JP2005069181A - 可変圧縮比内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、制御軸を回転駆動して圧縮比を変更可能とする内燃機関において、制御軸やその接触部に潤滑油を適正に供給することで、制御軸や接触部における摺動部位の摩耗を抑制するとともに、潤滑油供給による内燃機関への負荷を低減する。
【解決手段】軸受部で支持され且つ内燃機関の機関要素と連結された制御軸を駆動させることにより内燃機関の圧縮比を変更する可変圧縮比内燃機関において、前記制御軸または前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、前記内燃機関の圧縮比の変更を開始する直前又は変更開始時からの所定期間において、前記潤滑油供給手段によって前記制御軸または前記軸受部へ供給される潤滑油量を、前記制御軸の停止時の該潤滑油供給量より増量する潤滑油供給制御手段と、を備える。
【選択図】 図4

Description

本発明は、燃焼室容積を変更することにより圧縮比を可変とする可変圧縮比内燃機関に関する。
近年、内燃機関の燃費性能や出力性能を向上させることを目的として、内燃機関の圧縮比を変更可能にする技術が提案されている。これらの技術においては、潤滑油の圧力、いわゆる油圧を利用することで、内燃機関の燃焼室を構成する機関要素、もしくは該機関要素に連結される要素(以下、単に「内燃機関の機関要素」という)を駆動し、該内燃機関の圧縮比を変更する。
例えば、油圧を利用して内燃機関の圧縮比を変更するときに、該機構の油圧通路のドレン通路を大気側に開放させる弁を設ける技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照。)。更に、コンロッドとクランクピンとの間に偏心ベアリングが設けられ、該偏心ベアリングをクランクピンに対して回転させることで内燃機関の圧縮比を変更する際に、コンロッドと偏心ベアリングとの間の摩擦を制御するために油圧を利用する技術が公開されている(例えば、特許文献2を参照。)。
また、油圧を利用せずに内燃機関の圧縮比を変更する技術として、内燃機関の機関要素と連結される制御軸を電動機で回転駆動することで、それらの機関要素、例えばクランクケースとシリンダブロックとを相対移動させて内燃機関の圧縮比を変更する技術が公開されている(例えば、特許文献3を参照。)。
実開昭63−83440号公報 特開2000−64866号公報 特開2003−206771号公報 実開昭63−164534号公報 特開平11−62648号公報 特開平4−301148号公報
ここで、内燃機関の機関要素が、回転駆動する制御軸によって駆動されて内燃機関の圧縮比が変更される場合、該制御軸との接触部、特に該制御軸の軸受部においては、摺動部位が存在する。従って、その摺動部位に、制御軸または軸受部の摩耗を抑制するために潤滑油を供給する必要がある。
しかし、潤滑油を常時その摺動部位に供給すると、制御軸または軸受部での摩耗は抑制し得るが、潤滑油を供給するための装置、例えばポンプを駆動するために、潤滑油供給による内燃機関の負荷が大きくなる虞がある。また、潤滑油の供給が過少である場合は、制御軸とその接触要素である軸受部の間に介在する潤滑油が十分に確保されないため、これらの摺動部位において制御軸や軸受部等の摩耗が激しくなり、または焼き付きが生じるこ
とによって、内燃機関の圧縮比の変更が良好に行われない虞がある。
本発明では、上記した問題に鑑み、内燃機関の機関要素が、回転駆動する制御軸によって駆動されて圧縮比が変更される内燃機関において、制御軸やその接触部に潤滑油を適正に供給することで、制御軸やその軸受部等の接触部の摩耗を抑制するとともに、潤滑油供給による内燃機関への負荷を低減することを目的とする。
本発明は、上記した課題を解決するために、圧縮比制御手段によって内燃機関の圧縮比を変更する直前、もしくはその変更開始時における、内燃機関の機関要素を駆動する制御軸およびその接触部位である軸受部への潤滑油供給に着目した。これにより、制御軸の回転駆動開始時における静摩擦力を低減するとともに、回転駆動後においては制御軸を動圧軸受状態とすることで、制御軸および軸受部への潤滑油の供給を可及的に減量することが可能となるからである。
そこで、本発明は、圧縮比が可変とされる可変圧縮比内燃機関において、軸受部で支持され且つ内燃機関の機関要素と連結された制御軸を駆動させることにより、該内燃機関の圧縮比を変更する圧縮比制御手段と、前記制御軸または前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、前記内燃機関の圧縮比の変更を開始する直前又は変更開始時からの所定期間において、前記潤滑油供給手段によって前記制御軸または前記軸受部へ供給される潤滑油量を、前記制御軸の停止時の該潤滑油供給量より増量する潤滑油供給制御手段と、を備える。
上記可変圧縮比内燃機関においては、内燃機関の燃焼室を構成する機関要素もしくは該機関要素に連結される要素である内燃機関の機関要素を、制御軸を駆動することで、燃焼室の容積またはピストンによる行程容積を変更し、以て内燃機関の圧縮比が変更される。
例えば、軸受部で支持され且つシリンダブロックおよびクランクケースと連結された制御軸を回転駆動させることにより、該シリンダブロックと該クランクケースとを相対移動させて燃焼室の容積を変更し、以て前記内燃機関の圧縮比を変更する。また、クランクピンやピストンピンに連結され、偏心した制御軸を駆動させることにより、ピストンによる行程容積を変更し、以て内燃機関の圧縮比を変更する。
そこで、内燃機関の圧縮比の変更、例えばシリンダブロックとクランクケースの相対移動による圧縮比の変更は、制御軸が回転駆動されることで行われ、該制御軸、軸受部やその他の接触部(以下、「制御軸等」という)との間に摺動部位が存在することとなる。そのため、該摺動部位に対して、潤滑油供給手段によって潤滑油を供給することで、該摺動部位における制御軸等の摩耗の抑制が図られる。
