JP2023131454A - オレフィン重合体の精製方法および精製オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体の精製方法および精製オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】主としてアルミニウムなどの金属を含むオレフィン重合体から残留金属成分を効率的に除去する方法を提供する。【解決手段】金属化合物を含むオレフィン重合体をアセチルアセトン、アセチルアセトン誘導体および2'-ヒドロキシアセトフェノンから選ばれる少なくとも1種の化合物とを接触させ、特定の温度以上で処理する工程を有することを特徴とするオレフィン重合体の精製方法。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合体にアルミニウム化合物等が含まれる場合、その量を低減するオレフィン重合体の精製方法、およびアルミニウム化合物等が混在する場合、その量が低減された精製オレフィン重合体の製造方法に関する。
アルキルアルミニウムやその部分加水分解物であるアルミノキサンは、オレフィン重合体の製造において、主触媒である遷移金属化合物を活性化する助触媒として働くことが知られている。
ここで、前記主触媒として粒子形状が良好で安定生産可能なオレフィン重合体の製造方法として、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体に、遷移金属化合物および/またはアルミノキサンを担持した担持触媒を用いる製造方法が知られているが、重合活性や立体規則性制御をより向上させるなどを目的として、アルミノキサン自体を担体として使用する(すなわち固体状アルミノキサンを使用する)ことも検討されている(例えば、特許文献1参照)。
遷移金属化合物を用いて製造されるオレフィン重合体中には、主触媒や助触媒に由来する金属成分がごく少量ではあるが異物として残留しやすく、用途によっては重合体物性の悪化をもたらすことがある。このため、必要に応じて、オレフィン重合体中に含まれる微量の金属成分を除去することが行われる(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
国際公開第2014/123212号 特開2005-075840号公報 特開2019-172740号公報
近年、様々な製品が高性能、高品質化を求められており、それに用いる部材の品質要求も高度化、高純度化している。過去に高純度化技術で成功した事例としては半導体があるが、他の部材にも高品質化、高純度化の要請は広がりつつあると言える。
例えば、電装部品はますます小型、高度化しているので、電気絶縁部材には、より高い電気絶縁特性が求められることが多い。カーボンニュートラルの観点から大容量のバッテリーやキャパシター、より具体的には電気自動車などの車載用のバッテリーやキャパシターが用途の代表例として挙げられる。
前記バッテリーやキャパシターの部材としてセパレーターフィルムがあり、主として絶縁性の高さなどからポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルムが用いられている。その原料となるポリオレフィンは、周期表第4族または第5族の遷移金属元素を含む化合物と、周期表第1~3族の金属元素を含有する化合物とを含む触媒を用いて製造されることが多いので、それらの触媒は絶縁性保持の観点から除去することが好ましい。特に大容量キャパシターの場合は、前記のような金属残渣由来のショートが起こる可能性が考えられるため、金属残渣の除去は極めて重要である。
車載用などの一部の用途では、耐熱性も重要な要求性能となる。この為には融点の高いポリオレフィンを用いたキャパシターフィルムが好適であると考えられる。一方、高融点のポリオレフィンの製造では、重合活性が低くなる傾向があり、前記の金属残渣が増加し易い傾向にある。
上記の用途に限らず、部材の高品質化、高純度化は時代の要請とも言える。
前記の金属残渣は、アセチルアセトンなどの金属と錯体を形成し易い化合物をと接触させて金属錯体を形成させ、有機溶媒などに溶解させて除去する方法が知られている。本発明者らの検討によれば、この方法でも金属残渣がわずかではあるが残存する場合がある事が分かってきた。
前記錯体の1種であるアルミニウムアセチルアセトナト錯体は、融点が190~200℃、昇華温度が170~180℃であることが報告されている。また、前記の錯体は空気中では変性しやすく、蒸発、昇華し難い場合がある事も知られている(例えば、特開2000-203988号公報)。
よって前記の温度以上でオレフィン重合体を処理して金属残渣を蒸発、昇華させる方法も考えられるが、このような温度はオレフィン重合体の融点よりも高い場合が多く、重合体が溶融してしまう。溶融した樹脂は取り扱いが困難となりことがあり、また比表面積などの観点から、前記のような残渣を除去し難くなる場合があるので、出来る限り樹脂溶融を伴わない金属残渣の除去方法が好適となる。
本発明の課題は、主として公知のオレフィン重合触媒を用いて製造したオレフィン重合体の前記触媒由来の金属残渣を効率的に除去する新たな方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した。その結果、以下の方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、例えば以下の[1]~[8]に関する。
[1]
不活性ガス雰囲気下、融点および/またはガラス転移温度が110℃以上のオレフィン重合体、周期表第3~11族元素から選ばれる金属元素を含む遷移金属化合物、および周期表第1、2および13族元素から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物とを含有するオレフィン重合体組成物と、アセチルアセトン、アセチルアセトン誘導体および2'-ヒドロキシアセトフェノンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを接触させて接触物を得る第1の工程と、
不活性ガス雰囲気下、100℃以上、前記オレフィン重合体の融点以下の温度で、0.1~100時間、前記接触物を保持する第2の工程と
を有するオレフィン重合体の精製方法。
[2]
前記オレフィン重合体が、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体である前記[1]のオレフィン重合体の精製方法。
[3]
前記オレフィン重合体が、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位を有する前記[1]または[2]のオレフィン重合体の精製方法。
[4]
前記遷移金属化合物が、メタロセン化合物である前記[1]~[3]のいずれかのオレフィン重合体の精製方法。
