JP2022175104A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Mitsuhiro Fukao
潤 天野
Jun Amano
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麻実 藤田
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【課題】複数の油圧制御を実行するリニアソレノイドバルブSLUを用いてクラッチアプライコントロールバルブ(CACV)を切り替える場合に、CACVを切り替えるためのフェイル切替油圧の影響で他の油圧制御が損なわれることを抑制する。【解決手段】リニアソレノイドバルブSLUが、ロックアップ係合油圧の制御の他、フェイル切替油圧を出力してCACVを切り替えるとともに、フェイル切替油圧によってプライマリ油圧Ppri を減圧する機能を有するため、部品点数が低減される。一方、異常検出時には、トルクコンバータ内の循環流量を確保するためのON-OFFソレノイドバルブSC3の出力を停止させるとともに、リニアソレノイドバルブSLPによってプライマリ油圧Ppri を増圧した後に、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧を出力してCACVを切り替えるため、フェイル切替油圧の影響で他の油圧制御が損なわれることが抑制される。【選択図】図5

Description

本発明は車両用動力伝達装置に係り、特に、異常検出時に複数種類の油圧制御に用いられるソレノイドバルブを利用して退避走行モードに切り替える場合の技術に関するものである。
車両用動力伝達装置として、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ、プライマリシーブおよびセカンダリシーブを有するベルト式無段変速機、およびベルト走行用クラッチ、を有する自動変速機と、前記自動変速機の各部の作動状態を制御する油圧制御回路とを有するものが広く知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、入力軸と出力軸との間に第1動力伝達経路および第2動力伝達経路が並列に設けられており、前記第1動力伝達経路にはギヤ式伝動装置、前進用クラッチ、後進用ブレーキ、および同期噛合式クラッチが設けられて前進走行および後進走行が可能とされている一方、前記第2動力伝達経路にはベルト式無段変速機およびベルト走行用クラッチが設けられて前進走行が可能とされている自動変速機を有し、その自動変速機のクラッチやブレーキ、ベルト式無段変速機の変速比等を制御するための油圧制御回路を備えている。
特開2019-124255号公報
ところで、このような車両用動力伝達装置においては、クラッチやブレーキ等の油圧を制御したり油路を切り替えたりするために種々のソレノイドバルブが必要であるが、部品点数削減の観点から、共通のソレノイドバルブを用いて複数種類の油圧を制御したり切替バルブを切り替えたりすることが考えられている。例えば、(a) ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ、プライマリシーブおよびセカンダリシーブを有するベルト式無段変速機、およびベルト走行用クラッチ、を有する自動変速機と、(b) ベルト走行用クラッチに対する作動油の供給状態が異なる通常位置とフェイル位置とに切り替え可能で、フェイル切替油圧によって前記フェイル位置に切り替えられるクラッチアプライコントロールバルブ(CACV)、ロックアップクラッチの油圧制御を実行するロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブ、トルクコンバータ内の作動油の循環流量を確保するための循環制御油圧を出力するトルコン循環制御用ソレノイドバルブ、およびベルト式無段変速機のプライマリシーブに供給されるプライマリ油圧を変速比に応じて制御するプライマリ油圧制御用ソレノイドバルブ、を備えている油圧制御回路と、(c) 所定の異常を検出した場合に、前記フェイル切替油圧により前記CACVを前記フェイル位置に切り替え、前記ベルト走行用クラッチおよび前記ベルト式無段変速機を使って走行する退避走行モードとする制御装置と、を有する車両用動力伝達装置において、(d) 前記フェイル切替油圧を前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力するとともに、(e) 前記油圧制御回路を、前記CACVが前記フェイル位置に切り替えられた場合に、そのCACVから前記フェイル切替油圧が出力されることにより前記プライマリ油圧が減圧されるように構成することが考えられる。
すなわち、ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブは、ロックアップクラッチの油圧制御を実行する他、フェイル切替油圧を出力してCACVを切り替えるフェイルセーフ制御に用いられるとともに、そのフェイル切替油圧によってプライマリ油圧を減圧する機能を有する。この場合、フェイル切替油圧を出力してCACVを切り替えるとプライマリ油圧が減圧されるため、フェイル切替油圧の大きさによってはベルト滑りが発生する懸念があるとともに、ベルト滑りを防止するために事前にプライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによってプライマリ油圧を増圧すると、ベルト式無段変速機がアップシフトする可能性がある。また、フェイル切替油圧は、ロックアップクラッチの油圧制御側へも出力されるため、トルクコンバータ内の作動油の循環流量を確保するためにトルコン循環制御用ソレノイドバルブから循環制御油圧が出力されていると、トルクコンバータ内の油圧が高くなり過ぎる可能性がある。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、複数種類の油圧制御を実行するロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブを用いてCACVを切り替える場合に、CSCVを切り替えるためのフェイル切替油圧の影響で他の油圧制御が損なわれることを抑制することにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ、プライマリシーブおよびセカンダリシーブを有するベルト式無段変速機、およびベルト走行用クラッチ、を備えている自動変速機と、(b) 前記ベルト走行用クラッチに対する作動油の供給状態が異なる通常位置とフェイル位置とに切り替え可能で、フェイル切替油圧によって前記フェイル位置に切り替えられるクラッチアプライコントロールバルブ(以下、CACVという)、前記ロックアップクラッチの油圧制御を実行するロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブ、前記トルクコンバータ内の作動油の循環流量を確保するための循環制御油圧を出力するトルコン循環制御用ソレノイドバルブ、および前記プライマリシーブに供給されるプライマリ油圧を変速比に応じて制御するプライマリ油圧制御用ソレノイドバルブ、を備えている油圧制御回路と、(c) 所定の異常を検出した場合に、前記フェイル切替油圧により前記CACVを前記フェイル位置に切り替え、前記ベルト走行用クラッチおよび前記ベルト式無段変速機を使って走行する退避走行モードとする制御装置と、を有する車両用動力伝達装置において、(d) 前記フェイル切替油圧は前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力されるとともに、(e) 前記油圧制御回路は、前記CACVが前記フェイル位置に切り替えられた場合に、そのCACVから前記フェイル切替油圧が出力されることにより前記プライマリ油圧が減圧されるように構成されており、(f) 前記制御装置は、前記異常を検出した場合に、前記トルコン循環制御用ソレノイドバルブが前記循環制御油圧の出力を停止する出力停止状態か否かを判断し、その出力停止状態であると判断した後に前記プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによって前記プライマリ油圧を増圧させるとともに、そのプライマリ油圧の増圧が完了したか否かを判断し、そのプライマリ油圧の増圧が完了したと判断した後に前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから前記フェイル切替油圧を出力して前記CACVを前記フェイル位置に切り替えることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両用動力伝達装置において、前記自動変速機は、前記トルクコンバータから動力が伝達される入力軸と出力軸との間に第1動力伝達経路および第2動力伝達経路が並列に設けられており、前記第1動力伝達経路にはギヤ式伝動装置、前進用クラッチ、後進用ブレーキ、および同期噛合式クラッチが設けられて前進走行および後進走行が可能とされている一方、前記第2動力伝達経路には前記ベルト式無段変速機および前記ベルト走行用クラッチが設けられて前進走行が可能とされているものであることを特徴とする。