ここで、制御軸を回転駆動させて内燃機関の圧縮比を変更する場合には、制御軸等への潤滑油供給を行うが、特に制御軸を回転駆動させる直前、もしくはその回転駆動開始時においては、制御軸等に供給される潤滑油量を、制御軸が回転駆動されないときと比べて増量する。そして、前記所定期間において潤滑油の供給量を増量することで、制御軸等へ十分な潤滑油を供給して、制御軸等における静摩擦力を低下させる。
更に、該所定期間経過後であって制御軸が回転駆動されているときは、制御軸が動圧軸受状態となるため、制御軸等において潤滑油がその接触部との間に介在し、制御軸等の摩耗がより確実に確保される。尚、潤滑油が増量されて供給される時間を前記所定期間に限定することで、潤滑油供給による内燃機関の負荷を低減することが可能となる。また、内燃機関の負荷を低減するために、制御軸が回転駆動されないとき、即ち内燃機関の圧縮比
が一定であるときは、制御軸等への潤滑油の供給量を可及的に小さくするのが好ましい。
そして、前記所定期間の経過後であって制御軸がまだ回転駆動されているとき、即ち内燃機関の圧縮比の変更が行われているときは、潤滑油供給手段によって供給される潤滑油量を減量するようにしてもよい。先述したように、前記所定期間経過後において制御軸が回転駆動されているときは、制御軸が動圧軸受状態となるため、供給される潤滑油量が減量されても、制御軸等の摩耗が顕著となる虞は少ない。一方で、潤滑油供給手段による潤滑油供給のために可変圧縮比内燃機関に係る負荷をより小さくすることが可能となる。尚、制御軸等に供給される潤滑油量は、制御軸等の摩耗が顕著とならない範囲で、制御軸の停止時における潤滑油供給量に近い量まで減量することが好ましい。尚、供給される潤滑油量の減量については、潤滑油量を徐々に減量し、または段階的に減量するようにしてもよい。
また、上述の可変圧縮比内燃機関において、前記潤滑油供給手段内の潤滑油の圧力、または該潤滑油供給手段と接続される潤滑油供給通路内の潤滑油の圧力を検出する潤滑油圧力検出手段を、更に備える。そして、前記潤滑油圧力検出手段によって検出される圧力が所定の圧力より低いときは、前記圧縮比制御手段による前記内燃機関の圧縮比の変更を禁止する。
上記部位における潤滑油の圧力、即ち油圧が低下する要因は、十分な潤滑油量が確保されていないことである。従って、制御軸等に対する十分な潤滑油の供給、特に、先述した制御軸の回転駆動の直前又は回転駆動開始からの所定期間における供給潤滑油の増量を確実に行うことが困難となる。そのような場合にまで、制御軸を回転駆動させて、内燃機関の圧縮比を変更しようとすると、制御軸等の摩耗が顕著となり、又は焼き付きが生じる虞がある。そこで、このような場合においては、制御軸を回転駆動させて、内燃機関の圧縮比を変更するのを禁止する。
ここで、内燃機関には、先述した潤滑油と供給経路の一部を同一とする潤滑油が制御軸等への供給以外の用途に使われる場合がある。しかし、潤滑油の総量には上限があるため、制御軸に潤滑油を供給する際に、十分な量の潤滑油を確保することが困難となる虞もある。そこで、先述した可変圧縮比内燃機関において、前記潤滑油供給手段によって前記制御軸または前記軸受部に供給される潤滑油と供給経路の一部を同一とする潤滑油が供給される前記内燃機関の機関要素を、更に備える場合、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記潤滑油供給手段による前記制御軸または前記軸受部への潤滑油供給と、前記内燃機関の機関要素への潤滑油供給との何れを優先するかを決定する。
これによって、内燃機関の運転状態に基づいて、内燃機関の圧縮比の変更を優先すべきと判断される場合、例えば、圧縮比を変更することで内燃機関からのエミッション改善を早急に行う必要があると判断される場合は、先ず制御軸等への潤滑油供給が優先的に行われる。一方で、潤滑油が供給される内燃機関の機関要素であって、内燃機関の圧縮比の変更より該機関要素の動作が優先されるべきと判断されるときは、制御軸等への潤滑油の供給は行わず、該機関要素への潤滑油の供給を行う。この場合、制御軸等の摩耗を防止するために、内燃機関の圧縮比の変更は待機状態とし、該機関要素への潤滑油の供給が終了した後に、制御軸等への潤滑油の供給を開始するとともに、内燃機関の圧縮比を変更するのが好ましい。
このようにすることで、その時点における内燃機関の運転状態に、制御軸等を含む機関要素の中でより適した要素に対して潤滑油を供給することが可能となり、内燃機関の運転状態を可及的に良好な状態に保つことが可能となる。
特に、上記の内燃機関の機関要素が、供給された潤滑油によって、該内燃機関の吸気弁もしくは排気弁の少なくとも何れかの開閉特性を変更する吸排気弁制御手段である場合、即ちいわゆる可変動弁機構である場合、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記吸排気弁制御手段への潤滑油の供給を、前記潤滑油供給手段による前記制御軸または前記軸受部への潤滑油供給より優先して行うのが好ましい。
吸排気弁制御手段によって吸気弁もしくは排気弁の開閉特性が変更されると、内燃機関における燃焼状態への影響、とりわけ燃焼の安定性に対する影響が大きい。換言すると、吸排気弁制御手段に潤滑油が供給されて該手段が作動する場合は、内燃機関の燃焼状態を目的の状態とする必要性が高いと言える。そこで、このような場合には、吸排気弁制御手段への潤滑油の供給を、制御軸等への潤滑油供給より優先して行うことで、内燃機関の燃焼の安定性をより確実に確保することが可能となる。
内燃機関の機関要素が、回転駆動する制御軸によって駆動されて圧縮比が変更される内燃機関において、制御軸やその接触部に潤滑油を適正に供給することで、制御軸やその接触部における摺動部位の摩耗を抑制するとともに、潤滑油供給による内燃機関への負荷を低減することが可能となる。
ここで、本発明に係る可変圧縮比内燃機関の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、圧縮比が変更可能である可変圧縮比内燃機関1において、圧縮比を変更可能とする機構の構成を示す図であり、図2は、可変圧縮比内燃機関1において圧縮比が変更される推移を概略的に示す図である。可変圧縮比内燃機関1は、シリンダ2を有するシリンダブロック3を、図3に図示するピストン15が連結されたクランクケース4に対してシリンダ2の軸方向に移動させることによって圧縮比を変更する内燃機関である。
