JP2023151467A - 内燃機関の圧縮比可変装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時から潤滑油量が増加し始めるまでの時間を短くし、暖機運転にかかる時間を短縮するとともに、内燃機関全体を小型化することのできる内燃機関の圧縮比可変装置を提供する。【解決手段】内燃機関10の圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比可変装置において、クランク軸20を軸方向に貫通して偏心カム31を中間ギア35により回動させるコントロール軸40と、給油路60から分岐し、偏心カム31とクランクピン22の摺動面と、中間ギア35とにオイルを供給する偏心カム給油路61を備え、偏心カム給油路61中に、コントロール軸40の回動に伴い偏心カム給油路61のオイル流量を変更させる絞り部70を備え、暖機運転の時間を短縮し、内燃機関全体を小型化することのできる内燃機関の圧縮比可変装置を提供する。【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関の圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比可変装置に関する。
従来、回転力の伝達に使用される動力伝達部材として、ギアを備えたシャフト(以下、ギアシャフトと言う)が知られている。例えば、入力側の動力源と出力側の動力伝達要素が回転体であり、かつ、動力源と動力伝達要素が離れている場合に、ギアシャフトが採用される。特許文献1には、内燃機関の圧縮比を可変する圧縮比可変内燃機関において圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時からの所定機関に潤滑油量を増量さる構造(流量調整弁の開度で制御する)が開示されている。
ところで、特許文献1に記載するような圧縮比可変内燃機関では、圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時から潤滑油量が増加し始めるまでに時間を要するので、暖機運転に時間が必要であった。さらに、流量調整弁があることにより、内燃機関全体の大きさが肥大するといった課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時から潤滑油量が増加し始めるまでの時間を短くし、暖機運転にかかる時間を短縮するとともに、内燃機関全体を小型化することのできる内燃機関の圧縮比可変装置を提供することを目的とする。
本発明は、内燃機関の圧縮比を変更するためにコンロッドの大端部とクランクピンの間に偏心カムが挿入され、前記クランクピンに対して前記偏心カムを回動することにより圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比可変装置において、
前記コンロッドからの回転力を伝達するクランク軸と、
前記クランク軸を軸方向に貫通して前記偏心カムを中間ギアにより回動させるコントロール軸と、
前記内燃機関の各所にオイルを供給する給油路から分岐し、前記偏心カムとクランクピンの摺動面と、前記中間ギアと、にオイルを供給する偏心カム給油路と、を備え、
前記偏心カム給油路中に、前記コントロール軸の回動に伴い前記偏心カム給油路のオイル流量を変更させる絞り部を備えることを特徴とする。
前記コンロッドからの回転力を伝達するクランク軸と、
前記クランク軸を軸方向に貫通して前記偏心カムを中間ギアにより回動させるコントロール軸と、
前記内燃機関の各所にオイルを供給する給油路から分岐し、前記偏心カムとクランクピンの摺動面と、前記中間ギアと、にオイルを供給する偏心カム給油路と、を備え、
前記偏心カム給油路中に、前記コントロール軸の回動に伴い前記偏心カム給油路のオイル流量を変更させる絞り部を備えることを特徴とする。
前記構成によれば、偏心カム給油路中に、前記コントロール軸の回動に伴い前記偏心カム給油路のオイル流量を変更させる絞り部を備えているので、圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時から潤滑油量が増加し始めるまでに時間を短くし、暖機運転にかかる時間を短縮するとともに、内燃機関全体を小型化可能とする内燃機関の圧縮比可変装置を提供することができる。