[5]
前記有機金属化合物が、固体状アルミノキサンである前記[1]~[4]のいずれかのオレフィン重合体の精製方法。
[6]
前記固体状アルミノキサンが、固体状ポリメチルアルミノキサンである前記[5]のオレフィン重合体の精製方法。
[7]
前記オレフィン重合体組成物が、遷移金属化合物が固体状アルミノキサンに担持されたオレフィン重合触媒を用いて製造されたオレフィン重合体を含有する前記[1]~[6]のいずれかのオレフィン重合体の精製方法。
[8]
アルミニウム原子換算で4.0質量ppmを超える量のアルミニウム化合物を含有し、融点および/またはガラス転移温度が110℃以上である粗オレフィン重合体を準備する工程、および
前記[1]~[7]のいずれかのオレフィン重合体の精製方法により前記粗オレフィン重合体を精製し、アルミニウム原子換算でのアルミニウム含有量が3.0質量ppm以下の精製オレフィン重合体を製造する工程
を含む、精製オレフィン重合体の製造方法。
本発明によれば、遷移金属化合物と有機金属化合物とを含むオレフィン重合触媒を用いて製造されたオレフィン重合体中に含まれる金属成分を効率的に除去する方法、および、金属残渣量が低減されたオレフィン重合体を製造する方法を提供することができる。
図1は実施例1,2、比較例1,2における第2の工程の保持温度と精製後のオレフィン重合体組成物中の残存アルミニウム量を示す。
本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず、共重合を包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
本発明のオレフィン重合体の精製方法は、不活性ガス雰囲気下、オレフィン重合体、遷移金属化合物および有機金属化合物とを含有するオレフィン重合体組成物と、アセチルアセトン、アセチルアセトン誘導体および2'-ヒドロキシアセトフェノンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「化合物α」ともいう)とを接触させて接触物を得る第1の工程と、不活性ガス雰囲気下、100℃以上、前記オレフィン重合体の融点以下の温度で、0.1~100時間、前記接触物を保持する第2の工程を有する。
また、本発明の製造方法は、比較的金属残渣を多く含む粗オレフィン重合体から、前記精製方法により、金属残渣量が3.0質量ppm以下の精製オレフィン重合体を製造する方法である。
(第1の工程)
本発明において、前記化合物αはいわゆる脱灰剤である。
第1の工程は、不活性ガス雰囲気下、前記オレフィン重合体組成物と化合物αとを接触させて、前記オレフィン重合体組成物に含まれる金属残渣を金属錯体とする工程である。例えば、前記オレフィン重合体組成物と化合物αとを接触させる一実施態様としては、重合反応が終了して得られた、オレフィン重合体を含む液を収容する重合反応器中に、化合物αを添加する工程を好ましい例として挙げることができる。
上記の接触操作がスラリー状態で行われる場合、媒体中に溶出する前記金属錯体を除去する目的などで、後述するような濾過やデカンテーション等により固液分離する操作を併せて行うことも可能である。
前記オレフィン重合体組成物は、通常は、オレフィン重合体、遷移金属化合物および有機金属化合物としての固体状アルミノキサンを含有するスラリーである。この様な態様のスラリーに対して、本発明の方法が好適であることが多い。前記スラリーにおけるオレフィン重合体の含有割合は、通常は5~50質量%、好ましくは10~35質量%である。なお、以下では、便宜のため、主に前記有機金属化合物が固体状アルミノキサンである実施態様を例に挙げて説明する。
前記スラリーにおいて、分散媒としては、例えば、不活性炭化水素媒体、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
例えば、オレフィン重合体粒子、遷移金属化合物、固体状アルミノキサンおよび分散媒を含有するスラリーと、化合物αとを接触させることにより、オレフィン重合体粒子中に残留している触媒成分のアルミニウム等を、分散媒側に移行させることができる。よって、後述する分離処理により、アルミニウムを除去することができる。
前記オレフィン重合体組成物と化合物αとの接触において、化合物αの使用量の下限は、前記オレフィン重合体組成物中に含有されるアルミニウム(Al)1モルに対して、好ましくは5モル、より好ましくは50モル、さらに好ましくは200モルである。化合物αの使用量の上限は特に限定されないが、アルミニウム(Al)1モルに対して、例えば2000モルである。このような態様であると、残留アルミニウムの除去性、および化合物αのコストの観点から好ましい。
前記オレフィン重合体組成物と化合物αとを接触させる温度は、通常は25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、また、通常は140℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは90℃以下である。このような態様であると、残留アルミニウムの除去性、およびオレフィン重合体の回収率の観点から好ましい。
前記接触は、上述したように例えば前記オレフィン重合体組成物と化合物αとを混合することにより行われるが、脱灰効率を向上させる観点から、得られた混合物を撹拌することが好ましい。撹拌時間は、例えば0.5~24時間、好ましくは1~12時間である。
第1の工程は、不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガスとは、前記の遷移金属化合物有機金属化合物、金属錯体の変性が起こり難いガスのことであり、周期表の18族元素のガスは勿論、窒素や、炭化水素ガスを例示できる。コストや環境負荷のことを考慮すると、最も好ましいのは窒素である。この様な不活性ガス雰囲気下で前記の第1の工程を行うことで、空気などの混入を抑制し、空気中の酸素による前記の遷移金属化合物有機金属化合物、金属錯体の変性を抑制することが出来る。
不活性ガス雰囲気には、その目的を損なわない範囲で、前記不活性ガス以外のガスが併存していてもかまわない。不活性ガス雰囲気における不活性ガスの含有率は好ましくは50vol%以上、より好ましくは70vol%以上、さらに好ましくは80vol%以上、特に好ましくは90vol%以上である。好ましい上限値は勿論100vol%である。
前記オレフィン重合体組成物と化合物αとを接触させた後は、例えば、デカンテーション、加圧濾過、減圧濾過、遠心分離操作等の方法により、得られた接触物(すなわち、前記オレフィン重合体組成物と化合物αとの混合物)からオレフィン重合体を分離する(分離処理)ことも出来る。この際、必要に応じて、不活性炭化水素媒体による洗浄や、乾燥処理など、公知の精製処理を行ってもよい。
