JP2023150381A - 送り出し腕型ミシンの送り機構 - Google Patents

送り出し腕型ミシンの送り機構 Download PDF

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Abstract

【課題】縫製経路に直線部と曲線部を含む場合でも、作業者の所望する縫い上がりとなるよう左右2枚の生地を適切に送ることができる送り出し腕型ミシンの送り機構を提供する。【解決手段】送り機構2は主軸13に連動して生地送り方向Fに沿った垂直面内を楕円運動する主送り歯3,第1差動送り歯4,第2差動送り歯5によりシリンダ1上に載置される生地を生地送り方向Fに搬送する。送り機構2は主軸13の1回転あたりに第1差動送り歯4が前後方向に動く量すなわち第1差動送り量を変更調節する第1差動送り量調節レバー6を備えている。さらに送り機構2は主軸の1回転あたりに第2差動送り歯5が前後方向に動く量すなわち第2差動送り量を変更調節する第2差動送り量調節レバー7を備えている。第1差動送り量調節レバー6は第1駆動装置8にて縫製の途中で変更調節できる。第2差動送り量調節レバー7は第2駆動装置9にて縫製の途中で変更調節できる。【選択図】図1

Description

本発明は、丸物,筒物の縫製作業がしやすい送り出し腕型ミシンの送り機構に関し、特に左右2枚の生地を縫い合わせるときに生地を生地送り方向に送るのに最適な送り出し腕型ミシンの送り機構に関するものである。本発明において、生地送り方向とはシリンダがベッド下部から延出する方向をいう。本発明において、前後とは生地送り方向における前後方向をいい、左右とはミシンを正面(生地送り方向手前のベッド側)から見たときの左右方向をいう。また、上下とはミシンの上下方向をいう。
送り出し腕型ミシンの送り機構として、ミシン下部において水平方向に延びるシリンダの長手方向に沿って主送り台,第1差動送り台,第2差動送り台をシリンダ内部に配置し、生地をシリンダの延出方向に沿って搬送する送り出し腕型ミシンの送り機構が知られている。(例えば、特許文献1参照。)
主送り台,第1差動送り台,第2差動送り台の先端には主送り歯,第1差動送り歯,第2差動送り歯がそれぞれ取り付けられている。主送り歯と第1差動送り歯,第2差動送り歯は、主送り歯が第1差動送り歯,第2差動送り歯の後方に位置する様にして互いに前後配置されている。第1差動送り歯と第2差動送り歯は互いに左右配置されている。第1差動調節レバーにより第1差動送り歯の第1差動送り量を変更調節できる。第2差動調節レバーにより第2差動送り歯の第2差動送り量を変更調節できる。
特許第6371887号公報
この種の送り出し腕型ミシンは、例えばスポーツウェアの脇縫いや股下縫いを行うためのもので、詳しくはシリンダ上に載置される左右2枚の生地をそれぞれの端縁から所定の幅にわたって上下に重ねて縫い合わせるものである。縫い合わせる左右2枚の生地は差動送り歯上に左右に並べて生地送り方向に搬送される。生地の重なる部分は、例えば4本の針糸と1本の下糸によりフラットシームの縫い目で縫い合わされる。生地の重なる部分が縫製の開始から完了まで直線部であれば縫製経路は直線部のみとなる。生地の重なる部分が直線部で始まり途中で円弧部に変わるときには、縫製経路も直線部で始まり途中で円弧部となる。
縫製経路が直線部のみの場合、作業者は左右2枚の生地をそれぞれ左右の手で把持し、生地が左右方向にずれることがないように、かつ送り歯により生地が生地送り方向に進行する力に対して、生地送り方向と逆方向に生地が必要以上に伸びることがないように支持する。縫製経路が直線部と円弧部を含む場合、直線部のみの場合と同じ方法で円弧部を縫製すると、円弧部で4本の針糸の左右両端において円弧の半径が異なるため、縫製経路の距離が異なり、円弧の半径の小さい側の円周部にある針糸の縫い合わせが完了しても、円弧の半径の大きい側の円周部にある針糸の縫い合わせは完了しないといった不具合が生じる。
このため作業者は円弧部の開始時に足踏みペダルを操作してミシンを停止し、円弧の半径の小さい側に位置する生地を手前に引っ張り伸ばした後に、ミシンを再び稼働させて縫製する。これは円弧の半径の小さい側について、生地が伸びている状態で縫い合わせて、縫い目形成後に生地の伸びが収まる状態に戻ることで、縫い目間のピッチが小さくなり結果的に生地送り量を小さくするためである。
