JP2017211050A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両用動力伝達装置16において、タイアップを回避するために設けられたフェールセーフ弁86のフェール位置Failからノーマル位置Normalへの復帰時における噛合式クラッチD1のギヤ鳴りを抑制する。【解決手段】フェールセーフ弁86がフェール位置Failからノーマル位置Normalへ復帰した場合に、噛合式クラッチD1と同一の動力伝達経路PT1に設けられた第1クラッチC1を解放した後に噛合式クラッチD1を係合することによって噛合式クラッチD1に発生するギヤ鳴りを抑制することができる。【選択図】図6

Description

本発明は、駆動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に並列に設けられた2つの変速部を備える動力伝達装置の制御装置に関するものである。
駆動源の動力が伝達される入力軸と駆動輪への前記動力を伝達する出力軸との間の動力伝達経路に並列に設けられた2つの変速部を備える動力伝達装置が良く知られている。たとえば、特許文献1に記載された車両用動力伝達装置がそれである。この特許文献1には、入力軸と出力軸との間に、ギヤ列を介した動力伝達経路と、ベルト式の無段変速機を介した動力伝達経路とが並列に設けられた動力伝達経路が開示されている。また、ギヤ列を介した動力伝達経路と入力軸との間には動力の伝達と遮断を行う第1摩擦クラッチが設けられるとともに、ギヤ列を介した動力伝達経路内に噛合式クラッチが設けられ、無段変速機を介した動力伝達路と出力軸との間には動力の伝達と遮断を行う第2摩擦クラッチが設けられている。
特開2015−105708号公報
ところで、各々油圧供給により係合される係合装置の同時係合、たとえば特許文献1に開示された車両用動力伝達装置における第1摩擦クラッチと第2摩擦クラッチとの同時係合、すなわちギヤ列を介した動力伝達経路と、ベルト式の無段変速機を介した動力伝達経路とが同時に作動することを回避するために、2つの係合装置へそれぞれ油圧を供給する各油路の内いずれかの油路を遮断するフェールセーフ弁を設けることが考えられる。たとえば、フェールセーフ弁がノーマル位置において前記第1摩擦クラッチと前記噛合式クラッチとに油圧を供給する油路を解放するとともに、第2摩擦クラッチに油圧を供給する油路を遮断し、フェール位置において前記第1摩擦クラッチと前記噛合式クラッチとに油圧を供給する油路を遮断するとともに前記第2摩擦クラッチに油圧を供給する油路を解放する場合に、たとえば、ギヤ列を介した動力伝達経路によって動力伝達が行われている際に意図しないフェール位置への切り替わりが生じた後、ノーマル位置へ復帰した場合、前記第1摩擦クラッチへの油圧と前記噛合式クラッチとに油圧が同時に供給されることとなり、前記第1摩擦クラッチへの油圧が噛合式クラッチへの油圧よりも先に供給され、前記噛合式クラッチのギヤ鳴りおよび前記噛合式クラッチを同期係合するシンクロ機構のギヤ鳴りが発生する虞が生じる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、噛合式クラッチが第1摩擦クラッチよりも先に係合されることによって、噛合式クラッチの係合時にギヤ鳴りを発生することを効果的に抑制することにある。
本発明の要旨とするところは、(a)駆動源の動力が伝達される入力軸と前記動力を駆動輪へ伝達する出力軸との間に設けられたギヤ伝動部と、前記駆動源の動力が伝達される前記入力軸と前記動力を前記駆動輪へ伝達する前記出力軸との間に前記ギヤ伝動部と並列に設けられた無段変速部と、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動源の動力を伝達する第1動力伝達経路を断接する第1摩擦クラッチおよび噛合式クラッチと、前記無段変速部を介して前記駆動源の動力を伝達する第2動力伝達経路を断接する第2摩擦クラッチと、を備えた動力伝達装置の車両用制御装置であって、(b)ノーマル位置において前記第1摩擦クラッチと前記噛合式クラッチとに油圧を供給する油路を解放するとともに第2摩擦クラッチに油圧を供給する油路を遮断し、フェール位置において前記第1摩擦クラッチと前記噛合式クラッチとに油圧を供給する油路を遮断するとともに前記第2摩擦クラッチに油圧を供給する油路を解放するフェールセーフ弁と、(c)前記フェールセーフ弁が前記フェール位置からノーマル位置へ復帰させられた場合は、前記第1摩擦クラッチの解放完了の判定後、前記噛合式クラッチの係合を開始し、前記噛合式クラッチの係合完了の判定後、前記ギヤ伝動部による走行を許可するフェールセーフ復帰時制御手段とを、備えることを特徴とする。
このようにすれば、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動源の動力を伝達する際に、フェールセーフ弁が作動しフェール位置に一旦切り替わった後にノーマル位置に復帰した場合においても、前記第1摩擦クラッチの解放完了の判定後、前記噛合式クラッチの係合を開始し、前記噛合式クラッチの係合完了の判定後、前記ギヤ伝動部による走行が許可されることとなる。したがって前記第1摩擦クラッチの解放完了の判定後に前記咬合式クラッチの係合が開始され、前記咬合式クラッチの係合完了の判定後に前記第1摩擦クラッチの係合が行われるので、前記咬合式クラッチのギヤ鳴りを抑制することができる。