以上のようにして分離されたオレフィン重合体は、分離された液中に大部分の金属成分(上記の場合、主としてアルミニウム)が相当量低減されるが、ウェット状態の固体部には僅かに当該成分が残存することがある。
上記第1の工程では、前記オレフィン重合体組成物と化合物αとを接触させたことで、遷移金属化合物や有機金属化合物が化合物αとの金属錯体となる。これは前記の分散媒に溶解し易いので、前述の通り、固液分離工程を行ってもよいし、行わなくてもよい。分散媒を使用し、固液分離工程を行う態様が好ましいのは言うまでもない。
(第2の工程)
オレフィン重合体の製造工程では、通常、前記の分散媒などを除去するための乾燥工程を含むことが多いが、オレフィン重合体の形状を保持する目的や、加熱によるコスト高の観点から、通常は100℃未満の温度で乾燥を行うことが好ましいとされている。この際、減圧環境や、ガス気流下で行うこともある。
本発明における第2の工程は、上記の乾燥工程に近い方法であるが、第1の工程でオレフィン重合体組成物と化合物αとを接触させて得られたもの(以下「接触物」ともいう。)を100℃以上、オレフィン重合体の融点以下の温度で保持することを特徴とする。前記の下限値として好ましくは105℃、より好ましくは110℃、さらに好ましくは115℃、特に好ましくは120℃である。一方、好ましい上限値は、170℃未満、より好ましくは165℃、さらに好ましくは160℃、特に好ましくは155℃である。上記の様な温度に保持する工程を加えることで、驚くべきことに金属残渣量を著しく低減することが可能であることを本発明者らは見出した。
前記の通り、アルミニウムアセチルアセトナト錯体(Al(acac)3)の融点は190~200℃、昇華温度は170~180℃である。本発明の方法では、このような融点や昇華温度よりも低い温度であっても金属(特に、アルミニウム。以下も同様。)残渣量を低減することが出来る。この様な現象が起こる明確な理由は不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。
アルミニウムアセチルアセトナト錯体の昇華現象の発生には、比較的多くのエネルギーが必要であり、通常、昇華現象は起こり難い。一方で、本発明の前記オレフィン重合体組成物中の遷移金属化合物や有機金属化合物はオレフィン重合体周りに微分散し易く、加温によるエネルギーを吸収し易いので、昇華温度以下でも昇華現象が起こっている可能性がある。また、分散媒を併用した場合、前記微分散の効果に加えて、よりエネルギー吸収効率が高まるため昇華し易くなっている為、低温での昇華現象が発生している可能性もある。更には、前記の分散媒がガス化する温度であれば、昇華物がガスに同伴されて分離され易い可能性もあろう。
この様な理由から、本発明のオレフィン重合体の精製方法では、従来以上に高いレベルで金属残渣の量を低減することが出来る。(オレフィン重合体を精製することが出来る事と同義。)
前記第2の工程に要する時間は、0.1~100時間である。好ましい下限値は0.5時間、より好ましくは1時間、さらに好ましくは2時間である。一方、好ましい上限値は70時間、より好ましくは50時間、さらに好ましくは40時間である。上記の様な時間内であれば金属残渣を効率的に低減することが出来る。
本発明の第2の工程も、前記の不活性ガス雰囲気下に行われる。不活性ガス雰囲気下とすることで、前記の金属錯体の変性を抑制できるので、効率的に昇華による金属除去が可能になると考えられる。
本発明においては、上記第1の工程と第2の工程とを含めて、脱灰工程や脱灰処理と言うことがある。
本発明では、上記脱灰処理後により、特に、オレフィン重合体中の固体状アルミノキサン由来の残留アルミニウムを効率よく除去することができる。例えば、上記脱灰処理により、固体状アルミノキサン由来のアルミニウムの脱灰率=80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上を達成することができる。ここで脱灰率は、100-(固体状アルミノキサン由来の脱灰後残留Al[質量ppm]/固体状アルミノキサン由来の脱灰前Al[質量ppm]×100)により定義される。
<化合物α>
本発明では、アセチルアセトン、アセチルアセトン誘導体および2'-ヒドロキシアセトフェノンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物αを用いることにより、オレフィン重合体組成物から、固体状アルミノキサン由来のアルミニウムを効率的に除去することができる。
以下、アセチルアセトンおよびアセチルアセトン誘導体を併せて「アセチルアセトン系化合物」ともいう。アセチルアセトン系化合物としては、例えば、下記式に示す化合物が挙げられる。
Figure 2023131454000001
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭化水素基であり、R3は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基である。
前記炭化水素基の炭素数は、通常は6以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
アセチルアセトン系化合物としては、具体的には、アセチルアセトン、3-エチル-2,4-ペンタンジオン、3,5-ヘプタンジオンが好ましい。
化合物αは1種または2種以上用いることができる。
<オレフィン重合体>
本発明において、脱灰処理対象のオレフィン重合体は、1種または2種以上のオレフィンを重合して得られる重合体であり、単独重合体であっても共重合体であってもよい。その融点および/またはガラス転移温度は、110℃以上である。好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上、特に好ましくは180℃以上、殊に好ましくは190℃以上である。融点および/またはガラス転移温度の好ましい上限値は特に制限するものではないが、好ましくは300℃、より好ましくは280℃、さらに好ましくは260℃である。
オレフィンは、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレンおよび炭素数3~10のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
α-オレフィンとしては、直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。例えば、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-イコセンが挙げられる。これらの中でも、4-メチル-1-ペンテンを少なくとも用いることが好ましい。
