JP2023148521A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Yoshihisa Yamashita
淳一 酒井
Junichi Sakai
和彦 荒木
Kazuhiko Araki
翔一 竹田
Shoichi Takeda
義之 金子
Yoshiyuki Kaneko
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Abstract

【課題】 粘土鉱物を含有する白インクのpHによる粘度変動を抑制することで、白インク及びカラーインクにより、ムラの発生が抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法などの提供。【解決手段】 第1インク及び第2インクを用いて画像を記録するインクジェット記録方法である。第1インクが、表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカの少なくとも一方で被覆されている酸化チタン粒子、特定の酸価の樹脂、スメクタイト族の粘土鉱物、及び特定の水溶性有機溶剤を含有し、第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、広告や展示物用の記録媒体として、紙や樹脂フィルムなどを用いて出力する際に、インクジェット記録装置が広く利用されるようになってきた。例えば、透明な記録媒体においても鮮明なカラー画像を表現するために、ブラックや基本色のインク(以下、これらをまとめてカラーインクと記載することがある)に加えて、白インクが併用される。具体的には、透明な記録媒体の画像を記録する領域を含む箇所に前もって白インクを付与して下地処理を行い、その上からカラーインクを付与する、又はその逆順で各インクを付与する(いわゆるバックプリント)記録方法が用いられている。
白インクの色材としては、低コストであるとともに、白さや隠ぺい性など白インクとして必要とされる特性に優れるため、酸化チタンが広く用いられている。しかし、酸化チタンは比重が大きいため、沈降しやすい。沈降を抑制するために、酸化チタンや樹脂と相互作用することができる粘土鉱物を含有したインクが提案されている(特許文献1参照)。また、樹脂フィルムなど液媒体の吸収性の小さい記録媒体に白インクとカラーインクを組み合わせて画像を記録するためには、先に付与したインクが十分に乾燥してから、もう一方のインクを付与する必要がある。先に付与したインクが十分に乾燥していない状態で、もう一方のインクを付与する場合には、各インクが混合して、画像が濁ってしまいやすい。その結果、画像のムラが発生してしまう。インク間の混合を抑制するため、色材を凝集させるための反応液を用いることが提案されている(特許文献2参照)。
特開2014-185235号公報 国際公開2018/144181号公報
本発明者らが検討した結果、特許文献1のように粘土鉱物を含有するインクを用いると、白インクの保存安定性は向上する傾向にあることがわかった。但し、白インク及びカラーインクのpHによっては、インク間の混合が抑制されず、画像にムラが発生する場合があることがわかった。特許文献2では、反応液を記録媒体に付与するための機構が必要となり、装置の大型化につながる。
したがって、本発明の目的は、粘土鉱物を含有する白インクのpHによる粘度変動を抑制することで、白インク及びカラーインクにより、ムラの発生が抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び前記第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する工程を有し、前記第1インクが、酸化チタン粒子、樹脂、スメクタイト族の粘土鉱物、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであり、前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカの少なくとも一方で被覆された酸化チタンであり、前記樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上280mgKOH/gであり、前記水溶性有機溶剤が、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物を含み、前記第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する水性インクであることを特徴とする。
本発明によれば、粘土鉱物を含有する白インクのpHによる粘度変動を抑制することで、白インク及びカラーインクにより、ムラの発生が抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。酸化チタンや酸化チタン粒子のことを、単に「顔料」と記載することがある。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
酸化チタンは、水性インク中の水性媒体を構成する水分子と反応して、その表面にヒドロキシ基(以下、「表面ヒドロキシ基」と記載することがある)を生ずる。インクジェット用の水性インクにおいては、生成した表面ヒドロキシ基を活用してインクの保存安定性を向上させるために、アルミナやシリカなどの無機酸化物で表面処理が施された酸化チタン(酸化チタン粒子)として利用されることが一般的である。酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物に固有の性質を持ち、無機化合物の種類によって酸としての強さの指標である等電点がそれぞれ異なる。したがって、酸化チタンはそれそのものも無機酸化物ではあるが、酸化チタン粒子の表面は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物の性質を示し、酸化チタン粒子の表面電荷は、水性媒体のpH、表面処理剤の種類、表面処理剤の使用量に強く依存する。