図1に示されるように、シリンダブロック3の両側下部に複数の隆起部が形成されており、この各隆起部にカム収納孔5が形成されている。カム収納孔5は、円形をしており、シリンダ2の軸方向に対して直角に、かつ複数のシリンダ2の配列方向に平行になるようにそれぞれ形成されている。片側の複数のカム収納孔5はすべて同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック3の両側のカム収納孔5の一対の軸線は平行である。
クランクケース4には、上述したカム収納孔5が形成された複数の隆起部の間に位置するように、立壁部が形成されている。各立壁部のクランクケース4外側に向けられた表面には、半円形の凹部が形成されている。また、各立壁部には、ボルト6によって取り付けられるキャップ7が用意されており、キャップ7も半円形の凹部を有している。また、各立壁部にキャップ7を取り付けると、円形の軸受収納孔8が形成される。軸受収納孔8の形状は、上述したカム収納孔5と同一である。
複数の軸受収納孔8は、カム収納孔5と同様に、シリンダブロック3をクランクケース4に取り付けたときにシリンダ2の軸方向に対して直角に、且つ、複数のシリンダ2の配列方向に平行になるようにそれぞれ形成されている。これらの複数の軸受収納孔8も、シリンダブロック3の両側に形成されることとなり、片側の複数の軸受収納孔8はすべて同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック3の両側の軸受収納孔8の一対の軸線は平行である。また、両側のカム収納孔5の間の距離と、両側の軸受収納孔8との間の距離は同一である。
交互に配置される二列のカム収納孔5と軸受収納孔8には、それぞれ制御軸9が挿通される。制御軸9は、図1に示されるように、軸部9aと、軸部9aの中心軸に対して偏心された状態で軸部9aに固定された正円形のカムプロフィールを有するカム部9bと、カム部9bと同一外形を有し軸部9aに対して回転可能に取り付けられた可動軸受部9cとが交互に配置されている。この可動軸受部9cには、軸収納孔9eが設けられており、その中を制御軸9の軸部9aが挿通される構成をとることにより、可動軸受部9cは軸部9aに対して回動可能となっている。そして、これら一対の制御軸9は鏡像の関係を有している。また、制御軸9の端部には、後述するウォームホイール10の取り付け部9dが形成されている。軸部9aの中心軸と取り付け部9dの中心とは偏心しており、カム部9bの中心と取り付け部9dの中心とは一致している。
可動軸受部9cも、軸部9aに対して偏心されておりその偏心量はカム部9bと同一である。また、各制御軸9において、複数のカム部9bの偏心方向は同一である。また、可動軸受部9cの外形は、カム部9bと同一正円であるので、可動軸受部9cを回転させることで、複数のカム部9bの外表面と複数の可動軸受部9cの外側面とを一致させることができる。
各制御軸9の軸部9aの一端にはウォームホイール10が取り付けられている。一対の制御軸9の端部に固定された一対のウォームホイール10には、それぞれをウォームギア11a、11bがかみ合っている。ウォームギア11a、11bはモータ12の一本の出力軸にとりつけられている。ウォームギア11a、11bは、互いに逆方向に回転する螺旋溝を有している。このため、モータ12を回転させると、一対の制御軸9は、ウォームホイール10を介して逆方向に回転する。モータ12は、シリンダブロック3に固定されており、シリンダブロック3と一体的に移動する。
次に、上述した構成の可変圧縮比内燃機関1において圧縮比を制御する方法について詳しく説明する。図2(a)から図2(c)にシリンダブロック3と、クランクケース4と、これら両者の間に構築された制御軸9との関係を示した断面図を示す。図2(a)から図2(c)において、軸部9aの中心軸をa、カム部9bの中心をb、可動軸受部9cの中心をcとして示す。図2(a)は、軸部9aの延長線上から見て全てのカム部9b及び可動軸受部9cの外周が一致した状態である。このとき、ここでは一対の軸部9aは、カム収納孔5及び軸受収納孔8の中で外側に位置している。
図2(a)の状態から、モータ12を駆動して軸部9a矢印方向に回転させると、図2(b)の状態となる。このとき、軸部9aに対して、カム部9bと可動軸受部9cの偏心方向にずれが生じるので、クランクケース4に対してシリンダブロック3を上死点側にスライドさせることができる。そして、そのスライド量は図2(c)のような状態となるまで制御軸9を回転させたときが最大となり、カム部9bや可動軸受部9cの偏心量の2倍となる。カム部9b及び可動軸受部9cは、それぞれカム収納孔5及び軸受収納孔8の内部で回転し、それぞれカム収納孔5及び軸受収納孔8の内部で軸部9aの位置が移動するのを許容している。
上述したような機構を用いることによって、シリンダブロック3をクランクケース4に対して、シリンダ2の軸線方向に相対移動させることが可能となり、その結果、シリンダブロック3と図3に示すシリンダヘッド13との相対的な位置が変更され、以て圧縮比を可変制御することができる。
ここで、図3に可変圧縮比内燃機関1の、図1に示した圧縮比を変更する機構を含めた概略構成を示す。気筒2には、吸気管18が接続され、吸気ポートを介して、気筒2内に
吸気が送られる。吸気の気筒2への流入は吸気弁16の開閉動作によって行われる。また、可変圧縮比内燃機関1には、排気管19が接続され、排気ポートを介して、気筒2内の排気が排出される。排気の気筒2外への排出は排気弁17の開閉動作によって行われる。更に、吸気ポートには燃料噴射弁38が、気筒2の頂部には、点火プラグ37が設けられている。
また、吸気弁16および排気弁17の開閉特性を変更する可変動弁機構が、それぞれ吸気側可変動弁機構14a、排気側可変動弁機構14bとして、設けられている。各可変動弁機構は、潤滑油が供給されることで、吸気弁16および排気弁17の開閉特性を決定するカムの、可変圧縮比内燃機関1のクランク軸に対する位相が変更され、以て吸気弁16および排気弁17の開閉特性を変更する。