第3発明は、第2発明の車両用動力伝達装置において、(a) 前記油圧制御回路は、(a-1) 前記前進用クラッチおよび前記ベルト走行用クラッチの係合油圧の元圧となるDレンジ圧が出力される状態と、前記後進用ブレーキの係合油圧の元圧となるRレンジ圧が出力される状態と、に切り替え可能で、前記Rレンジ圧が出力される状態では前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力された前記フェイル切替油圧を前記クラッチアプライコントロールバルブに供給することが許容されるON-OFFソレノイドバルブSC1と、(a-2) 前記同期噛合式クラッチに対する油圧の供給状態を切り替えるON-OFFソレノイドバルブSC2と、(a-3) 前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力された油圧が前記ロックアップクラッチの油圧制御に用いられるロックアップ制御位置と、前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力された油圧が前記後進用ブレーキの油圧制御に用いられるブレーキ制御位置と、を有し、前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブが前記ロックアップクラッチの油圧制御の他に前記後進用ブレーキの油圧制御にも用いられるようにするロックアップ/ブレーキ切替バルブと、(a-4) 前記ロックアップ/ブレーキ切替バルブを、前記ロックアップ制御位置と前記ブレーキ制御位置とに切り替えるとともに、前記トルコン循環制御用ソレノイドバルブを兼ねているON-OFFソレノイドバルブSC3と、を備えているとともに、(a-5) 前記CACVが前記通常位置に保持された状態では、前記Dレンジ圧がそのCACVから前記ベルト走行用クラッチに出力され、前記フェイル位置に切り替えられると、前記Dレンジ圧とは別経路でそのCACVに供給される退避走行用油圧が前記ベルト走行用クラッチに出力されるように構成されており、(b) 前記制御装置は、前記プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによる前記プライマリ油圧の増圧が完了したと判断した後に、前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから前記フェイル切替油圧を出力するとともに、前記ON-OFFソレノイドバルブSC1を前記Rレンジ圧が出力される状態に切り替えることにより、前記CACVを前記フェイル位置に切り替えることを特徴とする。
このような車両用動力伝達装置においては、ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブが、ロックアップクラッチの油圧制御を実行するほか、フェイル切替油圧を出力してCACVを切り替えるフェイルセーフ制御に用いられるとともに、そのフェイル切替油圧によってプライマリ油圧を減圧する機能を有するため、部品点数が低減されて油圧制御回路を安価で且つコンパクトに構成することができる。
一方、異常を検出した場合には、トルコン循環制御用ソレノイドバルブが循環制御油圧の出力を停止する出力停止状態になった後に、プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによってプライマリ油圧を増圧させるとともに、プライマリ油圧の増圧が完了した後にロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブからフェイル切替油圧を出力してCACVをフェイル位置に切り替えるため、フェイル切替油圧の影響で他の油圧制御が損なわれることが抑制される。すなわち、ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブからフェイル切替油圧が出力される際には、トルコン循環制御用ソレノイドバルブが確実に出力停止状態であり、循環流量を確保するために流量が増加される恐れがないため、フェイル切替油圧がロックアップクラッチの油圧制御側へ供給されることによってトルクコンバータ内の油圧が高くなり過ぎることが抑制される。また、フェイル切替油圧によってプライマリ油圧が減圧されるのに先立ってプライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによりプライマリ油圧が増圧されるため、フェイル切替油圧によるプライマリ油圧の減圧でベルト滑りが生じることが抑制されるとともに、プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによるプライマリ油圧の増圧は、ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブからフェイル切替油圧を出力してCACVをフェイル位置に切り替える直前であるため、プライマリ油圧の増圧でベルト式無段変速機がアップシフトすることが抑制される。
第2発明および第3発明は、入力軸と出力軸との間に第1動力伝達経路および第2動力伝達経路が並列に設けられており、第1動力伝達経路にはギヤ式伝動装置、前進用クラッチ、後進用ブレーキ、および同期噛合式クラッチが設けられて前進走行および後進走行が可能とされている一方、第2動力伝達経路にはベルト式無段変速機およびベルト走行用クラッチが設けられて前進走行が可能とされている自動変速機を備えている場合で、ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブに複数の機能が割り当てられることにより、部品点数が低減されて油圧制御回路を安価で且つコンパクトに構成することができる、という効果が適切に得られる。また、異常検出時にロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブからフェイル切替油圧を出力してCACVをフェイル位置に切り替える際の手順が第1発明の通りに行なわれることにより、フェイル切替油圧の影響で他の油圧制御が損なわれることが抑制される、という効果が適切に得られる。
本発明の一実施例である車両用動力伝達装置の概略構成を説明する骨子図である。 図1の車両用動力伝達装置が備えている油圧制御回路の要部を説明する油圧回路図である。 図1の車両用動力伝達装置が備えている複数の動力伝達レンジ、およびDレンジで選択可能な複数の走行モードと、複数のソレノイドバルブの作動状態および複数の係合装置の係合開放状態と、の関係を説明する図である。 図1の車両用動力伝達装置がDレンジの退避走行モードとされた時に動力伝達に関与する油路を太線で示した油圧回路図である。 図1の電子制御装置が機能的に備えているモード切替制御部によって異常検出時に車両用動力伝達装置が退避走行モードへ切り替えられる際の作動を説明するフローチャートである。 図5のフローチャートに従って退避走行モードへ切り替えられる際の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
本発明は、駆動力源としてエンジン(内燃機関)を備えているエンジン駆動車両の車両用動力伝達装置に好適に適用されるが、駆動力源としてエンジンおよび電動モータを備えているハイブリッド車両や、駆動力源として電動モータのみを備えている電気自動車などにも適用され得る。ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブ、プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブ等の油圧制御用ソレノイドバルブは、例えば励磁電流に応じて出力油圧を連続的に変化させるリニアソレノイドバルブが適当であるが、比例制御などで油圧を連続的に変化させるものでも良い。トルコン循環制御用ソレノイドバルブはON-OFFソレノイドバルブが適当であるが、リニアソレノイドバルブを利用することもできる。ON-OFFソレノイドバルブSC1等のON-OFFソレノイドバルブは、ソレノイドバルブ自体で所定の油圧の出力状態を制御したり油路の接続状態を切り替えたりするものでも良いが、ソレノイドバルブから出力される信号圧によりスプール弁等の切替弁を介して油路の接続状態を切り替えるものでも良い。油圧制御用ソレノイドバルブについても、ソレノイドバルブ自体で所定の油圧を制御しても良いが、ソレノイドバルブの出力油圧に従って油圧制御弁等を介して油圧を制御するものでも良い。
