JP2023166923A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オンオフソレノイドのオフ故障を正確に検知し、適切にフェールセーフモードに移行できる車両用動力伝達装置の制御装置を提供する。【解決手段】オンオフソレノイドバルブSC3の電気故障が検知された場合には、Rレンジに切り替えられたときの後進用ブレーキB1の係合状態に基づいてオンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が正確に検知される。また、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が検知された場合には、ロックアップクラッチLUが解放された状態で走行するフェールセーフモードに移行されるため、退避走行が可能になる。また、退避走行中にはロックアップクラッチLUが解放されるため、ロックアップクラッチLUが保護され、退避走行性能が向上する。【選択図】図4
Description
本発明は、所定のソレノイドバルブから出力される制御油圧の供給先を、ロックアップクラッチのロックアップクラッチ回路および所定の係合装置の何れかに切り替えるためのオンオフソレノイドバルブ、を備えた車両用動力伝達装置の制御装置に関する。
特許文献1には、複数のソレノイドバルブの作動状態が切り替えられることによって、複数の走行モードに切り替えられる車両用動力伝達装置が知られている。特許文献1の車両用動力伝達装置がそれである。特許文献1の車両用動力伝達装置では、複数のソレノイドバルブSLP、SLS、SL1、SL2、SLU、SLGを備えて構成され、これら複数のソレノイドバルブの作動状態が切り替えられることによって、ギヤ走行モード、CVT走行モード(ベルト走行モード)など複数の走行モードに切替可能に構成されている。
ところで、特許文献1では、車両用動力伝達装置に設けられている複数の係合装置の作動状態を制御するためのソレノイドバルブが、各々独立して設けられており、部品のコストが高くなるという問題あった。これに対して、部品点数の削減を目的として、1つのオンオフソレノイドによって、所定のソレノイドバルブから出力される制御油圧の供給先を、ロックアップクラッチを制御するロックアップクラッチ回路および所定の係合装置の何れかに切替可能に構成することが考えられる。ここで、オンオフソレノイドバルブがオフ状態(非作動状態)になると、ロックアップクラッチのロックアップクラッチ回路に所定のソレノイドバルブの制御油圧が供給され、オンオフソレノイドバルブがオン状態(作動状態)になると、所定の係合装置に前記制御油圧が供給されるように構成される場合、オンオフソレノイドバルブがオフ状態で固定されるオフ故障が発生すると、ロックアップクラッチが係合状態になることでロックアップクラッチが保護されなくなる。
従って、オンオフソレノイドバルブのオフ故障が発生した場合には、ロックアップクラッチが解放されるフェールセーフモードに移行することが考えられるが、オンオフソレノイドバルブの電気的な異常が検知されただけでは、オンオフソレノイドバルブが機械的にはオン状態(作動状態)になっている可能性がある。このとき、オンオフソレノイドバルブのオフ故障によるフェールセーフモードに移行しても、オンオフソレノイドバルブがオン状態であるため走行(退避走行)を継続することができない虞がある。また、ロックアップクラッチが係合状態で走行中は、オンオフソレノイドバルブがオフ状態となる。従って、オンオフソレノイドバルブがオフ故障した場合であっても走行挙動に変化が生じないことから、オンオフソレノイドバルブのオフ故障を検知することが困難になる。従って、オンオフソレノイドバルブのオフ故障が正確に検知されないと、フェールセーフモードに適切に移行できなくなり、退避走行性能が制限される虞がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、オンオフソレノイドのオフ故障を正確に検知し、適切にフェールセーフモードに移行できる車両用動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)複数のソレノイドバルブの作動状態が切り替えられることによって、複数の走行モードに切り替えられる車両用動力伝達装置に適用され、所定のソレノイドバルブから出力される制御油圧の供給先を、ロックアップクラッチを制御するロックアップクラッチ回路および所定の係合装置の何れかに切り替えるためのオンオフソレノイドバルブを有する、車両用動力伝達装置の制御装置であって、(b)前記オンオフソレノイドバルブは、非作動状態で前記ロックアップクラッチ回路に前記制御油圧が供給されるとともに、作動状態で前記制御油圧が前記所定の係合装置に供給されるように構成され、(c)前記オンオフソレノイドバルブは、前記ロックアップクラッチの係合時には非作動状態に切り替えられるとともに、前記ロックアップクラッチの解放時には作動状態に切り替えられ、(d)前記オンオフソレノイドバルブは、所定の走行レンジでの走行時には作動状態に切り替えられ、(e)前記オンオフソレノイドバルブの電気的な故障が検知された場合には、前記所定の走行レンジに切り替えられたときの前記所定の係合装置の係合状態に基づいて前記オンオフソレノイドバルブが非作動状態となるオフ故障が発生したか否かを判定し、前記オンオフソレノイドバルブのオフ故障の発生が検知された場合には、前記オンオフソレノイドバルブの非作動状態であっても前記ロックアップクラッチが解放された状態で走行されるフェールセーフモードに移行するように構成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、オンオフソレノイドバルブの電気的な故障が検知された場合には、所定のレンジに切り替えられたときの所定の係合装置の係合状態に基づいて、オンオフソレノイドバルブのオフ故障が正確に検知される。また、オンオフソレノイドバルブのオフ故障が検知された場合には、ロックアップクラッチが解放された状態で走行するフェールセーフモードに移行されるため、退避走行が可能になる。また、退避走行中はロックアップクラッチが解放されるため、ロックアップクラッチが保護され、退避走行性能が向上する。