ここで、可変圧縮比内燃機関1における潤滑油の供給経路について説明する。クランクケース4の下部に設けられたオイルパン20には、潤滑油21が貯留されている。その貯留された潤滑油21を、ポンプ23によって可変圧縮比内燃機関1の各部位に圧送する。ポンプ23は、可変圧縮比内燃機関1のクランク軸と連結されており、可変圧縮比内燃機関1の機関出力を動力源として潤滑油の圧送を行うポンプである。
ポンプ23によって圧送された潤滑油は、潤滑油供給管26を経て、先ずフィルタ24に送られ、潤滑油に含まれる不純物を除去した後に、潤滑油供給本管30に送られる。潤滑油供給本管30には、オイルホール用供給枝管27が連結されており、潤滑油供給本管30に圧送された潤滑油の一部は、オイルホール32に送られ、オイルホール32からクランク軸の軸受部等の摺動部位に供給される。
また、潤滑油供給本管30には、先述した制御軸9を構成する軸部9a、カム部9b、可動軸受部9c、およびカム部9bを収納するカム収納孔5と稼動軸受部9cを収納する軸受収納孔8(以下、「可変圧縮比機構関連部位」という)に潤滑油を供給する可変圧縮比機構用供給枝管28が連結されており、各部位に潤滑油が供給される。また、可変圧縮比機構用供給枝管28を介した潤滑油の供給量は流量調整弁33の開度によって制御される。更に、流量調整弁33に対して並列に設けられ、流量調整弁33を迂回して潤滑油を供給するバイパス枝管34が設けられている。従って、可変圧縮比機構関連部位へは、流量調整弁33の開度にかかわらず、少なくともバイパス枝管34を経た潤滑油が供給される。尚、図3においては、片側の可変圧縮比機構関連部位への潤滑油の供給経路のみを示し、残りの可変圧縮比機構関連部位(ウォームギア11a側)への潤滑油の供給経路の記載は省略する。
更に、潤滑油供給本管30には、先述した吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bに潤滑油を供給する可変動弁機構用供給枝管29が連結されており、各可変動弁機構に潤滑油が供給され、吸気弁16および排気弁17の開閉特性の変更が実行される。尚、可変動弁機構用供給枝管29を介した潤滑油の供給量は流量調整弁35の開度によって制御される。
また、可変圧縮比内燃機関1には、該可変圧縮比内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(以下、「ECU」という)31が併設されている。このECU31は、CPUの他、後述する各種のプログラム及びマップを記憶するROM、RAM等を備えており、可変圧縮比内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて可変圧縮比内燃機関1の運転状態等を制御するユニットである。
ECU31には、クランクポジションセンサ22、アクセル開度センサ36等、可変圧縮比内燃機関1の運転状態を検出する種々のセンサや、オイルホール用供給枝管27を流
れる潤滑油による油圧を検出する油圧センサ25が電気配線を介して接続され、それらの出力信号がECU31に入力されるようになっている。一方、ECU31には、本実施例に係るモータ12が電気配線を介して接続され、ECU31からの指令によってモータ12が回転し、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比を変更するようになっている。また、流量調整弁33および流量調整弁35が電気配線を介して接続され、ECU31からの指令によってその開度が調整され、以て可変圧縮比機構用供給枝管28および可変動弁機構用供給枝管29を流れる潤滑油の油量が調整される。
このように構成される可変圧縮比内燃機関1においては、制御軸9をモータ12によって回転駆動させて、その圧縮比を変更する際に、可変圧縮比機構関連部位においては要素同士が摺動状態に置かれるため、その要素の摩耗や焼き付けを抑制すべく制御軸9の回転駆動時における潤滑油の供給が不可欠となる。一方で、潤滑油の供給量が増加すると、ポンプ23の仕事量が増え、その結果、可変圧縮比内燃機関1の負荷が増加することになる。そこで、可変圧縮比内燃機関1において、圧縮比を変更する際の可変圧縮比機構関連部位の摩耗や焼き付きの抑制のための適正な潤滑油の供給を図るとともに、可変圧縮比内燃機関1の機関負荷の増加を可及的に抑制するための、潤滑油供給制御について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、S101では、可変圧縮比内燃機関1の運転状態が、その圧縮比の変更が要求される状態か否かが判断される。具体的には、クランクポジションセンサ22からの検出信号より算出される機関回転速度や、アクセル開度センサ36からの検出信号より算出される機関負荷の変動から、可変圧縮比内燃機関1における燃料の燃焼条件をより適正なものとするために、圧縮比の変更が必要とされるか否かが判断される。S101において、可変圧縮比内燃機関1の運転状態が、その圧縮比の変更が要求される状態であると判断されると、S102へ進む。可変圧縮比内燃機関1の運転状態が、その圧縮比の変更が要求される状態でないと判断されると、本制御を終了する。
S102では、吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bが稼動しているか否かが、即ち流量調整弁35が開弁状態となって、それぞれの可変動弁機構へ潤滑油が供給されているか否かが判断される。両可変動弁機構が稼動していないと判断されると、S103へ進み、両可変動弁機構が稼動している場合は、両可変動弁機構の稼動が停止するまで、S102の処理が繰り返される。
S103では、閉弁状態に流量調整弁33の開度を最大開度として、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量を、制御軸9の停止時における供給潤滑油量、即ち流量調整弁33が閉弁状態にあるときの供給潤滑油量より増量する。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