本発明者らは、特許文献1に記載された、粘土鉱物を含有する白インクにおいて、保存安定性は向上するものの、画像のムラが発生する場合があることについて、その原因を検討した。その結果、白インク及びカラーインクが混合することで、白インクのpHが変化すると、粘土鉱物によって白インクに備わっていた粘度特性が変動してしまうということがわかった。白インクに備わっていた粘度特性が変動すると、顔料の凝集が進み、記録媒体上で顔料の偏りが発生してしまう。その結果、画像の滑らかさが損なわれ、画像のムラが発生してしまう。そこで、本発明者らは、インクに含有させる成分によって、白インクの粘度特性の変動を抑制することについて、さらに検討を行った。その結果、白インクに、酸化チタン粒子及び粘土鉱物に加えて、特定の樹脂及び水溶性有機溶剤を含有させることで、粘度特性を維持して、画像のムラの発生を抑制できるという知見を得た。
すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、酸化チタン粒子、樹脂、スメクタイト族の粘土鉱物、及び水溶性有機溶剤を含有する第1インクと、酸化チタン粒子以外の色材を含有する第2インクを用いる。酸化チタン粒子は、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカの少なくとも一方で被覆された酸化チタンである。樹脂の酸価は、120mgKOH/g以上280mgKOH/gである。水溶性有機溶剤は、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物である。そして、上記の第1インク及び第2インクを記録媒体において重なるように付与して画像を記録する。上記の構成によって、第1インクの粘度特性の変動を抑制しながら、第2インクとともに用いた場合にムラの発生を抑制した画像を記録することができるメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。
第1インク中の酸化チタン粒子は、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカの少なくとも一方で被覆された酸化チタン粒子である。アルミナ由来の表面ヒドロキシ基は正電荷を帯びやすく、シリカ由来の表面ヒドロキシ基は負電荷を帯びやすい。先述のように、酸化チタン粒子は、その表面に無機酸化物で表面処理を施すことで保存安定性を向上しやすくなる。
スメクタイト族の粘土鉱物(以下、単に粘土鉱物とも記載する)を含有する第1インクは、せん断力により粘度が変動する、つまり、構造粘性(擬塑性)を持つ。擬塑性は、粒子間の不均一な相互作用が生じた際に起こる粒子間の構造変化によって引き起こされる。擬塑性を持つインク中では、インクに外力がかかっていない状態であると、酸化チタン粒子が不均一な凝集体を形成し、インクの粘度を上昇させる。一方で、酸化チタン粒子の不均一な凝集体は、インクに外力がかかることで解消され、インクの粘度が下がり、通常の粘度に戻る。
スメクタイト族の粘土鉱物は、負電荷を帯びやすい平面部分と正電荷を帯びやすい端部を有する平板状の形状を持つ。そのため、スメクタイト族の粘土鉱物は、酸化チタン粒子の電荷を帯びた表面ヒドロキシ基に対して、静電的な作用によって吸着すると考えられる。ところが、第2インクとの接触によって第1インクのpHが変化すると、酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基の電荷の状態も連動して変化するため、粘土鉱物の吸着状態が変化し、粘度特性が変化しやすい。つまり、粘度特性の変動は、その発現に必要となる粘土鉱物の量が、pH変化により異なるために生じたと考えられる。
検討の結果、粘度特性の変動は、酸価が120mgKOH/g以上280mgKOH/g以下の樹脂、及び炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物を第1インクに添加することで抑制し得ることを見出した。上記の樹脂を第1インクに含有させることで、樹脂のアニオン性基が、酸化チタン粒子に平板形状の端部で吸着している粘土鉱物に作用して、酸化チタン粒子から粘土鉱物を脱離させると考えられる。また、上記の水溶性有機溶剤は分子量が小さく、酸化チタン粒子に吸着した粘土鉱物との隙間に入り込む。
酸価が120mgKOH/g未満である樹脂は、粘土鉱物との反応点となるアニオン性基が少なすぎて、上記の作用が生じない。その結果、粘度特性の変動を抑制できず、画像のムラの発生を抑制できない。また、酸価が280mgKOH/g超である樹脂は、親水性が高すぎて、第1インク中で遊離して存在するため、粘土鉱物との親和性が低下する。その結果、酸化チタンから粘土鉱物を脱離させにくくなり、粘度特性の変動を抑制できず、画像のムラの発生を抑制できない。
第1インクには、さらに、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物を含有させる。前記化合物は、互いに近い位置に存在するヒドロキシ基間の安定化により、離れて存在するヒドロキシ基を持つ化合物に比して、より高い酸性度を有するなど特徴的な挙動を示すことが知られている。このため、前記化合物は、複数のヒドロキシ基によりキレート剤としての作用を持つ。前記化合物は、正電荷を帯びる酸化チタン粒子の表面(例えば、アルミナ由来の表面ヒドロキシ基の部分)に配位することができる。多価アルコール構造を有していてもヒドロキシ基が互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれに置換していない化合物の場合、キレート剤としての作用が弱いと考えられる。また、多価アルコール構造を有していても、1つの炭素原子に複数のヒドロキシ基が置換している化合物の場合は、キレート剤としての作用が弱いと考えられる。そのため、粘度特性の変化を抑制することができず、画像のムラの発生を抑制することができない。
