JP2023148937A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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文哉 吉田
Fumiya Yoshida
潤平 田中
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Abstract

【課題】遷移金属錯体を含む触媒で分岐状オレフィンを含むオレフィンのスラリー重合を炭化水素液体中で行う場合に、前記液体に溶解性の比較的高分子量の重合体を簡便に回収する方法を提供すること。【解決手段】炭化水素液体中で遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下、分岐状オレフィンと直鎖状オレフィンとを共重合し、固体状オレフィン重合体を含むスラリーを得た後、前記スラリーを固液分離して、固体状オレフィン重合体を含む固相部と、液相部とを得る第1の工程と、前記液相部に溶解した下記要件(1)を満たす重合体(α)を、前記液相部から、スチームストリッピング法を用いて前記炭化水用液体を除去して分離する第2の工程とを含む、オレフィン重合体の製造方法。要件(1):重合体(α)の極限粘度([η])が、1.2dl/g以上、5.0dl/g以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、分岐状オレフィンを含むオレフィン重合体の製造方法である。
近年、環境負荷が比較的少なく、高融点である重合体として、分岐状オレフィンを含む重合体(例えば三井化学(株)製のTPX(登録商標))が特定の用途で注目されている。従来から知られている主な用途としては、離型フィルムや液晶反射体等があるが、近年はカーボンニュートラルの観点からバッテリーやキャパシター用の部材としても注目され始めている様である。
このような重合体は、従来、固体状チタン触媒成分を含むオレフィン重合用触媒を用いて製造されているが、分岐状オレフィンの重合に好適な特殊な遷移金属錯体を含むオレフィン重合用触媒も報告されている。(例えば特許文献1)
また、前記の分岐状オレフィンを含むオレフィンの重合は、通常、スラリー重合の様な液相重合で行われることが多い。
特許第5980339号公報
前記の液相重合は主として炭化水素化合物液体を媒体として用いる。従来の固体状チタン触媒成分を用いた場合に生じる前記の炭化水素液体を含む液相に溶解する重合体は、比較的分子量が低い重合体を含む傾向があった。この為、加熱乾燥や、減圧乾燥などの簡便な方法で液相部の炭化水素液体を除去して、炭化水素液体可溶性の重合体(αP)を回収することが可能であった。また、前記重合体(αP)は比較的立体規則性分布が広い重合体である傾向があったので、立体規則性の高い重合体の含有率が比較的多く、その点からも加熱乾燥などの従来法で重合体(αP)を回収し易い傾向があった。
本発明者らの検討によれば、遷移金属錯体触媒を用いて前記の分岐状オレフィンと直鎖状オレフィンとの共重合を行うと、その液相部に含まれる重合体(α)は、分子量や立体規則性が高い重合体が高い傾向がある事が分かってきた。これは、遷移金属錯体触媒の活性点の均一性が高いことから、得られる共重合体の組成分布が狭いので前記重合体(α)は、比較的分岐状オレフィン由来構造単位が多く、比較的立体規則性が高く、分子量も高い重合体が炭化水素液体に溶解し易い傾向がある様である。この為、前記の加熱乾燥などの方法では、途中で液相部が極めて粘稠な液体となり、炭化水素液体を除去し難い状態となることが分かった。(これは、分子量が高いことの影響が多いであろうことが予想される。)
一方、通常、分岐状オレフィンは液状であり、分岐状オレフィンを含むオレフィンの重合では、スラリー重合や溶液重合などの液相重合が好適である為、上記の問題を避けられる気相重合等の方法を適用するには、種々の制約があると考えることが出来る。
よって、炭化水素液体に溶解する重合体を比較的簡便に分離除去することは、オレフィン重合体プロセスの生産性を高める観点で重要である。
上記の観点から、本発明の課題は遷移金属錯体を含む触媒で分岐状オレフィンを含むオレフィンの重合を炭化水素液体中で行う場合に、前記液体に溶解性の特定の物性を有する重合体を簡便に回収する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討したが、アセチルアセトンの様な共役ポリケトン以外では優れた脱灰性能を示す化合物を発見するのは困難であった。しかしながら、以下の方法の様に、複数種の化合物を組み合わせる方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、例えば以下のように特定される。
[1]
炭化水素液体中で、
遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下、分岐状オレフィンと直鎖状オレフィンとを共重合し、
固体状オレフィン重合体を含むスラリーを得た後、
前記スラリーを固液分離して、固体状オレフィン重合体を含む固相部と、液相部とを得る第1の工程と、
前記液相部に溶解した下記要件(1)を満たす重合体(α)を、前記液相部から、スチームストリッピング法を用いて前記炭化水用液体を除去して分離する第2の工程と
を含む、オレフィン重合体の製造方法。
要件(1):重合体(α)の極限粘度([η])が、1.2dl/g以上、5.0dl/g以下である。
[2]
前記重合体(α)が下記要件(2)を満たす、前記[1]のオレフィン重合体の製造方法。
要件(2):前記重合体(α)の分岐状オレフィン由来の構造単位の含有率が、50質量%以上、95質量%以下である。
[3]
