JP2023138110A - 3-クロロフタリド類の製造方法 - Google Patents

3-クロロフタリド類の製造方法 Download PDF

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Yuzuka Tamura
正利 鎌田
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Abstract

【課題】HClの副生が無く設備コストが抑えられ尚且つ安全に、3-クロロフタリド及び/又は所定の酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造する3-クロロフタリド類の製造方法を提供する。
【解決手段】α,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレンとエステル化合物とを反応させて、3-クロロフタリド及び/又は前記エステル化合物に由来する酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造する3-クロロフタリド類の製造方法であって、
前記反応は、ルイス酸触媒存在下において温度70℃以上200℃未満で行われることを特徴とする3-クロロフタリド類の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、α,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレンとエステル化合物とを反応させて、3-クロロフタリド及び/又は前記エステル化合物に由来する酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造する3-クロロフタリド類の製造方法に関する。
3-クロロフタリド(3CP)は、医薬・農薬・高分子材料の合成中間体であるオルトホルミル安息香酸(OFBA)やフタル酸ジクロリド等の原料として有用な化合物である。
3CPの合成はいくつかの方法が知られている。例えば、o-トリル酸の塩素化で側鎖メチル基に塩素原子を導入すると同時に環化反応により合成する方法がある(特許文献1)。この方法では比較的安価な原料を用いているが、生成物は無置換のフタリドとの混合物となってしまう。同反応で収率良く3CPを得るには2-ジクロロメチル安息香酸エステルを加熱する方法があるが(非特許文献1)、前駆体の合成に煩雑な工程が必要となる。
また、安価なo-キシレンを原料とする方法も知られている。o-キシレンは光塩素化反応で側鎖が塩素化されるが、立体的な制約があり塩素原子は5つまでしか導入されない。この方法で得られる1-ジクロロメチル-2-トリクロロメチルベンゼン(α,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレンともいう)(OXCL5)については触媒の存在下で特定量の水を添加しながら100℃以上の温度で加水分解を行うことで、OXCL5から収率良く3CPに変換可能であることが知られている(特許文献2)
さらに、OXCL5の分解反応で有機カルボン酸を用いている例もある(特許文献3~4、非特許文献2)。
しかしながら、上記いずれの場合も反応で塩化水素(HCl)が発生し、排ガス処理が必要である。特にOXCL5の加水分解反応では4モル倍のHClが発生し、安全面から発生量のコントロールも必要となり、実用的な製造方法とは言えなかった。
特開昭54-30149号公報 特開昭52-122360号公報 特開昭53-121734号公報 特開昭47-29338号公報
Chemistry & Industry (London, United Kingdom) (1956), 1145. Chemiker-Zeitung (1979), 103(1), 9-17.
上記のように、OXCL5を原料として3CPを製造する方法は既に知られていたものの、いずれも多量のHClを副生するおそれがあって、工業的には利用し難い実情があった。
そこで、このような従来技術の存在の下、本願の発明者らが鋭意検討した結果、今回新たにHClを副生しないOXCL5の分解反応において、ルイス酸触媒の存在下で所定の温度で加熱したOXCL5と共に、所定のエステル化合物を添加することによって、3CPが効率よく生成され得ることを知見した。さらに着目するべきところ、このように添加したエステル化合物は塩素化されることにより、当該エステル化合物に由来するクロロ体(酸塩化物、塩素化炭化水素)が同時に生成され得ることを知見した。すなわち、このような本法を用いれば3CPと、原料のエステル化合物に由来する有用な酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素も同時に或いはいずれかを製造することが可能となり、工業的に非常に有利である。このような技術については、これまで報告されていなかった。
