JP2017207100A - 車両用動力伝達装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ギヤ列を介した動力伝達経路と、ベルト式の無段変速機を介した動力伝達経路とを並列に備えた車両用動力伝達装置におけるコースト走行からのシフトダウンにおいて停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御との切替えが可能な車両用動力伝達装置の制御装置に関する。
【解決手段】コースト走行からのシフトダウンにおいて油圧の指示圧の学習値を算出する制御装置において、停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御とのいずれか一方に偏った走行となった場合に、他方の制御の学習が進まないことがある。一方の学習において所定値以上の値への変更が生じた場合に、次回のコースト走行からのシフトダウンにおいて、他方の制御に切り替えることによって双方の学習を進めることができる。
【選択図】図3
【解決手段】コースト走行からのシフトダウンにおいて油圧の指示圧の学習値を算出する制御装置において、停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御とのいずれか一方に偏った走行となった場合に、他方の制御の学習が進まないことがある。一方の学習において所定値以上の値への変更が生じた場合に、次回のコースト走行からのシフトダウンにおいて、他方の制御に切り替えることによって双方の学習を進めることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、駆動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に並列に設けられた2つの変速部を備える車両用動力伝達装置の制御装置に関するものである。
駆動源の動力が伝達される入力軸と駆動輪への前記動力を伝達する出力軸との間の動力伝達経路に並列に設けられた2つの変速部を備える車両用動力伝達装置が良く知られている。たとえば、特許文献1に記載された車両用動力伝達装置がそれである。この特許文献1には、入力軸と出力軸との間に、ギヤ列を介した動力伝達経路と、ベルト式の無段変速機を介した動力伝達経路とが並列に設けられた動力伝達経路が開示されている。また、ギヤ列を介した動力伝達経路と入力軸との間には動力の伝達と遮断を行う第1摩擦クラッチが設けられるとともに、ギヤ列を介した動力伝達経路内に噛合式クラッチが設けられ、無段変速機を介した動力伝達路と出力軸との間には動力の伝達と遮断を行う第2摩擦クラッチが設けられている。
ところで、上記の車両用動力伝達装置においてコースト走行状態における前記無段変速機を介した動力伝達経路から前記ギヤ列を介した動力伝達経路へのダウン変速に際し、たとえば前記第2摩擦クラッチを解放し前記第1摩擦クラッチを半係合とする停止前ニュートラル制御と、前記第2摩擦クラッチを解放し前記第1摩擦クラッチを係合するコーストダウン制御とのいずれかを選択することが考えられる。前記停止前ニュートラル制御は、燃費を重視した走行に用いられ、前記コーストダウン制御は、たとえばパワーモードもしくはマニュアルモード等の動力性能を重視した走行に用いられる。また、前記停止前ニュートラル制御と前記コーストダウン制御とは、前記第1摩擦クラッチと前記第2摩擦クラッチとのそれぞれのユニット公差に基づいて生じる前記停止前ニュートラル制御と前記コーストダウン制御のばらつきを減少するために、一般的に前記第1摩擦クラッチと前記第2摩擦クラッチに供給する油圧の学習制御を行う。しかしながら、燃費を重視した走行、もしくはパワーモードおよびマニュアルモード等の動力性能を重視した走行に偏った走行が選択される場合は、いずれか一方の制御における学習のみが進み、他方の制御における学習が進まない可能性があり、これによって学習が進んでいない制御におけるコースト走行からのダウン変速に際し、トルク変動による大きなショックを発生する虞がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、コースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路へのダウン変速に際し、前記第2摩擦クラッチを解放し前記第1摩擦クラッチを半係合とする停止前ニュートラル制御と、前記第2摩擦クラッチを解放し前記第1摩擦クラッチを係合するコーストダウン制御とのいずれかが選択され、また前記第1摩擦クラッチと前記第2摩擦クラッチに供給する油圧の学習制御が行われる場合に、いずれか一方の制御における学習のみが進み、学習が進んでいない他方の制御が選択された場合に、他方の制御の学習不足に起因するトルク変動による大きなショックの発生を抑制することにある。
本発明の要旨とするところは、(a)駆動源の動力が伝達される入力軸と前記動力を駆動輪へ伝達する出力軸との間に設けられたギヤ伝動部と、前記駆動源の動力が伝達される前記入力軸と前記動力を前記駆動輪へ伝達する前記出力軸との間に前記ギヤ伝動部と並列に設けられた無段変速部と、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動源の動力を伝達する第1動力伝達経路を断接する第1摩擦クラッチと、前記無段変速部を介して前記駆動源の動力を伝達する第2動力伝達経路を断接する第2摩擦クラッチとを備えた車両用動力伝達装置の制御装置であって、(b)コースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路へのダウン変速において、前記第1摩擦クラッチを半係合し前記第2摩擦クラッチを解放する停止前ニュートラル制御手段および、前記第1摩擦クラッチを係合し記第2摩擦クラッチを解放するコーストダウン制御手段のいずれかが選択され、(c)前記停止前ニュートラル制御手段および前記コーストダウン制御手段のうちから選択された一方の制御手段は、コースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路へのダウン変速において、前記第1摩擦クラッチもしくは前記第2摩擦クラッチの学習値を算出するとともに、前記一方の制御手段の学習値が所定値以上の値の値へ更新された場合は、次回のコースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路への切替えにおいて、他方の制御手段を選択することを特徴とする。