第2インクは、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する。上記の第1インクとともに記録媒体に画像を記録すると、各インクの混合により第1インクのpHが変化しても粘度特性の変動が抑制される。このため、第1インクの擬塑性が発揮されて、第1インク及び第2インクの混合を抑制することができる。その結果、ムラの発生が抑制された画像を記録することができる。
[インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置]
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す。)は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、第1インクを記録媒体に付与する工程、及び第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを記録媒体に付与する工程を有する。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、第1インクを記録媒体に付与する手段、及び第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを記録媒体に付与する手段を備える。
どちらのインクを先に記録媒体に付与してもよいが、擬塑性の特性を十分に発揮させるためには、第1インクの上に第2インクを付与することが好ましい。必要に応じて、記録された画像を加熱してもよい。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
記録媒体の単位領域へのインクの付与を、記録ヘッドと記録媒体との複数回の相対走査に分けて行うマルチパス記録が好ましい。特に、単位領域への第1インクの付与及び第2インクの付与を、それぞれ異なる相対走査で行うことが好ましい。これにより、各インクが接触するまでの時間が長くなり、混合が抑制されやすくなるため、結果として画像のムラの発生を抑制しやすくなる。
<第1インク>
本発明の記録方法で用いる第1インクは、酸化チタン粒子、樹脂、スメクタイト族の粘土鉱物、及び水溶性有機溶剤を含有するインクである。以下、第1インクに用いる各成分について詳細に説明する。
(色材)
第1インクは色材(顔料)として、アルミナ及びシリカの少なくとも一方によって酸化チタンに表面処理が施された酸化チタン粒子を含有する。酸化チタン粒子は白色顔料であるため、第1インクは白インクである。第1インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、第1インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
酸化チタンは、白色顔料であり、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3つの結晶形が存在する。なかでも、ルチル型の酸化チタンが好ましい。酸化チタンの工業的製造方法としては、硫酸法及び塩素法が挙げられ、本発明で用いる酸化チタンはいずれの製造方法によるものであってもよい。
酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(以下、平均粒子径とも表す。)は、200nm以上500nm以下であることが好ましく、200nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%となる粒子の直径である。酸化チタン粒子のD50は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59、の条件で測定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計を使用することができる。勿論、測定条件などは上記に限られない。
酸化チタンは、アルミナ及びシリカの少なくとも一方で表面処理が施されているものを用いる。本明細書において、「アルミナ」は、酸化アルミニウムのようなアルミニウムの酸化物の総称である。また、本明細書において、「シリカ」は、二酸化ケイ素のようなケイ素の酸化物の総称である。酸化チタンを被覆するアルミナ及びシリカの大部分は、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素の形態で存在している。
酸化チタン粒子に占める、酸化チタンの割合(質量%)は、酸化チタン粒子全質量を基準として、80.0質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以下であることが好ましい。アルミナで表面処理が施されている場合、酸化チタン粒子に占める、アルミナの割合(質量%)は、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。シリカで表面処理が施されている場合、酸化チタン粒子に占める、シリカの割合(質量%)は、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
酸化チタンの表面処理方法としては、湿式処理、乾式処理などが挙げられる。例えば、酸化チタンを液媒体に分散させた後、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなどの表面処理剤と反応させて表面処理を行うことができ、これら表面処理剤の比率を適宜変更することによって所望の特性に調整することもできる。表面処理には、本発明の効果が損なわれない限り、アルミナ及びシリカ以外にも、亜鉛やジルコニウムなどの無機化合物の酸化物や、ポリオールなどの有機物を利用することができる。
(樹脂)