従って、本発明の目的は、従来技術のようなHClの副生が無く設備コストが抑えられ尚且つ安全に、3-クロロフタリド及び/又は所定の酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造する3-クロロフタリド類の製造方法を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)α,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレンとエステル化合物とを反応させて、3-クロロフタリド及び/又は前記エステル化合物に由来する酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造する3-クロロフタリド類の製造方法であって、
前記反応は、ルイス酸触媒存在下において温度70℃以上200℃未満で行われることを特徴とする3-クロロフタリド類の製造方法。
(2)前記エステル化合物が、炭素数1~20のエステル化合物であることを特徴とする(1)に記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
(3)前記反応は、前記ルイス酸触媒を失活させる化合物の非存在下で行われることを特徴とする(1)又は(2)に記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
(4)前記ルイス酸触媒は、第3周期から第5周期の少なくとも1種の金属ハロゲン化物及び金属酸化物からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
(5)塩化水素を発生させない反応であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
本発明の製造方法によれば、塩化水素を副生することなく設備コストが抑えられ尚且つ安全に、3-クロロフタリド及び/又は原料エステル化合物に由来する有用な酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造することができる。そのため、本発明の方法はアトムエコノミーが良く、これらの生成物を同時に製造することも可能となるため、製造コストを削減することができる。
図1は、実施例12の1時間後の分析結果(GCチャート)である。 図2は、図1のGCチャートのピークレポートである。
以下、本発明について詳しく説明する。
上記のとおり、本発明は、α,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレン(OXCL5)と、エステル化合物とを原料として反応させて、生成物として、3-クロロフタリド(3CP)若しくは前記エステル化合物に由来する化合物のいずれか又は両方を製造する方法に関するものである。前記エステル化合物に由来する化合物としては、その構造に由来する酸塩化物若しくは塩素化炭化水素又はその両方を指す。本発明においては、これら3CPと前記の酸塩化物と、前記の塩素化炭化水素とをまとめて「3-クロロフタリド類」と表記することとする。一般式は以下の反応式1のように示すことができる。
[反応式1]
ここで、反応式1中のR-C(=O)-Clは前記酸塩化物を表し、また、RClは前記塩素化炭化水素を表す。R、Rは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基を示す。RとRとが環状となっていてもよい。cat.はルイス酸触媒(後述)を示す。
すなわち、本発明の方法では、塩化水素の副生が無いため好ましい。なぜなら、通常、酸塩化物や塩素化炭化水素は対応するカルボン酸やアルコールを原料とした塩素置換反応で合成される。例えば、酸塩化物は、対応するカルボン酸を原料とし、塩素化剤として塩化チオニルや塩化オキサリル、ホスゲンなど毒性、危険性の高い試薬が用いられる。またベンゾトリクロリド類の加水分解やカルボン酸との交換反応は温和な条件下で進行するものの、大量の廃棄物を発生させる。塩素化炭化水素は、アルコールと塩化チオニルや塩化オキサリル、ホスゲンなどの塩素化剤で合成可能であり、またオレフィン化合物への塩化水素付加反応でも合成可能であるが、平衡反応であり大量の塩化水素が必要となる。これら反応は環境負荷が高く、好ましい方法とは言い難い。
なお、本明細書において、「塩化水素の副生(発生)が無い」ことについては、反応の際に不可避的に混入或いは含有される水分などによって発生する可能性がある、極微量の塩化水素は含まれないこととする。
さらには、OXCL5と共にエステル化合物を用いることにより、比較的温和な条件において、3CPだけでなく、エステル化合物のR、Rに由来するクロロ体(酸塩化物、塩素化炭化水素)も製造することができるため、アトムエコノミーが良い。しかも、用途などによって酸塩化物、塩素化炭化水素が有用である場合には当該方法を用いることが製造コストを削減する上でとくに有用であり、この点は本発明ならではの特徴である。
本発明において原料となるOXCL5は、公知の方法で入手または製造されるものを制限なく使用することができる。例えば、o-キシレンを光塩素化する方法などを好適に利用することができる。市販品を使用してもよい。
