JP2016200250A - 動力伝達装置の制御装置 - Google Patents
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【課題】ロックアップクラッチのロックアップオフ異常が発生したときに、ロックアップクラッチ用電磁弁がオフ故障したか、プライマリ用電磁弁がオフ故障したかを特定する。【解決手段】ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生したときに、シンクロ用電磁弁SLGから出力されたSLG圧Pslgによってシンクロメッシュ機構S1が動作すれば、そのSLG圧Pslgを噛合式クラッチD1側へ供給する油路を遮断する側へ切替弁89が切り替えられていないことになり、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUがオフ故障したことが特定できる。一方で、シンクロ用電磁弁SLGから出力されたSLG圧Pslgによってシンクロメッシュ機構S1が動作しなければ、そのSLG圧Pslgを噛合式クラッチD1側へ供給する油路を遮断する側へ切替弁89が切り替えられていることになり、プライマリ用電磁弁SLPがオフ故障したことが特定できる。【選択図】図5
Description
本発明は、駆動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に並列に設けられた2つの変速部を備える動力伝達装置の制御装置に関するものである。
駆動力源の動力が伝達される入力回転部材と駆動輪へその動力を出力する出力回転部材との間の動力伝達経路に並列に設けられた2つの変速部を備える動力伝達装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載された車両用動力伝達装置がそれである。この特許文献1には、入力軸と出力軸との間に、ギヤ列を介した動力伝達経路と、ベルト式の無段変速機を介した動力伝達経路とが並列に設けられた車両用動力伝達装置が開示されている。又、この車両用動力伝達装置では、エンジンの動力はロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを介して入力軸へ伝達される。
ところで、ロックアップクラッチの係合指令時にロックアップクラッチが解放された状態となる異常が発生する場合がある。このような場合、ロックアップクラッチの係合指令によってロックアップクラッチを係合する為の油圧を出力するロックアップクラッチ用電磁弁が油圧を出力しない側で故障したことが考えられる。一方で、ロックアップクラッチ用電磁弁とは別の電磁弁(例えば無段変速機のプライマリプーリへ供給する油圧を制御するプライマリ用電磁弁)が油圧を出力する側で故障したときに前記ロックアップクラッチを解放するように油圧制御回路が構成されていると、別の電磁弁が油圧を出力する側で故障したことによってロックアップクラッチが解放された状態となる異常が発生する場合も考えられる。そうすると、ロックアップクラッチが解放された状態となる異常が、ロックアップクラッチ用電磁弁の故障によるものであるか、別の電磁弁の故障によるものであるかの区別がつかない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ロックアップクラッチ用電磁弁に対するロックアップクラッチの係合指令時にロックアップクラッチが解放された状態となる異常が発生したときに、ロックアップクラッチ用電磁弁が油圧を出力しない側で故障したか、プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したかを特定することができる動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) 駆動力源の動力が伝達される入力回転部材と駆動輪へ前記動力を出力する出力回転部材との間の動力伝達経路に並列に設けられた、ギヤ伝動部及び無段変速部と、前記駆動力源の動力を前記入力回転部材へ伝達するロックアップクラッチ付きの流体式伝動装置と、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動力源の動力を前記駆動輪側へ伝達する動力伝達経路を断接する係合装置と、前記無段変速部のプライマリプーリへ供給する油圧を制御するプライマリ用電磁弁と、前記係合装置を作動させる為の油圧を制御する係合装置用電磁弁と、前記ロックアップクラッチの係合と解放とを切り替えるロックアップクラッチ制御弁と、前記ロックアップクラッチ制御弁へ油圧を供給して前記ロックアップクラッチを係合するロックアップクラッチ用電磁弁とを備えた動力伝達装置の、制御装置であって、(b) 前記動力伝達装置は、前記プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したときに前記ロックアップクラッチを解放する為の所定油圧を前記ロックアップクラッチ制御弁へ供給するように油路を切り替えるフェールセーフ弁と、前記プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したときに前記係合装置用電磁弁が出力する油圧を前記係合装置側へ供給する油路を遮断する切替弁とを備えており、(c) 前記係合装置が解放された状態であって前記ロックアップクラッチ用電磁弁に対する前記ロックアップクラッチの係合指令時に前記ロックアップクラッチが解放された状態である場合は、前記係合装置用電磁弁から油圧を出力させた際の前記係合装置の動作に基づいて、前記ロックアップクラッチ用電磁弁が油圧を出力しない側で故障したか、前記プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したかを判定することにある。
このようにすれば、係合装置用電磁弁から出力された油圧によって係合装置が動作すれば、係合装置用電磁弁の出力油圧を係合装置側へ供給する油路を遮断する側へ切替弁が切り替えられていないことになり、プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したのではなく、ロックアップクラッチ用電磁弁が油圧を出力しない側で故障したことが特定できる。一方で、係合装置用電磁弁から出力された油圧によって係合装置が動作しなければ、係合装置用電磁弁の出力油圧を係合装置側へ供給する油路を遮断する側へ切替弁が切り替えられていることになり、プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したことが特定できる。よって、ロックアップクラッチ用電磁弁に対するロックアップクラッチの係合指令時にロックアップクラッチが解放された状態となる異常が発生したときに、ロックアップクラッチ用電磁弁が油圧を出力しない側で故障したか、プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したかを特定することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動力源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、非回転部材としてのハウジング18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された入力軸22、入力軸22に連結された無段変速部としての公知のベルト式の無段変速機24、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置26、前後進切替装置26を介して入力軸22に連結されて無段変速機24と並列に設けられたギヤ伝動部としてのギヤ伝動機構28、無段変速機24及びギヤ伝動機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30及びカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36に連結されたデフギヤ38、デフギヤ38に連結された1対の車軸40等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、トルクコンバータ20、無段変速機24(或いは前後進切替装置26及びギヤ伝動機構28)、減速歯車装置34、デフギヤ38、及び車軸40等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。