前記第2の工程における液相部が離型剤を含む、前記[1]のオレフィン重合体の製造方法。
本発明によれば、液相重合に伴う炭化水素液体溶解性の重合体(α)の回収に関する問題点と言う未知の課題に対して、簡便な方法で効率的に炭化水素液体を除去して、重合体(α)を分離できる。この為、スラリー重合プロセスなどの液相重合で、効率的な生産プロセスを組みやすい利点がある。また、このような重合体(α)は、構造によっては樹脂改質剤などの用途にも適用できる場合があるので好ましい。
本発明は、以下のような態様のオレフィン重合体の製造方法である。
炭化水素液体中で
遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下、分岐状オレフィンと直鎖状オレフィンとを共重合し、
固体状オレフィン重合体を含むスラリーを得た後、
前記スラリーを固液分離して、固体状オレフィン重合体を含む固相部と、液相部とを得る第1の工程と、
前記液相部に溶解した下記要件(1)を満たす重合体(α)を分離する工程であって、前記液相部から、スチームストリッピング法を用いて前記炭化水用液体を除去して、前記重合体(α)を分離する第2の工程と
を含むオレフィン重合体の製造方法である。
前記の重合体(α)は、以下の(1)の要件を満たす。
要件(1):重合体(α)の極限粘度([η])が、1.2dl/g以上、5.0dl/g以下である。
本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず、共重合を包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
前記の第1の工程は、公知の液相重合を制限なく適用できるものである。より詳しくは、後述する遷移金属錯体やオレフィンの重合方法の欄で紹介するが、炭化水素液体中で固体状のオレフィン重合触媒を用いて分岐状のオレフィンを含むオレフィンの重合を行い、生成した固体状重合体を濾過、デカンテーション等の公知、周知の方法で固液分離して、固体状重合体と炭化水素液体と重合体(α)とを含む液相とを得る工程である。前記の固体状重合体は、公知の乾燥方法や、溶融押出成形を行い、オレフィン重合体粒子やペレットなどの成形体として得ることも出来る。
前記の第2の工程は、前記の液相部、即ち炭化水素液体と重合体(α)とを含む溶液からスチームストリッピング法で、前記の炭化水素液体を除去することを特徴とする。前記の重合体(α)は、下記要件(1)を満たし、比較的高い極限粘度を有することが特徴である。
要件(1):重合体(α)の極限粘度([η])が、1.2dl/g以上、5.0dl/g以下である。
前記極限粘度の好ましい下限値は1.5dl/gであり、より好ましくは1.8dl/gであり、さらに好ましくは2.0dl/gである。一方、好ましい上限値は、4.5dl/gであり、より好ましくは4.2dl/gであり、さらに好ましくは4.0dl/gである。
前記の極限粘度値よりも低すぎると、通常の加熱乾燥法や減圧乾燥法でも炭化水素液体を効率よく除去することが出来やすい傾向がある。一方、前記の極限粘度値よりも高すぎると、後述するスチームストリッピング法でも効率的な炭化水素液体の除去が困難になることがある。
また、前記重合体(α)の分岐状オレフィン由来の構造単位の含有率(重合体(α)中のオレフィン由来構造単位の全量を100質量%とする。)は、50質量%以上、95質量%以下であることが好ましい。前記構造単位の含有率のより好ましい下限値は60質量%であり、さらに好ましくは65質量%であり、特に好ましくは70質量%である。一方、より好ましい上限値は93質量%であり、さらに好ましくは90質量%である。上記の様な分岐状オレフィン由来の構造単位の含有率の範囲を外れると、炭化水素液体を助教し難くなったり、分離される重合体(α)のそのもののハンドリング性が悪化する場合がある。
前記の様な遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合用触媒を用いて後述するような条件で分岐状オレフィンを含むオレフィンの重合を行うと、驚くべきことに上記の様な比較的高い極限粘度を示すオレフィン重合体が炭化水素液体に溶解する態様となる。この様な重合体(α)が炭化水素液体に溶解した状態で得られる理由は、現在のところ定かではないが、以下の様な複数の理由が推定される。
遷移金属錯体は、基本的に均一系の触媒性能を示すことが知られており、組成分布の狭い共重合体を生成し易い傾向がある。その様な組成分布の狭い共重合体は、比較的炭化水素液体に溶解し易い傾向がある。また、生成する重合体の立体規則性分布も狭い傾向がある事が予想されるので、比較的高融点でありながら溶媒に溶解すると言う特異な共重合体となることも予想できる。また、このような重合体は、例えば加熱乾燥法の様な方法で炭化水素液体を徐々に除去する方法では、途中、早い段階で高粘度になり易いであろう。粘度が高まると炭化水素液体が蒸発し難くなるので、重合体(α)を分離することが困難になる場合がある。
また、前記の遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒は、後述する金属酸化物などの固体状化合物や、後述する固体状アルミノキサン化合物等の担体に担持させる状態で使用することが多い。この様な態様の場合、遷移金属錯体の一部が担体から脱離する可能性がある。この様な担体から脱離した遷移金属錯体もオレフィンの重合性能を有する場合が多い。この様な脱離した遷移金属錯体を触媒として生成する分岐状オレフィン共重合体は、大きな粒子になり難く、また分岐状オレフィン共重合体は、結晶化速度が比較的遅い傾向があるので、炭化水素液体中では結晶化し難く、その結果、炭化水素液体中に溶解したような態様になり易いのであろうと考えられる。