前記反応式1に示したとおり、本発明で使用するエステル化合物は、原料であるOXCL5に酸素原子を供与して3CP合成の反応剤の役割を有すると共に、それに由来するクロロ体(酸塩化物、塩素化炭化水素)を与えるため反応剤の役割も有するものである。このようなエステル化合物としては、公知のエステル化合物を適宜選択して使用することができ、脂肪族エステル、芳香族エステルのいずれでもよく、脂肪族エステルとしては鎖状であっても環状であっても、或いはその両方を含んでもよい。また、エステル化合物は水酸基を有しないことから、OXCL5に含まれる塩素原子はすべて3CP、酸塩化物及び/または塩素化炭化水素の生成で利用され、HClを発生させない点から、アトムエコノミーが良いため好ましい。
脂肪族鎖状エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸オクタデシル、酢酸tert-ブチル、吉草酸メチル等を挙げることができ、また、環状構造を含んでもよいものとしては、例えば、シクロペンタンカルボン酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル等が挙げられる。脂肪族環状エステルとしては例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、15-ペンタデカノラクトン等が挙げられる。芳香族エステルとしては、例えば、安息香酸メチル、安息香酸ブチル、安息香酸ビニル、4-メチル安息香酸メチル、安息香酸イソプロピルなどを挙げることができる。
例えば、前記脂肪族鎖状エステルに対応(由来)して生成する[酸塩化物・塩素化炭化水素]の組み合わせとしては、順に、[アセチルクロリド・クロロエタン]、[アセチルクロリド・1-クロロブタン]、[アセチルクロリド・1-クロロオクタデカン]、[アセチルクロリド・tert-ブチルクロリド]、[バレリルクロリド・クロロメタン]を挙げることができる。また、前記環状構造を含むエステルに対応(由来)して生成する[酸塩化物・塩素化炭化水素]の組み合わせとしては、順に、[シクロペンタンカルボニルクロリド・クロロメタン]、[シクロヘキサンカルボニルクロリド・クロロメタン]を挙げることができる。また、前記脂肪族環状エステルに対応(由来)して生成する化合物としては、前記R-C(=O)-Clのジクロロ体として得ることが可能であり、順に、4-クロロブチリルクロリド、4-メチル-4-クロロブチリルクロリド、6-クロロヘキサノイルクロリド、15-クロロペンタデカノイルクロリドを挙げることができる。さらに、前記芳香族エステルに対応(由来)して生成する[酸塩化物・塩素化炭化水素]の組み合わせとしては、順に、[ベンゾイルクロリド・クロロメタン]、[ベンゾイルクロリド・1-クロロブタン]、[ベンゾイルクロリド・ビニルクロリド]、[4-メチルベンゾイルクロリド・クロロメタン]、[ベンゾイルクロリド・イソプロピルクロリド]を挙げることができる。
これらの例示以外のエステル化合物についても同様に、その構造・置換基に対応(由来)する酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を生成することができる。
このなかでも、前記化学式1におけるR、Rがそれぞれ独立して、好ましくは炭素数が1~20、より好ましくは炭素数が1~18のエステル化合物が好ましい。その中でも、前記Rとして好ましくは炭素数が1~18の鎖状若しくは環状の脂肪族基であるか又は芳香族基であり、より好ましくは鎖状脂肪族基であることがよい。他方、前記Rとしては、好ましくは炭素数が1~20、より好ましくは炭素数が1~18の鎖状若しくは環状の脂肪族基であることがよい。中でも、より好ましくは環状エステルであることがよく、さらに好ましくは上記の例示を含むラクトン類であり、最も好ましくは炭素数が1~14のラクトンである。
また、前記エステル化合物については、ヘテロ原子を有するものであってもよいが、使用するルイス酸触媒を失活させるような原子や官能基を有さないことが好ましい。例えば、アミノ基、アミド結合、スルホン、スルホキシド等を有さないエステル化合物であることが好ましい。なお、ニトリル基やオレフィンやアルキン等の炭素-炭素多重結合は電子豊富な官能基であるが塩基性が弱いか、本反応で事実上塩基性を示さないことから、使用することは排除されない。
そして、原料であるOXCL5と前記エステル化合物との反応においては、効率的に反応させるために、ルイス酸触媒の存在下で行われることが必要である。ルイス酸触媒としては、公知のものから適宜選択して用いることができる。例えば、第3周期から第5周期の少なくとも1種の金属ハロゲン化物や金属酸化物を使用することができ、酸化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化鉄、塩化マグネシウム、塩化スズ、塩化チタン、塩化カドミウム等を好ましく使用することができ、その中でも、酸化亜鉛、塩化鉄がより好ましい。
ルイス酸触媒の使用量については、原料であるOXCL5に対し、0.001~1当量が好ましく、0.003~0.5当量がより好ましい。