さらに、本発明は、前記コントロール軸の一側には、前記コントロール軸を回動させる動力源が接続され、
前記コントロール軸の他側は、前記中間ギアと噛合うギアを有し、
前記偏心カム給油路は、前記コントロール軸に沿って設けられ、オイルが前記コントロール軸の一側から他側に向かって流れ、
前記偏心カム給油路は、オイルが通過する開口部を有し、
前記コントロール軸は、一体に回転する絞り壁部を有し、
前記絞り部は、前記開口部の開度が前記絞り壁部により変更されることを特徴とする。
前記コントロール軸の他側は、前記中間ギアと噛合うギアを有し、
前記偏心カム給油路は、前記コントロール軸に沿って設けられ、オイルが前記コントロール軸の一側から他側に向かって流れ、
前記偏心カム給油路は、オイルが通過する開口部を有し、
前記コントロール軸は、一体に回転する絞り壁部を有し、
前記絞り部は、前記開口部の開度が前記絞り壁部により変更されることを特徴とする。
前記構成によれば、偏心カム給油路の開口部の開度が、前記コントロール軸と、一体に回転する絞り壁部により変更されるので、圧縮比を変更するためにコントロール軸が回動するとともに、絞り部の開度が変更されるので、圧縮比の変更の開始とともに潤滑油量が増加し始めて暖機運転にかかる時間をより短縮することができるとともに、偏心カム側に送る流量を内燃機関の圧縮比にあった適切な量に適宜変更することができる。
また、本発明は、前記クランク軸を支承する第一軸受と、
前記コントロール軸を支承する第二軸受と、
前記第一軸受と前記第二軸受との間に挟まれ前記コントロール軸が挿通される円環状の弁部材と、を備え、
前記開口部は、前記弁部材の周壁部に周方向に所定長さに亘って形成された開口部であり、
前記絞り壁部は、前記コントロール軸の周面から突出して、周方向の所定長さに亘って設けられ、
前記弁部材の周壁部の内周面に接して摺動することを特徴とする。
前記コントロール軸を支承する第二軸受と、
前記第一軸受と前記第二軸受との間に挟まれ前記コントロール軸が挿通される円環状の弁部材と、を備え、
前記開口部は、前記弁部材の周壁部に周方向に所定長さに亘って形成された開口部であり、
前記絞り壁部は、前記コントロール軸の周面から突出して、周方向の所定長さに亘って設けられ、
前記弁部材の周壁部の内周面に接して摺動することを特徴とする。
前記構成によれば、クランク軸を支承する第一軸受とコントロール軸を支承する第二軸受との間に配置された円環状の弁部材の周壁部に開口部を設けたので、コントロール軸周辺の肥大化を抑えて、内燃機関全体をより小型化することが可能となる。
さらにまた、本発明は、前記第一軸受と前記第二軸受とを、保持する軸受ホルダーを備え、
前記弁部材は、前記周壁部の両側に鍔部を備え、前記第一軸受と前記第二軸受との間のスペーサーであることを特徴とする。
前記弁部材は、前記周壁部の両側に鍔部を備え、前記第一軸受と前記第二軸受との間のスペーサーであることを特徴とする。
前記構成によれば、軸受ホルダーに保持された第一軸受と第二軸受の間に挟まれるスペーサーを、弁部材として利用することで、部品点数を増加させずに、簡易な構成で安価な絞り部を構成することができる。
また、本発明は、前記弁部材は、前記軸受ホルダーに位置決めピンで位置決めされることを特徴とする。
前記構成によれば、弁部材は軸受ホルダーに位置決めピンで位置決めされるので、絞り部の開口部の位置決めを精度良く行え、開口部の開度の変更の精度を高めることができる。
さらに、本発明は、前記絞り部の近傍にオイル溜まりが設けられることを特徴とする。
前記構成によれば、オイル供給量を可変とする絞り部の近傍にオイル溜まりが設けられているので、偏心カム側へのオイルの供給量が増大した際に、素早くオイルを供給することができる。そのため、クランク軸へのオイルの供給を常に適量とすることで、内燃機関の暖気を速めることができる。
また、本発明は、前記給油路から、前記内燃機関のシリンダヘッドにオイルを送るシリンダヘッドオイル供給油路が分岐されることを特徴とする。
前記構成によれば、内燃機関の圧縮比に応じて、偏心カム側に向かうオイルの量とシリンダヘッドに送るオイルの量とを、偏心カム給油路に設けた絞り部により、適切な割合に変更することができる。