第1インクには、樹脂を含有させる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましい。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上12.0質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが特に好ましい。樹脂の含有量(質量%)は、酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.02倍以上0.12倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.02倍未満であると、樹脂の含有量が少なすぎて、酸化チタン粒子に粘土鉱物が吸着することを十分に抑制できない。その結果、粘度特性の変動を十分に抑制できず、画像のムラの発生が十分に抑制できない場合がある。前記質量比率が0.12倍超であると、樹脂が多すぎて、粘土鉱物による擬塑性の発現が妨害されてしまい、結果として粘度特性の変動を十分に抑制できず、画像のムラの発生が十分に抑制できない場合がある。
樹脂は、記録される画像の各種特性を向上させるなどの用途で、第1インクに含有させることができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。また、樹脂は、液媒体に溶解しうる溶解性樹脂であってもよく、液媒体中に分散する樹脂粒子であってもよい。樹脂粒子は、色材を内包する必要はない。
本明細書において「樹脂が水溶性である」とは、その樹脂を酸価と等量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しない状態で液媒体中に存在することを意味する。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、とすることができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有する単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方の単量体に由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。
親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性単量体を重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体などを挙げることができる。酸性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性単量体を重合することで形成することができる。疎水性単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有する単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体などを挙げることができる。
樹脂の酸価は、120mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることを要する。なかでも、180mgKOH/g以上250mgKOH/g以上であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、4,000以上20,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量が4,000未満であると、樹脂の分子サイズが小さすぎて、粘土鉱物への吸着はしやすくなる一方で、酸化チタン粒子の表面から粘土鉱物を脱離させる作用が弱くなってしまう。その結果、粘度特性の変動を十分に抑制することができず、画像のムラの発生を十分に抑制することができない場合がある。樹脂の重量平均分子量が20,000超であると、樹脂の分子サイズが大きすぎて、インク中での運動性が低く、粘土鉱物を脱離させる作用が十分に発揮できない。その結果、粘度特性を十分に維持することができず、画像のムラの発生を十分に抑制することができない場合がある。樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(粘土鉱物)
第1インクは、スメクタイト族の粘土鉱物を含有する。スメクタイト族の粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スティブンサイト、バイデライト、ソーコナイトなどが挙げられる。
スメクタイト族の粘土鉱物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.2質量%以上0.8質量%以下であることが好ましい。スメクタイト族の粘土鉱物の含有量が0.2質量%未満であると、スメクタイト族の粘土鉱物が少なすぎて、粘度に与える影響としては界面活性剤などの添加剤の種類や量のほうが支配的となりやすく、粘度特性の変動を十分に抑制できない場合がある。その結果、画像のムラの発生を十分に抑制できない場合がある。一方で、スメクタイト族の粘土鉱物の含有量が0.8質量%超であると、粘度特性が極端になりがちでpHよりもインク中の水分の蒸発などの影響を非常に受けやすいため、粘度特性の変動を十分に抑制できない場合がある。その結果、画像のムラの発生を十分に抑制できない場合がある。
(水溶性有機溶剤)
第1インクは、水溶性有機溶剤として炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物を含有する。上記の化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2,6-ヘキサントリオールなどが挙げられる。なかでも、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオールが好ましい。つまり、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,2-ブタンジオールの少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの化合物は、低分子量で小さい化合物であるため、酸化チタン粒子の表面に吸着した粘土鉱物との隙間により入り込みやすく、粘度特性を効率良く維持することができる点で、好ましい。
炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物の含有量(質量%)は、酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.20倍以上2.00倍以下であることが好ましい。前記質量比率が1.20倍未満であると、上記の化合物の含有量が少なすぎて、酸化チタン粒子の正電荷を帯びる部分に対して十分に作用することができず、粘度特性の変動を十分に抑制できない場合がある。その結果、画像のムラの発生を十分に抑制できない場合がある。前記質量比率が2.00倍超であると、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物の含有量が多すぎて、粘度の上昇を引き起こし、結果として粘度特性の変動を十分に抑制できない場合がある。その結果、画像のムラの発生を十分に抑制できない場合がある。
(水性媒体)
第1インクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。第1インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。第1インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
上記の水溶性有機溶剤以外にも、その他の水溶性有機溶剤をインクに含有させることができる。その他の水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、その他のアルコール類、その他のアルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。第1インク中の上記の水溶性有機溶剤の含有量を含めた合計含有量(質量%、以下水溶性有機溶剤の合計含有量とも記載する)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なかでも、10.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)が3.0質量%未満であると、インクジェット記録装置内で第1インクが固着してしまい、耐固着性が十分に得られない場合がある。水溶性有機溶剤の合計含有量(質量%)が50.0質量%超であると、第1インクの粘度が高くなりすぎて流動性が低下し第1インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
第1インクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、分散安定剤、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、第1インクは上記の界面活性剤を含有することが好ましい。第1インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、第1インクの各種物性の調整に用いるため、酸化チタン粒子との親和性が低いノニオン性界面活性剤が好ましい。また、上記の界面活性剤を分散安定剤として利用することもできる。分散安定剤としては、例えば、前述した酸価の範囲外の樹脂や、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどの無機化合物を用いることができる。
(第1インクの物性)
第1インクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃における第1インクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。第1インクの表面張力は、インク中の粘土鉱物及び界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃における第1インクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。第1インクの粘度はE型回転粘度計などで測定することができる。25℃における第1インクのpHは、6.0以上11.0以下であることが好ましく、6.0以上9.0以下であることがさらに好ましい。第1インクのpHは、ガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
(第2インク)
第2インクは、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する。そのため、第2インクは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を呈するインク(カラーインク)である。以下、第2インクに用いる各成分について詳細に説明する。
(色材)
第2インクは、酸化チタン粒子以外の色材を含有する。酸化チタン粒子以外の色材の種類としては、顔料及び染料が挙げられる。なかでも、顔料であることが好ましい(以下、白と区別するため、「カラー顔料」や、単に「顔料」とも記す)。第2インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料が挙げられる。なかでも、カーボンブラック、有機顔料を用いることが好ましい。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを挙げることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを挙げることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(-R-)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(-R-)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