また、本発明の方法は、前記ルイス酸触媒を失活させるような化合物の非存在下で行われることが好ましい。ルイス酸触媒を失活させるような化合物としては、前記のとおり、アミノ基やアミド結合やスルホキシドやスルホンなどを有する化合物を挙げることができる。なお、ニトリル基や炭素-炭素多重結合は排除されない。
また、OXCL5と前記エステル化合物との反応温度は、常圧で70℃以上とする。温度が70℃未満の場合、反応が進行しないか、反応の進行が著しく遅くなる。他方、反応温度の上限は常圧で200℃未満とする。温度が200℃以上であると、目的物である3CP等の分解が促進されてしまう。反応温度の好ましい下限は90℃であり、より好ましい下限は100℃である。他方、反応温度の好ましい上限は150℃であり、より好ましい上限は140℃である。
本発明の反応は、例えば、予め所定量のOXCL5を仕込んで所定の反応温度に維持しながら、これに所定量のルイス酸触媒を仕込み、その後、所定のエステル化合物を3分~3時間程度かけて滴下して添加及び反応させることが好ましい。このような手順で反応させることにより、エステル化合物の沸点によらず反応を進行できるため好ましい。反応時間については、通常0.5~24時間であることが好ましいが、生成物の生成程度や副反応の進行度合い等を勘案して適宜設定することができる。
本発明の反応は、通常溶媒の非存在下で実施できるが、溶媒を用いる場合は、反応が妨げられることが無ければ用いる溶媒の種類に制限はない。このような溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
本発明においては、反応終了後、蒸留により反応混合物から3CPと、原料エステル化合物由来の酸塩化物および塩素化炭化水素をそれぞれ分離精製できる。この際の蒸留操作は回分式でも連続式でもよく、通常絶対圧5~100mmHg程度の減圧下に行われる。例えば、後述の実施例のとおり、エステル化合物としてγ-ブチロラクトンを用いた場合には3CPと4-クロロブチリルクロリドとが生成されるが、この蒸留操作で約90GC%の4-クロロブチリルクロリドと3CPが得られる。他方、目的とする塩素化炭化水素が低沸点化合物である場合には、例えば、コンデンサーの温度を制御することや、或いは、蒸留塔の能力を上げることなどの方法を採用することによって、当該生成物を分離精製することができる。
以下に試験例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の試験例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
温度計及び還流冷却器を備えた100mLフラスコにα,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレン(OXCL5)5.94g(21.3ミリモル)を仕込み、加熱攪拌して130℃に維持しながら酸化亜鉛(ZnO)0.17g(2.13ミリモル)を添加し、次いで、γ-ブチロラクトン(GBL)3.67g(42.7ミリモル)を3分間かけて滴下した。最大で4時間攪拌後、反応を停止した。1時間後、2時間後、4時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、4時間後には、4-クロロブチリルクロリドを38GC%、3CPを49GC%で得た。結果を以下の表1に示す。
なお、GC分析の装置構成や条件等は以下のとおりであり、純度(GC%)は以下の解析ソフトウェア上でスペクトルの処理を行い、面積値を算出し、各成分のGC%を求めた。また、生成物の同定は以下のとおりに行った。これ以降も同様である。
<GC>
使用装置:島津製作所 GC-2014S
解析ソフトウェア:Labsolutions
カラム:DB-5
インジェクション温度:300℃
検出器温度:250℃
カラム温度:100℃-5分保持、昇温速度10℃/分、250℃-10分保持
スプリット比:1:50
平均線速度:30.0cm/sec
<生成物の同定方法>
標準物質のカラム保持時間、およびGC-MS分析のフラグメント解析から各化合物を同定している。
GC-MS:島津製作所 GCMS-QP2020
カラム:Inert Cap-1
[実施例2]
GBLの代わりに、15-ペンタデカノラクトンを4.93g(20.5ミリモル)使用し、最大で5時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、3時間後、5時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、5時間後には3CPを15GC%で得たが、原料であるOXCL5及びエステル化合物の減少の程度から、生成していると思われた15-クロロペンタデカノイルクロリドは検出ができなかった(N.D.)。これは高沸点であることによって検出できていないか、或いは、高沸点であるが故に3CPと反応して副生成物となっていることや反応系中やGCカラム上で分解したことが推測される。結果を以下の表1に示す。
[実施例3]