ここで、好適には、前記ロックアップクラッチ回路は、走行モードがフェールセーフモードに移行されると、所定のソレノイドバルブから出力される制御油圧によって、ロックアップクラッチが解放側に切り替えられるように構成されている。このようにすれば、オンオフソレノイドバルブのオフ故障が検知されると、フェールセーフモードに移行され、所定のソレノイドバルブの制御油圧がロックアップクラッチ回路に供給されることで、ロックアップクラッチが解放される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両用動力伝達装置10の概略構成を説明する骨子図であり、互いに平行な複数の軸が一平面内に位置するように展開して示した図である。車両用動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用される横置き型で、走行用の駆動力源であるエンジン12からの動力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14から自動変速機16を経由して差動歯車装置18に伝達され、左右の駆動輪20L、20Rへ分配される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、および自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体(作動油)を介して動力伝達を行うとともに、ロックアップクラッチLUを介してポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tが直結されるようになっている。ポンプ翼車14pには機械式のオイルポンプ74が接続されており、エンジン12により回転駆動されて油圧を出力することにより、図1において破線で示す油圧制御回路70の油圧源として用いられる。オイルポンプ74の連結先すなわち配設位置は適宜変更でき、電動式オイルポンプを採用することも可能である。
図2は、油圧制御回路70の要部、すなわちバルブボデー等によって構成される油圧作動制御部72を具体的に例示したものである。図2に示す、ロックアップクラッチLUの差圧ΔPluは、ロックアップクラッチLUの係合側油室の油圧Ponと解放側油室の油圧Poffとの圧力差(=Pon-Poff)に相当する。差圧ΔPluがゼロである場合には、ロックアップクラッチLUが解放され、差圧ΔPluがゼロよりも大きい正の値である場合には、ロックアップクラッチLUがスリップ係合または完全係合させられる。
差圧ΔPluは、ロックアップコントロールバルブ108(以下、コントロールバルブ108)によって調圧制御される。コントロールバルブ108には、調圧バルブ106によって調圧されたセカンダリ圧Psecが元圧として供給され、リニアソレノイドバルブSLUからSC3切替バルブ114を経由して供給される制御油圧Psluによって、ロックアップクラッチLUの係合側油室の油圧Ponおよび解放側油室の油圧Poffが制御される。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluによって、ロックアップクラッチLUの差圧ΔPluが制御される。リニアソレノイドバルブSLUは、電子制御装置80によって電気的に制御されることにより制御油圧Psluを調圧する。
自動変速機16は、トルクコンバータ14の出力回転部材であるタービン軸と一体的に設けられた入力軸22と、入力軸22に連結されたベルト式無段変速機24と、同じく入力軸22に連結されてベルト式無段変速機24と並列に設けられた前後進切替装置26およびギヤ変速機構(ギヤ式伝動装置)28と、ベルト式無段変速機24およびギヤ変速機構28の共通の出力回転部材である出力軸30と、減速歯車装置32と、を備えている。減速歯車装置32の小径ギヤ34が差動歯車装置18のリングギヤ36と噛み合わされている。このように構成された自動変速機16においては、エンジン12からの動力が、トルクコンバータ14からベルト式無段変速機24を介して出力軸30へ伝達される。或いは、エンジン12からの動力が、ベルト式無段変速機24を介することなく前後進切替装置26およびギヤ変速機構28を介して出力軸30へ伝達される。そして、出力軸30に伝達された動力が、減速歯車装置32および差動歯車装置18を経由して左右の駆動輪20L、20Rへ伝達される。
このように、自動変速機16には、エンジン12からの動力を入力軸22から出力軸30へ伝達する動力伝達経路として、前後進切替装置26およびギヤ変速機構28を経由して動力を伝達する第1動力伝達経路TP1と、ベルト式無段変速機24を経由して動力を伝達する第2動力伝達経路TP2と、が並列に設けられている。自動変速機16では、車両の走行状態に応じて、第1動力伝達経路TP1と第2動力伝達経路TP2との間で動力伝達経路が切り替えられる。このため、自動変速機16は、第1動力伝達経路TP1における動力伝達を断接(接続・遮断)する前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1と、第2動力伝達経路TP2における動力伝達を断接するベルト走行用クラッチC2と、を備えている。
前進用クラッチC1は、第1動力伝達経路TP1によってエンジン12からの動力を入力軸22から出力軸30へ伝達する場合に係合されるクラッチである。後進用ブレーキB1は、第1動力伝達経路TP1によってエンジン12からの動力を入力軸22から出力軸30へ伝達する場合に係合されるブレーキである。ベルト走行用クラッチC2は、第2動力伝達経路TP2によってエンジン12からの動力を入力軸22から出力軸30へ伝達する場合に係合されるクラッチである。また、第1動力伝達経路TP1には、前後進切替装置26およびギヤ変速機構28に対して直列に、具体的にはそれ等よりも下流側に、同期噛合式クラッチS1が設けられている。前進用クラッチC1および同期噛合式クラッチS1が係合されることにより、第1動力伝達経路TP1を経由した前進走行が可能になる。または、後進用ブレーキB1および同期噛合式クラッチS1が係合されることにより、第1動力伝達経路TP1を経由した後進走行が可能になる。また、ベルト走行用クラッチC2が係合されることにより、第2動力伝達経路TP2を経由した前進走行が可能になる。
前後進切替装置26は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、キャリア26cが入力軸22に一体的に連結され、サンギヤ26sが入力軸22に対して同軸に相対回転可能に配設された小径ギヤ42に連結されている一方、リングギヤ26rが後進用ブレーキB1を介して選択的に回転停止させられるとともに、キャリア26cおよびサンギヤ26sが前進用クラッチC1を介して選択的に連結されるようになっている。そして、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されると、入力軸22が小径ギヤ42に直結されて前進用動力伝達状態が成立させられる。一方、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されると、小径ギヤ42が入力軸22に対して逆方向へ回転させられることによって、後進用動力伝達状態が成立させられる。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、第1動力伝達経路TP1による動力伝達を遮断するニュートラル状態となる。
