである。Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Mが最も好ましい。好ましい組合せは、それぞれK及びM、V及びM、S及びMから選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのMであり、最も好ましい組合せはK及びMである。別の好ましい組合せは、それぞれX及びXのK及びIである。CDR-H1配列の好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、RYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINが好ましく、KYAMNが最も好ましい。
前記CDR-H2配列は、RIRSKYNNYATYYADXVKXのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、S又はQであり;Xは、D、G、K又はSである。Xについて、アミノ酸Sが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Dが最も好ましい。好ましい組合せは、例えば、それぞれS及びD、S及びG、S及びK、S及びSから選択されるX及びXについての組合せ等のXのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのSであり、最も好ましくは組合せS及びDである。CDR-H2配列の好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKD又はRIRSKYNNYATYYADQVKDが好ましく、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。
前記CDR-H3配列は、HXNFGNSYXSXAYのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、G又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;Xは、W、F又はYである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Iが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Yが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Wが最も好ましい。CDR-H3配列の好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY及びHANFGNSYISYWAYから選択され、HGNFGNSYISYWAY又はHANFGNSYISYWAYが好ましく、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
前記CDR-L1配列は、XSSTGAVTSGXYPNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、G又はAであり;Xは、N又はYである。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Nが好ましい。CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、GSSTGAVTSGYYPN及びASSTGAVTSGNYPNから選択され、GSSTGAVTSGNYPN又はASSTGAVTSGNYPNが好ましく、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。
前記CDR-L2配列は、GTKFLXPのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり;Xは、A又はVである。Xについて、アミノ酸Aが好ましい。前記CDR-L2配列は、GTKFLAP又はGTKFLVPであり、GTKFLAPが好ましい。
CDR-L3配列は、XLWYSNRWVのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、XはV、A又はTであり、アミノ酸Vが最も好ましい。CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV及びTLWYSNRWVから選択され、VLWYSNRWV又はTLWYSNRWVがより好ましく、VLWYSNRWVが最も好ましい。
さらにより好ましい実施形態において、i)の前記VH領域は、XYAMNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなるCDR-H1配列(Xは、K又はSである);RIRSKYNNYATYYADSVKXのCDR-H2配列(Xは、D又はGである);及びHGNFGNSYXSXWAYのCDR-H3配列(Xは、I又はVであり;XはY又はWである)を含み;ii)の前記VL領域は、GSSTGAVTSGXYPNのCDR-L1配列(XはN又はYである);GTKFLAPのCDR-L2配列;及びXLWYSNRWVのCDR-L3配列(XはV又はAである)を含み;i)のVH領域及び/又はii)のVL領域の前記1つ以上のCDR配列は、CDR-H1中のM4V又はM4F;CDR-H2中のD15(好ましくはE)、S16A;CDR-H3中のH1(好ましくはA又はN)、G2E、F4(好ましくはI)及び/又はN6(好ましくはS又はT);及びCDR-L3中のW93(好ましくはY)から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
前記CDR-H1配列は、XYAMNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、K又はSであり、アミノ酸Kが好ましい。前記CDR-H1配列は、KYAMN又はSYAMNであり、KYAMNが最も好ましい。
前記CDR-H2配列は、RIRSKYNNYATYYADSVKXのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、D又はGである。Xについて、アミノ酸Dが好ましい。前記CDR-H2配列は、RIRSKYNNYATYYADSVKD又はRIRSKYNNYATYYADSVKGであり、RIRSKYNNYATYYADSVKDが好ましい。
前記CDR-H3配列は、HGNFGNSYXSXWAYのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、I又はVであり;Xは、Y又はWである。Xについて、アミノ酸Iが好ましく;Xについて、アミノ酸Yが好ましい。前記CDR-H3配列は、HGNFGNSYISYWAY又はHGNFGNSYVSWWAYであり、HGNFGNSYISYWAYが好ましい。
前記CDR-L1配列は、GSSTGAVTSGXYPNのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、Xは、N又はYである。Xについて、アミノ酸Nが好ましい。前記CDR-L1配列は、GSSTGAVTSGNYPN又はGSSTGAVTSGYYPNであり、GSSTGAVTSGNYPNが好ましい。
前記CDR-L2配列は、GTKFLAPのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
CDR-L3配列は、XLWYSNRWVのアミノ酸配列を含むか又はそれからなり、XはV又はAであり、Vが好ましい。前記CDR-L3配列はVLWYSNRWV又はALWYSNRWVであり、VLWYSNRWVが好ましい。
CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3配列の各々は、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3(これはVH領域及びVL領域の好ましい配向である)又はCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の形式で自由に組み合わされ、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに列挙された結合を示す。
VL領域のCDR-L1~L3配列の好ましい組合せ及びVH領域のCDR-H1~H3配列の好ましい組合せを以下の表1に列挙する。
Figure 2023547661000001
好ましくは、上述に列挙されたCDR-L1~L3の組合せのいずれかは、ヒトCD3ε鎖の細胞外に結合する結合ドメインの部分として、上述に列挙されたCDR-H1~H3の組合せのいずれかと組み合わされる。換言すれば、VL領域は、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3配列としてこの順で、
GSSTGAVTSGYYPN、GTKFLAP、ALWYSNRWV;
RSSTGAVTSGYYPN、ATDMRPS、ALWYSNRWV;
GSSTGAVTSGNYPN、GTKFLAP、VLWYSNRWV;
ASSTGAVTSGNYPN、GTKFLVP、TLWYSNRWV;又は
RSSTGAVTTSNYAN、GTNKRAP、ALWYSNLWV
を含むか又はそれからなり;及び
VL領域は、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3配列として、この順で、
IYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKS、HGNFGNSYVSFFAY;
KYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKD、HGNFGNSYISYWAY;
SYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKG、HGNFGNSYLSFWAY;
RYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKG、HGNFGNSYLSYFAY;
VYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKK、HGNFGNSYLSWWAY;
KYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKS、HGNFGNSYTSYYAY;
GYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKE、HRNFGNSYLSWFAY;
VYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKK、HGNFGNSYISWWAY;
SYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKG、HGNFGNSYVSWWAY;
KYAIN、RIRSKYNNYATYYADQVKD、HANFGNSYISYWAY;又は
TYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKD、HGNFGNSYVSWFAY
を含むか又はそれからなる。
本発明によれば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3の順序で列挙されるVH領域及びVL領域の好ましいCDR配列の組合せは、配列番号118~123、166~171、356~361、546~551、724~729、922~927、1100~1105、1290~1295、1468~1473、1658~1663、1848~1853で定義される通りである。
最も好ましいのは、VL領域が、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3配列として、この順序において、
GSSTGAVTSGNYPN、GTKFLAP、VLWYSNRWV
を含み;及び
VL領域が、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3配列として、この順序において、
配列番号1848~配列番号1853に示される通り、KYAMN、RIRSKYNNYATYYADSVKD、HGNFGNSYISYWAY
を含むことである。好ましくは、CDRの向きは、VHからVLに向かってであり、すなわち、可変領域の向きは、N末端からC末端に向けてVHからVLである。
本発明によれば、VH領域及び/又はVL領域の前記CDR配列は、1つ以上のアミノ酸置換を含む。当技術分野で一般的であるように、アミノ酸置換の位置及び性質は、本明細書では、置換される位置の元のアミノ酸残基及び例えばF4Iの形式で置換に使用されるアミノ酸を示すことによって示され、「F」は、所与のアミノ酸配列の「4」位に生じる元のアミノ酸残基を示し、「I」は、4位の「F」を置換したアミノ酸残基を示す。置換が(元のアミノ酸残基以外の)任意のアミノ酸残基による場合、アミノ酸残基は示されず、元のアミノ酸残基及び所与のアミノ酸配列におけるその位置のみが示され、そのため、前の例は「F4」としてのみ示される。好ましくは、天然に存在するアミノ酸のみが置換のために使用される。
i)のVH領域及び/又はii)のVL領域は、本明細書中において上記で列挙される1つ以上のCDR配列において本明細書中で特定されるような1つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、可変領域の列挙されたアミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する前記結合ドメインに含まれる。前記少なくとも1つ又は1つ以上のアミノ酸置換は、1つのアミノ酸置換のみが存在する場合、前記VH領域若しくは前記VL領域のCDR配列中に存在し得るか、又は2つ以上のアミノ酸置換が存在する場合、VH領域とVL領域との両方のCDR中に存在し得るか、又はVH領域若しくはVL領域のみのCDR配列に限定され得る。2つ以上のアミノ酸置換が存在する特定の実施形態において、置換は、VH領域及びVL領域にあるか、又は1つの可変領域のみにある。好ましくは、置換は、VH領域及びVL領域のCDR内にある。
CDR-H1が4位にアミノ酸置換を含む場合、それは、好ましくは、元のアミノ酸のアミノ酸Vでの置換である。好ましくは、CDR-H1配列は、KYAIN又はKYAMNであり、すなわち前記の列挙されたアミノ酸置換のいずれも含まない。
CDR-H2において、15位のアミノ酸置換は、好ましくはD15Eであるか、又は16位のアミノ酸置換はアミノ酸Aである。好ましくは、CDR-H1はアミノ酸Aによる16位のアミノ酸残基置換を含み;この場合、CDR-H2の最後のアミノ酸の好ましいアミノ酸はD又はGであり、最も好ましいのはDである。したがって、好ましいCDR-H2配列はRIRSKYNNYATYYADAVKD又はRIRSKYNNYATYYADAVKGであり、RIRSKYNNYATYYADAVKDがより好ましい。CDR-H2が2つのアミノ酸置換を含む場合、15位のアミノ酸Eと16位のアミノ酸Aの組合せが好ましく;この場合、CDR-H2の最後のアミノ酸の好ましいアミノ酸はGである。したがって、15位のアミノ酸Eと16位のアミノ酸Aとの組合せの好ましいCDR-H2配列はRIRSKYNNYATYYAEAVKGである。
CDR-H3において、アミノ酸置換は、1位における、好ましくはアミノ酸A又はNによる置換、2位におけるアミノ酸Eによる置換、4位における、好ましくはアミノ酸Iによる置換及び6位における、好ましくはアミノ酸S又はTによる置換である。好ましくは、CDR-H3は、1位におけるアミノ酸A又はN、6位におけるアミノ酸S又はTを含み;この場合及びプレースホルダがCDR-H3配列中の示された位置に存在する場合、Xの好ましいアミノ酸はG又はAであり、最も好ましいのはGであり;XはIであり;XはYであり;XはW又はYである。CDR-H3が2つのアミノ酸置換を含む場合、好ましい組合せは、1位のアミノ酸A及び6位のアミノ酸S;及び1位のアミノ酸N及び6位のアミノ酸Tであり;この場合及びプレースホルダがCDR-H3配列の示された位置に存在する場合、Xの好ましいアミノ酸はG又はAであり、最も好ましいのはGであり;XはIであり、XはYであり、XはW及びFである。CDR-H3が3つのアミノ酸置換を含む場合、好ましい組合せは、1位のアミノ酸A、4位のアミノ酸I及び6位のアミノ酸S;及び1位のアミノ酸N、4位のアミノ酸I及び6位のアミノ酸Tであり、この場合及びCDR-H3配列の示された位置にプレースホルダが存在する場合、Xの好ましいアミノ酸はIであり、XはYであり、XはW及びFである。CDR-H3が4つのアミノ酸置換を含む場合、好ましい組合せは1位のアミノ酸N、2位のアミノ酸E、4位のアミノ酸I及び6位のアミノ酸Tであり;この場合及びCDR-H3の示された位置にプレースホルダが存在する場合、Xの好ましいアミノ酸はIであり、XはYであり、XはWである。したがって、好ましいCDR-H3配列は、AGNFGSSYISYWAY、NENIGTSYISYWAY、AGNFGTSYISYWAY、NANFGTSYISYFAY及びAGNFGSSYISYFAYから選択され、AGNFGSSYIWAY及びAGNFGSSYISYFAYが最も好ましい。
CDR-L3において、1位のアミノ酸置換は、XLWYSNXWVの配列において、アミノ酸Lによるものであるか、又はアミノ酸置換は、W93、好ましくはW93Y(X93Yとも呼ばれ得る)であり、Xは、V、A又はTであり;Xは、R又はLである。好ましくは、CDR-L3が1つのアミノ酸置換のみを含む場合、CDR-L3配列は、VLYYSNRWVである。しかしながら、CDR-L3は、前記X1L及びW93アミノ酸置換を含まないことが好ましく、この場合、好ましいCDR-L3配列は、VLYYSNRWVである。
特定の科学的理論に拘束されることを望むものではないが、上に列挙されたアミノ酸置換のそれぞれは、改変されていない、すなわち前記アミノ酸残基置換を含まないVL領域配列に連結されたVH領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインと比較して、本明細書に記載のVL領域に連結されたVH領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインの熱安定性の上昇をもたらす。温度安定性の前記上昇は、好ましくは、示差走査蛍光測定(DSF)の周知の本明細書にも記載される方法によって測定される。前記方法は、例えば、Wen et al.,“Nano differential scanning fluorimetry for comparability studies of therapeutic proteins”,Analytical Biochemistry, Volume 593,2020,113581,ISSN 0003-2697又はDart,M.L.,et al.(2018)“Homogeneous Assay for Target Engagement Utilizing Bioluminescent Thermal Shift”ACS medical chemistry letters,9(6),546-551)に記載されている。実施例のセクションから明らかなように、本明細書で定義されるアミノ酸置換又はその組合せは、本明細書で定義される非修飾CD3結合ドメイン(「I2C」)と比較して熱安定性の上昇(実施例1、表2及び3を参照されたい)をもたらすが、細胞傷害活性は維持され、これは熱安定性を改善するための先行技術の方法、すなわちCC44/100シスクランプに当てはまらないことが示され、ここでは、さらなるジスルフィド結合が、本明細書で定義される非修飾CD3結合ドメインの重鎖可変領域の44位及び軽鎖可変領域の100位(Kabat et al、1991によるナンバリングスキーム)のシステイン残基でアミノ酸残基を置換することによって安定化させる(Reiter,Y.et al,1994)ために操作された(VH及びVL配列番号:それぞれ1854及び1855;実施例2、表5参照)。したがって、本明細書中に記載されるCD3ε結合ドメインのVH領域及びVL領域の組合せは、本明細書中で定義される位置に導入される所与の置換を含有しないVH領域配列及びVL領域配列と比較して温度安定化される。
本発明の請求項1に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい実施形態において、iii)で定義される前記1つのアミノ酸置換又はその組合せに加えて、前記CDR-H1配列において、Xは、Iであり;前記CDR-H2配列において、Xは、Gであり;前記CDR-H3配列において、Xは、Aであり、Xは、Fであり;及び/又は前記CDR-L3配列において、Xは、Aである。本明細書で定義される1つのアミノ酸置換又はその組合せは、さらにCDRの特定の位置の特定のアミノ酸と組み合わされる。したがって、iii)による列挙されたアミノ酸置換の少なくとも1つは、存在し、前記CDR-H2配列中において、Xの少なくとも1つは、Gであり;前記CDR-H3中において、Xは、Aであり、Xは、Fであり;及び/又は前記CDR-L3配列中において、Xは、Aであり、CDR中にさらに存在する。本明細書中において上記で先に述べたように、CDR中に1つのさらなるアミノ酸のみが存在する場合、Xについての好ましいアミノ酸は、前記CDR-H1配列中におけるIであるか、又はXは、前記CDR-H2配列中のGであり、Xは、前記CDR-H1配列中におけるIであることが最も好ましい。前記さらなるアミノ酸の2つの好ましい組合せは、前記CDR-H1配列においてXがIであり、及び前記CDR-H3配列においてXがFであるか;又は前記CDR-H2配列においてXがGであり、及び前記CDR-H3配列中においてXがFであることである。前記さらなるアミノ酸の3つの好ましい組合せは、前記CDR-H1配列においてXがIであり、前記CDR-H3配列においてXがAであり、及びXがFであるか;又は前記CDR-H1配列においてXがIであり、前記CDR-H3配列においてXがFであり、及び前記CDR-L3配列においてXがAであることである。後者のアミノ酸はさらに存在することになるため、iii)のアミノ酸置換と位置が重複する列挙された追加のアミノ酸は、重複するアミノ酸置換を置き換えることができないことが理解される。例えば、iii)による唯一のアミノ酸置換がCDR-H1中のX4V又はX4Fのいずれかである場合、前記アミノ酸は、結合ドメイン中に残存するiii)で定義されたアミノ酸置換がないため、前記CDR-H1配列中のアミノ酸Iで置き換えることができない。換言すれば、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物に含まれるiii)で定義されるアミノ酸置換の少なくとも1つが常に存在しなければならない。
CDRの実際の配列に応じて、前記さらなるアミノ酸の1つ以上は、既に本明細書中において上記で定義されるCDRの一部であり得、そうでない場合、それらのCDRは、iii)に列挙されるような1つのアミノ酸置換又はその組合せと組み合わせて前記さらなるアミノ酸を示すように変更されることも理解される。
他の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物は、iii)で定義される前記アミノ酸置換、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12若しくはそれを超えるアミノ酸置換又は最大2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12のアミノ酸置換の組合せを含むか又はそれからなる。好ましくは、本明細書で定義される置換のみがVH領域配列及びVL領域配列に導入される。これは、VH領域配列及びVL領域配列が本明細書で定義される置換を有する非修飾アミノ酸配列からなるように、本明細書に列挙されるすべての実施形態に適用される。
より具体的には、i)前記1つのアミノ酸置換は、a.CDR-H1におけるX4V又はX4F;CDR-H3におけるH1A;及びb.CDR-L3におけるX1L及びW3Yから選択され;ii)2つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A及びCDR-H3におけるN6S;及びCDR-H2におけるX16A及びCDR-H3におけるN6Tから選択され;iii)3つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A及びCDR-H3におけるH1A及びN6S;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A及びN6T;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1N及びN6Tから選択され;iv)4つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A、N6S及びCDR-L3におけるW3Y;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A及びN6T;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A及びN6S;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A、F4I及びN6Sから選択され;v)5つ又は6つのアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A、X2E、F4I及びN6T;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1N、X2E、F4I及びN6S;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A、N6S;及びCDR-L3におけるW3Y;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1N、X2E、F4I及びN6T;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A、X2E、F4I及びN6T;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるX2E、F4I及びN6Tから選択される。
前述に従い、CDR-H3のアミノ酸置換H1Aは、本明細書で定義されるCDR配列又はVH領域配列内のCD3ε結合ドメインに1つのアミノ酸置換のみがある場合、好ましいアミノ酸置換である。さらに、iii)で定義されるアミノ酸置換の組合せの場合、好ましくはCDR-H3のH1Aは、前記組合せのアミノ酸置換の1つである。
一実施形態において、本発明は、ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、
i)VH領域が、
Figure 2023547661000002
の配列を含み、XがQ又はKであり;XがV又はLであり;XがV又はEであり;XがG又はKであり;Xが、K、V、S、G、R、T又はIであり;XがM又はIであり;XがS又はQであり;Xが、D、G、K、S又はEであり;XがK又はQであり;X10がN又はSであり;X11がT又はIであり;X12がA又はLであり;X13がV又はMであり;X14が、G、R又はAであり;X15が、I、L、V又はTであり;X16が、Y、W又はFであり;X17が、W、F又はYであり;X18がS又はAであり;及び
ii)VL領域が、
Figure 2023547661000003
の配列を含み、XがT又はAであり;XがP又はSであり;XがS又はAであり;XがV又はTであり;XがG又はEであり;Xが、G、R又はAであり;XがS又はTであり;XはG又はSであり;XはN又はYであり;X10がP又はAであり;X11がQ又はEであり;X12がG又はDであり;X13がQ又はHであり;X14がA又はLであり;X15がP又はFであり;X16がR又はTであり;X17がG又はAであり;X18がK又はDであり;X19がF又はMであり;X20がL又はRであり;X21がA、P又はVであり;X22がP又はSであり;X23がT又はVであり;X24がL又はIであり;X25がG又はDであり;X26がL又はIであり;X27がS又はTであり;X28がV又はAであり;X29がP又はTであり;X30が、E又はIであり;X31がY又はFであり;X32が、V、A又はTであり;X33はR又はLであり;及び
iii)前記VH領域配列及び/又はVL領域配列は、
a.i)のVH領域配列におけるN30(好ましくはS)、X34V、X34F、Q39(E、K、R、D、好ましくはE)、L45(M又はV、好ましくはM)、D64(好ましくはE)、X65A、X1281V、X1281T、X1281I、V99(A又はL、好ましくはA)、H101(好ましくはA又はN)、X14102E、F104(好ましくはI)及びN106(好ましくはS又はT);及び
b.ii)のVL領域配列におけるL20(好ましくはI又はM)、V38(好ましくはI)、X1140R、X1140K、X2469(S又はE、好ましくはS)、X3291L、X3393(好ましくはY)及びG102(好ましくはS)
から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物に関する。
この実施形態では、結合ドメインに含まれ、ヒトCD3ε鎖への結合を媒介する好ましいVH及びVL領域配列が記載される。上記から明らかなように、i)及びii)のVH領域配列及びVL領域配列は、様々なプレースホルダを含み、i)及びii)の前記VH領域及びVL領域に含まれるCDRに関連して、同じ階層及び命名法は、本明細書で上記に列挙されたプレースホルダに適用される。VH及びVL領域の配列から明らかなように、本明細書中において上記で記載される前記CDRは、前記VH及びVL領域配列の一部である。したがって、本明細書中において上記のi)及びii)の前記CDRの好ましい実施形態は、この好ましい実施形態にも適用される。
i)のVH領域は、
Figure 2023547661000004
の配列を含むか又はそれからなり、XはQ又はKであり;XはV又はLであり;XはV又はEであり;XはG又はKであり;Xは、K、V、S、G、R、T又はIであり;XはM又はIであり;XはS又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEであり;XはK又はQであり;X10はN又はSであり;X11はT又はIであり;X12はA又はLであり;X13はV又はMであり;X14は、G、R又はAであり;X15は、I、L、V又はTであり;X16は、Y、W又はFであり;X17は、W、F又はYであり;X18はS又はAである。
前記VH領域内のCDR配列は、以下の通りである:XYAXNを含むか又はそれからなるCDR-H1配列;RIRSKYNNYATYYADXVKXを含むか又はそれからなるCDR-H2配列;及びHX14NFGNSYX15SX1617AYを含むか又はそれからなるCDR-H3配列。前記CDR-H1配列XYAXNの好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、GYAMN、RYAMN、TYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINが最も好ましい。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADXVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKE、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。前記CDR-H3配列HX14NFGNSYX15SX1617AYの好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
について、アミノ酸Qが好ましい。Xについて、アミノ酸Vが好ましい。Xについて、アミノ酸Vが好ましい。Xについて、アミノ酸Gが好ましい。Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Mが最も好ましい。X及びXについての好ましい組合せは、それぞれK及びM、V及びM、S及びMから選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのMであり、最も好ましい組合せはK及びMである。別の好ましい組合せは、それぞれX及びXのK及びIである。前記CDR-H1配列XYAXNの好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、GYAMN、RYAMN、TYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Sが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Dが最も好ましい。好ましい組合せは、S及びD、S及びG、S及びK、S及びSからそれぞれ選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのSであり、最も好ましいのは組合せS及びDである。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADXVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Kが好ましい。X10について、アミノ酸Nが好ましい。X11について、アミノ酸Tが好ましい。X12について、アミノ酸Aが好ましい。X13について、アミノ酸Vが好ましい。X14について、アミノ酸Gが最も好ましく;X15について、アミノ酸Iが最も好ましく;X16について、アミノ酸Yが最も好ましく;X17について、アミノ酸Wが最も好ましい。前記CDR-H3配列HX14NFGNSYX15SX1617AYの好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。X18について、アミノ酸配列Sが好ましい。
ii)のVL領域は、
Figure 2023547661000005
の配列を含むか又はそれからなり、XはT又はAであり;XはP又はSであり;XはS又はAであり;XはV又はTであり;XはG又はEであり;Xは、G、R又はAであり;XはS又はTであり;XはG又はSであり;XはN又はYであり;X10はP又はAであり;X11はQ又はEであり;X12はG又はDであり;X13はQ又はHであり;X14はA又はLであり;X15はP又はFであり;X16はR又はTであり;X17はG又はAであり;X18はK又はDであり;X19はF又はMであり;X20はL又はRであり;X21はA、P又はVであり;X22はP又はSであり;X23はT又はVであり;X24はL又はIであり;X25はG又はDであり;X26はL又はIであり;X27はS又はTであり;X28はV又はAであり;X29はP又はTであり;X30は、E又はIであり;X31はY又はFであり;X32は、V、A又はTであり;及びX33はR又はLである。
前記VL領域内のCDR配列は、以下の通りである:XSSTGAVTXYX10Nを含むか又はそれからなるCDR-L1配列;X17TX1819202122を含むか又はそれからなるCDR-L2配列;及びX32LWYSNX33WVを含むか又はそれからなるCDR-L3配列。CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS、GTKFLVP及びGTNKRAPから選択され、GTKFLAPが最も好ましい。CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV、TLWYSNRWV及びALWYSNLWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。
について、アミノ酸Tが好ましい。Xについて、アミノ酸Pが好ましい。Xについて、アミノ酸Sが好ましい。Xについて、アミノ酸Vが好ましい。Xについて、アミノ酸Gが好ましい。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Sが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Nが最も好ましい。X10について、アミノ酸Pが最も好ましい。X~X10は、VL領域内のCDR-L1配列の一部である。前記CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。X11について、アミノ酸Qが好ましい。X12について、アミノ酸Gが好ましい。X13について、アミノ酸Qが好ましい。X14について、アミノ酸Aが好ましい。X15について、アミノ酸Pが好ましい。X16について、アミノ酸Rが好ましい。X17について、アミノ酸Gが好ましい。X18について、アミノ酸Kが好ましい。X19について、アミノ酸Fが好ましい。X20について、アミノ酸Lが好ましい。X21について、アミノ酸Aが好ましい。X22について、アミノ酸Pが好ましい。X17~X22は、VL領域のCDR-L2配列の一部である。前記CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS、GTKFLVP及びGTNKRAPから選択され、GTKFLAPが最も好ましい。X23について、アミノ酸Tが好ましい。X24について、アミノ酸Lが好ましい。X25について、アミノ酸Gが好ましい。X26について、アミノ酸Lが好ましい。X27について、アミノ酸Sが好ましい。X28について、アミノ酸Vが好ましい。X29について、アミノ酸Pが好ましい。X30について、アミノ酸Eが好ましい。X31について、アミノ酸Yが好ましい。X32について、アミノ酸Vが好ましい。X33について、アミノ酸Rが好ましい。X32及びX33は、VL領域のCDR-L3配列の一部である。前記CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV、TLWYSNRWV及びALWYSNLWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。
より好ましい実施形態において、i)のVH領域は、
Figure 2023547661000006
の配列を含むか又はそれからなり、XはV又はEであり;Xは、K、V、S、G、R又はIであり;XはM又はIであり;XはS又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEであり;Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;XはW又はFであり;及びii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCXSSTGAVTSGXYPNWVQQKPGQAPRGLIGXTXGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCXLWYSNRWVFGGGTKLTVLの配列を含むか又はそれからなり、Xは、G、R又はAであり;XはN又はYであり;XはG又はAであり;XはK又はDであり;XはF又はMであり;XはL又はRであり;Xは、A、P又はVであり;XはP又はSであり;Xは、V、A又はTである。