S104では、タイマーTrを始動させる。S104の処理が終了すると、S105へ進む。S105では、タイマーTrが所定時間T0を経過したか否かが判断される。タイマーTrが所定時間T0を経過したと判断されると、S106へ進み、タイマーTrが所定時間T0を経過していない場合は、所定時間T0を経過するまでS105の処理が繰り返される。
S106では、モータ12を駆動することによって、制御軸9を回転駆動し、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変更を開始する。S106の処理が終了すると、S107へ進む。
S107では、S103において最大開度状態となっている流量調整弁33の開度を小さくし、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量を減量する。S107の処理が終
了すると、S108へ進む。
S108では、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比を目的の圧縮比まで変更させるために、制御軸9が回転移動すべき所定位置までの、制御軸9の回転移動が完了したか否かが判断される。制御軸9の回転移動が完了したと判断されるとS109へ進み、制御軸9の回転移動が完了していないと判断されると、再びS106以降の処理が繰り返される。
S109では、流量調整弁33の開度を閉弁し、本制御を終了する。従って、制御軸9の回転駆動が終了すると、可変圧縮比関連機構部位に供給される潤滑油は、バイパス枝管34を流れる潤滑油のみとなる。
本制御によると、S103からS106の処理によって、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比を変更すべく、制御軸9がモータ12によって回転駆動される前に、期間T0の間、流量調整弁33の開度が最大開度となり、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量が最大量となる。そして、制御軸9が回転駆動された後は、S107の処理によって、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量は減量される。
従って、制御軸9が回転駆動を開始する時点においては、可変圧縮比機構関連部位には十分な量の潤滑油が供給されているため、静摩擦力も低減され、可変圧縮比機構関連部位の摩耗が抑制される。また、制御軸9の回転駆動が開始されると、制御軸9が動圧軸受されている状態となるため、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量は減量されても、可変圧縮比機構関連部位における摩耗は顕著になりにくい。従って、期間T0は、制御軸9の回転駆動開始時の可変圧縮比機構関連部位における静摩擦を低減させ、更に制御軸9が動圧軸受されている状態となる程度の量の潤滑油を供給し得る期間である。
その結果、可変圧縮比機構関連部位の摩耗を抑制しながらも、可変圧縮比機構関連部位に供給すべき潤滑油量を可及的に減量することになるため、ポンプ23の仕事量を低減し、以て可変圧縮比内燃機関1の機関負荷を低減することが可能となる。尚、S107において行われる可変圧縮比機構関連部位への供給潤滑油量の減量の態様としては、経過時間とともに徐々に減量したり、段階的に減量したりすることで、動圧軸受状態となっている制御軸9等の摩耗が顕著とならない量まで減量する態様が挙げられる。また、動圧軸受状態となっている制御軸9等の摩耗が顕著とならない範囲において、S109の処理と同様に制御軸9の回転駆動後に流量調整弁33を完全に閉弁し、供給される潤滑油を、バイパス枝管34を流れる潤滑油のみとしてもよい。即ち、可変圧縮比機構関連部位の摩耗等を考慮して、供給潤滑油の減量の態様を決定すればよい。
また、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比を変更する要求がある場合であっても、吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bが稼動している場合は、その可変動弁機構の稼動が停止するまで、制御軸9の回転駆動は行われない。即ち、可変動弁機構の稼動による吸排気弁の開閉特性の変更は、可変圧縮比内燃機関1の機関出力やエミッションに大きな影響を及ぼすため、可変動弁機構が稼動しているときは、吸排気弁の開閉特性の変更を優先し、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変更は待機状態となり、可変動弁機構の稼動が停止した後に圧縮比の変更が行われる。このようにすることで、量に限りのある潤滑油を効率的に使用し、可変圧縮比内燃機関1の機関出力やエミッションの悪化を可及的に抑制するとともに、圧縮比の変更をすることが可能となる。つまり、可変圧縮比内燃機関1の運転状態に基づいて、潤滑油を優先的に供給する部位を変更することで、可変圧縮比内燃機関1の運転状態をより良好に保つことが可能となる。
尚、本制御においては、可変圧縮比機構関連部位への潤滑油の供給量の増量を期間T0行った後に、制御軸9を回転駆動させるが、該潤滑油の増量供給と同時に制御軸9の回転
駆動を行ってもよい。このようにすることで、制御軸9の回転駆動開始時における制御軸9への潤滑油の供給量が、本制御の実行時と比べては少なくなるものの、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変更を可及的に早急に行うことが可能となる。
また、本制御は、制御軸9の回転駆動によりシリンダブロック3とクランクケース4とが相対移動を行うことで、圧縮比が変更される可変圧縮比内燃機関1での潤滑油供給に対応しているが、制御軸の駆動によりピストン15と連結されるピストンピンやクランクピンを移動させてピストン15による行程容積を変更させ、以て圧縮比が変更される内燃機関における、該制御軸への潤滑油の供給にも対応させることは可能である。