分岐状オレフィン共重合体の製造に従来用いられているマグネシウム化合物担持型の固体状チタン触媒は、共重合組成分布が広い傾向があり、炭化水素溶媒に溶解する成分は、分子量が低い場合が多い。また前記触媒は立体規則性分布もやや広い傾向があり、炭化水素溶媒に溶解する成分は立体規則性が低い傾向がある。この為、これまでは上記の様な問題は発生し難く、問題点として顕在化しなかったと考えられる。
上記の通り、本発明のオレフィン重合体の製造方法では、前記の様な炭化水素液体に溶解する重合体(α)が従来と異なる構造を持ち、炭化水素液体の除去が行い難い傾向がある事から、本発明の様に炭化水素媒体の除去には、スチームストリッピング法が好適な方法となる。
もちろん、スチームストリッピング法以外にも、凍結乾燥法等の方法でも炭化水素液体除去は可能であるが、コスト、スピード等の観点から、スチームストリッピング法が好適である。
スチームストリッピング法の条件は、公知の条件を制限なく適用できる。例えば、以下のような条件を好ましい例として挙げることが出来る。
スチームストリッピングを経て得られる水中に分散した状態で得られる重合体(α)の濃度が好ましくは0.1~20質量%となるように、炭化水素液体と重合体(α)とを含む溶液を使用することが好ましい。このスチームストリッピング時の前記炭化水素液体の温度は70~99℃とすると、運転上の支障をきたすことなく、良好な性状の重合体(α)を得ることができる。また、この際のスチームの温度は100℃超、300℃以下であることが好ましい。好ましい下限値は、110℃である。一方、好ましい上限値は250℃、より好ましくは220℃、さらに好ましくは200℃、特に好ましくは180℃である。300℃を超えると、重合体(α)の分解を招いたり、媒体である炭化水素自体の分解やインカの危険を招いたりすることがある。100℃以下では、常圧ではスチームに成り得ない。上記で得られた水分を含む重合体(α)から、固液分離などの方法を用いて水を除去し、その後含水率が1質量%以下になるまで、公知の方法で乾燥を行うことが望ましい。
上記の様な方法で炭化水素液体を除去することによって、重合体(α)の炭化水素液体残存量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
その他、重合体の着色防止や高い機械強度の観点から、ブロック共重合体中の金属を除去する脱灰工程、又はブロック共重合体のpHを調整する中和工程、例えば酸の添加や炭酸ガスの添加を行ってもよい。
上記の方法において、前記溶液に離型剤を併用することが好ましい。特に第2の工程で離型剤を併用することで、より効率よく重合体(α)を分離することが出来る傾向がある。この様な離型剤としては、界面活性剤が好適であり、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤の何れも用いることが出来る。これらの離型剤は、ストリッピングに使用する水に対して一般に0.1~10000質量ppmの割合で用いることが好ましい。より好ましくは1~7000ppm、さらに好ましくは2~5000ppmである。
[分岐状オレインを含むオレフィンの重合方法]
本発明において第1工程で実施する、遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒を用いて分岐状オレフィンを含むオレフィン、具体的には分岐状オレフィンと、直鎖状オレフィンとの共重合方法としては、公知の方法を制限なく用いることが出来る。
以下、本発明の一実施態様として、炭化水素液体中、遷移金属錯体と固体状アルキルアルミノキサンを含むオレフィン重合用触媒を用いて重合する方法を例として紹介する。
(炭化水素液体)
本発明のおけるオレフィンの重合は、主としてスラリー重合法で行われる。スラリー重合法において用いられる炭化水素液体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。前記炭化水素液体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を炭化水素液体とみなした重合も勿論可能である。
(オレフィン)
本発明のオレフィンの重合方法において、オレフィンとしては分岐状のオレフィンと直鎖状のオレフィンとを用いる。これらのオレフィンは公知のオレフィンを制限なく用いることが出来る。
分岐状オレフィンの例としては、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等を挙げることが出来る。これらの中では、重合反応性、入手容易性、得られた重合体の融点や表面張力等のバランスを考慮すると、4-メチル-1-ペンテンが最も好ましい。
上記の分岐状オレフィンは、2種以上を併用することも出来る。
直鎖状のオレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが好ましい例である。これらの中でも、分岐状オレフィンとの共重合反応性、入手容易性、得られる重合体の融点や柔軟性のバランスなどを考慮すると炭素原子数8~20の所謂高級オレフィンが好ましい。より好ましくは、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンである。
上記の直鎖状オレフィンは、2種以上を併用することも出来る。
<遷移金属化合物>
前記の遷移金属錯体としては、メタロセン化合物が好ましい例である。
前記メタロセン化合物としては、例えば、国際公開第2005/121192号、国際公開第2014/050816号、国際公開第2014/050817号、国際公開第2014/123212号、国際公開第2017/150265号等で開示の化合物が例示される。国際公開第2014/050816号、国際公開第2014/050817号、国際公開第2014/123212号、国際公開第2017/150265号等で開示の架橋メタロセン化合物が好適に挙げられるが、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