前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも複数の摩擦材が油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置であり、その油圧シリンダに供給されるC1係合油圧Pc1、B1係合油圧Pb1が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)SL1、SLUによってそれぞれ調圧制御されることにより、それ等の係合力すなわち伝達トルク容量が連続的に調整される。リニアソレノイドバルブSL1、SLUは、それぞれ電子制御装置80によって電気的に制御されることにより、C1係合油圧Pc1、B1係合油圧Pb1を調圧する。
ギヤ変速機構28は、小径ギヤ42と、カウンタ軸44に相対回転不能に設けられて小径ギヤ42と噛み合わされた大径ギヤ46と、カウンタ軸44に対して同軸に相対回転可能に設けられた小径のアイドラギヤ48と、を備えている。また、カウンタ軸44とアイドラギヤ48との間に、同期噛合式クラッチS1が設けられており、それ等の間の動力伝達が断接される。
同期噛合式クラッチS1は、シンクロナイザリング等からなるシンクロメッシュ機構(同期機構)を備えており、クラッチハブスリーブ50が、図示しない油圧シリンダにより図1の左方向である接続方向へ移動させられると、シンクロナイザリングを介してアイドラギヤ48がカウンタ軸44と同期回転させられるようになり、クラッチハブスリーブ50が更に移動させられると、そのクラッチハブスリーブ50の内周面に設けられたスプライン歯を介してアイドラギヤ48がカウンタ軸44に相対回転不能に連結される。
同期噛合式クラッチS1の油圧シリンダには、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブSL1によって調圧制御されたS1係合油圧Ps1が供給されるようになっており、同期噛合式クラッチS1は、S1係合油圧Ps1に基づいて同期噛合係合させられる。或いは、同期噛合式クラッチS1の油圧シリンダには、ライン圧PLがそのままS1係合油圧Ps1として供給されるようになっており、このとき同期噛合式クラッチS1が噛合状態で維持される。ライン圧PLは、例えば出力要求量であるアクセル操作量すなわちアクセル開度θaccやエンジントルクに対応するスロットル弁開度θth等に応じて調圧される。リニアソレノイドバルブSL1は、電子制御装置80によって電気的に制御されることによりS1係合油圧Ps1を調圧する。
アイドラギヤ48は、出力軸30に設けられた大径ギヤ58と噛み合わされており、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の何れか一方が係合させられ且つ同期噛合式クラッチS1が接続されることにより、エンジン12からの動力が入力軸22から前後進切替装置26、ギヤ変速機構28、アイドラギヤ48、および大径ギヤ58を順次経由して出力軸30に伝達されるようになる。このとき、第1動力伝達経路TP1が成立させられる。なお、小径のアイドラギヤ48と大径ギヤ58との間でも変速(減速)が行なわれ、それ等を含めてギヤ変速機構28が構成されていると見做すこともできる。
ベルト式無段変速機24は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ60と、出力軸30と同軸の回転軸62に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ64と、それ等一対の可変プーリ60、64の間に巻き掛けられた伝動ベルト(ベルト)66と、を備えており、一対の可変プーリ60、64と伝動ベルト66との間の摩擦を介して動力伝達が行われる。一対の可変プーリ60、64は、それぞれV溝幅を変更する推力を付与する油圧アクチュエータとして油圧シリンダ60c、64cを備えている。例えば、油圧シリンダ60cへ供給されるプライマリプーリ油圧Pslpが油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)SLPによって制御されることにより、両可変プーリ60、64のV溝幅が変化して伝動ベルト66の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ2が連続的に変化させられる。また、油圧シリンダ64cへ供給されるセカンダリプーリ油圧Pslsが、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)SLSによって調圧制御されることにより、伝動ベルト66が滑りを生じないようにベルト挟圧力が調整される。リニアソレノイドバルブSLP、SLSは、電子制御装置80によって電気的に制御されることによりプライマリプーリ油圧Pslp、セカンダリプーリ油圧Pslsをそれぞれ調圧する。
出力軸30は、回転軸62に対して同軸に相対回転可能に配設されており、その出力軸30とセカンダリプーリ64との間に設けられたベルト走行用クラッチC2により、出力軸30とセカンダリプーリ64との間の動力伝達が断接される。ベルト走行用クラッチC2が係合させられると、エンジン12からの動力が入力軸22からベルト式無段変速機24を経由して出力軸30に伝達されるようになり、第2動力伝達経路TP2が成立させられる。
ベルト走行用クラッチC2は、複数の摩擦材が油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の摩擦係合装置である。油圧シリンダに供給されるC2係合油圧Pc2が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブ(ソレノイドバルブ)SL2によって調圧制御されることにより、その係合力すなわち伝達トルク容量が連続的に調整される。リニアソレノイドバルブSL2は、電子制御装置80によって電気的に制御されることによりC2係合油圧Pc2を調圧する。すなわち、リニアソレノイドバルブSL2は、ベルト走行用クラッチC2へ油圧を供給するソレノイドバルブである。
このような車両用動力伝達装置10において、ギヤ変速機構28のギヤ比等によって定まる第1動力伝達経路TP1の変速比γ1は、第2動力伝達経路TP2の変速比γ2の最大値γ2maxよりも大きくされている。従って、車両発進時や高負荷走行時には第1動力伝達経路TP1を用いるギヤ走行モードで走行する。また、車速Vの上昇や要求駆動力の減少などに伴って、第2動力伝達経路TP2を用いるベルト走行モードに切り替えられる。ギヤ走行モードからベルト走行モードへのモード切替(実質的には自動変速機16のアップシフト)は、前進用クラッチC1を解放するとともにベルト走行用クラッチC2を係合するクラッチツークラッチ変速(CtoC)によって実行される。また、ベルト走行モードからギヤ走行モードへのモード切替(実質的には自動変速機16のダウンシフト)は、ベルト走行用クラッチC2を解放するとともに前進用クラッチC1を係合するクラッチツークラッチ変速によって実行される。変速比γ1、γ2は、出力回転速度(出力軸30の回転速度)Noutに対するタービン回転速度Ntの比(Nt/Nout)で、変速比γ1、変速比γ2の最大値γ2maxは何れも1.0より大きく、入力軸22に対して出力軸30が減速回転させられる。出力回転速度Noutは車速Vに対応し、タービン回転速度Ntは入力軸22の回転速度(入力回転速度)と一致する。
