JP2023538428A - 揮発性物質の蒸発デバイス - Google Patents

Abstract

【要約】揮発性物質を蒸発させるデバイスが、揮発性物質を含浸させた多孔質マット(1)と、その多孔質マット(1)を加熱して揮発性物質を蒸発させる発熱素子(2)と、発熱素子(2)からの熱を多孔質マット(1)に反射させる反射素子(3)とからなる。反射素子(3)は、多孔質マット(1)と発熱素子(2)が配置された底部と側壁とで画成される空洞を形成する。この特徴により、反射素子は発熱素子からの熱放射を、揮発性物質を含浸させた多孔質マットへと方向付け或いは再方向付けて、多孔質マットから離れていく熱エネルギーを多孔質マットへと反射することで、同じ蒸発容量に対して消費エネルギーの少ない発熱素子を利用できる。

Description

本発明は、揮発性物質を含浸させた多孔質マットと、当該揮発性物質を蒸発させるために多孔質マットを加熱する発熱素子とを有する、揮発性物質を蒸発させるためのデバイスに関する。

電気的揮発性物質ディフューザーは、ここ数十年で一般的な消費者製品となってきた。ほとんどの一般的なデバイスは、電気的主体に接続されており、揮発性物質を伴う液体を含有するリフィル（refill）と、ウィック（wick）とで構成される。ウィックは、リフィルの内部から液体をウィックの外部へと輸送し、揮発性粒子が蒸発する。デバイスは、或いは揮発性物質を含浸させた多孔質マットで構成される。このリフィル又は多孔質マットは、電気ヒーターの助けを借りて、揮発性物質の蒸発を促進するデバイス内に配置される。

ヒーター構造の標準技術が、セラミックケース内に埋め込まれた電気ヒーターか、プラスチックハウジング内に配置されたヌード電気抵抗器のいずれかについて取り決められている。セラミックケース及びプラスチックハウジングは、抵抗器と周囲との間の電気的絶縁を保証する機能を有する。

揮発性物質を蒸発させる電気デバイスの既存のソリューションには、いくつかの欠点がある。

第１に、既存のソリューションは一般的に大きな寸法を持ち、それぞれの表面は熱を放散する。ゆえに、熱の一部だけが必要な場所の芯や多孔質マットに向けられる。そのため、デバイスの電気効率が低下し、携帯性という消費者の繰り返しの要求の１つを満たすには特に不十分になる。屋外条件での虫刺されに対する保護を与えるために、殺虫剤の物質ディフューザーにとって、携帯性は特に重要である。

第２に、芯や多孔質マットに向けられない熱は、デバイスの表面の温度を実質的に上昇させることができるデバイスの一般的な加熱を促進する。このことは、表面の温度が電気認証機関によって定義された制限を超えないようにするために、デバイスがかなりの寸法を使用する理由である。ここでも、デバイスの大きな寸法は携帯性の制限となる。

したがって、本発明の目的は、発熱素子から供給される熱を実質的にすべて多孔質マットに向けることができる揮発性物質を蒸発させるデバイスを提供し、デバイス表面の過度の温度上昇を防止することである。

本発明のデバイスにより、上記の欠点を解決することができ、以下に説明する他の利点を提示する。

本発明による揮発性物質を蒸発させるためのデバイスは：
揮発性物質を含浸させた多孔質マット(1)；
前記揮発性物質を蒸発させるために前記多孔質マット(1)を加熱する発熱素子(2)；
前記発熱素子(2)からの熱を前記多孔質マット(1)へと反射するための反射素子(3)；
を含み、
前記反射素子(3)は、前記多孔質マット(1)及び前記発熱素子(2)が配置される、底部と側壁によって画成される空洞を形成することを特徴とする。