メタロセン化合物としては、一般式[C1]で表される化合物が好ましい。
Figure 2023148937000001
式[C1]中、R1a~R14aはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1a~R14aの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式[C1]中、Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数であり、jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
メタロセン化合物は、重合活性が高く、また立体規則性および分子量が高いオレフィン重合体が得られることから、式[C2]で表される化合物がより好ましい。
Figure 2023148937000002
式[C2]中、R1~R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1~R16の置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式[C2]中、Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、炭素原子数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数であり、jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
〈R 1a ~R 14a およびR 1 ~R 16
1a~R14aおよびR1~R16におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1a~R14aおよびR1~R16における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素原子数は、通常は1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1a~R14aおよびR1~R16におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基などの酸素原子含有炭化水素基;N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素原子数は、通常は1~20、好ましくは2~18、より好ましくは2~15である。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
1a~R14aおよびR1~R16におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素原子数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1a~R14aおよびR1~R16までの置換基のうち、隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R4とR6、R5とR7、R6とR8、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14、R14とR15、R15とR16)が互いに結合して環を形成していてもよく、また、例えば、R4およびR5が互いに結合して環を形成していてもよく、R6およびR7が互いに結合して環を形成していてもよく、R1およびR8が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR5が互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
以下、式[C2]で表される化合物の好適態様を説明する。
1およびR3は、立体規則性の観点から、水素原子であることが好ましい。
4、R5、R6およびR7から選ばれる少なくとも1つは、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、R5が炭化水素基であることがより好ましく、R5が直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素原子数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R5が炭素原子数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R4、R6およびR7は水素原子であることも好ましい。
あるいは、R5およびR7が互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R4およびR6は例えば水素原子である。
8は、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
2は、高い立体規則性および高い分子量のオレフィン重合体を製造することが可能であることから、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
2としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくは1-アダマンチル基、tert-ブチル基である。