本発明によれば、圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時から潤滑油量が増加し始めるまでの時間を短くし、暖機運転にかかる時間を短縮するとともに、内燃機関全体を小型化可能とする内燃機関の圧縮比可変装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号LHは車体左方を示す。
図1は、本発明の一実施の形態に係る圧縮比可変装置30を搭載するパワーユニットPの内部構造を示した図である。このパワーユニットPは、自動二輪車に搭載されるパワーユニットであり、内燃機関10を備えている。このパワーユニットPは、自動二輪車に限定されず、三輪タイプや四輪タイプも含む様々な鞍乗り型車両に搭載されるパワーユニットでもよい。
内燃機関10は、クランク軸20を、クランク軸用軸受15と、後述する位置決め部材50内の第一軸受51を介して回転自在に支持するクランクケース11と、クランク軸20にクランクウェブ21、クランクピン22及びコネクティングロッド(以下、コンロッドと言う)23を順に介して連結された不図示のピストンを摺動自在に収容するシリンダ部12とを備えている。クランク軸20には、プライマリギア26が支持される。プライマリギア26は不図示のドリブンギアに噛み合う。
図1では、内燃機関10が、クランクケース11からシリンダ部12が前方へ向けて水平に突出する水平エンジンの場合を示している。図1中、符号C1は、クランクケース11に支承されるクランク軸20の軸心を通るクランク軸線を示している。符号C2は、クランクピン22の軸心を通るクランクピン軸線を示している。クランク軸線C1とクランクピン軸線C2は平行である。
図1では、内燃機関10が、クランクケース11からシリンダ部12が前方へ向けて水平に突出する水平エンジンの場合を示している。図1中、符号C1は、クランクケース11に支承されるクランク軸20の軸心を通るクランク軸線を示している。符号C2は、クランクピン22の軸心を通るクランクピン軸線を示している。クランク軸線C1とクランクピン軸線C2は平行である。
圧縮比可変装置30は、ピストンの上死点の位置が変わるようにクランクピン軸線C2の位置に対して、コンロッド23の大端部23aの中心軸を偏心させることによって、圧縮比を可変させる装置である。この圧縮比可変装置30は、回転することによってコンロッド23の大端部23aの中心軸の位置を変更させる偏心カム31と、動力源となるモーター32と、モーター32と偏心カム31との間の動力伝達機構33とを備えている。モーター32は、自動二輪車に搭載された制御部100によって回転角度が制御される。この制御部37は、動力伝達機構33の一部の回転位置(本構成ではコントロール軸40の回転位置)を、ポテンショメータ101を介して取得し、取得した回転位置に基づいてモーター32を目標位置に回転制御する。制御部100は、例えば、自動二輪車に設けられたECU(Electronic Control Unit)である。
次に、偏心カム31、動力伝達機構33、及びその周辺構成について説明する。
図2は、クランクピン22及び偏心カム31を周辺構成と共に示した図であり、図1のII-II線矢視図である。偏心カム31は、コンロッド23の大端部23aとクランクピン22との間に配置される部品であり、周方向に沿ってそのカム厚を徐々に変化させる部品である。偏心カム31が基準の位置(上死点)にある場合、コンロッド23の大端部23aの中心軸は、クランクピン軸線C2と一致する。モーター32の動力が動力伝達機構33に伝達されて、偏心カム31が周方向に回動すると、偏心カム31は周方向にそのカム厚が徐々に変化するため、コンロッド23の大端部22aの中心軸は徐々に変位し(例えば、偏心位置C3)、クランクピン軸線C2と一致しなくなる。したがって、偏心カム31を、偏心位置C3に回動させると、コンロッド23の大端部23aの中心軸とクランク軸線C1との距離が変化し、ピストンのストローク量が変化し、圧縮比が変化する。