このように、動力伝達装置16は、エンジン12(ここではエンジン12の動力が伝達される入力回転部材である入力軸22も同意)と駆動輪14(ここでは駆動輪14へエンジン12の動力を出力する出力回転部材である出力軸30も同意)との間の動力伝達経路PTに並列に設けられた、ギヤ伝動機構28及び無段変速機24を備えている。よって、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する動力伝達経路(以下、第1動力伝達経路PT1という)と、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する動力伝達経路(以下、第2動力伝達経路PT2という)との複数の動力伝達経路PTを、入力軸22と出力軸30との間に並列に備えている。動力伝達装置16は、車両10の走行状態に応じてその第1動力伝達経路PT1とその第2動力伝達経路PT2とが切り替えられる。その為、動力伝達装置16は、動力伝達経路PTを、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とで選択的に切り替える複数の係合装置を備えている。この係合装置は、第1動力伝達経路PT1を断接する係合装置(換言すれば係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する係合装置)である第1クラッチC1及び第1ブレーキB1と、第2動力伝達経路PT2を断接する係合装置(換言すれば、係合されることで第2動力伝達経路PT2を形成する係合装置)である第2クラッチC2とを含んでいる。第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2は、断接装置に相当するものであり、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式摩擦係合装置(摩擦クラッチ)である。又、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、各々、後述するように、前後進切替装置26を構成する要素の1つである。
トルクコンバータ20は、エンジン12と入力軸22との間の動力伝達経路に介在させられて、入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられている。トルクコンバータ20は、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備え、エンジン12の動力を入力軸22へ伝達する。トルクコンバータ20は、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間すなわちトルクコンバータ20の入出力回転部材間を直結可能な公知のロックアップクラッチCluを備えている。ロックアップクラッチCluの作動状態としては、例えば車両10の走行状態に応じて、ロックアップクラッチCluが解放される所謂ロックアップオフ、又はロックアップクラッチCluが係合される所謂ロックアップオンに切り替えられる。動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式のオイルポンプ42を備えている。オイルポンプ42は、エンジン12により回転駆動されることにより、無段変速機24を変速制御したり、前記複数の係合装置を作動したり、動力伝達装置16の各部に潤滑油を供給したりする為の油圧を発生する(吐出する)。
前後進切替装置26は、第1動力伝達経路PT1において入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26p、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置26pは、入力要素としてのキャリヤ26cと、出力要素としてのサンギヤ26sと、反力要素としてのリングギヤ26rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリヤ26cは入力軸22に一体的に連結され、リングギヤ26rは第1ブレーキB1を介してハウジング18に選択的に連結され、サンギヤ26sは入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に相対回転可能に設けられた小径ギヤ44に連結されている。又、キャリヤ26cとサンギヤ26sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。よって、第1クラッチC1は、前記3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する係合装置であり、第1ブレーキB1は、前記反力要素をハウジング18に選択的に連結する係合装置である。
ギヤ伝動機構28は、小径ギヤ44と、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられてその小径ギヤ44と噛み合う大径ギヤ48とを備えている。又、ギヤ伝動機構28は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転可能に設けられたアイドラギヤ50と、出力軸30回りにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてそのアイドラギヤ50と噛み合う出力ギヤ52とを備えている。出力ギヤ52は、アイドラギヤ50よりも大径である。従って、ギヤ伝動機構28は、入力軸22と出力軸30との間の動力伝達経路PTにおいて、所定の変速比(変速段)としての1つの変速比(変速段)が形成されるギヤ伝動機構である。ギヤ伝動機構28は、更に、ギヤ機構カウンタ軸46回りに、大径ギヤ48とアイドラギヤ50との間に設けられて、これらの間を選択的に断接する噛合式クラッチD1を備えている。噛合式クラッチD1は、前後進切替装置26(ここでは第1クラッチC1も同意)と出力軸30との間の動力伝達経路PTに配設された(換言すれば第1クラッチC1よりも出力軸30側に設けられた)、第1動力伝達経路PT1を断接する係合装置(換言すれば第1クラッチC1と共に係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する係合装置)として機能するものであり、前記複数の係合装置に含まれる。
具体的には、噛合式クラッチD1は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられたクラッチハブ54と、アイドラギヤ50とクラッチハブ54との間に配置されてそのアイドラギヤ50に固設されたクラッチギヤ56と、クラッチハブ54に対してスプライン嵌合されることによりギヤ機構カウンタ軸46の軸心回りの相対回転不能且つその軸心と平行な方向の相対移動可能に設けられた円筒状のスリーブ58とを備えている。クラッチハブ54と常に一体的に回転させられるスリーブ58がクラッチギヤ56側へ移動させられてそのクラッチギヤ56と噛み合わされることで、アイドラギヤ50とギヤ機構カウンタ軸46とが接続される。更に、噛合式クラッチD1は、スリーブ58とクラッチギヤ56とを嵌合する際に回転を同期させる、同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備えている。このように構成された噛合式クラッチD1では、フォークシャフト60が油圧アクチュエータ62によって作動させられることにより、フォークシャフト60に固設されたシフトフォーク64を介してスリーブ58がギヤ機構カウンタ軸46の軸心と平行な方向に摺動させられ、係合状態と解放状態とが切り替えられる。
第1動力伝達経路PT1は、噛合式クラッチD1と噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1クラッチC1(又は第1ブレーキB1)とが共に係合されることで形成される。第1クラッチC1の係合により前進用動力伝達経路が形成され、第1ブレーキB1の係合により後進用動力伝達経路が形成される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第1動力伝達経路PT1は、少なくとも第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に解放されるか、或いは少なくとも噛合式クラッチD1が解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