このようにすれば、コースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路へのダウン変速に際し、前記停止前ニュートラル制御と前記コーストダウン制御とのいずれか一方の制御を選択することが可能な前記車両用動力伝達装置の制御装置において、前記停止前ニュートラル制御および前記コーストダウン制御の一方による学習が所定値以上進んだ場合に、他方の制御を選択することによって他方の制御における学習も進めることができる。これによって、一方の学習のみが進むことによって、学習が進んでいないもう一方の制御が実施された場合に生じる虞のあるトルク変動によるショックの発生を抑制することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動源として機能するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間に設けられた動力伝達装置16とを備えている。動力伝達装置16は、非回転部材としてのハウジング18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20、トルクコンバータ20に連結された入力軸22、入力軸22に連結された無段変速部としての公知のベルト式の無段変速機24、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置26、前後進切替装置26を介して入力軸22に連結されて無段変速機24と並列に設けられたギヤ伝動部としてのギヤ伝動機構28、無段変速機24及びギヤ伝動機構28の共通の出力回転部材である出力軸30、カウンタ軸32、出力軸30及びカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられたギヤ36に連結されたデフギヤ38、デフギヤ38に連結された1対の車軸40等を備えている。このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12の動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、トルクコンバータ20、無段変速機24(或いは前後進切替装置26及びギヤ伝動機構28)、減速歯車装置34、デフギヤ38、及び車軸40等を順次介して1対の駆動輪14へ伝達される。
このように、動力伝達装置16は、エンジン12(ここではエンジン12の動力が伝達される入力回転部材である入力軸22も同意)と駆動輪14(ここでは駆動輪14へエンジン12の動力を出力する出力回転部材である出力軸30も同意)との間の動力伝達経路に並列に設けられた、第1変速部としてのギヤ伝動機構28及び第2変速部としての無段変速機24を備えている。よって、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する第1動力伝達経路PT1と、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を介して駆動輪14側(すなわち出力軸30)へ伝達する第2動力伝達経路PT2との複数の動力伝達経路PTを、入力軸22と出力軸30との間に並列に備えている。動力伝達装置16は、車両10の走行状態に応じてその第1動力伝達経路PT1とその第2動力伝達経路PT2とが切り替えられる。その為、動力伝達装置16は、エンジン12の動力を駆動輪14側へ伝達する動力伝達経路PTを、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とで選択的に切り替える複数の係合装置を備えている。この係合装置は、第1動力伝達経路PT1を断接する第1係合装置(換言すれば係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する第1係合装置)としての第1摩擦クラッチC1(以降第1クラッチと呼ぶ)及び第1ブレーキB1と、第2動力伝達経路PT2を断接する第2係合装置(換言すれば、係合されることで第2動力伝達経路PT2を形成する第2係合装置)としての第2摩擦クラッチ(以降第2クラッチと呼ぶ)とを含んでいる。第1クラッチC1、第1ブレーキB1、及び第2クラッチC2は、断接装置に相当するものであり、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式摩擦係合装置(摩擦クラッチ)である。第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、第1摩擦クラッチに相当し、第2クラッチC2は、第2摩擦クラッチに相当する。又、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1は、各々、後述するように、前後進切替装置26を構成する要素の1つである。
トルクコンバータ20は、入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、及び入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備えている。ポンプ翼車20pには、無段変速機24を変速制御したり、前記複数の係合装置を作動したり、動力伝達装置16の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ42が連結されている。