ここで、油圧制御回路70には、図2に示すように、リニアソレノイドバルブSLP、SLS、SL1、SL2、SLUの他、オンオフソレノイドバルブSC1、SC2、SC3、調圧バルブ106、ロックアップコントロールバルブ108(コントロールバルブ108)、SC1切替バルブ110、SC2切替バルブ112、SC3切替バルブ114、および退避走行用切替バルブ116が設けられている。
調圧バルブ106は、コントロールバルブ108に供給される元圧であるセカンダリ圧Psecを調圧する。調圧バルブ106は、例えばライン圧PLを元圧にして、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧PsluやオンオフソレノイドバルブSC3の信号圧に基づいたセカンダリ圧Psecに調圧する。本実施例では、コントロールバルブ108に供給されるリニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluに比例してセカンダリ圧Psecが高圧に調圧され、また、コントロールバルブ108にオンオフソレノイドバルブSC3の信号圧が供給されるとセカンダリ圧Psecが高圧に調圧される。
SC1切替バルブ110は、オンオフソレノイドバルブSC1から供給される信号圧の有無に応じて油路を切り替える切替弁である。SC1切替バルブ110は、オンオフソレノイドバルブSC1からの信号圧に応じて、連通状態が、実線で示す第1接続状態および破線で示す第2接続状態の何れかに切り替えられる。
SC1切替バルブ110の第1接続状態では、実線で示すようにライン圧PLをDレンジ圧PDとしてSC2切替バルブ112およびSC3切替バルブ114に出力する。また、SC1切替バルブ110の第2接続状態では、破線で示すように、リニアソレノイドバルブSLUによって調圧された制御油圧Psluを退避走行用切替バルブ116に出力し、ライン圧PLをRレンジ圧PRとしてSC2切替バルブ112に出力する。
本実施例では、オンオフソレノイドバルブSC1が非励磁(非作動)で信号圧が供給されない場合には、SC1切替バルブ110が実線で示す第1接続状態になる。一方、オンオフソレノイドバルブSC1が励磁(作動)されて信号圧が供給された場合には、SC1切替バルブ110が破線で示す第2接続状態になる。すなわち、シフトレバー76により前進走行用のDレンジが選択されると、オンオフソレノイドバルブSC1が非励磁で、SC1切替バルブ110が第1接続状態とされてDレンジ圧PDが出力される。一方、シフトレバー76により後進走行用のRレンジが選択されると、オンオフソレノイドバルブSC1が励磁され、SC1切替バルブ110が第2接続状態とされてRレンジ圧PRが出力される。
SC2切替バルブ112は、オンオフソレノイドバルブSC2から供給される信号圧の有無に応じて油路を切り替える切替弁である。SC2切替バルブ112は、オンオフソレノイドバルブSC2の信号圧に応じて、実線で示す第1接続状態および破線で示す第2接続状態の何れかに切り替えられる。
SC2切替バルブ112の第1接続状態では、実線で示すように、SC1切替バルブ110からSC3切替バルブ114を経由して供給されたDレンジ圧PDを退避走行用切替バルブ116に出力し、ライン圧PLをリニアソレノイドバルブSL1に出力し、リニアソレノイドバルブSL1によりライン圧PLを元圧として調圧された制御油圧Psl1をS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に出力し、SC1切替バルブ110から供給されたRレンジ圧PRをSC3切替バルブ114に出力する。
また、SC2切替バルブ112の第2接続状態では、破線で示すように、SC1切替バルブ110から供給されたDレンジ圧PDを退避走行用切替バルブ116に出力し、SC1切替バルブ110からSC3切替バルブ114を経由して供給されたDレンジ圧PDをリニアソレノイドバルブSL1に出力し、ライン圧PLをそのままS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に出力し、リニアソレノイドバルブSL1によりDレンジ圧PDを元圧として調圧された制御油圧Psl1を退避走行用切替バルブ116に出力する。
本実施例では、オンオフソレノイドバルブSC2が非励磁(非作動)で信号圧が供給されない場合には、SC2切替バルブ112が実線で示す第1接続状態になる。一方、オンオフソレノイドバルブSC2が励磁(作動)されて信号圧が供給された場合には、SC2切替バルブ112が、破線で示す第2接続状態になる。すなわち、リニアソレノイドバルブSL1によりライン圧PLまたはDレンジ圧PDを元圧として調圧された制御油圧Psl1が、第1接続状態ではS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に出力される一方、第2接続状態では退避走行用切替バルブ116を経由してC1係合油圧Pc1として前進用クラッチC1に供給される。このように、同期噛合式クラッチS1および前進用クラッチC1の油圧制御に対して共通のリニアソレノイドバルブSL1が用いられる。
SC3切替バルブ114は、オンオフソレノイドバルブSC3から供給される信号圧の有無に応じて油路を切り替える切替弁である。SC3切替バルブ114は、オンオフソレノイドバルブSC3からの信号圧に応じて、連通状態が、実線で示す第1接続状態および破線で示す第2接続状態の何れかに切り替えられる。
SC3切替バルブ114の第1接続状態では、実線で示すように、モジュレータ圧PMをリニアソレノイドバルブSLUに出力し、リニアソレノイドバルブSLUによりモジュレータ圧PMを元圧として調圧された制御油圧PsluをロックアップクラッチLUの差圧ΔPluの制御用油圧として出力し、SC1切替バルブ110から供給されたDレンジ圧PDをSC2切替バルブ112に出力する。なお、モジュレータ圧PMは、ライン圧PLを元圧としてモジュレータバルブ118によって一定圧に調圧された油圧である。また、SC3切替バルブ114の第2接続状態では、破線で示すように、SC1切替バルブ110からSC2切替バルブ112を経由して供給されたRレンジ圧PRをリニアソレノイドバルブSLUに出力し、リニアソレノイドバルブSLUによりRレンジ圧PRを元圧として調圧された制御油圧PsluをB1係合油圧Pb1として後進用ブレーキB1に出力する。
