JP2023148523A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Yoshiyuki Kaneko
佳久 山下
Yoshihisa Yamashita
淳一 酒井
Junichi Sakai
和彦 荒木
Kazuhiko Araki
翔一 竹田
Shoichi Takeda
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【課題】 白インクの保存安定性を確保しながら、反応液を用いることなく、白インク及びカラーインクを用いて、画像のにじみが抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法などの提供。【解決手段】 第1インク及び第2インクを用いて画像を記録するインクジェット記録方法である。第1インクが、表面の少なくとも一部がアルミナで被覆された酸化チタン粒子、エチレンオキサイド基、及びアニオン性基を有する酸化チタン粒子の分散剤、及び反応剤を含有し、第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、広告や展示物用の記録媒体として、紙や樹脂フィルムなどを用いて出力する際に、インクジェット記録装置が広く利用されるようになってきた。例えば、透明な記録媒体においても鮮明なカラー画像を表現するために、ブラックや基本色のインク(以下、これらをまとめてカラーインクと記載することがある)に加えて、白インクが併用される。具体的には、透明な記録媒体の画像を記録する領域を含む箇所に前もって白インクを付与して下地処理を行い、その上からカラーインクを付与する、又はその逆順で各インクを付与する(いわゆるバックプリント)記録方法が用いられている。
白インクの色材としては、低コストであるとともに、白さや隠ぺい性など白インクとして必要とされる特性に優れるため、酸化チタンが広く用いられている。樹脂フィルムなど液媒体の吸収性の小さい記録媒体に白インクとカラーインクを組み合わせて画像を記録するためには、先に付与したインクが十分に乾燥してから、もう一方のインクを付与する必要がある。先に付与したインクが十分に乾燥していない状態で、もう一方のインクを付与する場合には、各インクが混合して、画像が濁ってしまいやすい。その結果、画像のにじみが発生してしまう。インク間の混合を抑制するため、色材を凝集させるための反応液を用いることが提案されている(特許文献1参照)。また、自己分散顔料のインクに多価金属を共存させることが提案されている(特許文献2参照)。
国際公開2018/144181号公報 特開2017-214506号公報
特許文献1では、反応液を記録媒体に付与するための機構が必要となり、装置の大型化につながる。また、反応液を用いることで、他の画像品位に影響を与えることが考えられる。さらに、特許文献2のように、一方のインクに多価金属を共存させても、画像のにじみを十分に抑制することはできなかった。
したがって、本発明の目的は、白インクの保存安定性を確保しながら、反応液を用いることなく、白インク及びカラーインクを用いて、画像のにじみが抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び前記第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する工程を有し、前記第1インクが、酸化チタン粒子、前記酸化チタン粒子の分散剤、及び反応剤を含有する水性インクであり、前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナで被覆された酸化チタンであり、前記分散剤が、エチレンオキサイド基、及びアニオン性基を有する化合物であり、前記第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する水性インクであることを特徴とする。
本発明によれば、白インクの保存安定性を維持しながら、反応液を用いることなく、白インク及びカラーインクを用いて、画像のにじみが抑制された画像を記録することができるインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。酸化チタンや酸化チタン粒子のことを、単に「顔料」と記載することがある。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
酸化チタンは、水性インク中の水性媒体を構成する水分子と反応して、その表面にヒドロキシ基(以下、「表面ヒドロキシ基」と記載することがある)を生ずる。インクジェット用の水性インクにおいては、生成した表面ヒドロキシ基を活用してインクの保存安定性を向上させるために、アルミナやシリカなどの無機酸化物で表面処理が施された酸化チタン(酸化チタン粒子)として利用されることが一般的である。酸化チタン粒子の表面ヒドロキシ基は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物に固有の性質を持ち、無機化合物の種類によって酸としての強さの指標である等電点がそれぞれ異なる。したがって、酸化チタンはそれそのものも無機酸化物ではあるが、酸化チタン粒子の表面は、表面処理に用いた無機化合物に対応した無機酸化物の性質を示し、酸化チタン粒子の表面電荷は、水性媒体のpH、表面処理剤の種類、表面処理剤の使用量に強く依存する。