図2は、クランクピン22及び偏心カム31を周辺構成と共に示した図であり、図1のII-II線矢視図である。偏心カム31は、コンロッド23の大端部23aとクランクピン22との間に配置される部品であり、周方向に沿ってそのカム厚を徐々に変化させる部品である。偏心カム31が基準の位置(上死点)にある場合、コンロッド23の大端部23aの中心軸は、クランクピン軸線C2と一致する。モーター32の動力が動力伝達機構33に伝達されて、偏心カム31が周方向に回動すると、偏心カム31は周方向にそのカム厚が徐々に変化するため、コンロッド23の大端部22aの中心軸は徐々に変位し(例えば、偏心位置C3)、クランクピン軸線C2と一致しなくなる。したがって、偏心カム31を、偏心位置C3に回動させると、コンロッド23の大端部23aの中心軸とクランク軸線C1との距離が変化し、ピストンのストローク量が変化し、圧縮比が変化する。
偏心カム31の外周部には、ギア部31aが一体に設けられている。
動力伝達機構33は、偏心カム31のギア部31aに噛み合う中間ギア35と、中間ギア35に噛み合うギア部40bを先端に備えたシャフト40(以下、コントロール軸40と言う)と、コントロール軸40の基端に設けられた駆動側ギア部41とを備えている。ギア部40bは、軸部40aと一体に形成されているが、別体であってもよい。コントロール軸40は、径方向への膨らみである、つば部40dを有する。
動力伝達機構33は、偏心カム31のギア部31aに噛み合う中間ギア35と、中間ギア35に噛み合うギア部40bを先端に備えたシャフト40(以下、コントロール軸40と言う)と、コントロール軸40の基端に設けられた駆動側ギア部41とを備えている。ギア部40bは、軸部40aと一体に形成されているが、別体であってもよい。コントロール軸40は、径方向への膨らみである、つば部40dを有する。
図3は、図1の一部を拡大した図である。
図2及び図3に示すように、中間ギア35は、クランクウェブ21に回転自在に支持される。この中間ギア35は、偏心カム31のギア部31aに噛み合う大径ギア35aと、コントロール軸40のギア部40bに噛み合う小径ギア35bとを備えた2段ギアに構成されている。図中、符号36は、クランクウェブ21との間に中間ギア35を挟んでクランクウェブ21に締結部材36tによって締結される部品である。この部品36は、中間ギア35の脱落を防止する脱落防止部品として機能する。
図2及び図3に示すように、中間ギア35は、クランクウェブ21に回転自在に支持される。この中間ギア35は、偏心カム31のギア部31aに噛み合う大径ギア35aと、コントロール軸40のギア部40bに噛み合う小径ギア35bとを備えた2段ギアに構成されている。図中、符号36は、クランクウェブ21との間に中間ギア35を挟んでクランクウェブ21に締結部材36tによって締結される部品である。この部品36は、中間ギア35の脱落を防止する脱落防止部品として機能する。
図1に示すように、コントロール軸40は、クランク軸20を貫通してクランク軸20と同軸に配置され、コントロール軸用軸受46と、後述する位置決め部材50内に配置される第二軸受52を介して回転自在に支持される。このコントロール軸40は、クランク軸20の右側方に配置されたカバー48内を通り、モーター32近傍まで延出する。
駆動側ギア部41は、コントロール軸40の基端部40cにキー結合されたウォームギア41aを有し、このウォームギア41aによって、モーター32に設けられたウォームホイールの回転を減速してコントロール軸40に伝達する。なお、駆動側ギア部41の構成は、ウォームギア41aを用いる構成に限定されず、公知の減速機構を適宜に採用可能である。また、モーター32が動力源の場合を例示したが、動力源はモーター32以外でもよい。
図1に示すように、クランク軸20とコントロール軸40の右端側は、カバー48に保持された位置決め部材50により支承されて位置決めされている。図4は、位置決め部材50近傍を拡大した図である。位置決め部材50は、クランク軸20を支承する第一軸受51と、コントロール軸40を支承する第二軸受け52と、スペーサー53と、シム55,56と、これらを保持する軸受けホルダーとしてのベアリングホルダー57と、スペーサー53のベアリングホルダー57に対する位置をきめる位置決めピン54とを備える。
ベアリングホルダー57は、内周側に第一軸受51と、スペーサー53と、第二軸受52が設けられる。第一軸受51はスペーサー53側にシール部分を備える。第二軸受52の両端部には、第二軸受52の第一軸受51の軸方向の位置を調整するために、シム55,56が配される。
第二軸受52は、スペーサー53とシム55を介して第一軸受51に当接することによって、第一軸受51側へは移動しない。シム55は、つば部40dに当接した第二軸受52と、スペーサー53との間に空くスペースを埋めるように厚さが調整される。