GBLの代わりに、酢酸ブチルを1.96g(16.9ミリモル)使用し、最大で22時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、3時間後、22時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、22時間後には3CPを65GC%、1-クロロブタンを4GC%で得た。なお、3CPの生成量からすれば、当該1-クロロブタンは想定よりも少なかったが、沸点が78℃程度と低いために検出できていないと推測される。同じく、酢酸ブチルのアセチル基に由来して生成すると思われたアセチルクロリドについても、沸点が51℃程度であることから、検出ができなかったと推測される。また、長時間の反応では、酢酸ブチルの沸点が126℃程度と高いことから、それと3CPとの副生成物(フタリド骨格を含有)が増加したものと推測される。結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
GBLの代わりに、安息香酸メチルを2.22g (16.3ミリモル)使用し、最大で22時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、3時間後、22時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、3CPが3時間後には20GC%であったが、22時間後には3GC%となっていた。これは、使用した安息香酸メチルの沸点が199℃程度と高いことから、それと3CPとの副生成物(フタリド骨格を含有)が増加したものと推測される。なお、安息香酸メチルのベンゾイル基に由来するベンゾイルクロリドは54GC%で得られたが、メチル基に由来して生成すると思われたクロロメタンについては沸点が-24℃程度であることから検出できていないと考えられる。結果を以下の表1に示す。
[実施例5]
GBLの代わりに、酢酸オクタデシルを5.52g(17.7ミリモル)使用し、最大で5時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、3時間後、5時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、クロロオクタデカンを45GC%、3CPを6GC%で得た。クロロオクタデカンの生成量(検出量)からすれば3CPが想定よりも少ない数値であったが、GC感度の差によるものと推測される。なお、酢酸オクタデシルのアセチル基に由来して生成すると思われたアセチルクロリドについては、前記同様に、低沸点のために検出ができなかったと推測される。結果を以下の表1に示す。
[実施例6]
GBLの代わりに、安息香酸ブチルを3.55g(19.9ミリモル)使用し、最大で22時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、2時間後、22時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、3CPが2時間後には9GC%であったが、22時間後には2GC%となっていた。これは、安息香酸ブチルの沸点が250℃程度と高いことから、それと3CPとの副生成物(フタリド骨格を含有)が増加したものと推測される。なお、安息香酸ブチルのベンゾイル基に由来するベンゾイルクロリドは35GC%で得られたが、ブチル基に由来して生成すると思われた1-クロロブタンについては前記同様に低沸点のために検出できていないと考えられる。結果を以下の表2に示す。
[実施例7]
GBLの代わりに、ヘプタン酸メチルを2.40g(16.7ミリモル)使用し、最大で22時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、2時間後、22時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、3CPが5GC%で得られた。なお、使用したヘプタン酸メチルのヘプタノイル基に由来するヘプタノイルクロリドは2時間では16GC%であったが、22時間後には8GC%となっていた。これは、ヘプタノイルクロリドの沸点が175℃程度と高いことから、それと3CPとの副生成物(フタリド骨格を含有)が増加したものと推測される。なお、ヘプタン酸メチルのメチル基に由来して生成すると思われたクロロメタンについては前記同様に低沸点のために検出できていないと考えられる。結果を以下の表2に示す。
[実施例8]
GBLの代わりに、シクロヘキサンカルボン酸メチルを2.07g(14.6ミリモル)使用し、最大で23時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、2時間後、23時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、2時間では3CPが13GC%であり、また、シクロヘキサンカルボニル基に由来するシクロヘキサンカルボニルクロリドが25GC%で得られた。但し、23時間後には両者が減少していることから、副生成物(フタリド骨格を含有)が増加したためと推測される。シクロヘキサンカルボン酸メチルのメチル基に由来して生成すると思われたクロロメタンについては前記同様に低沸点のために検出できていないと考えられる。結果を以下の表2に示す。