自動変速機は、例えば入力軸と出力軸との間に第1動力伝達経路および第2動力伝達経路が並列に設けられており、第1動力伝達経路にはギヤ式伝動装置、前進用クラッチ、後進用ブレーキ、および同期噛合式クラッチが設けられて前進走行および後進走行が可能とされている一方、第2動力伝達経路にはベルト式無段変速機およびベルト走行用クラッチが設けられて前進走行が可能とされているものが好適に用いられるが、少なくともロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ、ベルト式無段変速機、およびベルト走行用クラッチを備えていれば良く、種々の態様が可能である。例えば、トルクコンバータと、ベルト式無段変速機と、前進用クラッチおよび後進用ブレーキを有する前後進切替装置と、を直列に接続しただけでも良く、その場合は、例えば前進用クラッチを異常検出時に退避走行用油圧が供給されるベルト走行用クラッチとして使えば良い。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比や形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両用動力伝達装置10の概略構成を説明する骨子図で、互いに平行な複数の軸が一平面内に位置するように展開して示した図である。この車両用動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用される横置き型で、走行用駆動力源であるエンジン12の出力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14から自動変速機16を介して差動歯車装置18に伝達され、左右の駆動輪20L、20Rへ分配される。エンジン12は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、および自動変速機16の入力軸22に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体(作動油)を介して動力伝達を行うとともに、ロックアップクラッチLUを介して直結されるようになっている。ポンプ翼車14pには機械式のオイルポンプ74が設けられており、エンジン12により回転駆動されて油圧を出力することにより、破線で示す油圧制御回路70の油圧源として用いられる。オイルポンプ74の連結先すなわち配設位置は適宜変更できるし、電動式オイルポンプを採用することも可能である。
図2は、油圧制御回路70の要部、すなわちバルブボデー等によって構成される油圧作動制御部72を具体的に例示したもので、トルクコンバータ14のロックアップクラッチLUの係合油圧であるロックアップ係合油圧Pluは、リニアソレノイドバルブSLUによって調圧制御され、このロックアップ係合油圧Pluに応じてロックアップクラッチLUが係合開放制御される。ロックアップ係合油圧Pluは、例えばロックアップ係合側油室とロックアップ開放側油室との差圧を制御するものである。リニアソレノイドバルブSLUは油圧制御用ソレノイドバルブで、電子制御装置80によって出力油圧Pslu が電気的に制御されることによりロックアップ係合油圧Pluを調圧する。このリニアソレノイドバルブSLUは、ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブに相当する。
自動変速機16は、トルクコンバータ14の出力回転部材であるタービン軸と一体的に設けられた入力軸22、入力軸22に連結されたベルト式無段変速機24、同じく入力軸22に連結されてベルト式無段変速機24と並列に設けられた前後進切替装置26およびギヤ変速機構28、ベルト式無段変速機24およびギヤ変速機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、減速歯車装置32を備えており、その減速歯車装置32の小径ギヤ34が差動歯車装置18のリングギヤ36と噛み合わされている。このように構成された自動変速機16においては、エンジン12の出力が、トルクコンバータ14からベルト式無段変速機24を介して出力軸30へ伝達され、或いはベルト式無段変速機24を介することなく前後進切替装置26およびギヤ変速機構28を介して出力軸30へ伝達される。そして、その出力軸30から、更に減速歯車装置32および差動歯車装置18を経て左右の駆動輪20L、20Rへ伝達される。
このように、本実施例の自動変速機16は、エンジン12の出力を入力軸22から前後進切替装置26およびギヤ変速機構28を介して出力軸30へ伝達する第1動力伝達経路TP1と、エンジン12の出力を入力軸22からベルト式無段変速機24を介して出力軸30へ伝達する第2動力伝達経路TP2と、を備えているのであり、車両の走行状態に応じてそれ等の動力伝達経路TP1、TP2が切り替えられる。このため、自動変速機16は、上記第1動力伝達経路TP1における動力伝達を断接(接続・遮断)する前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、および第2動力伝達経路TP2における動力伝達を断接するベルト走行用クラッチC2を備えている。第1動力伝達経路TP1には更に、前後進切替装置26およびギヤ変速機構28に対して直列に、具体的にはそれ等よりも下流側に、同期噛合式クラッチS1が設けられている。ギヤ変速機構28は、第1動力伝達経路TP1に設けられたギヤ式伝動装置に相当する。
前後進切替装置26は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、キャリア26cが入力軸22に一体的に連結され、サンギヤ26sが入力軸22に対して同軸に相対回転可能に配設された小径ギヤ42に連結されている一方、リングギヤ26rが後進用ブレーキB1を介して選択的に回転停止させられるとともに、キャリア26cおよびサンギヤ26sが前進用クラッチC1を介して選択的に連結されるようになっている。そして、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が開放されると、入力軸22が小径ギヤ42に直結されて前進用動力伝達状態になり、同期噛合式クラッチS1の係合により第1動力伝達経路TP1が成立させられると前進走行が可能となる。一方、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が開放されると、小径ギヤ42は入力軸22に対して逆方向へ回転させられるため、後進用動力伝達状態になり、同期噛合式クラッチS1の係合により第1動力伝達経路TP1が成立させられると後進走行が可能となる。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に開放されると、第1動力伝達経路TP1による動力伝達を遮断するニュートラル状態となる。
上記前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも複数の摩擦材が油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置であり、その油圧シリンダに供給されるC1係合油圧Pc1、B1係合油圧Pb1が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブSL1、SLUによってそれぞれ調圧制御されることにより、それ等の係合力すなわち伝達トルク容量が連続的に調整される。リニアソレノイドバルブSL1、SLUは油圧制御用ソレノイドバルブで、それぞれ電子制御装置80によって出力油圧Psl1 、Pslu が電気的に制御されることにより、C1係合油圧Pc1、B1係合油圧Pb1を調圧する。本実施例では、出力油圧Psl1 、Pslu がそのままC1係合油圧Pc1、B1係合油圧Pb1として前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1に供給される。