無段変速機24は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ66と、出力軸30と同軸心の回転軸68に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ70と、それら各プーリ66,70の間に巻き掛けられた伝動ベルト72とを備え、各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力(ベルト挟圧力)を介して動力伝達が行われる。プライマリプーリ66では、プライマリプーリ66へ供給する油圧(すなわちプライマリ側油圧シリンダ66cへ供給されるプライマリ圧Pin)が電子制御装置90(図3,4参照)により駆動される油圧制御回路80(図3,4参照)によって調圧制御されることにより、各シーブ66a,66b間のV溝幅を変更するプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)が付与される。又、セカンダリプーリ70では、セカンダリプーリ70へ供給する油圧(すなわちセカンダリ側油圧シリンダ70cへ供給されるセカンダリ圧Pout)が油圧制御回路80によって調圧制御されることにより、各シーブ70a,70b間のV溝幅を変更するセカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)が付与される。無段変速機24では、プライマリ推力Win(プライマリ圧Pin)及びセカンダリ推力Wout(セカンダリ圧Pout)が各々制御されることで、各プーリ66,70のV溝幅が変化して伝動ベルト72の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリプーリ回転速度Npri/セカンダリプーリ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト72が滑りを生じないように各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力が制御される。
出力軸30は、回転軸68回りにその回転軸68に対して同軸心に相対回転可能に配置されている。第2クラッチC2は、無段変速機24よりも駆動輪14(ここでは出力軸30も同意)側に設けられており(すなわちセカンダリプーリ70と出力軸30との間に設けられており)、セカンダリプーリ70(回転軸68)と出力軸30との間を選択的に断接する。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が解放されると、ニュートラル状態とされる。
動力伝達装置16の作動について、以下に説明する。図2は、電子制御装置90により切り替えられる動力伝達装置16の各走行パターン(走行モード)毎の係合装置の係合表を用いて、その走行モードの切り替わりを説明する為の図である。図2において、C1は第1クラッチC1の作動状態に対応し、C2は第2クラッチC2の作動状態に対応し、B1は第1ブレーキB1の作動状態に対応し、D1は噛合式クラッチD1の作動状態に対応し、「○」は係合(接続)を示し、「×」は解放(遮断)を示している。
図2において、ギヤ伝動機構28を介してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モード(すなわちギヤ伝動機構28を介した第1動力伝達経路PT1を用いる走行モード)であるギヤ走行モードでは、第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が解放される。このギヤ走行モードでは前進走行が可能となる。尚、第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1クラッチC1が解放される、ギヤ走行モードでは、後進走行が可能となる。
又、無段変速機24を介してエンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行モード(すなわち無段変速機24を介した第2動力伝達経路PT2を用いる走行モード)であるCVT走行モード(ベルト走行モードともいう)では、第2クラッチC2が係合され且つ第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が解放される。このCVT走行モードでは前進走行が可能となる。このCVT走行モードのうちでCVT走行(中車速)モードでは噛合式クラッチD1が係合される一方で、CVT走行(高車速)モードでは噛合式クラッチD1が解放される。このCVT走行(高車速)モードにて噛合式クラッチD1が解放されるのは、例えばCVT走行モードでの走行中のギヤ伝動機構28等の引き摺りをなくすと共に、高車速においてギヤ伝動機構28や遊星歯車装置26pの構成部材(例えばピニオンギヤ)等が高回転化するのを防止する為である。噛合式クラッチD1は、駆動輪14側からの入力を遮断する被駆動入力遮断クラッチとして機能する。
ギヤ走行モードは、例えば車両停止中を含む低車速領域において選択される。動力伝達装置16では、ギヤ伝動機構28を介した第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比γgear(変速比ELともいう)は、無段変速機24を介した第2動力伝達経路PT2にて形成できる最大変速比(すなわち最低車速側の変速比である最ロー変速比)γmaxよりも大きな値(すなわちロー側の変速比)に設定されている。つまり、第2動力伝達経路PT2は、第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比ELよりも高車速側(ハイ側)の変速比γcvtが形成される。例えば変速比ELは、動力伝達装置16における第1速変速段の変速比γである第1速変速比γ1に相当し、無段変速機24の最ロー変速比γmaxは、動力伝達装置16における第2速変速段の変速比γである第2速変速比γ2に相当する。その為、ギヤ走行モードとCVT走行モードとは、例えば公知の有段変速機の変速マップにおける第1速変速段と第2速変速段とを切り替える為の変速線に従って切り替えられる。又、CVT走行モードにおいては、例えば公知の手法を用いて、アクセル開度θaccや車速Vなどの走行状態に基づいて変速比γcvtが変化させられる変速が実行される。
ギヤ走行モードからCVT走行(高車速)モード、或いはCVT走行(高車速)モードからギヤ走行モードへの切替えでは、図2に示すように、CVT走行(中車速)モードを経由する。例えばギヤ走行モードからCVT走行(高車速)モードへの切替えでは、第1クラッチC1を解放して第2クラッチC2を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばクラッチツゥクラッチ変速(以下、CtoC変速という))が実行されてCVT走行(中車速)モードへ切り替えられ、その後、噛合式クラッチD1が解放される。又、例えばCVT走行(高車速)モードからギヤ走行モードへの切替えでは、ギヤ走行モードへの切替準備として噛合式クラッチD1が係合されてCVT走行(中車速)モードへ切り替えられ、その後、第2クラッチC2を解放して第1クラッチC1を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばCtoC変速)が実行される。