ここで、可変圧縮比内燃機関1における潤滑油の供給経路の設計は、その供給先が必要とする潤滑油の供給量によって、より適切な構造とするのが好ましい。そこで、可変圧縮比機構関連部位への潤滑油を制御する流量調整弁33およびバイパス枝管34の配置の態様について図5、図6および図7に基づいて説明する。図5は、可変圧縮比機構用供給枝管28に流量調整弁33が設けられた場合の、潤滑油の供給経路を概略的に示す図である。図6は、オイルホール用供給枝管27に流量調整弁33が設けられた場合の、潤滑油の供給経路を概略的に示す図である。図7は、潤滑油供給本管30に流量調整弁33が設けられた場合の、潤滑油の供給経路を概略的に示す図である。図5、図6、図7に示す要素は、図3に示す可変圧縮比内燃機関1の構成の一部を抜粋および変更したものであり、同一の要素を示すものについては同一の参照番号を付している。
図5(a)に示す潤滑油の供給経路の態様は、図3に示す可変圧縮比内燃機関1の潤滑油の供給経路の態様と同一である。即ち、流量調整弁33およびバイパス枝管34が可変圧縮比機構用供給枝管28に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位の下流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、オイルホール32を経て可変圧縮比内燃機関1のクランク軸等に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となる。
図5(b)に示す潤滑油の供給経路の態様は、流量調整弁33およびバイパス枝管34が可変圧縮比機構用供給枝管28に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位の上流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となる。尚、図5(a)および(b)に示す潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量を増量する場合は、流量調整弁33の開度をより大きくすればよい。
図6(a)に示す潤滑油の供給経路の態様は、流量調整弁33およびバイパス枝管34がオイルホール用供給枝管27に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位の下流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、オイルホール32を経て可変圧縮比内燃機関1のクランク軸等に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となる。
図6(b)に示す潤滑油の供給経路の態様は、流量調整弁33およびバイパス枝管34がオイルホール用供給枝管27に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位の上流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となる。尚、図6
(a)および(b)に示す潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量を増量する場合は、流量調整弁33の開度をより小さくすればよい。
図7(a)に示す潤滑油の供給経路の態様は、流量調整弁33およびバイパス枝管34が潤滑油供給本管30に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位の下流側に位置するとともに、それぞれの連結部位が流量調整弁33の上流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、オイルホール32を経て可変圧縮比内燃機関1のクランク軸等に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となる。
図7(b)に示す潤滑油の供給経路の態様は、流量調整弁33およびバイパス枝管34が潤滑油供給本管30に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が流量調整弁33の上流側に位置するとともに、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位が流量調整弁33の下流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となるとともに、オイルホール用供給枝管27を流れる潤滑油の量が流量調整弁33の開度によって大きく変動する。即ち、流量調整弁33の開度が大きくなるに従い、可変動弁機構用供給枝管28を流れる潤滑油量は減少する一方で、オイルホール用供給枝管27を流れる潤滑油量は増量する。
図7(c)に示す潤滑油の供給経路の態様は、流量調整弁33およびバイパス枝管34が潤滑油供給本管30に設けられ、且つ可変圧縮比機構用供給枝管28と潤滑油供給本管30との連結部位が、オイルホール用供給枝管27と潤滑油供給本管30との連結部位の上流側に位置するとともに、それぞれの連結部位が流量調整弁33の上流側に位置する。このような潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油の量をより確実に確保することが可能となる。尚、図7(a)、(b)および(c)に示す潤滑油の供給経路の態様においては、可変圧縮比機構関連部位に供給される潤滑油量を増量する場合は、流量調整弁33の開度をより小さくすればよい。
可変圧縮比内燃機関1において、可変圧縮比機構関連部位への潤滑油供給を行う潤滑油供給制御の第二の実施例について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、可変圧縮比内燃機関1のハード構成は先述の通りであり、その説明は省略する。また、図8に示す潤滑油供給制御のフローチャートにおいて、図4に示す潤滑油供給制御と同一の処理については、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