本発明者らは、画像のにじみを抑制できる画像を記録することについて検討を行った。先述の通り、白インクとカラーインクの画像は、一方のインクを付与してからもう一方のインクを付与して記録する。先に付与したインク層が十分な物理的強度を持たないうちに次のインクを付与すると、インク同士の混合が起こる。その結果、画像のにじみが発生してしまう。そこで、本発明者らは、白インクに、他方のインクと反応するための反応剤を含有させることで、反応液を用いることなく、上記の効果が得られると考えた。しかし、白インクに反応剤を含有させるためには、インク中で酸化チタン粒子が凝集しないようにする、つまり白インクの保存安定性を向上させる必要があることがわかった。
そこで、本発明者らは、白インクに含有させる成分によって、保存安定性を向上させることについて検討した。酸化チタンは、表面ヒドロキシ基による静電反発によってある程度の分散安定性を有しているが、長期にわたって安定に分散した状態を保つことは困難である。そこで、適切な酸化チタン粒子の表面状態、及び適切な分散剤を用いることが必要であると考えた。その結果、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部をアルミナで処理して、特定の分散剤を用いることで、保存安定性を向上できるという知見を得た。
すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、酸化チタン粒子、前記酸化チタン粒子の分散剤、及び反応剤を含有する第1インクと、酸化チタン粒子以外の色材を含有する第2インクを用いる。第1インクの酸化チタン粒子は、その表面の少なくとも一部がアルミナで被覆された酸化チタンである。分散剤は、前記酸化チタン粒子を分散させるための分散剤であり、エチレンオキサイド基、及びアニオン性基を含有する化合物である。そして、上記の第1インク及び第2インクを記録媒体において重なるように付与して画像を記録する。上記の構成によって、第1インクの保存安定性を確保しながら、画像のにじみを抑制した画像を記録することができるメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。
第1インク中の酸化チタン粒子は、その表面の少なくとも一部がアルミナで被覆されている。インクジェット用の水性インクの一般的な液性であるアルカリ性の条件においては、酸化チタン粒子の表面のアルミナは表面ヒドロキシ基を形成する。アルミナ由来の表面ヒドロキシ基は正電荷を帯びやすい。そのため、分散剤のアニオン性基との吸着部位として機能することができる。エチレンオキサイド基は、親水性を有するため、水性媒体内で適度に伸長して、立体障害による反発力を示す。そのため、酸化チタン粒子同士の接近を抑制できる。また、エチレンオキサイド基は電荷を持たないため、正電荷及び負電荷どちらに対しても反応性を持たない。そのため、エチレンオキサイド基及びアニオン性基を含有する化合物は、酸化チタン粒子を分散させるための分散剤としての作用を持つ。かかる分散剤を用いることで、第1インクの保存安定性を向上することができる。
第1インク中では、上記の分散剤を用いて酸化チタン粒子が分散されているため、酸化チタン粒子の分散状態を安定に維持することができる。このため、第2インクと反応させるための反応剤を第1インクに含有させても、酸化チタン粒子の分散状態が反応剤による影響を受けにくく、第1インクの保存安定性を確保することができる。
エチレンオキサイド基を含有しない化合物を分散剤として用いても、立体障害による反発力が生じないため、第1インクの保存安定性が得られない。また、アニオン性基を含有しない化合物を分散剤として用いても、酸化チタン粒子との吸着部位を有しないため、酸化チタン粒子を分散させることができない。そのため、第1インクの保存安定性が得られない。
第2インクは、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する。第2インクを、第1インクと重ねて記録媒体に付与することで、第1インクの反応剤の作用により、第2インクの色材が急速に凝集し、第1インク及び第2インクの混合を抑制することができる。その結果、にじみが抑制された画像が記録される。
[インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置]
本発明のインクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」とも記す。)は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。本発明の記録方法は、第1インクを記録媒体に付与する工程、及び第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを記録媒体に付与する工程を有する。
また、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」とも記す)は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するために用いる装置である。本発明の記録装置は、第1インクを記録媒体に付与する手段、及び第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを記録媒体に付与する手段を備える。
どちらのインクを先に記録媒体に付与してもよい。必要に応じて、記録された画像を加熱してもよい。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
記録媒体の単位領域へのインクの付与を、記録ヘッドと記録媒体との複数回の相対走査に分けて行うマルチパス記録が好ましい。特に、単位領域への第1インクの付与及び第2インクの付与を、それぞれ異なる相対走査で行うことが好ましい。これにより、各インクが接触するまでの時間が長くなり、混合が抑制されやすくなるため、結果として画像のにじみが抑制しやすくなる。
<第1インク>