本発明が適用される車両の概略構成を説明する図である。 図1の車両における動力伝達装置の走行パターンの切り替わりを説明する為の図である。 図1の車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。 図3の油圧制御回路のうちで無段変速機と第1クラッチと第2クラッチと噛合式クラッチとに関わる油圧を制御する部分を説明する図である。 フェールセーフ弁の構成を説明する図である。 図4のフェールセーフ弁の切り替わりに基づく第1摩擦クラッチ、第2摩擦クラッチ、噛合クラッチへ供給される油圧の変動を示すタイムチャートの一例である。 本発明が適用される制御作動の要部、すなわち第1摩擦クラッチの係合前に噛合クラッチを係合する制御作動を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、非回転部材としてのハウジング18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された入力軸22、入力軸22に連結された無段変速部としての公知のベルト式の無段変速機24、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置26、前後進切替装置26を介して入力軸22に連結されて無段変速機24と並列に設けられたギヤ伝動部としてのギヤ伝動機構28、無段変速機24及びギヤ伝動機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30及びカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36に連結されたデフギヤ38、デフギヤ38に連結された1対の車軸40等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、トルクコンバータ20、無段変速機24(或いは前後進切替装置26及びギヤ伝動機構28)、減速歯車装置34、デフギヤ38、及び車軸40等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。
このように、動力伝達装置16は、エンジン12(ここではエンジン12の動力が伝達される入力回転部材である入力軸22も同意)と駆動輪14(ここでは駆動輪14へエンジン12の動力を出力する出力回転部材である出力軸30も同意)との間の動力伝達経路に並列に設けられた、第1変速部としてのギヤ伝動機構28及び第2変速部としての無段変速機24を備えている。よって、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する第1動力伝達経路PT1と、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する第2動力伝達経路PT2との複数の動力伝達経路PTを、入力軸22と出力軸30との間に並列に備えている。動力伝達装置16は、車両10の走行状態に応じてその第1動力伝達経路PT1とその第2動力伝達経路PT2とが切り替えられる。その為、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を駆動輪14側へ伝達する動力伝達経路PTを、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とで選択的に切り替える複数の係合装置を備えている。この係合装置は、第1動力伝達経路PT1を断接する第1係合装置(換言すれば係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する第1係合装置)としての第1摩擦クラッチC1(以降第1クラッチと呼ぶ)及び第1ブレーキB1と、第2動力伝達経路PT2を断接する第2係合装置(換言すれば、係合されることで第2動力伝達経路PT2を形成する第2係合装置)としての第2摩擦クラッチC2(以降第2クラッチと呼ぶ)とを含んでいる。第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2は、断接装置に相当するものであり、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式摩擦係合装置(摩擦クラッチ)である。第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、第1摩擦クラッチに相当し、第2クラッチC2は、第2摩擦クラッチに相当する。又、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、各々、後述するように、前後進切替装置26を構成する要素の1つである。
トルクコンバータ20は、入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備えている。ポンプ翼車20pには、無段変速機24を変速制御したり、前記複数の係合装置を作動したり、動力伝達装置16の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ42が連結されている。
前後進切替装置26は、第1動力伝達経路PT1において入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26p、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置26pは、入力要素としてのキャリヤ26cと、出力要素としてのサンギヤ26sと、反力要素としてのリングギヤ26rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリヤ26cは入力軸22に一体的に連結され、リングギヤ26rは第1ブレーキB1を介してハウジング18に選択的に連結され、サンギヤ26sは入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に相対回転可能に設けられた小径ギヤ44に連結されている。又、キャリヤ26cとサンギヤ26sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。よって、第1クラッチC1は、前記3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する係合装置であり、第1ブレーキB1は、前記反力要素をハウジング18に選択的に連結する係合装置である。