本実施例では、オンオフソレノイドバルブSC3が非励磁(非作動)で信号圧が供給されない場合には、SC3切替バルブ114が実線で示す第1接続状態とされる。一方、オンオフソレノイドバルブSC3が励磁(作動)されて信号圧が供給される場合には、SC3切替バルブ114が破線で示す第2接続状態になる。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUによってモジュレータ圧PMまたはRレンジ圧PRを元圧として調圧された制御油圧Psluが、第1接続状態(すなわちオンオフソレノイドバルブSC3の非作動状態)では、制御油圧Psluが、ロックアップクラッチLUの差圧ΔPluの制御用油圧としてコントロールバルブ108に出力される。第2接続状態(すなわちオンオフソレノイドバルブSC3の作動状態)では、制御油圧PsluがB1係合油圧Pb1として後進用ブレーキB1に供給される。このように、ロックアップクラッチLUおよび後進用ブレーキB1の油圧制御に対して共通のリニアソレノイドバルブSLUが用いられる。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御油圧Psluの供給先が、オンオフソレノイドバルブSC3によって、ロックアップクラッチLUの作動状態を制御するコントロールバルブ108および後進用ブレーキB1の何れかに切り替えられる。なお、Rレンジでの走行時には、オンオフソレノイドバルブSC3が作動状態に切り替えられ、SC3切替バルブ114が破線で示す第2接続状態に切り替えられる。従って、制御油圧Psluが後進用ブレーキB1に供給可能になる。なお、コントロールバルブ108が、本発明のロックアップクラッチ回路に対応し、リニアソレノイドバルブSLUが、本発明の所定のソレノイドバルブに対応する。
退避走行用切替バルブ116は、SC1切替バルブ110が第2接続状態とされた場合にリニアソレノイドバルブSLUから供給される制御油圧Pslu等によって油路を切り替える切替弁である。退避走行用切替バルブ116は、実線で示す第1接続状態および破線で示す第2接続状態に切り替えられる。退避走行用切替バルブ116の第1接続状態では、実線で示すように、SC2切替バルブ112から供給されたリニアソレノイドバルブSL1による制御油圧Psl1をC1係合油圧Pc1として前進用クラッチC1に供給し、SC2切替バルブ112から供給されたDレンジ圧PDをリニアソレノイドバルブSL2に出力する。退避走行用切替バルブ116の第2接続状態では、破線で示すように、SC1切替バルブ110から供給されたリニアソレノイドバルブSLUによる制御油圧PsluをプライマリシーブコントロールバルブPSCVおよびコントロールバルブ108に出力し、ライン圧PLをリニアソレノイドバルブSL2に出力する。退避走行用切替バルブ116の第1接続状態では、リニアソレノイドバルブSL2がDレンジ圧PDを元圧としてC2係合油圧Pc2を調圧制御することにより、そのC2係合油圧Pc2に応じてベルト走行用クラッチC2が係合させられ、第2動力伝達経路TP2によるベルト走行が可能になる。
退避走行用切替バルブ116は、通常は実線で示す第1接続状態に保持される一方で、Dレンジのベルト退避走行モードすなわち図3に示されるフェールセーフモードが選択された場合に、オンオフソレノイドバルブSC1およびSC2が共に励磁(作動)され、SC1切替バルブ110およびSC2切替バルブ112が何れも第2接続状態とされるとともに、オンオフソレノイドバルブSC3が非励磁(非作動)でSC3切替バルブ114が第1接続状態とされる。さらに、リニアソレノイドバルブSLUから所定の制御油圧Psluが出力されることにより、退避走行用切替バルブ116が破線で示す第2接続状態に切り替えられる。この第2接続状態では、ライン圧PLが退避走行用切替バルブ116を経由してリニアソレノイドバルブSL2に供給されるため、そのリニアソレノイドバルブSL2がライン圧PLを元圧としてC2係合油圧Pc2を調圧制御することにより、ベルト走行用クラッチC2が係合させられる。その結果、第2動力伝達経路TP2によるベルト走行、すなわちベルト退避走行が可能になる。
また、SC1切替バルブ110が第2接続状態に切り替えられるとともに、退避走行用切替バルブ116が第2接続状態に切り替えられた状態では、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御油圧Psluが、SC1切替バルブ110および退避走行用切替バルブ116を経由してコントロールバルブ108に供給される。コントロールバルブ108は、SC3切替バルブ114を経由してリニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluが供給された場合には、差圧ΔPluが大きくなる一方で、退避走行用切替バルブ116を経由してリニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluが供給された場合には、差圧ΔPluを低下させてロックアップクラッチLUが解放されるように構成されている。
このような油圧制御回路70によれば、シフトレバー76の操作ポジションPshに応じて図3に示されるように複数の動力伝達レンジP、N、R、Dを成立させることができる。すなわち、シフトレバー76は、前進走行用のD(ドライブ)レンジを選択するDポジション、後進走行用のR(リバース)レンジを選択するRポジション、動力伝達を遮断するN(ニュートラル)レンジを選択するNポジション、駐車用のP(パーキング)レンジを選択するPポジション等を操作ポジションPshとして備えている。そして、それ等の操作ポジションPshに応じて電子制御装置80によりソレノイドバルブSC1、SC2、SC3、SL1、SL2、SLUがそれぞれ制御され、係合装置であるクラッチC1、C2、S1、およびブレーキB1の係合解放状態が切り替えられることにより、動力伝達状態が異なるPレンジ、Nレンジ、Rレンジ、Dレンジが成立させられる。
PレンジおよびNレンジでは、クラッチC1、C2、および後進用ブレーキB1が解放されることにより動力伝達が遮断される。Rレンジでは、後進用ブレーキB1および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともにクラッチC1、C2が解放されることにより、第1動力伝達経路TP1による後進走行が可能とされる。Rレンジを成立させる過渡時、すなわち後進用ブレーキB1の解放から係合への変化時、および同期噛合式クラッチS1の解放から係合への変化時には、リニアソレノイドバルブSLUにより後進用ブレーキB1の係合油圧Pb1が調圧制御されるとともに、リニアソレノイドバルブSL1により同期噛合式クラッチS1の係合油圧Ps1が調圧制御される。