図3は、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図3において、車両10は、例えば動力伝達装置16の制御装置を含む電子制御装置90を備えている。よって、図3は、電子制御装置90の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置90による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置90は、エンジン12の出力制御、無段変速機24の変速制御、動力伝達装置16の走行モードの切替制御、ロックアップクラッチCluの作動状態の切替制御等を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10が備える各種センサ(例えば各種回転速度センサ100,102,104,106,108、アクセル開度センサ110、ストロークセンサ112など)による検出信号に基づく各種実際値(例えばエンジン回転速度Ne、入力軸回転速度Ninであるプライマリプーリ回転速度Npri、回転軸68の回転速度であるセカンダリプーリ回転速度Nsec、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout、小径ギヤ44の回転速度であるC1回転速度Nc1、アクセル開度θacc、噛合式クラッチD1を解放完了状態とするスリーブ58の解放側位置と噛合式クラッチD1を係合完了状態とするスリーブ58の係合側位置との間におけるスリーブ58の位置情報に対応するシフトフォーク64(又はフォークシャフト60など)の移動位置であるシンクロ位置POSsyncなど)が、それぞれ供給される。又、電子制御装置90からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機24の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Scvt、動力伝達装置16の走行モードの切替えに関連する第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、及び噛合式クラッチD1を制御する為の油圧制御指令信号Sswt、ロックアップクラッチCluの作動状態を切り替える為の油圧制御指令信号Slu等が、それぞれ出力される。例えば、油圧制御指令信号Sswtとして、第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、噛合式クラッチD1の各々の油圧アクチュエータへ供給される各油圧を調圧する各ソレノイド弁を駆動する為の指令信号(油圧指令)が油圧制御回路80へ出力される。
図4は、動力伝達装置16に備えられた油圧制御回路80のうちで油圧制御回路のうちで無段変速機の変速と走行モードの切替えとロックアップクラッチの作動状態の切替えとに関わる油圧を制御する部分を説明する図である。油圧制御回路80は、プライマリプーリ66へ供給するプライマリ圧Pinを制御するプライマリ用電磁弁SLPと、セカンダリプーリ70へ供給するセカンダリ圧Poutを制御するセカンダリ用電磁弁SLSと、第1クラッチC1へ供給する油圧であるC1圧Pc1を制御するC1用電磁弁SL1と、第2クラッチC2へ供給する油圧であるC2圧Pc2を制御するC2用電磁弁SL2と、シンクロメッシュ機構S1(ここでは噛合式クラッチD1も同意)を作動させる為の油圧である、油圧アクチュエータ62へ供給するシンクロ制御圧Ps1を制御する係合装置用電磁弁としてのシンクロ用電磁弁SLGと、ロックアップクラッチCluを係合する為の油圧であるSLU圧Psluを出力するロックアップクラッチ用電磁弁SLUと、プライマリ圧制御弁82と、セカンダリ圧制御弁84と、ロックアップクラッチ制御弁86と、フェールセーフ弁88と、切替弁89とを備えている。又、油圧制御回路80においては、オイルポンプ42が吐出する油圧を基にして不図示のリリーフ型のレギュレータ弁によりライン圧Plが調圧され、そのライン圧Plの調圧の際にそのレギュレータ弁から排出された油圧を基にして不図示の第2レギュレータ弁により第2ライン圧Pl2が調圧され、ライン圧Plを元圧として不図示のモジュレータ弁によりモジュレータ圧Pmが一定油圧に調圧される。
各電磁弁SLP,SLS,SL1,SL2,SLG,SLUは、何れも、電子制御装置90から出力される油圧制御指令信号(駆動電流)によって駆動されるリニアソレノイド弁である。電磁弁SLP,SLSは、何れもノーマリーオープン式の電磁弁である。電磁弁SL1,SL2,SLG,SLUは、何れもノーマリークローズ式の電磁弁である。電磁弁SLP,SLS,SLG,SLUは各々、例えばモジュレータ圧Pmを元圧として油圧を出力し、電磁弁SL1,SL2は各々、例えばライン圧Plを元圧として油圧を出力する。プライマリ圧制御弁82は、プライマリ用電磁弁SLPから出力される油圧であるSLP圧Pslpに基づいて作動させられることで、ライン圧Plを元圧としてプライマリ圧Pinを調圧する。セカンダリ圧制御弁84は、セカンダリ用電磁弁SLSから出力される油圧であるSLS圧Pslsに基づいて作動させられることで、ライン圧Plを元圧としてセカンダリ圧Poutを調圧する。C1用電磁弁SL1から出力される油圧であるSL1圧Psl1は、C1圧Pc1として直接的に第1クラッチC1へ供給される。C2用電磁弁SL2から出力される油圧であるSL2圧Psl2は、C2圧Pc2として直接的に第2クラッチC2へ供給される。シンクロ用電磁弁SLGから出力される油圧であるSLG圧Pslgは、切替弁89を介してシンクロ制御圧Ps1として油圧アクチュエータ62へ供給される。ロックアップクラッチ制御弁86は、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUから出力されるSLU圧Psluに基づいてトルクコンバータ20に対する第2ライン圧Pl2の供給経路が切り替えられることで、ロックアップクラッチCluのロックアップオン(係合)とロックアップオフ(解放)とを切り替える。ロックアップクラッチ用電磁弁SLUは、ロックアップクラッチ制御弁86へSLU圧Psluを供給して、係合油圧Ponと解放油圧Poffとの差圧であるロックアップクラッチ圧Plu(=Pon−Poff)を高めることで、ロックアップクラッチCluを係合する。
フェールセーフ弁88は、スプリングSP、第1入力ポートPi1、第2入力ポートPi2、第1排出ポートPex1、第2排出ポートPex2、第1入力ポートPi1及び第1排出ポートPex1の何れかと択一的に連通する第1出力ポートPo1、第2入力ポートPi2及び第2排出ポートPex2の何れかと択一的に連通する第2出力ポートPo2、及び油室Pcを有している。フェールセーフ弁88は、バルブボデー内において、所定の移動ストロークで摺動可能に収容され且つスプリングSPによって一方向に付勢されたスプール弁子を備え、そのスプール弁子が摺動ストロークの一端及び他端へ移動させられることに応じて、第1排出ポートPex1と第1出力ポートPo1とを連通させ且つ第2排出ポートPex2と第2出力ポートPo2とを連通させるか、或いは第1入力ポートPi1と第1出力ポートPo1とを連通させ且つ第2入力ポートPi2と第2出力ポートPo2とを連通させる型式の良く知られたスプール弁により構成されている。第1入力ポートPi1には、シンクロ用電磁弁SLGの出力油圧であるSLG圧Pslgが供給される油路Lslgが接続される。第2入力ポートPi2には、ライン圧Plが供給される油路Llが接続される。第1排出ポートPex1には、排出油路EXが接続される。第2排出ポートPex2には、排出油路EXが接続される。第1出力ポートPo1には、プライマリ圧制御弁82の制御油室Pconと連通する油路Lpriが接続される。第2出力ポートPo2には、ロックアップクラッチ制御弁86の制御油室Pconと連通する油路Lluが接続される。油室Pcには、プライマリ用電磁弁SLPの出力油圧であるSLP圧Pslpが供給される油路Lslpが接続される。
このように構成されたフェールセーフ弁88は、SLP圧Pslpに基づいて、油路Lpriを排出油路EXへ接続し且つ油路Lluを排出油路EXへ接続する通常弁位置Nm(実線参照)と、油路Lpriを油路Lslgへ接続し且つ油路Lluを油路Llへ接続するフェールセーフ弁位置Fs(破線参照)とが択一的に切り替えられる。フェールセーフ弁88において、スプリングSPは、スプール弁子を通常弁位置Nmに保持する為の付勢力を発生する。SLP圧Pslpは、スプリングSPの付勢力に抗して、スプール弁子をフェールセーフ弁位置Fsへ切り替える為の推力を発生する。フェールセーフ弁88は、例えばSLP圧Pslpの最大油圧である最大SLP圧Pslpmaxが作用させられると、フェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられる。この最大SLP圧Pslpmaxは、例えば無段変速機24の通常の変速制御(すなわちフェール時ではないときの変速制御)において用いられるSLP圧Pslpの範囲の上限値を超える油圧である。