また、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種とともに、環状オレフィン、極性基を有するオレフィン、末端水酸基化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物およびポリエンから選ばれる少なくとも1種を反応系に共存させて重合を進めることもできる。
オレフィン重合体は、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位を有する重合体であることが好ましく、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体、4-メチル-1-ペンテンと、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種との共重合体がより好ましい。
オレフィン重合体の一態様としては、全モノマー由来の構成単位中、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位を50~100モル%、好ましくは55~100モル%、さらに好ましくは80~100モル%の範囲で含む重合体が挙げられる。前記含有割合は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
前記オレフィン重合体組成物におけるオレフィン重合体は、以下に説明するように、オレフィン重合触媒を用いて製造されたオレフィン重合体である。前記オレフィン重合触媒は、遷移金属化合物および固体状アルミノキサンを含有する。遷移金属化合物は、固体状アルミノキサンに担持されていることが好ましい。
重合時に前記オレフィン重合触媒を用いると、固体状アルミノキサン(特に、当該アルミノキサン由来のアルミニウム)がオレフィン重合体中に残留することから、本発明では上述した脱灰処理を行う。脱灰処理を行うことにより、アルミニウム量が低減されたオレフィン重合体が容易に得られる。
<遷移金属化合物>
本発明では、遷移金属化合物としては、メタロセン化合物が好ましい。
メタロセン化合物としては、例えば、国際公開第2005/121192号、国際公開第2014/050816号、国際公開第2014/050817号、国際公開第2014/123212号、国際公開第2017/150265号等で開示の化合物が例示される。国際公開第2014/050816号、国際公開第2014/050817号、国際公開第2014/123212号、国際公開第2017/150265号等で開示の架橋メタロセン化合物が好適に挙げられるが、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
メタロセン化合物は、一般式[A1]で表される化合物が好ましい。
Figure 2023131454000002
式[A1]中、R1a~R14aはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1a~R14aの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式[A1]中、Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数であり、jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
メタロセン化合物は、重合活性が高く、また立体規則性および分子量が高いオレフィン重合体が得られることから、式[A2]で表される化合物がより好ましい。
Figure 2023131454000003
式[A2]中、R1~R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1~R16の置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式[A2]中、Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数であり、jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
〈R 1a ~R 14a およびR 1 ~R 16
1a~R14aおよびR1~R16におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1a~R14aおよびR1~R16における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常は1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1a~R14aおよびR1~R16におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基などの酸素原子含有炭化水素基;N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素数は、通常は1~20、好ましくは2~18、より好ましくは2~15である。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
1a~R14aおよびR1~R16におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1a~R14aおよびR1~R16までの置換基のうち、隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R4とR6、R5とR7、R6とR8、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14、R14とR15、R15とR16)が互いに結合して環を形成していてもよく、また、例えば、R4およびR5が互いに結合して環を形成していてもよく、R6およびR7が互いに結合して環を形成していてもよく、R1およびR8が互いに結合して環を形成していてもよく、R3およびR5が互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
以下、式[A2]で表される化合物の好適態様を説明する。
1およびR3は、立体規則性の観点から、水素原子であることが好ましい。
4、R5、R6およびR7から選ばれる少なくとも1つは、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、R5が炭化水素基であることがより好ましく、R5が直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R5が炭素数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R4、R6およびR7は水素原子であることも好ましい。