ギヤ伝動機構28は、小径ギヤ44と、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられてその小径ギヤ44と噛み合う大径ギヤ48とを備えている。又、ギヤ伝動機構28は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転可能に設けられたアイドラギヤ50と、出力軸30回りにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてそのアイドラギヤ50と噛み合う出力ギヤ52とを備えている。出力ギヤ52は、アイドラギヤ50よりも大径である。従って、ギヤ伝動機構28は、入力軸22と出力軸30との間の動力伝達経路PTにおいて、所定の変速比(変速段)としての1つの変速比(変速段)が形成されるギヤ伝動機構である。ギヤ機構カウンタ軸46回りには、更に、大径ギヤ48とアイドラギヤ50との間に、これらの間を選択的に断接する噛合式クラッチD1が設けられている。噛合式クラッチD1は、動力伝達装置16に備えられて、前後進切替装置26(前記第1摩擦クラッチも同意)と出力軸30との間の動力伝達経路に配設された(換言すれば前記第1摩擦クラッチよりも出力軸30側に設けられた)、第1動力伝達経路PT1を断接する第3係合装置(換言すれば前記第1摩擦クラッチと共に係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する第3係合装置)として機能するものであり、前記複数の係合装置に含まれる。
具体的には、噛合式クラッチD1は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられたクラッチハブ54と、アイドラギヤ50とクラッチハブ54との間に配置されてそのアイドラギヤ50に固設されたクラッチギヤ56と、クラッチハブ54に対してスプライン嵌合されることによりギヤ機構カウンタ軸46の軸心回りの相対回転不能且つその軸心と平行な方向の相対移動可能に設けられた円筒状のスリーブ58とを備えている。クラッチハブ54と常に一体的に回転させられるスリーブ58がクラッチギヤ56側へ移動させられてそのクラッチギヤ56と噛み合わされることで、アイドラギヤ50とギヤ機構カウンタ軸46とが接続される。更に、噛合式クラッチD1は、スリーブ58とクラッチギヤ56とを嵌合する際に回転を同期させる、同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備えている。このように構成された噛合式クラッチD1では、フォークシャフト60が油圧アクチュエータ62によって作動させられることにより、フォークシャフト60に固設されたシフトフォーク64を介してスリーブ58がギヤ機構カウンタ軸46の軸心と平行な方向に摺動させられ、係合状態と解放状態とが切り替えられる。
第1動力伝達経路PT1は、噛合式クラッチD1と噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1クラッチC1(又は第1ブレーキB1)とが共に係合されることで形成される。第1クラッチC1の係合により前進用動力伝達経路が形成され、第1ブレーキB1の係合により後進用動力伝達経路が形成される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第1動力伝達経路PT1は、少なくとも第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に解放されるか、或いは少なくとも噛合式クラッチD1が解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
無段変速機24は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ66と、出力軸30と同軸心の回転軸68に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ70と、それら各プーリ66,70の間に巻き掛けられた伝動ベルト72とを備え、各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力(ベルト挟圧力)を介して動力伝達が行われる。プライマリプーリ66では、プライマリプーリ66へ供給する油圧(すなわちプライマリ側油圧シリンダ66cへ供給されるプライマリ圧Pin)が電子制御装置90(図3,4参照)により駆動される油圧制御回路80(図3,4参照)によって調圧制御されることにより、各シーブ66a,66b間のV溝幅を変更するプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)が付与される。又、セカンダリプーリ70では、セカンダリプーリ70へ供給する油圧(すなわちセカンダリ側油圧シリンダ70cへ供給されるセカンダリ圧Pout)が油圧制御回路80によって調圧制御されることにより、各シーブ70a,70b間のV溝幅を変更するセカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)が付与される。無段変速機24では、プライマリ推力Win(プライマリ圧Pin)及びセカンダリ推力Wout(セカンダリ圧Pout)が各々制御されることで、各プーリ66,70のV溝幅が変化して伝動ベルト72の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリプーリ回転速度Npri/セカンダリプーリ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト72が滑りを生じないように各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力が制御される。