前述の生地を引っ張り伸ばす力の加減は作業者の経験に頼るものである。縫製経路が直線部の場合、生地を支持する力の加減は左右の手で感覚的に近い力になる。縫製中は左右の生地を常に左右の手で一定の力の加減で保持する必要がある。縫製の途中で生地を手から離すと、再び生地を保持する際の力の加減が変わり、生地の微細な伸び具合が手を離した前後で変わるため、縫い目間のピッチにムラが生じて美観を損ねることになり縫製の品質が悪いと判断される。また縫製経路が円弧部の場合、片側の手で生地送り方向と逆方向に生地を引っ張り伸ばし、相対する手では生地送り方向と逆方向に生地が必要以上に伸びることの無いように支持することになり、左右の手で感覚的に異なる力になる。さらに生地の左右位置が外れることなく支持する必要があり、力の加減が非常に難しいものとなる。したがって縫製の途中で生地から手を離す行為はできる限り避けることが望ましい。
前述の送り出し腕型ミシンの送り機構では、縫い合わせる左右2枚の生地で異なる送り量を設定できる。これにより縫製経路が円弧部の場合でも、縫製経路が直線部の場合での生地を支持する力の加減にて、円弧の半径の小さい側の円周部にある針糸の縫い合わせと円弧の半径の大きい側の円周部にある針糸の縫い合わせを同時に完了することができる。これは縫製する前に第1差動調節レバー,第2差動調節レバーの操作を要する。第1差動調節レバー,第2差動調節レバーはミシンの前方側に設置されており、縫い合わせを行うミシンの後方側からは離れている。縫製経路が直線部と円弧部を含む場合、縫製の途中で第1差動調節レバー,第2差動調節レバーの操作を要する。しかし作業者は左右2枚の生地を左右の手で保持しており、ミシンの後方側の付近で生地を支えているため手指が届かず、また前述の縫製の途中で生地から手を離すこともできず操作できないといった問題があった。
そこで本発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、縫製経路が直線部と円弧部を含む場合でも作業者の所望する縫い上がりとなるよう縫製の途中で第1差動調節レバー,第2差動調節レバーを操作することができる送り出し腕型ミシンの送り機構を提供することを目的とする。
本発明の送り出し腕型ミシンの送り機構は、請求項1に記載のように、
その発明の内容を理解しやすくするために図1から図3に付した符号を参照して説明すると、生地送り方向Fに向かって延出するシリンダ1と、主軸13に連動して生地送り方向Fに沿った垂直面内を楕円運動する主送り歯3,第1差動送り歯4,第2差動送り歯5により、前記シリンダ1上に左右に並べて載置される生地を生地送り方向Fに搬送する送り出し腕型ミシンの送り機構2において、前記主送り歯3に対し生地送り方向F手前側に位置し、左右に並べた生地のうち一方を生地送り方向Fに搬送する第1差動送り歯4と、前記主送り歯3に対し生地送り方向F手前側に位置し、左右に並べた生地のうち一方を生地送り方向Fに搬送する第1差動送り歯4に対し生地送り方向Fと交差する方向に隣接し、左右に並べた生地のうち他方を生地送り方向Fに搬送する第2差動送り歯5と、主軸13の1回転あたりに第1差動送り歯4が前後方向に動く量、すなわち第1差動送り量を変更調節する第1差動調節レバー6と、主軸13の1回転あたりに第2差動送り歯5が前後方向に動く量、すなわち第2差動送り量を変更調節する第2差動調節レバー7と、第1差動調節レバー6と連動する第1駆動装置8を備え、第2差動調節レバー7と連動する第2駆動装置9を備えることを特徴とするものである。
これによると、縫い合わせる左右2枚の生地の縫製経路に直線部と曲線部を含むことで、縫製の途中で異なる送り量を要する場合、作業者は左右2枚の生地を左右の手で把持している状態でも、第1駆動装置8や第2駆動装置9を備えることで、第1差動送り量や第2差動送り量を調節でき、所望する縫い上がりの縫製を行うことができる。
請求項1記載の送り出し腕型ミシンの送り機構は、ミシンの外部に設けられる第1差動送り量を調節するための第1操作部材6と連動する第1駆動装置8を備え、ミシンの外部に設けられる第2差動送り量を調節するための第2操作部材7と連動する第2駆動装置9を備えるという構成を採用することができる。これによると、第1駆動装置8や第2駆動装置9はミシンの外部に設けられるので、第1差動送り量や第2差動送り量の調節を容易に行うことができる。