前後進切替装置26は、第1動力伝達経路PT1において入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に設けられており、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26p、第1クラッチC1、及び第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置26pは、入力要素としてのキャリヤ26cと、出力要素としてのサンギヤ26sと、反力要素としてのリングギヤ26rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリヤ26cは入力軸22に一体的に連結され、リングギヤ26rは第1ブレーキB1を介してハウジング18に選択的に連結され、サンギヤ26sは入力軸22回りにその入力軸22に対して同軸心に相対回転可能に設けられた小径ギヤ44に連結されている。又、キャリヤ26cとサンギヤ26sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。よって、第1クラッチC1は、前記3つの回転要素のうちの2つの回転要素を選択的に連結する係合装置であり、第1ブレーキB1は、前記反力要素をハウジング18に選択的に連結する係合装置である。
ギヤ伝動機構28は、小径ギヤ44と、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられてその小径ギヤ44と噛み合う大径ギヤ48とを備えている。又、ギヤ伝動機構28は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転可能に設けられたアイドラギヤ50と、出力軸30回りにその出力軸30に対して同軸心に相対回転不能に設けられてそのアイドラギヤ50と噛み合う出力ギヤ52とを備えている。出力ギヤ52は、アイドラギヤ50よりも大径である。従って、ギヤ伝動機構28は、入力軸22と出力軸30との間の動力伝達経路PTにおいて、所定の変速比(変速段)としての1つの変速比(変速段)が形成されるギヤ伝動機構である。ギヤ機構カウンタ軸46回りには、更に、大径ギヤ48とアイドラギヤ50との間に、これらの間を選択的に断接する噛合式クラッチD1が設けられている。噛合式クラッチD1は、動力伝達装置16に備えられて、前後進切替装置26(前記第1摩擦クラッチも同意)と出力軸30との間の動力伝達経路に配設された(換言すれば前記第1摩擦クラッチよりも出力軸30側に設けられた)、第1動力伝達経路PT1を断接する第3係合装置(換言すれば前記第1摩擦クラッチと共に係合されることで第1動力伝達経路PT1を形成する第3係合装置)として機能するものであり、前記複数の係合装置に含まれる。
具体的には、噛合式クラッチD1は、ギヤ機構カウンタ軸46回りにそのギヤ機構カウンタ軸46に対して同軸心に相対回転不能に設けられたクラッチハブ54と、アイドラギヤ50とクラッチハブ54との間に配置されてそのアイドラギヤ50に固設されたクラッチギヤ56と、クラッチハブ54に対してスプライン嵌合されることによりギヤ機構カウンタ軸46の軸心回りの相対回転不能且つその軸心と平行な方向の相対移動可能に設けられた円筒状のスリーブ58とを備えている。クラッチハブ54と常に一体的に回転させられるスリーブ58がクラッチギヤ56側へ移動させられてそのクラッチギヤ56と噛み合わされることで、アイドラギヤ50とギヤ機構カウンタ軸46とが接続される。更に、噛合式クラッチD1は、スリーブ58とクラッチギヤ56とを嵌合する際に回転を同期させる、同期機構としての公知のシンクロメッシュ機構S1を備えている。このように構成された噛合式クラッチD1では、フォークシャフト60が油圧アクチュエータ62によって作動させられることにより、フォークシャフト60に固設されたシフトフォーク64を介してスリーブ58がギヤ機構カウンタ軸46の軸心と平行な方向に摺動させられ、係合状態と解放状態とが切り替えられる。
第1動力伝達経路PT1は、噛合式クラッチD1と噛合式クラッチD1よりも入力軸22側に設けられた第1クラッチC1(又は第1ブレーキB1)とが共に係合されることで形成される。第1クラッチC1の係合により前進用動力伝達経路が形成され、第1ブレーキB1の係合により後進用動力伝達経路が形成される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ伝動機構28を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第1動力伝達経路PT1は、少なくとも第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が共に解放されるか、或いは少なくとも噛合式クラッチD1が解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
無段変速機24は、入力軸22に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ66と、出力軸30と同軸心の回転軸68に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ70と、それら各プーリ66,70の間に巻き掛けられた伝動ベルト72とを備え、各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力(ベルト挟圧力)を介して動力伝達が行われる。プライマリプーリ66では、プライマリプーリ66へ供給する油圧(すなわちプライマリ側油圧シリンダ66cへ供給されるプライマリ圧Pin)が電子制御装置90(図3,4参照)により駆動される油圧制御回路80(図3,4参照)によって調圧制御されることにより、各シーブ66a,66b間のV溝幅を変更するプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)が付与される。