式[C2]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R9、R12、R13およびR16は、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
10、R11、R14およびR15は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素原子数1~20の炭化水素基である。
10とR11が互いに結合して環を形成し、かつR14とR15が互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。なお、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンを「オクタメチルフルオレン」とも記載する。
〈M、Q、j〉
Mは、周期表第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、R1a~R14aおよびR1~R16における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Qにおけるアニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert-ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
Qにおける炭素原子数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、例えば、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが挙げられる。
Qにおける孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。
Qは、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
jは、好ましくは2である。
以上、遷移金属化合物の構成、すなわちR1a~R14a、R1~R16、M、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、それぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。
<固体状アルキルアルミノキサン>
固体状アルキルアルミノキサンは、オレフィン重合用触媒の助触媒かつ触媒担体として機能する。「固体状」とは、固体状アルキルアルミノキサンが用いられる反応環境下において、当該アルミノキサンが実質的に固体状態を維持することを意味する。より具体的には、例えばオレフィン重合用触媒を構成する各成分を接触させてオレフィン重合固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエン等の不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において前記アルミノキサンが固体状態であることを表す。また、例えばオレフィン重合用触媒を用いてスラリー重合を行う際に、不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において重合触媒中に含まれるアルミノキサンが固体状態であることを表す。前記媒体の代わりに液化オレフィン中で重合を行うバルク重合や、オレフィンガス中で重合を行う気相重合でも同様である。
固体状アルキルアルミノキサンは、好ましくは式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位から選ばれる1種または2種以上の構成単位を有するアルミノキサンを含有し、より好ましくは式(1)で表される構成単位を有するアルミノキサンを含有し、さらに好ましくは式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンを含有する。
Figure 2023148937000003
式(1)中、Meはメチル基である。
式(2)中、R1は炭素原子数2~20の炭化水素基、好ましくは炭素原子数2~15の炭化水素基、より好ましくは炭素原子数2~10の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、エチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル等のアルキル基;シクロヘキシル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基が挙げられる。
固体状アルキルアルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)および/または式(2)で表される構成単位が2~50程度繰り返されている構成を有すると推定されるが、当該構成に限定されない。また、その構成単位の結合態様は、例えば、線状、環状またはクラスター状と種々であり、アルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定される。また、アルミノキサンは、式(1)または式(2)で表される構成単位のみからなってもよい。
固体状アルキルアルミノキサンとしては、固体状ポリメチルアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなる固体状ポリメチルアルミノキサンがより好ましい。
固体状アルキルアルミノキサンは、通常は粒子状であり、体積統計値でのD50が好ましくは1~500μm、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
固体状アルキルアルミノキサンは、比表面積が好ましくは100~1000m2/g、より好ましくは300~800m2/gである。比表面積は、BET吸着等温式を用い、固体表面におけるガスの吸着および脱着現象を利用して求めることができる。