出力軸30は、回転軸68回りにその回転軸68に対して同軸心に相対回転可能に配置されている。第2クラッチC2は、無段変速機24よりも駆動輪14(ここでは出力軸30も同意)側に設けられており(すなわちセカンダリプーリ70と出力軸30との間に設けられており)、セカンダリプーリ70(回転軸68)と出力軸30との間を選択的に断接する。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が解放されると、ニュートラル状態とされる。
動力伝達装置16の作動について、以下に説明する。図2は、電子制御装置90により切り替えられる動力伝達装置16の各走行パターン(走行モード)毎の係合装置の係合表を用いて、その走行パターンの切り替わりを説明する為の図である。図2において、C1は第1クラッチC1の作動状態に対応し、C2は第2クラッチC2の作動状態に対応し、B1は第1ブレーキB1の作動状態に対応し、D1は噛合式クラッチD1の作動状態に対応し、「○」は係合(接続)を示し、「×」は解放(遮断)を示している。
図2において、ギヤ伝動機構28を介して(すなわち第1動力伝達経路PT1を介して)エンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行パターンであるギヤ走行では、第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が解放される。このギヤ走行の走行パターンでは前進走行が可能となる。尚、第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1クラッチC1が解放される、ギヤ走行の走行パターンでは、後進走行が可能となる。
又、無段変速機24を介して(すなわち第2動力伝達経路PT2を介して)エンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行パターンであるCVT走行(ベルト走行、無段変速走行)では、第2クラッチC2が係合され且つ第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が解放される。このCVT走行の走行パターンでは前進走行が可能となる。このCVT走行のうちでCVT走行(中車速)の走行パターンでは噛合式クラッチD1が係合される一方で、CVT走行(高車速)の走行パターンでは噛合式クラッチD1が解放される。このCVT走行(高車速)中に噛合式クラッチD1が解放されるのは、例えばCVT走行中のギヤ伝動機構28等の引き摺りをなくすと共に、高車速においてギヤ伝動機構28や遊星歯車装置26pの構成部材(例えばピニオンギヤ)等が高回転化するのを防止する為である。噛合式クラッチD1は、駆動輪14側からの入力を遮断する被駆動入力遮断クラッチとして機能する。
前記ギヤ走行は、例えば車両停止中を含む低車速領域において選択される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比γgear(すなわちギヤ伝動機構28により形成される変速比EL)は、第2動力伝達経路PT2にて形成される最大変速比(すなわち無段変速機24により形成される最低車速側の変速比である最ロー変速比)γmaxよりも大きな値(すなわちロー側の変速比)に設定されている。つまり、無段変速機24は、ギヤ伝動機構28により形成される変速比ELよりも高車速側(ハイ側)の変速比γcvtを形成する。例えば変速比ELは、動力伝達装置16における第1速変速段の変速比γである第1速変速比γ1に相当し、無段変速機24の最ロー変速比γmaxは、動力伝達装置16における第2速変速段の変速比γである第2速変速比γ2に相当する。その為、ギヤ走行とCVT走行とは、例えば公知の有段変速機の変速マップにおける第1速変速段と第2速変速段とを切り替える為の変速線に従って切り替えられる。又、CVT走行においては、例えば公知の手法を用いて、アクセル開度や車速などの走行状態に基づいて変速比γcvtが変化させられる変速が実行される。
ギヤ走行からCVT走行(高車速)、或いはCVT走行(高車速)からギヤ走行へ切り替えられる際には、図2に示すように、CVT走行(中車速)を経由して切り替えられる。例えばギヤ走行からCVT走行(高車速)へ切り替えられる場合、第1クラッチC1を解放して第2クラッチC2を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばクラッチツゥクラッチ変速(以下、CtoC変速という))が実行されてCVT走行(中車速)に切り替えられ、その後、噛合式クラッチD1が解放される。又、例えばCVT走行(高車速)からギヤ走行へ切り替えられる場合、ギヤ走行への切替準備として噛合式クラッチD1が係合されてCVT走行(中車速)に切り替えられ、その後、第2クラッチC2を解放して第1クラッチC1を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばCtoC変速)が実行される。