i)のVH領域は、
Figure 2023547661000007
の配列を含むか又はそれからなり、XはV又はEであり;Xは、K、V、S、G、R又はIであり;XはM又はIであり;XはS又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEであり;Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;XはW又はFである。
前記VH領域内のCDR配列は、以下の通りである:XYAXNを含むか又はそれからなるCDR-H1配列;RIRSKYNNYATYYADXVKXを含むか又はそれからなるCDR-H2配列;及びHXNFGNSYXSXAYを含むか又はそれからなるCDR-H3配列。前記CDR-H1配列XYAXNの好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、GYAMN、RYAMN、TYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINがより好ましく、KYAMNが最も好ましい。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADXVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKE、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKD又はRIRSKYNNYATYYADQVKDがより好ましく、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。前記CDR-H3配列HXNFGNSYXSXAYの好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
について、アミノ酸Vが好ましい。Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Mが最も好ましい。X及びXについての好ましい組合せは、それぞれK及びM、V及びM、S及びMから選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのMであり、最も好ましい組合せはK及びMである。別の好ましい組合せは、それぞれX及びXのK及びIである。前記CDR-H1配列XYAXNの好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、GYAMN、RYAMN、TYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINがより好ましく、KYAMNが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Sが好ましい。Xについて、アミノ酸Dが最も好ましい。好ましい組合せは、例えば、それぞれS及びD、S及びG、S及びK、S及びSから選択されるX及びXについての組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのSであり、最も好ましくは組合せS及びDである。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADXVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKD又はRIRSKYNNYATYYADQVKDが好ましく、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Iが最も好ましく;について、アミノ酸Yが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Wが最も好ましい。前記CDR-H3配列HXNFGNSYXSXAYの好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
ii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCXSSTGAVTSGXYPNWVQQKPGQAPRGLIGXTXGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCXLWYSNRWVFGGGTKLTVLの配列を含むか又はそれからなり、Xは、G、R又はAであり;XはN又はYである;XはG又はAであり;XはK又はDであり;XはF又はMであり;XはL又はRであり;Xは、A、P又はVであり;XはP又はSであり;Xは、V、A又はTである。
前記VL領域内のCDR配列は、以下の通りである:XSSTGAVTSGXYPNを含むか又はそれからなるCDR-L1配列;XTXを含むか又はそれからなるCDR-L2配列;及びXLWYSNRWVを含むか又はそれからなるCDR-L3配列。CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS、GTKFLVP及びGTNKRAPから選択され、GTKFLAPが最も好ましい。CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV、TLWYSNRWV及びALWYSNLWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。
について、アミノ酸Gが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Nが好ましい。X及びXは、VL領域内のCDR-L1配列XSSTGAVTSGXYPNの一部である。前記CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Gが好ましい。Xについて、アミノ酸Kが好ましい。Xについて、アミノ酸Fが好ましい。Xについて、アミノ酸Lが好ましい。Xについて、アミノ酸Aが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Pが好ましい。X~Xは、VL領域のCDR-L2配列XTXの一部である。前記CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS、GTKFLVP及びGTNKRAPから選択され、GTKFLAPが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Vが最も好ましい。Xは、VL領域のCDR-L3配列XLWYSNRWVの一部である。前記CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV、TLWYSNRWV及びALWYSNLWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。
他の好ましい実施形態において、ii)のVH領域は、
Figure 2023547661000008
の配列を含むか又はそれからなり、XはV又はEであり;Xは、K、V、S、R又はIであり;XはM又はIであり;XはS又はQであり;Xは、D、G、K又はSであり;Xは、G又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;XはW又はFであり;及びii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCXSSTGAVTSGXYPNWVQQKPGQAPRGLIGGTKFLXPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCXLWYSNRWVFGGGTKLTVLやの配列を含むか又はそれからなり、XはG又はAであり;XはN又はYであり;XはA又はVであり;Xは、V、A又はTである。
ii)のVH領域は、
Figure 2023547661000009
の配列を含むか又はそれからなり、XはV又はEであり;Xは、K、V、S、R又はIであり;XはM又はIであり;XはS又はQであり;Xは、D、G、K又はSであり;Xは、G又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;XはW又はFである。
前記VH領域内のCDR配列は、以下の通りである:XYAXNを含むか又はそれからなるCDR-H1配列;RIRSKYNNYATYYADXVKXを含むか又はそれからなるCDR-H2配列;及びHXNFGNSYXSXAYを含むか又はそれからなるCDR-H3配列。前記CDR-H1配列XYAXNの好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、RYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINがより好ましく、KYAMNが最も好ましい。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADXVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKD又はRIRSKYNNYATYYADQVKDがより好ましく、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。前記CDR-H3配列HXNFGNSYXSXAYの好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAY又はHANFGNSYISYWAYがより好ましく、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
について、アミノ酸Vが好ましい。Xについて、アミノ酸Kが最も好ましく、Xについて、アミノ酸Mが最も好ましい。X及びXについての好ましい組合せは、それぞれK及びM、V及びM、S及びMから選択される、X及びXの組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのMであり、最も好ましい組合せはK及びMである。別の好ましい組合せは、それぞれX及びXのK及びIである。前記CDR-H1配列XYAXNの好ましい例は、KYAMN、VYAMN、SYAMN、RYAMN、IYAMN及びKYAINから選択され、KYAMN又はKYAINがより好ましく、KYAMNが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Sが好ましい。Xについて、アミノ酸Dが最も好ましい。好ましい組合せは、それぞれS及びD、S及びG、S及びK、S及びSから選択される及びXについての組合せ等、Xのアミノ酸残基のいずれかと組み合わせたXのSであり、最も好ましいのは組合せS及びDである。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADXVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKD又はRIRSKYNNYATYYADQVKDがより好ましく、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましく、RIRSKYNNYATYYADSVKD、RIRSKYNNYATYYADSVKK、RIRSKYNNYATYYADSVKS、RIRSKYNNYATYYADSVKE、RIRSKYNNYATYYADSVKG及びRIRSKYNNYATYYADQVKDから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKDが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Gが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Iが最も好ましく;について、アミノ酸Yが最も好ましく;Xについて、アミノ酸Wが最も好ましい。前記CDR-H3配列HXNFGNSYXSXAYの好ましい例は、HGNFGNSYISYWAY、HGNFGNSYLSWWAY、HGNFGNSYTSYYAY、HRNFGNSYLSWFAY、HGNFGNSYVSFFAY、HGNFGNSYISWWAY、HGNFGNSYVSWWAY、HGNFGNSYLSYFAY、HGNFGNSYLSFWAY、HANFGNSYISYWAY及びHGNFGNSYVSWFAYから選択され、HGNFGNSYISYWAYが最も好ましい。
ii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCXSSTGAVTSGXYPNWVQQKPGQAPRGLIGGTKFLXPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCXLWYSNRWVFGGGTKLTVLの配列を含むか又はそれからなり、XはG又はAであり;XはN又はYであり;XはA又はVであり;Xは、V、A又はTである。
前記VL領域内のCDR配列は、以下の通りである:XSSTGAVTSGXYPNを含むか又はそれからなるCDR-L1配列;GTKFLXPを含むか又はそれからなるCDR-L2配列;及びXLWYSNRWVを含むか又はそれからなるCDR-L3配列。CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。CDR-L2配列の好ましい例は、GTKFLAP、ATDMRPS、GTKFLVP及びGTNKRAPから選択され、GTKFLAPが最も好ましい。CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV、TLWYSNRWV及びALWYSNLWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。
について、アミノ酸Gが好ましい。Xについて、アミノ酸Nが好ましい。X及びXは、VL領域内のCDR-L1配列XSSTGAVTSGXYPNの一部である。前記CDR-L1配列の好ましい例は、GSSTGAVTSGNYPN、RSSTGAVTSGYYPN、GSSTGAVTSGYYPN、ASSTGAVTSGNYPN及びRSSTGAVTTSNYANから選択され、GSSTGAVTSGNYPNが最も好ましい。Xは、VL領域のCDR-L2配列GTKFLXPの一部である。前記CDR-L2配列は、GTKFLAP又はGTKFLVPのいずれかであり得、GTKFLAPが好ましい。Xについて、アミノ酸Aが好ましい。Xは、VL領域のCDR-L3配列XLWYSNRWVの一部である。前記CDR-L3配列の好ましい例は、VLWYSNRWV、ALWYSNRWV及びTLWYSNRWVから選択され、VLWYSNRWVが最も好ましい。Xについて、アミノ酸Vが最も好ましい。
さらに好ましい実施形態では、i)のVH領域は、
Figure 2023547661000010
の配列を含むか又はそれからなり、XはK又はSであり;XはD又はGであり;XはI又はVであり;XはY又はWであり;及びii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCGSSTGAVTSGXYPNWVQQKPGQAPRGLIGGTKFLAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCXLWYSNRWVFGGGTKLTVLの配列を含むか又はそれからなり、XはN又はYであり;XはV又はAである。
i)のVH領域は、
Figure 2023547661000011
の配列を含むか又はそれからなり、XはK又はSであり、Kが好ましく;XはD又はGであり、Dが好ましく;Xは、I又はVであり、Iが好ましく;XはY又はWであり、Yが好ましい。
前記VH領域内のCDR配列は、以下の通りである:XYAMNを含むか又はそれからなるCDR-H1配列;RIRSKYNNYATYYADSVKXを含むか又はそれからなるCDR-H2配列;及びHGNFGNSYXSXWAYを含むか又はそれからなるCDR-H3配列。前記CDR-H1配列XYAMNはKYAMN又はSYAMNから選択され、KYAMNが好ましい。前記CDR-H2配列RIRSKYNNYATYYADSVKXの好ましい例は、RIRSKYNNYATYYADSVKD及びRIRSKYNNYATYYADSVKGから選択され、RIRSKYNNYATYYADSVKDが好ましい。前記CDR-H3配列HGNFGNSYXSXWAYは、HGNFGNSYISYWAY又はHGNFGNSYVSWWAYであり、HGNFGNSYISYWAYが好ましい。
ii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCGSSTGAVTSGXYPNWVQQKPGQAPRGLIGGTKFLAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCXLWYSNRWVFGGGTKLTVLの配列を含むか又はそれからなり、XはN又はYであり、Nが好ましく;XはV又はAであり、Vが好ましい。
前記VL領域内のCDR配列は、以下の通りである:GSSTGAVTSGXYPNを含むか又はそれからなるCDR-L1配列;GTKFLAPを含むか又はそれからなるCDR-L2配列;及びXLWYSNRWVを含むか又はそれからなるCDR-L3配列。前記CDR-L1配列は、GSSTGAVTSGNYPN又はGSSTGAVTSGYYPNであり、GSSTGAVTSGNYPNが好ましい。前記CDR-L3配列は、VLWYSNRWV又はALWYSNRWVであり、VLWYSNRWVが好ましい。
好ましい実施形態では、i)のVH領域は、配列番号124、172、362、552、730、928、1106、1296、1474、1664又は1854で定義される配列を含むか又はそれからなり、ii)のVL領域は、配列番号125、173、363、553、731、929、配列番号1107、配列番号1297、配列番号1475、配列番号1665又は配列番号1855で定義される配列を含むか又はそれからなる。i)及びii)のVH領域及びVL領域の好ましい組合せは、配列番号124及び125(「2B2」と呼ばれる結合剤の組合せ)、172及び173(「A2J」)、362及び363(「E1L」)、552及び553(「E2M」)、730及び731(「F12Q」)、928及び929(「F6A」)、1106及び1107(「F7O」)、1296及び1297(「G4H」)、1474及び1475(「H1E」)、1664及び1665(「H2C」)又は1854及び1855(「I2C」)に定義されている。好ましいのは、CD3ε結合ドメインが、配列番号124及び125、172及び173、362及び363、552及び553、730及び731、928及び929、1106及び1107、1296及び1297、1474及び1475、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなることである。より好ましいのは、CD3ε結合ドメインが、配列番号124及び125、362及び363、730及び731、928及び929、1106及び1107、1296及び1297、1474及び1475、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなることである。さらにより好ましいのは、CD3ε結合ドメインが、配列番号124及び125、730及び731、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなることである。なおさらにより好ましい実施形態において、CD3ε結合ドメインは、配列番号730及び731、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなる。
最も好ましい実施形態では、i)のVH領域は、
Figure 2023547661000012
の配列を含むか又はそれからなり;及びii)のVL領域は、QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCGSSTGAVTSGNYPNWVQQKPGQAPRGLIGGTKFLAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCVLWYSNRWVFGGGTKLTVL(配列番号1855)の配列を含むか又はそれからなる。
CDR配列中のアミノ酸置換に関連して本明細書で上に概説し、本実施形態にも適用するように、i)のVH領域及び/又はii)のVL領域は、本明細書で上に明記した1つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、可変領域の列挙されたアミノ酸置換の少なくとも1つは、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する前記結合ドメインに含まれる。前記少なくとも1つ又は1つ以上のアミノ酸置換は、1つのアミノ酸置換のみが存在する場合、前記VH領域若しくは前記VL領域のCDR配列中に存在し得るか、又は2つ以上のアミノ酸置換が存在する場合、VH領域とVL領域との両方のCDR中に存在し得るか、又はVH領域若しくはVL領域のみのCDR配列に限定され得る。2つ以上のアミノ酸置換が存在する特定の実施形態において、置換は、VH領域及びVL領域にあるか、又は1つの可変領域のみにある。好ましくは、置換は、VH領域及びVL領域内にある。
具体的には、i)のVH及び/又はii)のVL領域配列は、
a.i)のVH領域配列におけるN30(好ましくはS)、X34V、X34F、Q39(E、K、R、D、好ましくはE)、L45(M又はV、好ましくはM)、D64(好ましくはE)、X65A、X1281V、X1281T、X1281I、V99(A又はL、好ましくはA)、H101(好ましくはA又はN)、X14102E、F104(好ましくはI)、N106(好ましくはS又はT);及び
b.ii)のVL領域配列におけるL20(好ましくはI又はM)、V38(I、L、M、F又はY、好ましくはI)、X1140R、X1140K、X2469(S又はE、好ましくはS)、X3291L、X3393(好ましくはY)、G102(好ましくはS)
から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。
VH領域配列において、30位のアミノ酸置換は、好ましくはSである(したがって、N30Sと書くことができ;位置番号に従って与えられる後続の置換についても同様である)。34位のアミノ酸置換はV又はFである。好ましくは、VH領域配列の34位はI又はM、最も好ましくはIを含む。39位のアミノ酸置換はE、K、R、D、好ましくはEである。45位のアミノ酸置換は好ましくはM又はV、より好ましくはMである。64位のアミノ酸置換は好ましくはEである。65位のアミノ酸置換はAである。81位のアミノ酸置換はV、T又はI、好ましくはVである。99位のアミノ酸置換は好ましくはA又はL、より好ましくはAである。101位のアミノ酸置換は好ましくはA又はN、より好ましくはA(H1A)である。102位のアミノ酸置換はEである。104位のアミノ酸置換は好ましくはIである。106位のアミノ酸置換は好ましくはS又はT、より好ましくはSである。
上記にもかかわらず、VH領域配列内のCDR-H2配列では、64位のアミノ酸置換は、好ましくはD15Eであるか、又は65位のアミノ酸置換はアミノ酸Aによるものである。好ましくは、前記CDR-H2は、アミノ酸Aによる65位のアミノ酸残基置換を含み;この場合、CDR-H2の最後のアミノ酸の好ましいアミノ酸はD又はG、好ましくはDである。したがって、好ましいCDR-H2配列はRIRSKYNNYATYYADAVKD又はRIRSKYNNYATYYADAVKGであり、RIRSKYNNYATYYADAVKDがより好ましい。CDR-H2が2つのアミノ酸置換を含む場合、64位のアミノ酸E及び64位のアミノ酸Aの組合せが好ましく;この場合、CDR-H2の最後のアミノ酸の好ましいアミノ酸はGである。したがって、64位のアミノ酸Eと65位のアミノ酸Aとの組合せの好ましいCDR-H2配列はRIRSKYNNYATYYAEAVKGである。
VH配列のCDR-H3配列において、アミノ酸置換は、101位における、好ましくはアミノ酸A又はNによる置換、102位におけるアミノ酸Eによる置換、104位における、好ましくはアミノ酸Iによる置換及び106位における、好ましくはアミノ酸S又はTによる置換である。好ましくは、CDR-H3は、101位におけるアミノ酸A又はN、106位におけるアミノ酸S又はTを含み;この場合及びプレースホルダがCDR-H3配列中の示された位置に存在する場合、X14の好ましいアミノ酸はG又はAであり、最も好ましいのはGであり;X15はIであり;X16はYであり;X17はW又はYである。CDR-H3が2つのアミノ酸置換を含む場合、好ましい組合せは、101位のアミノ酸A及び106位のアミノ酸S;及び101位のアミノ酸N及び106位のアミノ酸Tであり;この場合及びプレースホルダがCDR-H3配列の示された位置に存在する場合、X14の好ましいアミノ酸はG又はAであり、最も好ましいのはGであり;X15はIであり、X16はYであり、X17はW及びFである。CDR-H3が3つのアミノ酸置換を含む場合、好ましい組合せは、101位のアミノ酸A、104位のアミノ酸I及び106位のアミノ酸S;及び101位のアミノ酸N、104位のアミノ酸I及び106位のアミノ酸Tであり、この場合及びCDR-H3配列の示された位置にプレースホルダが存在する場合、X15の好ましいアミノ酸はIであり、X16はYであり、X17はW及びFである。CDR-H3が4つのアミノ酸置換を含む場合、好ましい組合せは101位のアミノ酸N、102位のアミノ酸E、104位のアミノ酸I及び106位のアミノ酸Tであり;この場合及びCDR-H3の示された位置にプレースホルダが存在する場合、X15の好ましいアミノ酸はIであり、X16はYであり、X17はWである。したがって、好ましいCDR-H3配列は、AGNFGSSYISYWAY、NENIGTSYISYWAY、AGNFGTSYISYWAY、NANFGTSYISYFAY及びAGNFGSSYISYFAYから選択され、AGNFGSSYISYWAY及びAGNFGSSYISYFAYが最も好ましい。
VL領域配列において、20位におけるアミノ酸置換は、好ましくはI又はM、より好ましくはIである。38位におけるアミノ酸置換は、好ましくはI、L、M、F又はY、より好ましくはIによるものである。40位におけるアミノ酸置換は、好ましくはK又はR、より好ましくはKである。69位におけるアミノ酸置換は、好ましくはS又はE、より好ましくはSである。91位におけるアミノ酸置換はLである。93位におけるアミノ酸置換は、好ましくはYである。102位におけるアミノ酸置換は、好ましくはSである。
上記にもかかわらず、VL領域配列内のCDR-L3配列において、1位のアミノ酸置換はアミノ酸Lによるものであるか、又はアミノ酸置換はW93、好ましくはW93Yである。好ましくは、CDR-L3配列は、CDR-L3がアミノ酸置換を含む場合、VLYYSNRWVである。しかしながら、CDR-L3は、前記X1L及びW93アミノ酸置換を含まないことが好ましく、この場合、好ましいCDR-L3配列はVLYYSNRWVである。
前述に従い、本明細書で定義されるVH領域配列及び/又はVL領域配列内のCD3ε結合ドメイン中にただ1つのアミノ酸置換が存在する場合、VH領域(CDR-H3の一部)中のアミノ酸置換H101Aは、そのアミノ酸置換であることが好ましい。さらに、iii)で定義されるアミノ酸置換の組合せの場合、VH領域配列中のH101Aが、前記組合せのアミノ酸置換の1つであるのが好ましい。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい実施形態において、iii)で定義される前記1つのアミノ酸置換又はその組合せに加えて、Xは、Iであり;Xは、Gであり;前記VH領域配列において、X12は、Lであり、X14は、Aであり、X17は、Fであり;及び/又はX32は、前記VL領域配列中のAである。本発明の請求項1に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい実施形態において、iii)で定義される前記1つのアミノ酸置換又はその組合せに加えて、Xは、Iであり;Xは、Gであり;前記VH領域配列中において、X14は、Aであり、X17は、Fであり;及び/又は前記VL領域配列において、X32は、Aである。本明細書で定義される1つのアミノ酸置換又はその組合せは、さらにCDRの特定の位置の特定のアミノ酸と組み合わされる。したがって、iii)による列挙されたアミノ酸置換の少なくとも1つが存在し、Xの少なくとも1つは、Gであり;前記VH領域配列において、X14は、Aであり、X17は、Fであり;及び/又は前記VL領域配列において、X32は、Aであり、CDR中にさらに存在する。本明細書中において上記で先に述べたように、CDR中に1つのさらなるアミノ酸のみが存在する場合、前記VH領域配列中において、Xの好ましいアミノ酸は、Iであるか、又はXは、Gであり、前記VH領域配列において、Xは、Iであることが最も好ましい。前記さらなるアミノ酸の2つの好ましい組合せは、前記VH領域配列においてXがIであり、X17がFであるか;又は前記VH領域配列においてXがGであり、X17がFであることである。前記さらなるアミノ酸の3つの好ましい組合せは、前記VH領域配列においてXがIであり、X14がAであり、X17がFであるか;又は前記VH領域配列においてXがIであり、X17がFであり、及び前記VL領域配列においてX32がAであることである。後者のアミノ酸は、さらに存在することになるため、iii)のアミノ酸置換と位置が重複する列挙された追加のアミノ酸は、重複するアミノ酸置換を置き換えることができないことが理解される。例えば、iii)による唯一のアミノ酸置換がCDR-H1中のX34V又はX34Fのいずれかである場合、前記アミノ酸は、結合ドメイン中に残存するiii)で定義されたアミノ酸置換がないため、前記CDR-H1配列中のアミノ酸Iで置き換えることができない。換言すれば、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物に含まれるiii)で定義されるアミノ酸置換の少なくとも1つが常に存在しなければならない。
VH領域配列及び/又はVL領域配列の実際の配列に依存して、前記さらなるアミノ酸の1つ以上は、既に本明細書中において上記で定義されるような所与の可変配列の一部であり得るか、又はそうでない場合、前記所与の可変領域は、iii)に列挙されるような1つのアミノ酸置換又はその組合せと組み合わせて前記さらなるアミノ酸を示すように変更されるであろうことも理解される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい実施形態において、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又はそれを超えるアミノ酸置換のiii)で定義される前記アミノ酸置換の組合せを含む。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい実施形態において、i)前記1つのアミノ酸置換はa.VH領域におけるX34V、Q39E、Q39K、Q39R、Q39D、L45M、L45V、X1281V、X1281T、X1281I、V99A、V99L、H101A、H101N;及びb.V38I、V38L、V38M、V38F、V38Y、X1140R、X1140K、X2469S、X2469E、X3291L、X3393Yから選択され;ii)2つ以上のアミノ酸置換の組合せは、VH領域におけるX34F及びA81V(X1281Vとも称し得る);VH領域におけるQ39E及びVL領域におけるX1140K;VH領域におけるQ39E及びVL領域におけるX1140R;VH領域におけるQ39D及びVL領域におけるX1140K;VH領域におけるQ39D及びVL領域におけるX1140R;VH領域におけるL45V及びVL領域におけるV38F;VH領域におけるL45V及びVL領域におけるV38Y;VH領域におけるL45M及びVL領域におけるX1140K;VL領域におけるL20I及びG102S;VH領域におけるA81V及びVL領域におけるX1140Kから選択され;iii)3つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、VH領域におけるQ39E、VL領域におけるX1140K及びG102S;VH領域におけるQ39E、VL領域におけるX1140R及びG102S;VH領域におけるQ39D、VL領域におけるX1140K及びG102S;VH領域におけるQ39D、VL領域におけるX1140R及びG102S;VH領域におけるL45M、VL領域におけるX1140K及びG102S;VH領域におけるX65A、H101A及びN106S;VL領域におけるL20I、X1140K及びG102Sから選択され;iv)4つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、VH領域におけるQ39E、VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;VH領域におけるQ39E、VL領域におけるL20I、X1140R及びG102S;VH領域におけるQ39D、VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;VH領域におけるQ39D、VL領域におけるL20I、X1140R及びG102S;VH領域におけるL45M、VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;VH領域におけるA81V、VL領域におけるL20I、X1140K及びG102Sから選択され;及び/又はv)5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくはそれを超えるアミノ酸置換の前記組合せは、VH領域におけるX65A、A81V、V99A、N106S、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;VH領域におけるD64E、X65A、A81V、X14102E、F104I、N106T、VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;VH領域におけるL45M、X65A、N106T、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;VH領域におけるX65A、A81V、V99A、H101A、F104I、N106S、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S、G102S;VH領域におけるX65A、A81V、V99A、H101A、N106S;VH領域におけるA81V、V99A、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S、G102S;VH領域におけるQ39E、A81V、VL領域におけるL20I、X1140K、G102S;VH領域におけるL45V、VL領域におけるL20I、V38F、X1140K及びG102Sから選択される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のより好ましい実施形態では、アミノ酸置換の前記組合せは、
i)VH領域における、
a.X65A、A81V、V99A、H101A及びN106S;
b.D64E、X65A、A81V、H101N、X14102E、F104I及びN106S;
c.L45M、X65A、H101A及びN106T;
d.L45M、X65A、H101A及びN106S;
e.Q39E、X65A、H101N及びN106T;
f.D64E、X65A、V99A、H101A及びN106T;
g.X65A、A81V、V99A、H101A、X14102E、F104I及びN106T;
h.X65A、A81V、H101N、X14102E、F104I及びN106S;
i.D64E、X65A、A81V、H101A及びN106S;
j.D64E、X65A、H101A及びN106T;
k.X65A、V99A、H101A及びN106T;
l.D64E、X65A、H101A及びN106S;
m.D64E、X65A、A81V、V99A、H101A及びN106S;
n.X65A、H101A及びN106S;
o.N30S、Q39E、D64E、X65A、A81V、H101A、X14102E、F104I及びN106T;
p.L45M、D64E、X65A、H101A及びN106T;
q.N30S、L45M、X65A、A81V、H101A及びN106T;
r.N30S、L45M、D64E、X65A、A81V、H101A及びN106S;
ii)VL領域における、
a.L20I、X1140K、X2469S及びG102S;
b.L20I、X2469S及びG102S;
c.L20I、V38I、X1140K、X2469E、G102S及びW93Y;
d.X1140K及びG102S;
e.L20I、X1140K、X2469S、G102S及びW93Y;
f.L20M、X1140K及びX2469E;
g.L20I、V38I、X1140K、X2469E及びG102S;
h.X1140K、X2469S及びW93Y;
i.X1140K及びX2469S;並びに
iii)i)及びii)の1つのアミノ酸置換の組合せ
から選択される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらに他の好ましい実施形態では、iii)のアミノ酸置換の組合せの前記組合せは、
a.VH領域におけるX65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;
b.VH領域におけるD64E、X65A、A81V、H101N、X14102E、F104I、N106S、VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;
c.VH領域におけるL45M、X65A、H101A、N106T、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;
d.VH領域におけるL45M、X65A、H101A、N106S、VL領域におけるL20I、V38I、X1140K、X2469E、G102S及びW93Y;
e.VH領域におけるQ39E、X65A、H101N、N106T、VL領域におけるX1140K及びG102S;
f.VH領域におけるD64E、X65A、V99A、H101A、N106T、VL領域におけるX1140K及びG102S;
g.VH領域におけるX65A、A81V、V99A、H101A、X14102E、F104I、N106T、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;