ギヤ変速機構28は、小径ギヤ42と、カウンタ軸44に相対回転不能に設けられて小径ギヤ42と噛み合わされた大径ギヤ46と、カウンタ軸44に対して同軸に相対回転可能に設けられた小径のアイドラギヤ48とを備えている。そして、カウンタ軸44とアイドラギヤ48との間に、同期噛合式クラッチS1が設けられており、それ等の間の動力伝達が断接される。同期噛合式クラッチS1は、シンクロナイザリング等のシンクロメッシュ機構(同期機構)を備えており、クラッチハブスリーブ50が、図示しない油圧シリンダにより図1の左方向である接続方向へ移動させられると、シンクロナイザリングを介してアイドラギヤ48がカウンタ軸44と同期回転させられるようになり、クラッチハブスリーブ50が更に移動させられると、そのクラッチハブスリーブ50の内周面に設けられたスプライン歯を介してアイドラギヤ48がカウンタ軸44に相対回転不能に連結される。同期噛合式クラッチS1の油圧シリンダには、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブSL1によって調圧制御されたS1係合油圧Ps1が供給されるようになっており、同期噛合式クラッチS1はそのS1係合油圧Ps1に基づいて同期噛合係合させられる。同期噛合式クラッチS1の油圧シリンダにはまた、ライン油圧PLがそのままS1係合油圧Ps1として供給されるようになっており、同期噛合式クラッチS1が噛合状態に維持される。ライン油圧PLは、例えば出力要求量であるアクセル操作量Accやエンジントルクに対応するスロットル弁開度θth等に応じて調圧される。リニアソレノイドバルブSL1は、電子制御装置80によって出力油圧Psl1 が電気的に制御されることにより、S1係合油圧Ps1を調圧する。本実施例では、出力油圧Psl1 がそのままS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に供給される。
前記アイドラギヤ48は、出力軸30に設けられた大径ギヤ58と噛み合わされており、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の何れか一方が係合させられ且つ同期噛合式クラッチS1が接続されることにより、エンジン12の出力が入力軸22から前後進切替装置26、ギヤ変速機構28、アイドラギヤ48、および大径ギヤ58を順次経由して出力軸30に伝達されるようになり、第1動力伝達経路TP1が成立させられる。なお、小径のアイドラギヤ48と大径ギヤ58との間でも変速(減速)が行なわれ、それ等を含めてギヤ変速機構28が構成されていると見做すこともできる。
ベルト式無段変速機24は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリシーブ60と、出力軸30と同軸の回転軸62に設けられた有効径が可変のセカンダリシーブ64と、それ等の一対の可変シーブ60、64の間に巻き掛けられた伝動ベルト66とを備えており、一対の可変シーブ60、64と伝動ベルト66との間の摩擦を介して動力伝達が行われる。一対の可変シーブ60、64は、それぞれV溝幅を変更する推力を付与する油圧アクチュエータとして油圧シリンダ60c、64cを備えており、油圧シリンダ60cへ供給されるプライマリ油圧Ppri が油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブSLPによって制御されることにより、両可変シーブ60、64のV溝幅が変化して伝動ベルト66の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ2が連続的に変化させられる。例えば、プライマリシーブ60の回転速度である入力軸22の回転速度(入力回転速度)Ninが、変速比γ2に対応する所定の目標回転速度となるように、リニアソレノイドバルブSLPによってプライマリ油圧Ppri が制御される。また、油圧シリンダ64cへ供給されるセカンダリ油圧Psec が油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブSLSによって調圧制御されることにより、伝動ベルト66が滑りを生じないようにベルト挟圧力が調整される。リニアソレノイドバルブSLP、SLSは油圧制御用ソレノイドバルブで、電子制御装置80によって電気的に制御されることによりプライマリ油圧Ppri 、セカンダリ油圧Psec をそれぞれ調圧する。リニアソレノイドバルブSLPは、プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブに相当する。
出力軸30は、回転軸62に対して同軸に相対回転可能に配設されており、その出力軸30とセカンダリシーブ64との間に設けられた前記ベルト走行用クラッチC2により、それ等の出力軸30とセカンダリシーブ64との間の動力伝達が断接される。このベルト走行用クラッチC2が係合させられると、エンジン12の出力が入力軸22からベルト式無段変速機24を経由して出力軸30に伝達されるようになり、第2動力伝達経路TP2が成立させられて前進走行が可能となる。ベルト走行用クラッチC2は、複数の摩擦材が油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式の摩擦係合装置であり、その油圧シリンダに供給されるC2係合油圧Pc2が、油圧作動制御部72に設けられたリニアソレノイドバルブSL2によって調圧制御されることにより、その係合力すなわち伝達トルク容量が連続的に調整される。リニアソレノイドバルブSL2は油圧制御用ソレノイドバルブで、電子制御装置80によって電気的に制御されることによりC2係合油圧Pc2を調圧する。
このような車両用動力伝達装置10において、前記ギヤ変速機構28のギヤ比等によって定まる前記第1動力伝達経路TP1の変速比γ1は、第2動力伝達経路TP2の変速比γ2の最大値γ2max よりも大きく、車両発進時や高負荷走行時には第1動力伝達経路TP1を用いるギヤ走行モードで走行し、車速Vの上昇や要求駆動力の減少などに伴って第2動力伝達経路TP2を用いるベルト走行モードに切り替えられる。ギヤ走行モードからベルト走行モードへのモード切替(アップシフト)は、前進用クラッチC1を開放するとともにベルト走行用クラッチC2を係合するクラッチツークラッチ変速(CtoC)によって実行される。また、ベルト走行モードからギヤ走行モードへのモード切替(ダウンシフト)は、ベルト走行用クラッチC2を開放するとともに前進用クラッチC1を係合するクラッチツークラッチ変速によって実行される。変速比γ1、γ2は、出力回転速度(出力軸30の回転速度)Nout に対する入力回転速度Ninの比(Nin/Nout )で、変速比γ1、γ2max は何れも1.0より大きく、入力軸22に対して出力軸30が減速回転させられる。出力回転速度Nout は車速Vに対応し、入力回転速度Ninはタービン回転速度Ntと一致する。
ここで、前記油圧制御回路70には、図2に示されているように、前記リニアソレノイドバルブSLP、SLS、SL1、SL2、SLUの他、ON-OFFソレノイドバルブSC1、SC2、SC3、SC1切替バルブ110、SC2切替バルブ112、SC3切替バルブ114、CACV116、およびプライマリシーブコントロールバルブ(以下、PSCVという)120が設けられている。SC1切替バルブ110は、ON-OFFソレノイドバルブSC1から供給される信号圧の有無に応じて油路を切り替えるスプール弁で、実線で示すようにライン油圧PLをDレンジ圧PDとしてSC2切替バルブ112およびSC3切替バルブ114に出力する第1接続状態と、破線で示すようにライン油圧PLをRレンジ圧PRとしてSC2切替バルブ112に出力する第2接続状態と、に切り替えられる。第2接続状態では、リニアソレノイドバルブSLUによって調圧されたフェイル切替油圧PfailをCACV116へ供給することが許容される。Dレンジ圧PDは前進用クラッチC1のC1係合油圧Pc1、ベルト走行用クラッチC2のC2係合油圧Pc2として用いられるもので、Rレンジ圧PRは後進用ブレーキB1の元圧として用いられるものである。本実施例では、ON-OFFソレノイドバルブSC1が非励磁で信号圧が供給されない場合にはスプリングの付勢力に従って実線で示す第1接続状態とされ、ON-OFFソレノイドバルブSC1が励磁されて信号圧が供給されると破線で示す第2接続状態になる。すなわち、シフトレバー88により前進走行用のDレンジが選択されると、ON-OFFソレノイドバルブSC1が非励磁で、SC1切替バルブ110が第1接続状態とされてDレンジ圧PDが出力される一方、シフトレバー88により後進走行用のRレンジが選択されると、ON-OFFソレノイドバルブSC1が励磁され、SC1切替バルブ110が第2接続状態とされてRレンジ圧PRが出力される。