図3は、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図3において、車両10は、例えば動力伝達装置16の制御装置を含む電子制御装置90を備えている。よって、図3は、電子制御装置90の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置90による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置90は、エンジン12の出力制御、無段変速機24の変速制御、動力伝達装置16の走行パターンの切替制御等を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10が備える各種センサ(例えば各種回転速度センサ102,104,106、108、アクセル開度センサ110、ストロークセンサ112など)による検出信号に基づく各種実際値(例えばエンジン回転速度Ne、入力軸回転速度Ninであるプライマリプーリ回転速度Npri、回転軸68の回転速度であるセカンダリプーリ回転速度Nsec、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout、アクセル開度θacc、噛合式クラッチD1を解放完了状態とするスリーブ58の解放側位置と噛合式クラッチD1を係合完了状態とするスリーブ58の係合側位置との間におけるスリーブ58の位置情報に対応するシフトフォーク64(又はフォークシャフト60など)の移動位置であるシンクロ位置Psyncなど)が、それぞれ供給される。又、電子制御装置90からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機24の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Scvt、動力伝達装置16の走行パターンの切替えに関連する第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、及び噛合式クラッチD1を制御する為の油圧制御指令信号Sswt等が、それぞれ出力される。例えば、油圧制御指令信号Sswtとして、第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、噛合式クラッチD1の各々の油圧アクチュエータへ供給される各油圧を調圧する各ソレノイド弁を駆動する為の指令信号(油圧指令)が油圧制御回路80へ出力される。
図4は、動力伝達装置16に備えられた油圧制御回路80のうちで無段変速機24と第1クラッチC1と第2クラッチC2と噛合式クラッチD1とに関わる油圧を制御する部分を説明する図である。油圧制御回路80は、プライマリプーリ66へ供給するプライマリ圧Pin、すなわち同油圧であるプライマリ用電磁弁SLPから出力される油圧Pslpを制御するプライマリ用電磁弁SLP、セカンダリプーリ70へ供給するセカンダリ圧Pout(Psls)を制御するセカンダリ用電磁弁SLSと、第1クラッチC1へ供給するC1圧Pc1(Psl1)を制御するC1用電磁弁SL1と、第2クラッチC2へ供給するC2圧Pc2(Psl2)を制御するC2用電磁弁SL2と、シンクロメッシュ機構S1を作動させる油圧アクチュエータ62へ供給するシンクロ制御圧Ps1(Pslg)を制御するシンクロ用電磁弁SLGとを備えている。なお、図4には、フェールセーフ弁86は省略され、記載されていない。
図5は、フェールセーフ弁86の構成を説明する図である。図5において、フェールセーフ弁86は、スプリングSP、入力ポートPi、排出ポートPex、シンクロ入力ポートPt、シンクロ入力ポートPtと連通もしくは遮断するシンクロ出力ポートPs、入力ポートPi及び排出ポートPexと択一的に連通する出力ポートPo、径差ポートPd、及び油室Pcを有している。フェールセーフ86は、バルブボデー内において、所定の移動ストロークで摺動可能に収容され且つスプリングSPによって一方向に付勢されたスプール弁子SVを備え、そのスプール弁子SVが摺動ストロークの一端及び他端へ移動させられることに応じて、入力ポートPiと出力ポートPoとを連通させるとともにシンクロ入力ポートPtとシンクロ出力ポートPsとを連通させるか、或いは排出ポートPexと出力ポートPoとを連通させるとともにシンクロ入力ポートPtとシンクロ出力ポートPsとを遮断する型式の良く知られたスプール弁により構成されている。入力ポートPi及び径差ポートPdには、第1クラッチC1用電磁弁SL1からSL1圧Psl1が供給される油路Lsl1が接続される。排出ポートPexには、排出油路Lexが接続される。出力ポートPoには、C1圧Pc1を供給する油路Lc1が接続される。油室Pcには、C2用電磁弁SL2からSL2圧Psl2が供給される油路Lsl2が接続される。シンクロ入力ポートPtには、シンクロ用電磁弁SLGからSLG圧Pslgを供給する油路Lslgが接続される。シンクロ出力ポートPsには、S1圧Ps1を供給する油路Ls1が接続される。このように構成されたフェールセーフ弁86は、SL1圧Psl1及びSL2圧Psl2に基づいて、油路Lsl1と油路Lc1との接続および油路Lslgと油路Ls1とを接続するノーマル位置(図5のNormal側の弁位置参照)と、排出油路Lexと油路Lc1との接続および油路Lslgと油路Ls1とを遮断するフェール位置(図5のFail側の弁位置参照)とが択一的に切り替えられる。