又、セカンダリプーリ70では、セカンダリプーリ70へ供給する油圧(すなわちセカンダリ側油圧シリンダ70cへ供給されるセカンダリ圧Pout)が油圧制御回路80によって調圧制御されることにより、各シーブ70a,70b間のV溝幅を変更するセカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)が付与される。無段変速機24では、プライマリ推力Win(プライマリ圧Pin)及びセカンダリ推力Wout(セカンダリ圧Pout)が各々制御されることで、各プーリ66,70のV溝幅が変化して伝動ベルト72の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γcvt(=プライマリプーリ回転速度Npri/セカンダリプーリ回転速度Nsec)が変化させられると共に、伝動ベルト72が滑りを生じないように各プーリ66,70と伝動ベルト72との間の摩擦力が制御される。
出力軸30は、回転軸68回りにその回転軸68に対して同軸心に相対回転可能に配置されている。第2クラッチC2は、無段変速機24よりも駆動輪14(ここでは出力軸30も同意)側に設けられており(すなわちセカンダリプーリ70と出力軸30との間に設けられており)、セカンダリプーリ70(回転軸68)と出力軸30との間を選択的に断接する。第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が係合されることで形成される。動力伝達装置16では、第2動力伝達経路PT2が形成されると、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を経由して出力軸30へ伝達することができる動力伝達可能状態とされる。一方で、第2動力伝達経路PT2は、第2クラッチC2が解放されると、ニュートラル状態とされる。
動力伝達装置16の作動について、以下に説明する。図2は、電子制御装置90により切り替えられる動力伝達装置16の各走行パターン(走行モード)毎の係合装置の係合表を用いて、その走行パターンの切り替わりを説明する為の図である。図2において、C1は第1クラッチC1の作動状態に対応し、C2は第2クラッチC2の作動状態に対応し、B1は第1ブレーキB1の作動状態に対応し、D1は噛合式クラッチD1の作動状態に対応し、「○」は係合(接続)を示し、「×」は解放(遮断)を示している。
図2において、ギヤ伝動機構28を介して(すなわち第1動力伝達経路PT1を介して)エンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行パターンであるギヤ走行では、第1クラッチC1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1ブレーキB1が解放される。このギヤ走行の走行パターンでは前進走行が可能となる。尚、第1ブレーキB1及び噛合式クラッチD1が係合され且つ第2クラッチC2及び第1クラッチC1が解放される、ギヤ走行の走行パターンでは、後進走行が可能となる。
又、無段変速機24を介して(すなわち第2動力伝達経路PT2を介して)エンジン12の動力が出力軸30に伝達される走行パターンであるCVT走行(ベルト走行、無段変速走行)では、第2クラッチC2が係合され且つ第1クラッチC1及び第1ブレーキB1が解放される。このCVT走行の走行パターンでは前進走行が可能となる。このCVT走行のうちでCVT走行(中車速)の走行パターンでは噛合式クラッチD1が係合される一方で、CVT走行(高車速)の走行パターンでは噛合式クラッチD1が解放される。このCVT走行(高車速)中に噛合式クラッチD1が解放されるのは、例えばCVT走行中のギヤ伝動機構28等の引き摺りをなくすと共に、高車速においてギヤ伝動機構28や遊星歯車装置26pの構成部材(例えばピニオンギヤ)等が高回転化するのを防止する為である。噛合式クラッチD1は、駆動輪14側からの入力を遮断する被駆動入力遮断クラッチとして機能する。
前記ギヤ走行は、例えば車両停止中を含む低車速領域において選択される。動力伝達装置16では、第1動力伝達経路PT1にて形成される変速比γgear(すなわちギヤ伝動機構28により形成される変速比EL)は、第2動力伝達経路PT2にて形成される最大変速比(すなわち無段変速機24により形成される最低車速側の変速比である最ロー変速比)γmaxよりも大きな値(すなわちロー側の変速比)に設定されている。つまり、無段変速機24は、ギヤ伝動機構28により形成される変速比ELよりも高車速側(ハイ側)の変速比γcvtを形成する。例えば変速比ELは、動力伝達装置16における第1速変速段の変速比γである第1速変速比γ1に相当し、無段変速機24の最ロー変速比γmaxは、動力伝達装置16における第2速変速段の変速比γである第2速変速比γ2に相当する。その為、ギヤ走行とCVT走行とは、例えば公知の有段変速機の変速マップにおける第1速変速段と第2速変速段とを切り替える為の変速線に従って切り替えられる。又、CVT走行においては、例えば公知の手法を用いて、アクセル開度θaccや車速V(km/h)などの走行状態に基づいて変速比γcvtが変化させられる変速が実行される。
ギヤ走行からCVT走行(高車速)、或いはCVT走行(高車速)からギヤ走行へ切り替えられる際には、図2に示すように、CVT走行(中車速)を経由して切り替えられる。例えばギヤ走行からCVT走行(高車速)へ切り替えられる場合、第1クラッチC1を解放して第2クラッチC2を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばクラッチツゥクラッチ変速(以下、CtoC変速という))が実行されてCVT走行(中車速)に切り替えられ、その後、噛合式クラッチD1が解放される。又、例えばCVT走行(高車速)からギヤ走行へ切り替えられる場合、ギヤ走行への切替準備として噛合式クラッチD1が係合されてCVT走行(中車速)に切り替えられ、その後、第2クラッチC2を解放して第1クラッチC1を係合するようにクラッチを掛け替える変速(例えばCtoC変速)が実行される。