好ましい実施形態によれば、反射素子は金属シート、例えばミラーシートから形成される。

有利には、反射素子によって形成される空洞は、空洞を気密にするための１つ以上のシールを含む。

さらに有利には、空洞の気密性は、好適には0.1乃至0.2バール（bar）の一定レベルの真空を有している。

好ましい実施形態によれば、発熱素子はセラミックヒーターである。

有利には、多孔質マットが発熱素子の上に位置され、デバイスは、反射素子が取り付けられたプリント回路基板(4)をも含み、プリント基板はバッテリー(5)によって供給（給電）されることが望ましい。

さらに有利には、ヒーターと多孔質マットとの間に空気の隙間があり、多孔質マットのこちら側からの蒸発を可能にすることで、必要なエネルギーが少なく、隙間は0.1mm乃至3mm、より好ましくは1mmから2mmの間であることである。

プリント回路基板と反射素子との間に隙間があることが望ましい。

さらに、本発明による揮発性物質を蒸発させるためのデバイスは、多孔質マットを覆うグリル(6)をも備えており、これを通過して揮発性物質を蒸発させることができ、また、使用中に高温となる多孔質マットとの偶発的な接触に対する保護としても機能する。

有利には、多孔質マットは、その取り扱いを容易にするためのホルダー(7)を備えることができる。

この特徴により、反射素子は、発熱素子からの熱放射を、揮発性物質を含浸させた多孔質マットへと方向付け又は再方向付けて、多孔質マットから離れていく熱エネルギーが、多孔質マットへと反射されるため、同じ蒸発容量に対して、より少ないエネルギーを消費する発熱素子を使用することができる。

さらに、反射素子によって形成される空洞は気密であるため、多孔質マットのより効率的な加熱が達成される。これは、デバイス内に誤って汚れが導入される可能性がある制御されていない状況にさらされる可能性のある携帯デバイスにとって特に興味深い。空洞内に存在するあらゆる物質が熱伝達に影響する。これは、一方では熱慣性により、もう一方ではヒーターと反射材料との間の熱伝達照射との相互作用によるものである。

本開示をよりよく理解するために、図式的かつ非限定的な例としてのみ、実用的な実施形態を示す図面を添付する。

本発明に従った揮発性物質を蒸発させるためのデバイスを形成する構成要素の分解斜視図である。 本発明に従って揮発性物質を蒸発させるためのデバイスの多孔質マットの配置を示す斜視図である。 本発明に従って揮発性物質を蒸発させるためのデバイスの多孔質マットの配置を示す斜視図である。

図１のデバイスは、携帯用デバイスの一例であり、バンド手首装着デバイスであるため、携帯用デバイスとしては最高レベルの要求がある。要求は、先に予想されているように、軽量であること、汚れや水が存在する可能性のある領域で使用するのに十分であること、筐体の外部温度が低いことである。

本発明に従った揮発性物質の蒸発デバイスは、香料や殺虫剤などの揮発性物質を含浸させた多孔質（porous）マット１と、多孔質マット１を加熱して揮発性物質を蒸発させる発熱素子２とから構成される。

発熱素子２は任意の適切な発熱素子であるが、好ましい実施形態によれば、図１に示すような平坦な形状のセラミックヒーターである。

多孔質マット１も平坦な形状であり、好ましくは、多孔質マット１はホルダー７を含む。、すべての揮発性物質を蒸発させた後に多孔質マット１を交換できるように、多孔質マット１をリフィルとして使用するので、ホルダー７はハンドリングを容易にする。

使用位置としては、図３に示すように、多孔質マット１を発熱素子２の上に間隔を空けて置く。

また、本発明に従ったデバイスは、発熱素子２からの熱を多孔質マット１へと反射する反射素子３を備えている。反射素子３は底部及び側壁によって画成される空洞（cavity）を形成し、そこに多孔質マット１と発熱素子２が配置される。

示された実施形態によれば、反射素子３は、例えばミラーシートのような金属シートから形成され、反射素子３によって形成される空洞は、空洞を気密にするための１つ以上のシール８を備えている。示された実施形態では、シール８は４個であり、それぞれが長方形の平面を持つ空洞の角に配置されている。