フェールセーフ弁86において、スプリングSPは、スプール弁子SVをノーマル位置Normalに保持する為の付勢力を発生する。SL1圧Psl1及びSL2圧Psl2は、スプリングSPの付勢力に抗して、スプール弁子SVをフェール位置Failへ切り替える為の推力を発生する。フェールセーフ弁86は、所定圧以上となる、SL1圧Psl1とSL2圧Psl2との合計油圧が作用させられると、フェール位置Failへ切り替えられる。これにより、油路Lc1が排出油路Lexへ接続されることで(換言すればC1圧Pc1を供給する油路Lc1が遮断されることで)第1クラッチC1へはC1圧Pc1(SL1圧Psl1)が供給されず第1クラッチC1は解放されるので、第1動力伝達経路PT1は動力伝達遮断状態とされる。よって、第1クラッチC1と第2クラッチC2との同時係合が回避され、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とが共に形成されることによる動力伝達装置16のタイアップが回避される。また、シンクロ用電磁弁SLGからシンクロメッシュ機構S1への油路Ls1が遮断されることによってシンクロ用電磁弁SLGの油圧Pslgも供給を遮断される。
図3に戻り、電子制御装置90は、エンジン出力制御手段92、車両状態判定手段94、フェール判定手段96、フェールセーフ復帰時制御手段98、変速制御手段100とを備えている。
エンジン出力制御手段92は、例えば予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)関係(例えば駆動力マップ)にアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで要求駆動力Fdemを算出し、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetgtを設定し、その目標エンジントルクTetgtが得られるようにエンジン12を出力制御するエンジン出力制御指令信号Seをそれぞれスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置などへ出力する。
変速制御手段100は、車両停止中には、ギヤ走行に備えて、油圧アクチュエータ62による噛合式クラッチD1の係合作動を行う指令を油圧制御回路80へ出力する。その後、変速制御手段100は、シフトレバーが前進走行操作位置D(或いは後進走行操作位置R)に切り替えられた場合、第1クラッチC1(或いは第1ブレーキB1)を係合する指令を油圧制御回路80へ出力する。
又、変速制御手段100は、CVT走行において、例えば予め定められた関係(例えばCVT変速マップ、ベルト挟圧力マップ)にアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、無段変速機24のベルト滑りが発生しないようにしつつエンジン12の動作点が所定の最適ライン(例えばエンジン最適燃費線)上となる無段変速機24の目標変速比γtgtを達成する為のプライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutの各油圧指令(油圧制御指令信号Scvt)を決定し、それら各油圧指令を油圧制御回路80へ出力して、CVT変速を実行する。
又、変速制御手段100は、ギヤ走行とCVT走行とを切り替える切替制御を実行する。具体的には、変速制御手段100は、例えばギヤ走行における変速比ELとCVT走行における最ロー変速比γmaxとを切り替える為の所定のヒステリシスを有したアップシフト線及びダウンシフト線に車速V及びアクセル開度θaccを適用することで変速比γの切替えを判断し、その判断結果に基づいて走行パターンを切り替える。
変速制御手段100は、ギヤ走行中にアップシフトを判断してギヤ走行からCVT走行(中車速)へ切り替える場合、CtoC変速を実行する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2へ切り替えられる。変速制御手段100は、CVT走行(中車速)からCVT走行(高車速)へ切り替える場合、油圧アクチュエータ62による噛合式クラッチD1の解放作動を行う指令を油圧制御回路80へ出力する。又、変速制御手段100は、CVT走行(高車速)からCVT走行(中車速)へ切り替える場合、油圧アクチュエータ62による噛合式クラッチD1の係合作動を行う指令を油圧制御回路80へ出力する。変速制御手段100は、CVT走行(中車速)中にダウンシフトを判断してギヤ走行へ切り替える場合、CtoC変速を実行する。これにより、動力伝達装置16における動力伝達経路PTは、第2動力伝達経路PT2から第1動力伝達経路PT1へ切り替えられる。ギヤ走行とCVT走行とを切り替える切替制御では、CVT走行(中車速)の状態を経由することで、CtoC変速によるトルクの受け渡しを行うだけで第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とが切り替えられるので、切替えショックが抑制される。
ところで、油圧制御回路80中の制御弁の固着等の故障によって走行中にフェールセーフ弁86がフェール側に切り替えられた場合、第1クラッチC1および噛合式クラッチD1への油圧供給が停止され、フェールセーフ弁86がノーマル位置Normalに回復した時点で第1クラッチC1および噛合式クラッチD1への油圧供給が同時に再開される。この油圧供給の再開時において、第1クラッチC1への油圧Pc1が噛合式クラッチD1への油圧、すなわちシンクロメッシュ機構S1への油圧Ps1より早く供給された場合、噛合式クラッチD1の特にスリーブ58とクラッチギヤ56とにおいて、ギヤの歯先が噛み合わないいわゆる押し分け不良およびギヤ鳴りが発生する虞が生じる。