図3に示すように、車両10は、所定の関係として公知の変速マップに従って動力伝達装置16を自動変速する自動変速モードと運転者による変速操作により変速することが可能な手動変速モードとを有しており、変速モードを切り替えることが可能である。そのため、車両10には、変速モードを自動変速モードとする為の(すなわち自動変速モードを成立させる為の)自動変速ポジションと変速モードを手動変速モードとする為の(すなわち手動変速モードを成立させる為の)手動変速ポジションとを含む複数種類のシフトポジションPshを有して、そのシフトポジションPshを人為的操作により選択することができるポジション選択装置としてのシフト操作装置96が例えば運転席の近傍に配設されている。シフト操作装置96は、複数種類のシフトポジションPshを選択する為に操作されるシフトレバー98を備えている。
シフトレバー98は、公知の、駐車ポジション(Pポジション)である「P(パーキング)」、後進走行ポジション(Rポジション)である「R(リバース)」、中立ポジション(Nポジション)である「N(ニュートラル)」、自動変速ポジションとしての前進用の自動走行ポジション(ドライブポジション、Dポジション)である「D(ドライブ)」、又は手動変速ポジションとしての前進用の手動走行ポジション(マニュアルポジション、Mポジション)である「M(マニュアル)」へ手動操作されるように設けられている。
上記「P」乃至「M」に示す各シフトポジションPshにおいて、「P」及び「N」は、車両を走行させないときに選択される非走行ポジションであって、車両10を駆動不能とする動力伝達経路の動力伝達遮断状態へ切換えを選択する為の非駆動ポジションである。また、「R」、「D」、及び「M」は、車両10を走行させるときに選択される走行ポジションであって、車両10を駆動可能とする動力伝達経路の動力伝達可能状態への切換えを選択する為の駆動ポジションでもある。特に、「D」及び「M」は、車両10を前進走行させるときに選択される前進走行ポジションである。「M」では、自動変速機16の変速比eがシフトレバー98のアップシフト位置「+」又はダウンシフト位置「−」への操作に応じて変更される。これにより、シフトレバー98のユーザ操作に基づいて、所望の変速比eに切り換えられる。
車両10は、通常の走行(ノーマルモード)と比較して燃費性能よりも動力性能を優先した走行を行う為に予め設定されたパワーモードに切り替えることが可能であり、運転モードをパワーモードとする為の、たとえばパワーモードスイッチ94が運転席の近傍に備えられている。このパワーモードスイッチ94は、押すことによってノーマルモードとパワーモードとが切り替わるスイッチであって、運転者が所望する運転モードでの車両走行を選択可能とするものである。
図3は、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図3において、車両10は、例えば動力伝達装置16の制御装置を含む電子制御装置90を備えている。図3は、電子制御装置90の入出力系統を示す図であり、又、電子制御装置90による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置90は、エンジン12の出力制御、無段変速機24の変速制御、動力伝達装置16をギヤ走行およびベルト走行のいずれかに適宜切り替える制御等を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10が備える各種センサ、たとえば上記のシフト操作装置94のシフト位置Pshを検出するシフトセンサ98およびパワーモードスイッチ100からのパワーオンPWon信号が出力されるが、それ以外にも例えば各種回転速度センサ102,104,106、108、アクセル開度センサ110、ブレーキスイッチ112などにより検出されたエンジン回転速度Ne(rpm)、入力軸回転速度Nin(rpm)であるプライマリプーリ回転速度Npri(rpm)、回転軸68の回転速度であるセカンダリプーリ回転速度Nsec(rpm)、車速Vに対応する出力軸回転速度Nout(rpm)、アクセル開度θacc、ブレーキオンBonなどが、それぞれ供給される。又、電子制御装置90からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機24の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Scvt、動力伝達装置16の走行パターンの切替えに関連する第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、及び噛合式クラッチD1を制御する為の油圧制御指令信号Sswt等が、それぞれ出力される。例えば、油圧制御指令信号Sswtとして、第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、噛合式クラッチD1の各々の油圧アクチュエータへ供給される各油圧を調圧する各ソレノイド弁を駆動する為の指令信号(油圧指令)が油圧制御回路80へ出力される。