第一軸受51と第二軸受52は、ベアリングホルダー57に保持され、ベアリングホルダー57は支持部としてのカバー48によって支持される。またコントロール軸40は、第二軸受52を介してコントロール軸40のつば部40dとロックナット58との間で軸方向に位置決めされている。
図6は、ベアリングホルダー57の斜視図である。ベアリングホルダー57は、その周壁部57aの周方向に間隔を空けてオイル受け渡し孔57cが設けられている。またベアリングホルダー57の周壁部57aの一部に開口するシム厚さ調整窓57bを有する。
シム厚さ調整窓57bは、少なくともシム55,56の配置領域を外部から視認可能な位置に設けられる。例えば、組み立てをする者は、シム厚さ調整窓57bを用いて、第二軸受52の両端部の隙間の大きさを容易に測定し、その隙間を埋められる厚みのシム55、56を選択して配する。これにより第二軸受52のスラスト方向のガタつきなどを抑制し、スラスト方向のクリアランスを適切に調整することができる。
シム厚さ調整窓57bは、少なくともシム55,56の配置領域を外部から視認可能な位置に設けられる。例えば、組み立てをする者は、シム厚さ調整窓57bを用いて、第二軸受52の両端部の隙間の大きさを容易に測定し、その隙間を埋められる厚みのシム55、56を選択して配する。これにより第二軸受52のスラスト方向のガタつきなどを抑制し、スラスト方向のクリアランスを適切に調整することができる。
オイル受け渡し孔57cは、ベアリングホルダー57の周方向に間隔を空けて設けられるので、給油路96からのオイルがいずれかのオイル受け渡し孔57cに流入し易い。
図7は、スペーサー53の斜視図である。
スペーサー53には、コントロール軸40が挿通される周壁部53aが円環状に形成されており、周壁部53aの両側には、鍔部53b,53cが設けられている。スペーサー53は弁部材としての役割を果たす。鍔部53bは、ベアリングホルダー57の内周面に当接する高さに形成されており、鍔部53cは、鍔部53bより低い高さにされている。周壁部53aには、周方向に向けて所定の範囲に、開口部53eが設けられている。スペーサー53は、偏心カム給油路61中に設けられる後述する絞り部70の開口部を構成している。スペーサー53は、位置決めピン54によりベアリングホルダー57に位置決めされている。
スペーサー53には、コントロール軸40が挿通される周壁部53aが円環状に形成されており、周壁部53aの両側には、鍔部53b,53cが設けられている。スペーサー53は弁部材としての役割を果たす。鍔部53bは、ベアリングホルダー57の内周面に当接する高さに形成されており、鍔部53cは、鍔部53bより低い高さにされている。周壁部53aには、周方向に向けて所定の範囲に、開口部53eが設けられている。スペーサー53は、偏心カム給油路61中に設けられる後述する絞り部70の開口部を構成している。スペーサー53は、位置決めピン54によりベアリングホルダー57に位置決めされている。
次に偏心カム給油路61と、絞り部70について説明する。
図5に示すように、カバー48内には給油路60が設けられ、パワーユニットPに設けられた不図示のオイルポンプからのオイルが、この給油路60を通過してパワーユニットPの各所にオイルを供給して潤滑する。
図5に示すように、カバー48内には給油路60が設けられ、パワーユニットPに設けられた不図示のオイルポンプからのオイルが、この給油路60を通過してパワーユニットPの各所にオイルを供給して潤滑する。
カバー内47には、給油路60から分岐して、偏心カム31とクランクピン22との摺動面と、中間ギア35とにオイルを供給する偏心カム給油路61が設けられている。
さらに、給油路60から分岐して、シリンダヘッド13に向けてオイルを供給するシリンダヘッドオイル供給油路63が設けられている。シリンダヘッドオイル供給油路63を通過したオイルは、図視されない動弁機構等にオイルを供給して潤滑する。
さらに、給油路60から分岐して、シリンダヘッド13に向けてオイルを供給するシリンダヘッドオイル供給油路63が設けられている。シリンダヘッドオイル供給油路63を通過したオイルは、図視されない動弁機構等にオイルを供給して潤滑する。