(樹脂分散剤)
第2インクは、顔料を分散させるための樹脂(樹脂分散剤)を含有させることができる。この場合、第2インクの色材は、樹脂分散顔料である。樹脂分散剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂が好ましい。第2インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させ得るものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、水溶性樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、多糖類、ポリペプチド類などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
樹脂分散剤として用いる樹脂の酸価は、120mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂分散剤の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(水性媒体)
第2インクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。第2インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。第2インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。第2インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が3.0質量%未満であると、インクジェット記録装置内でインクが固着してしまい、耐固着性が十分に得られない場合がある。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が50.0質量%超であると、インクの粘度が高くなりすぎて流動性が低下しインクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
第2インクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、その他の樹脂、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、第2インクは界面活性剤を含有することが好ましい。第2インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、インクの各種物性の調整に用いるため、顔料との親和性が低いノニオン性界面活性剤が好ましい。第2インクには、樹脂分散剤以外にその他の樹脂を添加してもよい。第2インク中のその他の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(第2インクの物性)
第2インクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃における第2インクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。第2インクの表面張力は、第2インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃における第2インクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃における第2インクのpHは、6.0以上9.0以下であることが好ましい。第2インクのpHは、ガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。また、酸化チタン粒子の分散液、及びカラー顔料の分散液を、それぞれ「白顔料分散液」、及び「カラー顔料分散液」と記載する。
<酸化チタン粒子の準備>
第1インクの色材として、市販の酸化チタン粒子を準備した。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「Nanotrac WaveII-EX150」、マイクロトラック・ベル製)を使用して測定した。
(酸化チタン粒子1~3)
酸化チタンの表面処理を湿式法により行い、酸化チタン粒子1~3を製造した。湿式法による表面処理は、未処理の酸化チタンに、表面処理剤(アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなど)を接触させるもので、表面処理剤の使用量や比率を適宜調整することで、任意の比率に表面処理を施した。
具体的には、表面処理が施されていない、ルチル型の酸化チタン(商品名「TITANIX JR」、テイカ製)300部、及び、純水700部をホモジナイザーで混合した。そして、撹拌しながら90℃に昇温し、水酸化カリウム(pH調整剤)を添加して、pHを10.5に調整した。次に、ケイ酸ナトリウムを添加して、希硫酸(pH調整剤)を約1時間かけて添加することで、pHを5.0に調整した。約1時間反応を継続させた。その後、90℃で、アルミン酸ナトリウムを少量ずつ添加した。この際、pHを維持するために、希硫酸を併用してpHを6.0以上8.0以下に維持した。アルミン酸ナトリウムの添加後、約1時間反応を継続し、分散液を得た。前記分散液を25℃まで冷却した後、遠心分離機による沈降と、イオン交換水への再分散を繰り返すことで精製し、120℃で乾燥させることで、アルミナ及びシリカの少なくとも一方で表面処理が施された各酸化チタン粒子を得た。酸化チタン粒子1及び2は、アルミナ及びシリカで表面処理を施し、前者はアルミナを、後者はシリカを多く被覆した。酸化チタン粒子3は、シリカのみで表面処理を施した。
(酸化チタン粒子4)
市販のルチル型酸化チタン粒子(商品名「TITANIX JR-405」、テイカ製、アルミナで表面処理が施されているもの)を、酸化チタン粒子2として用いた。酸化チタン粒子4のD50は、210nmであった。