Dレンジでは、ギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、ベルト高車速走行モード、およびフェールセーフモード(ベルト退避走行モード)を選択可能になる。ギヤ走行モードでは、前進用クラッチC1および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともにベルト走行用クラッチC2および後進用ブレーキB1が解放されることにより、第1動力伝達経路TP1による前進走行が可能とされる。ベルト低車速走行モードでは、ベルト走行用クラッチC2および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともに前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が解放されることにより、第2動力伝達経路TP2による前進走行が可能とされる。ベルト高車速走行モードでは、ベルト走行用クラッチC2が係合させられるとともに前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、および同期噛合式クラッチS1が解放されることにより、第2動力伝達経路TP2による前進走行が可能とされる。
フェールセーフモードでは、ベルト走行用クラッチC2および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともに、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が解放されることにより、第2動力伝達経路TP2による前進走行が可能になる。また、ギヤ走行モードとベルト低車速走行モードとを切り替える際には、前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の一方を解放するとともに他方を係合させるクラッチツークラッチ変速(CtoC)が行なわれ、リニアソレノイドバルブSL1により前進用クラッチC1のC1係合油圧Pc1が調圧制御されるとともに、リニアソレノイドバルブSL2によりベルト走行用クラッチC2のC2係合油圧Pc2が調圧制御される。すなわち、Dレンジでは、油圧制御回路70に設けられた複数のソレノイドバルブSC1、SC2、SC3、SL1、SL2、SLUが選択的に作動させられることにより油圧制御回路70内の油圧の供給先が切り替わり油圧式係合装置であるクラッチC1、C2、S1、およびブレーキB1の係合解放状態が切り替えられる。これによって、車両用動力伝達装置10では、第1動力伝達経路TP1と第2動力伝達経路TP2とが切り替えられる。すなわち、複数のソレノイドバルブSC1、SC2、SC3、SL1、SL2、SLUの作動状態が制御されることによって、複数の走行モードに切り替えられる。
また、ギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、およびベルト高車速走行モードで走行中におけるロックアップクラッチLUの解放時(L-UP OFF)には、オンオフソレノイドバルブSC3が作動状態に切り替えられることで、SC3切替バルブ114が破線で示す第2接続状態に切り替えられる。また、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluがゼロに制御される。このとき、コントロールバルブ108によって差圧ΔPluがゼロに制御されてロックアップクラッチLUが解放され、調圧バルブ106によってセカンダリ圧Psecに調圧された作動油をトルクコンバータ14内で環流させる環流制御が実行される。
一方、ギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、およびベルト高車速走行モードで走行中におけるロックアップクラッチLUの係合時(L-UP ON)には、オンオフソレノイドバルブSC3が非作動状態に切り替えられることで、SC3切替バルブ114が実線で示す第1接続状態に切り替えられる。このとき、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧PsluがSC3切替バルブ114を経由してコントロールバルブ108に供給可能になる。さらに、リニアソレノイドバルブSLUから制御油圧Psluが出力されることで、コントロールバルブ108において差圧ΔPluが正の値に制御される。従って、ロックアップクラッチLUが、制御油圧Psluに応じて、スリップ係合または完全係合させられる。
このような車両用動力伝達装置10は、図3に示すPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジの切替制御や、Dレンジにおける複数の走行モードの切替制御、ベルト式無段変速機24の変速制御やベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチLUの係合解放制御、などを行なうコントローラとして電子制御装置(制御装置)80を備えている。電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどを有する所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。
電子制御装置80には、操作ポジションセンサ82から検出されるシフトレバー76の操作位置である操作ポジションPshを表す信号と、タービン回転速度センサ84から検出される入力軸22の回転速度であるタービン回転速度Nt[rpm]を表す信号と、出力回転速度センサ86から検出される出力軸30の回転速度である出力回転速度Nout[rpm]を表す信号と、第1回転速度センサ90から検出される大径ギヤ46の回転速度N1[rpm]を表す信号と、第2回転速度センサ92から検出されるアイドラギヤ48の回転速度N2[rpm]を表す信号と、アクセル開度センサ94から検出されるアクセル開度θacc[%]を表す信号と、スロットル弁開度センサ96から検出されるスロットル弁開度θth[%]を表す信号と、第3回転速度センサ98から検出される前後進切替装置26のリングギヤ26rの回転速度Nr[rpm]を表す信号と、が入力されている。
図1に示すように、電子制御装置80は、モード切替制御手段すなわちモード切替制御部140と、電気故障判定手段すなわち電気故障判定部144と、オフ故障判定手段すなわちオフ故障判定部146と、を機能的に備えている。