h.VH領域におけるX65A、A81V、H101N、X14102E、F104I、N106S、VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;
i.VH領域におけるD64E、X65A、A81V、H101A、N106S、VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;
j.VH領域におけるD64E、X65A、H101A、N106T、VL領域におけるX1140K及びG102S;
k.VH領域におけるX65A、V99A、H101A、N106T、VL領域におけるX1140K及びG102S;
l.VH領域におけるD64E、X65A、H101A、N106S、VL領域におけるX1140K及びG102S;
m.VH領域におけるD64E、X65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S、G102S及びW93Y;
n.VH領域におけるX65A、H101A、N106S、VL領域におけるX1140K及びG102S;
o.VH領域におけるN30S、Q39E、D64E、X65A、A81V、H101A、X14102E、F104I、N106T、VL領域におけるL20M、X1140K及びX2469E;
p.VH領域におけるL45M、D64E、X65A、H101A、N106T、VL領域におけるL20I、V38I、X1140K、X2469E及びG102S;
q.VH領域におけるN30S、L45M、X65A、A81V、H101A、N106T、VL領域におけるX1140K及びX2469S;及び
r.VH領域におけるN30S、L45M、D64E、X65A、A81V、H101A、N106S、VL領域におけるX1140K及びX2469S
から選択される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の他の好ましい実施形態では、定義されるアミノ酸置換の組合せの前記組合せにおいて、
a.及びm.では、Xは、前記VH領域配列中のIであり;
b.及びr.では、Xは、前記VH領域配列中のGであり;
c.では、X12は、前記VH領域中のLであり;
d.では、前記VH領域において、X12は、Lであり、X17は、Fであり;
e.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり、X14は、Aであり、及びX17は、Fであり;
f.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;及び前記VL領域配列において、X32は、Aであり;
g.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;
h.では、及びi.前記VH領域配列において、Xは、Gであり;
j.、l及びn.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり、X17は、Fであり;及び前記VL領域配列において、X32は、Aであり;
k.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;及び前記VL領域配列において、X32は、Aであり;
p.では、前記VH領域において、X12は、Lであり;又は
q.では、前記VH領域配列において、Xは、Gであり、X17は、Fである。
本実施形態において定義されるようなVH領域配列及びVL領域配列の例は、配列番号2012及び2013;2020及び2021;2028及び2029;2036及び2037;2044及び2045;26及び27;34及び35;42及び43;50及び51;58及び59;66及び67;74及び75;82及び83;90及び91;98及び99;100及び101;108及び109;116及び117によって定義される。表2は、「I2C」として定義されるVH及びVLの組合せ(それぞれ配列番号1854及び1855)を含むCD3ε結合ドメインを超えるCD3ε結合ドメインの前述のVH及びVL領域配列の組合せの温度安定性の上昇を証明している。
本発明によれば、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合し、本明細書で定義されるVH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の結合ドメインは、配列番号1878、1908、1989及び2003で定義される以下のCDR配列又はその組合せの少なくとも1つを含む。前記配列は、iii)で定義されるような1つのアミノ酸置換又はその組合せを含み、いくつかの例では、本明細書中において上記で定義されるような前記さらなるアミノ酸も含む。前記CDR配列の好ましい組合せを、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3の順で以下に列挙する:1878~1883;1908~1913;1984~1989;1998~2003。
配列番号126~131;134~139;142~147;150~155;158~163で定義されるCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3の順序のCDR配列の組合せも本発明によるものである。
本発明によれば、配列番号(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3の順に列挙):2006~2011;2014~2019;2022~2027;2030~2035;2038~2043;20~25;36~41;44~49;52~57;60~65;68~73;76~81;84~89;92~97;102~107;110~115で定義されるCDR配列の組合せもより好ましい。さらなる例は、配列番号282~287;290~295;298~303;306~311;314~319;472~477;480~485;488~493;496~501;504~509;650~655;658~663;666~671;674~679;682~687;840~845;848~853;856~861;864~869;872~877;1026~1031;1034~1039;1042~1047;1050~1055;1058~1063;1216~1221;1224~1229;1232~1237;1240~1245;1248~1253;1394~1399;1402~1407;1410~1415;1418~1423;1426~1431;1584~1589;1592~1597;1600~1605;1608~1613;1616~1621;1774~1779;1782~1787;1790~1795;1798~1803;1806~1811である。
本発明によれば、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の結合ドメインは、以下の配列番号1856、1860、1862、1864、1872、1884、1894、1896、1898、1900、1902、1904、1906、1914、1916、1918、1920、1922、1924、1926、1928、1930、1932、1934、1936、1938、1940、1942、1944、1946、1948、1950で定義されるVH領域配列を含むか又はそれからなる。前記配列は、本明細書中の上記で定義されるような1つのアミノ酸置換又はその組合せを含み、いくつかの例では、本明細書中において上記で定義されるような前記さらなるアミノ酸も含む。これは、本明細書で特定されるアミノ酸残基交換から生じる配列ID番号CD3ε結合ドメインを特徴とする以下の実施形態にも当てはまる。
本発明によれば、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の結合ドメインは、以下の配列番号1867、1869、1871、1875、1877、1899、1901、1903、1905、1907、1919、1921、1923、1925、1927、1929、1931、1933、1935、1937、1939、1941、1943、1961、1963、1965、1967、1969、1971、1975、1991、1993、1995、1997又は2005で定義されるVL領域配列を含むか又はそれからなる。
ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の前記結合ドメインのVH及びVL領域配列の好ましい組合せは、以下の配列番号:1856及び1857;1860及び1861;1862及び1863;1864及び1865;1866及び1867;1868及び1869;1870及び1871;1872及び1873;1874及び1875;1876及び1877;1884及び1885;1894及び1895;1896及び1897;1898及び1899;1900及び1901;1902及び1903;1904及び1905;1906及び1907;1914及び1915;1916及び1917;1918及び1919;1920及び1921;1922及び1923;1924及び1925;1926及び1927;1928及び1929;1930及び1931;1932及び1933;1934及び1935;1936及び1937;1938及び1939;1940及び1941;1942及び1943;1944及び1945;1946及び1947;1948及び1949;1950及び1951;1960及び1961;1962及び1963;1964及び1965;1966及び1967;1968及び1969;1970及び1971;1974及び1975;1990及び1991;1992及び1993;1994及び1995;1996及び1997;又は2004及び2005で定義される。
配列番号132、140、148、156及び164で定義されているVH領域配列も本発明に従うものである。
配列番号133、141、149、157及び165で定義されているVL領域配列も本発明に従うものである。
上記の特に好ましいVH及びVL領域配列の任意の組合せも本発明に従うものである。以下の配列番号によって定義される下記のVH及びVLの組合せが好ましい:配列番号132及び133;140及び141;148及び149;156及び157;並びに164及び165。
配列番号2012、2020、2028、2036、2044、26、34、42、50、58、66、74、82、90、98、100、108及び116で定義されるVH領域配列も本発明に従うものであり、より好ましい。さらなる例は、配列番号288、296、304、312、320、478、486、494、502、510、656、664、672、680、688、846、854、862、870、878、1032、1040、1048、1056、1064、1222、1230、1238、1246、1254、1400、1408、1416、1424、1432、1590、1598、1606、1614、1622、1780、1788、1796、1804及び1812である。
配列番号2013、2021、2029、2037、2045、27、35、43、51、59、67、75、83、91、99、101、109及び117で定義されるVL領域配列も本発明に従うものであり、より好ましい。さらなる例は、配列番号289、297、305、313、321、479、487、495、503、511、657、665、673、681、689、847、855、863、871、879、1033、1041、1049、1057、1065、1223、1231、1239、1247、1255、1401、1409、1417、1425、1433、1591、1599、1607、1615、1623、1781、1789、1797、1805及び1813である。
上記の特に好ましいVH及びVL領域配列の任意の組合せも本発明に従うものであり、好ましい。以下の配列番号によって定義される下記のVH及びVLの組合せが好ましい:2012及び2013;2020及び2021;2028及び2029;2036及び2037;2044及び2045;26及び27;34及び35;42及び43;50及び51;58及び59;66及び67;74及び75;82及び83;90及び91;98及び99;100及び101;108及び109;並びに116及び117。さらなる例は、配列番号288及び289;296及び297;304及び305;312及び313;320及び321;478及び479;486及び487;494及び495;502及び503;510及び511;656及び657;664及び665;672及び673;680及び681;688及び689;846及び847;854:855;862及び863;870及び871;878及び879;1032及び1033;1040及び1041;1048及び1049;1056及び1057;1064及び1065;1222及び1223;1230及び1231;1238及び1239;1246及び1247;1254及び1255;1400及び1401;1408及び1409;1416及び1417;1424及び1425;1432及び1433;1590及び1591;1598及び1599;1606及び1607;1614及び1615;1622及び1623;1780及び1781;1788及び1789;1796及び1797;1804及び1805;並びに1812及び1813である。
本発明によれば、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の前記結合ドメインは、配列番号2012、2020、2028、2036、2044、26、34、42、50、58、66、74、82、90、98、100、108、116、288、296、304、312、320、478、486、494、502、510、656、664、672、680、688、846、854、862、870、878、1032、1040、1048、1056、1064、1222、1230、1238、1246、1254、1400、1408、1416、1424、1432、1590、1598、1606、1614、1622、1780、1788、1796、1804、1812、1856、1860、1862、1864、1872、1884、1894、1896、1898、1900、1902、1904、1906、1914、1916、1918、1920、1922、1924、1926、1928、1930、1932、1934、1936、1938、1940、1942、1944、1946、1948、1950、132、140、148、156及び164から選択されるVH領域配列;及び/又は配列番号2013、2021、2029、2037、2045、27、35、43、51、59、67、75、83、91、99、101、109及び117、289、297、305、313、321、479、487、495、503、511、657、665、673、681、689、847、855、863、871、879、1033、1041、1049、1057、1065、1223、1231、1239、1247、1255、1401、1409、1417、1425、1433、1591、1599、1607、1615、1623、1781、1789、1797、1805、1813、1867、1869、1871、1875、1877、1899、1901、1903、1905、1907、1919、1921、1923、1925、1927、1929、1931、1933、1935、1937、1939、1941、1943、1961、1963、1965、1967、1969、1971、1975、1991、1993、1995、1997、2005、133、141、149、157及び165から選択されるVL領域配列を含むか又はそれからなる。
本発明によれば、好ましくは、ポリペプチド又はポリペプチド構築物は、i)VH領域及びii)VL領域を含むか又はそれからなる、前記ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、i)及びii)の前記VH及びVL領域は、配列番号124及び125、172及び173、362及び363、552及び553、730及び731、928及び929、1106及び1107、1296及び1297、1474及び1475、1664及び1665並びに1854及び1855で定義されるVH及びVL領域の組合せから選択され、前記VH及び/又はVL領域配列における前記1つのアミノ酸置換又はその組合せは、以下のアミノ酸残基を有するVH及び/又はVL領域配列をもたらす:
i.VH領域配列における34位のI、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA、106位のS、VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における45位のM、65位のA、81位のL、101位のA、106位のT、VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における45位のM、65位のA、81位のL、101位のA、106位のS、112位のF、VL領域配列における20位のI、38位のI、40位のK、69位のE、102位のS及び93位のY;
VH領域配列における34位のI、39位のE、65位のA、101位のN、102位のA、106位のT、112位のF、VL領域配列における40位のK及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、99位のA、101位のA、106位のT、VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA、102位のE、104位のI、106位のT、VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における64位のE、65位のA、68位のG、81位のV、101位のA、106位のS、VL領域配列における20位のI、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、101位のA、106位のT、112位のF、VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、101位のA、106位のS、112位のF、VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA、106位のS、VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS、102位のS及び93位のY;
VH領域配列における34位のI、65位のA、101位のA、106位のS、112位のF、VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
VH領域配列における45位のM、64位のE、65位のA、81位のL、101位のA、106位のT、VL領域配列における20位のI、38位のI、40位のK、69位のE及び102位のS;
VH領域配列における30位のS、45位のM、65位のA、68位のG、81位のV、101位のA、106位のT、112位のF、VL領域配列における40位のK、69位のS及び93位のY;及び
VH領域配列における30位のS、45位のM、64位のE、65位のA、68位のG、81位のV、101位のA、106位のS、VL領域配列における40位のK及び69位のS;
ii.VH領域配列における64位のE、65位のA、68位のG、81位のV、101位のN、102位のE、104位のI、106位のT、VL領域配列における20位のI、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における65位のA、68位のG、81位のV、101位のN、102位のE、104位のI、106位のS、VL領域配列における20位のI、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、65位のA、99位のA、101位のA、106位のT、VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;並びに
VH領域配列における30位のS、39位のE、64位のE、65位のA、81位のV、101位のA、102位のE、104位のI、106位のT、VL領域配列における20位のM、40位のK及び69位のE;
iii.VH領域配列における101位のA;
iv.VH領域配列における81位のV、99位のA、VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、81位のV、VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、39位のE、81位のV、VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
v.VH領域配列における34位のI、81位のV及びVL領域配列における40位のK;
VH領域配列における45位のM、VH領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
VH領域配列における34位のI、65位のA、101位のA及び106位のS;
VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
VH領域配列における34位のF及び81位のV;
VH領域配列における45位のM及びVL領域配列における40位のK及び102位のS;
VH領域配列における39位のD、VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
VH領域配列における34位のI及び81位のV;
VH領域配列における39位のE、VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
VH領域配列における45位のM及びVL領域配列における40位のK;
VH領域配列における34位のI、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA及び106位のS;又は
vi.VH領域配列における39位のD、VL領域配列における20位のI、40位のR及び102位のS;
VH領域配列における34位のI;
VL領域配列における40位のK;
VH領域配列における39位のD及びVL領域配列における40位のK及び102位のS;
VH領域配列における20位のI及び102位のS;
VH領域配列における39位のK;
VH領域配列における39位のE及びVL領域配列における40位のK及び102位のS;
VH領域配列における39位のE、VL領域配列における20位のI、40位のR及び102位のS;
VH領域配列における39位のD及びVL領域配列における40位のR及び102位のS;
VH領域配列における81位のV;
VH領域配列における39位のD及びVL領域配列における40位のK;
VH領域配列における112位のF;
VH領域配列における112位のF及びVL領域配列における38位のI;
VH領域配列における39位のE及びVL領域配列における40位のK;
VH領域配列における34位のV。
上記のアミノ酸残基は、本発明によるCD3ε結合ドメイン中の所与の位置に存在する。変更されることになるVH及び/又はVL領域配列(i)のVH領域及びii)のVL領域)の1つ、すなわち塩基VH及び/又はVL領域配列が、所与の位置に上記のアミノ酸残基の1つを既に含有する場合、それぞれのアミノ酸残基がi)及び/又はii)のVH領域及び/又はVL領域に既に存在するため、これらは、変更できないことになる。
より好ましいのは、CD3ε結合ドメインが、配列番号124及び125、362及び363、730及び731、928及び929、1106及び1107、1296及び1297、1474及び1475、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなることである。さらにより好ましいのは、CD3ε結合ドメインが、配列番号124及び125、730及び731、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなることである。なおさらにより好ましい実施形態において、CD3ε結合ドメインは、配列番号730及び731、1664及び1665並びに1854及び1855からなる群から選択されるi)及びii)のVH及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなる。最も好ましいのは、前記CD3ε結合ドメインが、それぞれ配列番号1854及び1855のi)及びii)のVH領域及びVL領域の組合せを含むか又はそれからなることである。
実施例の節から明らかなように、所与の位置における上記で列挙されたアミノ酸残基は、DSF(示差走査蛍光測定)の周知の本明細書に記載される方法によって測定される温度安定性の上昇に好ましい効果を有する;例えば、i)及びii)の上に列挙されたVH配列及びVL配列に導入された場合、Wen et al.,“Nano differential scanning fluorimetry for comparability studies of therapeutic proteins”,Analytical Biochemistry,Volume 593,2020,113581,ISSN 0003-2697;Dart,M.L.et al.(2018)“Homogeneous Assay for Target Engagement Utilizing Bioluminescent Thermal Shift”ACS medical chemistry letters,9(6),546-551)を参照されたい。より具体的には、セクションi及びiv.に列挙された所与の位置のアミノ酸残基は、非改変配列、すなわち各基本のVH及びVL配列について測定した値と比較して、6℃以上の温度安定性の上昇を示す。セクションii.及びv.は、非改変配列、すなわちそれぞれの基本のVH及びVL配列について測定された値と比較して、3℃以上の温度安定性の上昇を示し、一方、セクションiii.及びvi.は改変されていない配列、すなわちそれぞれの基本のVH及びVL配列について測定された値と比較して、1℃以上の温度安定性の上昇を示す。
好ましくは、セクションi.、ii.、iv.及び/又はv.の所与の位置のアミノ酸残基は、本実施形態によるCD3ε結合ドメイン中に存在する。より好ましいのは、セクションi及び/又はiv.の所与の位置のアミノ酸残基が、本発明によるCD3ε結合ドメイン中に存在することである。この好ましさは、以下に列挙される好ましい実施形態にも当てはまる。本明細書に概説されるように、VH及びVL領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカー、最も好ましくはGS又はGQリンカーによって連結されていることも好ましく、好ましくは、前記GS又はGQリンカーは、3回繰り返され、すなわち(GS)3又は(GQ)3リンカーである。
本発明によれば、本発明は、ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、
a)VH領域が配列番号1854で定義される配列を含むか又はそれからなり、及びVL領域が配列番号1855で定義される配列を含むか又はそれからなり;VH及び/又はVL領域配列は、
i.VH領域配列(配列番号2012で定義される得られるVH配列)におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号2013で定義される得られるVL配列)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号2036)におけるL45M、S65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号2037)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号2028)におけるL45M、S65A、A81L、H101A、N106S、W112F、VL領域配列(配列番号2029)におけるL20I、V38I、Q40K、L69E、G102S及びW93Y;
VH領域配列(配列番号2044)におけるM34I、Q39E、S65A、H101N、G102A、N106T、W112F、VL領域配列(配列番号2045)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号34)におけるM34I、D64E、S65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号35)におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列(配列番号90)におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A、G102E、F104I、N106T、VL領域配列(配列番号91)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号100)におけるD64E、S65A、D68G、A81V、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号101)におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列(配列番号58)におけるM34I、D64E、S65A、H101A、N106T、W112F、VL領域配列(配列番号59)におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列(配列番号50)におけるM34I、D64E、S65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列(配列番号51)におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列(配列番号98)におけるM34I、D64E、S65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号99)におけるL20I、Q40K、L69S、G102S及びW93Y;
VH領域配列(配列番号42)におけるM34I、S65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列(配列番号43)におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列(配列番号116)におけるL45M、D64E、S65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号117)におけるL20I、V38I、Q40K、L69E及びG102S;
VH領域配列(配列番号82)におけるN30S、L45M、S65A、D68G、A81V、H101A、N106T、W112F、VL領域配列(配列番号83)におけるQ40K、L69S及びW93Y;並びに
VH領域配列(配列番号74)におけるN30S、L45M、D64E、S65A、D68G、A81V、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号75)におけるQ40K及びL69S;
ii.VH領域配列(配列番号2020)におけるD64E、S65A、D68G、A81V、H101N、G102E、F104I、N106T、VL領域配列(配列番号2021)におけるL20I、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号108)におけるS65A、D68G、A81V、H101N、G102E、F104I、N106S、VL領域配列(配列番号109)におけるL20I、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号26)におけるM34I、S65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号27)におけるQ40K、V91A及びG102S;及び
VH領域配列(配列番号66)におけるN30S、Q39E、D64E、S65A、A81V、H101A、G102E、F104I、N106T、VL領域配列(配列番号67)におけるL20M、Q40K及びL69E;
iii.VH領域配列(配列番号2560)におけるH101A;
iv.VH領域配列におけるA81V、V99A、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号1898)におけるM34I、A81V、VL領域配列(配列番号1899)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1904)におけるM34I、VL領域配列(1905)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1906)におけるM34I、Q39E、A81V、VL領域配列(配列番号1907)におけるL20I、Q40K及びG102S;
v.VH領域配列(配列番号1900)におけるM34I、A81V及びVL領域配列(配列番号1901)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1866)におけるL45M、VH領域配列(配列番号1867)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、H101A及びN106S;
VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号1884)におけるM34F及びA81V;
VH領域配列(配列番号1870)におけるL45M、VL領域配列(配列番号1871)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1918)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1919)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1869)におけるM34I及びA81V;
VH領域配列(配列番号1932)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号1933)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1868)におけるL45M及びVl領域配列(配列番号1869)におけるQ40K;
VH領域配列におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A及びN106S;又は
vi.VH領域配列(配列番号1928)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1929)におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号1892)におけるM34I;
VL領域配列(配列番号1974)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1922)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1923)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるL20I及びG102S;
VH領域配列(配列番号1944)におけるQ39K;
VH領域配列(配列番号1938)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号1939)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1934)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号1935)におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号1926)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1926)におけるQ40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号1862)におけるA81V;
VH領域配列(配列番号1920)におけるQ39D及びVL領域配列(配列番号1921)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1958)におけるW112F;
VH領域配列(配列番号1960)におけるW112F及びVL領域配列(配列番号1961)におけるV38I;
VH領域配列(配列番号1936)におけるQ39E及びVL領域配列(配列番号1937)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1914)におけるM34V
から選択されるアミノ酸置換を含み;
b)VH領域が、配列番号730で定義される配列を含むか又はそれからなり、及びVL領域が配列番号731で定義される配列を含むか又はそれからなり;VH及び/又はVL領域配列は、
i.VH領域配列(配列番号846で定義される得られるVH配列)におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号847で定義される得られるVL配列)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号870)におけるL45M、S65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号871)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号862)におけるL45M、S65A、A81L、H101A、N106S、W112F、VL領域配列(配列番号863)におけるL20I、V38I、Q40K、L69E、G102S及びW93Y;
VH領域配列(配列番号878)におけるM34I、Q39E、S65A、H101N、G102A、N106T、W112F、VL領域配列(配列番号879)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A、G102E、F104I、N106T、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるD64E、S65A、A81V、H101A、N106S、VL領域配列におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、H101A、N106T、W112F、VL領域配列におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S、G102S及びW93Y;