本発明の記録方法で用いる第1インクは、酸化チタン粒子、酸化チタン粒子の分散剤、及び反応剤を含有するインクである。以下、第1インクに用いる各成分について詳細に説明する。
(色材)
第1インクは色材(顔料)として、アルミナによって酸化チタンに表面処理が施された酸化チタン粒子を含有する。酸化チタン粒子は白色顔料であるため、第1インクは白インクである。第1インク中の酸化チタン粒子の含有量(質量%)は、第1インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
酸化チタンは、白色顔料であり、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3つの結晶形が存在する。なかでも、ルチル型の酸化チタンが好ましい。酸化チタンの工業的製造方法としては、硫酸法及び塩素法が挙げられ、本発明で用いる酸化チタンはいずれの製造方法によるものであってもよい。
酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(以下、平均粒子径とも表す。)は、200nm以上500nm以下であることが好ましく、200nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として、小粒子径側から積算して50%となる粒子の直径である。酸化チタン粒子のD50は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59、の条件で測定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計を使用することができる。勿論、測定条件などは上記に限られない。
酸化チタンは、アルミナで表面処理が施されているものを用いる。酸化チタンは、さらに、シリカで表面処理が施されていてもよい。本明細書において、「アルミナ」は、酸化アルミニウムのようなアルミニウムの酸化物の総称である。また、本明細書において、「シリカ」は、二酸化ケイ素のようなケイ素の酸化物の総称である。酸化チタンを被覆するアルミナ及びシリカの大部分は、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素の形態で存在している。
酸化チタンの表面処理方法としては、湿式処理、乾式処理などが挙げられる。例えば、酸化チタンを液媒体に分散させた後、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなどの表面処理剤と反応させて表面処理を行うことができ、これら表面処理剤の比率を適宜変更することによって所望の特性に調整することもできる。表面処理には、本発明の効果が損なわれない限り、アルミナ及びシリカ以外にも、亜鉛やジルコニウムなどの無機化合物の酸化物や、ポリオールなどの有機物を利用することができる。
(酸化チタン粒子の分散剤)
第1インクは、酸化チタン粒子の分散剤として、エチレンオキサイド基とアニオン性基を有する化合物を含有する。第1インク中の分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
酸化チタン粒子の分散剤としては、樹脂を用いることができる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂が好ましい。アニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基などが挙げられ、なかでも、カルボン酸基が好ましい。上記の官能基を有する市販の樹脂をそのまま用いてもよいし、市販の界面活性剤と樹脂を反応させて合成してもよい。例えば、エチレンオキサイド基を有する反応性界面活性剤と、アニオン性基を有する樹脂の反応性を有する部位とを反応させて上記の官能基を有する樹脂を合成することができる。勿論、逆の組み合わせでもよい。樹脂を合成する場合、アニオン性基は、例えば、無水マレイン酸を含む樹脂の開環反応により、形成されてもよい。
分散剤として用いる、エチレンオキサイド基及びアニオン性基を有する化合物は、7個以上20個以下のエチレンオキサイド基を有する、つまりエチレンオキサイド基の個数は、7個以上20個以下であることが好ましい。エチレンオキサイド基の個数が7個未満であると、エチレンオキサイド基による立体反発が弱くなりすぎて、酸化チタン粒子及び反応剤の距離を十分に保ちにくい。その結果、酸化チタン粒子の凝集を十分に抑制できず、第1インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。さらに、酸化チタン粒子の凝集に反応剤が消費されるため、第2インクと反応するための反応剤が不足してしまい、画像のにじみを十分に抑制できない場合がある。一方、エチレンオキサイド基の個数が20個超であると、エチレンオキサイド基は水性媒体で自由に伸縮できるため、反応剤が巻き込まれて、結果として反応剤と第2インクの色材との接近が阻害される可能性がある。その結果、画像のにじみを十分に抑制できない場合がある。
分散剤の酸価は、80mgKOH/g以下であることが好ましい。分散剤の酸価が80mgKOH/g超であると、酸化チタン粒子に吸着する以上のアニオン性基が存在することになる。そのため、反応剤との反応性が高まり、酸化チタン粒子の凝集を十分に抑制できない、つまり第1インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。分散剤の酸価は、20mgKOH/g以上であることが好ましい。
(反応剤)