図4は、各電磁弁SLU、SLP、SLS、SL1、SL2は、何れも、電子制御装置90から出力される油圧制御指令信号(駆動電流)によって駆動されるリニアソレノイド弁である。電磁弁SLP,SLSは、何れもノーマリーオープン式の電磁弁である。電磁弁SLU、SL1,SL2は、何れもノーマリークローズ式の電磁弁である。電磁弁SLU,SLP,SLSは各々、例えばモジュレータ圧Pmを元圧として油圧を出力し、電磁弁SL1,SL2は各々、例えばライン圧Plを元圧として油圧を出力する。トルクコンバータ圧制御弁86は、トルクコンバータ用電磁弁SLUから出力される油圧Psluに基づいて作動させられることで、第2ライン圧Pl2を元圧としてトルクコンバータ圧Ptcを調圧する。プライマリ圧制御弁82は、プライマリ用電磁弁SLPから出力される油圧Pslpに基づいて作動させられることで、ライン圧Plを元圧としてプライマリ圧Pinを調圧する。セカンダリ圧制御弁84は、セカンダリ用電磁弁SLSから出力される油圧Pslsに基づいて作動させられることで、ライン圧Plを元圧としてセカンダリ圧Poutを調圧する。C1用電磁弁SL1から出力される油圧Pc1は、第1クラッチC1へ供給される。第2クラッチC2用電磁弁SL2から出力される油圧Pc2は、第2クラッチC2へ供給される。又、油圧制御回路80においては、オイルポンプ42が吐出する油圧を基にして不図示のリリーフ型のレギュレータ弁によりライン圧Plが調圧され、そのライン圧Plの調圧の際にそのレギュレータ弁から排出された油圧を基にして不図示の第2レギュレータ弁により第2ライン圧Pl2が調圧され、ライン圧Plを元圧として不図示のモジュレータ弁によりモジュレータ圧Pmが一定油圧に調圧される。
図3に戻り、電子制御装置90は、コーストダウン判定手段120、停止前ニュートラル制御手段122、コーストダウン制御手段124、停止前ニュートラル学習値更新手段126、コーストダウン学習値更新手段128、学習値変化判定手段130、学習値禁止手段132、変速制御手段134とを備えている。電子制御装置90では、車両10がコースト状態で前進中であり、また車速Vの低下によりダウンシフトが必要となった場合に、第2クラッチC2の係合により無段変速機24を介してエンジン12の動力を伝達する動力伝達経路PT2から、第2クラッチC2を半係合とし、その後第2クラッチC2を解放とするとともに第1クラッチC1を半係合とすることで燃費を改善する制御、すなわち停止前ニュートラル制御、もしくは第2クラッチC2の係合により無段変速機24を介してエンジン12の動力を伝達する伝達経路PT2から、第1クラッチC1の係合によるギヤ伝動機構28を介する第1動力伝達経路PT1へのCtoC変速を行う制御すなわちコーストダウン制御のいずれかが選択される。なお、停止前ニュートラル制御は、車両停止に先立って車両走行中からニュートラル状態とすることで車両走行における燃費を重視する制御であり、シフト位置Pshが「D」ポジション、且つパワーモードがオフである場合に選択される。またコーストダウン制御は、いわゆる動力性能を重視する制御であり、シフト位置Pshが「M」ポジションもしくはパワーモードがオンである場合に選択される。
コーストダウン判定手段120は、車両10がコースト状態を維持した前進走行中にあることを、シフト位置Pshが「D」ポジションもしくは「M」ポジションにあることおよび出力軸回転速度Noutが所定値以上であることから判定するとともに、コースト状態であるか否かを、たとえばアクセル開度センサ110からのアクセル開度θaccが略零であることおよびブレーキスイッチ112からBon信号が出力されていないことによって判断するとともに、予め記憶された変速マップと車速とに従ってダウンシフトが必要か否かを判断する。いずれの判断も肯定された場合、コーストダウン判定手段120は、「D」ポジションが選択され、且つパワーモードがオフされている場合は、停止前ニュートラル制御を選択し、「D」ポジション以外の前進ポジションすなわち「M」ポジションもしくはパワーモードがオンされている場合は、コーストダウン制御を選択する。なお、停止前ニュートラル制御、コーストダウン制御のいずれかを選択した場合においても、選択された制御が禁止に設定されている場合には、もう一方の制御を選択する。
たとえばコーストダウン判定手段120により停止前ニュートラル制御が選択された場合には、停止前ニュートラル制御手段122は、変速制御手段134に停止前ニュートラル制御の実行を指示するとともに停止前ニュートラル学習値更新手段126に学習値を決定させる指令を出力する。停止前ニュートラル学習値更新手段126は、たとえば解放要素である第2クラッチC2の解放時の第2クラッチC2用電磁弁SL2への油圧制御指令信号Sswtに対するトルクコンバータのスリップ量すなわちエンジン回転速度Neと入力軸回転速度Ninとの差から第2クラッチC2の解放開始を判断し第2クラッチC2のスリップ状態が予め設定されている第2クラッチのスリップ増加率に近づくように第2クラッチC2への油圧指令信号Sswtの補正するための学習値を決定する。さらに、学習値変化判定手段130は、停止前ニュートラル学習値更新手段126が決定した今回の学習値と前回の停止前ニュートラル実施時における学習値との差の絶対値が所定値以上であるか否かを判定する。この判定が肯定されると、学習値禁止手段132は、次回のコーストダウンシフトにおける停止前ニュートラル制御を禁止する。また、更新後の学習値と前回の停止前ニュートラル実施時における学習値との差の絶対値が所定値以上となることによって、次回のコーストダウンシフトにおける停止前ニュートラル制御の禁止を判断するものとしたが、たとえば今回の学習値と初期状態として予め設定されている学習値とを比較して、次回のコーストダウンシフトにおける停止前ニュートラル制御の禁止を判断するものとしても良い。
また、コーストダウン判定手段120によりたとえばコーストダウン制御が選択された場合には、コーストダウン制御手段124は、変速制御手段134にコーストダウン制御の実行を指示するとともに、コーストダウン学習値更新手段128に学習値を判定する指令を出力する。コーストダウン学習値更新手段128は、たとえば解放要素である第2クラッチC2への第2クラッチC2用電磁弁SL2への油圧制御指令信号Sswtの減少開始から第2クラッチC2の滑り出し、すなわちセカンダリプーリ回転速度Nsecと出力軸回転速度Noutの差が所定値以上となるまでが、予め設定された時間以上の差である場合に、次回のコーストダウン変速における第2クラッチへの油圧指令信号Sswtの減少開始と第2クラッチC2の滑り出し時間との差を所定値に近づけるように変更するための学習値を決定する。