VH領域配列におけるM34I、S65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列におけるQ40K、V91A及びG102S;
VH領域配列におけるL45M、D64E、S65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列におけるL20I、V38I、Q40K、L69E及びG102S;
VH領域配列におけるN30S、L45M、S65A、A81V、H101A、N106T、W112F、VL領域配列におけるQ40K、L69S及びW93Y;並びに
VH領域配列におけるN30S、L45M、D64E、S65A、A81V、H101A、N106S、VL領域配列におけるQ40K及びL69S;
ii.VH領域配列(配列番号854)におけるD64E、S65A、A81V、H101N、G102E、F104I、N106T、VL領域配列(配列番号855)におけるL20I、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるS65A、A81V、H101N、G102E、F104I、N106S、VL領域配列におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列におけるQ40K、V91A及びG102S;並びに
VH領域配列におけるN30S、Q39E、D64E、S65A、A81V、H101A、G102E、F104I、N106T、VL領域配列におけるL20M、Q40K及びL69E;
iii.VH領域配列におけるH101A;
iv.VH領域配列におけるA81V、V99A、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号774)におけるM34I、A81V、VL領域配列(配列番号775)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号780)におけるM34I、VL領域配列(781)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号782)におけるM34I、Q39E、A81V、VL領域配列(配列番号783)におけるL20I、Q40K及びG102S;
v.VH領域配列(配列番号776)におけるM34I、A81V及びVL領域配列(配列番号777)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号742)におけるL45M、VH領域配列(配列番号743)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、H101A及びN106S;
VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号760)におけるM34F及びA81V;
VH領域配列(配列番号746)におけるL45M、VL領域配列(配列番号747)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号794)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号795)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号772)におけるM34I及びA81V;
VH領域配列(配列番号808)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号809)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号744)におけるL45M及びVl領域配列(配列番号745)におけるQ40K;
VH領域配列におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A及びN106S;又は
vi.VH領域配列(配列番号796)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号797)におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号768)におけるM34I;
VL領域配列(配列番号891)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号800)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号801)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるL20I及びG102S;
VH領域配列(配列番号820)におけるQ39K;
VH領域配列(配列番号814)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号815)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号810)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号811)におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号804)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号805)におけるQ40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号738)におけるA81V;
VH領域配列(配列番号798)におけるQ39D及びVL領域配列(配列番号799)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号834)におけるW112F;
VH領域配列(配列番号836)におけるW112F及びVL領域配列(配列番号837)におけるV38I;
VH領域配列(配列番号812)におけるQ39E及びVL領域配列(配列番号813)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号790)におけるM34V
から選択されるアミノ酸置換を含み;
VH領域が、配列番号1664で定義される配列を含むか又はそれからなり、及びVL領域が配列番号1665で定義される配列を含むか又はそれからなり;VH及び/又はVL領域配列は、
i.VH領域配列(配列番号1780で定義される得られるVH配列)におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号1781で定義される得られるVL配列)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号1804)におけるL45M、S65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号1805)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号1796)におけるL45M、S65A、A81L、H101A、N106S、W112F、VL領域配列(配列番号1797)におけるL20I、V38I、Q40K、L69E、G102S及びW93Y;
VH領域配列(配列番号1812)におけるM34I、Q39E、S65A、H101N、G102A、N106T、W112F、VL領域配列(配列番号1813)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A、G102E、F104I、N106T、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるD64E、S65A、D68G、A81V、H101A、N106S、VL領域配列におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、H101A、N106T、W112F、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、D64E、S65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S、G102S及びW93Y;
VH領域配列におけるM34I、S65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるL45M、D64E、S65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列におけるL20I、V38I、Q40K、L69E及びG102S;
VH領域配列におけるN30S、L45M、S65A、D68G、A81V、H101A、N106T、W112F、VL領域配列におけるQ40K、L69S及びW93Y;並びに
VH領域配列におけるN30S、L45M、D64E、S65A、D68G、A81V、H101A、N106S、VL領域配列におけるQ40K及びL69S;
ii.VH領域配列(配列番号1788)におけるD64E、S65A、D68G、A81V、H101N、G102E、F104I、N106T、VL領域配列(配列番号1789)におけるL20I、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるS65A、D68G、A81V、H101N、G102E、F104I、N106S、VL領域配列におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;並びに
VH領域配列におけるN30S、Q39E、D64E、S65A、A81V、H101A、G102E、F104I、N106T、VL領域配列におけるL20M、Q40K及びL69E;
iii.VH領域配列におけるH101A;
iv.VH領域配列におけるA81V、V99A、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号1708)におけるM34I、A81V、VL領域配列(配列番号1709)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1714)におけるM34I、VL領域配列(1715)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1716)におけるM34I、Q39E、A81V、VL領域配列(配列番号1717)におけるL20I、Q40K及びG102S;
v.VH領域配列(配列番号1710)におけるM34I、A81V及びVL領域配列(配列番号1711)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1676)におけるL45M、VH領域配列(配列番号1677)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるM34I、S65A、H101A及びN106S;
VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号1694)におけるM34F及びA81V;
VH領域配列(配列番号1680)におけるL45M、VL領域配列(配列番号1681)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1728)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1729)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1706)におけるM34I及びA81V;
VH領域配列(配列番号1742)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号1743)におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1678)におけるL45M及びVl領域配列(配列番号1679)におけるQ40K;
VH領域配列におけるM34I、S65A、A81V、V99A、H101A及びN106S;又は
vi.VH領域配列(配列番号1730)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1731)におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号1702)におけるM34I;
VL領域配列(配列番号1755)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1734)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1735)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるL20I及びG102S;
VH領域配列(配列番号1754)におけるQ39K;
VH領域配列(配列番号1748)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号1749)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列(配列番号1744)におけるQ39E、VL領域配列(配列番号1745)におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号1738)におけるQ39D、VL領域配列(配列番号1739)におけるQ40R及びG102S;
VH領域配列(配列番号1672)におけるA81V;
VH領域配列(配列番号1732)におけるQ39D及びVL領域配列(配列番号1733)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1768)におけるW112F;
VH領域配列(配列番号1770)におけるW112F及びVL領域配列(配列番号1771)におけるV38I;
VH領域配列(配列番号1746)におけるQ39E及びVL領域配列(配列番号1747)におけるQ40K;
VH領域配列(配列番号1724)におけるM34V
から選択されるアミノ酸置換を含むか;又は
d)VH領域が、配列番号124で定義される配列を含むか又はそれからなり、及びVL領域が配列番号125で定義される配列を含むか又はそれからなり;VH及び/又はVL領域配列は、
i.VH領域配列(配列番号132で定義される得られるVH配列)におけるQ65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列(配列番号133で定義される得られるVL配列)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号156)におけるL45M、Q65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列(配列番号157)におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列(配列番号148)におけるL45M、Q65A、A81L、H101A、N106S、W112F、VL領域配列(配列番号149)におけるL20I、V38I、Q40K、L69E、G102S及びW93Y;
VH領域配列(配列番号164)におけるQ39E、Q65A、H101N、N106T、W112F、VL領域配列(配列番号165)におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるD64E、Q65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列におけるQ40K、T91A及びG102S;
VH領域配列におけるQ65A、A81V、V99A、H101A、A102E、F104I、N106T、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるD64E、Q65A、D68G、A81V、H101A、N106S、VL領域配列におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列におけるD64E、Q65A、H101A、N106T、W112F、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるD64E、Q65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるD64E、Q65A、A81V、V99A、H101A、N106S、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S、G102S及びW93Y;
VH領域配列におけるQ65A、H101A、N106S、W112F、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるL45M、D64E、Q65A、A81L、H101A、N106T、VL領域配列におけるL20I、V38I、Q40K、L69E及びG102S;
VH領域配列におけるN30S、L45M、Q65A、D68G、A81V、H101A、N106T、W112F、VL領域配列におけるQ40K、L69S及びW93Y;並びに
VH領域配列におけるN30S、L45M、D64E、Q65A、D68G、A81V、H101A、N106S、VL領域配列におけるQ40K及びL69S;
ii.VH領域配列(配列番号140)におけるD64E、Q65A、D68G、A81V、H101N、A102E、F104I、N106T、VL領域配列(配列番号141)におけるL20I、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるQ65A、D68G、A81V、H101N、A102E、F104I、N106S、VL領域配列におけるL20I、L69S、G102S;
VH領域配列におけるQ65A、V99A、H101A、N106T、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;並びに
VH領域配列におけるN30S、Q39E、D64E、Q65A、A81V、H101A、A102E、F104I、N106T、VL領域配列におけるL20M、Q40K及びL69E;
iii.VH領域配列におけるH101A;
iv.VH領域配列におけるA81V、V99A、VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるA81V、VL領域配列におけるL20I、Q40K及びG102S;
VL領域配列におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるQ39E、A81V、VL領域配列におけるL20I、Q40K及びG102S;
v.VH領域配列におけるA81V及びVL領域配列におけるQ40K;
VH領域配列におけるL45M、VH領域配列におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるQ65A、H101A及びN106S;
VL領域配列におけるL20I、Q40K、L69S及びG102S;
VH領域配列におけるI34F及びA81V;
VH領域配列におけるL45M、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるQ39D、VL領域配列におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるQ39E、VL領域配列におけるL20I、Q40K及びG102S;
VH領域配列におけるL45M及びVL領域配列におけるQ40K;
VH領域配列におけるQ65A、A81V、V99A、H101A及びN106S;又は
vi.VH領域配列におけるQ39D、VL領域配列におけるL20I、Q40R及びG102S;
VL領域配列におけるQ40K;
VH領域配列におけるQ39D、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるL20I及びG102S;
VH領域配列におけるQ39K;
VH領域配列におけるQ39E、VL領域配列におけるQ40K及びG102S;
VH領域配列におけるQ39E、VL領域配列におけるL20I、Q40R及びG102S;
VH領域配列におけるQ39D、VL領域配列におけるQ40R及びG102S;
VH領域配列におけるA81V;
VH領域配列におけるQ39D及びVL領域配列におけるQ40K;
VH領域配列におけるW112F;
VH領域配列におけるW112F及びVL領域配列におけるV38I;
VH領域配列におけるQ39E及びVL領域配列におけるQ40K;
VH領域配列におけるM34V
から選択されるアミノ酸置換を含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物に関する。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のCD3ε結合ドメインとして上に列挙した選択肢a)~c)が好ましく、選択肢a)がより好ましい。上記の好ましいリンカー、すなわち(GS)3又はGQ)3も本実施形態に好ましい。
本発明によれば、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物は、配列番号1~19及び2551に開示されているリンカー、半減期延長ペプチド及び他の構造部分を有し得る。これらの構造の性質及び機能に関する詳細は、本明細書に開示される配列表に見出される。
本発明は、ポリペプチド構築物が、scFv、さらなる結合ドメインが存在する限り、(scFv)2、ダイアボディ及び上記形式のいずれかのオリゴマーからなる群から選択される形式である実施形態を提供する。「形式である」という用語は、構築物が、例えば本明細書に記載される他の部分への結合又は融合によってさらに修飾され得ることを排除しない。本発明のポリペプチド構築物の一実施形態によれば、本明細書に記載のパラトープを含むドメインはscFvの形式である。scFvにおいて、VH領域及びVL領域は、VH-VL又はVL-VHの順に(N末端からC末端に)配置される。ドメインのVH領域及びVL領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して接続されることが想定される。好ましい実施形態において、ペプチドリンカーは、GS若しくはGQリンカー又はそれらの反復、例えば好ましくは(GS)3(すなわちGSの3回の反復)又は(GQ)3(すなわちGQの3回の反復)である。本明細書に記載するVH及びVL領域を含む結合ドメインの一実施形態によれば、VH領域はリンカーのN末端に位置し、VL領域はリンカーのC末端に位置する。換言すれば、本明細書で説明されるパラトープを含むドメインの一実施形態では、scFvは、N末端からC末端に向かって、VH-リンカー-VLを含む。ポリペプチド又はポリペプチド構築物が前記CD3ε結合ドメインに加えて少なくとも1つのさらなる結合ドメインを含む場合、構築物の結合ドメイン(本明細書に記載のパラトープを含む)は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結されることがさらに想定される。構築物は、例えば、(N末端からC末端に向かって)CD3結合ドメイン-リンカー-さらなる結合ドメインの順にドメインを含み得る。逆の順序(さらなる結合ドメイン-リンカー-CD3結合ドメイン)も可能であり、好ましい配向である。
リンカーは、好ましくは、ペプチドリンカーであり、より好ましくは短鎖ペプチドリンカーである。本発明に従えば、「ペプチドリンカー」は、構築物の一方のドメインのアミノ酸配列を、もう一方の(可変且つ/又は結合)ドメイン(例えば、可変ドメイン又は結合ドメイン)と連結するアミノ酸配列を含む。このようなペプチドリンカーの本質的な技術的特徴は、重合活性を含まないことである。好適なペプチドリンカーには、米国特許第4,751,180号明細書及び同第4,935,233号明細書又は国際公開第88/09344号パンフレットに記載されるものがある。ペプチドリンカーは、他のドメイン又はモジュール又は領域(半減期延長ドメインなど)を本発明の構築物に結合するためにも使用され得る。有用なペプチドリンカーの例は、配列番号1~11及び2551に示される。これに関連して、「短い」リンカーは、2~50個のアミノ酸、好ましくは3~35個のアミノ酸、4~30個のアミノ酸、5~25個のアミノ酸、6~20個のアミノ酸又は6~17個のアミノ酸を有する。1個の結合ドメインの2個の可変領域間のリンカーは、2個の結合ドメイン間のリンカーとは異なる長さ(例えば、より長くてもよい)を有し得る。例えば、1個の結合ドメインの2個の可変領域間のリンカーは、7~15アミノ酸、好ましくは9~13の長さを有し得、2個の結合ドメイン間のリンカーは、3~10アミノ酸、好ましくは4~8の長さを有し得る。さらに、ペプチドリンカーは、配列番号1~11及び2551に示されるものなど、グリシン/セリンリンカーであることが想定される。グリシン/セリンリンカーのアミノ酸の殆どは、グリシン及びセリンから選択される。
リンカーが使用される場合、このリンカーは、第1及び第2のドメインのそれぞれが互いに独立してその異なる結合特異性を確実に保持できる長さ及び配列であることが好ましい。構築物において少なくとも2つの結合ドメイン(又は1つの結合ドメインを形成する2つの可変領域)を接続するペプチドリンカーについては、ごく少数のアミノ酸残基のみ、例えば12アミノ酸残基以下を含むペプチドリンカーが想定される。したがって、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個又は5個のアミノ酸残基のペプチドリンカーが好ましい。5個未満のアミノ酸を有する想定されるペプチドリンカーは、4、3、2又は1個のアミノ酸を含み、Glyリッチなリンカーが好ましい。前記「ペプチドリンカー」に関連して、「単一アミノ酸」リンカーは、Glyである。ペプチドリンカーの別の実施形態は、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly-Gly-Ser、すなわちGly4Ser(配列番号15)又はそのポリマー、すなわち(Gly4Ser)xを特徴とし、ここで、xは、1以上の整数(例えば、2又は3)、例えば配列番号1及び2である。好ましいリンカーは、配列番号2、4、5、6、8、10、11及び2551に示されている。他の好ましいリンカーは、(Gly4Ser)6を含むか又はそれからなる。前記ペプチドリンカーの特徴は、当技術分野で既知であり、例えばDall’Acqua et al.(Biochem.(1998)37,9266-9273)、Cheadle et al.(Mol Immunol(1992)29,21-30)及びRaag and Whitlow(FASEB(1995)9(1),73-80)に記載されている。二次構造を促進しないペプチドリンカーが好ましい。前記ドメインの互いの連結は、例えば遺伝子工学によって提供することができる。融合し且つ作動可能に連結された二重特異性一本鎖構築物を調製し、それを哺乳動物細胞又は細菌において発現させる方法は、当技術分野で公知である(例えば、国際公開第99/54440号パンフレット又はSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,2001)。より好ましくは、前記ペプチドリンカーは、GS若しくはGQリンカー又はその反復、例えば(GS)3若しくは(GQ)3である。
本発明の一実施形態によれば、本発明のポリペプチド構築物は、「単鎖構築物」又は「単鎖ポリペプチド」である。さらなる結合ドメインの場合、CD3の結合ドメイン若しくはさらなる結合ドメイン(「第2」とも呼ばれる)のいずれか又は両方の結合ドメインが「一本鎖Fv」(scFv)の形式であり得ることも想定される。Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、これらは、組換え法を使用して、VL及びVH領域が一価の分子を形成するように対をなす単一のタンパク質鎖としてこれらが作製されることを可能にする(本明細書の上述で説明されているような)人工リンカーにより結合することができ、例えば、Huston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci USA 85:5879-5883)を参照されたい。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を使用して得られ、その断片は、完全長抗体又はIgGと同じ様式で機能について評価される。したがって、一本鎖可変断片(scFv)は、免疫グロブリンの重鎖の可変領域(VH)及び軽鎖の可変領域(VL)の融合タンパク質であり、通常、短いリンカーペプチドで連結されている。リンカーは、通常、可撓性にとってグリシンが豊富であり、且つ溶解度にとってセリン又はさらにトレオニンが豊富であり、VHのN末端をVLのC末端と結合させることができるか又はその逆も可能である。このタンパク質は、定常領域を除去し、リンカーを導入したにもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。
二重特異性一本鎖分子は、当技術分野で公知であり、国際公開第99/54440号パンフレット、Mack,J.Immunol.(1997),158,3965-3970、Mack,PNAS,(1995),92,7021-7025、Kufer,Cancer Immunol.Immunother.,(1997),45,193-197、Loeffler,Blood,(2000),95,6,2098-2103、Bruehl,Immunol.,(2001),166,2420-2426、Kipriyanov,J.Mol.Biol.,(1999),293,41-56で説明されている。単鎖構築物(とりわけ、米国特許第4,946,778号明細書、Kontermann and Duebel(2010),前掲及びLittle(2009),前掲を参照されたい)を製造するために説明された技術は、選定した標的を選択的に、好ましくは特異的に認識する単鎖構築物を製造するように適合させることができる。
(scFv)2形式を有する二価(bivalent)(二価(divalent)とも呼ばれる)又は二重特異性一本鎖可変断片(bi-scFv若しくはdi-scFv)は、2つのscFv分子を(例えば、前述したようなリンカーによって)連結することによって改変することができる。連結は、2つのVH領域と2つのVL領域とを有する単一ポリペプチド鎖を作製してタンデムscFvを生じさせることにより行うことができる(例えば、Kufer,P.et al.,(2004)Trends in Biotechnology 22(5):238-244を参照されたい)。別の可能性は、2個の可変領域が一緒に折り畳まれるには短すぎるリンカーペプチド(例えば約5アミノ酸)を有するscFv分子の作製であり、scFvを強制的に二量体化させる。この場合、結合ドメイン(CD3ε又はさらなる標的抗原のいずれかに結合)のVH及びVLは、ペプチドリンカーを介して直接接続してはいない。したがって、CD3抗原結合ドメインのVHが、例えば、さらなる標的抗原結合ドメインのVLにペプチドリンカーを介して融合し得、さらなる標的抗原結合ドメインのVHがかかるペプチドリンカーを介してCD3結合ドメインのVLと融合している。このタイプはダイアボディとして知られている(例えば、Hollinger,Philipp et al.,(July 1993)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 90(14):6444-8を参照されたい)。
本発明に従って、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物は、少なくとも1つのさらなる結合ドメインを含む。換言すれば、ポリペプチド又はポリペプチド構築物は、本明細書中において上記で定義されるCD3ε結合ドメイン及び少なくとも1つのさらなる結合ドメインを含む。前記さらなる結合ドメインは、さらなるCD3結合ドメイン、好ましくは本明細書で定義されるものであり得る。したがって、ポリペプチドは、本明細書で定義される同じCD3結合ドメインの2つを含むことができる。代替的又は追加的に(少なくとも3つの結合ドメインを含む構築物において)、少なくとも1つのさらなる結合ドメインは、異なる標的、例えば細胞表面抗原に結合する。
好ましくは、前記少なくとも1つのさらなる結合ドメインは、細胞表面抗原に結合する。本明細書で使用される「細胞表面抗原」という用語は、細胞の表面に提示される分子を示す。ほとんどの場合、この分子は、この分子の少なくとも部分が三次形態で細胞の外側からアクセス可能なままであるように、細胞の原形質膜の内部又は膜上に位置する。原形質膜の内部に位置する細胞表面分子の非限定的な例は、その三次立体配座において親水性及び疎水性の領域を含む膜貫通タンパク質である。ここで、少なくとも1つの疎水性領域は、細胞表面分子が細胞の疎水性原形質膜に包埋される又は挿入されることを可能にするが、親水性領域は原形質膜のいずれかの側で細胞質及び細胞外空間へとそれぞれ延在する。細胞外エピトープは、細胞外空間に配置されたタンパク質の一部、例えば、細胞表面分子が原形質膜に配置、包埋又は挿入された天然の構成である場合、細胞外空間に延びる細胞表面分子の一部によって構成されるエピトープを指すことが理解されるであろう。原形質膜上に位置する細胞表面分子の非限定的な例は、パルミトイル基を有するようにシステイン残基で修飾されたタンパク質、ファルネシル基を有するようにC末端システイン残基で修飾されたタンパク質又はグリコシルホスファチジルイノシトール(「GPI」)アンカーを有するようにC末端で修飾されたタンパク質である。
前記細胞表面抗原は、好ましくは腫瘍抗原である。本明細書で使用する場合、用語「腫瘍抗原」は、腫瘍細胞上に提示されるそれらの抗原として理解され得る。これらの抗原は、細胞外部分と共に細胞表面上に提示され得、多くの場合、分子の膜貫通部分及び細胞質部分を併せ持つ。これらの抗原は、場合により腫瘍細胞によってのみ提示され得、正常細胞によって決して提示され得ない。腫瘍抗原は、腫瘍細胞上に限って発現され得るか、又は正常細胞と比較して腫瘍特異的突然変異を示し得る。この場合、それらは、腫瘍特異抗原と呼ばれる。より一般的な抗原は、腫瘍細胞及び正常細胞によって提示される抗原であり、それらは、腫瘍関連抗原と呼ばれる。これらの腫瘍関連抗原は、正常細胞と比較して過剰発現され得るか、又は正常組織と比較して、腫瘍組織のよりコンパクトさに欠ける構造のため、腫瘍細胞において抗体結合のために接近可能である。
