JP2013189525A - オレフィン重合用触媒およびそれをもちいたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るオレフィン重合用触媒は、特定のフルオレン配位子を2つ有するメタロセン化合物(A)と、(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種の化合物(B)とを含んでなる。
【選択図】なし
Description
[1]
(A)下記一般式[1]で表されるメタロセン化合物(A)と、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物(B)と
を含んでなるオレフィン重合用触媒
R1,R6, R1'およびR6'はそれぞれ独立に炭素数6〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基を示し、
R2,R3,R4,R5およびR7、並びにR2',R3',R4',R5',およびR7'は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基を示し、
MはTi、ZrまたはHfを示し;
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数が10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し;且つ、
jは1〜4の整数を示し、jが2以上のときは、複数あるQは同一でも互いに異なっていてもよい。〕。
[2]前記一般式(1)において、R1、R6、R1'およびR6'が炭素数6〜20の炭化水素基またはハロゲン含有炭化水素基であることを特徴とする、前記[1]に記載のオレフィン重合用触媒。
[3]前記一般式(1)において、R2、R5、R2'およびR5'が炭素数4〜10の炭化水素基またはハロゲン含有炭化水素基であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のオレフィン重合用触媒。
をさらに含むことを特徴とする、前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のオレフィン重合用触媒。
[6]前記オレフィンが炭素数3以上のα−オレフィンを含むことを特徴とする、前記[5]に記載のオレフィン重合体の製造方法。
[8]得られるオレフィン重合体が下記要件(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする、前記[6]に記載のオレフィン重合体の製造方法:
(i)該オレフィン重合体のDSCにより求められる融点(Tm)が150℃以上、
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が100,000以上、かつ
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.5以上である。
〔オレフィン重合用触媒〕
本発明で使用されるオレフィン重合用触媒は、
メタロセン化合物(A)と、
(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物(B)と
を必須成分として含む。また、担体(C)や有機化合物成分(D)を任意成分として含んでいてもよい。
本発明で使用されるメタロセン化合物(A)は、下記一般式(1)で表される。
R1, R6, R1'およびR6'はそれぞれ独立に炭素数6〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基を示し、
R2, R3, R4, R5およびR7、並びにR2', R3', R4', R5',およびR7'は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基を示し、
MはTi、ZrまたはHfを示し;
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数が10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、且つ;
jは1〜4の整数を示し、jが2以上のときは、複数あるQは同一でも互いに異なっていてもよい。〕
以下、メタロセン化合物(A)を構成する原子および基について説明する。
本発明で用いられるメタロセン化合物(A)において、R1, R6, R1'およびR6'は、それぞれ独立に炭素数6〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基であり、R2, R3, R4, R5およびR7、並びにR2', R3', R4', R5',およびR7'は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基である。
メタロセン化合物(A)のフルオレニル配位子が有しうる「炭化水素基」として、炭素数1〜40の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基がより好ましい。前記炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の飽和脂環式基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基が例示される。
メタロセン化合物(A)のフルオレニル配位子が有しうる「ハロゲン含有炭化水素基」として、上記「炭化水素基」が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された基が例示され、具体的には、
トリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基などのハロゲン含有アルキル基;
ペンタフルオロフェニル基などのフルオロアリール基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、クロロナフチル基などのクロロアリール基、o−ブロモフェニル基、m−ブロモフェニル基、p−ブロモフェニル基、ブロモナフチル基などのブロモアリール基、o−ヨードフェニル基、m−ヨードフェニル基、p−ヨードフェニル基、ヨードナフチル基などのヨードアリール基などの上記非置換アリール基の一部がハロゲンで置換された基;トリフルオロメチルフェニル基などのフルオロアルキルアリール基、ブロモメチルフェニル基、ジブロモメチルフェニル基などのブロモアルキルアリール基、ヨードメチルフェニル基、ジヨードメチルフェニル基などのヨードアルキルアリール基などの上記アルキルアリール基のアルキル構造の一部がハロゲンで置換された基;などのハロゲン含有アリール基;
o−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、クロロフェネチル基などのクロロアラルキル基、o−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、ブロモフェネチル基などのブロモアラルキル基、o−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、p−ヨードベンジル基、ヨードフェネチル基などのヨードアラルキル基などの上記非置換アラルキル基の水素がハロゲンに置換されたハロゲン含有アラルキル基