(酸化チタン粒子5)
市販のルチル型酸化チタン粒子(商品名「TITANIX JR」、テイカ製、表面処理が施されていないもの)を、酸化チタン粒子5として用いた。酸化チタン粒子5のD50は、270nmであった。
<樹脂の分析>
(重量平均分子量)
樹脂分散剤として用いる樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値として測定した。具体的には、温度25℃で24時間かけて、樹脂を溶媒(テトラヒドロフラン)に溶解した。得られた溶液を、メンブレンフィルターでろ過して、サンプル溶液を得た。サンプル溶液は、溶媒に可溶な成分の濃度が約0.3%となるように調整した。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で樹脂の重量平均分子量を測定した。
・装置:分子量測定装置(商品名「Acquity Advanced Polymer Chromatography」、Waters製)
・カラム:「Shodex Column GPC KF-806M,8×300mm」(商品名、昭和電工製)を直列に接続したもの(4連)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
・試料注入量:0.100mL
・オーブン温度:40℃
・検出器:RI検出器(商品名「Waters 2414 Refractive Index Detector」、Waters製)
重量平均分子量の算出に当たっては、標準ポリスチレン試薬を用いて作成した分子量構成曲線を利用した。利用した試薬は、PS-1、及びPS-2である(以上、商品名、Polymer Laboratories製)。
(酸価)
樹脂の酸価は、JIS K-0070に基づき、滴定法により測定した。0.5~2.0gの樹脂を精秤し、これを測定対象の試料とした。50.0mLのビーカーに試料を入れ、テトラヒドロフラン及びエタノール(体積比=2:1)の混合液25.0mLを加え、試料を溶解させた。滴定液として0.1mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用い、電位差滴定により滴定し、滴定液の使用量をS(mL)とした。また、試料を含まないブランクについても同様に滴定し、水酸化カリウムのエタノール溶液の使用量をB(mL)とした。測定装置としては、電位差自動滴定装置(商品名「AT-510」、京都電子工業製)を用いた。得られたS及びBから、次式により酸価を計算した。fは水酸化カリウムのエタノール溶液のファクター(力価)であり、M(g)は試料の精秤値である。
酸価[mgKOH/g]=(S-B)×f×5.61/M
<樹脂の合成>
表1に記載の各モノマー(単位:部)、重合開始剤(商品名「パーブチルО」、日油製)(単位:部)、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)200.0部を用いて、常法により各樹脂を合成した。各樹脂10.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和するとともに、適量のイオン交換水を加え、樹脂の含有量が10.0%である各樹脂を含む液体を調製した。樹脂1~10は、アニオン性樹脂である。表1中の各モノマーの略記号は、それぞれ、AA:アクリル酸、nBA:n-ブチルアクリレート、St:スチレンを表す。
Figure 2023148521000001
<顔料分散液の調製>
表2及び表3に示す各成分(単位:%)の混合物について、ホモジナイザーを用いて予備分散を行った。表3中、DISPERBYK-199(商品名)は、ビックケミージャパン製の顔料親和性基を有する共重合体(樹脂の含有量:40.0%)である。この混合物を、0.5mmのジルコニアビーズを充填したペイントシェーカーに入れ、25℃で本分散を12時間行った。ジルコニアビーズをろ過により除去した後、必要に応じてイオン交換水を適量加え、各顔料分散液を調製した。表2及び表3に各顔料分散液の特性をまとめて示す。
Figure 2023148521000002
Figure 2023148521000003
<第1インク及び第2インクの調製>
表4、表5、及び表6の上段(単位:%)に示す各成分を混合し、撹拌した。表4及び表5中、「特定の化合物の含有量B(%)」は、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物の含有量のことである。表6中、pH調整剤を含むイオン交換水は、各インクのpHが表6の下段に記載の値になるようにpH調整剤を加えたイオン交換水である。pH調整剤としては、水酸化カリウム又は酢酸水溶液を用いた。また、インクのpHは、pHメータ(商品名「ポータブル型pHメータD-74」、堀場製作所製)を用いて測定した。その後、ポアサイズ5.0μmのメンブレンフィルタ(ザルトリウス製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
表4~6中、商品名で記載したものの詳細は以下の通りである。
・クニピアF(商品名):クニミネ工業製のモンモリロナイト(スメクタイト族の粘土鉱物)
・スメクトンSWN(商品名):クニミネ工業製のヘクトライト(スメクタイト族の粘土鉱物)
・LAPONITE-RD(商品名):ビックケミージャパン製のヘクトライト
・ビニブラン2685(商品名):日信化学工業製のアクリルエマルジョン(アクリル樹脂粒子の含有量:30%)
・アセチレノールE60(商品名):川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤
Figure 2023148521000004
Figure 2023148521000005
Figure 2023148521000006
<評価>
上記で得られた各インクを用いて、以下の各項目の評価を行った。本発明においては、以下の各項目の評価基準で「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表7に示す。