プライマリ用電磁弁SLPは、ノーマリーオープン式の電磁弁であるので、励磁されない場合(非通電時)、或いは駆動電流が零又は零近傍である場合には最大SLP圧Pslpmaxを出力する。フェールセーフ弁88は、プライマリ用電磁弁SLPが最大SLP圧Pslpmaxを出力する故障(すなわちプライマリ用電磁弁SLPが油圧を出力する側での故障)となる、所謂プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時には、フェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられる。これにより、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時には、プライマリ圧制御弁82にSLG圧Pslgを作用させることができるので、プライマリ圧制御弁82に最大SLP圧Pslpmaxが作用させられた状態においてSLG圧Pslgによって無段変速機24の変速制御を行うことができる。又、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時には、ロックアップクラッチ制御弁86にライン圧Plが作用させられることで、ロックアップクラッチCluが強制的にロックアップオフとされる。このように、フェールセーフ弁88は、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時に、ロックアップクラッチCluを解放する為の所定油圧としてのライン圧Plをロックアップクラッチ制御弁86へ供給するように油路を切り替える。尚、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障には、断線等により励磁されない状態はもちろんのこと、最大SLP圧Pslpmaxを出力する側でスプール弁子が固着した状態も含むものとする。
切替弁89は、スプリングSP、入力ポートPi、排出ポートPex、入力ポートPi及び排出ポートPexの何れかと択一的に連通する出力ポートPo、及び油室Pcを有している。切替弁89は、バルブボデー内において、所定の移動ストロークで摺動可能に収容され且つスプリングSPによって一方向に付勢されたスプール弁子を備え、そのスプール弁子が摺動ストロークの一端及び他端へ移動させられることに応じて、排出ポートPexと出力ポートPoとを連通させるか、或いは入力ポートPiと出力ポートPoとを連通させる型式の良く知られたスプール弁により構成されている。入力ポートPiには、SLG圧Pslgが供給される油路Lslgが接続される。排出ポートPexには、排出油路EXが接続される。出力ポートPoには、シンクロ制御圧Ps1を供給する油路Ls1が接続される。油室Pcには、SLP圧Pslpが供給される油路Lslpが接続される。
このように構成された切替弁89は、SLP圧Pslpに基づいて、油路Ls1を油路Lslgへ接続する通常弁位置Nm(実線参照)と、油路Ls1を排出油路EXへ接続するフェールセーフ弁位置Fs(破線参照)とが択一的に切り替えられる。切替弁89において、スプリングSPは、スプール弁子を通常弁位置Nmに保持する為の付勢力を発生する。SLP圧Pslpは、スプリングSPの付勢力に抗して、スプール弁子をフェールセーフ弁位置Fsへ切り替える為の推力を発生する。切替弁89は、例えば最大SLP圧Pslpmaxが作用させられると、フェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられる。
切替弁89は、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時には、フェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられる。これにより、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時には、油圧アクチュエータ62にSLG圧Pslg(シンクロ制御圧Ps1)を供給することができない。よって、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時にフェールセーフ弁88を介してプライマリ圧制御弁82に作用させるSLG圧Pslgによって無段変速機24の変速制御を行う際、噛合式クラッチD1(シンクロメッシュ機構S1)を作動させることがない。このように、切替弁89は、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時に、シンクロ用電磁弁SLGが出力するSLG圧Pslgを噛合式クラッチD1側へ供給する油路を遮断する。
図3に戻り、電子制御装置90は、エンジン出力制御手段すなわちエンジン出力制御部92、及び変速制御手段すなわち変速制御部94を備えている。
エンジン出力制御部92は、例えば予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)関係(例えば駆動力マップ)からアクセル開度θacc及び車速Vに基づいて要求駆動力Fdemを算出し、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetgtを設定し、その目標エンジントルクTetgtが得られるようにエンジン12を出力制御するエンジン出力制御指令信号Seをそれぞれスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置などへ出力する。
変速制御部94は、車両停止中には、ギヤ走行モードに備えて、油圧アクチュエータ62による噛合式クラッチD1の係合作動を行う指令を油圧制御回路80へ出力する。その後、変速制御部94は、シフトレバーが前進走行操作位置D(或いは後進走行操作位置R)に切り替えられた場合、第1クラッチC1(或いは第1ブレーキB1)を係合する指令を油圧制御回路80へ出力する。
又、変速制御部94は、CVT走行モードにおいて、例えば予め定められた関係(例えばCVT変速マップ、ベルト挟圧力マップ)にアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、無段変速機24のベルト滑りが発生しないようにしつつエンジン12の動作点が所定の最適ライン(例えばエンジン最適燃費線)上となる無段変速機24の目標変速比γtgtを達成する為のプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutの各油圧指令(油圧制御指令信号Scvt)を決定し、それら各油圧指令を油圧制御回路80へ出力して、CVT変速を実行する。
又、変速制御部94は、ギヤ走行モードとCVT走行モードとを切り替える切替制御を実行する。具体的には、変速制御部94は、例えばギヤ走行モードにおける変速比ELとCVT走行モードにおける最ロー変速比γmaxとを切り替える為の所定のヒステリシスを有したアップシフト線及びダウンシフト線に車速V及びアクセル開度θaccを適用することで変速比γの切替えを判断し、その判断結果に基づいて走行モードを切り替える。
変速制御部94は、ギヤ走行モードでの走行中にアップシフトを判断してギヤ走行モードからCVT走行(中車速)モードへ切り替える場合、CtoC変速を実行する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2へ切り替えられる。変速制御部94は、CVT走行(中車速)モードからCVT走行(高車速)モードへ切り替える場合、油圧アクチュエータ62による噛合式クラッチD1の解放作動を行う指令を油圧制御回路80へ出力する。又、変速制御部94は、CVT走行(高車速)モードからCVT走行(中車速)モードへ切り替える場合、油圧アクチュエータ62による噛合式クラッチD1の係合作動を行う指令を油圧制御回路80へ出力する。変速制御部94は、CVT走行(中車速)モードでの走行中にダウンシフトを判断してギヤ走行モードへ切り替える場合、CtoC変速を実行する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第2動力伝達経路PT2から第1動力伝達経路PT1へ切り替えられる。ギヤ走行モードとCVT走行モードとを切り替える切替制御では、CVT走行(中車速)モードの状態を経由することで、CtoC変速によるトルクの受け渡しを行うだけで第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とが切り替えられるので、切替えショックが抑制される。