図5に示すように、偏心カム給油路61は、給油路60から分岐して位置決め部材50までの第一油路61aと、位置決め部材50内のオイル流路の第二油路61bと、図4に示されるクランク軸20の内周面と、コントロール軸40の外周面との間の空間により構成される第三油路61cと、図5に示されるように(図1も参照して)第三油路61cから分岐して中間ギア35にオイルを送る第四油路61dと、第三油路61cから分岐して偏心カム31とクランクピン22との摺動面にオイルを送る第五油路61eから構成されている。
図8は、絞り部70の開度が高い状態の絞り部70の周辺を示した断面図であり、図9は絞り部70の開度が低い状態を示し絞り部70の周辺を示した断面図である。スペーサー53の周壁部53aの一部が切り欠かれて形成されている開口部53e(図7も参照)を、砂ハッチで示しめしている。
絞り部70は、第二油路61bに配設されており、給油路60から偏心カム給油路61に送られるオイル流量を変更するとともに、給油路60から偏心カム給油路61とシリンダヘッドオイル供給油路63とのオイル流量の割合を変更する。
絞り部70は、第二油路61bに配設されており、給油路60から偏心カム給油路61に送られるオイル流量を変更するとともに、給油路60から偏心カム給油路61とシリンダヘッドオイル供給油路63とのオイル流量の割合を変更する。
図5に示すように、第二油路61bの手前には、オイル溜まり62が設けられており、絞り部70の開度の変更に伴う、偏心カム給油路61を流れるオイル流量の変化が、遅れずに追従できるようになっている。絞り部70は、図8および図9に示すように、スペーサー53の周壁部53aに設けられた開口部53e(図7も参照)と、コントロール軸40に形成され後述する絞り壁部40eとからなる。
図10に示すように、コントロール軸40には、軸部40aの外周面から、つば部40dが突設されている。軸部40a外周面には、つば部40dの左側に隣接して、径方向に延びる絞り壁部40eが設けられている。絞り壁部40eは、スペーサー53の周壁部53aの内周面53dに接して摺動する。図8に示すように、絞り壁部40eは、軸部40aの周方向における所定の範囲に形成されている。
絞り壁部40eは、一部がスペーサー53の開口部53eと重なる範囲に配設されている。絞り壁部40eは、コントロール軸40の回動に伴ってコントロール軸40と共に回動し、スペーサー53の内壁面を摺動する。絞り壁部40eは、コントロール軸40の軸中心を中心として回動して、開口部53eの絞り壁部40eが重なる領域が変動して、オイルが通過できる流路面積が変わり、絞り部70の開口部53eの開度が変更される。
第二油路61bにおけるオイルの流れを説明する。
図5に示すように、オイル溜まり62に送られたオイルは、ベアリングホルダー73の周方向に間隔を空けてオイル受け渡し孔57cから、ベアリングホルダー73内に流入する。ベアリングホルダー73内に流入したオイルは、ベアリングホルダー73の内周面とスペーサー53の外周面とで構成される領域に導かれる。
図5に示すように、オイル溜まり62に送られたオイルは、ベアリングホルダー73の周方向に間隔を空けてオイル受け渡し孔57cから、ベアリングホルダー73内に流入する。ベアリングホルダー73内に流入したオイルは、ベアリングホルダー73の内周面とスペーサー53の外周面とで構成される領域に導かれる。
その後、スペーサー53の開口部53eと絞り壁部40eとで構成される絞り部70を通過して、スペーサー53とコントロール軸40とシム56とで構成される領域に流入し、クランク軸20の内周面と、コントロール軸40の外周面との間の空間により構成される第三油路61cに送られる。また、オイルは第一軸受51と、第二軸受52にも供給される。
本発明の実施の形態の内燃機関の圧縮比可変装置30は、前記したように構成されているので、以下のような効果を奏する。
本発明の実施の形態では、内燃機関10の圧縮比を変更するためにコンロッド23の大端部23aとクランクピン22の間に偏心カム31が挿入され、クランクピン22に対して偏心カム31を回動することにより圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比可変装置において、コンロッド23からの回転力を伝達するクランク軸20と、クランク軸20を軸方向に貫通して偏心カム31を中間ギア35により回動させるコントロール軸40と、内燃機関10の各所にオイルを供給する給油路60から分岐し、偏心カム31とクランクピン22の摺動面と、中間ギア35と、にオイルを供給する偏心カム給油路61と、を備え、偏心カム給油路61中に、コントロール軸40の回動に伴い偏心カム給油路61のオイル流量を変更させる絞り部70を備えることを特徴とするものである。