第1インクは、反応剤を含有する。反応剤は、第2インクと接触することで、第2インクと反応し、インク中の成分(樹脂、自己分散顔料などのアニオン性基を有する成分)を凝集させることができる化合物である。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分;有機酸などを挙げることができる。上記の化合物を第1インクに含有させることで、第2インクと接触した際に、第2インク中の成分を凝集させて、画像のにじみを抑制することができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオンを挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2-、CO 2-、HCO 、PO 3-、HPO 2-、及びHPO などの無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO、及びCHSO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、第1インク中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する第1インクは、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0~5.0)に緩衝能を有することによって、第2インク中に存在する成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩などを挙げることができる。第1インク中の有機酸の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1~3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂を挙げることができる。第1インク中での溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、第1インク中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
(水性媒体)
第1インクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。第1インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。第1インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、一価又は多価のアルコール類、アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が3.0質量%未満であると、インクジェット記録装置内でインクが固着してしまい、耐固着性が十分に得られない場合がある。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が50.0質量%超であると、インクの粘度が高くなりすぎて流動性が低下し、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
第1インクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、その他の樹脂、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、第1インクは界面活性剤を含有することが好ましい。第1インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、第1インクの各種物性の調整に用いるため、酸化チタン粒子との親和性が低く、少量で効果をもたらすノニオン性界面活性剤が好ましい。その他の樹脂を用いる場合、イオン性基を有する樹脂は、反応剤と反応し得るため、インクに含有させる場合にはその含有量を少量(例えば、0.1質量%以下)とすることが好ましい。
(第1インクの物性)
第1インクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃における第1インクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。第1インクの表面張力は、インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃における第1インクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃における第1インクのpHは、6.0以上11.0以下であることが好ましく、6.0以上9.0以下であることがさらに好ましい。第1インクのpHは、ガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
<第2インク>
第2インクは、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する。そのため、第2インクは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を呈するインク(カラーインク)である。以下、第2インクに用いる各成分について詳細に説明する。
(色材)