SC2切替バルブ112は、ON-OFFソレノイドバルブSC2から供給される信号圧の有無に応じて油路を切り替えるスプール弁で、実線で示すように、SC1切替バルブ110からSC3切替バルブ114を経由して供給されたDレンジ圧PDをCACV116に出力し、ライン油圧PLをリニアソレノイドバルブSL1に出力し、リニアソレノイドバルブSL1によりライン油圧PLを元圧として調圧された出力油圧Psl1 をS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に出力し、SC1切替バルブ110から供給されたRレンジ圧PRをSC3切替バルブ114に出力する第1接続状態と、破線で示すように、SC1切替バルブ110から供給されたDレンジ圧PDをCACV116に出力し、SC1切替バルブ110からSC3切替バルブ114を経由して供給されたDレンジ圧PDをリニアソレノイドバルブSL1に出力し、ライン油圧PLをそのままS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に出力し、リニアソレノイドバルブSL1によりDレンジ圧PDを元圧として調圧された出力油圧Psl1 をCACV116に出力する第2接続状態と、に切り替えられる。すなわち、リニアソレノイドバルブSL1によりライン油圧PLまたはDレンジ圧PDを元圧として調圧された出力油圧Psl1 が、第1接続状態ではS1係合油圧Ps1として同期噛合式クラッチS1に出力される一方、第2接続状態ではCACV116を経由してC1係合油圧Pc1として前進用クラッチC1に供給され、同期噛合式クラッチS1および前進用クラッチC1の油圧制御に対して共通のリニアソレノイドバルブSL1が用いられる。本実施例では、ON-OFFソレノイドバルブSC2が非励磁で信号圧が供給されない場合にはスプリングの付勢力に従って実線で示す第1接続状態とされ、ON-OFFソレノイドバルブSC2が励磁されて信号圧が供給されると破線で示す第2接続状態になる。
SC3切替バルブ114は、ON-OFFソレノイドバルブSC3から供給される信号圧の有無に応じて油路を切り替えるスプール弁で、実線で示すように、ライン油圧PLをリニアソレノイドバルブSLUに出力し、リニアソレノイドバルブSLUによりライン油圧PLを元圧として調圧された出力油圧Pslu をロックアップ係合油圧Pluの制御用油圧として出力し、SC1切替バルブ110から供給されたDレンジ圧PDをSC2切替バルブ112に出力する第1接続状態と、破線で示すように、SC1切替バルブ110からSC2切替バルブ112を経由して供給されたRレンジ圧PRをリニアソレノイドバルブSLUに出力し、リニアソレノイドバルブSLUによりRレンジ圧PRを元圧として調圧された出力油圧Pslu をB1係合油圧Pb1として後進用ブレーキB1に出力する第2接続状態と、に切り替えられる。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUによりライン油圧PLまたはRレンジ圧PRを元圧として調圧された出力油圧Pslu が、第1接続状態ではロックアップ係合油圧Pluの制御用油圧として出力される一方、第2接続状態ではB1係合油圧Pb1として後進用ブレーキB1に供給され、ロックアップクラッチLUおよび後進用ブレーキB1の油圧制御に対して共通のリニアソレノイドバルブSLUが用いられる。本実施例では、ON-OFFソレノイドバルブSC3が非励磁で信号圧が供給されない場合にはスプリングの付勢力に従って実線で示す第1接続状態とされ、ON-OFFソレノイドバルブSC3が励磁されて信号圧が供給されると破線で示す第2接続状態になる。SC3切替バルブ114はロックアップ/ブレーキ切替バルブに相当し、第1接続状態はロックアップ制御位置に相当し、第2接続状態はブレーキ制御位置に相当する。
上記ON-OFFソレノイドバルブSC3は、SC3切替バルブ114を切り替えるだけでなく、SC3切替バルブ114が第1接続状態に保持されている前進走行時に、トルクコンバータ14内の作動油の循環流量を確保するために予め定められた一定の条件下で循環制御油圧Ptcを出力する。すなわち、図3に示されるDレンジのギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、またはベルト高車速走行モードが選択されている場合にロックアップクラッチLUが開放されるロックアップOFF(LU-OFF)時、或いはギヤ走行モードとベルト走行モードとを切り替えるクラッチツークラッチ変速(CtoC)時には、一定の条件下で循環制御油圧Ptcを出力することによりトルクコンバータ14内の作動油の循環流量を増加させる。循環制御油圧Ptcは、SC3切替バルブ114を切り替えるための信号圧と同じであるが、Dレンジの前進走行時にはDレンジ圧PDがSC3切替バルブ114に供給されるため、循環制御油圧Ptcの出力に拘らずSC3切替バルブ114は実線で示す第1接続状態に保持される。ON-OFFソレノイドバルブSC3は、トルコン循環制御用ソレノイドバルブに相当する。
CACV116は、SC1切替バルブ110が第2接続状態とされた場合にリニアソレノイドバルブSLUから供給されるフェイル切替油圧Pfailによって油路を切り替えるスプール弁で、実線で示すように、SC2切替バルブ112から供給されるリニアソレノイドバルブSL1の出力油圧Psl1 をC1係合油圧Pc1として前進用クラッチC1に供給し、SC2切替バルブ112から供給されるDレンジ圧PDをリニアソレノイドバルブSL2に出力する第1接続状態と、破線で示すように、SC1切替バルブ110から供給されるリニアソレノイドバルブSLUの出力油圧であるフェイル切替油圧PfailをPSCV120に出力し、ライン油圧PLをそのまま退避走行用油圧PlimpとしてリニアソレノイドバルブSL2に出力する第2接続状態と、に切り替えられる。第1接続状態では、リニアソレノイドバルブSL2がDレンジ圧PDを元圧としてC2係合油圧Pc2を調圧制御することにより、そのC2係合油圧Pc2に応じてベルト走行用クラッチC2が係合させられ、第2動力伝達経路TP2によるベルト走行が可能となる。
上記CACV116は、通常は実線で示す第1接続状態に保持されるが、図3に示されるDレンジの退避走行モードが選択された場合には、ON-OFFソレノイドバルブSC1およびSC2が共に励磁されて、SC1切替バルブ110およびSC2切替バルブ112が何れも第2接続状態とされ、且つリニアソレノイドバルブSLUから出力されるフェイル切替油圧Pfailが供給されることにより、破線で示す第2接続状態に切り替えられる。この第2接続状態では、ライン油圧PLが退避走行用油圧PlimpとしてリニアソレノイドバルブSL2に供給されるため、そのリニアソレノイドバルブSL2が退避走行用油圧Plimpを元圧としてC2係合油圧Pc2を調圧制御することにより、そのC2係合油圧Pc2に応じてベルト走行用クラッチC2が係合させられ、第2動力伝達経路TP2によるベルト走行、すなわちベルト退避走行が可能となる。また、CACV116が第2接続状態とされる退避走行モードでは、フェイル切替油圧PfailがCACV116からPSCV120に供給されることにより、そのPSCV120によってベルト式無段変速機24のプライマリ油圧Ppri が減圧され、通常よりも変速比γ2が大きくされる。CACV116の第1接続状態は通常位置に相当し、第2接続状態はフェイル位置に相当する。
このような油圧制御回路70によれば、シフトレバー88の操作ポジションLpoに応じて図3に示されるように複数の動力伝達レンジP、N、R、Dを成立させることができる。すなわち、シフトレバー88は、前進走行用のD(ドライブ)レンジを選択するDポジション、後進走行用のR(リバース)レンジを選択するRポジション、動力伝達を遮断するN(ニュートラル)レンジを選択するNポジション、駐車用のP(パーキング)レンジを選択するPポジション等を操作ポジションLpoとして備えている。そして、それ等の操作ポジションLpoに応じて電子制御装置80によりソレノイドバルブSC1、SC2、SC3、SL1、SL2、SLUがそれぞれ制御され、係合装置であるクラッチC1、C2、S1、およびブレーキB1の係合開放状態が切り替えられることにより、動力伝達状態が異なるPレンジ、Nレンジ、Rレンジ、Dレンジが成立させられる。PレンジおよびNレンジでは、クラッチC1、C2、および後進用ブレーキB1が開放されることにより動力伝達が遮断される。Rレンジでは、後進用ブレーキB1および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともにクラッチC1、C2が開放されることにより、第1動力伝達経路TP1による後進走行が可能とされる。