請求項1記載の送り出し腕型ミシンの送り機構は、前記第1差動送り歯4と前記第2差動送り歯5とは、生地送り方向Fに対して、前記第1差動送り歯4が前記第2差動送り歯5の左側に位置する様にして互いに左右配置され、前記第1操作部材6は前記ベッド11の左側面に配置され、前記第2操作部材7は前記ベッド11の右側面に配置されるという構成を採用することができる。
これによると、生地送り方向Fに対して左側に配置の第1差動送り歯4による第1差動送り量を変更調節したいのであれば、ベッド11の左側面に配置される第1駆動装置8を操作すれば良いという風に、調節したい差動送り量側の差動送り歯に対応してそれを変更調節する第1駆動装置8,第2駆動装置9がベッド11に配置される。したがって、作業者はどちらの操作部材を操作すれば良いのか迷うことがなく、差動送り量を変更調節することができる。
請求項2記載の送り出し腕型ミシンの送り機構は、例えば、シリンダ1の左側に設置された前記第1駆動装置8に制御装置(図示なし)を介して空圧機器にて連動し、作業台の下部かつ作業者の脚部左膝の左側に設置されたオルタネイト動作の左膝スイッチ装置(図示なし)にて操作することができる。またシリンダ1の右側に設置された前記第2駆動装置9に制御装置を介して空圧機器にて連動し、作業台の下部かつ作業者の脚部右膝の右側に設置されたオルタネイト動作の右膝スイッチ装置(図示なし)にて操作することができる。
これによると、生地送り方向Fに対して左側に配置の第1差動送り歯4による第1差動送り量を変更調節したいのであれば、第1駆動装置8に連動する左膝スイッチ装置を作業者の左膝の左側面側で操作すれば良いという風に、調節したい差動送り量側の差動送り歯に対応してそれを変更調節する左膝スイッチ装置、右膝スイッチ装置が配置される。したがって、作業者はどちらの操作部材を操作すれば良いのか迷うことがなく、また左右の手を用いることなく、所望する差動送り量を変更調節することができる。
請求項2記載の送り出し腕型ミシンの送り機構は、例えば、シリンダ1の左側に設置された前記第1駆動装置8に制御装置を介して電気機器にて連動し、作業台の下部かつ作業者の脚部左膝の左側に設置されたオルタネイト動作の左膝スイッチ装置にて操作することができる。またシリンダ1の右側に設置された前記第2駆動装置9に制御装置を介して電気機器にて連動し、作業台の下部かつ作業者の脚部右膝の右側に設置されたオルタネイト動作の右膝スイッチ装置にて操作することができる。
本発明の送り出し腕型ミシンの送り機構によれば、縫製経路に直線部と曲線部を含む場合でも作業者の所望する縫い上がりとなるよう第1差動調節レバー6,第2差動調節レバー7を操作することができる。
本発明の1実施例の送り出し腕型ミシンの外観を示す概略斜視図である。(a)は手前側よりミシンの左側面を見た図であり(b)は手前側よりミシンの右側面を見た図である。 図1の送り出し腕型ミシンにおける送り機構の外観を示す概略斜視図である。 図1の送り出し腕型ミシンにおける送り機構と駆動装置の外観を示す一部分解斜視図である。
以下、本発明に係る送り出し腕型ミシンの好適な第1実施形態について図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、第1実施例に係る送り出し腕型ミシンはシリンダ1,ベッド11およびアーム12を有する。シリンダ1は立設するベッド11の下部から水平方向に延びている。シリンダ1がベッド11の下部から延出する方向を生地送り方向Fとする。ベッド11は上方かつ生地送り方向F側へ向かって延びており、縫製作業の際に作業者がベッド11側からシリンダ1を目視しながら縫製作業を行うことから、その手元を見易くするため、ベッド11は図1に示すように斜めに設置されている。生地送り方向Fへ向かって延びているベッド11の端部にはアーム12が生地送り方向Fと交差する方向に向かって延び、アーム12の先端はシリンダ1先端の上方に位置する。
ベッド11の下部およびシリンダ1には送り機構2が配置されている。アーム12の内部には主軸13が軸回りに回転可能に配置され、この主軸13の回転によって送り機構2は駆動される。