固体状アルキルアルミノキサンは、触媒担体として機能する。このため、固体状アルキルアルミノキサンの他に、触媒担体として、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体、またはポリスチレンビーズ等の固体状有機担体を用いる必要はない。
固体状アルキルアルミノキサンは、例えば、国際公開第2010/055652号および国際公開第2014/123212号に記載された方法により調製することができる。一例を以下に記載する。
まず、芳香族炭化水素溶媒中で、トリメチルアルミニウム等のAlRa3で表される有機アルミニウム化合物(後述する一般式(D-1a)で表される有機アルミニウム化合物として具体例を例示する)と含酸素有機化合物とを反応させ、アルミニウム-酸素-炭素結合を有するアルミニウム化合物を得て、これを熱分解させる。含酸素有機化合物の酸素原子1モルに対する、有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル量は、通常は0.5~3.0モル、好ましくは1.0~1.7モルである。熱分解の反応条件は、例えば、加熱温度が通常は20~90℃、好ましくは30~80℃、加熱時間が通常は5~100時間である。
次いで、得られた反応溶液を例えば室温程度まで冷却し、再度加熱することにより、固体状アルキルアルミノキサンを析出させる。加熱条件は、例えば、加熱温度が通常は80~200℃、好ましくは90~150℃、加熱時間が通常は5分~24時間、好ましくは1~20時間である。析出した固体状アルキルアルミノキサンを非芳香族炭化水素溶媒で洗浄してもよい。
芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。非芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン等のn-アルカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のシクロアルカンが挙げられる。
含酸素有機化合物としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられ、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、トルイル酸、およびこれらの酸無水物が好ましい。また、その他の具体例としては、例えば、国際公開第2010/055652号の段落[0041]~[0042]に記載された化合物が挙げられる。
<他の助触媒>
前記オレフィン重合用触媒は、さらに、有機金属化合物(D-1)、および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(D-2)から選ばれる1種または2種以上の化合物を併用することができる。
有機金属化合物(D-1)としては、例えば、一般式(D-1a)で表される有機アルミニウム化合物、一般式(D-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物等の有機アルミニウム化合物、および一般式(D-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。
(D-1a):RamAl(ORb)npq
式(D-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素原子数1~20、好ましくは炭素原子数1~15、より好ましくは炭素原子数1~10の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。前記炭化水素基は、例えば、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基である。
有機アルミニウム化合物(D-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ(n-ブチル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリ(n-アルキル)アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec-ブチル)アルミニウム、トリ(tert-ブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルブチル)アルミニウム、トリ(3-メチルブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウムのトリアルキルアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウムが挙げられる。
(D-1b):M2AlRa4
式(D-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素原子数1~15、好ましくは炭素原子数1~5の炭化水素基である。錯アルキル化物(D-1b)としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。
(D-1c):RaRbM3
式(D-1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素原子数1~15、好ましくは炭素原子数1~5の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(D-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(D-2)としては、例えば、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、米国特許第5321106号明細書 等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