あるいは、R5およびR7が互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R4およびR6は例えば水素原子である。
8は、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
2は、高い立体規則性および高い分子量のオレフィン重合体を製造することが可能であることから、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
2としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくは1-アダマンチル基、tert-ブチル基である。
式[A2]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R9、R12、R13およびR16は、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
10、R11、R14およびR15は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。
10とR11が互いに結合して環を形成し、かつR14とR15が互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。なお、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンを「オクタメチルフルオレン」とも記載する。
〈M、Q、j〉
Mは、周期表第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、R1a~R14aおよびR1~R16における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Qにおけるアニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert-ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
Qにおける炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、例えば、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが挙げられる。
Qにおける孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。
Qは、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
jは、好ましくは2である。
以上、遷移金属化合物の構成、すなわちR1a~R14a、R1~R16、M、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、それぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。
<有機金属化合物>
本発明の有機金属化合物は、遷移金属化合物が有する重合性能を効率よく発現させるための助触媒が好ましい態様である。その他に反応系内の不純物(触媒毒となるような化合物)と反応して不活性化する所謂スカベンジャーとしての機能もある。この様な化合物としては、周期表の1族、2族、13族元素の金属に、アルキル基等の炭化水素基が結合した構造を有する公知の化合物を制限なく用いることが出来る。この様化合物としては、トリアルキルアルミニウム化合物、アルキルアルミニウムハライド化合物、アルミノキサン化合物等の公知の化合物を制限なく例示することが出来る。また、固体状アルミノキサンも有用な化合物であるので、以下、詳しく説明する。
固体状アルミノキサンは、オレフィン重合触媒の助触媒かつ触媒担体として機能する。
「固体状」とは、固体状アルミノキサンが用いられる反応環境下において、当該アルミノキサンが実質的に固体状態を維持することを意味する。より具体的には、例えばオレフィン重合触媒を構成する各成分を接触させてオレフィン重合固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエン等の不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において前記アルミノキサンが固体状態であることを表す。また、例えばオレフィン重合触媒を用いてスラリー重合を行う際に、不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において重合触媒中に含まれるアルミノキサンが固体状態であることを表す。前記媒体の代わりに液化オレフィン中で重合を行うバルク重合や、オレフィンガス中で重合を行う気相重合でも同様である。
固体状アルミノキサンは、好ましくは式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有するアルミノキサンを含有し、より好ましくは式(1)で表される構成単位を有するアルミノキサンを含有し、さらに好ましくは式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンを含有する。
Figure 2023131454000004
式(1)中、Meはメチル基である。
式(2)中、R1は炭素数2~20の炭化水素基、好ましくは炭素数2~15の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~10の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、エチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル等のアルキル基;シクロヘキシル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基が挙げられる。
固体状アルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)および/または式(2)で表される構成単位が2~50程度繰り返されている構成を有すると推定されるが、当該構成に限定されない。また、その構成単位の結合態様は、例えば、線状、環状またはクラスター状と種々であり、アルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定される。また、アルミノキサンは、式(1)または式(2)で表される構成単位のみからなってもよい。
固体状アルミノキサンとしては、固体状ポリメチルアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなる固体状ポリメチルアルミノキサンがより好ましい。