主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51はシリンダ1の延出方向に沿いシリンダ1内に左右に並べて配置されている。主送り台31を挟んで、左側に第1差動送り台41が、右側に第2差動送り台51がそれぞれ配置されている。主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51にはそれぞれ送り台角駒用横孔21が形成されている。送り台角駒22は送り台角駒用横孔21を貫いて嵌挿されており、送り台角駒用横孔21は送り台角駒22に対し、前後のスライド可能にされている。送り台角駒22には送り台角駒用枢軸ピン23が軸回りの回転可能に嵌挿されている。送り台角駒用枢軸ピン23はシリンダ1の延出方向に対して水平かつ直交して配置され、送り台角駒用枢軸ピン23の両端はシリンダ1に架設されている。
主送り台31の先端には主送り歯3が上下位置調節可能に取り付けられている。第1差動送り台41の先端には第1差動送り歯4が上下位置調節可能に取り付けられている。第1差動送り歯4は主送り歯3に対し、生地送り方向F手前側に位置する。第2差動送り台51の先端には第2差動送り歯5が上下位置調節可能に取り付けられている。第2差動送り歯5は主送り歯3に対し、生地送り方向F手前側に位置し、かつ第1差動送り歯4に対し、生地送り方向Fと交差する方向に隣接している。第1差動送り歯4と第2差動送り歯5とは、生地送り方向Fに対して、第1差動送り歯4が第2差動送り歯5の左側に位置する様にして互いに左右配置されている。第1差動送り歯4の上下方向の取り付け位置を各別に調節することによって、左右の生地に対する生地の送り量を各別に調節することができる。
主送り歯3,第1差動送り歯4および第2差動送り歯5は、送り機構2による主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51の駆動(上下運動と前後運動との合成による生地送り方向Fに沿った垂直面内における楕円運動)に伴い、針板14の針板溝穴15から出没し、主送り歯3,第1差動送り歯4および第2差動送り歯5が針板14の上面から突出している時に、シリンダ1上に載置される生地は生地送り方向Fに沿って搬送されることになる。
主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51の駆動について、具体的に説明する。主軸13の回転に連動して上下駆動ロッド24,上下駆動ロッド用ピン(図示なし)を介して主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51は角駒用枢軸ピン23を支点に揺動する。主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51の先端に取着された主送り歯3,第1差動送り歯4および第2差動送り歯5は上下運動することになる。また、主軸13の回転に連動して前後駆動ロッド25および前後駆動クランク26を介して前後駆動リンク27が前後に駆動する。前後駆動リンク27によって前後調節クランク32が前後調節クランク軸33の軸周りに揺動する。前後調節クランク32の揺動により、主送り前後リンク34を介して主送り台31が前後に駆動する。また、前後調節クランク32の揺動により第1差動送り前後リンク35を介して第1差動送り台41は前後に駆動する。さらに、前後調節クランク32の揺動により第2差動送り前後リンク36を介して第2差動送り台41は前後に駆動する。主送り台31,第1差動送り台41および第2差動送り台51の先端に取着された主送り歯3,第1差動送り歯4および第2差動送り歯5は前後運動する。