また、コーストダウン学習値更新手段128は、たとえば係合要素である第1クラッチC1の係合開始時における入力軸回転速度Ninのタイアップ量(一時的低下量)、すなわち実際の入力軸回転速度Ninと第1クラッC1の係合開始時においてコーストダウン前の変速比に基づいて算出される入力軸回転速度Ninとの差が所定値以上である場合に、次回のコーストダウン変速におけるタイアップ量が所定値以内となるように第1クラッチC1用電磁弁SL1への油圧制御信号Sswtを変更する学習補正値を決定する。さらに、学習値変化判定手段130は、コーストダウン学習値更新手段128が決定した学習値についても、停止前ニュートラル学習値更新手段126が判断した学習値と同様の制御作動を行う。すなわち学習値変化判定手段130は、コーストダウン学習値更新手段128が決定した今回の学習値と前回のコーストダウン制御実施時における学習値との差の絶対値が所定値以上に変化したか否かを判定する。この判定が肯定されると、学習値禁止手段132は、次回のコーストダウンシフトにおいてのみ、コーストダウン制御を禁止する。また、更新後の学習値と前回のコーストダウン制御実施時における学習値との差の絶対値が所定値以上となることによって、次回のコーストダウンシフトにおけるコーストダウン制御の禁止を判断するものとしたが、たとえば今回の学習値と初期状態として予め設定されている学習値との差を用いて、次回のコーストダウンシフトにおける停止前コースとダウン制御の禁止を判断するものとしても良い。
図5は、電子制御装置90の制御作動の要部すなわちコースト走行からの停止に際し、停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御とのいずれかを選択し、また第1クラッチC1と第2クラッチC2との学習制御が行われる制御において、いずれか一方の学習のみが進むことを抑制するための制御作動を説明するためのフローチャートであり、繰り返し実行される。
コーストダウン判定手段120に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、前進レンジすなわちシフト位置Pshが「D」ポジションたは「M」ポジションにあり、コースト状態すなわちアクセル開度θaccが略零でありブレーキスイッチ12からのBon信号が出力されておらず、また予め記憶された変速マップに基づいて、ダウンシフトが必要であるか否かが判定される。このS10の判定が否定された場合は、S10からのステップが繰り返される。しかしS10の判定が肯定された場合は、コーストダウン判定手段120に対応するS20において、シフト位置Pshが「D」ポジションかつパワーモードがオフされているか否かが判定される。この判定が肯定される場合は、コーストダウン判定手段120に対応するS30において、停止前ニュートラル制御(停止前N制御)が禁止されているか否かが判定される。この判定が肯定された場合は、コーストダウン制御手段に対応するS60において、コーストダウン制御が実施される。またS30における判定が否定されると停止前ニュートラル制御手段122に対応するS50において、前回の停止前N制御において決定された学習値を用いて停止前N制御が実施される。停止前N制御が実施されると、停止前ニュートラル学習値更新手段126に対応するS70において、停止前ニュートラル学習値が決定される。たとえばS70においては、第2クラッチC2への油圧すなわち電磁弁SL2への油圧制御指令信号Sswtと第2クラッチC2の解放状態との関係を適正化するための学習値が決定される。学習値変化判定手段130に対応するS90において、更新後の学習値と前回の学習値との差の絶対値が所定値以上に変化したか否かが判定される。この判定が否定される場合は、S10における判定が繰り返される。またこの判定が肯定される場合は、学習禁止手段132に対応するS110において、次回のコーストダウンにおいて、停止前N制御が禁止され、コーストダウン制御が実施される。
S20に戻り、シフト位置Pshが「D」ポジションかつパワーモードがオフされているか否かが判定され、この判定が否定される場合は、コーストダウン判定手段120に対応するS40において、コーストダウン制御が禁止されているか否かが判定される。この判定が肯定された場合は、停止前ニュートラル制御手段122に対応するS50において、停止前N制御が実施される。また、S40における判定が否定されるとコーストダウン制御手段124に対応するS60において、前回のコーストダウン制御で決定された学習値を用いてコーストダウン制御が実施される。コーストダウン制御が実施されると、コーストダウン学習値更新手段128に対応するS80において、コーストダウン学習値が決定される。たとえばS80においては、第2クラッチC2への油圧すなわち電磁弁SL2への油圧制御指令信号Sswtと第2クラッチC2の滑り出しとの関係を適正化するための学習値が決定される。また、第1クラッチC1への油圧すなわち電磁弁SL1への油圧制御指令信号Sswtと入力軸回転速度Ninとの関係を適正化するための学習値が決定される。学習値変化判定手段130に対応するS100において、更新後の学習値と前回の学習値との差の絶対値が所定値以上か否かが判定される。この判定が否定される場合は、S10における判定が繰り返される。またこの判定が肯定される場合は、学習禁止手段132に対応するS120において、次回のコーストダウンにおいて、コーストダウン制御が禁止され、停止前N制御が実施される。