が例示される。
これらの「ハロゲン含有炭化水素基」のうち、R1, R6, R1'およびR6'については、炭素数6〜20のハロゲン含有炭化水素基、好ましくは、炭素数6〜10のハロゲン含有炭化水素基を用いることができる。また、R2, R3, R4, R5およびR7、並びにR2', R3', R4', R5'およびR7'については、炭素数1〜10のハロゲン含有炭化水素基であることが特に好ましい。このうち、R2, R5, R2'およびR5'については、炭素数4〜10のハロゲン含有炭化水素基であることが特に好ましい。
メタロセン化合物(A)のフルオレニル配位子が有しうる「窒素含有基」として、ニトロ基、シアノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基が例示される。
また、「ケイ素含有基」として、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基などのアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などのアリールシリル基が例示される。
メタロセン化合物(A)において、R1〜R6のうち隣り合う任意の2つの基は、結合して環を形成していても良く、R1'〜R6'のうち隣り合う任意の2つの基についても、結合して環を形成していても良い。すなわち、メタロセン化合物(A)を構成する2つのフルオレニル配位子は、それぞれ、フルオレン環を基礎成分として含みつつ、その周辺に、ベンゼン環;水素化ベンゼン環;並びに、フラン環、チオフェン環などのヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環などの付加的な環がさらに縮合してなる環構造を有していてもよい。また、このような環構造は、環上にアルキル基などの置換基をさらに有していてもよい。このよう環構造の例として、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基などが挙げられる。
本発明で用いられるメタロセン化合物(A)において、R1、R6、R1'およびR6'はそれぞれ独立に、上記炭素数6〜20の炭化水素基またはハロゲン含有炭化水素基であることが好ましく、上記アリール基またはハロゲン含有アリール基であることがより好ましく、フェニル基、アルキルフェニル基、ハロゲン含有フェニル基またはハロゲン含有アルキルフェニル基であることがさらに好ましい。
また、R2、R5、R2'、R5'、R7およびR7'から選択される1つ以上の基は上記炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましい。さらに、R2、R5、R2'およびR5'はそれぞれ独立に上記炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、上記炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることがより好ましく、上記炭化水素基であることがさらに好ましく、上記アルキル基であることが特に好ましい。また、R2およびR5は同一の基であることが好ましく、R2'およびR5'は同一の基であることが好ましい。
本発明で用いられるメタロセン化合物(A)において、MはTi、ZrまたはHfを示し、好ましくはZrまたはHfを示し、特に好ましくはZrを示す。
ここで、ハロゲン原子(Q)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
また、jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。
本発明において、上記メタロセン化合物(A)は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
R1, R2, R5およびR6、並びに、R1', R2', R5'およびR6'の定義は、上記式(1)におけるものとそれぞれ同一であり、
M、Qおよびjの定義は、上記式(1)におけるM、Qおよびjの定義と同一である。
以下に、上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物(A)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、本発明においてメタロセン化合物(A)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明で使用される、上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物(A)は下記の方法によって製造可能であるが、特に製造方法が限定されるわけではない。
次に、一般式(3a)、および(3b)で表される前駆体化合物からメタロセン化合物(A)を製造する例を以下に示すが、これは発明の範囲を制限するものではなく、公知のいかなる方法で製造されてもよい。
MZk …(4)
(上記式(4)中、Mは周期表第4族から選ばれた金属であり、Zはハロゲン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、kは3〜6の整数である。)で表される化合物と反応させることで、一般式(1)で表されるメタロセン化合物(A)を合成することができる。
《化合物(B)》
本発明では、オレフィン重合用触媒において助触媒を構成する成分として、化合物(B)が用いられる。化合物(B)は、(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b−3)有機アルミニウム化合物から選択される少なくとも1種である。これらの中では、有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)が好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、下記一般式(5)で表される化合物および下記一般式(6)で表される化合物などの従来公知のアルミノキサン、下記一般式(7)で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、下記一般式(8)で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
これらの有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)のうち、上記式(7)で表される修飾メチルアルミノキサンは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサンは、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的には米国特許4960878号明細書および米国特許5041584号明細書で挙げられている方法で調製することが出来る。
−メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)−