モード切替制御部140は、Dレンジにおいて図3に示す複数の走行モードを切り替える。モード切替制御部140は、前進走行時において、第1動力伝達経路TP1を用いて走行するギヤ走行モードと、第2動力伝達経路TP2を用いて走行するベルト走行モードと、を切り替えるモード切替制御を実行する。例えばアクセル開度θaccおよび車速V等の運転状態に基づいて定められた変速マップ(変速条件)に従って、ギヤ走行モードからベルト走行モードへ切り替えるアップシフト判断や、ベルト走行モードからギヤ走行モードへ切り替えるダウンシフト判断を行い、そのシフト判断に従って前進用クラッチC1とベルト走行用クラッチC2とを切り替えるクラッチツークラッチ変速を実行する。具体的には、車両発進時等の低車速時にはギヤ走行モードで走行し、所定車速以上ではベルト走行モードで走行するようにモード切替を実行する。また、ベルト走行モードでは、車速Vが予め定められた判定車速Vs以下の間は、同期噛合式クラッチS1を係合させるベルト低車速走行モードとし、判定車速Vsを超えると同期噛合式クラッチS1を解放するベルト高車速走行モードとする。
電気故障判定部144は、車両走行中において、オンオフソレノイドバルブSC3が電気的な異常によって非作動側(オフ側)で固定される、オフ故障(OFF故障)が検知されたか否かを判定する。例えば、オンオフソレノイドバルブSC3には、自身の電気的な異常を検出する異常検出回路が組み込まれている。電気故障判定部144は、その異常検出回路からオンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が発生したことを示す信号が検出された場合、オンオフソレノイドバルブSC3の電気的なオフ故障(電気故障)が検知されたと判定する。
オフ故障判定部146は、オンオフソレノイドバルブSC3の電気的なオフ故障が検知されると、後進走行用のRレンジに切り替えられたときの後進用ブレーキB1の係合状態に基づいて、オンオフソレノイドバルブSC3が非作動状態となるオフ故障が発生したか否かを判定する。具体的には、オフ故障判定部146は、Rレンジに切り替えられたときに後進用ブレーキB1が係合されないか否かに基づいて、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が発生したか否かを判定する。なお、Rレンジが、本発明の所定の走行レンジに対応し、後進用ブレーキB1が、本発明の所定の係合装置に対応する。
Rレンジに切り替えられると、オンオフソレノイドバルブSC3が作動状態に切り替えられてSC3切替バルブ114が第2接続状態に切り替えられることによって、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluが後進用ブレーキB1に供給される。ここで、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が発生すると、SC3切替バルブ114が第1接続状態となるため、制御油圧Psluが後進用ブレーキB1に供給されず、後進用ブレーキB1が正常に係合されなくなる。従って、オンオフソレノイドバルブSC3がオフ故障すると、後進用ブレーキB1が係合されないために後進走行が不可能になる。
オフ故障判定部146は、オンオフソレノイドバルブSC3の電気的なオフ故障が検知された後にRレンジに切り替えられると、後進用ブレーキB1によって回転停止させられるリングギヤ26rの回転速度Nrが所定値以上になったか否かを判定する。オフ故障判定部146は、リングギヤ26rの回転速度Nrが所定値以上になった場合、後進用ブレーキB1が正常に係合されないため、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が検知される。
オンオフソレノイドバルブSC3の電気的なオフ故障が検知されただけでは、例えばオンオフソレノイドバルブSC3が機械的にはオン故障している場合もあり、この場合には、フェールセーフモードに移行しても走行することができない。これに対して、オフ故障判定部146は、オンオフソレノイドバルブSC3の電気的なオフ故障が検知された後、Rレンジに切り替えられたときに後進用ブレーキB1が係合されないか否かを判定することで、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障を正確に検知することができる。
オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が検知されると、モード切替制御部140は、Dレンジに切り替えられたときにフェールセーフモードに移行する。具体的には、図3に示すように、オンオフソレノイドバルブSC1およびオンオフソレノイドバルブSC2が共に励磁(作動)されることで、SC1切替バルブ110およびSC2切替バルブ112が、何れも図2の破線で示す第2接続状態とされる。また、オンオフソレノイドバルブSC3がオフ故障であるため、SC3切替バルブ114が図2の実線で示す第1接続状態とされる。
このとき、リニアソレノイドバルブSLUには、モジュレータバルブ118によって調圧されたモジュレータ圧PMが、SC3切替バルブを経由して元圧として供給される。従って、リニアソレノイドバルブSLUから、モジュレータ圧PMを元圧として調圧された制御油圧Psluが出力される。リニアソレノイドバルブSLUから出力された制御油圧Psluは、SC1切替バルブ110を経由して退避走行用切替バルブ116に供給される。この制御油圧Psluによって、退避走行用切替バルブ116が、図2の破線で示す第2接続状態に切り替えられる。
退避走行用切替バルブ116が第2接続状態に切り替えられると、ライン圧PLが退避走行用切替バルブ116を経由してリニアソレノイドバルブSL2に供給される。従って、リニアソレノイドバルブSL2から、ライン圧PLを元圧として調圧されたC2係合油圧Pc2が出力される。その結果、ベルト走行用クラッチC2にC2係合油圧Pc2が供給されることで、ベルト走行用クラッチC2が係合させられ、ベルト退避走行を実行可能になる。
また、リニアソレノイドバルブSLUから出力された制御油圧Psluが、SC3切替バルブ114を経由して、コントロールバルブ108に供給される。さらに、リニアソレノイドバルブSLUから出力された制御油圧Psluが、SC1切替バルブ110および退避走行用切替バルブ116を経由してコントロールバルブ108に供給される。このとき、コントロールバルブ108では、SC3切替バルブ114を経由して供給される制御油圧Psluが、退避走行用切替バルブ116を経由して供給される制御油圧Psluと相殺されることで、ロックアップクラッチLUの差圧ΔPluがゼロに制御される。従って、ロックアップクラッチLUが解放され、調圧バルブ106によってセカンダリ圧Psecに調圧された作動油がコントロールバルブ108を経由してトルクコンバータ14に供給されることで、作動油がトルクコンバータ14内で環流することとなる。その結果、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が発生した場合であっても、走行モードがフェールセーフモードに移行されることによって、ロックアップクラッチLUが解放された状態で走行されるベルト退避走行を実行することができ、ロックアップクラッチLUが保護される。