ところで、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUに対する油圧制御指令信号SluがロックアップクラッチCluの係合指令(ロックアップオン指令)であるときにロックアップクラッチCluがロックアップオフとされた状態である、所謂ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生する場合がある。このロックアップオフ異常の発生要因としては、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUがロックアップオンの為のSLU圧Psluを出力できない、所謂ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障が考えられる。又は、ロックアップオフ異常の発生要因としては、フェールセーフ弁88がフェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられることによってロックアップクラッチCluが強制的にロックアップオフとされる、前述したプライマリ用電磁弁SLPのオフ故障が考えられる。このように、ロックアップオフ異常が発生した場合、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障か、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障かの可能性があり、発生要因が何れであるかの区別がつかない。その為、例えばCVT走行(高車速)モードでの走行時にロックアップオフ異常が発生した状態で噛合式クラッチD1の係合を指示した場合、ロックアップオフ異常の発生要因がプライマリ用電磁弁SLPのオフ故障であると、フェールセーフ弁88がフェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられることによってプライマリ圧制御弁82に噛合式クラッチD1を係合する為のSLG圧Pslgが作用させられて、無段変速機24が変速(特にはダウンシフト)させられるおそれがある。或いは、ロックアップオフ異常が発生した場合に、噛合式クラッチD1を係合する指示を一律に禁止すると、ギヤ走行モードへの移行禁止によって駆動力不足が発生する可能性がある。或いは、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障によってプライマリ圧制御弁82に最大SLP圧Pslpmaxが作用させられてプライマリ圧Pinが高圧になることで無段変速機24のアップシフトが発生することに対して、高車速などで変速比γcvtが最小変速比(すなわち最高車速側の変速比である最ハイ変速比)γmin或いは最小変速比γmin近傍の場合、そのアップシフトの判定が難しいと考えられる。このようなアップシフトの判定を車速Vが低下してから行うようにした場合、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障でないときには噛合式クラッチD1の係合タイミングが遅れ、駆動力不足になる可能性がある。
そこで、電子制御装置90は、噛合式クラッチD1が解放された状態のときにロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常である場合は、シンクロ用電磁弁SLGからSLG圧Pslgを出力させた際の噛合式クラッチD1の動作に基づいて、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUがSLU圧Psluを出力しない側で故障したロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障か、プライマリ用電磁弁SLPがSLP圧Pslpを出力する側で故障したプライマリ用電磁弁SLPのオフ故障かを判定する。
ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障時では、切替弁89は通常弁位置Nmのまま切り替えられず、噛合式クラッチD1側へSLG圧Pslgの供給が可能である。一方で、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時では、切替弁89は通常弁位置Nmからフェールセーフ弁位置Fsへ切り替えられ、噛合式クラッチD1側へSLG圧Pslgの供給ができない。従って、噛合式クラッチD1の動作に関連するシンクロメッシュ機構S1が動作した場合には、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障が判定される。一方で、シンクロメッシュ機構S1が動作しない場合には、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障が判定される。尚、上記噛合式クラッチD1が解放された状態は、例えばCVT走行(高車速)モードで走行している状態が想定される。
より具体的には、図3に戻り、電子制御装置90は、故障判定手段すなわち故障判定部96、及び車両状態判定手段すなわち車両状態判定部98を更に備えている。
故障判定部96は、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生しているか否かを判定する。具体的には、故障判定部96は、CVT走行(高車速)モードで走行している状態において、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUに対してロックアップクラッチCluのロックアップオン指令が為されているときに、ロックアップクラッチCluの入出力回転部材間(すなわちポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間)の差回転速度ΔNlu(=Ne−Nin)が所定回転差以上であるか否かに基づいて、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生しているか否かを判定する。この所定回転差は、例えば差回転速度ΔNluの大きさが異常に因るものであると確実に判断できる為の予め定められた差回転速度範囲のうちの下限値である。
変速制御部94は、故障判定部96によりロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生していると判定された場合には、シンクロ用電磁弁SLGにSLG圧Pslgを出力させる油圧指令を出力する。この油圧指令としては、例えば所定指示油圧に向けて漸増し(スイープアップし)、その所定指示油圧に到達後はその所定指示油圧にて所定時間保持するような油圧パターンである。又は、油圧指令としては、例えば所定指示油圧に向けて一定圧をステップ状に増加させ、その所定指示油圧に到達後はその所定指示油圧にて所定時間保持するような油圧パターンである。又、油圧指令の出力開始当初は急速充填(ファストフィル)の為の油圧を出力しても良い。上記所定指示油圧は、例えばシンクロ位置POSsyncの解放位置からボーク点位置(すなわち動力伝達が開始されるシンクロ位置POSsyncである同期開始点位置)までの範囲でシンクロメッシュ機構S1を動作可能な油圧であり、且つプライマリ用電磁弁SLPのオフ故障に伴ってSLG圧Pslgがプライマリ圧制御弁82に作用させられた場合の変速比γcvt変化を許容できるとして予め定められた油圧の上限値である。上記所定時間は、例えばシンクロメッシュ機構S1が動作しないことを確実に判定する為の予め定められた所定指示油圧での指示時間の下限値である。
車両状態判定部98は、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生しているときに変速制御部94によりシンクロ用電磁弁SLGにSLG圧Pslgを出力させる油圧指令が出力されている間、シンクロメッシュ機構S1が動作したか否かを判定する。車両状態判定部98は、シンクロ位置POSsyncが所定位置以上となったか否かに基づいて、シンクロメッシュ機構S1が動作したか否かを判定する。この所定位置は、例えばシンクロメッシュ機構S1が確実に動作したことを判定する為の予め定められたシンクロ位置POSsyncの下限値である。
又は、車両状態判定部98は、C1回転速度Nc1が所定回転速度以上変化したか否かに基づいて、シンクロメッシュ機構S1が動作したか否かを判定しても良い。この所定回転速度は、シンクロメッシュ機構S1が確実に動作したことを判定する為の予め定められたC1回転速度Nc1の回転変化の下限値である。この態様は、ストロークセンサ112が備えられていない場合やストロークセンサ112が故障しているときに有用である。