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下、「イオン性化合物(b−2)」と略称する場合がある。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、特開2004−51676号公報、米国特許5321106号明細書などに記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、イオン性化合物(b−2)としては、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
カルベニウム塩としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
アンモニウム塩としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
−有機アルミニウム化合物(b−3)−
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、下記一般式(10)で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式(11)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
式(10)において、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
式(11)において、M2はLi、NaまたはKを示し、複数あるRaはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
一般式(i−C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5(式中、RaおよびRbは式(10)中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが例示される。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、担体(C)をさらに含んでいても良い。担体(C)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
上記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。
−有機化合物−
上記有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のオレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、有機化合物成分(D)をさらに含んでいても良い。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
〔オレフィン〕
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、オレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合することを特徴とするものであり、これによりオレフィン(共)重合体が得られる。
本発明において用いられるオレフィンは、炭素数が2以上、好ましくは3以上、より好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜10である。また、直鎖状または分岐状のα−オレフィンであることが好ましい。
極性モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などのα,β−不飽和カルボン酸;該α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−n−ブチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジルなどを用いてもよい。
〔オレフィン重合体の製造条件〕
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法において、重合温度は特に限定されるものではなく、通常―100〜250℃、好ましくは40〜200℃、より好ましくは45〜150℃、特に好ましくは50〜150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。また、重合圧力は、通常は常圧〜10MPa−G(ゲージ圧)、好ましくは常圧〜5MPa−Gの範囲にある。上記モノマーの少なくとも一部がプロピレンである場合、生産性の観点から、重合温度は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましくは、60〜150℃であることが特に好ましい。
オレフィン重合体の融点は、重合温度を変化させることによって調節することができる。
(1)上記オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルとなるような量で用いられる。
〔オレフィン重合体〕
以上記載の本発明によれば、プロピレンなどのオレフィンを重合する場合に、低い重合温度条件においてのみならず高い重合温度条件においても、十分に高い立体規則性を有し、かつ高い分子量を有するオレフィン重合体を製造することができる。
上記プロピレン重合体のDSCにより求められる融点(Tm)は、通常は140℃以上、好ましくは145〜170℃、より好ましくは150〜170℃である。融点(Tm)が前記範囲にあるプロピレン重合体は、成型加工性に優れる。また比較的高い耐熱性を示す。
オレフィン重合体の融点(Tm)あるいは結晶化温度(Tc)は、パーキンエルマー社製DSC Pyris1またはDSC7を用い、以下のようにして測定した。
オレフィン重合体の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち、オレフィン重合体の造粒ペレット(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定する。この、デカリン溶媒(5ml)を追加する希釈操作をさらに2回繰り返し、オレフィン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)〕
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC-2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムはTSKgel GNH6-HT:2本およびTSKgel GNH6-HTL:2本であり、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)と酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%とを用い、前記移動相は1.0mL/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。検量線を作成する為の標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量分布および各種平均分子量は、汎用校正の手順に従い、ポリプロピレン分子量換算として計算された。