次に、第1差動送り量を変更調節する第1差動送り量調節機構42について説明する。第1差動送り量調節機構42は、シリンダ1外部に第1差動調節レバー6を有している。第1差動調節レバー6はシリンダ1の左側面に配置されている。第1差動調節レバー6の基端は第1差動調節レバー用クランク(図示なし)の一端に固定されている。第1差動調節レバー6は、基端から上方と下方に延びるように配置されている。第1差動調節レバー6の下端は第1差動調節レバー操作用ピン(図示なし)を有している。第1差動調節レバー用クランクの他端はシリンダ1内部で第1差動送り台前後量調節レバー(図示なし)の一端に連結されている。第1差動送り台前後量調節レバーの基部には前後調節クランク軸33が挿通されている。第1差動送り台前後量調節レバーは前後調節クランク軸33に対し軸周りに回動自在となっている。第1差動送り台前後量調節レバーの他端には第1中間リンク(図示なし)の一端が連結され、第1中間リンクの他端が第1差動送り前後リンク35の途中に連結されている。
ここで、第1差動送り量の変更調節について説明する。第1差動調節レバー6を第1差動目盛板(図示なし)に沿って前後方向に回動操作させると、第1差動調節レバー用クランクを介して第1差動送り台前後量調節レバーを前後調節クランク軸33の軸周りに揺動させることができる。これにより、第1中間リンクおよび第1差動送り前後リンク35を介して前後調節クランク32の第1差動調節溝(図示なし)の内側における第1差動角駒(図示なし)の位置が変更される。そして、前後調節クランク軸33と第1差動角駒との距離が変更されることにより、第1差動角駒と第1差動角駒ピン(図示なし)を介して連結される第1差動送り前後リンク35の前後移動量が変更される。第1差動調節レバー6を後方向に回動操作させるにつれて、第1差動角駒が第1差動調節溝の下端側へスライドし、第1差動送り前後リンク35の前後移動量が小さくなり、第1差動送り量が小さくなる。また、第1差動調節レバー6を前方向に回動操作させるにつれて、第1差動角駒が第1差動調節溝の上端側へスライドし、第1差動送り前後リンク35の前後移動量が大きくなり、第1差動送り量が大きくなる。以上より、第1差動調節レバー6の回動操作によって、第1差動送り量は変更されるが、主送り量や第2差動送り量には影響しない。
次に、第2差動送り量を変更調節する第2差動送り量調節機構52について説明する。第2差動送り量調節機構52は、シリンダ1外部に第2差動調節レバー7を有している。第2差動調節レバー7はシリンダ1の右側面に配置されている。第2差動調節レバー7の基端は第2差動調節レバー用クランク(図示なし)の一端に固定されている。第2差動調節レバー7は、基端から上方と下方に延びるように配置されている。第2差動調節レバー7の下端は第2差動調節レバー操作用ピン(図示なし)を有している。第2差動調節レバー用クランクの他端はシリンダ1内部で第2差動送り台前後量調節レバー(図示なし)の一端に連結されている。第2差動送り台前後量調節レバーの基部には前後調節クランク軸33が挿通されている。第2差動送り台前後量調節レバーは前後調節クランク軸33に対し軸周りに回動自在となっている。第2差動送り台前後量調節レバーの他端には第2中間リンク(図示なし)の一端が連結され、第2中間リンクの他端が第2差動送り前後リンク36の途中に連結されている。
ここで、第2差動送り量の変更調節について説明する。第2差動調節レバー7を第2差動目盛板(図示なし)に沿って前後方向に回動操作させると、第2差動調節レバー用クランクを介して第2差動送り台前後量調節レバーを前後調節クランク軸33の軸周りに揺動させることができる。これにより、第2中間リンクおよび第2差動送り前後リンク36を介して前後調節クランク32の第1差動調節溝(図示なし)の内側における第2差動角駒(図示なし)の位置が変更される。そして、前後調節クランク軸33と第2差動角駒との距離が変更されることにより、第2差動角駒と第2差動角駒ピン(図示なし)を介して連結される第2差動送り前後リンク36の前後移動量が変更される。第2差動調節レバー7を後方向に回動操作させるにつれて、第2差動角駒が第2差動調節溝の下端側へスライドし、第2差動送り前後リンク36の前後移動量が小さくなり、第2差動送り量が小さくなる。また、第2差動調節レバー7を前方向に回動操作させるにつれて、第2差動角駒が第2差動調節溝の上端側へスライドし、第2差動送り前後リンク36の前後移動量が大きくなり、第2差動送り量が大きくなる。以上より、第2差動調節レバー7の回動操作によって、第2差動送り量は変更されるが、主送り量や第2差動送り量には影響しない。
以上の構成によれば、曲線部を縫製する場合、第1差動調節レバー6または第2差動調節レバー7を各別に回動操作することによって、第1差動送り量や第2差動送り量を各別に調節できる。また、第1差動調節レバー6や第2差動調節レバー7はシリンダ1外部に設けられている。