前記構成によれば、偏心カム給油路61中に、コントロール軸40の回動に伴い偏心カム給油路61のオイル流量を変更させる絞り部70を備えているので、圧縮比の変更を開始する直前または変更開始時から潤滑油量が増加し始めるまでに時間を短くし、暖機運転にかかる時間を短縮するとともに、内燃機関10の全体を小型化することができる。
さらに、コントロール軸40の一側には、コントロール軸40を回動させるモーター32が接続され、コントロール軸40の他側は、中間ギア35と噛合うギア40bを有し、偏心カム給油路61は、コントロール軸40に沿って設けられ、オイルがコントロール軸40の一側から他側に向かって流れ、偏心カム給油路61は、オイルが通過する開口部53eを有し、コントロール軸40は、一体に回転する絞り壁部40eを有し、絞り部70は、開口部53eの開度が絞り壁部40eにより変更されるので、圧縮比を変更するためにコントロール軸40が回動するとともに、絞り部70の開度が変更されるので、圧縮比の変更の開始とともに潤滑油量が増加し始めて暖機運転にかかる時間をより短縮することができるとともに、偏心カム31側に送る流量を内燃機関10の圧縮比にあった適切な量に適宜変更することができる。
また、クランク軸20を支承する第一軸受51と、コントロール軸40を支承する第二軸受52と、第一軸受51と第二軸受52との間に挟まれコントロール軸40が挿通される円環状の弁部材としてのスペーサー53と、を備え、開口部53eは、スペーサー53の周壁部53aに周方向に所定長さに亘って形成された開口部53eであり、絞り壁部40eはコントロール軸40の周面から突出して、周方向の所定長さに亘って設けられ、スペーサー53の周壁部53aの内周面53dに接して摺動するので、コントロール軸40の周辺の肥大化を抑えて、内燃機関10全体をより小型化することが可能となる。
さらにまた、第一軸受51と第二軸受52とを、保持する軸受ホルダー57を備え、弁部材は、周壁部53aの両側に鍔部53b,53cを備え、第一軸受け51と第二軸受52との間のスペーサー53であるので、軸受ホルダー57に保持された第一軸受51と第二軸受52の間に挟まれるスペーサー53を、弁部材として利用することで、部品点数を増加させずに、簡易な構成で安価な絞り部を構成することができる。
また、スペーサー53は、軸受ホルダー57に位置決めピン54で位置決めされるので、絞り部70の開口部53eの位置決めを精度良く行え、絞り部70の開度の変更の精度を高めることができる。
さらに、絞り部70の近傍にオイル溜まり62が設けられているので、偏心カム31側へのオイルの供給量が増大した際に、素早くオイルを供給することができる。そのため、クランク軸へのオイルの供給を常に適量とすることで、内燃機関の暖気を速めることができる。
また、給油路60から、内燃機関10のシリンダヘッド13にオイルを送るシリンダヘッドオイル供給油路63が分岐されているので、内燃機関10の圧縮比に応じて、偏心カム給油路61に設けた絞り部70により、偏心カム31側に向かうオイルの量とシリンダヘッド13側に送るオイルの量とを適切な割合に変更することができる。
以上、本発明に係る一実施の形態に係る内燃機関の圧縮比可変装置30について説明したが、本発明の態様は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むものである。
P…パワーユニット、
10…内燃機関、20a…燃焼室、
20…クランク軸、22…クランクピン、23…コンロッド、23a…大端部、
31…偏心カム、32…モーター、35…中間ギア、
40…コントロール軸、40b…ギア部、40e…絞り壁部、
51…第一軸受、52…第二軸受、53…スペーサー、53a…周壁部、53b…鍔部、53c…鍔部、53d…内周面、53e…開口部、54…位置決めピン、57…軸受ホルダー、
60…給油路、61…偏心カム給油路、62…オイル溜まり、63…シリンダヘッドオイル供給油路。
10…内燃機関、20a…燃焼室、