好ましい実施形態では、腫瘍抗原は、BCMA(B細胞成熟抗原)、CD123(インターロイキン-3受容体アルファ鎖(IL-3R))、CD19(Bリンパ球抗原CD19)、CD20(Bリンパ球抗原CD20)、CD22(分化クラスター-22)、CD33(Siglec-3)、CD70(分化クラスター70)、CDH19(カドヘリン19)、CDH3(カドヘリン3)、CLL1(C型レクチンドメインファミリー12メンバーA)、CS1(CCND3サブセット1)、CLDN6(クローディン-6)、CLDN18.2(クローディン18.2)、DLL3(Delta様リガンド3)、EGFRvIII(上皮成長因子受容体vIII)、FLT3(fms様キナーゼ3)、MAGEB2(黒色腫関連抗原B2)、MART1(T細胞によって認識される黒色腫抗原1)、MSLN(メソテリン)、MUC17(ムチン-17)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)及びSTEAP1(メタロレダクターゼSTEAP1)からなる群から選択される。これらの腫瘍抗原は、腫瘍細胞上でのそれらの発現により、当技術分野で周知である。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのBCMA結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのBCMA結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2072~2095で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCD123結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCD123結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2096~2110で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCD19結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCD19結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2111~2125で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCD20結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCD20結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2126~2140で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCD22結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCD22結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2141~2154で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCD33結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCD33結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2155~2178で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCD70結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCD70結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2179~2192で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCDH19結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCDH19結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2193~2212で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCDH3結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCDH3結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2213~2256で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCLL1結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCLL1結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2257~2271で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCS1結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCS1結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2272~2285で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCLDN6結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCLDN6結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2286~2299で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのCLDN18.2結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのCLDN18.2結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2300~2314で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのDLL3結合ドメインについて好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのDLL3結合ドメインを有する本発明に従ったポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性単鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2315~2328で定義される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのEGFRvIII結合ドメインについて好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのEGFRvIII結合ドメインを有する本発明に従ったポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性単鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2329~2342で定義される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのFLT3結合ドメインについて好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのFLT3結合ドメインを有する本発明に従ったポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性単鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2343~2357で定義される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのMAGEB2結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのMAGEB2結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2358~2378で定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのMART1結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列は、配列番号2379~2387に定義されている。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのMSLN結合ドメインについて好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのMSLN結合ドメインを有する本発明に従ったポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性単鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2388~2431で定義される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのMUC17結合ドメインについて好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのMUC17結合ドメインを有する本発明に従ったポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性単鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2432~2445で定義される。
本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物のさらなる結合ドメインとしてのPSMA結合ドメインについての好ましいCDR配列及びVH/VL領域配列並びにさらなる結合ドメインとしてのPSMA結合ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の二重特異性一本鎖分子配列(半減期延長ドメインあり及びなし)は、配列番号2446~2475で定義される。
さらなる結合ドメインとしてのCD20及びCD22結合ドメイン(本明細書で定義されるさらなるCD3結合ドメインあり及びなし)及び半減期延長ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい二重特異性一本鎖分子配列は、配列番号2505~2516で定義される。
さらなる結合ドメインとしてのCS1及びBCMA結合ドメイン並びに半減期延長ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい二重特異性一本鎖分子配列は、配列番号2517~2522に定義される。
さらなる結合ドメインとしてのMSLN及びCDH3結合ドメイン並びに半減期延長ドメインを有する本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物の好ましい二重特異性一本鎖分子配列は、配列番号2529~2536に定義される。
本明細書で上述に展開されたように、本発明のポリペプチド構築物は、T細胞の表面上のCD3に結合する結合ドメインを含む。「CD3」(分化クラスター3)は、4つの鎖で構成されるT細胞共受容体である。哺乳動物では、CD3タンパク質複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖、CD3δ(デルタ)鎖及び2つのCD3ε(イプシロン)鎖を含有する。これらの4つの鎖がT細胞受容体(TCR)及びいわゆるζ(ゼータ)鎖と会合して、「T細胞受容体複合体」を形成し、Tリンパ球において活性化シグナルを生じる。CD3γ(ガンマ)、CD3δ(デルタ)及びCD3ε(イプシロン)鎖は、免疫グロブリンスーパーファミリーの高度に関連性のある細胞表面タンパク質であり、それぞれが単一の細胞外免疫グロブリンドメインを含有する。CD3分子の細胞内テールは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られる単一の保存モチーフを含有し、これは、TCRのシグナル伝達能に必須である。CD3ε分子は、ヒトの第11染色体に存在するCD3ε遺伝子によってコードされるポリペプチドである。本発明に関連して、CD3は、細胞障害性T細胞(CD8+ナイーブT細胞)及びTヘルパー細胞(CD4+ナイーブT細胞)の両方の活性化に関与するタンパク質複合体及びT細胞共受容体として理解される。CD3は、典型的には、4つの異なる鎖から構成される。特に哺乳動物では、この複合体は、CD3γ鎖、CD3δ鎖及び2つのCD3ε鎖を含有する。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)及びζ鎖(ゼータ鎖)と会合して、Tリンパ球において活性化シグナルを生じる。TCR、ζ鎖及びCD3分子は一緒に、TCR複合体を構成する。
T細胞上のCD3及び標的細胞上の標的タンパク質に結合する構築物によるT細胞の動員を介して向け直された標的細胞の溶解には、概して、細胞溶解性シナプス形成並びにパーフォリン及びグランザイムの送達が関わる。会合したT細胞は、一連の標的細胞溶解能力を有し、ペプチド抗原プロセシング及び提示又はクローナルなT細胞分化を妨げる免疫エスケープ機構の影響を受けず、例えば、国際公開第2007/042261号パンフレットを参照されたい。
所与の腫瘍抗原×CD3構築物によって介在する細胞障害性は、様々な方法で測定することができる。「最大半量有効濃度」(EC50)は、本発明の構築物などの生物学的に活性のある分子の効力の尺度として一般に使用される。これは、モル濃度単位で表され得る。細胞障害性を測定するこの場合、EC50値は、ベースラインと最大値との中間の細胞障害性応答(標的細胞の溶解)を誘導する構築物の濃度を指す。細胞障害性アッセイにおけるエフェクター細胞は、例えば、刺激された濃縮(ヒト)CD8陽性T細胞又は刺激されていない(ヒト)末梢血単核細胞(PBMC)であり得る。EC50値は、典型的には、刺激された/濃縮されたCD8+T細胞がエフェクター細胞として使用される場合、刺激されていないPBMCと比較して低いと予想され得る。標的細胞がマカク起源のものであるか、又は所与のマカク腫瘍抗原でトランスフェクトされている場合、エフェクター細胞は、マカクT細胞株、例えば、4119LnPxなどのマカク起源のものでもあるものとする。標的細胞は、前記腫瘍抗原を細胞表面に発現するものとする。標的細胞は、前記腫瘍抗原を安定して又は一過性にトランスフェクトされた細胞株(CHOなど)であり得る。代わりに、標的細胞は、ヒト癌株などの腫瘍抗原陽性天然発現細胞株であり得る。通常、EC50値は、より低い標的発現率を有する標的細胞と比較して、細胞表面上により高いレベルの前記腫瘍抗原を発現する標的細胞を使用する場合、より低いと予想される。
細胞障害性アッセイにおけるエフェクター対標的細胞(E:T)比は、通常、約10:1であるが、変動もし得る。腫瘍抗原×CD3構築物の細胞障害活性は、51-クロム放出アッセイ(例えば、約18時間のインキュベーション時間を用いる)又はFACSベースの細胞障害性アッセイ(例えば、約48時間のインキュベーション時間を用いる)において測定することができる。インキュベーション時間(細胞障害性反応)の修正も想定される。他の細胞障害性測定方法は、周知であり、MTT又はMTSアッセイ、生物発光アッセイを含めたATPベースのアッセイ、スルホローダミンB(SRB)アッセイ、WSTアッセイ、クローン原性アッセイ及びECIS技術を含む。
一実施形態によれば、本発明の腫瘍抗原×CD3構築物によって介在する細胞障害性活性は、細胞ベースの細胞障害性アッセイにおいて測定される。これは、51-クロム放出アッセイでも測定され得る。本発明の構築物のEC50値は、300pM以下、280pM以下、260pM以下、250pM以下、240pM以下、220pM以下、200pM以下、180pM以下、160pM以下、150pM以下、140pM以下、120pM以下、100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下、15pM以下、10pM以下又は5pM以下であることが想定される。
上述の所与のEC50値は、異なるアッセイにおいて異なる条件下で測定することができる。例えば、エフェクター細胞としてヒトPBMCが使用され、且つ標的細胞としてCHO細胞などの腫瘍抗原トランスフェクト細胞が使用されるとき、腫瘍抗原×CD3構築物のEC50値は、500pM以下、400pM以下、300pM以下、280pM以下、260pM以下、250pM以下、240pM以下、220pM以下、200pM以下、180pM以下、160pM以下、150pM以下、140pM以下、120pM以下、100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下、15pM以下、10pM以下又は5pM以下であることが想定される。エフェクター細胞としてヒトPBMCが使用されるとき、且つしたがって標的細胞がCLDN6陽性細胞株であるとき、CLDN6×CD3構築物のEC50値は、300pM以下、280pM以下、260pM以下、250pM以下、240pM以下、220pM以下、200pM以下、180pM以下、160pM以下、150pM以下、140pM以下、120pM以下、100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下、15pM以下、10pM以下又は5pM以下であることが想定される。
一実施形態によれば、本発明の腫瘍抗原×CD3ポリペプチド/ポリペプチド構築物は、溶解を誘導/溶解に介在しないか、又はCHO細胞などの細胞の表面に前記所与の腫瘍抗原を発現しない細胞(腫瘍抗原陰性細胞)の溶解を本質的に誘導しない/溶解に本質的に介在しない。「溶解を誘導しない」、「本質的に溶解を誘導しない」、「溶解に介在しない」又は「本質的に溶解に介在しない」という用語は、本発明の構築物が腫瘍抗原陰性細胞の30%超、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは9%、8%、7%、6%又は5%以下の溶解を誘導しないか又はそれに介在せず、それにより腫瘍抗原発現標的細胞(前記腫瘍抗原で形質転換又はトランスフェクトされた細胞又はヒト癌株などの天然の発現細胞株)の溶解が100%となるよう設定されていることを意味する。これは、通常、最大500nMの構築物の濃度に当てはまる。細胞溶解測定は、日常的な技術である。その上、本明細書では、細胞溶解の測定方法の具体的な指示を教示する。
個々の腫瘍抗原×CD3ポリペプチド/ポリペプチド構築物の単量体アイソフォームと二量体アイソフォームとの細胞障害性活性の差は、「効力ギャップ」と称される。この効力ギャップは、例えば、その分子の単量体形態のEC50値と二量体形態のEC50値との間の比率として算出することができる。このギャップを決定する1つの方法では、後述する通り、精製構築物の単量体及び二量体を用いて、18時間の51-クロム放出アッセイ又は48時間のFACSベース細胞障害性アッセイが実施される。エフェクター細胞は、刺激された濃縮ヒトCD8+ T細胞又は非刺激ヒトPBMCである。標的細胞は、ヒト腫瘍抗原をトランスフェクトされたCHO細胞である。エフェクター対標的細胞(E:T)比は、10:1である。本発明の腫瘍抗原×CD3構築物の効力ギャップは、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらにより好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下、最も好ましくは1以下である。
本発明のポリペプチド構築物の結合ドメインは、好ましくは、マカクなどの霊長類の哺乳動物目のメンバーに対して交差種特異的である。一実施形態によれば、さらなる結合ドメインは、ヒト腫瘍抗原への結合に加えて、(限定されないが)新世界霊長類(コモンマーモセット(Callithrix jacchus)、ワタボウシタマリン(Saguinus Oedipus)又はリスザル(Saimiri sciureus)など)、旧世界霊長類(ヒヒ及びマカクなど)、テナガザル、オランウータン及び非ヒトのヒト科を含め、霊長類の前記腫瘍抗原にも結合することになる。本発明のT細胞の表面上のヒトCD3に結合するドメインは、少なくともマカクCD3にも結合することが想定される。好ましいマカクは、カニクイザル(Macaca fascicularis)である。アカゲザル(Macaca mulatta)(アカゲザル(Rhesus))も想定される。本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物は、T細胞の表面上のヒトCD3イプシロン及び少なくともマカクCD3に結合するドメインを含む。
一実施形態において、(例えば、BiaCoreによって又はスキャッチャード解析によって決定されるような)マカクCD3と比べたヒトCD3を結合することについての本発明による構築物の親和性ギャップ[KD ma CD3:KD hu CD3]は、0.01~100、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.2~5、より好ましくは0.3~4、さらにより好ましくは0.5~3又は0.5~2.5及び最も好ましくは0.5~1である。
本明細書で先に詳述したように、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物の前記結合ドメインは、ヒトCD3イプシロン(又はT細胞の表面上のヒトCD3イプシロン)に結合し、好ましくは、マーモセット(Callithrix jacchus)又はリスザル(Saimiri sciureus)のCD3イプシロンに結合する。より具体的には、前記ドメインは、ヒトCD3εの細胞外エピトープに結合する。前記ドメインがヒトの細胞外エピトープ及びマカクCD3ε鎖に結合することも想定される。CD3イプシロンの前記細胞外エピトープは、ヒトCD3イプシロン細胞外ドメインのアミノ酸残基1~27内に含まれる(配列番号2552;配列番号2553のアミノ酸残基1~27を参照されたい)。さらにより詳細には、エピトープは、少なくともアミノ酸配列Gln-Asp-Gly-Asn-Gluを含む。マーモセット(Callithrix jacchus)は、マーモセット(Callitrichidae)科に属する新世界霊長類であるが、リスザル(Saimiri sciureus)は、オマキザル(Cebidae)科に属する新世界霊長類である。
好ましい実施形態では、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物は、少なくとも二重特異性である一本鎖ポリペプチドである。本実施形態では、本発明によるCD3結合ドメインは、ポリペプチド又はポリペプチド構築物中にscFvとして存在することが好ましい。
本発明のポリペプチド構築物は、CD3に結合するその機能に加えて、特定の実施形態では、少なくともさらなる結合ドメインに結合するさらなる機能を有することも想定される。この形式では、構築物は、好ましくは腫瘍抗原結合を通して標的細胞を標的化し、CD3結合を通して細胞障害性T細胞活性に介在し、且つ血清半減期を亢進又は延長させる手段又はドメイン、エフェクター細胞の動員を通して細胞障害性に介在する完全に機能性の又は修飾されたFc定常ドメイン、標識(蛍光等)、毒素又は放射性核種などの治療薬など、さらなる機能を提供することにより、三機能又は多機能構築物であり得る。
本発明のポリペプチド/ポリペプチド構築物の血清半減期を延長する手段又はドメインの例としては、ポリペプチド/ポリペプチド構築物に融合するか又は他の方法で付着するペプチド、タンパク質又はタンパク質のドメインが挙げられる。ペプチド、タンパク質又はタンパク質ドメインの群は、血清アルブミン等の人体における好ましい薬物動態学的プロファイルを有する他のタンパク質に結合するペプチドを含む(国際公開第2009/127691号パンフレットを参照されたい)。そのような半減期延長ペプチドの代替概念には、新生児型Fc受容体(FcRn、国際公開第2007/098420号パンフレットを参照されたい)に結合するペプチドが含まれ、これも本発明の構築物において使用することができる。タンパク質のより大きいドメイン又は完全なタンパク質を付着させる概念には、ヒト血清アルブミン、ヒト血清アルブミン(国際公開第2011/051489号パンフレット、国際公開第2012/059486号パンフレット、国際公開第2012/150319号パンフレット、国際公開第2013/135896号パンフレット、国際公開第2014/072481号パンフレット、国際公開第2013/075066号パンフレットを参照されたい)又はそのドメインの変異体又は突然変異体の融合並びに免疫グロブリン定常領域(Fcドメイン)及びその変異体の融合が含まれる。Fcドメインのそのような変異体は、Fcベースのドメインと呼ばれ、例えば、二量体又は多量体の所望の対形成を可能にするために、Fc受容体結合を無効にするため(例えば、ADCC又はCDCを回避するため)又は他の理由で最適化/修飾され得る。ヒト体内の物質又は分子の半減期を延長する、当技術分野で公知のさらなる概念は、(本発明の構築物などの)それらの分子のペグ化である。
一実施形態では、本発明によるポリペプチド/ポリペプチド構築物は、例えば、構築物の血清半減期を延長するために、融合パートナー(例えば、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドなど)と(例えばペプチド結合を介して)連結される。これらの融合パートナーは、ヒト血清アルブミン(「HSA」又は「HALB」)並びにその配列変異体、HSAに結合するペプチド、FcRnに結合するペプチド(「FcRn BP」)又は(抗体由来)Fc領域を含む構築物から選択することができる。これらの融合パートナーの例示的な配列は、配列番号16、18及び19に示されている。一般的に、融合パートナーは、本発明による構築物のN末端又はC末端に直接(例えばペプチド結合を介して)又は(GGGGS)n若しくは(GGGGQ)n(式中、「n」は、2以上の整数、例えば2、又は3、又は4である)などのペプチドリンカーを通してかのいずれかで連結され得る。適切なペプチドリンカーは上記で議論されており、配列番号2及び2551に示されている。
本発明によるポリペプチド構築物は、少なくとも二重特異性である一本鎖ポリペプチドを含み、前記ポリペプチドは、N末端からC末端に向かって以下の順序において、
a)VL(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3ε結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む);
b)VH(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3ε結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む);
c)VL(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6-Fcモノマー(HLEドメインの一部);
d)VH(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6-Fcモノマー(HLEドメインの一部);
e)VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VL(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6又は-Fcモノマー(HLEドメインの一部)、
f)VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3ε結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6又は-Fcモノマー(HLEドメインの一部);
g)VL(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VL(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6又は-Fcモノマー(HLEドメインの一部)
h)VL(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)-VH(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(CD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6又は-Fcモノマー(HLEドメインの一部);又は
i)結合ドメイン1((VL(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む))又は(VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)))-ペプチドリンカー(G4S)又は(G4Q)-CD3結合ドメイン1(VH(第1のCD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第1のCD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む))-ペプチドリンカー(G4)-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-(G4S)6又は(G4Q)6-Fcモノマー(HLEドメインの一部)-ペプチドリンカー(G4)-結合ドメイン2((VL(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VH(第1の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む))又は(VH(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第2の細胞表面抗原結合ドメイン/パラトープの一部を含む)))-ペプチドリンカー(G4S)又は(G4Q)-CD3結合ドメイン2(VH(第2のCD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む)-(G4S)3又は(G4Q)3-VL(第2のCD3イプシロン結合ドメイン/パラトープの一部を含む))
を含むか又はそれからなる。
上述から明らかなように、細胞表面抗原の結合ドメインのVH及びVL領域の配列の向きは、VH-VL又はVL-VHであり得る。好ましくは、細胞表面抗原は、本明細書中において上で詳述する腫瘍抗原である。詳細には、Fcモノマー及び連結リンカーから構成されるHLEドメイン配列は、好ましくは、配列番号18及び19に定義される配列から選択される。項目i)のポリペプチド構築物の2つのCD3結合ドメインは、好ましくは同じCD3結合ドメイン、例えば、好ましくは、配列番号2028及び2029のVH領域配列及びVL領域配列を有するCD3結合ドメインである。ペプチドリンカー(SG4S)又は(SG4Q)が示された位置において好ましいが、(G4S)又は(G4Q)リンカーで置き換えることもできる。
ポリペプチド/ポリペプチド構築物の共有結合修飾も本発明の範囲内に含まれ、概して翻訳後に行われるが、必ずしもそうではない。例えば、構築物の特定のアミノ酸残基を、選択された側鎖又はN末端残基若しくはC末端残基と反応させることができる有機誘導体化作用因子と反応させることにより、構築物のいくつかのタイプの共有結合修飾が分子内へと導入される。二官能性作用因子による誘導体化は、種々の方法で使用するために、本発明の構築物を水不溶性支持体マトリックス又は表面に架橋するのに有用である。グルタミニル残基及びアスパラギニル残基は、多くの場合、それぞれ対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基に脱アミド化される。代わりに、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミド化される。これらの残基のいずれの形態も本発明の範囲内に入る。他の修飾としては、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル残基又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン側鎖、アルギニン側鎖及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,1983,pp.79-86)、N末端アミンのアセチル化並びにいずれかのC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
本発明の範囲内に含まれる構築物の別の種類の共有結合修飾は、タンパク質のグリコシル化パターンを変化させることを含む。当技術分野で公知のように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、後述で論議される特定のグリコシル化アミノ酸残基の有無)又はタンパク質が産生される宿主細胞若しくは生物の両方に依存し得る。特定の発現系を後述で論議する。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xはプロリンを除くいずれかのアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素結合のための認識配列である。そのため、ポリペプチド中でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O結合型グリコシル化は、糖であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースの1つがヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンに結合することを指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得る。
構築物へのグリコシル化部位の付加は、(N結合型グリコシル化部位について)上述のトリペプチド配列の1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を変化させることによって好都合に達成される。変化は、(O結合型グリコシル化部位について)出発配列への1つ以上のセリン残基又はトレオニン残基の付加又は置換によっても行われ得る。容易にするため、構築物のアミノ酸配列は、DNAレベルでの変化を通して、特にポリペプチドをコードするDNAを予め選択された塩基で突然変異させて、それにより所望のアミノ酸に翻訳されることになるコドンを生じさせることによって変化し得る。
構築物上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、グリコシドのタンパク質への化学的又は酵素によるカップリングによるものである。これらの手順は、N及びO結合型グリコシル化のためのグリコシル化能力を有する宿主細胞におけるタンパク質の産生を必要としないという点で有利である。使用されるカップリング様式に応じて、糖は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システインのものなど遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、トレオニン若しくはヒドロキシプロリンのものなど遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン若しくはトリプトファンのものなど芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に結合し得る。これらの方法は、国際公開第87/05330号パンフレット及びAplin and Wriston,1981,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259-306に説明されている。
出発構築物上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的に又は酵素で達成され得る。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸又は同等の化合物へのタンパク質の曝露を必要とする。この処理は、ポリペプチドをインタクトのままにしながら、連結している糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんど又はすべての糖の切断をもたらす。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.,1987,Arch.Biochem.Biophys.259:52及びEdge et al.,1981,Anal.Biochem.118:131によって説明されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素による切断は、Thotakura et al.,1987,Meth.Enzymol.138:350によって説明される通りの様々なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼを使用することで達成することができる。潜在的なグリコシル化部位でのグリコシル化は、Duskin et al.,1982,J.Biol.Chem.257:3105によって説明される化合物ツニカマイシンを使用することで防止され得る。ツニカマイシンは、タンパク質-N-グリコシド結合の形成を遮断する。
構築物の他の修飾も本明細書で企図される。例えば、構築物の別の種類の共有結合修飾は、米国特許第4,640,835号明細書、同第4,496,689号明細書、同第4,301,144号明細書、同第4,670,417号明細書、同第4,791,192号明細書又は同第4,179,337号明細書に示されている様式で、ポリオールを含む様々な非タンパク質性ポリマーに構築物を連結することを含む。加えて、当技術分野で公知のように、例えばポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーの付加を容易にするために、構築物内の様々な位置でアミノ酸置換を行い得る。
いくつかの実施形態では、本発明の構築物の共有結合修飾は、1つ以上の標識の付加を含む。潜在的な立体障害を低減するために、様々な長さのスペーサーアームを介して標識基が構築物に連結され得る。タンパク質を標識するための様々な方法が当技術分野で公知であり、本発明を実施する際に使用することができる。「標識」又は「標識基」という用語は、いずれかの検出可能な標識を指す。一般的に、標識は、これが検出されることとなるアッセイに応じて、種々のクラスに分けられ、以下の例が挙げられるが、これらに限定されない:
a)放射性同位体又は放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、89Zr、90Y、99Tc、111In、125I、131I)などの放射性又は重同位体であり得る同位体標識
b)磁気標識(例えば、磁気粒子)
c)酸化還元活性部分
d)蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍りん光体)、化学発光基及び「小分子」蛍光体又はタンパク質性蛍光体のいずれかであり得る蛍光標識又は蛍光体等の光学染料(限定されないが、発色団、蛍りん光体及び蛍光体を含む)
e)酵素基(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)
f)ビオチン化基
g)二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)。
「蛍光標識」とは、その固有の蛍光特性を介して検出され得るいずれかの分子を意味する。適切な蛍光標識には、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、マラサイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade BlueJ、テキサスレッド、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LCレッド640、Cy 5、Cy 5.5、LCレッド705、オレゴングリーン、Alexa-Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680)、Cascade Blue、Cascade Yellow及びR-フィコエリトリン(PE)(Molecular Probes、Eugene、OR)、FITC、ローダミン及びTexas Red(Pierce、Rockford、IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science、Pittsburgh、PA)が含まれるが、これらに限定されない。蛍光体を含む適切な光学染料は、Richard P.HauglandによるMolecular Probes Handbookに説明されている。
適切なタンパク質性蛍光標識として、緑色蛍光タンパク質、例えば、Renilla、Ptilosarcus又はAequorea種のGFP(Chalfie et al.,1994,Science 263:802-805)、EGFP(Clontech Laboratories,Inc.,Genbank(登録商標)受託番号U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP,Quantum Biotechnologies,Inc.1801 de Maisonneuve Blvd.West,8th Floor,Montreal,Quebec,Canada H3H 1J9、Stauber,1998,Biotechniques 24:462-471、Heim et al.,1996,Curr.Biol.6:178-182)、強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP,Clontech Laboratories,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichiki et al.,1993,J.Immunol.150:5408-5417)、βガラクトシダーゼ(Nolan et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603-2607)及びRenilla(国際公開第92/15673号パンフレット、国際公開第95/07463号パンフレット、国際公開第98/14605号パンフレット、国際公開第98/26277号パンフレット、国際公開第99/49019号パンフレット、米国特許第5,292,658号明細書;同第5,418,155号明細書;同第5,683,888号明細書;同第5,741,668号明細書;同第5,777,079号明細書;同第5,804,387号明細書;同第5,874,304号明細書;同第5,876,995号明細書;同第5,925,558号明細書)も挙げられるが、これらに限定されない。
ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは元来、種々の異なるタンパク質において発見されて以来、いくつかのDNA結合タンパク質において同定された(Landschulz et al.,1988,Science 240:1759)。公知のロイシンジッパーの中には、天然に存在するペプチド及び二量化する又は三量化するその誘導体がある。可溶性オリゴマータンパク質を製造するのに適切なロイシンジッパードメインの例がPCT出願の国際公開第94/10308号パンフレットに説明されており、且つ肺サーファクタントタンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーがHoppe et al.,1994,FEBS Letters 344:191に説明されている。それに融合した異種タンパク質の安定した三量化を可能にする修飾ロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.6:267-78に説明されている。
本発明のポリペプチド構築物は、例えば、分子の単離に役立つか、又は分子の適合した薬物動態特性に関する追加のドメインも含み得る。構築物の単離に役立つドメインは、単離方法、例えば単離カラム内で捕捉することができるペプチドモチーフ又は二次導入部分から選択され得る。そのような追加のドメインの非限定的な実施形態は、Myc-タグ、HAT-タグ、HA-タグ、TAP-タグ、GST-タグ、キチン結合ドメイン(CBD-タグ)、マルトース結合タンパク質(MBP-タグ)、Flag-タグ、Strep-タグ及びそれらの変異体(例えば、StrepII-タグ)並びにHis-タグとして公知のペプチドモチーフを含む。同定されたCDRを特徴とする本明細書に開示される構築物はすべて、分子のアミノ酸配列において連続するHis残基、例えば、5つのHis残基又は6つのHis残基(ヘキサ-ヒスチジン)のリピートとして一般に公知のHisタグドメインを含み得る。Hisタグは、例えば、構築物のN末端又はC末端に位置し得る。一実施形態では、本発明による構築物のC末端にペプチド結合を介してヘキサヒスチジンタグ(HHHHHH)が連結される。ヒスチジンタグ、特に6×Hisタグが好ましい。
本発明は、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチドにも関する。核酸分子は、ヌクレオチドからなるバイオポリマーである。ポリヌクレオチドは、鎖中で共有結合した13個以上のヌクレオチドモノマーから構成されるバイオポリマーである。DNA(cDNA等)及びRNA(mRNA等)は、異なる生物学的機能を有するポリヌクレオチド/核酸分子の例である。ヌクレオチドは、DNA又はRNAのような核酸分子のモノマー又はサブユニットとして機能する有機分子である。本発明の核酸分子又はポリヌクレオチドは、二本鎖又は一本鎖、線状又は環状であり得る。核酸分子又はポリヌクレオチドはベクターに含まれることが想定される。さらに、そのようなベクターは、宿主細胞に含まれることが想定される。前記宿主細胞は、例えば、本発明のベクター又はポリヌクレオチド/核酸分子による形質転換又はトランスフェクション後、構築物を発現することができる。この目的のために、ポリヌクレオチド又は核酸分子は、制御配列に作動可能に連結されている。
遺伝暗号は、遺伝物質(核酸)内でコードされる情報がタンパク質へと翻訳される規則のセットである。生細胞中での生物学的解読は、アミノ酸を運搬し、mRNA中の3つのヌクレオチドを一度に読み取るtRNA分子を使用して、mRNAによって指定された順にアミノ酸を連結するリボソームによって達成される。この暗号は、コドンと呼ばれる三つ組のヌクレオチド配列が、タンパク質の合成時に次に付加されることになるアミノ酸をどのように指定するかを定義する。いくつかの例外があるが、核酸配列中の3ヌクレオチドのコドンは、1つのアミノ酸を指定する。大部分の遺伝子は、厳密に同じ暗号で暗号化されているため、この特定の暗号を基準遺伝暗号又は標準遺伝暗号と称する場合が多い。
コドンの縮重は、アミノ酸を指定する3塩基対コドンの複数の組合せとして示される遺伝暗号の重複性である。縮重は、コード可能なアミノ酸と比べてコドンが多数であるために生じる。1つのアミノ酸をコードするコドンは、その3つの位置のいずれかにおいて異なり得るが、多くの場合、この差異は、2番目又は3番目の位置にある。例えば、コドンGAA及びGAGは両方ともグルタミン酸を指定し、冗長性を示すが、いずれも他のアミノ酸を特定しておらず、したがって曖昧性を示さない。異なる生物の遺伝暗号は、他のものよりも同じアミノ酸をコードするいくつかのコドンの1個を使用することに偏っている可能性があり、すなわち、1個の頻度は、偶然によって予想されるよりも高い。例えば、ロイシンは、6つの別個のコドンにより指定され、そのいくつかは、ほとんど使用されない。ほとんどの生物についてのゲノムコドン使用頻度を詳述するコドン使用表が利用可能である。組換え遺伝子技術では、コドン最適化と称される技術を実施することにより、この効果がよく利用され、例えばタンパク質発現を増大させるために、それぞれの宿主細胞(例えば、ヒト、ハムスター起源の細胞、大腸菌(Escherichia coli)細胞又はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞)によって優先されるコドンを使用してポリヌクレオチドを設計する。したがって、本開示のポリヌクレオチド/核酸分子はコドン最適化されていることが想定される。それにもかかわらず、本発明の構築物をコードするポリヌクレオチド/核酸分子は、所望のアミノ酸をコードする任意のコドンを使用して設計され得る。
一実施形態によれば、本発明のポリペプチド構築物をコードする本発明のポリヌクレオチド/核酸分子は、1個の単一分子の形態又は2個以上の別個の分子の形態である。本発明の構築物が一本鎖構築物である場合、そのような構築物をコードするポリヌクレオチド/核酸分子はまた、単一分子の形態である可能性が最も高い。しかしながら、ポリペプチド構築物の異なる構成要素(例えば、異なるドメイン、例えば、細胞表面抗原に結合するパラトープ(抗原結合(エピトープ結合)構造)含有ドメイン、CD3に結合するパラトープ(抗原結合(エピトープ結合)構造)含有ドメイン及び/又は抗体定常ドメインなどのさらなるドメイン)が別個のポリペプチド鎖上に位置することも想定され、その場合、ポリヌクレオチド/核酸分子は2つ以上の別個の分子の形態である可能性が最も高い。
同じことは、本発明のポリヌクレオチド/核酸分子を含むベクターにも当てはまる。本発明の構築物が一本鎖構築物である場合、1個のベクターは、構築物をコードするポリヌクレオチドを1つの場所(1つのオープンリーディングフレームとして、ORF)に含み得る。1個のベクターは、(個々のORFを有する)別々の位置に2個以上のポリヌクレオチド/核酸分子も含み得、それらの各々は、本発明の構築物の異なる構成要素をコードする。本発明のポリヌクレオチド/核酸分子を含むベクターは、1個の単一ベクター又は2個以上の別個のベクターの形態であることが想定される。一実施形態では、構築物を宿主細胞で発現させる目的のために、本発明の宿主細胞は、構築物をコードするポリヌクレオチド/核酸分子又はそのようなポリヌクレオチド/核酸分子を全体に含むベクターを含むべきであり、これは、構築物のすべての構成要素(単一分子としてコードされるか、又は別々の分子/位置にコードされるかにかかわらず)が翻訳後に集合し、本発明の生物学的に活性のある構築物を一緒に形成することを意味する。
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチド/核酸分子を含むベクターに関する。ベクターは、通常、遺伝材料の複製及び/又は発現を確保するために、(外来性)遺伝材料を細胞内へと移入するためのビヒクルとして使用される核酸分子である。「ベクター」という用語は、プラスミド、ウイルス、コスミド及び人工染色体を包含するが、これらに限定されない。いくつかのベクターはクローニング用に特別に設計されており(クローニングベクター)、他のベクターはタンパク質発現用に設計されている(発現ベクター)。いわゆる転写ベクターは主として、そのインサートを増幅するために使用される。DNAの操作は、通常、大腸菌(E.coli)ベクターに対して行われ、このベクターは、大腸菌(E.coli)内でのその維持に必要な要素を含有する。しかしながら、ベクターは、それらが酵母、植物又は哺乳動物細胞等の別の生物において維持されることを可能にする要素も有し得、これらのベクターは、シャトルベクターと呼ばれる。標的又は宿主細胞中へのベクターの挿入は、通常、細菌細胞について形質転換と呼ばれ、真核細胞についてトランスフェクションと呼ばれる一方、ウイルスベクターの挿入は、多くの場合、形質導入と呼ばれる。
一般的に、操作されたベクターは、複製起点、マルチクローニング部位及び選択可能なマーカーを含む。ベクター自体は、一般的に、インサート(導入遺伝子)と、ベクターの「骨格」としての役割を果たすより大きい配列とを含むヌクレオチド配列、通常、DNA配列である。遺伝暗号は、所与のコード領域のポリペプチド配列を決定するが、他のゲノム領域は、これらのポリペプチドがいつどこで生成されるかに影響を及ぼし得る。そのため、現代のベクターは、導入遺伝子インサート及び骨格の他に、以下の追加の特徴を包含し得る:プロモーター、遺伝子マーカー、抗生物質耐性、レポーター遺伝子、ターゲティング配列、タンパク質精製タグ。発現ベクター(発現構築物)と呼ばれるベクターは、具体的には、標的細胞における導入遺伝子の発現のためのものであり、一般に制御配列を有する。
「制御配列」という用語は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列として、例えば、プロモーター、場合によってはオペレーター配列及びリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、コザック配列及びエンハンサーを利用することが公知である。
核酸は、この核酸が別の核酸配列と機能的関連性に置かれる場合、「作動可能に連結されて」いる。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、このDNAがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、このポリペプチドのDNAに作動可能に連結されているか、プロモーター又はエンハンサーは、これが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されているか、又はリボソーム結合部位は、このリボソーム結合部位が翻訳を促進するために配置される場合、コード配列に作動可能に連結されている。概して、「作動可能に連結されている」とは、連結されているヌクレオチド配列が連続的であり、分泌リーダーの場合、連続的であり、且つリーディングフェーズにあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続している必要はない。連結は、都合のよい制限部位でのライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合、従来の慣例に従い、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを使用する。
「トランスフェクション」は、標的細胞内へ核酸分子又はポリヌクレオチド(ベクターを含む)を意図的に導入するプロセスである。この用語は主として、真核細胞における非ウイルス性の方法に用いられる。形質導入を使用して、核酸分子又はポリヌクレオチドのウイルス媒介性移入を説明することが多い。動物細胞のトランスフェクションは、典型的に、細胞膜に一過性の細孔又は「穴」を開けて材料の取込みを可能にすることを伴う。トランスフェクションは、生物学的粒子(例えば、ウイルス形質導入とも称されるウイルストランスフェクション)、化学物質ベースの方法(例えば、リン酸カルシウム、リポフェクション、Fugene、カチオン性ポリマー、ナノ粒子を使用するなど)又は物理的処理(例えば、電気穿孔、マイクロインジェクション、遺伝子銃、細胞スクイージング、マグネトフェクション、静水圧、インペイルフェクション、音波処理、光学的形質移入、熱ショック)を使用して実行することができる。
「形質転換」という用語は、細菌及び植物細胞を含む非動物真核細胞への核酸分子又はポリヌクレオチド(ベクターを含む)の非ウイルス移入を説明するために使用される。そのため、形質転換は、細胞膜を通したその周辺からの直接的取込み及びそれに続く外来性遺伝子材料(核酸分子)の組込みから生じる、細菌又は非動物真核細胞の遺伝的改変である。形質転換は、人為的手段によって達成することができる。形質転換が起こるには、細胞又は細菌がコンピテンスの状態でなければならず、これは、飢餓及び細胞密度等の環境条件に対する時間的に限られた応答として生じ得、且つ人為的に誘導することもできる。
その上、本発明は、本発明のポリヌクレオチド/核酸分子又は本発明のベクターにより形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」又は「レシピエント細胞」という用語は、本発明の構築物をコードするベクター、外来性核酸分子及び/又はポリヌクレオチドのレシピエントであり得るか若しくはレシピエントであったいずれかの個々の細胞又は細胞培養物並びに/或いは構築物自体のレシピエントを含むことを意図している。細胞内への個々の材料の導入は、形質転換、トランスフェクション及び同類のものにより実行される(上述参照)。「宿主細胞」という用語は、単一細胞の継代又は潜在的な継代を含むことも意図する。後継世代において、自然発生的、偶発的若しくは意図的な突然変異のいずれか又は環境的影響に起因して特定の修飾が生じる場合があるため、そのような継代は、実際には、(形態学的性質又はゲノムDNA若しくは総DNA補足因子において)親細胞と完全に同一ではない場合もあるが、依然として本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる。適切な宿主細胞として、原核細胞又は真核細胞が挙げられ、以下に限定されないが、細菌(大腸菌(E.coli)など)、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞及び動物細胞(例えば、昆虫細胞及び哺乳動物細胞、例えば、ハムスター、マウス、ラット、マカク又はヒト)が挙げられる。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物が本発明の構築物に適したクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又は一般的なパン酵母が下等真核生物宿主微生物の中で最も一般的に使用されている。しかしながら、いくつかの他の属、種及び系統が一般に利用可能であり、且つ本発明において有用であり、例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、K.ラクチス(K.lactis)、K.フラジリス(K.fragilis)(ATCC 12424)、K.ブルガリクス(K.bulgaricus)(ATCC 16045)、K.ウィッカラミイ(K.wickeramii)(ATCC 24178)、K.ワルチイ(K.waltii)(ATCC 56500)、K.ドロソフィラルム(K.drosophilarum)(ATCC 36906)、K.サーモトレランス(K.thermotolerans)及びK.マルキサヌス(K.marxianus)などのクリベロマイセス属(Kluyveromyces)宿主;ヤロウイア属(yarrowia)(欧州特許第402226号明細書);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(欧州特許第183070号明細書);カンジダ属(Candida);トリコデルマ・レシア(Trichoderma reesia)(欧州特許第244234号明細書);ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa);シュワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)などのシュワニオミセス属(Schwanniomyces);並びに糸状菌、例えばニューロスポラ属(Neurospora)、ペニシリウム属(Penicillium)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)及びアスペルギルス属(Aspergillus)宿主、例えばA.ニデュランス(A.nidulans)及びA.ニガー(A.niger)が挙げられる。
グリコシル化された構築物の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞が含まれる。多くのバキュロウイルス株及びバリアント並びにヨトウガ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)及びカイコ(Bombyx mori)(家蚕)などの宿主由来の対応する許容される昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株(例えば、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa californica)NPVのL-1バリアント及びカイコ(Bombyx mori)NPVのBm-5株)が公的に入手可能であり、そのようなウイルスは、本明細書で、本発明によるウイルスとして使用され得、特にヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞の形質移入に使用され得る。
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、シロイヌナズナ及びタバコの植物細胞培養物も宿主として使用することができる。植物細胞培養におけるタンパク質の産生に有用なクローニング及び発現ベクターは、当業者に公知である。例えば、Hiatt et al.,Nature(1989)342:76-78、Owen et al.(1992)Bio/Technology 10:790-794、Artsaenko et al.(1995)The Plant J 8:745-750及びFecker et al.(1996)Plant Mol Biol 32:979-986を参照されたい。
しかしながら、最も高い関心が持たれてきたのは、脊椎動物細胞であり、培養下(細胞培養下)での脊椎動物細胞の増殖は日常的手順となっている。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651など)、ヒト胚性腎臓株(293細胞又は懸濁培養物中での成長のためにサブクローニングした293細胞など、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977))、仔ハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL 10など)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHOなど、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))、マウスセルトリ細胞(TM4など、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎細胞(CVI ATCC CCL 70など)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76、ATCC CRL1587など)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2など)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL 34など)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442など)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75など)、ヒト肝細胞(Hep G2、1413 8065など)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL-51など)、TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y Acad.Sci.(1982)383:44-68)、MRC 5細胞、FS4細胞及びヒト肝細胞腫株(Hep G2など)である。
さらなる実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチド又はポリペプチド構築物を産生するためのプロセスであって、本発明の構築物の発現を可能にする条件下において、本発明の宿主細胞を培養することと、産生された構築物を培養物から回収することとを含むプロセスを提供する。
本明細書で使用する場合、「培養すること」という用語は、培地中の適切な条件下での細胞のインビトロでの維持、分化、成長、増殖(proliferation)及び/又は増殖(propagation)を指す。細胞は、細胞成長培地中で、適切な温度及び混合気体にて成長し、維持される。培養条件は、各細胞型について幅広く異なる。典型的な成長条件は、約37℃の温度、約5%のCO2濃度及び約95%の湿度である。成長培地のためのレシピは、例えば、pH、炭素源(例えばグルコース)の濃度、成長因子の性質及び濃度並びに他の栄養素(例えば、アミノ酸又はビタミン)の存在が異なり得る。補足培地に使用される成長因子は、多くの場合、動物血液の血清(例えば、胎仔ウシ血清(FBS)、仔ウシ血清(FCS)、ウマ血清及びブタ血清)に由来する。細胞は、懸濁培養中で又は接着培養物としてのいずれかで成長させることができる。懸濁培養下で生存可能であるように修飾されているため、付着条件よりも高い密度に成長し得る細胞株も存在する。
「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、折り畳み、翻訳後修飾、特定の細胞内又は細胞外位置へのターゲティング及び分泌を含むが、これらに限定されない本発明の構築物の製造に関与するいずれかの工程を含む。「回収する」という用語は、細胞培養物から構築物を単離することを意図した一連のプロセスを指す。「回収」又は「精製」のプロセスは、細胞培養物のタンパク質部分と非タンパク質部分とを分離し、最終的に所望の構築物を他のすべてのポリペプチド及びタンパク質から分離することができる。分離工程は、通常、タンパク質サイズ、物理化学的特性、結合親和性及び生物学的活性の違いを利用する。分取精製は、その後の使用のために比較的大量の精製タンパク質を生成することを目的とするが、分析精製は、様々な研究又は分析目的のために比較的少量のタンパク質を生成する。
組換え技術を使用する場合、構築物は、細胞膜周辺腔において細胞内で産生され得るか、又は培地中に直接分泌され得る。構築物が細胞内で産生される場合、第1の段階として、例えば遠心分離又は限外濾過により、宿主細胞又は溶解した断片の粒子状の細片を除去する。本発明の構築物は、例えば、大腸菌(E.coli)等の細菌内で産生され得る。発現後、構築物を細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離し、例えばアフィニティークロマトグラフィー及び/又はサイズ排除を介して精製することができる。最終的な精製は、哺乳動物細胞内で発現して培地中へと分泌された構築物を精製するためのプロセスと同じように実行することができる。Carter et al.(Biotechnology(NY)1992 Feb;10(2):163-7)は、大腸菌(E.coli)の細胞周辺腔に分泌される抗体を単離する手順を説明する。
抗体が培地に分泌される場合、そのような発現系からの上清は、一般的に、市販のタンパク質濃縮フィルタ、例えば限外濾過ユニットを使用して最初に濃縮される。
宿主細胞から調製された本発明の構築物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及びアフィニティークロマトグラフィーを使用して回収又は精製することができる。イオン交換カラムでの分画、混合モードイオン交換、HIC、エタノール沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンセファロースでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラム等)でのクロマトグラフィー、免疫親和性(プロテインA/G/L等)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、超遠心分離及び硫酸アンモニウム沈殿等のタンパク質精製のための他の技術も、回収される構築物に応じて利用可能である。
上述の工程のいずれでも、タンパク質分解を阻害するためにプロテアーゼ阻害薬が含まれ得、汚染物質の成長を防止するために抗生物質が含まれ得る。
その上、本発明は、本発明のポリペプチド若しくはポリペプチド構築物又は本発明のプロセスによって産生されたポリペプチド若しくはポリペプチド構築物を含む医薬組成物又は製剤を提供する。
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」という用語は、患者、好ましくはヒト患者への投与に適切である組成物に関する。本発明の特に好ましい医薬組成物は、1つ以上の本発明の構築物を好ましくは治療有効量で含む。好ましくは、医薬組成物は、1つ以上の(医薬として有効な)担体、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤及び/又はアジュバントの好適な製剤をさらに含む。組成物の許容可能な成分は、好ましくは、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性である。本発明の医薬組成物には、液体、凍結及び凍結乾燥組成物が含まれるが、これらに限定されない。
組成物は、医薬として許容可能な担体を含み得る。一般的に、本明細書で使用する場合、「医薬として許容され得る担体」は、医薬の投与、特に非経口投与に適合するすべての水性及び非水性溶液、滅菌溶液、溶媒、緩衝液、例えばリン酸緩衝塩類溶液(PBS)液剤、水、懸濁剤、油/水エマルションなどのエマルション、様々な種類の湿潤剤、リポソーム、分散媒体及びコーティングを意味する。医薬組成物におけるそのような媒体及び作用因子の使用は、当技術分野で周知であり、そのような担体を含む組成物は、周知の従来法によって製剤化することができる。
特定の実施形態は、本発明の構築物及びさらに1つ以上の賦形剤、例えば本節及び本明細書の他の箇所に例示的に説明されているものを含む医薬組成物を提供する。本発明では、賦形剤を多様な目的(例えば、製剤の物理的特性、化学的特性若しくは生物学的特性の調整(例えば、粘度の調整))のために使用し得、且つ/又は有効性を改善し、及び/若しくは例えば製造、出荷、貯蔵、使用前調製、投与及びその後に生じるストレスに起因する分解及び変質に対してそのような製剤及びプロセスを安定化させるために本発明のプロセスで使用し得る。賦形剤は、一般的に、最も低い有効濃度で使用されるものとする。
特定の実施形態では、医薬組成物は、pH、モル浸透圧濃度、粘度、透明度、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解速度又は放出速度、吸着又は浸透(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18”Edition,1990,Mack Publishing Companyを参照されたい)等の組成物の特定の特性を改変、維持又は保存するための製剤材料を含有し得る。このような実施形態では、好適な製剤材料は、以下を含み得るが、これらに限定されない:
・アミノ酸
・抗菌薬及び抗真菌薬等の抗微生物薬
・酸化防止剤
・組成物を生理的pH又はそれよりわずかに低いpHで維持し、典型的には約5~約8又は9のpH範囲内に維持するために使用される緩衝液、緩衝液系及び緩衝剤
・非水性溶媒、植物油及び注射用有機エステル
・水等の水性担体、アルコール性/水性溶液、エマルション又は懸濁液、例えば生理塩類溶液及び緩衝媒体
・ポリエステル等の生分解性ポリマー
・増量剤
・キレート剤
・等張剤及び吸収遅延剤
・錯化剤
・充填剤
・炭水化物
・好ましくは、ヒト起源の(低分子量)タンパク質、ポリペプチド又はタンパク質性担体
・着色料及び着香料
・含硫還元剤
・希釈剤
・乳化剤
・親水性ポリマー
・塩形成対イオン
・保存剤
・金属錯体
・溶媒及び共溶媒
・糖及び糖アルコール
・懸濁剤
・界面活性剤又は湿潤剤
・安定促進剤
・等張増強剤
・非経口送達媒体
・静脈内送達媒体。
医薬組成物の種々の構成成分が異なる効果を有し得ることは常識であり、例えば、アミノ酸は、緩衝液、安定剤及び/又は抗酸化剤としての役割を果たし得;マンニトールは、増量剤及び/又は等張化促進剤としての役割を果たし得;塩化ナトリウムは、送達媒体及び/又は等張化促進剤としての役割を果たし得る等である。
本発明に関連して、医薬組成物は、
(a)本明細書に説明のポリペプチド又はポリペプチド構築物、
(b)少なくとも1つの緩衝剤、
(c)少なくとも1つの糖、及び
(d)少なくとも1つの界面活性剤
を含み得、医薬組成物のpHは、3.5~6の範囲である。
上述の組成物において、第1のドメインは、好ましくは、4~9.5の範囲の等電点(pI)を有し、第2のドメインは、8~10、好ましくは8.5~9.0の範囲のpIを有し、構築物は、それぞれがヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む2個のポリペプチドモノマーを含む第3のドメインを場合により含み、前記2個のポリペプチドモノマーは、ペプチドリンカーを介して互いに融合されている。
上述の組成物において、少なくとも1つの緩衝剤は、5~200mMの濃度範囲、より好ましくは10~50mMの濃度範囲で存在することがさらに想定される。少なくとも1つの糖が、単糖類、二糖類、環状多糖類、糖アルコール、直鎖分岐デキストラン又は直鎖非分岐デキストランからなる群から選択されることも想定される。二糖は、スクロース、トレハロース及びマンニトール、ソルビトール並びにそれらの組合せからなる群から選択されることも想定される。糖アルコールがソルビトールであることがさらに想定される。少なくとも1つの糖は、1~15%(m/V)の範囲の濃度、好ましくは9~12%(m/V)の濃度範囲で存在することも想定される。構築物は、0.1~8mg/ml、好ましくは0.2~2.5mg/ml、より好ましくは0.25~1.0mg/mlの濃度範囲で存在することがさらに想定される。
上述の組成物の一実施形態によれば、少なくとも1つの界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポロキサマー188、プルロニックF68、トリトンX-100、ポリオキシエチレン、PEG 3350、PEG 4000及びそれらの組合せからなる群から選択される。さらに、少なくとも1つの界面活性剤は、0.004~0.5%(m/V)の範囲、好ましくは0.001~0.01%(m/V)の範囲の濃度で存在することが想定される。組成物のpHは、4.0~5.0の範囲、好ましくは4.2であることが想定される。医薬組成物は、150~500mOsmの範囲のオスモル濃度を有することも想定される。さらに、医薬組成物は、1つ以上のポリオール及び1つ以上のアミノ酸からなる群から選択される賦形剤をさらに含むことが想定される。本発明に関連して、前記1つ以上の賦形剤は、0.1~15%(w/V)の濃度範囲で存在することが想定される。
本発明は、(a)好ましくは0.1~8mg/ml、好ましくは0.2~2.5mg/ml、より好ましくは0.25~1.0mg/mlの濃度範囲の本明細書に説明する構築物、(b)10mMグルタマート又はアセタート、(c)9%(m/V)スクロース又は6%(m/V)スクロース及び6%(m/V)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、(d)0.01%(m/V)ポリソルベート80、を含む医薬組成物であって、液体医薬組成物のpHが4.2である、医薬組成物も提供する。
本発明の組成物は、本明細書で定義される本発明の構築物に加えて、組成物の使用目的に応じてさらなる生物学的に活性のある作用因子を含む場合があることが想定される。かかる薬剤は、胃腸系に作用する薬物、細胞増殖抑制剤として作用する薬物、高尿酸血症を予防する薬物、免疫応答を抑制する薬物、炎症反応を調節する薬物、循環系に作用する薬物及び/又は当技術分野で公知のサイトカインなどの薬剤である可能性がある。本発明のポリペプチド構築物は、併用療法において、すなわち別の抗癌薬と併用して適用されることも想定される。
これに関連して、本発明の医薬組成物(本明細書で上述により詳細に説明されるように、CD3結合ドメインと、細胞表面標的抗原、好ましくは標的細胞の表面上の腫瘍抗原に結合する少なくとも1つのさらなる結合ドメインとを含む構築物を含む)は、免疫チェックポイント経路のタンパク質(PD-1又はCTLA-4など)又は共刺激免疫チェックポイント受容体(4-1BBなど)に結合する作用因子、好ましくは抗体又は構築物をさらに含むことが想定される。本発明は、本発明によるポリペプチド構築物(本明細書で上述により詳細に説明されるように、CD3結合ドメインと、細胞表面標的抗原、好ましくは標的細胞の表面上の腫瘍抗原に結合する少なくとも1つのさらなる結合ドメインとを含む構築物を含む)と、免疫チェックポイント経路のタンパク質(PD-1又はCTLA-4など)又は共刺激免疫チェックポイント受容体(4-1BBなど)に結合する作用因子、好ましくは抗体又はポリペプチド構築物との組合せも指す。組合せの少なくとも2つの成分の性質、すなわちそれらの医薬活性のために、その組合せは、治療上の組合せとも称され得る。いくつかの実施形態では、組合せは、医薬組成物又はキットの形態であり得る。一実施形態によれば、医薬組成物又は組合せは、本発明の構築物及びPD-1に結合する抗体又は構築物を含む。この目的に有用な抗PD-1結合タンパク質は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPCT/米国特許出願公開第2019/013205号明細書に詳細に説明されている。
特定の実施形態において、最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形式及び所望の投薬量に応じて決まる。例えば、前掲のRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい。特定の実施形態において、かかる組成物は、本発明の構築物の物理的状態、安定性、インビボ放出速度及びインビボクリアランス速度に影響し得る。特定の実施形態では、医薬組成物中の主なビヒクル又は担体は、実際は、水性又は非水性のいずれかであり得る。例えば、好適なビヒクル又は担体は、場合により非経口投与用組成物によく見られる他の材料が補充された注射用水又は生理塩類溶液であり得る。特定の実施形態において、本発明の構築物を含む組成物は、所望の程度の純度を有する選択された成物を、任意選択の製剤化作用因子(Remington’s Pharmaceutical Sciences,前掲)と混合することにより、凍結乾燥ケーク又は水溶液の形態で貯蔵のために調製され得る。さらに、特定の実施形態において、本発明の構築物は、適切な賦形剤を使用して凍結乾燥物として製剤化され得る。
非経口投与が企図される場合、本発明における使用のための治療用組成物は、医薬として許容され得るビヒクル中に本発明の所望の構築物を含む、発熱物質非含有の非経口的に許容され得る水溶液の形態で提供され得る。非経口注射に特に好適なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、この滅菌蒸留水中で、本発明の構築物は、適切に保存された滅菌等張溶液として製剤化される。特定の実施形態において、この調製には、デポー注射によって送達することのできる製剤の制御放出又は持続放出をもたらし得る薬剤又は循環中における有効時間の持続を促進し得る作用因子と共に所望の分子を製剤化することが関わり得る。特定の実施形態では、移植可能な薬物送達デバイスを使用して、所望の構築物を導入し得る。
さらなる医薬組成物は、本発明の構築物を持続送達製剤又は制御送達製剤に含む製剤を含めて、当業者には明らかであろう。種々の持続送達手段又は制御送達手段を製剤化するための技法は、当業者に公知である。構築物は、例えば、コアセルベート技術又は界面重合により、コロイド薬物送達系において又はマクロエマルションにおいて調製されたマイクロカプセルにも封入され得る。そのような技術は、前掲のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに開示されている。
インビボ投与に用いられる医薬組成物は、通常、滅菌製剤として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜による濾過によって達成することができる。組成物を凍結乾燥させる場合、本方法を使用する滅菌は、凍結乾燥及び再構成の前又は後に行われ得る。非経口投与用組成物は、凍結乾燥形態で又は溶液中で保存することができる。非経口組成物は、概して、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針で穿刺可能な栓を有する静脈内注射用溶液バッグ又はバイアルに入れられる。
本発明の別の態様は、本発明の構築物を含む自己緩衝製剤を含み、国際公開第2006/138181号パンフレットに説明される通り、これは、医薬組成物として使用することができるものである。タンパク質の安定化並びにこれに関して有用な製剤材料及び方法について、Arawaka T.et al.,Pharm Res.1991 Mar;8(3):285-91、Kendrick et al.“Physical stabilization of proteins in aqueous solution”in:Rational Design of Stable Protein Formulations:Theory and Practice,Carpenter and Manning,eds.Pharmaceutical Biotechnology.13:61-84(2002)及びRandolph and Jones,Pharm Biotechnol.2002;13:159-75等、様々な刊行物が利用可能であり、特に、賦形剤及び自己緩衝タンパク質製剤のためのプロセス、特に獣医学及び/又はヒト医学での使用のためのタンパク質医薬品並びにプロセスに関する部分を参照されたい。