合成例で得られた化合物の構造は、270MHz 1H−NMR(日本電子GSH−270)およびFD−MS(日本電子SX−102A)を用いて決定した。
ビス(3,6-ジ-tert-ブチル-2,7-ジフェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドの合成
窒素気流下、2,7−ジフェニル−3,6−ジ−tert−ブチルフルオレン4.0g(9.3mmol)、ジエチルエーテル30mlを反応器に加え、反応器を−45℃に冷却し攪拌させながら1.65Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液5.6mL(9.3mmol)滴下した。滴下後、1時間30分で室温まで昇温させた。反応器を再び−45℃に冷却し攪拌させながら、四塩化ジルコニウム1.0g(4.3mmol)を加え、徐々に昇温させながら24時間攪拌させた。減圧濃縮を行い、ヘキサンを加え、ろ過を行い、得られた有機層を減圧濃縮した。ペンタン、ジエチルエーテルで再結晶を行い、ペンタンで洗浄しビス(3,6-ジ-tert-ブチル-2,7-ジフェニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを得た(収量0.5g)。1H NMRスペクトル及びFD−MSスペクトルの測定値を以下に示す。
FD-MS: 1021
[実施例1]
十分に窒素置換した内容積15mlのSUS製オートクレーブに、シクロヘキサンとヘキサンを9:1で混合した溶媒2.9mLを入れ、600回転/分にて攪拌した。溶液を50℃に昇温し、次いでプロピレンで全圧が7barになるまで加圧した。窒素雰囲気下、シュレンク管にメタロセン錯体A 3.4mgを加え脱水トルエン7.3mLに溶解させ0.00050Mのメタロセン溶液を調製した。修飾メチルアルモキサンの懸濁液0.47mL(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で4.15M、1.95mmol)を加え、室温で30分間攪拌し、触媒溶液を調製した。オートクレーブにトリイソブチルアルミニウム0.2mL(0.05M、10μmol)、触媒溶液0.2mL(0.00050M、0.10μmol)、シクロヘキサンとヘキサンを9:1で混合した溶媒0.7mLを加え重合を開始した。50℃で10分間重合した後、少量のイソブチルアルコールを加えて重合を停止した。メタノール50mL、少量の塩酸水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。ろ過し、減圧乾燥してポリマー 42.3mgを得た。重合活性は2.54kg/mmol−Zr/hrであった。得られたポリマーの[η]は3.88、重量平均分子量(Mw)は427000、数平均分子量(Mn)は143000、分子量分布(Mw/Mn)は2.98、結晶化温度(Tc)は109.1℃、融点(Tm)は157.3℃であった。
重合温度を65℃にした以外は実施例1と同様に行い、ポリマー 26.8mgを得た。重合活性は1.61kg/mmol−Zr/hrであった。得られたポリマーの[η]は2.56、重量平均分子量(Mw)は261000、数平均分子量(Mn)は61900、分子量分布(Mw/Mn)は4.22、結晶化温度(Tc)は103.8℃、融点(Tm)は150.1℃であった。
錯体としてビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを用いた以外は実施例1同様に行ったが、ろ過後に固体は得られなかった。これは重合体が得られなかったか、得られた重合体の分子量が極めて低いか、立体規則性が低いためと考えられる。
錯体としてジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジフェニル-3,6-ジtert-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いた以外は実施例1同様に行い、ポリマー 804mgを得た。重合活性は32.2kg/mmol−Zr/hrであった。得られたポリマーの[η]は1.64、重量平均分子量(Mw)は146000、数平均分子量(Mn)は73000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0、結晶化温度(Tc)は95℃、融点(Tm)は139℃であった。
Claims (8)
- (A)下記一般式[1]で表されるメタロセン化合物(A)と、
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選択される少なくとも1種の化合物(B)と
を含んでなるオレフィン重合用触媒
R1,R6, R1'およびR6'は、それぞれ独立に炭素数6〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基を示し、
R2,R3,R4,R5およびR7、並びにR2',R3',R4',R5',およびR7'は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、窒素含有基、酸素含有基またはケイ素含有基を示し、
MはTi、ZrまたはHfを示し;
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数が10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、且つ;
jは1〜4の整数を示し、jが2以上のときは、複数あるQは同一でも互いに異なっていてもよい。〕。 - 前記一般式(1)において、R1、R6、R1'およびR6'が炭素数6〜20の炭化水素基またはハロゲン含有炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
- 前記一般式(1)において、R2、R5、R2'およびR5'が炭素数4〜10の炭化水素基またはハロゲン含有炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒。
- (C)担体
をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- 前記オレフィンが炭素数3以上のα−オレフィンを含むことを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記オレフィンが、プロピレンを含有することを特徴とする請求項5に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 得られるオレフィン重合体が下記要件(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン重合体の製造方法:
(i)示差走査型熱量計(DSC)により求められる融点(Tm)が150℃以上、
(ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が100,000以上、
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.5以上である。
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