第2インクは、酸化チタン粒子以外の色材を含有する。酸化チタン粒子以外の色材の種類としては、顔料及び染料が挙げられる。なかでも、顔料であることが好ましい(以下、白と区別するため、「カラー顔料」や、単に「顔料」とも記す)。第2インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料が挙げられる。なかでも、カーボンブラック、有機顔料を用いることが好ましい。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを挙げることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを挙げることができる。なかでも、樹脂結合型顔料やマイクロカプセル顔料ではなく、分散剤としての樹脂を顔料の粒子表面に物理吸着させた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、顔料の粒子表面に直接又は他の原子団(-R-)を介して結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合において、カウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、有機アンモニウムなどを挙げることができる。他の原子団(-R-)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
(樹脂分散剤)
第2インクは、顔料を分散させるための樹脂(樹脂分散剤)を含有してもよい。この場合、第2インクの色材は、樹脂分散顔料である。樹脂分散剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂などが挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂が好ましい。第2インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂分散剤としては、第1インクの反応剤と反応させるために、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させ得るものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、水溶性樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、多糖類、ポリペプチド類などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニットで構成されるアクリル系樹脂がさらに好ましい。
樹脂分散剤として用いる樹脂の酸価は、120mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の酸価が120mgKOH/g未満であると、樹脂のアニオン性基が少なすぎて、第1インクの反応剤と反応しても、大きい顔料の凝集物が形成しづらい。その結果、インクの混合が抑制できず、画像のにじみを十分に抑制できない場合がある。樹脂の酸価が280mgKOH/g超であると、第1インクの反応剤との反応した後にもイオン性を保つアニオン性基が残るため、顔料が十分に凝集しない場合がある。その結果、画像のにじみを十分に抑制できない場合がある。樹脂分散剤の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂分散剤の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
(水性媒体)
第2インクは、水性媒体として水を含有する水性のインクである。第2インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。第2インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性(好ましくは、25℃において水に任意の割合で溶解するもの)であれば特に制限はない。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性化合物類、含硫黄極性化合物類などを用いることができる。第2インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が3.0質量%未満であると、インクジェット記録装置内でインクが固着してしまい、耐固着性が十分に得られない場合がある。水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が50.0質量%超であると、インクの粘度が高くなりすぎて流動性が低下し、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
第2インクには、上記の添加剤以外に、必要に応じて、その他の樹脂、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させることができる。なかでも、第2インクは界面活性剤を含有することが好ましい。第2インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、インクの各種物性の調整に用いるため、酸化チタン粒子との親和性が低く、少量で効果をもたらすノニオン性界面活性剤が好ましい。第2インクには、樹脂分散剤以外にその他の樹脂を添加してもよい。第2インク中のその他の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(第2インクの物性)
第2インクは、インクジェット方式に適用するインクであるので、その物性を適切に制御することが好ましい。25℃における第2インクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。第2インクの表面張力は、第2インク中の界面活性剤の種類や含有量を適宜決定することで、調整できる。また、25℃における第2インクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましい。25℃における第2インクのpHは、6.0以上9.0以下であることが好ましい。第2インクのpHは、ガラス電極などを搭載した一般的なpHメータで測定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。また、酸化チタン粒子の分散液、及びカラー顔料の分散液を、それぞれ「白顔料分散液」、及び「カラー顔料分散液」と記載する。