上述のように、本実施例によればコースト走行からの停止に際し、停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御とのいずれか一方の制御を選択することが可能な車両用動力伝達装置16の電子制御装置90において、前記停止前ニュートラル制御と前記コーストダウン制御とのいずれか一方による学習が所定以上進んだ場合に、他方の制御を選択することによって他方の制御における学習も進めることができる。これによって、一方の学習のみが進むことによって、学習が進んでいないもう一方の制御が実施された場合に、生じる虞のあるトルク変動によるショックの発生を抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、並列に備えられた無段変速機24とギヤ伝動機構28に代わって、複数の摩擦係合要素の係合作動の組み合わせによって複数段の変速を行う有段変速機のみを備えた車両10において、コーストダウンに際し、停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御との双方の制御が選択可能であり、また停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御との作動車速域が重なっている場合においても、本発明を適用することができる。
たとえば、本実施例においては、第1クラッチC1をギヤ伝動機構28のエンジン12側に設置するものとしたが、特にエンジン12側ではなく駆動輪14側に設置し、第1動力伝達経路PT1を断接するものとしても良い。また、第2クラッチC2を駆動輪14側に設置するものとしたが、特に駆動輪側ではなくエンジン12側に設置し、第2動力伝達経路PT2を断接するものとしても良い。
また、本実施例においては、コーストダウンからの停止に際して停止前ニュートラル制御とコーストダウン制御とのいずれか一方の制御を選択するものとしたが、特に停止に限らず、変速後にニュートラルとする制御とコーストダウン制御とのいずれかをシフトダウンにおいて選択するものとしても良い。
また、前述の実施例では、駆動力源としてエンジン12を例示したが、これに限らない。例えば、前記駆動力源は、電動機等の他の原動機を単独で或いはエンジン12と組み合わせて採用することもできる。又、エンジン12の動力は、トルクコンバータ20を介して入力軸22へ伝達されたが、これに限らない。例えば、トルクコンバータ20に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。或いは、この流体式伝動装置は必ずしも設けられなくても良い。
12:エンジン(駆動源)
14:駆動輪
16:動力伝達装置(車両用動力伝達装置)
22:入力軸
24:無段変速機(無段変速部)
28:ギヤ伝動機構(ギヤ伝動部)
30:出力軸
90:電子制御装置(制御装置)
122:停止前ニュートラル制御手段
124:コーストダウン制御手段
C1:第1クラッチ(第1摩擦クラッチ)
C2:第2クラッチ(第2摩擦クラッチ)
PT1:第1動力伝達経路
PT2:第2動力伝達経路
14:駆動輪
16:動力伝達装置(車両用動力伝達装置)
22:入力軸
24:無段変速機(無段変速部)
28:ギヤ伝動機構(ギヤ伝動部)
30:出力軸
90:電子制御装置(制御装置)
122:停止前ニュートラル制御手段
124:コーストダウン制御手段
C1:第1クラッチ(第1摩擦クラッチ)
C2:第2クラッチ(第2摩擦クラッチ)
PT1:第1動力伝達経路
PT2:第2動力伝達経路
Claims (1)
- 駆動源の動力が伝達される入力軸と前記動力を駆動輪へ伝達する出力軸との間に設けられたギヤ伝動部と、前記駆動源の動力が伝達される前記入力軸と前記動力を前記駆動輪へ伝達する前記出力軸との間に前記ギヤ伝動部と並列に設けられた無段変速部と、前記ギヤ伝動部を介して前記駆動源の動力を伝達する第1動力伝達経路を断接する第1摩擦クラッチと、前記無段変速部を介して前記駆動源の動力を伝達する第2動力伝達経路を断接する第2摩擦クラッチとを備えた車両用動力伝達装置の制御装置であって、
コースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路へのダウン変速において、前記第1摩擦クラッチを半係合し前記第2摩擦クラッチを解放する停止前ニュートラル制御手段および、前記第1摩擦クラッチを係合し記第2摩擦クラッチを解放するコーストダウン制御手段のいずれかが選択され、
前記停止前ニュートラル制御手段および前記コーストダウン制御手段のうちから選択された一方の制御手段は、コースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路へのダウン変速において、前記第1摩擦クラッチもしくは前記第2摩擦クラッチの学習値を算出するとともに、前記一方の制御手段の学習値が所定値以上の値へ更新された場合は、次回のコースト走行状態における前記第2動力伝達経路から前記第1動力伝達経路への切替えにおいて、他方の制御手段を選択する
ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016098297A JP2017207100A (ja) | 2016-05-16 | 2016-05-16 | 車両用動力伝達装置の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016098297A JP2017207100A (ja) | 2016-05-16 | 2016-05-16 | 車両用動力伝達装置の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017207100A true JP2017207100A (ja) | 2017-11-24 |
Family
ID=60416853
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016098297A Pending JP2017207100A (ja) | 2016-05-16 | 2016-05-16 | 車両用動力伝達装置の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017207100A (ja) |
-
2016
- 2016-05-16 JP JP2016098297A patent/JP2017207100A/ja active Pending
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