次に第1駆動装置8について説明する。第1駆動装置8はシリンダ1に固定することができる第1取付部材81を有している。第1取付部材81には第1制限部材82が固定される。第1取付部材81には第1駆動部材83が固定される。第1駆動部材83は直線駆動する駆動装置と直線駆動部の先端にピン案内部を有している。第1駆動部材83はピン案内部にて第1差動調節レバー操作用ピンを挟んで案内する。これにより第1駆動部材83が前後方向に直線駆動することで第1差動調節レバー6は回動する。
また第1駆動部材83はピン案内部の下側に突出する第1駆動部材制限ピン(図示なし)を有している。第1駆動部材制限ピンは第1取付部材81の前後方向に延びる溝の内側に収まり左右方向を案内され前後方向に移動できる。第1取付部材81の前後方向に延びる溝の両端には第1制限部材82が前後調節可能に固定される。第1駆動部材制限ピンは最前位置と最後位置を第1制限部材82にて移動を制限される。これにより第1差動調節レバー6は最前位置と最後位置を制限されて決定される。
前述により、例えば、縫製の始めに用いる第1差動送り量を得るための第1差動調節レバー6の位置を最前位置に決定し、縫製の途中で用いる第1差動送り量を得るための第1差動調節レバー6の位置を最後位置に決定できる。
第1駆動装置8の第1駆動部材83の直線駆動する駆動装置はアクチュエータであって例えば、エアシリンダである。エアシリンダは空圧機器にて中継して制御装置(図示なし)を介してオルタネイト動作の左膝スイッチ装置(図示なし)と連動して駆動する。左膝スイッチ装置は作業台の下部かつ作業者の脚部左膝の左側に設置される。
これにより生地送り方向Fに対して左側に配置の第1差動送り歯4による第1差動送り量を変更調節したいのであれば、第1駆動装置8に連動する左膝スイッチ装置を作業者の左膝の左側面側で操作すれば良い。縫製の途中で足踏みペダルを操作してミシンを停止し第1差動送り量を左膝スイッチ装置でON状態にすることで、縫製の途中で用いる第1差動送り量に変更することができる。
第1駆動装置8の第1駆動部材83の直線駆動する駆動装置はアクチュエータであって例えば、ソレノイドである。ソレノイドは電気機器にて中継して制御装置を介してオルタネイト動作の左膝スイッチ装置と連動して駆動する。左膝スイッチ装置は作業台の下部かつ作業者の脚部左膝の左側に設置される。
これにより生地送り方向Fに対して左側に配置の第1差動送り歯4による第1差動送り量を変更調節したいのであれば、第1駆動装置8に連動する左膝スイッチ装置を作業者の左膝の左側面側で操作すれば良い。縫製の途中で足踏みペダルを操作してミシンを停止し第1差動送り量を左膝スイッチ装置でON状態にすることで、縫製の途中で用いる第1差動送り量に変更することができる。
次に第2駆動装置9について説明する。第2駆動装置9はシリンダ1に固定できる第2取付部材91を有している。第2取付部材91には第1制限部材92が固定される。第2取付部材91には第1駆動部材93が固定される。第2駆動部材93は直線駆動する駆動装置と直線駆動部の先端にピン案内部を有している。第2駆動部材93はピン案内部にて第2差動調節レバー操作用ピンを挟んで案内する。これにより第1駆動部材93が前後方向に直線駆動することで第2差動調節レバー7は回動する。
また第2駆動部材93はピン案内部の下側に突出する第2駆動部材制限ピン(図示なし)を有している。第2駆動部材制限ピンは第2取付部材91の前後方向に延びる溝の内側に収まり左右方向を案内され前後方向に移動できる。第2取付部材91の前後方向に延びる溝の両端には第2制限部材92が前後調節可能に固定される。第2駆動部材制限ピンは最前位置と最後位置を第2制限部材92にて移動を制限される。これにより第2差動調節レバー7は最前位置と最後位置を制限されて決定される。
前述により、例えば、縫製の始めに用いる第2差動送り量を得るための、第2差動調節レバー7の位置を最前位置にできる。また、縫製の途中で用いる第2差動送り量を得るための、第2差動調節レバー7の位置を最後位置にできる。