(第1インクの粘度特性)
第1インクの粘度特性(粘度のpH依存性)を以下のようにして評価した。表4及び5に示す組成のインクにさらにpH調整剤(水酸化カリウム又は酢酸水溶液)を添加して、pHを6.5、及び8.5に調整したインクをそれぞれ調製した。これらのインクについて、市販のレオメータ(商品名「AR-G2」、TAインスツルメント製)で、せん断速度1rpmにおける粘度を測定した。使用したジオメトリの直径は、60mmであった。異なるpHでの粘度の差を算出し、以下の評価基準にしたがって、第1インクの粘度特性を評価した。Rの絶対値が小さいほど、pHによらず安定な粘度特性が維持されたインクであることを意味する。
R={(pH8.5における粘度の測定値)/(pH6.5における粘度の測定値)}-1
A:Rの絶対値が、0.05以下であった。
B:Rの絶対値が、0.05を超えて、0.10以下であった。
C:Rの絶対値が、0.10を超えていた。
(画像のムラ)
上記で調製した各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS PRO 10-S」、キヤノン製)にセットした。記録媒体として透明のポリエチレンテレフタラートのシート(商品名「LL透明吸着フィルム(LLRPCF1372)」、桜井製)を用い、第1インク(白インク)でベタ画像を付与した。その後、第2インクとして用意した4色のインクを第1インクが付与された領域にそれぞれ付与した。第1インクは1/600インチ×1/600インチの単位領域に50ng付与し、第2インクは各色それぞれ10ng付与した。その後、120℃のオーブンで10分乾燥し、評価用の画像を作成した。以下の評価基準にしたがって、画像のムラを目視、及び顕微鏡にて評価した。
AA:顕微鏡でみてもムラが確認されなかった。
A:目視ではムラは確認されなかったが、顕微鏡でみるとムラが確認された。
B:目視で一部の色でムラが確認された。
C:目視で全体にムラが確認された。
Figure 2023148521000007
比較例12のインクにおいては、第1インク中の酸化チタン粒子が凝集してしまった。そのため、各評価を行わず、評価結果の欄に「-」と記載した。

Claims (7)

  1. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び前記第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する工程を有し、
    前記第1インクが、酸化チタン粒子、樹脂、スメクタイト族の粘土鉱物、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであり、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカの少なくとも一方で被覆された酸化チタンであり、
    前記樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上280mgKOH/gであり、
    前記水溶性有機溶剤が、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物を含み、
    前記第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記樹脂の重量平均分子量が、4,000以上20,000以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物が、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第1インク中の前記樹脂の含有量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.02倍以上0.12倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第1インク中の前記炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物の含有量(質量%)が、前記酸化チタン粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.20倍以上2.00倍以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第1インク中の前記スメクタイト族の粘土鉱物の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.2質量%以上0.8質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    第1インクを前記記録媒体に付与する手段、及び前記第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する手段を備え、
    前記第1インクが、酸化チタン粒子、樹脂、スメクタイト族の粘土鉱物、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであり、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナ及びシリカの少なくとも一方で被覆された酸化チタンであり、
    前記樹脂の酸価が、120mgKOH/g以上280mgKOH/gであり、
    前記水溶性有機溶剤が、炭化水素鎖の互いに隣り合う2つ以上の炭素原子のそれぞれにヒドロキシ基が置換した化合物を含み、
    前記第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する水性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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