本制御においては、S101において、可変圧縮比内燃機関1の運転状態が、その圧縮比の変更が要求される状態であると判断されると、S201へ進む。S201では、油圧センサ25によって検出される、オイルホール供給枝管27を流れる潤滑油の油圧が所定の油圧P0より大きいか否かが判定される。ここで、所定の油圧P0は、オイルホール供給枝管27や潤滑油供給本管30に、可変圧縮比機構関連部位に供給し得る程度に十分な量の潤滑油が確保されているか否かを判断するための閾値である。
従って、オイルホール供給枝管27を流れる潤滑油の油圧が所定の油圧P0より大きいと判断されると、十分な量の潤滑油が確保されていることを意味し、S103以降の可変圧縮比機構関連部位への潤滑油の供給が行われる。一方で、オイルホール供給枝管27を流れる潤滑油の油圧が所定の油圧P0以下であると判断されると、十分な量の潤滑油が確保されていないことを意味し、S103以降の可変圧縮比機構関連部位への潤滑油の供給は行わずに、本制御を終了する。従って、この場合、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変
更は行われない。
本制御によると、図4に示す潤滑油供給制御と同様に、可変圧縮比機構関連部位の摩耗を抑制しながらも、可変圧縮比機構関連部位に供給すべき潤滑油量を可及的に減量することになるため、ポンプ23の仕事量を低減し、以て可変圧縮比内燃機関1の機関負荷を低減することが可能となる。そして、更に、可変圧縮比関連部位に供給する潤滑油量が十分に確保されない場合は、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変更は行われず、以て可変圧縮比関連部位における摩耗や焼き付けをより確実に抑制することが可能となる。
可変圧縮比内燃機関1において、可変圧縮比機構関連部位への潤滑油供給を行う潤滑油供給制御の第三の実施例について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、可変圧縮比内燃機関1のハード構成は先述の通りであり、その説明は省略する。また、図9に示す潤滑油供給制御のフローチャートにおいて、図4に示す潤滑油供給制御と同一の処理については、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
本制御において、S101において、可変圧縮比内燃機関1の運転状態が、その圧縮比の変更が要求される状態であると判断されると、S301へ進む。S301では、該圧縮比の変更要求が、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比をより低い圧縮比とする要求か否かが判断される。即ち、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比をより低い圧縮比とすることで、可変圧縮比内燃機関1においてノッキングを回避する必要があるか否かを判断する。該圧縮比の変更要求が、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比をより低い圧縮比とする要求である場合は、S302へ進む。該圧縮比の変更要求が、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比をより低い圧縮比とする要求でない場合は、S304へ進む。
S302では、吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bが稼動しているか否かが、即ち流量調整弁35が開弁状態となって、それぞれの可変動弁機構へ潤滑油が供給されているか否かが判断される。両可変動弁機構が稼動していないと判断されると、S103へ進み、両可変動弁機構が稼動している場合は、S303へ進む。S303では、流量調整弁35を閉弁して両可変動弁機構への潤滑油の供給を一時停止し、両可変動弁機構の動作を一時停止させる。S303の処理が終了すると、S103へ進む。
また、S304では、吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bが稼動しているか否かが判断される。両可変動弁機構が稼動していないと判断されると、S103へ進み、両可変動弁機構が稼動している場合は、両可変動弁機構の稼動が停止するまで、S304の処理が繰り返される。
S103からS109までの処理については、図4に示す潤滑油供給制御のフローチャートにおける処理と同一の処理が行われる。S109の処理が終了すると、S304へ進む。S304では、吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bが一時停止状態であるか否か、即ちS303の処理によって吸気側可変動弁機構14aおよび排気側可変動弁機構14bが一時停止されているか否かが判断される。両可変動弁機構が一時停止状態にあると判断されると、S305に進み、一時停止状態にある両可変動弁機構を再稼働させて、吸気弁16および排気弁17が目標とする開閉特性を示す状態とする。S305の処理が終了すると、本制御を終了する。また、S304において、両可変動弁機構が一時停止状態にないと判断されると、本制御を終了する。
本制御によると、図4に示す潤滑油供給制御と同様に、可変圧縮比機構関連部位の摩耗を抑制しながらも、可変圧縮比機構関連部位に供給すべき潤滑油量を可及的に減量することになるため、ポンプ23の仕事量を低減し、以て可変圧縮比内燃機関1の機関負荷を低
減することが可能となる。
更に、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比を変更する要求がある場合であっても、その要求が圧縮比を低くする要求である場合は、可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変更を吸排気弁の開閉特性の変更より優先的に行い、その要求が圧縮比を高くする要求である場合は、吸排気弁の開閉特性の変更を可変圧縮比内燃機関1の圧縮比の変更より優先的に行うことになる。