本発明に従った揮発性物質を蒸発させるデバイスはプリント回路基板４も備え、プリント回路基板４に反射素子３が実装され、プリント回路基板４と反射素子３との間に隙間を残している。

プリント回路基板４はバッテリー５による供給を受けており、バッテリー５は主体に接続して充電することができる。

プリント回路基板４は、反射素子３によって画成された空洞内に配置された発熱素子２を加熱し、この発熱素子２が多孔質マット１を加熱して揮発性物質を蒸発させる。

プリント回路基板４、反射素子３及び発熱素子２の組立体は、ハウジング11の内部に取り付けられる。ハウジング11は、バッテリー５にアクセスするためのクロージャ（closure）10を備えた、腕時計のような形状をとることができる。

さらに、ハウジング11は、多孔質マット１の挿入と除去を可能にするためにハウジング11の残りの部分にヒンジ接続されたグリル（grill）６も備えている。このグリル６は、加熱された要素に誤って接触することから使用者を保護する機能も備えている。

図の実施例によれば、反射素子３を囲む中間ハウジング９上にグリル６が取り付けられている。

本発明に従ったデバイスの動作は非常に簡単である。第１に、図２及び３に示すように、多孔質マット１を使用位置に置く必要がある。そして、デバイスのスイッチをオンにする必要がある。

その後、バッテリーがプリント回路基板４に供給（給電）し、それによって発熱素子２を加熱する。この発熱素子２は直接又は間接的に多孔質マット１を加熱し、発熱素子２からの熱はすべて反射素子３によって濃縮（集中）されて多孔質マット１へと反射される。

本発明の具体的な実施形態を参照しても、開示された装置は変形や修正を受けやすく、添付の特許請求の範囲で定義された保護の範囲から逸脱することなく、ここで言及されたすべての詳細を他の技術的に同等なもので置き換えることができることは、当業者にとって明らかである。

Claims (13)

1. 揮発性物質を蒸発させるためのデバイスであって：
   揮発性物質を含浸させた多孔質マット；
   前記揮発性物質を蒸発させるために前記多孔質マットを加熱する発熱素子；
   前記発熱素子からの熱を前記多孔質マットへと反射するための反射素子；
   を含み、
   前記反射素子は、前記多孔質マット及び前記発熱素子が配置される、底部と側壁によって画成される空洞を形成することを特徴とする、デバイス。
2. 前記反射素子が金属シートから形成される、請求項１に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
3. 前記反射素子がミラーシートから形成される、請求項１又は２に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
4. 前記反射素子によって形成される前記空洞が、当該空洞を気密にするための１つ以上のシールを含む、請求項１乃至３の何れか一項に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
5. 前記反射素子によって形成される前記空洞が0.1乃至0.2バールの範囲の内部真空を有する、請求項４に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
6. 前記発熱素子がセラミックヒーターである、請求項１に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
7. 前記多孔質マットが前記発熱素子の上に位置されている、請求項１に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
8. 前記多孔質マットが前記発熱素子から1mm乃至2mmの距離に位置されている、請求項１に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
9. 前記反射素子が取り付けられているプリント回路基板をも備える、請求項１乃至８いずれか一項に記載の揮発性物質を蒸発させるためのデバイス。
10. 前記プリント回路基板と前記反射素子との間に隙間がある、請求項９に記載の揮発性物質を蒸発させるデバイス。
11. 前記プリント回路基板がバッテリーにより給電される、請求項９に記載の揮発性物質を蒸発させるデバイス。
12. 前記多孔質マットを覆うグリルをも含む、請求項１乃至１１のいずれか一項に記載の揮発性物質を蒸発させるデバイス。
13. 前記多孔質マットがホルダーを含む、請求項１に記載の揮発性物質を蒸発させるデバイス。

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