20…クランク軸、22…クランクピン、23…コンロッド、23a…大端部、
31…偏心カム、32…モーター、35…中間ギア、
40…コントロール軸、40b…ギア部、40e…絞り壁部、
51…第一軸受、52…第二軸受、53…スペーサー、53a…周壁部、53b…鍔部、53c…鍔部、53d…内周面、53e…開口部、54…位置決めピン、57…軸受ホルダー、
60…給油路、61…偏心カム給油路、62…オイル溜まり、63…シリンダヘッドオイル供給油路。
Claims (7)
- 内燃機関(10)の圧縮比を変更するためにコンロッド(23)の大端部(23a)とクランクピン(22)の間に偏心カム(31)が挿入され、前記クランクピン(22)に対して前記偏心カム(31)を回動することにより圧縮比を変更する内燃機関の圧縮比可変装置において、
前記コンロッド(23)からの回転力を伝達するクランク軸(20)と、
前記クランク軸(20)を軸方向に貫通して前記偏心カム(31)を中間ギア(35)により回動させるコントロール軸(40)と、
前記内燃機関(10)の各所にオイルを供給する給油路(60)から分岐し、前記偏心カム(31)とクランクピン(22)の摺動面と、前記中間ギア(35)と、にオイルを供給する偏心カム給油路(61)と、を備え、
前記偏心カム給油路(61)中に、前記コントロール軸(40)の回動に伴い前記偏心カム給油路(61)のオイル流量を変更させる絞り部(70)を備えることを特徴とする内燃機関の圧縮比可変装置。 - 前記コントロール軸(40)の一側には、前記コントロール軸(40)を回動させる動力源(32)が接続され、
前記コントロール軸(40)の他側は、前記中間ギア(35)と噛合うギア(40b)を有し、
前記偏心カム給油路(61)は、前記コントロール軸(40)に沿って設けられ、オイルが前記コントロール軸(40)の一側から他側に向かって流れ、
前記偏心カム給油路(61)は、オイルが通過する開口部(53e)を有し、
前記コントロール軸(40)は、一体に回転する絞り壁部(40e)を有し、
前記絞り部(70)は、前記開口部(53e)の開度が前記絞り壁部(40e)により変更されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の圧縮比可変装置。 - 前記クランク軸(20)を支承する第一軸受(51)と、
前記コントロール軸(40)を支承する第二軸受(52)と、
前記第一軸受(51)と前記第二軸受(52)との間に挟まれ前記コントロール軸(40)が挿通される円環状の弁部材(53)と、を備え、
前記開口部(53e)は、前記弁部材(53)の周壁部(53a)に周方向に所定長さに亘って形成された開口部(53e)であり、
前記絞り壁部(40e)は、前記コントロール軸(40)の周面から突出して、周方向の所定長さに亘って設けられ、
前記弁部材(53)の周壁部(53a)の内周面(53d)に接して摺動することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の圧縮比可変装置。 - 前記第一軸受(51)と前記第二軸受(52)とを、保持する軸受ホルダー(57)を備え、
前記弁部材(53)は、前記周壁部(53a)の両側に鍔部(53b,53c)を備え、前記第一軸受(51)と前記第二軸受(52)との間のスペーサー(53)であることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の圧縮比可変装置。 - 前記弁部材(53)は、前記軸受ホルダー(57)に位置決めピン(54)で位置決めされることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の圧縮比可変装置。
- 前記絞り部(70)の近傍にオイル溜まり(62)が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の内燃機関の圧縮比可変装置。
- 前記給油路(60)から、前記内燃機関(10)のシリンダヘッド(13)にオイルを送るシリンダヘッドオイル供給油路(63)が分岐されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の内燃機関の圧縮比可変装置。
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