第2駆動装置9の第2駆動部材93の直線駆動する駆動装置はアクチュエータであって例えば、エアシリンダである。エアシリンダは空圧機器にて中継して制御装置を介してオルタネイト動作の右膝スイッチ装置(図示なし)と連動して駆動する。右膝スイッチ装置は作業台の下部かつ作業者の脚部右膝の右側に設置される。
これにより生地送り方向Fに対して右側に配置の第2差動送り歯5による第2差動送り量を変更調節したいのであれば、第2駆動装置9に連動する右膝スイッチ装置を作業者の右膝の右側面側で操作すれば良い。縫製の途中で足踏みペダルを操作してミシンを停止し第2差動送り量を右膝スイッチ装置でON状態にすることで、縫製の途中で用いる第2差動送り量に変更することができる。
第2駆動装置9の第2駆動部材93の直線駆動する駆動装置はアクチュエータであって例えば、ソレノイドである。ソレノイドは電気機器にて中継して制御装置を介してオルタネイト動作の右膝スイッチ装置と連動して駆動する。右膝スイッチ装置は作業台の下部かつ作業者の脚部右膝の右側に設置される。
これにより生地送り方向Fに対して右側に配置の第2差動送り歯5による第2差動送り量を変更調節したいのであれば、第2駆動装置9に連動する右膝スイッチ装置を作業者の右膝の右側面側で操作すれば良い。縫製の途中で足踏みペダルを操作してミシンを停止し第2差動送り量を右膝スイッチ装置でON状態にすることで、縫製の途中で用いる第2差動送り量に変更することができる。
前述の直線駆動する駆動装置は、回転駆動する駆動装置に変更できる。回転駆動する駆動装置はアクチュエータであって例えば、ステッピングモータ、サーボモータである。回転駆動する駆動装置の回転駆動部に原動節を設置して、第1差動調節レバーまたは第2差動調節レバーを従動節とした、例えば、4節リンク機構で前述と同等の効果が得られる。また前述の左膝スイッチ装置,右膝スイッチ装置は、各別の足踏みペダルに変更できる。
第1駆動装置8,第2駆動装置9は、例えば、電気機器にて中継して制御装置を介してミシンの後方側の付近に設置されたオルタネイト動作の指スイッチに連動して駆動することができる。生地を支持する左右の手の例えば小指にて操作できる位置に指スイッチを設置して前述と同様の効果が得られる。
これらにより、縫製経路に直線部と円弧部を含む場合でも作業者の所望する縫い上がりとなるよう第1差動調節レバー6,第2差動調節レバー7を、縫製の途中で操作することができ、第1差動送り量,第2差動送り量を変更することができる。
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
1 シリンダ
2 送り機構
3 主送り歯
4 第1差動送り歯
5 第2差動送り歯
6 第1差動調節レバー(第1操作部材)
7 第2差動調節レバー(第2操作部材)
8 第1駆動装置
9 第2駆動装置
11 ベッド
12 アーム
13 主軸
14 針板
15 針板溝穴
21 送り台角駒用横孔
22 送り台角駒
23 送り台角駒用枢軸ピン
24 上下駆動ロッド
25 前後駆動ロッド
26 前後駆動クランク
27 前後駆動リンク
31 主送り台
32 前後調節クランク
33 前後調節クランク軸
34 主送り前後リンク
35 第1差動送り前後リンク
36 第2差動送り前後リンク
41 第1差動送り台
42 第1差動送り量調節機構
51 第2差動送り台
52 第2差動送り量調節機構
81 第1取付部材
82 第1制限部材
83 第1駆動部材
91 第2取付部材
92 第2制限部材
93 第2駆動部材

Claims (2)

  1. 生地送り方向に沿った垂直面内を楕円運動する主送り歯,第1差動送り歯,第2差動送り歯によりシリンダ上に左右に並べて載置される生地を生地送り方向に搬送する送り出し腕型ミシンの送り機構において、縫製の途中で第1差動送り量を変更できる第1駆動装置と縫製の途中で第2差動送り量を変更できる第2駆動装置を備えることを特徴とする送り出し腕型ミシンの送り機構。
  2. 前記第1駆動装置,第2駆動装置は第1,第2差動送り量をそれぞれ調節する第1,第2差動調節レバーを各別に駆動させるアクチュエータと、アクチュエータを駆動させる制御装置とを備えることを特徴とする請求項1に記載の送り出し腕型ミシンの送り機構。
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