図4は、電子制御装置80の制御機能を説明するフローチャートであり、走行中のオンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障を確実に検知し、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障後にロックアップクラッチLUを解放して走行するフェールセーフモードへ切り替える制御機能を説明するフローチャートである。このフローチャートは、車両走行中において繰り返し実行される。
先ず、電気故障判定部144の制御機能に対応するステップ(以下、ステップを省略)S10において、オンオフソレノイドバルブSC3の電気的なオフ故障が検知されたか否かが判定される。S10の判定が否定された場合、本ルーチンが終了する。S10の判定が肯定された場合、オフ故障判定部146の制御機能に対応するS20において、Rレンジ(後進走行レンジ)に切り替えられたとき、後進走行で走行不能か否か、すなわち後進用ブレーキB1が係合されないか否かが判定される。S20の判定が否定された場合、本ルーチンが終了する。S20の判定が肯定された場合、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が確定され、モード切替制御部140の制御機能に対応するS30において、走行モードがフェールセーフモードに移行させられる。その結果、第2動力伝達経路TP2によるベルト退避走行が実行される。このとき、ロックアップクラッチLUが解放されることで、ロックアップクラッチLUが保護される。
上述のように、本実施例によれば、オンオフソレノイドバルブSC3の電気故障が検知された場合には、Rレンジに切り替えられたときの後進用ブレーキB1の係合状態に基づいてオンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が正確に検知される。また、オンオフソレノイドバルブSC3のオフ故障が検知された場合には、ロックアップクラッチLUが解放された状態で走行するフェールセーフモードに移行されるため、退避走行が可能になる。また、退避走行中にはロックアップクラッチLUが解放されるため、ロックアップクラッチLUが保護され、退避走行性能が向上する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、Rレンジ(後進走行レンジ)に切り替えられると、所定の係合装置としての後進用ブレーキB1が係合されるものであったが、本発明は、必ずしもブレーキに限定されない。例えば、Rレンジ(後進走行レンジ)に切り替えられると、所定の係合装置として回転要素間を断接するクラッチが係合されるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、Rレンジに切り替えられたときの後進用ブレーキB1によって回転停止させられるリングギヤ26rの回転速度Nrに基づいて後進用ブレーキB1が係合されないか否かを判定するものであったが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、後進用ブレーキB1のB1係合油圧Pb1の値に基づいて後進用ブレーキB1が係合されないか否かを判定するものであっても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用動力伝達装置
80:電子制御装置(制御装置)
108:ロックアップコントロールバルブ(ロックアップクラッチ回路)
LU:ロックアップクラッチ
B1:後進用ブレーキ(所定の係合装置)
SC1:オンオフソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SC2:オンオフソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SC3:オンオフソレノイドバルブ(オンオフソレノイドバルブ、複数のソレノイドバルブ)
SL1:リニアソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SL2:リニアソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SLU:リニアソレノイドバルブ(所定のソレノイドバルブ、複数のソレノイドバルブ)
80:電子制御装置(制御装置)
108:ロックアップコントロールバルブ(ロックアップクラッチ回路)
LU:ロックアップクラッチ
B1:後進用ブレーキ(所定の係合装置)
SC1:オンオフソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SC2:オンオフソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SC3:オンオフソレノイドバルブ(オンオフソレノイドバルブ、複数のソレノイドバルブ)
SL1:リニアソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SL2:リニアソレノイドバルブ(複数のソレノイドバルブ)
SLU:リニアソレノイドバルブ(所定のソレノイドバルブ、複数のソレノイドバルブ)
Claims (1)
- 複数のソレノイドバルブの作動状態が切り替えられることによって、複数の走行モードに切り替えられる車両用動力伝達装置に適用され、所定のソレノイドバルブから出力される制御油圧の供給先を、ロックアップクラッチを制御するロックアップクラッチ回路および所定の係合装置の何れかに切り替えるためのオンオフソレノイドバルブを有する、車両用動力伝達装置の制御装置であって、
前記オンオフソレノイドバルブは、非作動状態で前記ロックアップクラッチ回路に前記制御油圧が供給されるとともに、作動状態で前記制御油圧が前記所定の係合装置に供給されるように構成され、
前記オンオフソレノイドバルブは、前記ロックアップクラッチの係合時には非作動状態に切り替えられるとともに、前記ロックアップクラッチの解放時には作動状態に切り替えられ、
前記オンオフソレノイドバルブは、所定の走行レンジでの走行時には作動状態に切り替えられ、
前記オンオフソレノイドバルブの電気的な故障が検知された場合には、前記所定の走行レンジに切り替えられたときの前記所定の係合装置の係合状態に基づいて前記オンオフソレノイドバルブが非作動状態となるオフ故障が発生したか否かを判定し、前記オンオフソレノイドバルブのオフ故障の発生が検知された場合には、前記オンオフソレノイドバルブが非作動状態であっても前記ロックアップクラッチが解放された状態で走行されるフェールセーフモードに移行するように構成されている
ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240620 |