<酸化チタン粒子の準備>
第1インクの色材として、市販の酸化チタン粒子を準備した。酸化チタン粒子の体積基準の累積50%粒子径(D50)は、顔料の粒子径は、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「Nanotrac WaveII-EX150」、マイクロトラック・ベル製)を使用して測定した。
(酸化チタン粒子1)
市販のルチル型酸化チタン粒子(商品名「TITANIX JR-403」、テイカ製、アルミナ及びシリカで表面処理が施されているもの)を、酸化チタン粒子1として用いた。酸化チタン粒子1のD50は、250nmであった。
(酸化チタン粒子2)
市販のルチル型酸化チタン粒子(商品名「TITANIX JR-600A」、テイカ製、アルミナで表面処理が施されているもの)を、酸化チタン粒子2として用いた。酸化チタン粒子2のD50は、250nmであった。
(酸化チタン粒子3)
市販のルチル型酸化チタン粒子(商品名「TITANIX JR」、テイカ製、表面処理が施されていないもの)を、酸化チタン粒子3として用いた。酸化チタン粒子3のD50は、270nmであった。
<樹脂の分析:酸価>
樹脂の酸価は、JIS K-0070に基づき、滴定法により測定した。0.5~2.0gの樹脂を精秤し、これを測定対象の試料とした。50.0mLのビーカーに試料を入れ、テトラヒドロフラン及びエタノール(体積比=2:1)の混合液25.0mLを加え、試料を溶解させた。滴定液として0.1mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用い、電位差滴定により滴定し、滴定液の使用量をS(mL)とした。また、試料を含まないブランクについても同様に滴定し、水酸化カリウムのエタノール溶液の使用量をB(mL)とした。測定装置としては、電位差自動滴定装置(商品名「AT-510」、京都電子工業製)を用いた。得られたS及びBから、次式により酸価を計算した。fは水酸化カリウムのエタノール溶液のファクター(力価)であり、M(g)は試料の精秤値である。
酸価[mgKOH/g]=(S-B)×f×5.61/M
<酸化チタン粒子の分散剤の準備>
(分散剤1、2、4~10)
撹拌装置、還流冷却装置、及び温度計を備えたフラスコに、イソブチレン-無水マレイン酸の共重合体(商品名「イソバン600」、クラレ製)50.0部、及び表1に示す種類のポリオキシエチレンアルキルエーテル45.3部を入れた。そして、撹拌下、160℃で所定の時間反応させた。酸価は反応時間により調整した。その後、適宜イオン交換水を加えることで、分散剤の含有量が10.0%の各分散剤を含む液体を得た。表1中、ブラウノン:EL-1515、EL-1505P、SR-720、SR-730(商品名)は、青木油脂工業製の界面活性剤である。
(分散剤3)
市販のエチレンオキサイド基及びアニオン性基を有する樹脂分散剤(商品名「フローレンG700」、共栄社化学製、酸価:60mgKOH/g)を分散剤3として用いた。適宜イオン交換水を添加することで、樹脂の含有量が10.0%の分散剤1を含む液体として用いた。
(分散剤11)
市販のノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンセチルエーテル、エチレンオキサイド基の付加モル数20、HLB値15.7、酸価0mgKOH/g、商品名「NIKKOL BC-20」、日光ケミカルズ製)を分散剤11として用いた。適宜イオン交換水を加えることで、界面活性剤の含有量が10.0%の分散剤11を含む液体として用いた。
Figure 2023148523000001
<樹脂分散剤の準備>
(樹脂分散剤1~5)
表2に記載の各モノマー(単位:部)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)200.0部、及び重合開始剤(商品名「パーブチルО」、日油製)を用いて、常法により各樹脂分散剤を合成した。各樹脂分散剤10.0部を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和するとともに、適量のイオン交換水を加え、樹脂分散剤の含有量が10.0%である各樹脂分散剤を含む液体を調製した。樹脂分散剤1~5は、アニオン性樹脂である。表2中の各モノマーの略記号は、それぞれ、AA:アクリル酸、nBA:n-ブチルアクリレート、St:スチレンを表す。
Figure 2023148523000002
<顔料分散液の調製>
表3及び表4の上段に示す各成分(単位:%)の混合物について、ホモジナイザーを用いて予備分散を行った。この混合物を、0.5mmのジルコニアビーズを充填したペイントシェーカーに入れ、25℃で12時間本分散を行った。ジルコニアビーズをろ過により除去した後、必要に応じてイオン交換水を適量加え、各顔料分散液を調製した。表3及び表4の下段に各顔料分散液の特性を示す。
Figure 2023148523000003
Figure 2023148523000004
<第1インク及び第2インクの調製>
表5及び表6の上段(単位:%)に示す各成分を混合し、撹拌した。HCポリマー1S(M)(商品名)は、大阪有機化学工業製のカチオンポリマー(ポリマーの含有量:20.0%)である。ビニブラン2685(商品名)は、日信化学工業製のアクリルエマルジョン(アクリル樹脂粒子の含有量:30.0%)である。アセチレノールE60(商品名)は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。その後、ポアサイズ5.0μmのメンブレンフィルタ(ザルトリウス製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