これにより、吸排気弁の開閉特性の変更より圧縮比の変更が優先されることで、可変圧縮比内燃機関1におけるノッキングがより確実に回避され得る。また、吸排気弁の開閉特性の変更が圧縮比の変更より優先されることで、量に限りのある潤滑油を効率的に使用し、可変圧縮比内燃機関1の機関出力やエミッションの悪化を可及的に抑制するとともに、圧縮比の変更をすることが可能となる。即ち、可変圧縮比内燃機関1の運転状態に基づいて、潤滑油を優先的に供給する部位を変更することで、可変圧縮比内燃機関1の運転状態をより良好に保つことが可能となる。
本発明の実施の形態に係る圧縮比が変更可能である可変圧縮比内燃機関において、圧縮比を変更可能とする機構の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関において圧縮比が変更される推移を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関において、圧縮比を変更可能とする機構に潤滑油を供給する潤滑油供給制御を示す制御フローチャートである。 図5(a)および(b)は、本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関における潤滑油の供給経路を概略的に示した図である。 図6(a)および(b)は、本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関における潤滑油の供給経路を概略的に示した第二の図である。 図7(a)、(b)および(c)は、本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関における潤滑油の供給経路を概略的に示した第三の図である。 本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関において、圧縮比を変更可能とする機構に潤滑油を供給する潤滑油供給制御を示す第二の制御フローチャートである。 本発明の実施の形態に係る可変圧縮比内燃機関において、圧縮比を変更可能とする機構に潤滑油を供給する潤滑油供給制御を示す第三の制御フローチャートである。
符号の説明
1・・・・可変圧縮比内燃機関
2・・・・気筒
3・・・・シリンダブロック
4・・・・クランクケース
5・・・・カム収納孔
8・・・・軸受収納孔
9・・・・制御軸
9a・・・・軸部
9b・・・・カム部
9c・・・・可動軸受部
14a・・・・吸気側可変動弁機構
14b・・・・排気側可変動弁機構
16・・・・吸気弁
17・・・・排気弁
23・・・・ポンプ
25・・・・油圧センサ
27・・・・オイルホール用供給枝管
28・・・・可変圧縮比機構用供給枝管
29・・・・可変動弁機構用供給枝管
30・・・・潤滑油供給本管
31・・・・ECU
32・・・・オイルホール
33・・・・流量調整弁
34・・・・バイパス枝管
35・・・・流量調整弁

Claims (6)

  1. 軸受部で支持され且つ内燃機関の機関要素と連結された制御軸を駆動させることにより、該内燃機関の圧縮比を変更する圧縮比制御手段と、
    前記制御軸または前記軸受部に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
    前記内燃機関の圧縮比の変更を開始する直前又は変更開始時からの所定期間において、前記潤滑油供給手段によって前記制御軸または前記軸受部へ供給される潤滑油量を、前記制御軸の停止時の該潤滑油供給量より増量する潤滑油供給制御手段と、を備えることを特徴とする可変圧縮比内燃機関。
  2. 前記圧縮比制御手段は、軸受部で支持され且つシリンダブロックおよびクランクケースと連結された制御軸を回転駆動させることにより、該シリンダブロックと該クランクケースとを相対移動させて前記内燃機関の圧縮比を変更することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関。
  3. 前記潤滑油供給制御手段は、更に、前記所定期間の経過後であって前記制御軸が回転駆動されているときに、前記潤滑油供給手段によって前記制御軸または前記軸受部へ供給される潤滑油量を減量することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変圧縮比内燃機関。
  4. 前記潤滑油供給手段内の潤滑油の圧力、または該潤滑油供給手段と接続される潤滑油供給通路内の潤滑油の圧力を検出する潤滑油圧力検出手段を、更に備え、
    前記潤滑油圧力検出手段によって検出される圧力が所定の圧力より低いときは、前記圧縮比制御手段による前記内燃機関の圧縮比の変更を禁止することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の可変圧縮比内燃機関。
  5. 前記潤滑油供給手段によって前記制御軸または前記軸受部に供給される潤滑油と供給経路の一部を同一とする潤滑油が供給される前記内燃機関の機関要素を、更に備え、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記潤滑油供給手段による前記制御軸または前記軸受部への潤滑油供給と、前記内燃機関の機関要素への潤滑油供給との何れを優先するかを決定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の可変圧縮比内燃機関。
  6. 前記内燃機関の機関要素は、供給された潤滑油によって、該内燃機関の吸気弁もしくは排気弁の少なくとも何れかの開閉特性を変更する吸排気弁制御手段であって、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記吸排気弁制御手段への潤滑油の供給を、前記潤滑油供給手段による前記制御軸または前記軸受部への潤滑油供給より優先して行うことを特徴とする請求項5に記載の可変圧縮比内燃機関。
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