固体状アルミノキサンは、通常は粒子状であり、体積統計値でのD50が好ましくは1~500μm、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
固体状アルミノキサンは、比表面積が好ましくは100~1000m2/g、より好ましくは300~800m2/gである。比表面積は、BET吸着等温式を用い、固体表面におけるガスの吸着および脱着現象を利用して求めることができる。
固体状アルミノキサンは、触媒担体として機能する。このため、固体状アルミノキサンの他に、触媒担体として、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体、またはポリスチレンビーズ等の固体状有機担体を用いる必要はない。
固体状アルミノキサンは、例えば、国際公開第2010/055652号および国際公開第2014/123212号に記載された方法により調製することができる。一例を以下に記載する。
まず、芳香族炭化水素溶媒中で、トリメチルアルミニウム等のAlRa3で表される有機アルミニウム化合物(後述する一般式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物として具体例を例示する)と含酸素有機化合物とを反応させ、アルミニウム-酸素-炭素結合を有するアルミニウム化合物を得て、これを熱分解させる。含酸素有機化合物の酸素原子1モルに対する、有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル量は、通常は0.5~3.0モル、好ましくは1.0~1.7である。熱分解の反応条件は、例えば、加熱温度が通常は20~90℃、好ましくは30~80℃、加熱時間が通常は5~100時間である。
次いで、得られた反応溶液を例えば室温程度まで冷却し、再度加熱することにより、固体状アルミノキサンを析出させる。加熱条件は、例えば、加熱温度が通常は80~200℃、好ましくは90~150℃、加熱時間が通常は5分~24時間、好ましくは1~20時間である。析出した固体状アルミノキサンを非芳香族炭化水素溶媒で洗浄してもよい。
芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンが挙げられる。非芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン等のn-アルカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のシクロアルカンが挙げられる。
含酸素有機化合物としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられ、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、トルイル酸、およびこれらの酸無水物が好ましい。また、その他の具体例としては、例えば、国際公開第2010/055652号の段落[0041]~[0042]に記載された化合物が挙げられる。
<他の助触媒>
前記オレフィン重合触媒は、さらに、有機金属化合物(B-1)、および遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B-2)から選ばれる少なくとも1種の他の助触媒を含有することができる。
有機金属化合物(B-1)としては、例えば、一般式(B-1a)で表される有機アルミニウム化合物、一般式(B-1b)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物等の有機アルミニウム化合物;一般式(B-1c)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物が挙げられる。
(B-1a):Ra mAl(ORbnpq
式(B-1a)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~20、好ましくは炭素数1~15、より好ましくは炭素数1~10の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であり、かつm+n+p+q=3である。前記炭化水素基は、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基である。
有機アルミニウム化合物(B-1a)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ(n-ブチル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリ(n-アルキル)アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec-ブチル)アルミニウム、トリ(tert-ブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルブチル)アルミニウム、トリ(3-メチルブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウムのトリアルキルアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウムが挙げられる。
(B-1b):M2AlRa 4
式(B-1b)中、M2はLi、NaまたはKであり、Raは炭素数1~15、好ましくは炭素数1~5の炭化水素基である。錯アルキル化物(B-1b)としては、例えば、LiAl(C254、LiAl(C7154が挙げられる。
(B-1c):Rab3
式(B-1c)中、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1~15、好ましくは炭素数1~5の炭化水素基であり、M3はMg、ZnまたはCdである。化合物(B-1c)としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn-ブチルマグネシウム、エチルn-ブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジn-ブチル亜鉛、ジフェニル亜鉛が挙げられる。
遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B-2)としては、例えば、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、米国特許第5321106号明細書等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
<各成分の使用量>
オレフィン重合触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