塩は、本発明の特定の実施形態に従い、例えば組成物若しくは製剤のイオン強度及び/若しくは等張性を調整し、且つ/又は本発明に従った組成物の構築物若しくは他の成分の溶解度及び/若しくは物理的安定性を改善するために使用され得る。イオンは、タンパク質の表面上の帯電した残基へ結合することにより、且つタンパク質の帯電した基及び極性基を遮蔽し、その静電相互作用、引力及び斥力相互作用の強度を低減させることにより、天然状態のタンパク質を安定化させることができる。イオンは、特にタンパク質の変性ペプチド結合(--CONH)に結合することによって変性状態のタンパク質を安定化することもできる。さらに、タンパク質中の帯電した基及び極性基とのイオン相互作用は、分子間静電相互作用を低減させることもでき、それによりタンパク質の凝集及び不溶化を防止又は低減することもできる。
イオン種は、タンパク質に対するその効果が著しく異なる。本発明に従って医薬組成物を製剤化する際に使用することができるイオンのいくつかのカテゴリー順位及びタンパク質に対するそれらの効果が開発されている。一例は、イオン性溶質及び極性非イオン性溶質を溶液中のタンパク質の立体配座安定性に対する効果によって順位付けするホーフマイスターの系列である。安定化する溶質は、「コスモトロピック」と称される。不安定化する溶質は、「カオトロピック」と称される。コスモトロープは、一般に、溶液からタンパク質を沈殿させるため高濃度で使用される(「塩析」)。カオトロープは、一般に、タンパク質を変性させ及び/又は可溶化するために使用される(「塩溶」)。「塩溶」及び「塩析」に対するイオンの相対的な有効性により、ホーフマイスターの系列でのイオンの位置が定義される。
遊離アミノ酸は、増量剤、安定剤及び酸化防止剤として且つ他の標準的な使用のために、本発明の様々な実施形態による本発明の構築物を含む製剤又は組成物において使用することができる。特定のアミノ酸は、製剤中のタンパク質を安定化するために使用することができ、他のアミノ酸は、有効成分の正しいケーク構造及び特性を確実にするために凍結乾燥中に有用である。いくつかのアミノ酸は、液体製剤及び凍結乾燥製剤の両方でタンパク質凝集を阻害するのに有用であり得、他のアミノ酸は酸化防止剤として有用である。
ポリオールは、コスモトロピックであり、液体製剤及び凍結乾燥製剤の両方で安定剤としてタンパク質を物理的及び化学的な分解過程から保護するのに有用である。ポリオールは、製剤の張性を調整し、且つ輸送中の凍結融解ストレスから保護するか、又は製造過程中のバルク調製のためにも有用である。ポリオールは、本発明に関連して凍結保護物質としても機能することができる。
本発明の構築物を含む製剤又は組成物の特定の実施形態は、界面活性剤を含むことができる。タンパク質は、表面に吸着しやすく、変性しやすく、結果的に、気-液界面、固-液界面及び液-液界面で凝集しやすい。これらの有害相互作用は、概してタンパク質濃度と逆比例して規模が増減し、典型的には、製品の配送及び取り扱い中に生じるものなど、物理的動揺によって悪化する。界面活性剤は、表面吸着を防止するか、最小限にするか又は低減するために日常的に使用されている。界面活性剤は、タンパク質の立体配座の安定性を制御するためにも通常使用される。これに関して、1つの特定の界面活性剤が典型的には一部のタンパク質を安定させ、他のタンパク質を不安定にするであろうことから、界面活性剤の使用は、タンパク質特異的である。
本発明の構築物を含む製剤又は組成物の特定の実施形態は、1つ以上の酸化防止剤を含むことができる。医薬製剤中のタンパク質の有害な酸化は、適切なレベルの周囲酸素及び周囲温度を維持し、且つ光への曝露を回避することにより、ある程度まで防止することができる。酸化防止賦形剤は、タンパク質の酸化分解を防止するために使用することもできる。本発明による治療用タンパク質製剤に使用するための酸化防止剤は水溶性であり、製品(構築物を含む組成物)の貯蔵寿命を通してそれらの活性を維持することができることが想定される。酸化防止剤は、タンパク質を損傷する可能性があり、このため、とりわけ酸化防止剤が製剤中の構築物又は他のタンパク質を損傷する可能性を排除する又は十分に低減する方法で選択されるべきでもある。
本発明の構築物を含む製剤又は組成物の特定の実施形態は、1つ以上の保存剤を含むことができる。保存剤は、例えば、同じ容器から2回以上取り出すことが関わる複数回用量非経口製剤を展開する場合に必要である。その主な機能は、製剤の貯蔵寿命又は使用期間に渡って微生物の成長を阻害し、製品の無菌性を確保することである。保存剤には、小分子非経口物質と共に使用されてきた長い歴史があるが、保存剤を含むタンパク質製剤の開発は難題であり得る。保存剤は、タンパク質に不安定効果(凝集)を及ぼすことが極めて多く、これは、複数回用量タンパク質製剤におけるその使用が制限される主因になっている。現在に至るまで、ほとんどのタンパク質薬は、単回使用向けとしてのみ製剤化されている。しかしながら、複数回用量製剤が可能である場合、患者の利便性及び高い市場性を実現するという利点が加わる。保存処理された製剤の開発により、より便利な複数回使用の注射ペンの提案が製品化につながったヒト成長ホルモン(hGH)は、その好例である。保存処理された剤形の製剤化及び開発中、いくつかの態様を考慮する必要がある。薬物製品中における有効保存剤濃度が最適化されていなければならない。これには、タンパク質安定性を損なうことなく抗微生物有効性を付与する濃度範囲に関して剤形における所与の保存剤を試験する必要がある。
予想される通り、保存剤を含有する液体製剤の開発は、凍結乾燥製剤よりも困難である。凍結乾燥製品は、保存剤なしに凍結乾燥させ、使用時に保存剤を含有する希釈剤で再構成することができる。これにより、保存剤が構築物と接触している時間が短縮され、付随する安定性リスクが大幅に小さく抑えられる。液体製剤では、製品の全有効期間に渡って保存剤の有効性及び安定性が維持されるべきである。注意すべき重要な点として、保存剤の有効性は、活性薬物及びすべての賦形剤成分を含有する最終製剤において実証される必要がある。医薬組成物を製剤化した後、それを液剤、懸濁剤、ゲル剤、エマルション剤、固形剤、結晶剤として又は脱水散剤若しくは凍結乾燥散剤として無菌バイアル内に保存し得る。このような製剤は、使用準備済の形態又は投与前に再構成される(例えば、凍結乾燥)形態のいずれかで保存され得る。
本明細書で定義される医薬組成物の生物活性は、例えば、以下の実施例において、国際公開第99/54440号パンフレットにおいて又はSchlereth et al.(Cancer Immunol.Immunother.20(2005),1-12)によって説明されるように、インビトロ細胞毒性アッセイによって決定することができる。本明細書で使用される「有効性」又は「インビボ有効性」は、例えば、標準化されたNCI応答基準を使用した、本発明の製剤の医薬組成物による療法に対する応答を指す。本発明の医薬組成物を用いる療法の成功又はインビボ有効性は、その意図された目的、すなわち組成物がその所望の効果、すなわち病的細胞、例えば腫瘍細胞の激減を引き起こす能力に関する組成物の有効性を指す。インビボ有効性は、白血球数、分化、蛍光細胞分析分離、骨髄吸引を含むが、これらに限定されない、それぞれの疾患実体について確立された標準的な方法によって監視され得る。さらに、様々な疾患特異的臨床化学パラメータ及び他の確立された標準的な方法を使用することができる。さらに、コンピュータ支援断層撮影、X線、核磁気共鳴断層撮影、陽電子放射断層撮影走査、リンパ節生検/組織学的方法及び他の確立された標準的な方法を使用することができる。
本発明の医薬組成物等の薬物の開発における別の主要な課題は、薬物動態特性の予測可能な調節である。この目的のために、薬物候補の薬物動態プロファイル、すなわち所与の状態を治療する具体的な薬物の能力に影響を及ぼす薬物動態パラメータのプロファイルを確立することができる。特定の疾患を処置するための薬物の能力に影響する薬物の薬物動態パラメータは、半減期、分布容積量、肝臓の初回通過代謝及び血清結合の程度が挙げられるが、これらに限定されない。所与の薬物の有効性は、上述のパラメータの各々によって影響を受ける可能性がある。
「半減期」は、量がその初期値の半分まで低下するのに必要な時間である。医科学では、人体における物質又は薬物の半減期を指す。医学的に関連して、半減期とは、物質/薬物がその活性、例えば薬理学的、生理学的又は放射線学的活性の2分の1を失うまでにかかる時間を指し得る。半減期は、血漿/血清中の薬物又は物質(例えば、本発明の構築物)の濃度がその定常状態値の半分に達するのにかかる時間(「血清半減期」)も表し得る。典型的には、投与された物質/薬物の排除又は除去は、腎臓及び肝臓の機能も含む代謝、排泄等の生物学的プロセスを介した身体の洗浄を指す。「初回通過代謝」は、薬物が循環に到達する前にその濃度が低減する薬物代謝現象である。これは、吸収過程で失われた薬物の割合である。したがって、「肝臓初回通過代謝」とは、肝臓と最初に接触したとき、すなわち肝臓を最初に通過する間に薬物が代謝される傾向を意味する。「分布容積量」(VD)は、血漿よりもむしろ薬物が体組織に分布する程度を意味し、VDが高いほど組織分布の量が多いことを示す。薬物の滞留は、細胞内及び細胞外間隙、組織及び器官等、体の様々なコンパートメントに渡って起こり得る。「血清結合程度」は、薬物がアルブミンなどの血清タンパク質と相互作用してそれに結合することにより薬物の生物学的活性の低下又は消失につながる傾向を意味する。
薬物動態パラメータには、投与された所与の量の薬物のバイオアベイラビリティ、遅延時間(T lag)、Tmax、吸収速度及び/又はCmaxも含まれる。「バイオアベイラビリティ」は、全身循環(血液区画)に到達する薬物/物質の投与用量の割合を指す。医薬品が静脈内投与される場合、そのバイオアベイラビリティは、100%であると考えられる。しかしながら、医薬品が他の経路(経口等)を介して投与される場合、そのバイオアベイラビリティは、一般的に低下する。「遅延時間」は、薬物の投与と、血液又は血漿中でのその検出及び測定可能性との間の時間遅延を意味する。Cmaxは、薬物がその投与後(及び第2の用量の投与前)に達成する最大血漿濃度である。Tmaxは、Cmaxに達する時間である。薬物の生物学的効果に必要な薬物の血液濃度又は組織濃度に達するまでの時間は、すべてのパラメータによって影響される。上述に概説したチンパンジー以外の霊長類における前臨床動物試験において決定され得る種間特異性を呈する構築物の薬物動態パラメータは、例えば、Schlereth et al.(前掲)を参照されたい。
一実施形態は、医薬として使用するための、特に疾患、好ましくは腫瘍性疾患、より好ましくは新生物、癌又は腫瘍の予防、処置又は改善(好ましくは処置)に使用するための、本発明の構築物(又は本発明のプロセスによって産生された構築物)を提供する。別の実施形態は、疾患、好ましくは腫瘍性疾患、より好ましくは新生物、癌又は腫瘍の予防、処置又は改善のための医薬品の製造における本発明の構築物の(又は本発明のプロセスによって産生された構築物の)使用を提供する。疾患、好ましくは腫瘍性疾患、より好ましくは新生物、癌又は腫瘍の予防、処置又は改善のための方法であって、それを必要とする対象に本発明の構築物(又は本発明のプロセスに従って産生された構築物)を投与する工程を含む方法を提供することも想定される。「必要とする対象」、「患者」又は「処置を必要とする」ものという用語は、既に罹患している者及び疾患が予防されるべき者を含む。この用語は、予防的処置又は治療的処置のいずれかを受けるヒト対象及び他の哺乳動物対象も含む。
本発明のポリペプチド/ポリペプチド構築物及び本明細書に説明する製剤/医薬組成物は、それを必要とする患者において本明細書に説明する医学的容態の処置、改善及び/又は予防において有用である。「処置」という用語は、治療的処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)手段の両方を指す。処置は、疾患、疾患の症状又は疾患に対する素因を治癒するか、癒すか、緩和するか、軽減するか、変化させるか、矯正するか、和らげるか、改善するか又は影響を及ぼす目的で、本明細書に記載の疾患/障害、そのような疾患/障害の症状又はそのような疾患/障害に対する素因を有する患者又は必要とする対象からの身体、単離された組織又は細胞へのポリペプチド/ポリペプチド構築物/医薬組成物の適用又は投与を含む。本明細書で使用される「改善」という用語は、本発明によるポリペプチド構築物をそのような患者又はそれを必要とする対象に投与することによる、患者の病状のあらゆる改善を指す。そのような改善は、患者の疾患の進行の遅延若しくは停止及び/又は疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度若しくは持続時間の拡大又は疾患による機能障害若しくは障害の予防であり得る。本明細書で使用される「予防」という用語は、それを必要とする対象への本発明による構築物の投与による、本明細書で特定される疾患の発生又は再発の回避を意味する。
「疾患」という用語は、本明細書に説明する構築物又は医薬組成物による治療から利益を得るいずれかの容態を指す。これには、哺乳動物を問題の疾患に罹りやすくする病理学的容態を含む慢性及び急性の障害又は疾患が含まれる。疾患は、好ましくは腫瘍性疾患、より好ましくは新生物、癌又は腫瘍である。疾患、新生物、癌又は腫瘍は、好ましくは、腫瘍抗原、好ましくは本明細書で上述に定義されるものなどに対して陽性であり、すなわち腫瘍抗原、好ましくは本明細書で上述に定義されるものなどの発現又は過剰発現を特徴とする。腫瘍抗原の過剰発現は、少なくとも10%、特に少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも500%、少なくとも750%、少なくとも1000%又はそれを超える上昇があることを意味する。発現は、好ましくは、疾患組織でのみ見られるが、対応する健常な組織での発現は検出できないか、又は有意に検出できない。本発明によれば、腫瘍抗原を発現する細胞と関係する疾患、好ましくは本明細書で上述に定義されるものなどには、癌疾患が含まれる。さらに、本発明によれば、癌疾患は、好ましくは、癌細胞が腫瘍抗原を発現するものである。本発明に従い、疾患、好ましくは腫瘍性疾患、より好ましくは新生物、腫瘍又は癌は、好ましくはBCMA陽性、CD123陽性、CD19陽性、CD20陽性、CD22陽性、CD33陽性、CD70陽性、CDH19陽性、CDH3陽性、CLL1陽性、CS1陽性、CLDN6陽性、CLDN18.2陽性、DLL3陽性、EGFRvIII陽性、FLT3陽性、MAGEB2陽性、MART1陽性、MSLN陽性、MUC17陽性、PSMA陽性又はSTEAP1陽性細胞の存在を特徴とする。換言すれば、腫瘍性疾患、より好ましい新生物、腫瘍又は癌は、好ましくは、BCMA陽性、CD123陽性、CD19陽性、CD20陽性、CD22陽性、CD33陽性、CD70陽性、CDH19陽性、CDH3陽性、CLL1陽性、CS1陽性、CLDN6陽性、CLDN18.2陽性、DLL3陽性、EGFRvIII陽性、FLT3陽性、MAGEB2陽性、MART1陽性、MSLN陽性、MUC17陽性、PSMA陽性又はSTEAP1陽性細胞の存在に関係しており、そのため、腫瘍性疾患、より好ましい新生物、腫瘍又は癌は、BCMA陽性、CD123陽性、CD19陽性、CD20陽性、CD22陽性、CD33陽性、CD70陽性、CDH19陽性、CDH3陽性、CLL1陽性、CS1陽性、CLDN6陽性、CLDN18.2陽性、DLL3陽性、EGFRvIII陽性、FLT3陽性、MAGEB2陽性、MART1陽性、MSLN陽性、MUC17陽性、PSMA陽性又はSTEAP1陽性の新生物、腫瘍又は癌と呼ぶことができる。本明細書では、前記腫瘍抗原陽性新生物、腫瘍又は癌の各々は、前記新生物、腫瘍又は癌が関係している細胞によって発現する腫瘍抗原に対する結合ドメインを含む本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物を使用して予防、処置又は改善することができることが理解される。BCMA陽性、CD123陽性、CD19陽性、CD20陽性、CD22陽性、CD33陽性、CD70陽性、CDH19陽性、CDH3陽性、CLL1陽性、CS1陽性、CLDN6陽性、CLDN18.2陽性、DLL3陽性、EGFRvIII陽性、FLT3陽性、MAGEB2陽性、MART1陽性、MSLN陽性、MUC17陽性、PSMA陽性又はSTEAP1陽性の新生物、腫瘍又は癌は、BCMA(BCMA陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CD123(CD123陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CD19(CD19陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CD20(CD20陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CD22(CD22陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CD33(CD33陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CD70(CD70陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CDH19(CDH19陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CDH3(CDH3陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CLL1(CLL1陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CS1(CS1陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CLDN6(CLDN6陽性新生物、腫瘍又は癌について)、CLDN18.2(CLDN18.2陽性新生物、腫瘍又は癌について)、DLL3(DLL3陽性新生物、腫瘍又は癌について)、EGFRvIII(EGFRvIII陽性新生物、腫瘍又は癌について)、FLT3(FLT3陽性新生物、腫瘍又は癌について)、MAGEB2(MAGEB2陽性新生物、腫瘍又は癌について)、MART1(MART1陽性新生物、腫瘍又は癌について)、MSLN(MSLN陽性新生物、腫瘍又は癌について)、MUC17(MUC17陽性新生物、腫瘍又は癌について)、PSMA(PSMA陽性新生物、腫瘍又は癌について)及びSTEAP1(STEAP1陽性新生物、腫瘍又は癌について)それぞれに対する結合ドメインを含む、本発明によるポリペプチド又はポリペプチド構築物を用いて、予防、処置又は改善することができる。
「新生物」は、常にではないが、通常、塊を形成する組織の異常な成長である。塊を形成する場合、それは、通常、「腫瘍」とも呼ばれる。新生物又は腫瘍は、良性、潜在的に悪性(前癌性)又は悪性(癌性)であり得る。悪性新生物/腫瘍は、一般的に、癌と呼ばれる。それらは、通常、周囲の組織に浸潤し、破壊し、転移を形成することがあり、すなわち、それらは、身体の他の部分、組織又は器官に広がる。「原発性腫瘍」は、腫瘍の進行が始まり、進行して癌性の塊を生じた解剖学的部位で成長する腫瘍である。ほとんどの癌は、それらの原発性部位で発症するが、その後、進んで、身体の他の部分(例えば、組織及び器官)に転移し又は拡がる。これらのさらなる腫瘍は「続発性腫瘍」である。ほとんどの癌は、身体の他の部分に拡がった後でもその原発部位にちなんで呼ばれ続ける。
リンパ腫及び白血病はリンパ系新生物である。本発明の目的のために、それらは「腫瘍」及び「癌」という用語にも包含される。本発明の目的のために、「新生物」、「腫瘍」及び「癌」という用語は互換的に使用され得、それらは、原発性腫瘍/癌及び続発性腫瘍/癌(又は「転移」)の両方、並びに塊形成性新生物(腫瘍)及びリンパ性新生物(リンパ腫及び白血病等)、並びに最少残存病変(MRD)も含む。
「最小残存病変」(MRD)という用語は、癌処置後、例えば患者が寛解している(疾患の症状又は徴候がない)ときに、患者に残存する少数の残存癌細胞の存在についての証拠を指す。癌を評価又は検出するために使用される標準的な試験は、MRDを検出するのに十分な感度を有していないため、通常、ごく少数の残存癌細胞は、日常的な手段によって検出することができない。最近では、フローサイトメトリー、PCR及び次世代シークエンシング等のMRD向けの極めて高感度の分子生物学的試験が利用可能である。これらの試験は、組織試料中の最小限のレベルの癌細胞、時には100万個の正常細胞中の1個の癌細胞ほどの低さを測定することができる。本発明に関連して、癌の「予防」、「処置」又は「改善」という用語は、MRDが検出されたか否かにかかわらず、「MRDの予防、処置又は改善」も包含することが想定される。
本発明の構築物は、一般に、とりわけバイオアベイラビリティ及び持続性の範囲において、特定の投与経路及び投与方法、特定の薬用量及び投与頻度、特定の疾患の特定の処置に合わせて設計されることとなる。組成物の材料は、好ましくは、投与部位に許容され得る濃度で製剤化される。したがって、製剤及び組成物は、本発明に従い、適切なあらゆる投与経路による送達に合わせて設計され得る。本発明に関連して、投与経路には、局所経路、経腸経路及び非経口経路が含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物が凍結乾燥されている場合、まず投与前に凍結乾燥材料を適切な液体で再構成する。凍結乾燥材料は、例えば注射用静菌水(BWFI)、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は凍結乾燥前にタンパク質が存在した同じ製剤中で再構成され得る。本発明の医薬組成物及び構築物は、非経口投与、例えば静脈内送達、例えば注射又は注入に特に有用である。医薬組成物は、医療機器を使用して投与され得る。医薬組成物を投与するための医療機器の例は、米国特許第4,475,196号明細書;同第4,439,196号明細書;同第4,447,224号明細書;同第4,447,233号明細書;同第4,486,194号明細書;同第4,487,603号明細書;同第4,596,556号明細書;同第4,790,824号明細書;同第4,941,880号明細書;同第5,064,413号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,383,851号明細書;及び同第5,399,163号明細書に説明されている。
本発明の組成物は、例えば、用量漸増試験で決定することができる適切な用量で対象に投与することができる。上述に示される通り、本明細書に説明される通りの異種間特異性を呈する本発明の構築物は、有利には、非チンパンジー霊長類での前臨床試験で使用することもできる。投与計画は、主治医が臨床的要因によって決定することになる。医学分野で周知の通り、任意の1人の患者に対する薬用量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与する具体的な化合物、性別、投与時刻及び投与経路、全身レベルの健康状態及び同時に投与される他の薬物を含め、多くの要因に依存する。
「有効量」は、所望の効果を実現するか又は少なくとも部分的に実現するのに十分な治療薬の量である。「治療有効量」は、疾患に罹患している患者の疾患及びその合併症、徴候及び症状を治癒するか又は少なくとも部分的に抑止するのに十分な量である。この使用に有効な量又は用量は、治療しようとする疾患(対象疾患)、送達される構築物、治療の状況及び目的、疾患の重症度、前回の療法、患者の病歴及び治療薬に対する奏効、投与経路、患者のサイズ(体重、体表)及び/又は容態(年齢及び全身レベルの健康状態)及び患者自身の免疫系の全身の状態に依存することになる。最適な治療効果を得るため、適切な用量を主治医の判断に基づいて調整することができる。
本発明の構築物の治療有効量は、好ましくは、疾患症状の重症度の低下、無疾患症状期間の頻度若しくは持続時間の増加又は疾患に起因する機能障害若しくは能力障害の予防をもたらす。腫瘍抗原発現腫瘍の処置において、前記腫瘍抗原に対する結合ドメインを含む本発明の構築物の治療有効量は、好ましくは、未処置患者と比較して少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又は少なくとも約90%の腫瘍細胞成長を阻害する。化合物が腫瘍成長を阻害する能力は、ヒト腫瘍における有効性の予測指標となる動物モデルでも評価され得る。
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の構築物、本発明のプロセスによって産生される構築物、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター及び/又は本発明の宿主細胞を含むキットを提供する。本発明に関連して、「キット」という用語は、その1つが本発明の構築物、医薬組成物、ポリヌクレオチド、ベクター又は宿主細胞に対応する、容器、レシピエント又は他に一緒に包装された2つ以上の構成要素を意味する。したがって、キットは、単品として販売することができる特定の目的を達成するのに十分な製品及び/又は用具の一式であると説明することができる。
本発明のキットのさらなる構成要素は、免疫チェックポイント経路のタンパク質(PD-1又はCTLA-4等)又は共刺激免疫チェックポイント受容体(4-1BB等)に結合する薬剤、好ましくは抗体又は構築物であることが想定される。こうした作用因子は、本明細書において上述でさらに詳細に説明される。一実施形態によれば、キットは、本発明の構築物と、PD-1に結合する抗体又は構築物とを含む。この目的に有用な抗PD-1結合タンパク質は、例えば、PCT/米国特許出願公開第2019/013205号明細書に詳細に説明されている。特定の実施形態において、キットは、構成要素の同時及び/又は逐次投与を可能にする。
キットは、投与に適した薬用量(上述を参照されたい)の本発明の構築物又は医薬組成物を含有する任意の適切な形状、サイズ及び材料(好ましくは防水性、例えばプラスチック又はガラス)の1つ以上の容器(例えば、バイアル、アンプル、コンテナ、注射器、ボトル、バッグ)を含み得る。キットには、使用説明書(例えば、小冊子又は取扱説明書の形式)、注射器、ポンプ、注入器又はこれらに類するものなど、本発明の構築物又は医薬組成物を投与するための手段、本発明の構築物を再構成するための手段及び/又は本発明の構築物を希釈するための手段がさらに含まれ得る。
本発明は、単回用量投与単位のためのキットも提供する。本発明のキットには、乾燥/凍結乾燥した構築物又は医薬組成物を含む第1の容器及び水性製剤を含む第2の容器が含まれ得る。本発明の特定の実施形態では、単一チャンバ及び複数チャンバを備えたプレフィルドシリンジが入ったキットが提供される。
「構築物」という用語が本明細書内で使用されるときには常に、前記用語は、示されるような本発明の使用されるポリペプチド/ポリペプチド構築物又はその対照を指す。
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」には、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形の言及が含まれる。したがって、例えば、「試薬」に対する言及は、1つ以上のそのような種々の試薬を含み、「方法」に対する言及は、本明細書に説明される方法のために改変され得るか又はそれと置換され得る、当業者に公知の均等の工程及び方法に対する言及を含む。
特に指示されない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、その一連の中にあるあらゆる要素に言及していると理解されるものとする。当業者であれば、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、単なるルーチン実験を使用して認識又は確認することができるであろう。このような均等物は、本発明に包含されるものとする。
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、「及び」、「又は」及び「前記用語によって接続された要素のすべて又はいずれかの他の組合せ」の意味を含む。
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の±20%以内、好ましくは±15%以内、より好ましくは±10%以内、最も好ましくは±5%以内を意味する。これには、具体的な値も含まれ、例えば、「約50」は、値「50」を含む。
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、文脈上特に要求されない限り、「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる」等の変化形は、説明されている整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、いずれかの他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外しないことを含意すると理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、「含有する」若しくは「包含する」という用語で置換されることができるか、又は本明細書で使用される場合には「有する」という用語で置換することができる。
本明細書で使用される場合、「からなる」は、特許請求の範囲の要素において指定されていないいかなる要素、工程又は成分も除外する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的な且つ新規の特徴に事実上影響を与えない材料又は工程を除外しない。
本明細書における各例において、「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えられ得る。
上述の説明及び以下の例は、例示的配置を提供するが、本発明は、本明細書で説明される具体的な方法論、技法、プロトコル、材料、試薬、物質等に限定されず、このようなものとして異なり得る。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態のみを説明するのに役立つ。本明細書で使用される用語は、本発明の範囲を限定するよう意図されておらず、特許請求の範囲によってのみ定義される。本発明の態様は、独立請求項で提供される。本発明の一部の任意選択的な特徴は、従属請求項で提供される。
本明細書の本文を通して引用されたすべての刊行物及び特許(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造元の仕様書、説明書などを含む)は、上述であろうと又は後述であろうと、その全体が参照により本明細書により組み込まれる。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されないものとする。参照により組み込まれる材料が本明細書と矛盾しているか又は一致していない限りにおいて、本明細書はいかなるそのような材料にも取って代わる。
本発明及びその利点のより良い理解は、例示目的のためにのみ提供される以下の実施例から得られる。実施例は、決して本発明の範囲をいかなる方法においても限定するものであるとは解釈されないものとする。
エフェクター細胞:ヒト非刺激T細胞;標的細胞:CHO hu CD70 pEFDHR 凡例: I2C:CD70 1-A9D CCxI2CxscFc I2CA:CD 70 1-A 9 D CCxI2C H109A × scFc 8A8.04:CD70 1-A9D CCx8A8.04xscFc 5C3.04:CD70 1-A9D CCx5C3.04xscFc I2E:CD70 1-A9D CCx5C3.01xscFc I2K:CD70 1-A9D CCx5G6.05xscFc 5G6.04:CD70 1-A9D CCx5G6.04xscFc 5G6.03:CD70 1-A9D CCx5G6.03xscFc 1D5.04:CD70 1-A9D CCx1D5.04xscFc 8A8.02:CD70 1-A9D CCx8A8.02xscFc 1D5.03:CD70 1-A9D CCx1D5.03xscFc。 エフェクター細胞:ヒト非刺激T細胞;標的細胞:hu orl FLT3 v1 co CHO #12 凡例: I2C:FL 7-H3 CCxI2CxscFc 5G6.04:FL 7-H3 CCx5G6.04xscFc 8A8.04:FL 7-H3 CCx8A8.04xscFc 5C3.04:FL 7-H3 CCx5C3.04xscFc I2E:FL 7-H3 CCx5C3.01xscFc I2K:FL 7-H3 CCx5G6.05xscFc I2C CC 44/100:FL 7-H3 CCxI2C CC 44/100xscFc。
実施例1:熱安定性
スクリーニング緩衝剤中で製剤化した1mg/mlの精製モノマーBiTE(登録商標)タンパク質を分析した。熱安定性は、動的光散乱DLS及び示差走査蛍光測定DSFによって決定した。
DLS
100μlのタンパク質溶液をマルチウェルプレート内に二重で移し、パラフィン油で覆い、DLSプレートリーダー(温度制御部を備えたDynaPro Plate Reader II、Wyatt Technology Europe GmbH、Dernbach-Germany)に静置した。熱安定性は、この範囲の異なる温度で流体力学的半径を測定しながら、40℃~70℃の直線的な温度上昇スキャンで決定した。半径が膨張し始める温度で凝集温度を定義した。決定された両方の凝集温度の平均を計算し、候補ランキングに使用した。
DSF
3つのガラス毛細管にそれぞれ約40μlのタンパク質溶液を充填し、温度制御部付きDSFリーダー(Prometheus nanoDSF、NanoTemper Technologies GmbH、Munich-Germany)に同時に静置した。タンパク質内部蛍光を、励起波長280nm並びに発光波長330及び350nmで、20℃~95℃の線形増加温度スキャンで測定した。2つの発光波長強度の比の変化は、タンパク質の立体構造変化を示し、したがって分析されたBiTEタンパク質の融解温度を示す。比率350/330nm曲線の第1の誘導体の第1の最大値を第1の融解温度と定義した。決定された3つのすべての第1の融解温度の平均を計算し、候補ランキングに使用した。
BiTE-HLEに関連して、抗CD3結合剤I2C(配列番号1854及び1855でそれぞれ定義され、配列番号2のペプチドリンカーで連結されたVH及びVL;配列番号2185及び2186でそれぞれ定義され、配列番号2のペプチドリンカーで連結されたCD70標的結合剤VH及びVL;配列番号6のリンカーでCD3結合ドメインに連結されたCD70結合ドメイン;CD3結合剤のVL領域のC末端にG4リンカーで連結された配列番号18で特定されるHLEドメイン;CD70結合ドメインはN末端にあり、BiTE(登録商標)分子のC末端にHLEドメインを有するCD3結合ドメインが続く)の配列に特定のアミノ酸変異を組み込むと、動的光散乱(DLS)によって測定して57.5℃~62.0℃の凝集温度値及び示差走査蛍光測定(DSF)によって測定して62.9℃~70.3℃の融解温度値が得られた。I2Cバリアントを有するBiTE-HLE分子は、未改変I2Cと比較して2.3℃~6.8℃の凝集温度上昇を示した。I2Cバリアントの融解温度測定で同じ効果が観察され、未改変I2Cと比較して2.1℃~9.5℃の上昇をもたらした。
重鎖可変領域の44位及び軽鎖可変領域の100位のシステイン残基(Kabat et al.,1991による番号付けスキーム)でアミノ酸残基を置換することによって安定化する(Reiter,Y.et al.,1994)ために追加のジスルフィド結合を操作した抗CD3結合剤バリアントI2C CC44/100を含むBiTE-HLE構築物は、未改変I2Cと比較して、DLSでは3.2℃及びDSFでは5.3℃の熱安定性上昇も示した。しかしながら、前記BiTE(登録商標)-HLE構築物は、有意に低下した細胞傷害活性を示し(さらなる実施例を参照されたい)、その結果、さらなる開発及びT細胞エンゲージャーの一部としての使用に適していない構築物をもたらした。
Figure 2023547661000013
BiTE-HLEに関連して、抗CD3結合剤I2Cの配列中の単一以上のアミノ酸の変異は、動的光散乱(DLS)によって測定される57.0℃~62.4℃の凝集温度値及び示差走査蛍光測定(DSF)によって測定される62.1℃~68.8℃の融解温度値をもたらした。I2C変異を有するBiTE-HLE分子は、未改変I2Cと比較して1.8℃~7.2℃の凝集温度上昇を示した。I2C変異体の融解温度測定で同じ効果が観察され、未改変I2Cと比較して1.0℃~7.7℃の上昇をもたらした。以下の表で参照されるCD3結合剤は、アミノ酸残基交換及び第1の列におけるその位置を特定し;各エントリについて、本発明による信頼できる命名法である、配列番号1854で定義されるVH領域配列及び配列番号1855で定義されるVL領域配列の塩基配列に関して使用される位置を括弧内に示す。
Figure 2023547661000014
Figure 2023547661000015
実施例2:細胞傷害活性
細胞傷害活性
ヒト末梢血単核球(PBMC)を、輸血用血液を収集する血液バンクの副産物である濃縮されたリンパ球製剤(バフィーコート)からフィコール密度勾配遠心分離により調製した。バフィーコートは末梢血バンクにより供給され、血液収集の同日にPBMCを調製した。フィコール密度遠心分離及びダルベッコPBS(Gibco)での徹底洗浄後、残存赤血球がPBMCから赤血球溶解緩衝液(155mM NHCl、10mM KHCO、100μM EDTA)とのインキュベーションを介して除去された。100×gでPBMCを遠心すると、上清を介して血小板が除去された。残ったリンパ球は、主にB及びTリンパ球、NK細胞及び単球を含む。PBMCを、10%FCS(Gibco)含有のRPMI培地(Gibco)中37℃/5%COで培養下において維持した。
CD14及びCD56細胞の枯渇