<各成分の使用量>
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
遷移金属化合物は、オレフィン重合に用いられる反応容積1リットル当り、通常は1×10-10~1×10-2モル、好ましくは1×10-8~1×10-3モルとなるような量で用いられる。
固体状アルキルアルミノキサンは、当該固体状アルキルアルミノキサン中のアルミニウム原子と遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が通常は10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いることができる。
有機金属化合物(D-1)は、化合物(D-1)と遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比((D-1)/M)が通常は1~50,000、好ましくは10~20,000となるような量で用いることができる。
遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(D-2)は、化合物(D-2)と遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比((D-2)/M)が通常は1~1000、好ましくは1~200となるような量で用いることができる。
オレフィン重合用触媒は、遷移金属化合物、固体状アルキルアルミノキサン、および必要に応じて他の助触媒を前記重合触媒に含ませるように作製するが、例えば、遷移金属化合物、固体状アルキルアルミノキサン、および必要に応じて他の助触媒等の各成分同士を接触させることにより得ることができる。
オレフィン重合用触媒を構成する各成分の添加および接触順序は任意に選ばれるが、例えば、以下の方法が挙げられる。以下では、遷移金属化合物を「成分(C)」、固体状アルキルアルミノキサンを「担体」、他の助触媒を「成分(D)」ともいう。
・成分(C)および担体をそれぞれ重合反応器に添加する方法。
・成分(C)、成分(D)および担体をそれぞれ重合反応器に添加する方法。
・成分(C)を担体に担持した担持触媒を重合反応器に添加する方法。
・成分(C)を担体に担持した担持触媒と、成分(D)とを重合反応器に添加する方法。
・成分(C)および成分(D)を担体に担持した担持触媒を重合反応器に添加する方法。
以上の方法において、添加、接触順序は特に限定されない。また、オレフィン重合用触媒を構成する各成分は、前述した不活性炭化水素媒体中に溶解または分散させた状態で、添加、接触してもよい。
また、上記担体または担持触媒において、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。前記オレフィンとしては、上述した、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンが挙げられる。
<オレフィン重合体の製造条件>
オレフィンの重合温度は、通常は-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常は常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。
水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。
[用途]
本発明の第1の工程で得られる固体状オレフィン重合体は、例えば、射出成形法、押出成形法、射出延伸ブロー成形法、ブロー成形法、キャスト成形法等の各種成形法により、目的とする成形体、例えばフィルム、シート、シーラント、ブロー成形体、射出延伸ブロー成形体、射出成形体、繊維等に加工することができる。
この際、前記オレフィン重合体には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤、種々の合成樹脂等の各種添加剤を必要に応じて配合することもできる。
本発明のアルミニウム成分の除去方法で得られたオレフィン重合体は、アルミニウムの残存量が低減されていることから、電気絶縁性が重要である用途に好適であり、例えば、電池やキャパシター用のセパレーターフィルムの材料となるオレフィン重合体として好適である。
本発明のオレフィン重合方法で得られる重合体(α)は、比較的柔軟性に優れる一方で、高い融点を示すことがある。この為、特異な変形特性や形状記憶性を有することがあり、そのユニークな特性を生かした用途に用いることが好ましい。また、各種樹脂の改質剤として使用することも出来る。
本発明のオレフィン重合体の製造方法を用いると前記重合体(α)は、比較的ハンドリングし易い形状で得られる。これを第1の工程で得られる重合体と同様、溶融成形などで成形体を得ることも出来る。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[合成例1]
8-オクタメチルフルオレン-12’-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン)
)ジルコニウムジクロライドは国際公開第2014/123212号の予備実験5に記載の方法に従って合成した。
[合成例2]
オレフィン重合用触媒の製造