遷移金属化合物は、オレフィン重合に用いられる反応容積1リットル当り、通常は1×10-10~1×10-2モル、好ましくは1×10-8~1×10-3モルとなるような量で用いられる。
固体状アルミノキサンは、当該固体状アルミノキサン中のアルミニウム原子と遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が通常は10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いることができる。
有機金属化合物(B-1)は、化合物(B-1)と遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比((B-1)/M)が通常は1~50,000、好ましくは10~20,000となるような量で用いることができる。
遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B-2)は、化合物(B-2)と遷移金属化合物中の全遷移金属原子(M)とのモル比((B-2)/M)が通常は1~1000、好ましくは1~200となるような量で用いることができる。
オレフィン重合触媒は、遷移金属化合物、固体状アルミノキサン、および必要に応じて他の助触媒を前記重合触媒に含ませるように作製するが、例えば、遷移金属化合物、固体状アルミノキサン、および必要に応じて他の助触媒等の各成分同士を接触させることにより得ることができる。
オレフィン重合触媒を構成する各成分の添加および接触順序は任意に選ばれるが、例えば、以下の方法が挙げられる。以下では、遷移金属化合物を「成分(A)」、固体状アルミノキサンを「担体」、他の助触媒を「成分(B)」ともいう。
・成分(A)および担体をそれぞれ重合反応器に添加する方法。
・成分(A)、成分(B)および担体をそれぞれ重合反応器に添加する方法。
・成分(A)を担体に担持した担持触媒を重合反応器に添加する方法。
・成分(A)を担体に担持した担持触媒と、成分(B)とを重合反応器に添加する方法。・成分(A)および成分(B)を担体に担持した担持触媒を重合反応器に添加する方法。
以上の方法において、添加、接触順序は特に限定されない。また、オレフィン重合触媒を構成する各成分は、前述した不活性炭化水素媒体中に溶解または分散させた状態で、添加、接触してもよい。
また、上記担体または担持触媒において、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。前記オレフィンとしては、上述した、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンが挙げられる。
<オレフィン重合体の製造条件>
脱灰処理対象のオレフィン重合体の好ましい製造条件を以下に記載する。
重合は、スラリー重合法および気相重合法のいずれにおいても実施でき、スラリー重合法が好ましい。スラリー重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
オレフィンの重合温度は、通常は-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常は常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。
水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。
[精製オレフィン重合体の製造方法]
本発明の好ましい精製オレフィン重合体の製造方法は、
アルミニウム原子換算で4.0質量ppmを超える量のアルミニウム化合物を含有し、融点および/またはガラス転移温度が110℃以上である粗オレフィン重合体を準備する工程、および
上述した本発明のオレフィン重合体の精製方法により前記粗オレフィン重合体を精製し、アルミニウム原子換算でのアルミニウム含有量が3.0質量ppm以下の精製オレフィン重合体を製造する工程
を含むことを特徴としている。
前記粗オレフィン重合体としては、上述したオレフィン重合体組成物が挙げられる。
前記粗オレフィン重合体に含まれるアルミニウム化合物の好ましい含有率の下限値は、アルミニウム原子換算で10質量ppm、より好ましくは100質量ppm、さらに好ましくは1000質量ppm、特に好ましくは5000質量ppmである。一方、好ましい上限値は、100,000質量ppm、より好ましくは50,000質量ppm、さらに好ましくは20,000質量ppm、特に好ましくは10,000ppmである。
前記精製オレフィン重合体のアルミニウム原子換算でのアルミニウム含有量の好ましい上限値は、2.5質量ppm、より好ましくは2.0質量ppm、さらに好ましくは1.5質量ppm、特に好ましくは1.0質量ppmである。好ましい下限値は、もちろん0質量ppmである。
前記精製オレフィン重合体のアルミニウム原子換算でのアルミニウム含有量が上記の様な範囲であれば、電気絶縁性に優れ、多様な電材用途に好適に使用することが出来る。
[用途]
本発明の精製方法により精製されたオレフィン重合体、および本発明の製造方法で得られた精製オレフィン重合体は、例えば、射出成形法、押出成形法、射出延伸ブロー成形法、ブロー成形法、キャスト成形法等の各種成形法により、目的とする成形体、例えばフィルム、シート、シーラント、ブロー成形体、射出延伸ブロー成形体、射出成形体、繊維等に加工することができる。
この際、前記オレフィン重合体ないし前記精製オレフィン重合体には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤、種々の合成樹脂等の各種添加剤を必要に応じて配合することもできる。
本発明の精製方法により精製されたオレフィン重合体、および本発明の製造方法で得られた精製オレフィン重合体は、アルミニウム量が低減されていることから、電気特性が重要である用途に好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
物性の測定方法は、以下のとおりである。
[元素分析]
株式会社島津製作所製ICP(誘導結合プラズマ)発光分析法装置:ICPS-8100型を用いて測定を行った。アルミニウムの定量分析には、試料を硫酸および硝酸にて湿式分解後、定容(必要に応じてろ過および希釈含む)したものを検液とした。(必要に応じて、ジルコニウム等の遷移金属の定性、定量も同様の方法で可能である。)
[合成例1]
〔遷移金属錯体の合成〕
下記式で表される8-オクタメチルフルオレン-12’-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン)ジルコニウムジクロライドを、国際公開第2014/123212号の予備実験5に記載の方法に従って合成した。
Figure 2023131454000005