CD14細胞の枯渇の場合、ヒトCD14マイクロビーズ(Milteny Biotec、MACS、#130-050-201)が、NK細胞ヒトCD56マイクロビーズ(MACS、#130-050-401)の枯渇に使用された。PBMCを計数し、300×gで室温にて10分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットをMACS単離緩衝剤[80μL/10細胞;PBS(Invitrogen、#20012-043)、0.5%(v/v)FBS(Gibco、#10270-106)、2mM EDTA(Sigma-Aldrich、#E-6511)]に再懸濁した。CD14マイクロビーズ及びCD56マイクロビーズ(20μl/10細胞)を加え、4~8℃で15分間インキュベートした。MACS単離緩衝剤(1~2ml/10細胞)で細胞を洗浄した。遠心分離(上記参照)後、上清が廃棄され、細胞がMACS単離緩衝液(500μL/10細胞)に再懸濁された。次に、CD14/CD56陰性細胞をLSカラム(Miltenyi Biotec、#130-042-401)を使用して単離した。CD14+/CD56+細胞を含まないPBMCを、10%FBS(Biochrom AG、#S0115)、1×非必須アミノ酸(Biochrom AG、#K0293)、10mM Hepes緩衝剤(Biochrom AG、#L1613)、1mMピルビン酸ナトリウム(Biochrom AG、#L0473)及び100U/mLペニシリン/ストレプトマイシン(Biochrom AG、#A2213)を補充したRPMI完全培地、すなわちRPMI1640(Biochrom AG、#FG1215)中において、必要になるまでインキュベーター中、37℃で培養した。
標的細胞標識
フローサイトメトリーアッセイにおける細胞溶解の分析のために、蛍光膜色素DiOC18(DiO)(Molecular Probes、#V22886)を使用して、ヒト標的トランスフェクトCHO細胞を標的細胞として標識し、それらをエフェクター細胞と区別した。すなわち、細胞が収集され、PBSで1回洗浄され、2%(v/v)FBS及び膜色素DiO(5μL/10細胞)を含有するPBSで10細胞/mLに調整された。37℃で3分間のインキュベーション後、細胞が完全RPMI培地で2回洗浄され、細胞数が1.25×10細胞/mLに調整された。細胞の活力を、NC-250細胞カウンター(Chemometec)を使用して測定した。
フローサイトメトリーベースの解析
このアッセイを、ヒト標的トランスフェクトCHO細胞の溶解を抗標的多重特異性構築物の段階希釈物の存在下で定量するように設計した。等容積のDiO標識標的細胞及びエフェクター細胞(すなわちCD14及びCD56細胞のないPBMC)を混合し、10:1のE:T細胞比を得た。この懸濁液80μlを、96ウェルプレートの各ウェルに移した。抗標的×抗CD3多重特異性構築物及び陰性対照(無関係な標的抗原を認識するCD3ベースの多重特異性構築物)又はさらなる陰性対照としてのRPMI完全培地の連続希釈液20μLを添加した。7%COの加湿インキュベーター内で、多重特異性構築物媒介性の細胞傷害性反応が48時間進行された。次に、細胞を新たな96ウェルプレートに移し、標的細胞膜の完全性の喪失を、ヨウ化プロピジウム(PI)を1μg/mLの終濃度で添加することにより監視した。PIは、通常、生細胞から排除される膜不透過性色素であるのに対し、死細胞は、それを取込み、蛍光発光により同定可能になる。
試料を、iQue Plus機器でのフローサイトメトリーにより測定し、Forecytソフトウェア(共にIntellicyt)により解析した。標的細胞を、DiO陽性細胞として同定した。PI陰性標的細胞は、生存標的細胞に分類した。細胞障害性の百分率を以下の式によって算出した。
Figure 2023547661000016
GraphPad Prism 6ソフトウェア(Graph Pad Software、San Diego)を使用し、細胞障害性の百分率を、対応する二重特異性構築物濃度に対してプロットした。用量応答曲線を、固定ヒル傾斜を有するシグモイド用量応答曲線の評価のための4つのパラメトリックロジスティック回帰モデルを用いて解析し、EC50値を算出した。
結果:
Figure 2023547661000017
抗CD3 scFv I2C、I2CA、8A8.04、5C3.04、I2E、I2K、5G6.04、5G6.03、1D5.04、8A8.02及び1D5.03を有するT細胞エンゲージャーは、0.05pM~0.4pMの範囲の同様のEC50値を示す(図1A)及び表4)。
Figure 2023547661000018
抗CD3 scFv I2C、5G6.04、8A8.04、I2E及びI2Kを有するT細胞エンゲージャーは、4.5pM~7.0pMの範囲の同様のEC50値を示す。抗CD3 scFv I2C CC 44/100を有するT細胞エンゲージャーは、1578pMのEC50値を示し、抗CD3 scFv I2Cを有するT細胞エンゲージャーと比較して297倍活性が低い(図1B)及び表5)。
配列
以下の配列表は、明細書本文及び特許請求の範囲で参照される配列番号についての信頼できるリストであり、連続する番号付けに関してギャップを含み得る。連続した番号付けを含むWIPO規格ST.25に準拠するリスト等の任意のさらなるリストがこのリストから生成されており、配列番号の差は、以下のリストと整合されるべきである。配列同一性は、「指定」として識別される第2の列の固有のエントリ並びに配列アラインメントを参照することにより、さらに混乱することなく識別することができる。
Figure 2023547661000019
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Claims (28)

  1. ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、
    i)前記VH領域は、
    YAXN(ここで、Xは、K、V、S、G、R、T又はIであり;及びXは、M又はIである)のCDR-H1配列;
    RIRSKYNNYATYYADXVKX(ここで、Xは、S又はQであり;及びXは、D、G、K、S又はEである)のCDR-H2配列;及び
    HXNFGNSYXSXAY(ここで、Xは、G、R又はAであり;Xは、I、L、V又はTであり;Xは、Y、W又はFであり;及びXは、W、F又はYである)のCDR-H3配列
    を含み;
    ii)前記VL領域は、
    SSTGAVTXYXN(ここで、Xは、G、R又はAであり;Xは、S又はTであり;Xは、G又はSであり;Xは、N又はYであり;及びXは、P又はAである)のCDR-L1配列;
    TX(ここで、Xは、G又はAであり;Xは、K、D又はNであり;Xは、F、M又はKであり;Xは、L又はRであり;Xは、A、P又はVであり;及びXは、P又はSである)のCDR-L2配列;及び
    LWYSNXWV(ここで、Xは、V、A又はTであり;及びXは、R又はLである)のCDR-L3配列
    を含み、
    iii)i)の前記VH領域及び/又はii)の前記VL領域のCDR配列の1つ以上は、CDR-H1におけるX4V及びX4F;
    CDR-H2におけるD15及びX16A;
    CDR-H3におけるH1、X2E、F4及びN6;並びに
    CDR-L3におけるX1L及びW3
    から選択される1つのアミノ酸置換又はその組合せを含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  2. iii)で定義される前記1つのアミノ酸置換又はその組合せに加えて、前記CDR-H1配列において、Xは、Iであり;前記CDR-H2配列において、Xは、Gであり;前記CDR-H3配列において、Xは、Aであり、Xは、Fであり;及び/又は前記CDR-L3配列において、Xは、Aである、請求項1に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  3. 2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又はそれを超えるアミノ酸置換の、iii)で定義される前記アミノ酸置換の組合せを含む、請求項1又は2に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  4. i)前記1つのアミノ酸置換は、
    a.CDR-H1におけるX4V又はX4F;CDR-H3におけるH1A;及び
    b.CDR-L3におけるX1L及びW3Y
    から選択されるか;
    ii)2つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A及びCDR-H3におけるN6S;並びにCDR-H2におけるX16A及びCDR-H3におけるN6Tから選択されるか;
    iii)3つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A及びN6S;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A及びN6T;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1N及びN6Tから選択されるか;
    iv)4つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A、N6S及びCDR-L3におけるW3Y;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A及びN6T;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A及びN6S;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A、F4I及びN6Sから選択されるか;又は
    v)5つ又は6つのアミノ酸置換の前記組合せは、CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1A、X2E、F4I及びN6T;CDR-H2におけるX16A、CDR-H3におけるH1N、X2E、F4I及びN6S;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A、N6S;及びCDR-L3におけるW3Y;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1N、X2E、F4I及びN6T;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるH1A、X2E、F4I及びN6T;CDR-H2におけるD15E、X16A、CDR-H3におけるX2E、F4I及びN6Tから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  5. ポリペプチド又はポリペプチド構築物であって、VH領域及びVL領域を含むか又はそれからなる、ヒトCD3ε鎖の細胞外エピトープに結合する結合ドメインを含み、
    i)前記VH領域は、
    Figure 2023547661000144
    の配列を含み、ここで、Xは、Q又はKであり;Xは、V又はLであり;Xは、V又はEであり;Xは、G又はKであり;Xは、K、V、S、G、R、T又はIであり;Xは、M又はIであり;Xは、S又はQであり;Xは、D、G、K、S又はEであり;Xは、K又はQであり;X10は、N又はSであり;X11は、T又はIであり;X12は、A又はLであり;X13は、V又はMであり;X14は、G、R又はAであり;X15は、I、L、V又はTであり;X16は、Y、W又はFであり;X17は、W、F又はYであり;及びX18は、S又はAであり;及び
    ii)前記VL領域は、
    Figure 2023547661000145
    の配列を含み、ここで、Xは、T又はAであり;Xは、P又はSであり;Xは、S又はAであり;Xは、V又はTであり;Xは、G又はEであり;Xは、G、R又はAであり;Xは、S又はTであり;Xは、G又はSであり;Xは、N又はYであり;X10は、P又はAであり;X11は、Q又はEであり;X12は、G又はDであり;X13は、Q又はHであり;X14は、A又はLであり;X15は、P又はFであり;X16は、R又はTであり;X17は、G又はAであり;X18は、K又はDであり;X19は、F又はMであり;X20は、L又はRであり;X21は、A、P又はVであり;X22は、P又はSであり;X23は、T又はVであり;X24は、L又はIであり;X25は、G又はDであり;X26は、L又はIであり;X27は、S又はTであり;X28は、V又はAであり;X29は、P又はTであり;X30は、E又はIであり;X31は、Y又はFであり;X32は、V、A又はTであり;X33は、R又はLであり;
    iii)前記VH及び/又はVL領域配列は、
    a.i)の前記VH領域配列におけるN30、X34V、X34F、Q39、L45、D64、X65A、X1281V、X1281T、X1281I、V99、H101、X14102E、F104及びN106;並びに
    b.ii)の前記VL領域配列におけるL20、V38、X1140R、X1140K、X2469、X3291L、X3393及びG102
    から選択される1つのアミノ酸置換又はその組合せを含む、ポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  6. iii)で定義される前記1つのアミノ酸置換又はその組合せに加えて、Xは、Iであり;Xは、Gであり;前記VH領域配列において、X12は、Lであり、X14は、Aであり、X17は、Fであり;及び/又は前記VL領域配列において、X32は、Aである、請求項5に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  7. 2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12又はそれを超えるアミノ酸置換の、iii)で定義される前記アミノ酸置換の組合せを含む、請求項5又は6に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  8. i)前記1つのアミノ酸置換は、
    a.前記VH領域におけるX34V、Q39E、Q39K、Q39R、Q39D、L45M、L45V、X1281V、X1281T、X1281I、V99A、V99L、H101A、H101N;及び
    b.V38I、V38L、V38M、V38F、V38Y、X1140R、X1140K、X2469S、X2469E、X3291L、X3393Y
    から選択され;
    ii)2つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、前記VH領域におけるX34F及びX1281V;前記VH領域におけるQ39E及び前記VL領域におけるX1140K;前記VH領域におけるQ39E及び前記VL領域におけるX1140R;前記VH領域におけるQ39D及び前記VL領域におけるX1140K;前記VH領域におけるQ39D及び前記VL領域におけるX1140R;前記VH領域におけるL45V及び前記VL領域におけるV38F;前記VH領域におけるL45V及び前記VL領域におけるV38Y;前記VH領域におけるL45M及び前記VL領域におけるX1140K;前記VL領域におけるL20I及びG102S;前記VH領域におけるX1281V及び前記VL領域におけるX1140Kから選択され;
    iii)3つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、前記VH領域におけるQ39E、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;前記VH領域におけるQ39E、前記VL領域におけるX1140R及びG102S;前記VH領域におけるQ39D、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;前記VH領域におけるQ39D、前記VL領域におけるX1140R及びG102S;前記VH領域におけるL45M、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;前記VH領域におけるX65A、H101A及びN106S;前記VL領域におけるL20I、X1140K及びG102Sから選択され;
    iv)4つ以上のアミノ酸置換の前記組合せは、前記VH領域におけるQ39E、前記VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;前記VH領域におけるQ39E、前記VL領域におけるL20I、X1140R及びG102S;前記VH領域におけるQ39D、前記VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;前記VH領域におけるQ39D、前記VL領域におけるL20I、X1140R及びG102S;前記VH領域におけるL45M、前記VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;前記VH領域におけるX1281V、前記VL領域におけるL20I、X1140K及びG102Sから選択され;
    v)5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれを超えるアミノ酸置換の前記組合せは、前記VH領域におけるX65A、X1281V、V99A、N106S、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;前記VH領域におけるD64E、X65A、X1281V、X14102E、F104I、N106T、前記VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;前記VH領域におけるL45M、X65A、N106T、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;前記VH領域におけるX65A、X1281V、V99A、H101A、F104I、N106S、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;前記VH領域におけるX65A、X1281V、V99A、H101A、N106S;前記VH領域におけるX1281V、V99A、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;前記VH領域におけるQ39E、X1281V、前記VL領域におけるL20I、X1140K及びG102S;前記VH領域におけるL45V、前記VL領域におけるL20I、V38F、X1140K及びG102Sから選択される、請求項5~7のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  9. アミノ酸置換の前記組合せは、
    i)前記VH領域における、
    a.X65A、X1281V、V99A、H101A及びN106S;
    b.D64E、X65A、A81V、H101N、X14102E、F104I及びN106S;
    c.L45M、X65A、H101A及びN106T;
    d.L45M、X65A、H101A及びN106S;
    e.Q39E、X65A、H101N及びN106T;
    f.D64E、X65A、V99A、H101A及びN106T;
    g.X65A、X1281V、V99A、H101A、X14102E、F104I及びN106T;
    h.X65A、X1281V、H101N、X14102E、F104I及びN106S;
    i.D64E、X65A、X1281V、H101A及びN106S;
    j.D64E、X65A、H101A及びN106T;
    k.X65A、V99A、H101A及びN106T;
    l.D64E、X65A、H101A及びN106S;
    m.D64E、X65A、X1281V、V99A、H101A及びN106S;
    n.X65A、H101A及びN106S;
    o.N30S、Q39E、D64E、X65A、X1281V、H101A、X14102E、F104I及びN106T;
    p.L45M、D64E、X65A、H101A及びN106T;
    q.N30S、L45M、X65A、X1281V、H101A及びN106T;
    r.N30S、L45M、D64E、X65A、X1281V、H101A及びN106S;
    ii)前記VL領域における、
    a.L20I、X1140K、X2469S及びG102S;
    b.L20I、X2469S及びG102S;
    c.L20I、V38I、X1140K、X2469E、G102S及びX3393Y;
    d.X1140K及びG102S;
    e.L20I、X1140K、X2469S、G102S及びX3393Y;
    f.L20M、X1140K及びX2469E;
    g.L20I、V38I、X1140K、X2469E及びG102S;
    h.X1140K、X2469S及びX3393Y;又は
    i.X1140K及びX2469S;並びに
    iii)i)及びii)の1つのアミノ酸置換の組合せの組合せ
    から選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  10. iii)のアミノ酸置換の組合せの前記組合せは、
    a.前記VH領域におけるX65A、X1281V、V99A、H101A、N106S、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;
    b.前記VH領域におけるD64E、X65A、X1281V、H101N、X14102E、F104I、N106S、前記VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;
    c.前記VH領域におけるL45M、X65A、H101A、N106T、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;
    d.前記VH領域におけるL45M、X65A、H101A、N106S、前記VL領域におけるL20I、V38I、X1140K、X2469E、G102S及びX3393Y;
    e.前記VH領域におけるQ39E、X65A、H101N、N106T、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;
    f.前記VH領域におけるD64E、X65A、V99A、H101A、N106T、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;
    g.前記VH領域におけるX65A、X1281V、V99A、H101A、X14102E、F104I、N106T、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S及びG102S;
    h.前記VH領域におけるX65A、X1281V、H101N、X14102E、F104I、N106S、前記VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;
    i.前記VH領域におけるD64E、X65A、X1281V、H101A、N106S、前記VL領域におけるL20I、X2469S及びG102S;
    j.前記VH領域におけるD64E、X65A、H101A、N106T、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;
    k.前記VH領域におけるX65A、V99A、H101A、N106T、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;
    l.前記VH領域におけるD64E、X65A、H101A、N106S、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;
    m.前記VH領域におけるD64E、X65A、X1281V、V99A、H101A、N106S、前記VL領域におけるL20I、X1140K、X2469S、G102S及びX3393Y;
    n.前記VH領域におけるX65A、H101A、N106S、前記VL領域におけるX1140K及びG102S;
    o.前記VH領域におけるN30S、Q39E、D64E、X65A、X1281V、H101A、X14102E、F104I、N106T、前記VL領域におけるL20M、X1140K及びX2469E;
    p.前記VH領域におけるL45M、D64E、X65A、H101A、N106T、前記VL領域におけるL20I、V38I、X1140K、X2469E及びG102S;
    q.前記VH領域におけるN30S、L45M、X65A、X1281V、H101A、N106T、前記VL領域におけるX1140K及びX2469S;並びに
    r.前記VH領域におけるN30S、L45M、D64E、X65A、X1281V、H101A、N106S、前記VL領域におけるX1140K及びX2469S
    から選択される、請求項9に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  11. 定義されるアミノ酸置換の組合せの前記組合せにおいて、
    a.及びm.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;
    b.及びr.では、前記VH領域配列において、Xは、Gであり;
    c.では、前記VH領域において、X12は、Lであり;
    d.では、前記VH領域において、X12は、Lであり、及びX17は、Fであり;
    e.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり、X14は、Aであり、及びX17は、Fであり;
    f.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;及び前記VL領域配列において、X32は、Aであり;
    g.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;
    h.及びi.では、前記VH領域配列において、Xは、Gであり;
    j.、l及びn.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり、及びX17は、Fであり;且つ前記VL領域配列において、X32は、Aであり;
    k.では、前記VH領域配列において、Xは、Iであり;及び前記VL領域配列において、X32は、Aであり;
    p.では、前記VH領域において、X12は、Lであり;及び
    q.では、前記VH領域配列において、Xは、Gであり、及びX17は、Fである、請求項10に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  12. i)及びii)の前記VH及びVL領域は、配列番号124及び125、172及び173、362及び363、552及び553、730及び731、928及び929、1106及び1107、1296及び1297、1474及び1475、1664及び1665並びに1854及び1855で定義されるVH及びVL領域の組合せから選択され、前記VH及び/又はVL領域配列における前記1つのアミノ酸置換又はその組合せは、VH及び/又はVL領域配列であって、以下のアミノ酸残基:
    i.前記VH領域配列における34位のI、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA、106位のS、前記VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における45位のM、65位のA、81位のL、101位のA、106位のT、前記VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における45位のM、65位のA、81位のL、101位のA、106位のS、112位のF、前記VL領域配列における20位のI、38位のI、40位のK、69位のE、102位のS及び93位のY;
    前記VH領域配列における34位のI、39位のE、65位のA、101位のN、102位のA、106位のT、112位のF、前記VL領域配列における40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、99位のA、101位のA、106位のT、前記VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA、102位のE、104位のI、106位のT、前記VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における64位のE、65位のA、68位のG、81位のV、101位のA、106位のS、前記VL領域配列における20位のI、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、101位のA、106位のT、112位のF、前記VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、101位のA、106位のS、112位のF、前記VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、64位のE、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA、106位のS、前記VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS、102位のS及び93位のY;
    前記VH領域配列における34位のI、65位のA、101位のA、106位のS、112位のF、前記VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;
    前記VH領域配列における45位のM、64位のE、65位のA、81位のL、101位のA、106位のT、前記VL領域配列における20位のI、38位のI、40位のK、69位のE及び102位のS;
    前記VH領域配列における30位のS、45位のM、65位のA、68位のG、81位のV、101位のA、106位のT、112位のF、前記VL領域配列における40位のK、69位のS及び93位のY;並びに
    前記VH領域配列における30位のS、45位のM、64位のE、65位のA、68位のG、81位のV、101位のA、106位のS、前記VL領域配列における40位のK及び69位のS;
    ii.前記VH領域配列における64位のE、65位のA、68位のG、81位のV、101位のN、102位のE、104位のI、106位のT、前記VL領域配列における20位のI、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における65位のA、68位のG、81位のV、101位のN、102位のE、104位のI、106位のS、前記VL領域配列における20位のI、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、65位のA、99位のA、101位のA、106位のT、前記VL領域配列における40位のK、91位のA及び102位のS;並びに
    前記VH領域配列における30位のS、39位のE、64位のE、65位のA、81位のV、101位のA、102位のE、104位のI、106位のT、前記VL領域配列における20位のM、40位のK及び69位のE;
    iii.前記VH領域配列における101位のA;
    iv.前記VH領域配列における81位のV、99位のA、前記VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、81位のV、前記VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、前記VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、39位のE、81位のV、前記VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
    v.前記VH領域配列における34位のI、81位のV及び前記VL領域配列における40位のK;
    前記VH領域配列における45位のM、前記VH領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI、65位のA、101位のA及び106位のS;
    前記VL領域配列における20位のI、40位のK、69位のS及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のF及び81位のV;
    前記VH領域配列における45位のM、前記VL領域配列における40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における39位のD、前記VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI及び81位のV;
    前記VH領域配列における39位のE、前記VL領域配列における20位のI、40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における45位のM及び前記VL領域配列における40位のK;
    前記VH領域配列における34位のI、65位のA、81位のV、99位のA、101位のA及び106位のS;又は
    vi.前記VH領域配列における39位のD、前記VL領域配列における20位のI、40位のR及び102位のS;
    前記VH領域配列における34位のI;
    前記VL領域配列における40位のK;
    前記VH領域配列における39位のD、前記VL領域配列における40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における20位のI及び102位のS;
    前記VH領域配列における39位のK;
    前記VH領域配列における39位のE、前記VL領域配列における40位のK及び102位のS;
    前記VH領域配列における39位のE、前記VL領域配列における20位のI、40位のR及び102位のS;
    前記VH領域配列における39位のD、前記VL領域配列における40位のR及び102位のS;
    前記VH領域配列における81位のV;
    前記VH領域配列における39位のD及び前記VL領域配列における40位のK;
    前記VH領域配列における112位のF;
    前記VH領域配列における112位のF及び前記VL領域配列における38位のI;
    前記VH領域配列における39位のE及び前記VL領域配列における40位のK;
    前記VH領域配列における34位のV
    を有するVH及び/又はVL領域配列をもたらす、請求項5又は6~11のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  13. 前記VH及びVL領域配列は、リンカーによって連結されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  14. 前記リンカーは、ペプチドリンカーである、請求項13に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  15. 前記ペプチドリンカーは、GSリンカー若しくはGQリンカー又はその反復を含むか又はそれからなる、請求項14に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  16. 少なくとも1つのさらなる結合ドメインを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  17. 前記少なくとも1つのさらなる結合ドメインは、細胞表面抗原に結合する、請求項16に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  18. 前記細胞表面抗原は、腫瘍抗原である、請求項17に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  19. 前記腫瘍抗原は、BCMA、CD123、CD19、CD20、CD22、CD33、CD70、CDH19、CDH3、CLL1、CS1、CLDN6、CLDN18.2、DLL3、EGFRvIII、FLT3、MAGEB2、MART1、MSLN、MUC17、PSMA及びSTEAP1からなる群から選択される、請求項18に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  20. 少なくとも二重特異性である一本鎖ポリペプチドである、請求項1~19のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物。
  21. 請求項1~20のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物をコードするポリヌクレオチド。
  22. 請求項21に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  23. 請求項21に記載のポリヌクレオチド又は請求項22に記載のベクターで形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞。
  24. 請求項1~20のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物を産生するためのプロセスであって、請求項1~20のいずれか一項に記載のポリペプチド又はポリペプチド構築物の発現を可能にする条件下において、請求項23に記載の宿主細胞を培養することと、前記産生されたポリペプチド又はポリペプチド構築物を培養物から回収することとを含むプロセス。
  25. 請求項1~20のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくはポリペプチド構築物又は請求項24に記載のプロセスによって産生されたポリペプチド若しくはポリペプチド構築物を含む医薬組成物。
  26. 腫瘍性疾患から選択される疾患の予防、処置又は寛解に使用するための、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくはポリペプチド構築物又は請求項24に記載のプロセスによって産生されたポリペプチド若しくはポリペプチド構築物。
  27. 腫瘍性疾患の予防、処置又は寛解のための方法であって、請求項18~20のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくはポリペプチド構築物又は請求項24に記載のプロセスによって産生されたポリペプチド若しくはポリペプチド構築物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
  28. 請求項1~20のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくはポリペプチド構築物、請求項24に記載のプロセスによって産生されたポリペプチド若しくはポリペプチド構築物、請求項21に記載のポリヌクレオチド、請求項22に記載のベクター及び/又は請求項23に記載の宿主細胞を含むキット。
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