図6は、フェールセーフ弁86が一旦フェール位置Failに移動後、ノーマル位置Normalに戻った場合の一例であり、第1クラッチC1、第2クラッチC2、噛合式クラッチD1それぞれに供給される油圧Pc1、Pc2、Ps1を示している。C1用電磁弁SL1が第1クラッチC1に供給する油圧Pc1は、t0時点において第1クラッチC1の解放時の油圧P4を示し、t2時点から油圧Pc1は上昇を開始し、フェールセーフ弁86がフェール位置Failに移動したt3時点においてP3に達している。一方、C2用電磁弁SL2が第2クラッチC2に供給する油圧Pc2は、t0時点において係合油圧であるP2を示し、t1時点から油圧Pc2は減少している。このようにt1時点からt3時点においては、第1クラッチC1が係合に移行し第2クラッチC2が解放に移行するいわゆるCtoC変速を実行する油圧供給が行われている。一方、シンクロ用電磁弁SLGが油圧アクチュエータ62へ供給するシンクロ制御圧Ps1は、t0時点からt3時点まで、係合を維持する油圧P5を維持している。フェールセーフ弁86がフェール位置Failとなったt3時点からt4時点において、第1クラッチC1用電磁弁SL1が第1クラッチC1に供給する油圧Pc1は開放油圧であるP4に減少し、シンクロ制御圧Ps1も油圧Pc1と比較すると遅れてはいるが解放油圧であるP6に減少している。またC2用電磁弁SL2が第2クラッチC2に供給する油圧Pc2も解放油圧P4に向かって減少している。t4時点において、フェールセーフ弁86はノーマル位置Normalに回復し、第1クラッチC1に供給する油圧Pc1はt5時点において係合油圧であるP1に達している。一方シンクロ制御圧Ps1は、t4時点以降徐々に係合油圧であるP5に向かって上昇している。たとえばノーマル位置Normalに復帰後、第1クラッチC1への油圧Pc1の立ち上がりが遅く、第1クラッチC1の係合前にシンクロ制御圧Ps1が係合圧近くまで立ち上がった場合、もしくはフェールにおけるシンクロ制御圧Ps1の減少が少なかった場合等には、第1クラッチC1の係合に先立ってシンクロメッシュ機構S1の作動が開始され、前述の噛合式クラッチD1の特にスリーブ58とクラッチギヤ56におけるギヤの押し分け不良およびギヤ鳴りの発生する可能性が生じる。
図3における車両状態判定手段94は、車両10の走行がベルト走行か否かを、たとえばセカンダリプーリ回転速度Nsecから判定する。この判定が否定された場合は、車両状態判定手段94は、シンクロメッシュ機構S1への油圧指示、すなわちシンクロONへの油圧指令信号が出されているか否かを判定する。この判定が肯定された場合は、フェール判定手段96は、シンクロメッシュ機構S1が解放されているか否かをシンクロ位置センサ112の検出信号に基づくシンクロ位置の実際値Psyncから判定する。この判定が肯定される場合は、シンクロONへの油圧指令信号が出されているにも係わらずシンクロが解放されていることから、フェールセーフ弁86がフェール位置Failにあるものと判定する。
フェールセーフ復帰時制御手段98は、フェールセーフ弁86がノーマル位置Normalに回復した場合に発生する虞のある押し分け不良およびギヤ鳴りを防止するための制御を行う。フェールセーフ復帰時制御手段98は、シンクロOFF、強制アップシフトすなわち第1クラッチC1の解放と第2クラッチC2の係合と、ダウンシフトの禁止とを指示する信号を変速制御手段100に送る。また、フェールセーフ復帰時御手段98は、第1クラッチC1の解放が完了したか否かを第1クラッチC1に油圧を供給するC1用電磁弁SL1への油圧制御指令信号Sswtから判断する。この判定が肯定された場合、すなわちCVT走行への切り替えが完了するとともに第1クラッチC1の解放が完了されたことが肯定された場合、フェールセーフ復帰時制御手段98は、変速制御手段100にシンクロON制御の開始、すなわちシンクロメッシュ機構S1の係合の開始を指示する。変速制御手段100はその指示に基づいて、第1クラッチC1の係合に先立ってシンクロメッシュ機構S1による噛合式クラッチD1の係合を実行する。フェールセーフ復帰時制御手段98は、シンクロメッシュ機構S1による噛合式クラッチD1の係合が完了したことを、たとえばシンクロ位置センサ112から出力されたシンクロ位置Psyncから判断すると、変速制御手段100にダウンシフトを許可する。変速制御手段100は、アップシフト線及びダウンシフト線に車速V及びアクセル開度θaccを適用することで変速比γの切替えを判断し、その判断結果に基づき走行パターンの切替えを行う。
図7は、電子制御装置90の制御作動の要部すなわち動力伝達装置16のタイアップの発生を防ぐとともにフェールセーフ弁86がフェール位置Failに切り換えられた場合にノーマル位置Normalに回復後のギヤの押し分け不良およびギヤ鳴りを抑制するための制御作動を説明するフローチャートであり、繰り返し実行される。車両状態判定手段94の対応するステップS10(以下、ステップを省略する)において、CVT走行(ベルト走行中)であるか否かが判定される。このS10判定が肯定される場合は、本ルーチンが終了させられる。この判断が否定される場合、すなわちCVT走行ではない場合は車両状態判定手段94の対応するS20において、シンクロメッシュ機構S1への油圧指示、すなわちシンクロONへの油圧指令信号が出されているか否かが判定される。このS20判定が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。この判断が肯定される場合はフェール判定手段96に対応するS30において、シンクロメッシュ機構S1が解放されているか否かが判定される。このS30の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。