Dレンジでは、ギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、ベルト高車速走行モード、および退避走行モードを選択可能である。ギヤ走行モードでは、前進用クラッチC1および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともにベルト走行用クラッチC2および後進用ブレーキB1が開放されることにより、第1動力伝達経路TP1による前進走行が可能とされる。ベルト低車速走行モードでは、ベルト走行用クラッチC2および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともに前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が開放されることにより、第2動力伝達経路TP2による前進走行が可能とされる。ベルト高車速走行モードでは、ベルト走行用クラッチC2が係合させられるとともに前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、および同期噛合式クラッチS1が開放されることにより、第2動力伝達経路TP2による前進走行が可能とされる。退避走行モードでは、ベルト走行用クラッチC2および同期噛合式クラッチS1が係合させられるとともに前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が開放されることにより、第2動力伝達経路TP2による前進走行が可能とされる。また、ギヤ走行モードとベルト低車速走行モードとを切り替える際には、前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の一方を開放するとともに他方を係合させるクラッチツークラッチ変速(CtoC)が行なわれ、リニアソレノイドバルブSL1により前進用クラッチC1の係合油圧Pc1が調圧制御されるとともに、リニアソレノイドバルブSL2によりベルト走行用クラッチC2の係合油圧Pc2が調圧制御される。
Dレンジのギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、およびベルト高車速走行モードでは、一定の条件下でリニアソレノイドバルブSLUの油圧Pslu が出力され、その出力油圧Pslu に応じてロックアップ係合油圧Pluが調圧されることにより、ロックアップクラッチLUが完全係合或いはスリップ係合させられるロックアップON(LU-ON)となる。また、リニアソレノイドバルブSLUからの油圧出力が停止させられることにより、ロックアップクラッチLUが開放されるロックアップOFF(LU-OFF)となる。そのロックアップOFF(LU-OFF)時、或いはギヤ走行モードとベルト走行モードとを切り替えるクラッチツークラッチ変速(CtoC)時には、一定の条件下でON-OFFソレノイドバルブSC3から循環制御油圧Ptcが出力されることにより、トルクコンバータ14内の作動油の循環流量が増加させられ、所定の循環流量が確保される。
図4は、Dレンジの退避走行モードとされた時に動力伝達に関与する油路を太線で示した油圧回路図である。退避走行モードでは、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailが出力されることにより、CACV116が破線で示す第2接続状態に切り替えられ、退避走行用油圧PlimpがリニアソレノイドバルブSL2に供給されてベルト走行用クラッチC2が係合させられることにより、第2動力伝達経路TP2のベルト式無段変速機24を用いた前進走行が可能とされる。また、フェイル切替油圧PfailがCACV116からPSCV120に供給されることにより、ベルト式無段変速機24のプライマリ油圧Ppri が減圧されて変速比γ2が大きくなり、通常よりも大きな変速比γ2で前進走行が行なわれる。一方、リニアソレノイドバルブSLUから出力されたフェイル切替油圧Pfailは、第1接続状態のSC3切替バルブ114を介してロックアップ係合油圧Pluの制御側にも供給されるが、CACV116から出力されたフェイル切替油圧Pfailにより相殺されて、ロックアップクラッチLUの係合が防止される。
このような車両用動力伝達装置10は、図3に示すPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジの切替制御や、Dレンジにおける複数の走行モードの切替制御、ベルト式無段変速機24の変速制御およびベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチLUの係合開放制御、などを行なうコントローラとして電子制御装置80を備えている。この電子制御装置80は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどを有する所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。電子制御装置80には、操作ポジションセンサ90から前記シフトレバー88の操作位置である操作ポジションLpoを表す信号が供給される他、タービン回転速度センサ92、出力回転速度センサ94、アルセル操作量センサ96等から、タービン回転速度Nt、車速Vに対応する出力回転速度Nout 、アクセルペダルの操作量であるアクセル操作量Accを表す信号など、各種の制御に必要な種々の情報が供給されるようになっている。アクセル操作量Accは運転者の駆動力要求量に対応する。電子制御装置80は、車両用動力伝達装置10の制御装置に相当するが、エンジン12の出力制御などその他の制御についても、電子制御装置80によって行なうようにしても良い。
図1の電子制御装置80に示されているモード切替制御部82は、Dレンジにおいて複数の走行モードを切り替えるもので、前進走行時に、第1動力伝達経路TP1を用いて走行するギヤ走行モードと、第2動力伝達経路TP2を用いて走行するベルト走行モードと、を切り替えるモード切替制御を実行する。例えばアクセル操作量Accおよび車速V等の運転状態に基づいて定められた変速マップ(変速条件)に従って、ギヤ走行モードからベルト走行モードへ切り替えるアップシフト判断や、ベルト走行モードからギヤ走行モードへ切り替えるダウンシフト判断を行い、そのシフト判断に従って前進用クラッチC1とベルト走行用クラッチC2とを切り替えるクラッチツークラッチ変速を実行する。具体的には、車両発進時等の低車速時にはギヤ走行モードで走行し、所定車速以上ではベルト走行モードで走行するようにモード切替を実行する。また、ベルト走行モードでは、車速Vが予め定められた判定車速Vs以下の間は、同期噛合式クラッチS1を係合させるベルト低車速走行モードとし、判定車速Vsを超えると同期噛合式クラッチS1を開放するベルト高車速走行モードとする。
上記ギヤ走行モード、ベルト低車速走行モード、ベルト高車速走行モードでは、予め定められたロックアップ条件を満たす場合に、リニアソレノイドバルブSLUの出力油圧Pslu に応じてロックアップ係合油圧Pluが調圧されることにより、ロックアップクラッチLUが完全係合或いはスリップ係合させられるロックアップON(LU-ON)となる。また、リニアソレノイドバルブSLUからの油圧Pslu の出力が停止してロックアップクラッチLUが開放されたロックアップOFF(LU-OFF)時、或いはギヤ走行モードとベルト走行モードとを切り替えるクラッチツークラッチ変速時には、一定の条件下でON-OFFソレノイドバルブSC3から循環制御油圧Ptcが出力されることにより、トルクコンバータ14内の作動油の循環流量が増加させられる。
上記モード切替制御部82はまた、前進走行を適切に行なうことができない場合等の所定の異常検出時に、図5のフローチャートのステップS1~S7に従ってフェイルセーフ制御を実行する。図5のフローチャートは、シフトレバー88がDポジションへ操作されてDレンジが選択されている場合に実行される。