変速制御部94は、車両状態判定部98によりシンクロメッシュ機構S1が動作したと判定された場合には、シンクロ用電磁弁SLGにSLG圧Pslgを出力させる油圧指令の出力を停止する。故障判定部96は、車両状態判定部98によりシンクロメッシュ機構S1が動作したと判定された場合には、ロックアップオフ異常の発生要因をロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障と判定する。
一方で、変速制御部94は、車両状態判定部98によりシンクロメッシュ機構S1が動作していないと判定された場合には、シンクロ用電磁弁SLGにSLG圧Pslgを出力させる油圧指令において所定指示油圧にて所定時間経過したか否かを判定し、所定指示油圧にて所定時間経過するまでその油圧指令を出力する。故障判定部96は、車両状態判定部98によりシンクロメッシュ機構S1が動作していないと判定され、且つ変速制御部94により上記油圧指令において所定指示油圧にて所定時間経過したと判定された場合には、ロックアップオフ異常の発生要因をプライマリ用電磁弁SLPのオフ故障と判定する。
図5は、電子制御装置90の制御作動の要部すなわちロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生したときに、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUがオフ故障したか、プライマリ用電磁弁SLPがオフ故障したかを特定する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えばCVT走行(高車速)モードで走行している状態(すなわちCVT走行モードで走行中の噛合式クラッチD1の解放状態)において繰り返し実行される。図6及び図7は、この図5のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。
図5において、先ず、故障判定部96に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生しているか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合は変速制御部94に対応するS20において、シンクロ用電磁弁SLGにSLG圧Pslgを出力させる油圧指令が出力される。次いで、車両状態判定部98に対応するS30において、シンクロメッシュ機構S1が動作したか否かが判定される。このS30の判断が肯定される場合は変速制御部94に対応するS40において、シンクロ用電磁弁SLGに対する上記油圧指令の出力が停止される。次いで、故障判定部96に対応するS50において、ロックアップオフ異常の発生要因がロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障と判定される。一方で、上記S30の判断が否定される場合は変速制御部94に対応するS60において、シンクロ用電磁弁SLGに対する上記油圧指令において所定指示油圧にて所定時間経過したか否かが判定される。このS60の判断が否定される場合は、上記S20に戻される。このS60の判断が肯定される場合は変速制御部94に対応するS70において、シンクロ用電磁弁SLGに対する上記油圧指令の出力が停止される。次いで、故障判定部96に対応するS80において、ロックアップオフ異常の発生要因がプライマリ用電磁弁SLPのオフ故障と判定される。
図6において、t1時点は、CVT走行(高車速)モードでの走行中に、差回転速度ΔNlu(=Ne−Nin)が所定回転差以上となった為にロックアップオフ異常が判定され、シンクロ用電磁弁SLGにSLG圧Pslgを出力させる油圧指令の出力が開始されたことを示している。この油圧指令では、実線や二点鎖線に示すように、所定指示油圧に向けて漸増するような油圧パターンが出力されたり、或いは破線に示すように、所定指示油圧に向けて一定圧をステップ状に増加させるような油圧パターンが出力される。実線(ここでは破線も同じ)に示すように、シンクロ位置POSsyncが所定位置以上変化した場合には、シンクロメッシュ機構S1が動作したと判定され、上記油圧指令の出力が停止される(t2時点)。この実線の態様では、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障が判定される。一方で、二点鎖線に示すように、シンクロ位置POSsyncが所定位置以上変化しない場合には、所定指示油圧に到達後はその所定指示油圧にて所定時間保持されるような油圧パターンの油圧指令が出力される。この二点鎖線の態様では、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障が判定される。
図7において、この図7の態様は、図6の態様とは、ストロークセンサ112によるシンクロ位置POSsyncに替えて回転速度センサ108によるC1回転速度Nc1を用いてシンクロメッシュ機構S1の動作判定を行う点が主に相違する。図7のt1時点は、図6のt1時点と同じである。実線に示すように、C1回転速度Nc1が所定回転速度以上変化した場合には、シンクロメッシュ機構S1が動作したと判定され、シンクロ用電磁弁SLGに対する油圧指令の出力が停止される(t2時点)。このC1回転速度Nc1の変化は、シンクロメッシュ機構S1がボーク点位置まで到達したことに伴って(シンクロ位置POSsync参照)、噛合式クラッチD1の出力側の回転が入力側へ伝達され出した為である。この実線の態様では、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障が判定される。一方で、C1回転速度Nc1が所定回転速度以上変化しない場合には、二点鎖線に示すように、図6の二点鎖線と同様の油圧パターンの油圧指令が出力される。この二点鎖線の態様では、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障が判定される。
上述のように、本実施例によれば、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生したときに、シンクロ用電磁弁SLGから出力されたSLG圧Pslgによって噛合式クラッチD1(シンクロメッシュ機構S1)が動作すれば、そのSLG圧Pslgを噛合式クラッチD1側へ供給する油路を遮断する側へ切替弁89が切り替えられていないことになり、プライマリ用電磁弁SLPがオフ故障したのではなく、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUがオフ故障したことが特定できる。一方で、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生したときに、シンクロ用電磁弁SLGから出力されたSLG圧Pslgによって噛合式クラッチD1(シンクロメッシュ機構S1)が動作しなければ、そのSLG圧Pslgを噛合式クラッチD1側へ供給する油路を遮断する側へ切替弁89が切り替えられていることになり、プライマリ用電磁弁SLPがオフ故障したことが特定できる。よって、ロックアップクラッチCluのロックアップオフ異常が発生したときに、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUがオフ故障したか、プライマリ用電磁弁SLPがオフ故障したかを特定することができる。
また、本実施例によれば、ストロークセンサ112を備えることで、シンクロメッシュ機構S1がボーク点へ到達前にストロークセンサ112によるシンクロ位置POSsyncにてシンクロメッシュ機構S1の動作判定ができるので、C1回転速度Nc1が変化するような挙動を出さずに故障部品を特定することができる。又、ロックアップクラッチ用電磁弁SLUのオフ故障時はギヤ走行モードへ移行可能であることから、高車速走行中に故障部品の特定ができることで、ダウンシフトに備えて、噛合式クラッチD1の係合を予め実行することができる。又、アップシフトとなる異常を判定し難い高車速走行中でも故障部品を特定することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、ストロークセンサ112によるシンクロ位置POSsync、又は回転速度センサ108によるC1回転速度Nc1を用いてシンクロメッシュ機構S1の動作判定を行ったが、これに限らない。例えば、シンクロメッシュ機構S1が所定位置以上変化したときにオンする接点式のストロークスイッチを備え、そのストロークスイッチによるオン信号を用いてシンクロメッシュ機構S1の動作判定を行っても良い。