Figure 2023148523000005
Figure 2023148523000006
<評価>
上記で得られた各インクを表7の左側に示す組み合わせで用いて、以下の各項目の評価を行った。本発明においては、以下の各項目の評価基準で「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表7に示す。
(第1インクの保存安定性)
調製した第1インク中の顔料(酸化チタン粒子)の平均粒子径を測定した(「保存前の粒子径」とする)。各インクを密閉容器に入れ、60℃で1日間保存した。インクを25℃に戻した後、顔料の平均粒子径を再び測定した(「保存後の粒子径」とする)。顔料の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「Nanotrac WaveII-EX150」、マイクロトラック・ベル製)を使用して測定した、体積基準の累積50%粒子径(D50)である。そして、下記の式に基づいて粒子径の変化率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、インクの保存安定性を評価した。
「粒子径の変化率」(%)=100×(「保存後の粒子径」-「保存前の粒子径」)/(「保存前の粒子径」)
A:粒子径の変化率が、5%以下であった。
B:粒子径の変化率が、5%を超えて10%以下であった。
C:粒子径の変化率が、10%を超えていた。
(画像のにじみ)
上記で調製した各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS PRO 10-S」、キヤノン製)にセットした。記録媒体として透明のポリエチレンテレフタラートのシート(商品名「LL透明吸着フィルム(LLRPCF1372)」、桜井製)を用い、第1インクでベタ画像を記録した。次に、第1インクの付与された領域の上に、第2インクを用いて3ドット分の幅を持つ細線を記録した。第2インク滴の1滴当たりの質量は、3.5ngである。その後、120℃のオーブンで10分乾燥し、評価用の画像を作成した。第1インクは1/600インチ×1/600インチの単位領域に50ng付与した。また、酸化チタン粒子をイオン交換水に置き換えた以外は第1インクと同様の組成のインクを用いて、上記の操作を行い、比較用の画像を作成した。
得られた評価用の画像の細線部分を、顕微鏡を用いて拡大して撮影し、細線の線幅の平均値(μm)を算出した。同様に、比較用の画像の細線の線幅の平均値(μm)を算出した。算出した各値から、比較用の画像との線幅の差(%)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、画像のにじみの評価を行った。線幅の差が小さいほど、第1インクと第2インクとの混合が抑制され、画像のにじみが抑制された画像が記録できることを意味する。比較例1及び比較例3では、酸化チタン粒子を安定に分散することができなかったため、画像のにじみの評価を行わなかった。表7中には「-」と記載した。
A:線幅の差が、5%以下であった。
B:線幅の差が、5%を超えて10%以下であった。
C:線幅の差が、10%を超えていた。
Figure 2023148523000007

Claims (5)

  1. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び前記第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する工程を有し、
    前記第1インクが、酸化チタン粒子、前記酸化チタン粒子の分散剤、及び反応剤を含有する水性インクであり、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナで被覆された酸化チタンであり、
    前記分散剤が、エチレンオキサイド基、及びアニオン性基を有する化合物であり、
    前記第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記分散剤が、7個以上20個以下のエチレンオキサイド基を有する化合物である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記分散剤の酸価が、80mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第2インクが、前記色材の樹脂分散剤を含有し、前記樹脂分散剤の酸価が、120mgKOH/g以上280mgKOH/gである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    第1インクを前記記録媒体に付与する手段、及び前記第1インクを付与する領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する手段を備え、
    前記第1インクが、酸化チタン粒子、前記酸化チタン粒子の分散剤、及び反応剤を含有する水性インクであり、
    前記酸化チタン粒子が、その表面の少なくとも一部がアルミナで被覆された酸化チタンであり、
    前記分散剤が、エチレンオキサイド基、及びアニオン性基を有する化合物であり、
    前記第2インクが、酸化チタン粒子とは異なる色材を含有する水性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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