ステップS1では、所定の異常が検出されたか否か、言い換えればCACV116を第2接続状態に切り替えて退避走行モードとする切り替え要求が発生したか否かを判断する。具体的には、例えばタービン回転速度Ntや車速V、ベルト式無段変速機24の変速比γ2などから、走行不能等の異常の有無を判断できる。切り替え要求が無ければそのまま終了するが、切り替え要求が発生した場合はステップS2を実行し、ON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態か否かを判断する。そして、ON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態であればステップS4を実行するが、ON-OFFソレノイドバルブSC3がON状態の場合、すなわちトルクコンバータ14内の作動油の循環流量を確保するために循環制御油圧Ptcが出力されている場合には、その循環制御油圧Ptcの出力を停止するようにON-OFFソレノイドバルブSC3にOFF指令を出力し、ステップS3でON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態になるまで待機する。ON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態か否かは、指令信号によって判断することもできるが、ON状態からOFF状態になって循環制御油圧Ptcが低下するまでには応答遅れがあるため、例えば油圧センサ等により実際の循環制御油圧Ptcを検出したり、トルクコンバータ14内の作動油の循環流量を計測したりして、OFF状態であることを確認することが望ましいが、OFF指令からの経過時間が予め定められた一定時間に達したか否かによって判断しても良い。
ステップS2でON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態であることを判断する理由は、退避走行モードでは、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailが出力されるが、このフェイル切替油圧PfailはSC3切替バルブ114を経てロックアップクラッチLUの油圧制御側へも出力されるため、トルクコンバータ14内の作動油の循環流量を確保するためにON-OFFソレノイドバルブSC3から循環制御油圧Ptcが出力されていると、トルクコンバータ14内の油圧が高くなり過ぎる可能性がある。このため、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailが出力される前に、ON-OFFソレノイドバルブSC3をOFFにして循環制御油圧Ptcの出力を停止する。
図6は、CACV116の切り替え要求が発生し、図5のフローチャートに従ってフェイルセーフ制御が行なわれた場合の各部の作動状態の変化を示したタイムチャートの一例である。図6は、ON-OFFソレノイドバルブSC3がON状態で循環制御油圧Ptcが出力されている時に、CACV116の切り替え要求が発生してステップS1の判断がYES(肯定)になった場合で、時間t1は、ON-OFFソレノイドバルブSC3をOFF状態にするOFF指令が出力された時間である。時間t2は、ON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態になったと判断してステップS2の判断がYESになり、ステップS4以下の実行が開始された時間である。図6のON-OFFソレノイドバルブSC3の欄の破線は、循環制御油圧Ptcの実際の油圧変化(応答遅れ)を表している。図6のその他の欄についても、実線は指令値で、破線は実際の油圧変化を表している。
ステップS4では、リニアソレノイドバルブSLPによって調圧されるプライマリ油圧Ppri を予め定められた増圧幅αだけ増圧する。ステップS5では、プライマリ油圧pri の増圧が完了したか否かを判断し、増圧が完了するまでステップS6を実行して待機し、増圧が完了したと判断したらステップS7を実行する。プライマリ油圧Ppri の増圧が完了したか否かは、例えば油圧センサ等により実際のプライマリ油圧Ppri を検出して判断することができるが、リニアソレノイドバルブSLPに対する増圧指令(図6の時間t2)からの経過時間が予め定められた一定時間に達したか否かによって判断しても良い。図6の時間t2は、ステップS4でリニアソレノイドバルブSLPに増圧指令が出力され、出力油圧Pslp の上昇に応じてプライマリ油圧Ppri の増圧が開始された時間である。時間t3は、増圧完了の判断が為された時間で、ステップS5の判断がYESになってステップS7が実行される。
ステップS4でプライマリ油圧Ppri を増圧する理由は、退避走行モードとするためにリニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailが出力され、そのフェイル切替油圧PfailによってCACV116が第2接続状態(フェイル位置)に切り替えられると、フェイル切替油圧PfailがCACV116からPSCV120に供給されてプライマリ油圧Ppri が減圧されるが、フェイル切替油圧Pfailの大きさによってはベルト滑りが発生する懸念がある。このベルト滑りを防止するために、事前にリニアソレノイドバルブSLPによってプライマリ油圧Ppri を所定の増圧幅αだけ増圧するのである。その場合に、増圧するタイミングが早すぎると、その増圧によってベルト式無段変速機24がアップシフトする恐れがあるため、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailが出力される直前、すなわちON-OFFソレノイドバルブSC3がOFF状態であることを確認した後に、プライマリ油圧Ppri を増圧するのである。
ステップS7では、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailを出力するとともに、ON-OFFソレノイドバルブSC1をONにしてSC1切替バルブ110を第2接続状態に切り替える。これにより、図4に示されるように、リニアソレノイドバルブSLUから出力されたフェイル切替油圧Pfailが、SC1切替バルブ110を経てCACV116に供給されるようになり、そのフェイル切替油圧PfailによってCACV116が第2接続状態(フェイル位置)に切り替えられ、退避走行用油圧Plimpに基づいてベルト走行用クラッチC2が係合させられる退避走行モードになる。
図6の時間t4は、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるフェイル切替油圧Pfail、およびON-OFFソレノイドバルブSC1のON指令により、CACV116が第2接続状態(フェイル位置)に切り替えられた時間である。この時、リニアソレノイドバルブSLUから出力されたフェイル切替油圧PfailはSC3切替バルブ114を経てロックアップクラッチLUの油圧制御側へ供給されるが、ステップS2およびS3でON-OFFソレノイドバルブSC3はOFF状態とされ、循環制御油圧Ptcの出力が停止されているため、トルクコンバータ14内の油圧が高くなり過ぎる恐れがない。また、CACV116が第2接続状態に切り替えられると、フェイル切替油圧PfailがCACV116からPSCV120に供給され、ベルト式無段変速機24のプライマリ油圧Ppri が減圧されるが、ステップS4~S6でプライマリ油圧Ppri は増圧されているため、フェイル切替油圧Pfailによるプライマリ油圧Ppri の減圧に起因してベルト滑りが発生する恐れはない。フェイル切替油圧Pfailによりプライマリ油圧Ppri が減圧された状態が、退避走行モードにおけるプライマリ油圧Ppri の狙い値となるように、フェイル切替油圧Pfailに基づいてステップS4におけるプライマリ油圧Ppri の増圧幅αが定められている。
このような本実施例の車両用動力伝達装置10においては、ロックアップ制御用のリニアソレノイドバルブSLUが、ロックアップ係合油圧Pluの油圧制御を実行するほか、フェイル切替油圧Pfailを出力してCACV116を切り替えるフェイルセーフ制御に用いられるとともに、そのフェイル切替油圧Pfailによってプライマリ油圧Ppri を減圧する機能を有するため、部品点数が低減されて油圧制御回路70を安価で且つコンパクトに構成することができる。