また、前述の実施例では、電磁弁SLP,SLS,SLG,SLUの各出力油圧の元圧としてモジュレータ圧Pmを例示し、電磁弁SL1,SL2の各出力油圧の元圧としてライン圧Plを例示したが、これに限らない。例えば、各元圧は何れもモジュレータ圧Pmであっても良いし、何れもライン圧Plであっても良い。又、一部の元圧が、シフトレバーが前進走行操作位置Dにあるときに出力されるDレンジ圧などであっても良い。又、プライマリ用電磁弁SLPのオフ故障時にフェールセーフ弁88を介してロックアップクラッチ制御弁86へ供給される、ロックアップクラッチCluを解放する為の所定油圧としてライン圧Plを例示したが、これに限らない。例えば、この所定油圧は、モジュレータ圧PmやDレンジ圧などであっても良い。又、ロックアップクラッチCluのロックアップオンとロックアップオフとを切り替える為に、ロックアップクラッチ制御弁86を介して第2ライン圧Pl2がトルクコンバータ20へ供給されたが、これに限らない。例えば、ライン圧Plやモジュレータ圧Pmなどがトルクコンバータ20へ供給されても良い。
また、前述の実施例では、ギヤ伝動機構28は、無段変速機24の最大変速比γmaxよりもロー側の変速比となる1つの変速段が形成されるギヤ伝動機構であったが、これに限らない。例えば、ギヤ伝動機構28は、変速比が異なる複数の変速段が形成されるギヤ伝動機構であっても良い。つまり、ギヤ伝動機構28は2段以上に変速される有段変速機であっても良い。又、ギヤ伝動機構28は、無段変速機24の最小変速比γminよりもハイ側の変速比、及び最大変速比γmaxよりもロー側の変速比を形成するギヤ伝動機構であっても良い。
また、前述の実施例では、動力伝達装置16の走行モードを、所定の変速マップを用いて切り替えたが、これに限らない。例えば、車速Vとアクセル開度θaccに基づいて運転者の駆動要求量(例えば要求トルク)を算出し、その要求トルクを満たすことができる変速比を設定することで、動力伝達装置16の走行モードを切り替えても良い。
また、前述の実施例では、駆動力源としてエンジン12を例示したが、これに限らない。例えば、前記駆動力源は、電動機等の他の原動機を単独で或いはエンジン12と組み合わせて採用することもできる。又、エンジン12の動力は、トルクコンバータ20を介して入力軸22へ伝達されたが、これに限らない。例えば、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。又、噛合式クラッチD1が例えば摩擦クラッチであっても本発明は適用され得る。この場合、C1回転速度Nc1を用いてシンクロメッシュ機構S1の動作判定が行われる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
12:エンジン(駆動力源)
14:駆動輪
16:動力伝達装置
20:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
22:入力軸(入力回転部材)
24:無段変速機(無段変速部)
28:ギヤ伝動機構(ギヤ伝動部)
30:出力軸(出力回転部材)
66:プライマリプーリ
86:ロックアップクラッチ制御弁
88:フェールセーフ弁
89:切替弁
90:電子制御装置(制御装置)
Clu:ロックアップクラッチ
D1:噛合式クラッチ(係合装置)
SLG:シンクロ用電磁弁(係合装置用電磁弁)
SLP:プライマリ用電磁弁
SLU:ロックアップクラッチ用電磁弁
14:駆動輪
16:動力伝達装置
20:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
22:入力軸(入力回転部材)
24:無段変速機(無段変速部)
28:ギヤ伝動機構(ギヤ伝動部)
30:出力軸(出力回転部材)
66:プライマリプーリ
86:ロックアップクラッチ制御弁
88:フェールセーフ弁
89:切替弁
90:電子制御装置(制御装置)
Clu:ロックアップクラッチ
D1:噛合式クラッチ(係合装置)
SLG:シンクロ用電磁弁(係合装置用電磁弁)
SLP:プライマリ用電磁弁
SLU:ロックアップクラッチ用電磁弁
Claims (1)
- 駆動力源の動力が伝達される入力回転部材と駆動輪へ前記動力を出力する出力回転部材との間の動力伝達経路に並列に設けられた、ギヤ伝動部及び無段変速部と、前記駆動力源の動力を前記入力回転部材へ伝達するロックアップクラッチ付きの流体式伝動装置と、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動力源の動力を前記駆動輪側へ伝達する動力伝達経路を断接する係合装置と、前記無段変速部のプライマリプーリへ供給する油圧を制御するプライマリ用電磁弁と、前記係合装置を作動させる為の油圧を制御する係合装置用電磁弁と、前記ロックアップクラッチの係合と解放とを切り替えるロックアップクラッチ制御弁と、前記ロックアップクラッチ制御弁へ油圧を供給して前記ロックアップクラッチを係合するロックアップクラッチ用電磁弁とを備えた動力伝達装置の、制御装置であって、
前記動力伝達装置は、前記プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したときに前記ロックアップクラッチを解放する為の所定油圧を前記ロックアップクラッチ制御弁へ供給するように油路を切り替えるフェールセーフ弁と、前記プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したときに前記係合装置用電磁弁が出力する油圧を前記係合装置側へ供給する油路を遮断する切替弁とを備えており、
前記係合装置が解放された状態であって前記ロックアップクラッチ用電磁弁に対する前記ロックアップクラッチの係合指令時に前記ロックアップクラッチが解放された状態である場合は、前記係合装置用電磁弁から油圧を出力させた際の前記係合装置の動作に基づいて、前記ロックアップクラッチ用電磁弁が油圧を出力しない側で故障したか、前記プライマリ用電磁弁が油圧を出力する側で故障したかを判定することを特徴とする動力伝達装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015082101A JP2016200250A (ja) | 2015-04-13 | 2015-04-13 | 動力伝達装置の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015082101A JP2016200250A (ja) | 2015-04-13 | 2015-04-13 | 動力伝達装置の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016200250A true JP2016200250A (ja) | 2016-12-01 |
Family
ID=57423949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015082101A Pending JP2016200250A (ja) | 2015-04-13 | 2015-04-13 | 動力伝達装置の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016200250A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019152225A (ja) * | 2018-02-28 | 2019-09-12 | トヨタ自動車株式会社 | 動力伝達装置 |
-
2015
- 2015-04-13 JP JP2015082101A patent/JP2016200250A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019152225A (ja) * | 2018-02-28 | 2019-09-12 | トヨタ自動車株式会社 | 動力伝達装置 |
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