30℃下、充分に窒素置換した容量120Lの攪拌機を付けた耐圧金属容器に、窒素気流下で精製デカン23.5Lおよび粒子状でありD50が28μm、アルミニウム原子含有量が43質量%である固体状ポリメチルアルミノキサン(国際公開第2014/123212号に記載の方法を用いて合成、以下「固体状MAO」ともいう)をアルミニウム原子換算で58880mmol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、合成例1で製造された遷移金属化合物(8-オクタメチルフルオレン-12’-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド)20.0g(23.4mmol)を11.7mmol/Lのトルエン溶液として撹拌しながら加えた。1.5時間後攪拌を止め、得られた混合物をデカンテーション法によりデカン124Lで3回洗浄した後、デカンを加え18Lのスラリー液とした(Zr担持率91.5%)。
[合成例3]
予備重合触媒成分の調製
合成例2で調製したスラリー液に、25℃、窒素気流下で日本アルキルアルミニウム製のトリノルマルオクチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム原子換算で390mmol/L)を512mL装入した。30℃に昇温した後、4-メチル-1-ペンテン13.6Lを60分かけて金属容器内に装入した。4-メチル-1-ペンテン1を全量投入してから6時間後に攪拌を止め、得られた混合物をデカンテーション法によりデカン124Lで3回洗浄した。予備重合触媒成分はデカンスラリー(2.8kg/L、0.30mmol-Zr/L)とした。
[実施例1]
室温、窒素気流下で、内容積340Lの攪拌機付き耐圧反応槽(以後、重合器と言う場合がある)に、精製デカン124L、東ソー製のトリノルマルオクチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム原子換算で、100mmol)を装入した。次いで、合成例3で調製した前記予備重合触媒成分のデカンスラリーをジルコニウム原子換算で0.30mmol加え、水素(10%窒素希釈品)4.0NLを重合器に添加した。次いで、4-メチル-1-ペンテンを35L、およびL-168(1-ヘキサデセンと1-オクタデセンの混合物(市販品))を1.3L、53分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。装入開始時点を重合開始とした。重合開始から15分かけて45℃へ昇温した後、45℃で2時間保持した。重合開始から2時間経過後、重合器内の、窒素による0.5MPaGから0.05MPaGまでの加圧脱圧を5回行い、その後、水素(10%窒素希釈品)を1.2NL重合器に添加し、次いで、4-メチル-1-ペンテンを26L、および前記L-168を5.4L、30分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入し、1時間保持した。1時間経過後、重合器内の、窒素による0.5MPaGから0.05MPaGまでの加圧脱圧を5回行い、その後、水素(10%窒素希釈品)を1.0NL重合器に添加し、次いで、前記L-168を7.2L、47分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入し、3時間保持した。その後、失活ドラムへ送液し、失活/脱灰材としてアセチルアセトン25kgを添加して重合終了とし、融点が約220~240℃である4-メチル-1-ペンテン重合体スラリーを得た。失活ドラムで重合体スラリーを60℃にて3時間攪拌した後、ろ過乾燥機へ送液した。上記の液相部(すなわち、ろ過乾燥機で得られたろ液)を攪拌機、スチーム供給ライン、ベントラインを付した金属製容器に移液し、東レ・ダウコーニング社製のDOW CORNING TORAY SH7024 EMULSIONを1.8kg投入した。これに水換算で40kg/時間の速度で130℃(スチームチェスト圧力0.3MPaG)のスチームを22時間供給し、クラム状の重合体を得た。これを固液分離し、乾燥して得た重合体の質量は1.6kgであった。
また、得られた重合体の[η]は3.5dl/g、4-メチル-1-ペンテン由来構造単位の含有率は80質量%であった。
[比較例1]
一方、実施例1における上記の液相部の一部を抜き出し、エバポレーターで減圧下、100℃でデカンの除去を試みたが、途中で粘稠な状態となり、デカンの除去が極端に遅くなり、前記の様なクラム状の重合体を得ることが困難であった。

Claims (3)

  1. 炭化水素液体中で
    遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下、分岐状オレフィンと直鎖状オレフィンとを共重合し、
    固体状オレフィン重合体を含むスラリーを得た後、
    前記スラリーを固液分離して、固体状オレフィン重合体を含む固相部と、液相部とを得る第1の工程と、
    前記液相部に溶解した下記要件(1)を満たす重合体(α)を、前記液相部から、スチームストリッピング法を用いて前記炭化水用液体を除去して分離する第2の工程と
    を含む、オレフィン重合体の製造方法。
    要件(1):重合体(α)の極限粘度([η])が、1.2dl/g以上、5.0dl/g以下である。
  2. 前記重合体(α)が下記要件(2)を満たす、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
    要件(2):前記重合体(α)の分岐状オレフィン由来の構造単位の含有率が、50質量%以上、95質量%以下である。
  3. 前記第2の工程における液相部が離型剤を含む、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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