一方、異常を検出した場合には、トルクコンバータ14内の作動油の循環流量を確保するためのON-OFFソレノイドバルブSC3が循環制御油圧Ptcの出力を停止するOFF状態になった後に、リニアソレノイドバルブSLPによってプライマリ油圧Ppri を増圧させるとともに、プライマリ油圧Ppri の増圧が完了した後にリニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailを出力してCACV116を第2接続状態(フェイル位置)に切り替えるため、リニアソレノイドバルブSLUから出力されるフェイル切替油圧Pfailの影響で他の油圧制御が損なわれることが抑制される。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailが出力される際には、ON-OFFソレノイドバルブSC3が確実に出力停止状態であり、循環流量を確保するために流量が増加される恐れがないため、フェイル切替油圧PfailがロックアップクラッチLUの油圧制御側へ供給されることによってトルクコンバータ14内の油圧が高くなり過ぎることが抑制される。また、フェイル切替油圧Pfailによってプライマリ油圧Ppri が減圧されるのに先立ってリニアソレノイドバルブSLPによりプライマリ油圧Ppri が増圧されるため、フェイル切替油圧Pfailによるプライマリ油圧Ppri の減圧でベルト滑りが生じることが抑制されるとともに、リニアソレノイドバルブSLPによるプライマリ油圧Ppri の増圧は、リニアソレノイドバルブSLUからフェイル切替油圧Pfailを出力してCACV116を第2接続状態に切り替える直前であるため、プライマリ油圧Ppri の増圧でベルト式無段変速機24がアップシフトすることが抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用動力伝達装置 14:トルクコンバータ 16:自動変速機 22:入力軸 24:ベルト式無段変速機 28:ギヤ変速機構(ギヤ式伝動装置) 30:出力軸 60:プライマリシーブ 64:セカンダリシーブ 70:油圧制御回路 80:電子制御装置(制御装置) 114:SC3切替バルブ(ロックアップ/ブレーキ切替バルブ) 116:CACV(クラッチアプライコントロールバルブ) LU:ロックアップクラッチ TP1:第1動力伝達経路 TP2:第2動力伝達経路 C1:前進用クラッチ C2:ベルト走行用クラッチ B1:後進用ブレーキ S1:同期噛合式クラッチ SLU:リニアソレノイドバルブ(ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブ) SLP:リニアソレノイドバルブ(プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブ) SC1:ON-OFFソレノイドバルブ SC2:ON-OFFソレノイドバルブ SC3:ON-OFFソレノイドバルブ(トルコン循環制御用ソレノイドバルブ) Pfail:フェイル切替油圧 Plimp:退避走行用油圧 Ptc:循環制御油圧 Ppri :プライマリ油圧 PD:Dレンジ圧 PR:Rレンジ圧

Claims (3)

  1. ロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ、プライマリシーブおよびセカンダリシーブを有するベルト式無段変速機、およびベルト走行用クラッチ、を有する自動変速機と、
    前記ベルト走行用クラッチに対する作動油の供給状態が異なる通常位置とフェイル位置とに切り替え可能で、フェイル切替油圧によって前記フェイル位置に切り替えられるクラッチアプライコントロールバルブ、前記ロックアップクラッチの油圧制御を実行するロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブ、前記トルクコンバータ内の作動油の循環流量を確保するための循環制御油圧を出力するトルコン循環制御用ソレノイドバルブ、および前記プライマリシーブに供給されるプライマリ油圧を変速比に応じて制御するプライマリ油圧制御用ソレノイドバルブ、を有する油圧制御回路と、
    所定の異常を検出した場合に、前記フェイル切替油圧により前記クラッチアプライコントロールバルブを前記フェイル位置に切り替え、前記ベルト走行用クラッチおよび前記ベルト式無段変速機を使って走行する退避走行モードとする制御装置と、
    を有する車両用動力伝達装置において、
    前記フェイル切替油圧は前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力されるとともに、
    前記油圧制御回路は、前記クラッチアプライコントロールバルブが前記フェイル位置に切り替えられた場合に、該クラッチアプライコントロールバルブから前記フェイル切替油圧が出力されることにより前記プライマリ油圧が減圧されるように構成されており、
    前記制御装置は、前記異常を検出した場合に、前記トルコン循環制御用ソレノイドバルブが前記循環制御油圧の出力を停止する出力停止状態か否かを判断し、該出力停止状態であると判断した後に前記プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによって前記プライマリ油圧を増圧するとともに、該プライマリ油圧の増圧が完了したか否かを判断し、該プライマリ油圧の増圧が完了したと判断した後に前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから前記フェイル切替油圧を出力して前記クラッチアプライコントロールバルブを前記フェイル位置に切り替える
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記自動変速機は、前記トルクコンバータから動力が伝達される入力軸と出力軸との間に第1動力伝達経路および第2動力伝達経路が並列に設けられており、前記第1動力伝達経路にはギヤ式伝動装置、前進用クラッチ、後進用ブレーキ、および同期噛合式クラッチが設けられて前進走行および後進走行が可能とされている一方、前記第2動力伝達経路には前記ベルト式無段変速機および前記ベルト走行用クラッチが設けられて前進走行が可能とされているものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記油圧制御回路は、
    前記前進用クラッチおよび前記ベルト走行用クラッチの係合油圧の元圧となるDレンジ圧が出力される状態と、前記後進用ブレーキの係合油圧の元圧となるRレンジ圧が出力される状態と、に切り替え可能で、前記Rレンジ圧が出力される状態では前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力された前記フェイル切替油圧を前記クラッチアプライコントロールバルブに供給することが許容されるON-OFFソレノイドバルブSC1と、
    前記同期噛合式クラッチに対する油圧の供給状態を切り替えるON-OFFソレノイドバルブSC2と、
    前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力された油圧が前記ロックアップクラッチの油圧制御に用いられるロックアップ制御位置と、前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから出力された油圧が前記後進用ブレーキの油圧制御に用いられるブレーキ制御位置と、を有し、前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブが前記ロックアップクラッチの油圧制御の他に前記後進用ブレーキの油圧制御にも用いられるようにするロックアップ/ブレーキ切替バルブと、
    前記ロックアップ/ブレーキ切替バルブを、前記ロックアップ制御位置と前記ブレーキ制御位置とに切り替えるとともに、前記トルコン循環制御用ソレノイドバルブを兼ねているON-OFFソレノイドバルブSC3と、
    を備えているとともに、前記クラッチアプライコントロールバルブが前記通常位置に保持された状態では、前記Dレンジ圧が該クラッチアプライコントロールバルブから前記ベルト走行用クラッチに出力され、前記フェイル位置に切り替えられると、該Dレンジ圧とは別経路で該クラッチアプライコントロールバルブに供給される退避走行用油圧が前記ベルト走行用クラッチに出力されるように構成されており、
    前記制御装置は、前記プライマリ油圧制御用ソレノイドバルブによる前記プライマリ油圧の増圧が完了したと判断した後に、前記ロックアップ油圧制御用ソレノイドバルブから前記フェイル切替油圧を出力するとともに、前記ON-OFFソレノイドバルブSC1を前記Rレンジ圧が出力される状態に切り替えることにより、前記クラッチアプライコントロールバルブを前記フェイル位置に切り替える
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
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