[製造例1]
〔オレフィン重合体の製造〕
(オレフィン重合触媒の製造)
30℃下、充分に窒素置換した100Lの攪拌機付き耐圧反応槽に、窒素気流下で精製デカン36Lおよび固体状ポリメチルアルミノキサン(以下「固体状MAO」ともいう)をアルミニウム原子換算で16.7mol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、合成例1で製造された遷移金属化合物(8-オクタメチルフルオレン-12’-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド)57g(66.8mmol)を26.7mmol/Lのトルエン溶液として撹拌しながら加えた。1.5時間後、攪拌を止め、静置分離、上澄み液抜き出しによりデカン44Lで3回洗浄し、オレフィン重合用触媒のスラリー液を得た。
(予備重合触媒成分の調製)
前記オレフィン重合用触媒のスラリー液に、スラリー液を撹拌しながら、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム原子換算で0.37mol/mL)を1580mL、さらに4-メチル-1-ペンテンを10.2L装入した。4時間後攪拌を止め、得られた混合物を静置分離、上澄み液抜き出しによりデカン44Lで3回洗浄し、予備重合触媒成分のデカンスラリー(1.03mmol-Zr/L)を得た。
(オレフィン重合体の製造)
室温、窒素気流下で、内容積8260Lの攪拌機付き耐圧反応槽(以後、重合器と言う場合がある)に、精製デカン3500L、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘキサン溶液(アルミニウム原子換算で2800mmol)を装入した。次いで、前記予備重合触媒成分のデカンスラリーをジルコニウム原子換算で9mmol加え、水素105Lを重合器に添加した。次いで、4-メチル-1-ペンテンを663kg、および1-ヘキサデセンと1-オクタデセンの混合物(市販品)を29.2kg、53分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。装入開始時点を重合開始とした。重合開始から15分かけて45℃へ昇温した後、45℃で2時間保持した。重合開始から2時間経過後、重合器内の、窒素による0.5MPaGから0.05MPaGまでの加圧脱圧を5回行い、その後、水素を28L重合器に添加し、次いで、4-メチル-1-ペンテンを253kg、および前記1-ヘキサデセンと1-オクタデセンの混合物(市販品)を206.3kg、33分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入し、4時間保持した。4時間経過後、失活材としてアセチルアセトン5.6kgを添加して重合終了とし、融点が190℃以上である4-メチル-1-ペンテン重合体のスラリーを得た。
[実施例1]
〔オレフィン重合体の精製〕
(第1脱灰工程)
製造例1で得られた4-メチル-1-ペンテン重合体のスラリー全量を、内容積9000Lのろ過乾燥機へ移液し、脱灰材としてアセチルアセトン20kgを添加した。その後、60℃に昇温し、8時間撹拌して脱灰操作を行った。8時間経過後、ろ過を行い、ウェットケーキを得た。
(第2脱灰工程)
上記の操作で得られたウェットケーキを10gサンプリングし、小型の加熱真空乾燥機で、110℃で6時間保持して乾燥し、得られた乾燥物中に残存するアルミニウムの量を分析した。結果を表1に示す。
[比較例1~2、実施例2~3]
保持温度および保持時間を表1に記載のように変更したこと以外は実施例1の第2脱灰工程と同様の操作を行い、乾燥物を得た。得られた乾燥物中に残存するアルミニウムの量を分析した。結果を表1に示す。
Figure 2023131454000006
第2脱灰工程における保持温度がアルミニウムアセチルアセトナト錯体(Al(acac)3)の昇華温度(170~180℃)よりも低くても、重合体中のアルミニウムの量が低減した。

Claims (8)

  1. 不活性ガス雰囲気下、融点および/またはガラス転移温度が110℃以上のオレフィン重合体、周期表第3~11族元素から選ばれる金属元素を含む遷移金属化合物、および周期表第1、2および13族元素から選ばれる金属元素を含む有機金属化合物とを含有するオレフィン重合体組成物と、アセチルアセトン、アセチルアセトン誘導体および2'-ヒドロキシアセトフェノンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを接触させて接触物を得る第1の工程と、
    不活性ガス雰囲気下、100℃以上、前記オレフィン重合体の融点以下の温度で、0.1~100時間、前記接触物を保持する第2の工程と
    を有するオレフィン重合体の精製方法。
  2. 前記オレフィン重合体が、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体である請求項1に記載のオレフィン重合体の精製方法。
  3. 前記オレフィン重合体が、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位を有する請求項1または2に記載のオレフィン重合体の精製方法。
  4. 前記遷移金属化合物が、メタロセン化合物である請求項1~3のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の精製方法。
  5. 前記有機金属化合物が、固体状アルミノキサンである請求項1~4のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の精製方法。
  6. 前記固体状アルミノキサンが、固体状ポリメチルアルミノキサンである請求項5に記載のオレフィン重合体の精製方法。
  7. 前記オレフィン重合体組成物が、遷移金属化合物が固体状アルミノキサンに担持されたオレフィン重合触媒を用いて製造されたオレフィン重合体を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の精製方法。
  8. アルミニウム原子換算で4.0質量ppmを超える量のアルミニウム化合物を含有し、融点および/またはガラス転移温度が110℃以上である粗オレフィン重合体を準備する工程、および
    請求項1~7のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の精製方法により前記粗オレフィン重合体を精製し、アルミニウム原子換算でのアルミニウム含有量が3.0質量ppm以下の精製オレフィン重合体を製造する工程
    を含む、精製オレフィン重合体の製造方法。
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