[実施例9]
GBLの代わりに、パルミチン酸メチルを4.73g(17.5ミリモル)使用し、最大で23時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、4時間後、23時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、3CPが12GC%で得られた。なお、パルミチン酸メチルのパルミトイル基に由来するパルミトイルクロリドは検出がされなかったが、GC感度の差によるものと推測される。パルミチン酸メチルのメチル基に由来して生成すると思われたクロロメタンについては前記同様に低沸点のために検出できていないと考えられる。結果を以下の表2に示す。
[比較例1]
反応温度を50℃に変更し、反応を1時間行って、1時間後の粗生成物を分析した以外は、実施例1と同様の操作を行った。生成すると思われた4-クロロブチリルクロリド及び3CPはいずれも0GC%であり、原料であるOXCL5及びGBLの双方が多く残存しており、反応の進行が遅かった。結果を以下の表2に示す。
[実施例10]
反応温度を70℃に変更し、反応を1時間行って、1時間後の粗生成物を分析した以外は、実施例1と同様の操作を行った。生成すると思われた4-クロロブチリルクロリドは痕跡量(trace)程度であったが、3CPは2GC%得られた。なお、原料であるOXCL5及びGBLの双方が比較的多く残存していた。結果を以下の表3に示す。
[実施例11]
反応温度を90℃に変更し、最大で2時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、2時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、4-クロロブチリルクロリドが9GC%、3CPが14GC%得られた。結果を以下の表3に示す。
[比較例2]
反応温度を200℃に変更し、最大で4時間攪拌後、反応を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後、2時間後、4時間後の各反応後の粗生成物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析を行ったところ、1時間後に4-クロロブチリルクロリドが18GC%、3CPが48GC%得られたが、2時間後以降は両者ともに減少していった。結果を以下の表3に示す。
[実施例12]
ルイス酸触媒として、ZnOの代わりに塩化鉄(FeCl)を0.15g(0.92ミリモル)使用し、0.5時間後、1時間後の各反応後の粗生成物を分析した以外は、実施例1と同様の操作を行った。1時間後には、4-クロロブチリルクロリドが32GC%、3CPが50GC%得られた。1時間後における分析結果(GCチャート及びピークレポート)を図1~2に示す。保持時間が2.682分のピークは原料エステル化合物であるγ-ブチロラクトンを表し、保持時間が3.047分のピークは生成した酸塩化物である4-クロロブチリルクロリドを表し、保持時間が11.972分のピークは生成した3CPを表し、保持時間が15.355分のピークは原料であるOXCL5を表す。結果を以下の表3に示す。
[比較例3]
ルイス酸触媒として、ZnOの代わりに(+)-カンファ―スルホン酸を0.24g(1.03ミリモル)使用し、反応を3時間行って、1時間後、2時間後、3時間後の各反応後の粗生成物を分析した。2時間以降は反応温度160℃で反応を行った。3時間でも、4-クロロブチリルクロリドは1GC%であり、また、3CPも3GC%であり、原料であるOXCL5及びGBLの双方が多く残存しており、反応の進行が遅かった。結果を以下の表3に示す。

Claims (5)

  1. α,α,α,α',α'-ペンタクロロ-o-キシレンとエステル化合物とを反応させて、3-クロロフタリド及び/又は前記エステル化合物に由来する酸塩化物及び/又は塩素化炭化水素を製造する3-クロロフタリド類の製造方法であって、
    前記反応は、ルイス酸触媒存在下において温度70℃以上200℃未満で行われることを特徴とする3-クロロフタリド類の製造方法。
  2. 前記エステル化合物が、炭素数1~20のエステル化合物であることを特徴とする請求項1に記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
  3. 前記反応は、前記ルイス酸触媒を失活させる化合物の非存在下で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
  4. 前記ルイス酸触媒は、第3周期から第5周期の少なくとも1種の金属ハロゲン化物及び金属酸化物からなる群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
  5. 塩化水素を発生させない反応であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の3-クロロフタリド類の製造方法。
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