この判断が肯定される場合はフェールセーフ復帰時制御手段98と変速制御手段100とに対応するS40において、シンクロOFF、強制アップシフトすなわち第1クラッチC1の解放と第2クラッチC2の係合と、ダウンシフトの禁止とが実行される。フェールセーフ復帰時制御手段98に対応するS50において、第1クラッチC1が解放されているか否かが判定される。このS50判断が否定される場合は、S40におけるシンクロOFF、強制アップシフトすなわち第1クラッチC1の解放と第2クラッチC2の係合と、ダウンシフトの禁止とが継続され、S50の判断が肯定される場合はフェールセーフ復帰時制御手段98と変速制御手段100とに対応するS60においてシンクロON制御の開始、すなわちシンクロメッシュ機構S1による噛合式クラッチD1の係合が開始される。次いでフェールセーフ復帰時制御手段98と変速制御手段100とに対応するS70において、シンクロ係合の完了が判定される。このS70の判断が否定されると、S60におけるシンクロON制御が継続され、この判断が肯定される場合はフェールセーフ復帰時制御手段98と変速制御手段100とに対応するS80においてダウンシフトが許可される。
上述のように、本実施例によれば、ギヤ走行中においてフェールセーフ弁86が、たとえば何らかの理由によりフェールセーフ弁86がフェール位置Failに一旦切り替わった後にノーマル位置Normalに復帰した場合においても、第1クラッチC1の開放完了の判定後、噛合式クラッチD1の係合を開始し、噛合式クラッチD1の係合完了の判定後、ギヤ走行が許可されることとなる。このように噛合式クラッチD1の係合時に第1クラッチC1は解放されているので咬合式クラッチD1のギヤ鳴りを抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、ベルト走行中であるか否かをセカンダリプーリ回転速度Nsecから判定するものとしたが、この様態に限らない。たとえば無段変速機24の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Scvtからベルト走行か否かを判定するものとしても良い。
また、前述の実施例では、ギヤ伝動機構28は、無段変速機24の最大変速比γmaxよりもロー側の変速比となる1つの変速段が形成されるギヤ伝動機構であったが、これに限らない。例えば、ギヤ伝動機構28は、変速比が異なる複数の変速段が形成されるギヤ伝動機構であっても良い。つまり、ギヤ伝動機構28は2段以上に変速される有段変速機であっても良い。又、ギヤ伝動機構28は、無段変速機24の最小変速比γminよりもハイ側の変速比、及び最大変速比γmaxよりもロー側の変速比を形成するギヤ伝動機構であっても良い。
また、前述の実施例では、動力伝達装置16の走行パターンを、所定の変速マップを用いて切り替えたが、これに限らない。例えば、車速Vとアクセル開度θaccに基づいて運転者の駆動要求量(例えば要求トルク)を算出し、その要求トルクを満たすことができる変速比を設定することで、動力伝達装置16の走行パターンを切り替えても良い。
また、前述の実施例では、駆動力源としてエンジン12を例示したが、これに限らない。例えば、前記駆動力源は、電動機等の他の原動機を単独で或いはエンジン12と組み合わせて採用することもできる。又、エンジン12の動力は、トルクコンバータ20を介して入力軸22へ伝達されたが、これに限らない。例えば、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。或いは、この流体式伝動装置は必ずしも設けられなくても良い。
12:エンジン(駆動源)
14:駆動輪
16:動力伝達装置(車両用動力伝達装置)
22:入力軸
24:無段変速機(無段変速部)
28:ギヤ伝動機構(ギヤ伝動部)
30:出力軸
86:フェールセーフ弁
90:電子制御装置(制御装置)
C1:第1クラッチ(第1摩擦クラッチ)
C2:第2クラッチ(第2摩擦クラッチ)
D1:噛合式クラッチ
PT1:第1動力伝達経路
PT2:第2動力伝達経路
Fail:フェール位置
Normal:ノーマル位置

Claims (1)

  1. 駆動源の動力が伝達される入力軸と前記動力を駆動輪へ伝達する出力軸との間に設けられたギヤ伝動部と、前記駆動源の動力が伝達される前記入力軸と前記動力を前記駆動輪へ伝達する前記出力軸との間に前記ギヤ伝動部と並列に設けられた無段変速部と、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動源の動力を伝達する第1動力伝達経路を断接する第1摩擦クラッチおよび噛合式クラッチと、前記無段変速部を介して前記駆動源の動力を伝達する第2動力伝達経路を断接する第2摩擦クラッチと、を備えた動力伝達装置の車両用制御装置であって、
    ノーマル位置において前記第1摩擦クラッチと前記噛合式クラッチとに油圧を供給する油路を解放するとともに第2摩擦クラッチに油圧を供給する油路を遮断し、フェール位置において前記第1摩擦クラッチと前記噛合式クラッチとに油圧を供給する油路を遮断するとともに前記第2摩擦クラッチに油圧を供給する油路を解放するフェールセーフ弁と、
    前記フェールセーフ弁が前記フェール位置からノーマル位置へ復帰させられた場合は、前記第1摩擦クラッチの解放完了の判定後、前記噛合式クラッチの係合を開始し、前記噛合式クラッチの係合完了の判定後、前記ギヤ伝動部による走行を許可するフェールセーフ復帰時制御手段とを、備えることを
    特徴とする動力伝達装置の車両用制御装置。
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